特許第6524462号(P6524462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 石橋 達男の特許一覧

<>
  • 特許6524462-入力補助具 図000002
  • 特許6524462-入力補助具 図000003
  • 特許6524462-入力補助具 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6524462
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】入力補助具
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20190527BHJP
   A61F 4/00 20060101ALI20190527BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   G06F3/03 400Z
   A61F4/00
   G06F3/044 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-221939(P2014-221939)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-91123(P2016-91123A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】710011914
【氏名又は名称】石橋 達男
(72)【発明者】
【氏名】石橋 達男
【審査官】 木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−176720(JP,A)
【文献】 米国特許第03170460(US,A)
【文献】 米国特許第08771212(US,B1)
【文献】 米国特許第04770166(US,A)
【文献】 米国特許第06110136(US,A)
【文献】 特開2014−191819(JP,A)
【文献】 特開平11−134103(JP,A)
【文献】 米国特許第04243026(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03、 3/044
A61F 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の手指に装着する基体と、入力先端部を有する前記基体に延設された指示部とからなる入力補助具であって、前記基体が3つの支持部を有するとともに、3つの前記支持部が、内側に曲がった指のMP関節の背面近傍に接する第一支持部と、同じ指のPIP関節の掌面近傍に接する第二支持部と、同じ指のDIP関節の背面近傍に接する第三支持部とからなることを特徴とする入力補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手指に機能障害を伴う人が、スマートフォン、携帯電話、キーボード、電卓等への指入力を行うことを補助する、軽量で携帯し易い入力補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音声、ジェスチャーや脳内シグナル等を利用した情報入力方法が開発されつつある中、実際にはコンピュータや携帯情報端末等の情報処理機器、家電製品、ゲーム機、自動券売機、銀行のATM等への情報入力はほぼ全て指による直接入力が一般的である。しかし手指に機能障害を伴う場合や、キー自体が小さくて、誤入力等が発生する場合には、指入力自体が人に対して大きな負担となる。
【0003】
「特許文献1」には手指に機能障害を伴う場合の入力補助装置として、手袋状やベルト状の装着具で手を板に固定し、板に取り付けたキー押し具で入力を行う補助装置が開示されている。この方法は指で鉛筆等を握りしめ打鍵入力することに比べると便利な方法であるが、掌を平たい板に固定することによる身体的負担や指による入力感覚の消失、あるいは補助装置自体が嵩張るため入力操作性の低下という欠点がある。
【0004】
「特許文献2」にはキー自体が小さい場合の入力補助具として、キーより小さい打鍵用突起を指サック等の取付け部材に付けた補助具が開示されている。この方法は指先の入力感覚を保持できる点が優れているものの、手指に機能障害がある場合を想定したものではないため、補助具を装着していない他の指が誤操作等を引き起こす欠点がある。また、個々に取付け部材と指の大きさを合わせる必要性や、ゴム状の取付けサックでは汗ムレ等の弊害が起きるという欠点がある。
【0005】
「特許文献3」には、静電容量型のタッチパネルに入力する補助具として、導電性コイルの先に導電性のパッドを接続したものが開示されている。指入力の感覚が保持されることや、機能障害等が軽い場合に入力作業が可能となる点は優れている。しかし、入力操作時のパッド-指間の剛性を確保するためにコイルの弾性を強くすると指への負担が増し、またパッドと指先との距離が近いと補助具を装着していない他の指が誤操作を引き起こす欠点がある。またコイルに指を通し弾性を利用して固定するため、個々の指に対する締め付け度合を調整する必要があり多種のコイルを要する欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−105314号公報
【特許文献2】実開平5−30935号公報
【特許文献3】特開2014−191819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、手指に麻痺等の機能障害がある場合に使用する入力補助具は、身体的負担を与えるとともに指による入力感覚を消失させる点や、あるいは装置自体が嵩張り入力の操作性が悪くなる点であり、また入力作業中に補助具を装着していない他の指が誤操作等を引き起こす点や、補助具の指への装着がスムーズではなく個別に補助具のサイズを合わせる必要性がある点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一本の手指に装着する基体と、入力先端部を有する指示部とからなる入力補助具であって、前記基体が、内側に曲がった指のMP関節の背面近傍に接する第一支持部と、PIP関節の掌面近傍に接する第二支持部と、DIP関節の背面近傍に接する第三支持部とを備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による入力補助具は、基体に設けた3つの支持部と指とが特定の配置をとるために、手指に機能障害があっても、身体的負担を与えることなく、指による入力感覚を保持するとともに、入力作業中に補助具を装着していない他の指が誤操作等を引き起こすことがなく、また補助具の指への装着がスムーズで、補助具のサイズを個別に合わせる必要がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明による入力補助具の一例である。Aは斜視図、Bは平面図、Cは側面図である。
