(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カートリッジ側保持手段は、前記装着動作時の前記カートリッジの移動方向とは反対方向への前記記憶媒体の前記カートリッジに対する相対移動を制限する移動制限手段を有し、
前記本体側保持手段は、前記記憶媒体が前記本体側保持手段の前記開口部に挿入されたときに前記移動制限手段による制限を解除する制限解除手段を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<本実施形態に係る画像形成装置の概要>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成概略図である。また、
図2は、プロセスカートリッジの上方から見た斜視図である。画像形成装置10はいわゆるプリンタであり、プロセスカートリッジ12、印刷媒体である紙を貯蔵する給紙トレー、給紙トレーから紙を搬送するための給紙ベルト、給紙ベルトを動かすための給紙ロール、感光体ドラムに付着したトナーを紙に転写する転写ロール、紙に転写されたトナーを定着させるための定着ロール、各部に電源を供給する電源部、各部を制御する制御部などを備えている。これら各部が協働することにより印刷動作が行われる。なお、本明細書においては、画像形成装置10の左右方向をx軸とし、前後(手前奥行き)方向をy軸とし、高さ方向をz軸とする。
【0019】
画像形成装置10はカラープリンタであり、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応してプロセスカートリッジが4つ設けられる。各プロセスカートリッジは同様の構造を有していることから、以後、1つのプロセスカートリッジ12に着目して説明する。なお、本発明はカラープリンタに限らず、カラー複合機、モノクロプリンタなどにも好適に適用可能である。また、本実施形態では、画像形成装置10に着脱可能なカートリッジとしてプロセスカートリッジ12を例として説明するが、カートリッジとしては、メモリが取り付けられ、画像形成装置に着脱な部材であればプロセスカートリッジに限られない。
【0020】
プロセスカートリッジ12は、感光体ユニット16と現像ユニット18を有する。つまり、プロセスカートリッジ12は、感光体ユニット16と現像ユニット18が一体となったものである。感光体ユニット16は、感光体ドラム、感光体ドラムを帯電させるための帯電ロール、感光体ドラム上の残留トナーを除去するクリーニングブレードを含む。また、現像ユニット18は、トナーを貯蔵するトナー貯蔵部、感光体ドラム上の画像イメージにトナーを付着させる現像ロール、クリーニングブレードにより除去されたトナーを貯蔵する廃トナー貯留部などを含む。
【0021】
感光体ユニット16及び現像ユニット18はいずれも装着時において画像形成装置10の左右方向(x軸方向)に延伸した形状となっており、それらが並列に並べられた状態で一体となりプロセスカートリッジ12を形成している。つまり、プロセスカートリッジ12も装着時において画像形成装置10の左右方向(x軸方向)に延伸した略柱状となっている。
【0022】
プロセスカートリッジ12は消耗品であるため、定期的な交換が必要な部材である。したがって、プロセスカートリッジ12は画像形成装置10に対して着脱可能に装着される。プロセスカートリッジ12の交換は、画像形成装置10の使用者あるいはサービスマンなどのユーザにより行われる。
図1に示されるように、プロセスカートリッジ12の着脱動作は、画像形成装置10の側面に設けられるサイドカバー14が開けられた状態で行われる。プロセスカートリッジ12の取り外し動作は、装着されているプロセスカートリッジ12を右方向(x軸の負の方向)へ移動させて引き抜く動作である。プロセスカートリッジ12の装着動作は、新しいプロセスカートリッジ12を左方向(x軸の正の方向)へ所定の印刷動作位置(装着位置)まで移動させる動作である。つまり、x軸方向は、プロセスカートリッジ12の脱着動作における移動方向であり、x軸正方向は装着動作時におけるプロセスカートリッジ12の移動方向、x軸負方向は取り外し動作時におけるプロセスカートリッジ12の移動方向となる。
【0023】
プロセスカートリッジ12は、画像形成装置10内の印刷動作位置まで挿入されると、画像形成装置10本体(以下「装置本体」と記載する)に支持される。例えば、プロセスカートリッジ12を印刷動作位置まで押し込んだ後に、装置本体に取り付けられたロックレバーを回すことによりプロセスカートリッジ12が装置本体に固定される。プロセスカートリッジ12は、交換が容易になるようビス止めなどされず、上記のロックレバーなどによりワンタッチで取り付けられる。なお、装置本体とは、画像形成装置10内の部材のうち少なくともプロセスカートリッジ12以外の部材であり、例えば画像形成装置10の筐体など、ユーザにより着脱されない部分をいう。
