(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封入体の側縁には、前記シート部材の側縁が前記封入体の内方に折れ曲がっているものであって、前記冷媒が蒸発したときに前記封入体の内容積を増大させるように拡開する拡開部が形成されている、請求項1に記載の冷却部材。
前記吸収部材は、鉛直方向に配した前記吸収部材の先端を前記冷媒内に浸漬した後、60秒後における、前記冷媒が前記吸収部材を上方に移動した際の、前記冷媒の上端位置と、前記冷媒の液面と、の間の高さ寸法が5mm以上である、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の冷却部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によると、伝熱流体を封入するために、パイプには強度が必要とされていた。なぜならば、伝熱流体が熱源から熱を受けて蒸発すると、伝熱流体の体積が増大し、パイプ内の圧力が高まるからである。パイプ内に伝熱流体を液密に封入し、且つ、比較的に強度の高いパイプを用いることは、製造コストの増大を招いていた。
【0005】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、製造コストが低減された冷却部材、及び、これを用いた蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された技術は、冷却部材であって、金属製シートを含むシート部材が液密に接合された封入体と、前記封入体内に封入された冷媒と、前記封入体内に配されると共に前記冷媒を吸収する吸収部材と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、冷媒が蒸発すると封入体内の圧力が上昇する。すると、シート部材が変形することにより封入体の内容積が増大する。これにより、封入体内の圧力が下がる。この結果、内容積が変化しない金属製の容器によって冷却部材を形成する場合に比べて、封入体内の耐圧性を低くすることができる。これにより、冷却部材の製造コストを低減することができる。
【0008】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0009】
前記封入体の側縁には、前記シート部材の側縁が前記封入体の内方に折れ曲がっているものであって、前記冷媒が蒸発したときに前記封入体の内容積を増大させるように拡開する拡開部が形成されていることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、冷媒が蒸発して封入体内の圧力が上昇したときに、拡開部が拡開変形することにより、封入体内の圧力を一層低下させることができる。これにより、冷却部材の製造コストを一層低減することができる。
【0011】
前記封入体は熱源と接触する接触部を有し、前記拡開部は、前記封入体のうち少なくとも前記接触部と異なる領域に形成されていることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、接触部において熱源から伝達された熱によって蒸発した冷媒は、拡開部へと移動し、拡開部において冷却されて液体へと凝結する。このとき、封入体の外部へと熱が放散される。このように、接触部において熱源からの熱を確実に受け取り、拡開部においてこの熱を確実に放散することができる。
【0013】
前記吸収部材には、外面の凹凸によって前記冷媒の通路が形成されていることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、冷媒が通路を移動することにより冷媒が循環しやすくなるため、冷却性能を向上させることが可能になる。
【0015】
前記吸収部材は、前記通路が形成された領域が他の領域とは異なる密度とされていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、吸収部材の密度を変えれば冷媒の通路を形成することができるため、製造工程を簡素化することが可能になる。
【0017】
前記封入体は熱源と接触する接触部を有し、前記通路は、前記吸収部材における前記接触部に重なる領域から前記接触部に重ならない領域に向けて延びていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、吸収部材における接触部に重ならない領域に冷媒が移動しやすくなるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0019】
前記封入体は熱源と接触する接触部を有し、前記吸収部材は、前記封入体内に配された状態で、前記封入体の前記接触部と比べて同等又は広い領域に配されていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、接触部において熱源から伝達された熱は、吸収部材へと確実に伝達される。この吸収部材には冷媒が吸収されているので、熱源から伝達された熱は冷媒が蒸発するための気化熱とされる。この結果、熱源を確実に冷却することができる。
【0021】
