【実施例】
【0027】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0028】
実施例1
下記配合のNBR組成物を180℃、6分間のプレス加硫を行い、
NBR(JSR製品JSR N220S) 100重量部
カーボンブラック(新日化カーボン製品HTC#S-S) 40 〃
亜鉛華(正同化学工業製品亜鉛華3号) 5 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品) 3 〃
老化防止剤(精工化学製品サンタイトR) 4 〃
老化防止剤(大内新興化学工業製品老防6C) 3 〃
可塑剤(ADEKA製品RS-107) 15 〃
硫黄(細井化学工業製品) 1.2 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーTT) 2 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーCZ) 2.5 〃
厚さ2mmのシートまたはOリングを成形した後、メチルエチルケトンをキムワイプに付けて表面をふき取り、そこにコーティング剤をスプレーを用いて5〜10μmの膜厚で塗布し、140℃で30分間加熱処理した。
【0029】
コーティング剤としては、PTFE水性分散液(ダイキン製品ポリフロンディスパージョンD-1E、固形分濃度61重量%、平均粒子径220nm)52重量部(固形分として
59.2重量%)、アクリル樹脂水性分散液(日本カーバイド製品ニカゾールFX-329、固形分濃度45重量%)23重量部(固形分として
19.3重量%)およびエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液(同社製品ニカゾールRX-66E、固形分濃度46重量%)25重量部(固形分として
21.5重量%)の混合物が用いられた。
【0030】
加熱処理シートまたはOリングについて、次の各項目の測定または評価が行われた。
摩擦係数:
ASTM D-1894、JIS K7125、JIS P8147、ISO 8295に準拠して、新東科
学製表面性試験機ヘイドン・トライボギアを用いて、コーティングし
たゴムシート表面の動摩擦係数を測定
(試験条件) 相手材:直径10mmのSUS304鋼球
移動速度:50mm/分
荷重:0.49N
振幅:50mm
屈曲試験によるコーティング剤の柔軟性評価:
コーティングしたゴムシートを直径6mmの
マンドレルに屈曲させ、そ
の屈曲部に粘着テープを粘着させ、コーティング剤が剥離するか否か
を評価
(評価) ○:屈曲部のコーティング剤の剥れ、テープへの転写
なし
×:屈曲部のコーティング剤の剥れ、テープへの転写
あり
粘着試験による接着性評価:
コーティングしたゴムシートを直径13mmの円盤状に打ち抜き、
相手材:SUS430
圧縮率:33.3%
で2枚の相手材で挟み、80℃で60分間加熱し、その後室温条件下で
1時間静置した後圧縮型から解放し、コーティング剤のSUS430相手材
への粘着による、コーティング剤の転写状態を評価
(評価) ○:コーティング剤の転写がない
△:コーティング剤の一部が転写
×:離型後コーティング剤が相手材の圧縮面全面に転
写
加湿試験によるゴムからのブルームによるゴムとの接着性低下評価:
コーティングしたゴムシートについて、50℃、90%RH、15時間の加熱
試験を行い、テープ剥離試験を5回くり返し行い、加湿試験でゴムか
らのブルームにより、コーティング剤の剥れが発生するか否かを評価
(評価) ○:剥れがない
△:テープ剥離試験5回迄に剥離試験ごとに少しずつ
剥れる
×:1回のテープ剥離試験で剥れる
ブリーディング評価:
コーティングしたゴムシートについて、70℃、30日間の加熱試験を行
い、コーティング表面にゴムからのブルーム成分が析出するか否かを
評価
(評価) ○:表面に固形物の析出が目視では判断できない
×:表面に固形物の析出が目視できる
パーツフィーダによるOリングの搬送特性評価:
コーティング処理したOリング(内径7.8mm、太さ1.9mm径、呼び番号
JIS B2401-4種DP8)をパーツフィーダによるOリングの搬送特性評価に
使用した
(評価) ○:コーティング処理をせずに、シリコーンオイルを
塗布したものよりも搬送速度が大きい
×:コーティング処理をせずに、シリコーンオイルを
塗布したものと同等の搬送速度
注)コーティング処理をしないゴムにシリコーンオイルを塗布して搬
送すると、シリコーンオイルのベトツキで搬送が遅くなり、また
ブロッキングしたOリングは、パーツフィーダ上に残る
粘着せず、摩擦係数が低い程搬送速度は大きくなる
Oリングのリーク試験:
コーティングしたOリング(内径119.6mm、太さ7mm径、呼び番号P120)
を5%圧縮し、ヘリウムリークディテクタを用いて、ヘリウムガス投
入3分間後のヘリウム漏れ量を測定
(評価) ○:漏れが少ない
×:漏れが多い
【0031】
実施例2
実施例1において、PTFE水性分散液量が24重量部(固形分として29.7重量%)、アクリル樹脂水性分散液量が38重量部(固形分として
34.7重量%)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液量が38重量部(固形分として
35.5重量%)にそれぞれ変更された。
【0032】
比較例1
実施例1において、PTFE水性分散液量が38重量部(固形分として
45.2重量%)、アクリル樹脂水性分散液量が45重量部(固形分として39.5重量%)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液量が17重量部(固形分として
15.3重量%)にそれぞれ変更された。
【0033】
比較例
2
実施例1において、PTFE水性分散液が用いられず、アクリル樹脂水性分散液量が51重量部(固形分として
50.4重量%)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液量が49重量部(固形分として
49.5重量%)にそれぞれ変更された。
【0034】
比較例
3
実施例1において、アクリル樹脂水性分散液が用いられず、PTFE水性分散液量が43重量部(固形分として50重量%)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液量が57重量部(固形分として50重量%)にそれぞれ変更された。
【0035】
比較例
4
実施例1において、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液が用いられず、PTFE水性分散液量が42重量部(固形分として49.5重量%)、アクリル樹脂水性分散液量が58重量部(固形分として50.5重量%)にそれぞれ変更された。
【0036】
比較例
5
実施例1において、PTFE水性分散液量が8重量部(固形分として10.4重量%)、アクリル樹脂水性分散液量が41重量部(固形分として39.4重量%)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液量が51重量部(固形分として50.1重量%)にそれぞれ変更された。
【0037】
比較例
6
実施例1において、PTFE水性分散液量が87重量部(固形分として
90.0重量%)、アクリル樹脂水性分散液量が7重量部(固形分として5.3重量%)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂水性分散液量が6重量部(固形分として
4.7重量%)にそれぞれ変更された。
【0038】
以上の各実施例および比較例で得られた測定または評価結果は、次の表に示される。
表
実施例 比較例
測定・評価項目 1 2 1 2 3 4 5 6
摩擦係数 0.5 0.7 0.6 >1.5 1.0 0.6 0.9 0.3
柔軟性評価 ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ×
接着性評価 ○ △ ○ × × × × ○
接着性低下評価 ○ ○ △ ○ ○ × △ ×
ブリーディング評価 ○ ○ ○ × ○ ○ × ○
搬送特性評価 ○ ○ ○ × × ○ × ○
Oリングリーク試験 ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ×