特許第6524894号(P6524894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6524894
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】コンデンサ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20190527BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-227825(P2015-227825)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-99096(P2017-99096A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】倉持 怜士
(72)【発明者】
【氏名】安井 誠二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康平
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−099214(JP,A)
【文献】 特開2014−234052(JP,A)
【文献】 特開2014−068449(JP,A)
【文献】 特開2015−116056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機を収容する回転電機収容室を有するケースに一体的に形成されたコンデンサ収容室と、前記コンデンサ収容室に収容されるコンデンサユニットと、を備えたコンデンサ装置であって、
水平方向に対して交差する方向を基準軸方向として、前記コンデンサ収容室は、前記ケースの壁部と、前記壁部よりも前記基準軸方向に沿った上方に配置される冷却ユニットと、の間に形成され、
前記冷却ユニットは、前記回転電機を制御するインバータ装置に接するように配置されると共に、内部に冷媒流通路を有し、
前記コンデンサユニットは、複数のコンデンサ素子が結合されたコンデンサ結合体を有し、
記基準軸方向に直交する断面に外接する、面積が最小の長方形を外接長方形として、
前記コンデンサ素子のそれぞれは、前記基準軸方向に延びる柱状に形成され、
前記コンデンサ素子のそれぞれの外周面には、前記基準軸方向の全域において前記外接長方形に対して内側に窪む外周凹部が形成され、
前記コンデンサユニットの外周面には、前記基準軸方向の全域に亘って連続的に延びる連続凹部が形成され、
前記連続凹部は、少なくともいずれかの前記外周凹部に対応して形成され、
前記連続凹部の前記基準軸方向に沿った上側の端部が、前記コンデンサ収容室における前記コンデンサユニットと前記冷却ユニットとの間の空間に連通し、前記連続凹部の前記基準軸方向に沿った下側の端部が、前記コンデンサ収容室における前記コンデンサユニットと前記壁部との間の空間に連通しているコンデンサ装置。
【請求項2】
前記コンデンサ結合体を構成する複数の前記コンデンサ素子に、前記基準軸方向に直交する断面の形状が互いに同一であり且つ前記基準軸方向に直交する方向に並べて配置される2つの前記コンデンサ素子が含まれている請求項1に記載のコンデンサ装置。
【請求項3】
前記コンデンサ素子のそれぞれの外周面に、4つの前記外周凹部が前記外接長方形の4つの頂点に対応して形成されている請求項1又は2に記載のコンデンサ装置。
【請求項4】
前記コンデンサユニットは、前記コンデンサ結合体を構成する全ての前記コンデンサ素子の外側を覆うと共に全ての前記コンデンサ素子を一体的に保持するカバー樹脂を有し、
前記連続凹部は、前記カバー樹脂の外周面における、複数の前記コンデンサ素子の少なくともいずれかの前記外周凹部を覆う部分により形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【請求項5】
前記コンデンサユニットは、前記コンデンサ結合体の正極に電気的に接続される正極バスバーと、前記コンデンサ結合体の負極に電気的に接続される負極バスバーと、を有し、
前記正極バスバー及び前記負極バスバーのいずれか一方が、前記コンデンサ結合体の前記基準軸方向に沿った下側の端面に沿って配置される第一部分と、前記第一部分との接続部から前記コンデンサ結合体の前記基準軸方向に沿った上側の端部まで前記基準軸方向に沿って延びる第二部分と、を有している請求項1から4のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【請求項6】
前記コンデンサユニットは、前記コンデンサ結合体を収容する樹脂ケースを備え、
前記樹脂ケースは、前記コンデンサ結合体に対して前記基準軸方向に沿った下側に配置される底部と、前記底部から前記基準軸方向に沿った上側に延びる筒状部と、を有する槽状に形成され、
前記連続凹部は、前記筒状部に形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載のコンデンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機を収容する回転電機収容室を有するケースに一体的に形成されたコンデンサ収容室と、コンデンサ収容室に収容されるコンデンサユニットと、を備えたコンデンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンデンサ装置として、特開2014−234052号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、この背景技術の欄の説明では、〔〕内に特許文献1における部材名及び符号を引用して説明する。特許文献1には、コンデンサユニット〔コンデンサ36〕を収容するコンデンサ収容室を、当該文献の図2に示されるように、ケース〔ケース2〕の壁部〔外周壁22〕と、インバータ装置〔変換ユニット31〕との間に形成する構成が開示されている。
【0003】