【0024】
プロセスカートリッジ12のうち感光体ユニット16側が装置本体により支持される。現像ユニット18は、感光体ユニット16に含まれる感光体ドラムに対する現像ロールの位置合わせなどのために、感光体ユニット16に対する位置が調整可能となっている。この位置調整を好適に行うために、現像ユニット18は装置本体に支持されずに感光体ユニット16に支持されている。つまり、現像ユニット18は、直接装置本体に支持されず、感光体ユニット16を介して装置本体へ支持されている。
【0025】
図3は、プロセスカートリッジ12の下方から見た斜視図である。
図3に示されるように、プロセスカートリッジ12の表面にはメモリユニット20が取り付けられている。
【0026】
メモリユニット20は、メモリ22及びメモリ22を保護するメモリホルダ24を含んで構成されている。メモリ22は、例えばROM、RAMなどの不揮発性の記憶媒体である。メモリ22には、プロセスカートリッジ12に関する情報、例えばプロセスカートリッジ12の型番あるいはトナー残量などの情報が記憶されている。
【0027】
メモリホルダ24は、例えば樹脂などで形成されておりメモリ22を保護するものである。少なくとも本実施形態における動作においては、メモリ22はメモリホルダ24から外されることはなく、両者は一体となっている。
【0028】
メモリユニット20が重力などにより脱落しないよう、プロセスカートリッジ12にはメモリユニット20を保持する保持部(
図3において不図示、以下「カートリッジ側保持部」と記載)が設けられている。本実施形態においては、カートリッジ側保持部は、プロセスカートリッジ12の現像ユニット18のxy平面に略平行な底面に取り付けられており、メモリユニット20はプロセスカートリッジ12の底面からに突出した位置に取り付けられている。メモリユニット20の取り付け位置は底面である必要はなく、装置本体に対するプロセスカートリッジ12の配置関係、あるいはプロセスカートリッジ12自体の形状などに応じて、プロセスカートリッジ12の着脱動作時の移動方向に沿った面のいずれにメモリユニット20が配置されてもよい。ただし、後述のように、メモリユニット20が好適に装置本体側へ移送可能なよう、メモリユニット20は、プロセスカートリッジ12の表面から突出した位置に保持されるのが好ましい。当該カートリッジ側保持部の詳細構造については、
図5などを用いて後述する。
【0029】
<メモリユニットの構造>
図4は、メモリユニット20の斜視図及び断面図である。
図4(a)は、メモリユニット20の上方から見た斜視図であり、
図4(b)はメモリユニット20の下方から見た斜視図であり、
図4(c)は
図4(a)のA−A断面図である。本実施形態においては、メモリユニット20はプロセスカートリッジ12の底面に取り付けられるため、メモリユニット20は、その上面30がプロセスカートリッジ12の底面に対向する向きでカートリッジ側保持部に保持される。
【0030】
メモリユニット20の上面30には、yz断面、すなわちプロセスカートリッジ12の着脱動作時に移動方向に対して垂直な面の断面において略T字形状の突出部32が設けられる。
【0031】
後述するように、カートリッジ側保持部が当該突出部32のフランジ部32a(
図4(c)参照)を引っかけ保持することで、メモリユニット20はプロセスカートリッジ12に吊るされるような形で保持される。そして、メモリユニット20はプロセスカートリッジ12に対してx軸方向に相対移動することでカートリッジ側保持部の保持状態から離脱する。したがって、突出部32のx軸方向の長さは、その保持状態の離脱の際にメモリユニット20の移動距離を短縮できるよう、メモリユニット20が好適に保持される範囲において短くするのが好ましい。本実施形態では、突出部32のx軸方向の長さは、メモリユニット20全体の長さの半分程度となっている。
【0032】
メモリユニット20の上面30のy軸方向(プロセスカートリッジ12の着脱動作時の移動方向に垂直な方向)の両端に沿って、上面30からさらに上方向に突出する壁状の側壁部34が設けられている。つまり、側壁部34はx軸方向に沿って設けられる。側壁部34には、y軸方向に貫通する切り欠き部34aが設けられている。後述のように、切り欠き部34aは、メモリユニット20のプロセスカートリッジ12に対するx軸方向への相対移動を制限するロック機構の一部を構成する。
【0033】