図2図2は本発明による入力補助具の一例を指に装着する方法(A)およびその使用例(B)を示す説明図である。
図3図3は本発明による入力補助具の別の例である。Aは入力補助具の別の例を指に装着した様子を示す側面図であり、Bは別の例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、手指に麻痺等の機能障害のある人が機器類に情報入力するための補助具に関し、装着時の身体的負担を軽減し、指による入力感覚を保持し、補助具自体が軽量、コンパクトで操作性がよく、入力操作中に補助具を装着していない他の指が誤操作等を引き起ことがなく、また補助具の指への装着がスムーズで、補助具のサイズを個別に合わせる必要がないようにした。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明による入力補助具の1実施例で、Aは斜視図、Bは平面図、Cは側面図である。1は基体、2は第一支持部、3は第二支持部、4は第三支持部、5は指示部、6は先端入力部である。
【0013】
基体1は指に接して装着されるもので、材料としては入力時の応力に耐える程度の強度を保持し、軽量であれば特に限定されない。樹脂、金属、ゴム、紙、セラミック等が使用可能である。但し静電容量タイプのタッチパネルに入力するような場合には補助具に導電性を付与する必要があるため、金属等の導電体以外は、練り込みや表面加工等により導電性を付与する必要がある。基体1の形状は、指に装着し入力操作を行うことを可能にするものであれば特に限定されない。
【0014】
第一支持部2、第二支持部3、第三支持部4は基体1の重要な要素で、麻痺等の機能障害のある指に負担を掛けずに基体1を装着し、指と補助具を固定するためのものである。機能障害がある場合や手の力を抜いた場合、通常指は各関節(MP関節、PIP関節、DIP関節)で浅く内側に曲がり指全体が弧を描く状態になる。本発明は弧を描いた指の状態を保持して補助具を装着し、固定し、入力操作ができるようにするためになされたものである。
【0015】
図2は本発明による入力補助具の一例の装着方法および使用例を示す説明図である。本発明は基体1が、弧を描いた一本の指のMP関節の背面近傍に接する第一支持部2と、同じ指のPIP関節の掌面近傍に接する第二支持部3と、同じ指のDIP関節の背面近傍に接する第三支持部4とを備えるようにした。さらに本発明による第一支持部2と第二支持部3との間隔および第二支持部3と第三支持部4との間隔は指の太さより十分大きくなり、3つの支持部(2,3,4)を有する基体1は指の差異に影響されずにスムーズに指に装着、固定可能で、多種のサイズを用意する必要がない。3つの支持部(2,3,4)の材料は基体1と同様で特に限定されない。樹脂、金属、ゴム、紙、セラミック等が使用できる。但し静電容量タイプのタッチパネルに入力するような場合には補助具に導電性を付与する必要があるため、金属等の導電体以外は、練り込みや表面加工等により導電性を付与する必要がある。各支持部(2,3,4)の形状は指に対し刺激の少ないものであれば特に限定されない。
【0016】
指示部5は基体1に延設されるもので入力操作時に指の代わりとなるものである。指示部5の材料としては、剛性のあるものや、撓みを有する弾性体で入力操作性が良いものであれば特に限定されない。樹脂、金属、ゴム、紙、セラミック等が使用できる。但し静電容量タイプのタッチパネルに入力するような場合には補助具に導電性を付与する必要があるため、金属等の導電体以外は、練り込みや表面加工等により導電性を付与する必要がある。また基体1に指示部5を延設する場合に図1に例示するような基体1と一体化した形状である必要はない。指示部5が独立部材として基体1に接合している形状も可能である。指示部5の長さは、補助具を装着しない他の指が誤操作を起こさない程度であれば限定されない。
【0017】
先端入力部6はキーボード、タッチスイッチ、タッチパネル等に直接接する部分である。先端入力部6の材料は基体1、指示部5と同様で特に限定されない。樹脂、金属、ゴム、紙、セラミック等が使用可能である。但し静電容量タイプのタッチパネルに入力するような場合には補助具に導電性を付与する必要があるため、金属等の導電体以外は、練り込みや表面加工等により導電性を付与する必要がある。また先端入力部6の形状は、図1図3に例示するような指示部5と一体化した形状である必要はない。先端入力部6が独立部材として指示部5に接合している形状や、指示部5の先端を覆うカバー形状等でも良い。
【実施例2】
【0018】
図3は本発明による入力補助具の別の実施例である。Aは本発明による入力補助具を指に装着した状態の側面図を示し、Bは平面図を示した。実施例1と同様に基体1が、弧を描いた一本の指のMP関節の背面近傍に接する第一支持部2と、同じ指のPIP関節の掌面近傍に接する第二支持部3と、同じ指のDIP関節の背面近傍に接する第三支持部4とを備えている様子を示している。
【0019】
実施例1と同様に、本発明による第一支持部2と第二支持部3との間隔および第二支持部3と第三支持部4との間隔は指の太さより十分大きくなるため、3つの支持部(2,3,4)を有する基体1は指の差異に影響されずにスムーズに指に装着、固定可能で、多種のサイズを用意する必要がない。さらに手指に機能障害があっても入力操作は極めて良好である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
手指に麻痺等の機能障害を伴う人が、コンピュータや携帯情報端末等の情報処理機器、家電製品、ゲーム機、自動券売機、銀行のATM等への情報入力を行う場合に適用できる。またキー等の入力部が小さい機器へ誤操作を起こさずに入力を行う場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 基体
2 第一支持部
3 第二支持部
4 第三支持部
5 指示部
6 入力先端部
図1
図2
図3