ところで、コンデンサ装置の小型化を図るため、或いは、コンデンサ収容室に収容される他部材との干渉を避けるため、コンデンサ収容室の側壁とコンデンサユニットとの離間距離を短くすることが考えられる。しかしながら、コンデンサユニットと周囲の部材との隙間が狭くなると、当該隙間における空気の対流が阻害される結果、コンデンサユニットが外部環境から受ける熱がコンデンサユニットの近傍に滞留するおそれがある。例えば、特許文献1に記載の構成では、ケース内の回転電機〔回転電機MG〕等から発生した熱が、壁部からコンデンサ収容室側に放出され、当該熱がコンデンサユニットの下部近傍に滞留するおそれがあるため、コンデンサ収容室の側壁とコンデンサユニットとの隙間を狭くすることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−234052号公報(図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、コンデンサ収容室の側壁とコンデンサユニットとの隙間を狭くした場合でも、コンデンサユニットの下側の空間からの熱の放散性を適切に確保することが可能なコンデンサ装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、回転電機を収容する回転電機収容室を有するケースに一体的に形成されたコンデンサ収容室と、前記コンデンサ収容室に収容されるコンデンサユニットと、を備えたコンデンサ装置の特徴構成は、前記コンデンサ収容室は、前記ケースの壁部と、前記壁部よりも上方に配置される冷却ユニットと、の間に形成され、前記冷却ユニットは、前記回転電機を制御するインバータ装置に接するように配置されると共に、内部に冷媒流通路を有し、前記コンデンサユニットは、複数のコンデンサ素子が結合されたコンデンサ結合体を有し、水平方向に対して交差する方向を基準軸方向とし、前記基準軸方向に直交する断面に外接する、面積が最小の長方形を外接長方形として、前記コンデンサ素子のそれぞれは、前記基準軸方向に延びる柱状に形成され、前記コンデンサ素子のそれぞれの外周面には、前記基準軸方向の全域において前記外接長方形に対して内側に窪む外周凹部が形成され、前記コンデンサユニットの外周面には、前記基準軸方向の全域に亘って連続的に延びる連続凹部が形成され、前記連続凹部は、少なくともいずれかの前記外周凹部に対応して形成され、前記連続凹部の前記基準軸方向に沿った上側の端部が、前記コンデンサ収容室における前記コンデンサユニットと前記冷却ユニットとの間の空間に連通し、前記連続凹部の前記基準軸方向に沿った下側の端部が、前記コンデンサ収容室における前記コンデンサユニットと前記壁部との間の空間に連通している点にある。
【0007】
上記の特徴構成によれば、コンデンサユニットの外周面に連続凹部が形成されない場合に比べて、コンデンサユニットの外周面の外側に、空気の対流を生じさせるためのより広い空間を確保することができる。よって、コンデンサ収容室よりも下側に配置されるケースの壁部からコンデンサ収容室側に、ケースの内部の装置等から発生した熱が放出される場合であっても、連続凹部を設けることで促進される空気の対流によって、コンデンサ収容室におけるコンデンサユニットと壁部との間の空間(以下、「第二空間」という。)から、コンデンサ収容室におけるコンデンサユニットと冷却ユニットとの間の空間(以下、「第一空間」という。)へ、当該熱を放散することができる。そして、第一空間内の空気の熱は、冷却ユニットの冷媒流通路を流通する冷媒によって吸収させることができる。よって、空気の対流によって第二空間から第一空間に熱を適切に放散することができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、コンデンサ収容室の側壁とコンデンサユニットとの隙間を狭くした場合でも、コンデンサユニットの下側の空間からの熱の放散性を適切に確保することが可能なコンデンサ装置を実現することができる。
なお、コンデンサユニットの外周面において基準軸方向の全域に亘って連続的に延びる連続凹部は、コンデンサ素子の外周面における外周凹部に対応して形成される。そのため、コンデンサユニットの機能やコンデンサユニットの各部の構成(配置構成等)に対して大きな影響を与えることなく連続凹部を形成することができるという利点もある。
【0008】
コンデンサ装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の実施形態の説明によってより明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両用駆動装置の断面図
図2図1の部分拡大図
図3】実施形態に係るコンデンサ収容室を上側から見た図
図4図3から充填樹脂を省いた図
図5図4からバスバーを省いた図
図6】実施形態に係る回路構成図
図7】実施形態に係るコンデンサ素子の断面図
図8】その他の実施形態に係るコンデンサ素子の断面図
図9】その他の実施形態に係るコンデンサ素子の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
コンデンサ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、図1に示すように、コンデンサ装置1を、回転電機MGを車輪の駆動力源として備える車両用駆動装置100に適用した場合を例として説明する。なお、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念である。
【0011】
以下の説明における各方向は、コンデンサ装置1の使用状態での方向を表す。本実施形態では、コンデンサ装置1は車両用駆動装置100に備えられるため、車両用駆動装置100が車両(ハイブリッド車両や電動車両等)に搭載された状態が、コンデンサ装置1の使用状態となる。そして、以下の説明における「上」及び「下」は、水平方向に対して交差する方向である基準軸方向W(図1参照)に沿った高低を表す。すなわち、「上側」は、基準軸方向Wに沿って鉛直方向Zの上方に向かう側を指し、「下側」は、基準軸方向Wに沿って鉛直方向Zの下方に向かう側を指す。本実施形態では、基準軸方向Wは鉛直方向Zと平行であるため、「上」及び「下」は、鉛直方向Zに沿った高低と一致する。また、以下の説明における各部材についての方向や位置等に関する用語は、製造上許容され得る誤差による差異を有する状態を含む概念である。
【0012】