図4(b)に示される通り、メモリユニット20の底面にはメモリ22が剥き出しの状態で配置されている。メモリ22の底面には接触部26が複数設けられている。装置本体側に設けられた読取部の接触部が当該複数の接触部26に接触することメモリ22に記憶された情報の読み出しが行われる。
【0034】
<カートリッジ側保持部の構造>
図5は、カートリッジ側保持部の構造を示す図である。
図5(a)には、プロセスカートリッジ12の底面の一部を示す図であり、
図5(b)は
図5(a)中に示された点線部分の拡大図である。
図5に示される通り、プロセスカートリッジ12の底面には、メモリユニット20を保持するカートリッジ側保持部40が固定的に設けられる。以下、
図5(b)を用いてカートリッジ側保持部40の構造の詳細を説明する。
【0035】
カートリッジ側保持部40は、レール部42、レール部42に沿って設けられる鉤部46、及び突出ブロック48を含んで構成されている。
【0036】
図5(b)に示される通り、レール部42は、x軸方向、つまりプロセスカートリッジ12の着脱動作時の移動方向に沿って伸びている。レール部42は、プロセスカートリッジ12の底面18aに略垂直に伸びる壁状の脚部42a及び脚部42aの下側端部から底面18aと平行に伸びる板状のフランジ部42bを含んでいる。つまり、レール部42は、yz断面においてL字型となっている。レール部42が以上のような形状を有していることから、レール部42とプロセスカートリッジ12の底面18aとにおいて、x軸方向に伸びるyz断面コの字型の溝部44が形成される。
【0037】
レール部42は2つ設けられ、2つのレール部42は所定の間隔を開けてy軸方向に並べられる。以後、y軸方向について、2つのレール部42の中心線(
図5(b)における一点鎖線C1)へ向かう方向を「y軸内側」と、それとは反対方向を「y軸外側」と記載する。
図5(b)に示されるよう、2つのレール部42により形成される2つの溝部44はいずれも脚部42aのy軸内側に形成される。つまり、2つの溝部44は対向する向きに形成されている。
【0038】
鉤部46は各レール部42のy軸外側に沿って設けられる。つまり、鉤部46も2つ設けられている。鉤部46は、x軸方向に伸びる腕46a、及び腕46aのx軸負方向側先端近傍に設けられ腕46aのy軸外側面からさらにy軸外側へ突出する爪46bを有している。腕46aは、x軸正方向側の端部においてレール部42のx軸正方向側端部と接続されている。当該接続部以外の部分において、腕46aとレール部42との間には隙間が開けられており、かつ、腕46aがある程度撓ることが可能に形成されている。
【0039】
突出ブロック48は、プロセスカートリッジ12の底面18aから下側に突出するように設けられる。
図5(b)において突出ブロック48の形状は略角柱形状となっているが、突出ブロック48の形状はこれに限られない。突出ブロック48は、レール部42よりもx軸正方向側に設けられる。これにより、後述のように、突出ブロック48は、カートリッジ側保持部40に保持されたメモリユニット20のx軸正方向側への移動を制限する。そのため、突出ブロック48が有する面のうち、レール部42側の面であってメモリユニット20に当接する面である接触面48aは平面であることが好ましい。
【0040】
図6は、カートリッジ側保持部40にメモリユニット20が保持されている状態におけるプロセスカートリッジ12の側面図である。
図6(a)は、プロセスカートリッジ12全体の側面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の点線部分の拡大図である。
【0041】
図6(b)に示されるように、メモリ22は、メモリユニット20ごとカートリッジ側保持部40に保持される。具体的には、カートリッジ側保持部40のレール部42により形成された溝部44にメモリユニット20の突出部32がx軸負方向から挿入される。これにより、レール部42のフランジ部42bと突出部32のフランジ部32aが引っ掛かり、メモリユニット20は重力により脱落することなくカートリッジ側保持部40に保持される。
【0042】
突出部32が溝部44に引っ掛けられただけの状態だと、メモリユニット20は、カートリッジ側保持部40に対してx軸方向に自由に相対移動可能である。レール部42のx軸方向の両端は開放されていることから、メモリユニット20がx軸方向に移動自由であると、プロセスカートリッジ12の移送中などにおいてメモリユニット20が脱落する虞がある。したがって、本実施形態においては、メモリユニット20のx軸方向への移動を制限する移動制限機構が設けられている。
【0043】
メモリユニット20のx軸正方向への相対移動は、突出ブロック48により制限される。つまり、溝部44に挿入されたメモリユニット20の突出部32が突出ブロック48に当接することで、メモリユニット20のx軸正方向への移動が制限される。
【0044】
メモリユニット20のx軸負方向への相対移動は、カートリッジ側保持部40の鉤部46及びメモリユニット20に設けられた側壁部34との協働により実現される。
【0045】
図7には、カートリッジ側保持部40にメモリユニット20が保持されている状態におけるプロセスカートリッジ12の斜視図が示されている。
図7(a)は、プロセスカートリッジ12のx軸本体側端部の斜視図であり、
図7(b)は、
図7(a)の点線部分の拡大図である。
図7(b)に示されるように、突出部32(
図4(a)参照)が溝部44(
図5(b)参照)に挿入されると、2つの鉤部46のそれぞれy軸外側にメモリユニット20の側壁部34が位置するようになる。そして、突出部32が突出ブロック48に突き当たる位置近傍までx軸正方向へ押し込まれると、鉤部46からy軸外側へ突出する爪46bが側壁部34の切り欠き部34aに嵌合する。そして、爪46bと切り欠き部34aの引っ掛かりにより、メモリユニット20のx軸負方向への移動が制限される。このように、側壁部34及び鉤部46がメモリユニット20のx軸負方向へのプロセスカートリッジ12に対する相対移動を制限するロック機構を構成する。
【0046】
上述のように、メモリユニット20はカートリッジ側保持部40の保持されることでプロセスカートリッジ12に取り付けられる。少なくとも、プロセスカートリッジ12が装置本体に挿入されていない状態において、カートリッジ側保持部40はメモリユニット20を保持する。そして、プロセスカートリッジ12の着脱動作において、メモリユニット20はプロセスカートリッジ12と共に移動する。
【0047】
<本体側保持部の構造>
図8は、装置本体側に設けられ、カートリッジ側保持部40から移されたメモリユニット20を保持する本体側保持部60の斜視図及び側面図である。
図8(a)には、本体側保持部60の上方から見た斜視図であり、
図8(b)は本体側保持部60をx軸外部側から見た側面図である。
【0048】
本体側保持部60は、基部64、基部64のy軸方向両端に沿って設けられる側部66、基部64のx軸正方向側端部に沿って設けられる背部68、および側部66の上側に設けられる突き当て部72を含んで構成されている。なお、ここでも、本体側保持部60のy軸方向の中心線(
図8(a)における一点鎖線C2)へ向かう方向を「y軸内側」と、それとは反対方向を「y軸外側」と記載する。
【0049】
基部64は、略直方体形状であり、その上面64aのy軸方向中央部が開放された形状を有している。基部64内部には、メモリ22に記憶された情報を読み出す読取部62が配置されている。読取部62が有する複数の接触部62aが基部の上面64aの開放部分の直下に位置している。接触部62aはバネなどの力により上側に付勢されている。
【0050】
側部66は、カートリッジ側保持部40のレール部42同様、基部64の上面64aに対して略垂直に上側に伸びる壁状の脚部66a及び脚部66aの上端部から上面64aと平行にy軸内側に伸びる板状のフランジ部66bを含んでいる。つまり、側部66はx軸方向に延伸して設けられyz断面が略L字型となっている。側部66及び基部の上面64aによりコの字型の溝部70が形成される。後述するように、溝部70にはメモリユニットが挿入される。
図8(a)に示されるように、溝部70はx軸負方向に向けて開放されている。つまり、本体側保持部60のメモリユニット20を受け入れる開口部は、x軸負方向(つまりプロセスカートリッジ12の装着動作に伴うメモリユニット20の移動方向とは逆方向)へ向けて開口されている。
【0051】
背部68は、基部64のx軸正方向側端部に沿って設けられる壁状の部材である。背部68には、溝部70に挿入されたメモリユニット20が当接する。背部68には切り欠き部68aを有している。後述するように、これはプロセスカートリッジ12の着脱動作の際に、プロセスカートリッジ12に設けられた突出ブロック48が背部68に干渉するのを避けるために設けられる。
【0052】
突き当て部72は、側部66のフランジ部66bの上面に設けられ、フランジ部66bのy軸内側の端部からさらにy軸内側に突き出すように設けられる。
【0053】
なお、
図8(b)に示される通り、基部64の下側には中継基板74が設けられている。当該中継基板74は、読取部62及びコネクタ76を電気的に中継する基板である。コネクタ76には、画像形成装置10の制御部などに接続される線材が接続される。つまり、中継基板74及びコネクタ76に接続される線材を介して読取部62と画像形成装置10の制御部が電気的に接続される。
【0054】
本体側保持部60は、装置本体側に固定的に設けられる。また、本体側保持部60の設置位置は、印刷動作位置、つまり装着状態におけるプロセスカートリッジ12から離間した位置に設けられる。さらに、本体側保持部60は、プロセスカートリッジ12の装着動作に伴って移動するメモリユニット20の移動経路上であって、メモリユニット20を受け入れる開口部が、装着動作に伴うメモリユニット20の移動方向とは逆方向に向く方向において配置される。本体側保持部60は、例えば、画像形成装置10の筺体シャーシなど、画像形成装置10内において比較的振動しにくい位置に取り付けられるのが好ましい。
【0055】
<プロセスカートリッジの装着動作に伴うメモリユニットの移送>
以下、
図9〜
図12を参照して、カートリッジ側保持部40から本体側保持部60へのメモリユニット20の移送動作を説明する。
【0056】
図9は、プロセスカートリッジ12が画像形成装置10に挿入され所定距離移動した場合、つまり装着動作途中におけるメモリユニット20と本体側保持部60との位置関係を示した図である。この状態においては、メモリユニット20は、未だカートリッジ側保持部40により保持されている。
【0057】
図10は、プロセスカートリッジ12の装着動作が進み、つまりプロセスカートリッジ12が
図9に示された状態からx軸正方向へさらに移動させられた状態を示す図である。上述の通り、本体側保持部60は、プロセスカートリッジ12の装着動作に伴うメモリユニット20の移動経路上に配置され、メモリユニット20を受け入れる開口部がx軸負方向、つまりプロセスカートリッジ12の移動方向とは逆方向へ向けて開口している。したがって、メモリユニット20は、プロセスカートリッジ12の装着動作に伴って移動することで本体側保持部60の開口部内へ挿入される。
【0058】
図11には、メモリユニット20が本体側保持部60へ挿入され保持される様子を示す他の図である。
図11(a)には、本体側保持部60及びメモリユニット20の平面図である。
図11(a)においては、本体側保持部60、メモリユニット20、及びカートリッジ側保持部40の一部のみが示されており、その他は省略されている。
図11(b)は本体側保持部60に挿入された状態のメモリユニット20の斜視図である。
【0059】
メモリユニット20は、本体側保持部60において形成された溝部70に挿入され背部68に突き当たるまでx軸正方向に移動する。この状態においては、メモリユニット20は未だカートリッジ側保持部40にも保持されたままであり、つまりメモリユニット20はカートリッジ側保持部40及び本体側保持部60の双方に保持された状態となる。
【0060】
メモリユニット20が背部68に当接する直前、あるいは当接したときに、メモリユニット20のプロセスカートリッジ12に対するx軸負方向への相対移動を制限するロック機構の解除処理が行われる。具体的には、メモリユニット20が本体側保持部60に挿入されると、
図11(b)に示される通り、本体側保持部60に設けられた突き当て部72がカートリッジ側保持部40の鉤部46の腕46aの外側面に当接する。これにより、腕46aは突き当て部72からy軸内側方向へ力を受け、腕46aの先端に設けられた爪46bもy軸内側へ移動させられる。その結果、爪46bがメモリユニット20の側壁部34に設けられた切り欠き部34aから外れ、メモリユニット20のロックが解除される。以上のように、突き当て部72及び鉤部46の腕46aが協働することでメモリユニット20のロックが解除される。ロック機構が解除されると、メモリユニット20は、プロセスカートリッジ12に対してx軸負方向へ相対移動することが可能になる。
【0061】
図12は、プロセスカートリッジ12が
図10に示す状態からさらにx軸正方向へ移動させられ、印刷動作位置に配置された状態を示す図である。メモリユニット20のロックが解除された状態でプロセスカートリッジ12がx軸正方向へ移動させられると、メモリユニット20は、装置本体側に固定的に設けられた本体側保持部60の背部68に当接していることから、それ以上x軸正方向へは移動しない。メモリユニット20が静止した状態でカートリッジ側保持部40がx軸正方向へ移動するから、メモリユニット20はカートリッジ側保持部40に対して相対的にx軸負方向へ移動する。その結果、メモリユニット20の突出部32がレール部42のx軸負方向側端部から外れ、つまりメモリユニット20がカートリッジ側保持部40から外れる。そして、プロセスカートリッジ12が装着位置まで押し込まれると、メモリユニット20はカートリッジ側保持部40から完全に離間し、本体側保持部60に保持された状態となる。なお、このとき、本体側保持部60の背部68には切り欠き部68aが設けられているため、背部68と突出ブロック48が干渉することがない。