前記シート部材は、樹脂が積層された樹脂層を有し、2つの前記シート部材は、前記樹脂層が内側に配された状態で熱融着されており、前記封入体の外面には前記シート部材が露出していることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、封入体の外面において露出したシート部材から封入体の外部に熱が放散されるので、シート部材の外面にも樹脂が積層された場合に比べて、放熱性を向上させることができる。
【0023】
前記吸収部材は、鉛直方向に配した前記吸収部材の先端を前記冷媒内に浸漬した後、60秒後における、前記冷媒が前記吸収部材を上方に移動した際の、前記冷媒の上端位置と、前記冷媒の液面と、の間の高さ寸法が5mm以上であることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、冷媒の吸収性を向上させることができるので、冷却部材の冷却性能を向上させることができる。
【0025】
前記シート部材は金属製シートを含むことが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、金属は比較的に熱伝導率が高いので、熱源の熱は速やかにシート部材に伝達され、更に、シート部材内を速やかに熱伝導して封入体の内側へと伝わり、封入体内の冷媒によって冷却される。これにより、冷却部材の冷却性能を向上させることができる。
【0027】
本明細書に開示された技術は、蓄電モジュールであって、上記の冷却部材と、前記冷却部材が収容された筐体と、前記筐体内に収容されて、少なくとも外面の一部が前記冷却部材と接触する蓄電素子と、を備える。
【0028】
上記の構成によれば、蓄電素子で発生した熱は、蓄電素子の外面の一部と接触する冷却部材によって吸収される。冷却部材は液密に形成されており、冷媒は液密に形成された冷却部材の内部に封入されているので、蓄電モジュールの筐体を液密に構成する必要がない。この結果、蓄電素子の製造コストを低減させることができる。
【0029】
蓄電モジュールは、前記冷却部材と、前記冷却部材が収容された筐体と、前記筐体内に収容されて、少なくとも外面の一部が前記冷却部材と接触する蓄電素子と、を備え、前記蓄電素子は、正極端子及び負極端子が突出しており、前記通路は、前記正極端子及び前記負極端子の少なくとも一方の側に向けて延びていることが好ましい。
【0030】
蓄電モジュールは、前記冷却部材と、前記冷却部材が収容された筐体と、前記筐体内に収容されて、少なくとも外面の一部が前記冷却部材と接触する蓄電素子と、を備え、前記蓄電素子は、長方形状の本体の外周から正極端子及び負極端子が突出しており、前記通路は、前記本体の外周の4辺のうち、前記正極端子及び前記負極端子の少なくとも一方が突出していない一辺側から他の辺に向けて延びている。
蓄電素子の熱を放熱するための放熱部材を蓄電素子の本体の近傍に配置する場合、本体の4辺のうち、正極端子及び負極端子の少なくとも一方が突出していない一辺の近傍に放熱部材を配置すれば、正極端子や負極端子が放熱部材の配置の邪魔にならないため合理的である。この場合、吸収部材の通路の形状を、本体の4辺のうち、正極端子及び負極端子の少なくとも一方が突出していない一辺側から他の辺に向けて延びるようにすれば、蓄電素子の熱が通路を通る冷媒を介して放熱部材に伝わりやすくなるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0031】
蓄電モジュールは、前記冷却部材と、前記冷却部材が収容された筐体と、前記筐体内に収容されて、少なくとも外面の一部が前記冷却部材と接触する蓄電素子と、を備え、前記蓄電素子は、正極端子及び負極端子が突出しており、前記吸収部材のうち、前記正極端子及び前記負極端子の少なくとも一方の近傍の領域は、当該吸収部材における他の領域とは異なる材料で形成されていることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、正極端子や負極端子の近傍の高温になりやすい領域が異なる材料で形成されるため、材料を適宜選択することにより冷却性能を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本明細書に記載された技術によれば、冷却部材又は蓄電素子の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<実施形態1>
本明細書に記載された技術の実施形態1を、
図1から
図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る蓄電モジュール10は、筐体11と、筐体11の内部に収容された蓄電素子12(熱源の一例)と、筐体11の内部に収容されると共に蓄電素子12の外面の一部に接触する冷却部材13と、を備える。以下の説明においては、X方向を右方とし、Y方向を前方とし、Z方向を上方として説明する。また、同一形状をなす複数の部材については、一部の部材について符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0036】
(筐体11)
図2に示すように、筐体11は、全体として略直方体形状をなしている。
図1に示すように、筐体11は、上方に開口すると共に上方から見て略長方形状をなすロアケース14と、ロアケース14の上部に取り付けられるものであって、断面形状が略長方形状をなすと共に下方に開口する箱状のアッパーケース15と、を備える。アッパーケース15の下端縁は、ロアケース14の上端縁の形状に倣った形状を有している。