図1に示すように、コンデンサ装置1は、コンデンサ収容室91とコンデンサユニット10とを備えている。コンデンサ収容室91は、ケース2に一体的に形成されており、コンデンサユニット10は、コンデンサ収容室91に収容されている。ケース2は、回転電機MGを収容する回転電機収容室90を有している。図1では、ケース2の内部の大部分の図示を省略しており、回転電機MGについてはその外形の概略のみを示している。回転電機MGは、複数相(本実施形態では三相)の交流電力により駆動される。回転電機MGは、後述する第一インバータ装置81により制御される。本実施形態では、回転電機MGは、車輪の駆動力源として機能する。すなわち、回転電機MGは、車輪に駆動力(トルク)を伝達可能に連結されている。回転電機MGは、例えば、変速装置、カウンタギヤ機構、及び出力用差動歯車装置を介して、車輪に駆動力を伝達可能に連結される。
【0013】
図6に示すように、回転電機MGは、第一インバータ装置81を介して、直流電源としての蓄電装置BT(バッテリやキャパシタ等)に電気的に接続されている。第一インバータ装置81と回転電機MGとの間の電気的接続経路は、ケース2の内部と外部とを連通するように形成された連通孔6を経由するように形成される。本実施形態では、図2に示すように、連通孔6は、ケース2の後述する壁部3に形成されている。そして、回転電機MGは、蓄電装置BTから電力の供給を受けて力行し、又は、回転電機MGとは別の車輪の駆動力源(内燃機関等)のトルクや車両の慣性力により発電した電力を蓄電装置BTに供給して蓄電させる。第一インバータ装置81は、直流電力と交流電力との間の電力変換を行う装置である。具体的には、第一インバータ装置81は、蓄電装置BTとの間で受け渡しされる直流電力と、回転電機MGとの間で受け渡しされる交流電力(本実施形態では、三相交流電力)との間の電力変換を行う。本実施形態では、第一インバータ装置81が「インバータ装置」に相当する。
【0014】
詳細は省略するが、第一インバータ装置81は、複数相のそれぞれに対応するアームを有するブリッジ回路を備える。1つのアームは、単数又は複数の並列接続された正極側スイッチング素子と、単数または複数の並列接続された負極側スイッチング素子とが、直列に接続された構成を有する。そして、この直列回路(1つのアーム)が相の数(本実施形態では3つ)だけ並列接続されて、回転電機MGの各相の相コイルのそれぞれに1つのアームが対応したブリッジ回路が形成される。各スイッチング素子には、負極から正極へ向かう方向を順方向とするフリーホイールダイオードが並列に接続される。スイッチング素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のパワー半導体素子が用いられる。
【0015】
本実施形態では、図2に示すように、第一インバータ装置81は、ベースプレート84を備え、スイッチング素子を含む回路部品85が、ベースプレート84上に固定されている。ベースプレート84は、導電性及び熱伝導性の双方を有する材料(例えば、銅やアルミニウム等)を用いて形成される。回路部品85は、例えば、ブリッジ回路を構成する全てのスイッチング素子及び全てのフリーホイールダイオードが、1つのパッケージにモジュール化された部品や、1つのアームを構成する全てのスイッチング素子及び全てのフリーホイールダイオードが基板上に固定された部品等とすることができる。第一インバータ装置81は、制御基板83により制御される。具体的には、第一インバータ装置81を構成する各スイッチング素子は、制御基板83において生成されるスイッチング信号に従ってオンオフ動作(スイッチング動作)を行う。図1に示すように、本実施形態では、制御基板83は、第一インバータ装置81よりも上側に配置されている。また、本実施形態では、制御基板83は、ベースプレート84と平行に配置されている。
【0016】
オンオフ動作に伴い発熱するスイッチング素子(回路部品85)を冷却するために、冷却ユニット70が設けられている。冷却ユニット70は、第一インバータ装置81に接するように配置される。本実施形態では、冷却ユニット70は、第一インバータ装置81に対して下側から接するように配置されている。具体的には、冷却ユニット70は、第一インバータ装置81に対して接するように配置されるヒートシンク86を備えている。ヒートシンク86は、熱伝導性を有する材料(例えば、金属や樹脂等)を用いて形成される。ヒートシンク86は、直接、又は熱伝導性を有する部材(例えば、シート状部材等)を間に挟んで、ベースプレート84を下側から支持している。よって、オンオフ動作に伴いスイッチング素子から発生した熱は、ベースプレート84を介してヒートシンク86に伝達される。ヒートシンク86の下面には放熱フィンが形成されている。
【0017】
ヒートシンク86は、支持部材7によって下側から支持されている。支持部材7は、ケース2に対して直接的に又は間接的に固定される。本実施形態では、支持部材7は、後述するカバー5(第二カバー部5b)と一体的に形成されており、カバー5がケース2に対して取り付けられることで、支持部材7がケース2に対して固定される。支持部材7は、ヒートシンク86の下面における放熱フィンが形成されていない平坦部に下側から当接する支持部分と、放熱フィンの収容空間を形成するように支持部分に対して下側に窪んだ凹部とを有する。そして、ヒートシンク86と支持部材7との間において当該凹部によって区画される空間が、冷媒(例えば、冷却水等)を流通させる冷媒流通路71として機能し、冷媒流通路71を流通する冷媒とヒートシンク86(放熱フィン)との熱交換により、ヒートシンク86が冷却される。この結果、スイッチング素子も冷却される。すなわち、スイッチング素子は、冷媒流通路71を流通する冷媒と、ヒートシンク86を介して熱交換することにより、冷却される。このように、冷却ユニット70は、内部に冷媒流通路71を有している。
【0018】
図2に示すように、冷却ユニット70は、壁部3よりも上方に配置されている。そして、コンデンサユニット10が収容されるコンデンサ収容室91が、ケース2の壁部3と冷却ユニット70との間に形成されている。すなわち、コンデンサ収容室91の上側は、少なくとも一部の領域で冷却ユニット70により区画される。また、コンデンサ収容室91の下側は、少なくとも一部の領域で壁部3により区画される。本実施形態では、壁部3は、ケース2内における冷却のための油が飛散する収容室(回転電機収容室90又は他の収容室)を形成する壁であり、コンデンサ収容室91は、ケース2の内部を飛散する油がコンデンサ収容室91の内部に浸入しないように封止されている。