【0062】
この状態、つまりメモリユニット20が本体側保持部60に保持されている状態で印刷動作が行われる。メモリユニット20が本体側保持部60に保持された状態においては、メモリ22の接触部26が本体側保持部60に設けられた読取部62の接触部62aと接触しており、画像形成装置10はメモリ22の記憶内容を読み取ることが可能となる。
【0063】
<プロセスカートリッジの取り外し動作に伴うメモリユニットの移送>
プロセスカートリッジ12の装着動作に伴ってカートリッジ側保持部40から本体側保持部60へ移送されたメモリユニットは、プロセスカートリッジ12の取り外し動作に伴って本体側保持部60からカートリッジ側保持部40へ移送される。
【0064】
本体側保持部60からカートリッジ側保持部40へのメモリユニット20の移送手順は、基本的には上述のカートリッジ側保持部40から本体側保持部60への移送手順を逆に行うものである。
【0065】
具体的には、取り外し動作が開始されプロセスカートリッジ12がx軸負方向へ移動すると、まず本体側保持部60に保持されているメモリユニット20の突出部32がカートリッジ側保持部40のレール部42により形成された溝部44(
図5(b)参照)に挿入される。この状態において、メモリユニット20は本体側保持部60及びカートリッジ側保持部40の双方に保持された状態となる。
【0066】
そして、さらにプロセスカートリッジ12がx軸負方向へ移動すると、突出ブロック48がメモリユニット20の突出部32に当接することで、メモリユニット20をx軸負方向へ押し出す。その押し出し動作によるメモリユニット20の移動に伴い本体側保持部60の突き当て部72(
図11(a)参照)が腕46aに接触しなくなり、爪46bがy軸外側へ移動する。これにより爪46bが再度メモリユニット20の側壁部34の切り欠き部34aに引っ掛かり、ロック状態となる。
【0067】
その後も引き続きプロセスカートリッジ12がx軸負方向へ移動することで、カートリッジ側保持部40に保持されたメモリユニット20が本体側保持部60から完全に外される。
【0068】
<本実施形態の作用効果>
印刷動作時においては、プロセスカートリッジ12内の感光体ドラムや現像ロールなどの回転物が回転することなどによって、プロセスカートリッジ12自身が振動する。特に、プロセスカートリッジ12においては、現像ユニット18が感光体ユニット16に対して位置調整が可能であることから、現像ユニット18の位置調整動作によっても振動が生じる。本実施形態によれば、印刷動作時において、メモリ22が装置本体側に設けられた本体側保持部60に保持されるため、メモリ22は印刷動作時におけるプロセスカートリッジ12が生じる振動の影響を直接受けることがない。したがって、メモリ22がプロセスカートリッジ12に取り付けられたままの場合に比べ、印刷動作中におけるメモリ22の振動を低減させることができる。
【0069】
また、印刷動作中におけるメモリ22の振動が低減されることで、メモリ22の接触部26と装置本体側の接触部との摩擦量も共に低減される。したがって、本実施形態によれば、メモリ22がプロセスカートリッジ12に取り付けられたままの場合に比べ、メモリ22の接触部26の摩耗量を低減させることもできる。
【0070】
本実施形態によれば、プロセスカートリッジ12に取り付けられたメモリユニット20は印刷動作時においては本体側保持部60に保持される。したがって、プロセスカートリッジ12のいずれの場所にカートリッジ側保持部40を設けても構わなくなる。例えば、プロセスカートリッジ12内において最も振動しやすい現像ユニット18側にカートリッジ側保持部40を設けることも可能となる。これにより、画像形成装置10の各部材のレイアウトやスペースの都合により、メモリユニット20の保持位置を適宜選択することが可能になる。
【0071】
また、本実施形態では、本体側保持部60がプロセスカートリッジ12の装着動作に伴うメモリユニット20の移動経路上にあり、且つ、本体側保持部60の開口部がメモリユニット20の移動方向とは反対方向に開口しているため、プロセスカートリッジ12の装着動作に伴ってメモリ22が本体側保持部60へ保持される。つまり、ユーザは、別途の操作を必要とすることなく、メモリ22をカートリッジ側保持部40から本体側保持部60へ移送することができる。また、この構造によれば、メモリ22を移送するための別途の機構を設ける必要がないというメリットもある。