【0037】
ロアケース14、及びアッパーケース15は、それぞれ、合成樹脂、金属等、任意の材料により形成することができる。ロアケース14、及びアッパーケース15は、それぞれ異なる材料で形成されてもよく、また、同一の材料で形成される構成としてもよい。
【0038】
ロアケース14とアッパーケース15とは、ロック部材と被ロック部材との係合構造、ねじ止め構造、接着材による接着等、公知の手法によって互いに組み付けることができる。また、ロアケース14、及びアッパーケース15が金属からなる場合には、レーザー溶接、ロウ付け等の公知の手法により接合することができる。本実施形態においては、ロアケース14、及びアッパーケース15は、互いに液密でない状態で組み付けられている。なお、ロアケース14、及びアッパーケース15は、互いに液密に組み付けられていてもよい。
【0039】
図2及び
図3に示すように、筐体11の下端部寄りの位置には、筐体11の前端部寄りの位置に、左右両方向に突出する一対の電力端子17が配されている。電力端子17は金属板材からなる。
【0040】
(蓄電素子12)
図3〜
図5に示すように、蓄電素子12は、一対の電池用ラミネートシート23の間に図示しない蓄電要素を挟んで、電池用ラミネートシート23の側縁を、熱溶着等の公知の手法により液密に接合してなる。
図3に示すように、蓄電素子12の下端縁からは、金属箔状をなす正極端子24と、負極端子25とが、電池用ラミネートシート23の内面と液密状態で、電池用ラミネートシート23の内側から外側へと突出している。正極端子24と負極端子25とは前後方向に間隔を開けて並んで配されている。正極端子24及び負極端子25は、それぞれ、蓄電要素と電気的に接続されている。
【0041】
図3及び
図4に示すように、蓄電素子12は、左右方向に複数(本実施形態では6つ)並べて配されている。左右方向に隣り合う蓄電素子12は、一の正極端子24の隣に他の負極端子25が位置し、また、一の負極端子25の隣に他の正極端子24が位置するように配されている。隣り合って位置する正極端子24と負極端子25とは、互いに近づく方向に折り曲げられ、正極端子24と負極端子25とが上下方向に重ねられた状態でレーザー溶接、超音波用溶接、ロウ付け等の公知の手法により電気的に接続されている。これにより、複数の蓄電素子12は直列に接続されている。
【0042】
本実施形態においては、蓄電素子12として、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池を用いてもよく、また、蓄電素子12としては、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタを用いてもよい。このように蓄電素子12としては、必要に応じて任意の蓄電素子12を適宜に選択できる。
【0043】
(冷却部材13)
図3に示すように、冷却部材13は、液密に形成された封入体26の内部に冷媒27が封入されてなる。封入体26内に封入される冷媒27の量は、必要に応じて適宜に選択できる。冷媒27は、例えば、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロケトン、フッ素不活性液体、水、メタノール、エタノール等のアルコールからなる群から選ばれる1つ、又は複数を用いることができる。冷媒27は、絶縁性を有していてもよく、また、導電性を有していてもよい。冷却部材13の上下方向の高さ寸法は、蓄電素子12の上下方向の高さ寸法よりも大きく設定されている。
【0044】
(封入体26)
図6及び
図7に示すように、封入体26は、略長方形状をなす第1シート部材28と、第2シート部材29とを、接着、溶着、溶接等の公知の手法により液密に接合してなる。
【0045】
第1シート部材28と、第2シート部材29は、金属製シートの両面に合成樹脂製のフィルムが積層されてなる。金属製シートを構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。合成樹脂製のフィルムを構成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド等、必要に応じて任意の合成樹脂を適宜に選択できる。
【0046】
本実施形態に係る封入体26は、第1シート部材28のうち合成樹脂製のフィルムが積層された面と、第2シート部材29のうち合成樹脂製のフィルムが積層された面とを重ね合わせて熱融着されてなる。
【0047】
封入体26の外面は、
図3及び
図4に示すように、蓄電素子12と接触する接触部30を有する。
【0048】
(吸収部材37)
図6及び
図7に示すように、封入体26の内部には、吸収部材37が配されている。吸収部材37は略長方形のシート状をなしている。
【0049】
吸収部材37は、冷媒27を吸収可能な材料により形成されている。吸収部材37は、冷媒27を吸収可能な材料を繊維状に加工したものを織物としたものであってもよく、また、不織布としたものであってもよい。不織布の形態としては、繊維シート、ウェブ(繊維だけで構成された薄い膜状のシート)、又はバット(毛布状の繊維)であってもよい。吸収部材37を構成する材料としては、天然繊維でもよく、また、合成樹脂からなる合成繊維であってもよく、また、天然繊維と合成繊維の双方を用いたものであってもよい。