【0019】
本実施形態では、コンデンサ収容室91は、ケース2の壁部3と、冷却ユニット70の支持部材7との間に形成されている。本実施形態では、図3に示すように、コンデンサ収容室91の周囲(基準軸方向Wに直交する断面の周囲)は、筒状部4によって区画されている。筒状部4は、基準軸方向Wに延びる筒状に形成され、本実施形態では、基準軸方向Wに直交する断面の概略形状が四角形状となる角筒状に形成されている。筒状部4は、図2に示すように、壁部3よりも上方に配置される部分を有し、コンデンサ収容室91の少なくとも下側部分は、壁部3と筒状部4とによって囲まれている。筒状部4は、ケース2に対して固定されている。本実施形態では、筒状部4は、ケース2と一体的に形成されている。
【0020】
本実施形態では、筒状部4の上側には、カバー5が取り付けられている。そして、第一インバータ装置81を収容するインバータ収容室92が、カバー5と上述した支持部材7とにより囲まれて形成されている。本実施形態では、インバータ収容室92には制御基板83も収容される。インバータ収容室92は、コンデンサ収容室91よりも上側に形成される。本実施形態では、インバータ収容室92とコンデンサ収容室91とは完全に区画されておらず、互いに連通するように形成されている。なお、本実施形態では、カバー5は、トレイ状(槽状)に形成される第一カバー部5aと、筒状に形成されると共に第一カバー部5aと筒状部4とを接続する第二カバー部5bとを備えている。そして、第二カバー部5bと一体的に、支持部材7が形成されている。
【0021】
本実施形態では、コンデンサ収容室91に収容されるコンデンサユニット10は、第一インバータ装置81の直流側の正負極間電圧Vdc(図6参照)を平滑化する平滑コンデンサとして機能する。すなわち、コンデンサユニット10は、蓄電装置BTと第一インバータ装置81との間で受け渡しされる直流電力を平滑化する(言い換えれば、直流電力の変動を抑制する)。コンデンサユニット10は、図2及び図5に示すように、複数のコンデンサ素子20が結合されたコンデンサ結合体15を有している。コンデンサ結合体15を構成する複数のコンデンサ素子20は、互いに電気的に並列に接続されている。本実施形態では、コンデンサ結合体15を構成する全てのコンデンサ素子20が、平滑コンデンサとして機能する。すなわち、コンデンサ結合体15を構成する全てのコンデンサ素子20が、互いに電気的に並列に接続されている。コンデンサ素子20として、例えば、電極の間に介在する誘電体部分が合成樹脂で形成されるフィルムコンデンサや、誘電体部分がセラミック材料で形成されるセラミックコンデンサ等を用いることができる。
【0022】
図5に示すように、本実施形態では、コンデンサ結合体15は、2つの第一コンデンサ素子21及び2つの第二コンデンサ素子22の、4つのコンデンサ素子20が結合されて構成されている。図2に示すように、第一コンデンサ素子21と第二コンデンサ素子22とは、基準軸方向Wの寸法が互いに異なる。具体的には、第一コンデンサ素子21の基準軸方向Wの寸法が、第二コンデンサ素子22の基準軸方向Wの寸法よりも大きい。また、図5に示すように、第一コンデンサ素子21と第二コンデンサ素子22とは、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに異なる。ここで、断面の形状が異なるとは、断面積及び断面形状の種類(種別)の少なくともいずれか一方が異なることを意味する。本実施形態では、第一コンデンサ素子21と第二コンデンサ素子22とは、断面積が互いに異なり断面形状の種類は同一である。具体的には、第一コンデンサ素子21の断面形状、及び第二コンデンサ素子22の断面形状は、いずれも、長円形状(互いに平行な2辺と、2辺の端部同士を接続する2つの半円とを有する形状)である。また、第一コンデンサ素子21の基準軸方向Wに直交する断面の面積は、第二コンデンサ素子22の基準軸方向Wに直交する断面の面積よりも大きい。図5から明らかなように、2つの第一コンデンサ素子21は、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに同一であり且つ基準軸方向Wに直交する方向に並べて配置されている。ここで、断面の形状が同一とは、断面積及び断面形状の種類の双方が同一であることを意味する。また、2つの第二コンデンサ素子22は、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに同一であり且つ基準軸方向Wに直交する方向に並べて配置されている。すなわち、本実施形態では、コンデンサ結合体15を構成する複数のコンデンサ素子20に、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに同一であり且つ基準軸方向Wに直交する方向に並べて配置される2つのコンデンサ素子20が含まれている。
【0023】
本実施形態では、図2図5に示すように、コンデンサユニット10は、カバー樹脂12を有している。カバー樹脂12は、コンデンサ結合体15を構成する全てのコンデンサ素子20の外側を覆うと共に、当該全てのコンデンサ素子20を一体的に保持する。本実施形態では、カバー樹脂12は、コンデンサ結合体15を収容する樹脂製のケース(樹脂ケース13)と、コンデンサ素子20を固定するために樹脂ケース13内に充填された樹脂(充填樹脂14)とを備えている。なお、図4は、図3から充填樹脂14を省いた図であり、図5は、図4から後述する第一バスバー61及び第二バスバー62を省いた図である。
【0024】
図2及び図5に示すように、樹脂ケース13は、コンデンサ結合体15に対して下側に配置される底部と、底部から上側に延びる筒状部とを有する槽状に形成されている。この筒状部は、基準軸方向Wの全域に亘って、コンデンサ結合体15の周囲(基準軸方向Wに直交する断面の周囲)を囲むように形成されている。そして、充填樹脂14は、各コンデンサ素子20と樹脂ケース13との隙間、及びコンデンサ素子20同士の隙間に充填されている。また、充填樹脂14は、各コンデンサ素子20の上側の端面を覆うように充填されている。すなわち、充填樹脂14は、コンデンサ結合体15の全体を覆うように充填されている。充填樹脂14は、例えば、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等とされる。
【0025】
カバー樹脂12(本実施形態では、樹脂ケース13)は、コンデンサユニット10を他部材に取り付けるための取付部16を備えている。図3に示すように、本実施形態では、3つの取付部16がカバー樹脂12の外側に設けられている。そして、本実施形態では、図2に示すように、取付部16が支持部材7に設けられた被取付部7aに取り付けられることで、コンデンサユニット10が支持部材7を介してカバー5に固定されている。
【0026】
本実施形態では、図6に示すように、車両用駆動装置100は、電動オイルポンプ(図示せず)を駆動するための電動機PMを備えている。この電動機PMは、第二インバータ装置82を介して蓄電装置BTに電気的に接続されている。そして、本実施形態では、コンデンサユニット10は、蓄電装置BTと第二インバータ装置82との間で受け渡しされる直流電力を平滑化するためにも用いられている。第二インバータ装置82についての詳細は省略するが、第二インバータ装置82も、第一インバータ装置81と同様に、ブリッジ回路を備えている。そして、第二インバータ装置82に備えられる回路部品(スイッチング素子を含む回路部品)は、例えば、第一インバータ装置81の回路部品85と同様にベースプレート84上に配置され、又は、制御基板83上に配置される。
【0027】
ところで、コンデンサ装置1が備えられる装置(本実施形態では、車両用駆動装置100)の小型化を図ることや、コンデンサ収容室91に収容される他部材との干渉を避けること等を目的として、コンデンサユニット10と、コンデンサ収容室91を形成する壁(本実施形態では、筒状部4)との離間距離が短く設定される場合がある。この場合、コンデンサユニット10の周囲(基準軸方向Wに直交する断面の周囲)の少なくとも一部の領域において空気の対流が阻害される結果、壁部3からコンデンサ収容室91側に放出された熱がコンデンサユニット10の下側の空間(後述する第二空間42、図2参照)に滞留しやすくなる。なお、壁部3は、ケース2の内部の収容室(回転電機収容室90又は他の収容室)を形成する壁であるため、収容室内の装置等から発生した熱が空気或いは冷却用の油等を介して当該収容室を形成する壁部3に伝達され、この結果、壁部3の温度が上昇する。そのため、コンデンサユニット10を過熱による損傷から適切に保護するために、壁部3から熱が放出される空間であるコンデンサユニット10の下側の空間からの、熱の放散性を適切に確保することが望ましい。
【0028】
以下、本実施形態に係るコンデンサユニット10において採用している、コンデンサユニット10の下側の空間からの熱の放散性を適切に確保するための構成について説明する。図2に示すように、コンデンサ結合体15を構成するコンデンサ素子20のそれぞれは、基準軸方向Wに延びる柱状に形成されている。基準軸方向Wは、水平方向に対して交差する方向であり、本実施形態では、水平方向に対して直交する方向(すなわち、鉛直方向Zと平行な方向)である。以下では、図2に示すように、基準軸方向Wに直交する1つの方向を第一方向Xとし、図3に示すように、基準軸方向W及び第一方向Xの双方に直交する方向を第二方向Yとする。本実施形態では、第一方向X及び第二方向Yの双方が、水平方向(水平面に沿う方向)である。
【0029】
図5に示すように、コンデンサ素子20のそれぞれの外周面には、基準軸方向Wの全域において外接長方形Rに対して内側に窪む外周凹部23が形成されている。ここで、外接長方形Rは、図7に示すように、基準軸方向Wに直交する断面に外接する、面積が最小の長方形である。本実施形態では、コンデンサ素子20のそれぞれの外周面には、4つの外周凹部23が形成されている。そして、当該4つの外周凹部23のそれぞれは、外接長方形Rの頂点に対して内側に窪むように形成されている。すなわち、本実施形態では、コンデンサ素子20のそれぞれの外周面に、4つの外周凹部23が外接長方形Rの4つの頂点に対応して形成されている。なお、図5には、コンデンサ結合体15を構成する4つのコンデンサ素子20のそれぞれの外周凹部23を合わせて、合計で16個の外周凹部23が存在するが、簡略化のため、そのうちの2つの外周凹部23のみに符号“23”を付している。
【0030】
図3に示すように、コンデンサユニット10の外周面には、基準軸方向Wの全域に亘って連続的に延びる連続凹部11が形成されている。そして、図2に示すように、連続凹部11の基準軸方向Wに沿った上側の端部は、コンデンサ収容室91におけるコンデンサユニット10と冷却ユニット70との間の空間である第一空間41に連通している。また、連続凹部11の基準軸方向Wに沿った下側の端部は、コンデンサ収容室91におけるコンデンサユニット10と壁部3との間の空間である第二空間42に連通している。よって、コンデンサユニット10の外周面に連続凹部11が形成されない場合に比べて、コンデンサユニット10とコンデンサ収容室91の壁部(本実施形態では筒状部4)との間の隙間を大きく確保して、基準軸方向Wに沿った空気の対流を促進することができる。すなわち、コンデンサユニット10の外周面に連続凹部11が形成されない場合に比べて、第二空間42から第一空間41への熱の放散性を向上させることが可能となる。
【0031】
なお、連続凹部11の上側の端部が連通する第一空間41には、冷却ユニット70が存在するため、第一空間41内の空気の熱を、冷媒流通路71を流通する冷媒に吸収させることができる。よって、第一空間41内の空気の温度が第二空間42内の空気の温度よりも低い状態を維持することができ、これによっても第二空間42から第一空間41への熱の放散性の向上を図ることができる。なお、第一空間41内の空気の熱の、冷媒による吸収効率を高めるべく、冷却ユニット70を構成する部材(例えば、支持部材7、ヒートシンク86等)を、上側から見て連続凹部11の少なくとも一部と重複するように配置すると好適である。
【0032】
連続凹部11は、少なくともいずれかの外周凹部23に対応して形成される。ここで、外周凹部23に対応して形成とは、外周凹部23自体により形成される場合と、外周凹部23を覆うカバー部材により形成される場合との、双方を含む概念である。本実施形態では後者であり、カバー部材(本実施形態では、カバー樹脂12)における外周凹部23の形状に合わせた形状(外周凹部23に対応する形状)を有する部分により、連続凹部11が形成される。ここで、カバー部材における外周凹部23の形状に合わせた形状を有する部分とは、基準軸方向Wに直交する断面における外周凹部23の各点とカバー部材との離間距離の分散或いは標準偏差が、予め定められた値以下となる形状を有する部分である。すなわち、本実施形態では、コンデンサユニット10がカバー樹脂12を有するため、コンデンサユニット10の外周面は、カバー樹脂12の外周面(本例では、樹脂ケース13の外周面)により構成される。そして、連続凹部11は、カバー樹脂12の外周面における、複数のコンデンサ素子20の少なくともいずれかの外周凹部23を覆う部分により形成される。
【0033】
本実施形態では、連続凹部11は、図5において符号“23”を付した2つの外周凹部23に対応して形成されている。すなわち、連続凹部11は、カバー樹脂12の外周面における、図5において符号“23”を付した2つの外周凹部23を覆う部分により形成されている。連続凹部11は、2つの外周凹部23により形成される複合凹部に合う形状(対応する形状)を有する。この2つの外周凹部23は、第一方向Xに並べて配置される2つの第一コンデンサ素子21のうちの、一方の第一コンデンサ素子21の1つの外周凹部23と、他方の第一コンデンサ素子21の1つの外周凹部23との組であって、外周凹部23同士の間隔が最も短い(すなわち、隣接して配置される)外周凹部23の組である。すなわち、本実施形態では、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに同一であり且つ基準軸方向Wに直交する方向に並べて配置される2つのコンデンサ素子20の一方を第一素子とし他方を第二素子として、第一素子の1つの外周凹部23である第一凹部と、第二素子の1つの外周凹部23である第二凹部との組であって、第一凹部と第二凹部との間隔が最も短い組(互いに隣接して配置される第一凹部と第二凹部の組)に対応して、連続凹部11が形成されている。本実施形態では、このように連続凹部11が形成されているため、連続凹部11は、基準軸方向Wに延びる溝状に形成されている。
【0034】
本実施形態では、更に、以下に説明するように、コンデンサ結合体15に電気的に接続されるバスバーを利用して、第二空間42から第一空間41への熱の放散性の向上を図ることが可能となっている。具体的には、図2及び図4に示すように、コンデンサユニット10は、コンデンサ結合体15の上側の端面に沿って配置される部分を有する第一バスバー61と、コンデンサ結合体15の下側の端面に沿って配置される部分(後述する第一部分31)を有する第二バスバー62と、を備えている。第一バスバー61及び第二バスバー62の一方が、コンデンサ結合体15の正極に電気的に接続される正極バスバーであり、第一バスバー61及び第二バスバー62の他方が、コンデンサ結合体15の負極に電気的に接続される負極バスバーである。図6に示すように、本実施形態では、第一バスバー61が正極バスバーであり、第二バスバー62が負極バスバーである。
【0035】
そして、図2及び図4に示すように、第二バスバー62が、コンデンサ結合体15の基準軸方向Wに沿った下側の端面に沿って配置される第一部分31と、第一部分31との接続部からコンデンサ結合体15の基準軸方向Wに沿った上側の端部まで基準軸方向Wに沿って延びる第二部分32と、を有している。第二部分32は、コンデンサ結合体15の外周面に沿って延びるように配置されている。よって、第二バスバー62が有する熱伝導性を利用して、第二空間42内の空気の熱の一部を第一部分31によって吸収するとともに、その吸収した熱を、第二部分32を介して第一空間41内の空気に伝達させることが可能となっている。これにより、第二空間42から第一空間41への熱の放散性をより一層向上させることが可能となっている。
【0036】
なお、本実施形態では、図4及び図6に示すように、第一バスバー61及び第二バスバー62のそれぞれは、第一インバータ装置81と接続するための端子と、第二インバータ装置82と接続するための端子とを、各別に備えている。具体的には、第一バスバー61は、第一インバータ装置81と接続するための第一端子51と、第二インバータ装置82と接続するための第三端子53とを備えている。また、第二バスバー62は、第一インバータ装置81と接続するための第二端子52と、第二インバータ装置82と接続するための第四端子54とを備えている。そして、第一端子51及び第二端子52は、蓄電装置BTと接続するための端子としても機能している。
【0037】
〔その他の実施形態〕
コンデンサ装置のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0038】
(1)上記の実施形態では、コンデンサ素子20の基準軸方向Wに直交する断面の形状(以下、単に「断面形状」という。)が、図7に示すような長円形状である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、図7とは断面形状の種類の異なるコンデンサ素子20を用いても良い。例えば、図8図9に示すような断面形状を有するコンデンサ素子20を用いることが可能である。図8に示す例では、コンデンサ素子20の断面形状は、互いに平行な二辺の組を、図7に示す例のように1組ではなく、2組有している。すなわち、図8に示すコンデンサ素子20の断面形状は、長方形の全ての角(頂点)が円弧状の角丸長方形状である。また、図9に示す例では、コンデンサ素子20の断面形状は、互いに平行な二辺の組を有していない。すなわち、図9に示すコンデンサ素子20の断面形状は、楕円形状である。また、図7図9のいずれの例においても、外周凹部23の断面形状が曲線状であるが、外周凹部23の断面形状が直線状(角面取り形状)のコンデンサ素子20を用いても良い。例えば、長方形の全ての角を45度で面取りした断面形状のコンデンサ素子20を用いることができる。更には、図7図9のいずれの例においても、外接長方形Rは、短辺及び長辺を有する長方形であるが、外接長方形Rが正方形となる断面形状のコンデンサ素子20を用いても良い。当然ながら、断面形状の種類が互いに異なる複数のコンデンサ素子20がコンデンサ結合体15に含まれても良い。
【0039】
(2)上記の実施形態では、コンデンサ素子20のそれぞれの外周面に、4つの外周凹部23が外接長方形Rの4つの頂点に対応して形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、4つ未満の外周凹部23が外周面に形成されたコンデンサ素子20を用いることもできる。また、外接長方形Rの頂点ではなく外接長方形Rの辺に対して内側に窪む外周凹部23が外周面に形成されたコンデンサ素子20を用いることも可能である。
【0040】
(3)上記の実施形態では、コンデンサ結合体15を構成する複数のコンデンサ素子20に、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに同一であり且つ基準軸方向Wに直交する方向に並べて配置される2つのコンデンサ素子20が含まれる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、コンデンサ結合体15を構成する複数のコンデンサ素子20にこのような2つのコンデンサ素子20が含まれない構成とすることも可能である。
【0041】
(4)上記の実施形態では、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに同一であり且つ基準軸方向Wに直交する方向に並べて配置される2つのコンデンサ素子20の一方を第一素子とし他方を第二素子として、第一素子の1つの外周凹部23である第一凹部と、第二素子の1つの外周凹部23である第二凹部との組であって、第一凹部と第二凹部との間隔が最も短い組(すなわち、隣り合う第一凹部と第二凹部との組)に対応して、連続凹部11が形成される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、基準軸方向Wに直交する断面の形状が互いに異なり且つ基準軸方向Wに直交する方向に並べて配置される2つのコンデンサ素子20の一方を第一素子とし他方を第二素子として、上記のように連続凹部11が形成される構成とすることも可能である。この場合、第一素子と第二素子とは、基準軸方向Wに直交する断面積と、基準軸方向Wに直交する断面形状の種類との、少なくとも一方が互いに異なる。
【0042】
(5)上記の実施形態では、1つの連続凹部11が2つの外周凹部23に対応して形成される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1つの連続凹部11が1つの外周凹部23に対応して形成される構成とすることもできる。この場合、連続凹部11の基準軸方向Wに直交する断面の形状は、1つの外周凹部23に合わせた形状(対応する形状)となる。
【0043】
(6)上記の実施形態では、コンデンサユニット10の外周面に、1つの連続凹部11が形成される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、コンデンサユニット10の外周面に、2つ以上の連続凹部11が形成される構成とすることもできる。
【0044】
(7)上記の実施形態では、コンデンサユニット10がカバー樹脂12を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、コンデンサユニット10がカバー樹脂12を有さず、コンデンサ結合体15を構成する複数のコンデンサ素子20が、固定バンド等で互いに固定される構成とすることもできる。この場合、上記の実施形態とは異なり、連続凹部11は、外周凹部23自体により形成される。すなわち、外周凹部23が連続凹部11となる。
【0045】
(8)上記の実施形態では、基準軸方向Wが鉛直方向Zと平行である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、基準軸方向Wが鉛直方向Zに対して鋭角で交差する構成とすることもできる。
【0046】
(9)上記の実施形態では、コンデンサ結合体15を構成する全てのコンデンサ素子20が、平滑コンデンサとして機能する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、コンデンサ結合体15を構成するコンデンサ素子20の中に、平滑コンデンサとは異なる機能(例えば、ノイズ除去機能)を有するコンデンサが含まれても良い。
【0047】
(10)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎないと理解されるべきである。従って、当業者は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0048】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明したコンデンサ装置の概要について説明する。
【0049】
回転電機(MG)を収容する回転電機収容室(90)を有するケース(2)に一体的に形成されたコンデンサ収容室(91)と、前記コンデンサ収容室(91)に収容されるコンデンサユニット(10)と、を備えたコンデンサ装置(1)であって、前記コンデンサ収容室(91)は、前記ケース(2)の壁部(3)と、前記壁部(3)よりも上方に配置される冷却ユニット(70)と、の間に形成され、前記冷却ユニット(70)は、前記回転電機(MG)を制御するインバータ装置(81)に接するように配置されると共に、内部に冷媒流通路(71)を有し、前記コンデンサユニット(10)は、複数のコンデンサ素子(20)が結合されたコンデンサ結合体(15)を有し、水平方向に対して交差する方向を基準軸方向(W)とし、前記基準軸方向(W)に直交する断面に外接する、面積が最小の長方形を外接長方形(R)として、前記コンデンサ素子(20)のそれぞれは、前記基準軸方向(W)に延びる柱状に形成され、前記コンデンサ素子(20)のそれぞれの外周面には、前記基準軸方向(W)の全域において前記外接長方形(R)に対して内側に窪む外周凹部(23)が形成され、前記コンデンサユニット(10)の外周面には、前記基準軸方向(W)の全域に亘って連続的に延びる連続凹部(11)が形成され、前記連続凹部(11)は、少なくともいずれかの前記外周凹部(23)に対応して形成され、前記連続凹部(11)の前記基準軸方向(W)に沿った上側の端部が、前記コンデンサ収容室(91)における前記コンデンサユニット(10)と前記冷却ユニット(70)との間の空間(41)に連通し、前記連続凹部(11)の前記基準軸方向(W)に沿った下側の端部が、前記コンデンサ収容室(91)における前記コンデンサユニット(10)と前記壁部(3)との間の空間(42)に連通している。
【0050】
この構成によれば、コンデンサユニット(10)の外周面に連続凹部(11)が形成されない場合に比べて、コンデンサユニット(10)の外周面の外側に、空気の対流を生じさせるためのより広い空間を確保することができる。よって、コンデンサ収容室(91)よりも下側に配置されるケース(2)の壁部(3)からコンデンサ収容室(91)側に、ケース(2)の内部の装置等から発生した熱が放出される場合であっても、連続凹部(11)を設けることで促進される空気の対流によって、コンデンサ収容室(91)におけるコンデンサユニット(10)と壁部(3)との間の空間(以下、「第二空間(42)」という。)から、コンデンサ収容室(91)におけるコンデンサユニット(10)と冷却ユニット(70)との間の空間(以下、「第一空間(41)」という。)へ、当該熱を放散することができる。そして、第一空間(41)内の空気の熱は、冷却ユニット(70)の冷媒流通路(71)を流通する冷媒によって吸収させることができる。よって、空気の対流によって第二空間(42)から第一空間(41)に熱を適切に放散することができる。
以上のように、上記の構成によれば、コンデンサ収容室(91)の側壁とコンデンサユニット(10)との隙間を狭くした場合でも、コンデンサユニット(10)の下側の空間からの熱の放散性を適切に確保することが可能なコンデンサ装置(1)を実現することができる。
なお、コンデンサユニット(10)の外周面において基準軸方向(W)の全域に亘って連続的に延びる連続凹部(11)は、コンデンサ素子(20)の外周面における外周凹部(23)に対応して形成される。そのため、コンデンサユニット(10)の機能やコンデンサユニット(10)の各部の構成(配置構成等)に対して大きな影響を与えることなく連続凹部(11)を形成することができるという利点もある。
【0051】
ここで、前記コンデンサ結合体(15)を構成する複数の前記コンデンサ素子(20)に、前記基準軸方向(W)に直交する断面の形状が互いに同一であり且つ前記基準軸方向(W)に直交する方向に並べて配置される2つの前記コンデンサ素子(20)が含まれていると好適である。
【0052】
この構成によれば、上記2つのコンデンサ素子(20)のそれぞれの外周凹部(23)の組であって、互いに隣接して配置される外周凹部(23)の組に対応するように、連続凹部(11)を形成することで、空気の対流を適切に促進させることが可能な程度の深さや幅を持つ連続凹部(11)を形成することが容易となる。
【0053】
また、前記コンデンサ素子(20)のそれぞれの外周面に、4つの前記外周凹部(23)が前記外接長方形(R)の4つの頂点に対応して形成されていると好適である。
【0054】
この構成によれば、コンデンサ結合体(15)の外周面に多くの外周凹部(23)が配置されるため、連続凹部(11)の形成位置や個数についての自由度が高くなる。
【0055】
また、前記コンデンサユニット(10)は、前記コンデンサ結合体(15)を構成する全ての前記コンデンサ素子(20)の外側を覆うと共に全ての前記コンデンサ素子(20)を一体的に保持するカバー樹脂(12)を有し、前記連続凹部(11)は、前記カバー樹脂(12)の外周面における、複数の前記コンデンサ素子(20)の少なくともいずれかの前記外周凹部(23)を覆う部分により形成されていると好適である。
【0056】
この構成によれば、コンデンサユニット(10)がカバー樹脂(12)を有する場合に、連続凹部(11)を適切に形成することができる。なお、連続凹部(11)は、カバー樹脂(12)の外周面における外周凹部(23)を覆う部分により形成されるため、コンデンサ素子(20)を保持するために必要な樹脂の厚みを適切に確保しつつ、連続凹部(11)を形成することができる。
【0057】
また、前記コンデンサユニット(10)は、前記コンデンサ結合体(15)の正極に電気的に接続される正極バスバーと、前記コンデンサ結合体(15)の負極に電気的に接続される負極バスバーと、を有し、前記正極バスバー及び前記負極バスバーのいずれか一方が、前記コンデンサ結合体(15)の前記基準軸方向(W)に沿った下側の端面に沿って配置される第一部分(31)と、前記第一部分(31)との接続部から前記コンデンサ結合体(15)の前記基準軸方向(W)に沿った上側の端部まで前記基準軸方向(W)に沿って延びる第二部分(32)と、を有していると好適である。
【0058】
この構成によれば、バスバーが有する熱伝導性を利用して、第二空間(42)内の空気の熱の一部を第一部分(31)によって吸収するとともに、その吸収した熱を、第二部分(32)を介して第一空間(41)内の空気に伝達させることが可能となる。これにより、第二空間(42)から第一空間(41)への熱の放散性をより一層向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1:コンデンサ装置
2:ケース
3:壁部
10:コンデンサユニット
11:連続凹部
12:カバー樹脂
15:コンデンサ結合体
20:コンデンサ素子
23:外周凹部
31:第一部分
32:第二部分
70:冷却ユニット
71:冷媒流通路
81:インバータ装置(第一インバータ装置)
90:回転電機収容室
91:コンデンサ収容室
MG:回転電機
R:外接長方形
W:基準軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9