また、吸収部材37を構成する材料として、無機系のロックウール・グラスウールを使用してもよい。無機系のロックウール・グラスウールを使用した場合には、材料の耐熱性、耐圧性が向上するだけでなく、バッテリー引火時の延焼防止材としての機能も付加することができる。また、吸収部材37を構成する材料として、ガラス繊維から作った織布であるガラス布としてもよい。
【0050】
吸収部材37を構成する材料としては、鉛直方向に配した吸収部材37の下端を冷媒27内に浸漬した後、60秒後における、冷媒27が吸収部材37を上方に移動した際の、冷媒27の上端位置と、冷媒27の液面と、の間の高さ寸法が5mm以上であることが好ましい。これにより、冷媒27の吸収性を向上させることができるので、冷却部材13の冷却性能を向上させることができる。
【0051】
吸収部材37は、封入体26内に配された状態で、封入体26の接触部30と比べて、同等又は広い領域に配されている。
図5に示すように、本実施形態においては、吸収部材37は、封入体26内において、接触部30よりもやや広い領域に配されている。
【0052】
(拡開部39)
図8に示すように、第2シート部材29の前後両端部に設けられた拡開部39は、第1シート部材28と第2シート部材29とが接合された状態では、封入体26の内方に折れ曲がった状態になっている。この拡開部39は、冷媒27が蒸発して気体になることにより封入体26の内部の圧力が上昇した際に、左右方向に拡開変形するようになっている。すると、封入体26の内容積が増大するので、封入体26の内圧が減少するようになっている。この結果、封入体26に要求される物理的な強度を低減することが可能となっている。
【0053】
特に、
図9に示すように、冷却部材13のうち、蓄電素子12よりも上方に位置する部分の拡開部39が、左右方向に拡開変形することにより、封入体26の内容積が増大するようになっている。
【0054】
換言すると、拡開部39は、少なくとも、封入体26の接触部30と異なる領域に形成されている。これにより、接触部30と蓄電素子12とが接触状態を維持したままで、拡開部39が拡開することができるようになっている。この結果、蓄電素子12から封入体26、吸収部材37、冷媒27へと至る伝熱経路を維持したまま、拡開部39が拡開することによって、冷媒27が十分に気化することができる。これにより、冷媒27の気化熱によって蓄電素子12から伝達された熱が冷媒27の蒸気へと移動するようになっている。
【0055】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態に係る冷却部材13は、金属製シートを含む第1シート部材28及び第2シート部材29が液密に接合された封入体26と、封入体26内に封入された冷媒27と、封入体26内に配されると共に冷媒27を吸収する吸収部材37と、を備える。
【0056】
本実施形態によれば、冷媒27が蒸発して気体になると、封入体26の内部の圧力が増大する。すると、第1シート部材28及び第2シート部材29が変形することにより、封入体26の内容積が増大する。これにより、封入体26内の圧力が下がる。この結果、内容積が変化しない金属製の容器によって冷却部材を形成する場合に比べて、封入体26内の耐圧性を低くすることができる。これにより、冷却部材13の製造コストを低減することができる。
【0057】
本実施形態によれば、封入体26内には、冷媒27を吸収する吸収部材37が配されている。これにより、吸収部材37内に冷媒27が吸収されて保持されるので、吸収部材37が配された領域内において、冷媒27を均一に配することができる。これにより、冷却部材13の冷却効率にムラが生じることを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、封入体26の側縁には、第1シート部材28及び第2シート部材29の側縁が封入体26の内方に折れ曲がっているものであって、冷媒27が蒸発したときに封入体26の内容積を増大させるように拡開する拡開部39が形成されている。
【0059】
上記の構成によれば、冷媒27が蒸発して封入体26内の圧力が上昇したときに、拡開部39が拡開変形することにより、封入体26内の圧力を一層低下させることができる。これにより、冷却部材13の製造コストを一層低減することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、封入体26は蓄電素子12と接触する接触部30を有し、拡開部39は、封入体26のうち少なくとも接触部30と異なる領域に形成されている。
【0061】
上記の構成によれば、接触部30において蓄電素子12から伝達された熱によって蒸発した冷媒27は、拡開部39へと移動して拡開部39を拡開させる。この拡開部39において冷媒27は冷却されて液体へと凝結する。このとき、封入体26の外部へと熱が放散される。このように、接触部30において蓄電素子12からの熱を確実に受け取り、拡開部39においてこの熱を確実に放散することができるので、冷却部材13の冷却性能を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、封入体26は蓄電素子12と接触する接触部30を有し、吸収部材37は、封入体26内に配された状態で、封入体26の接触部30と比べて同等又は広い領域に配されている。
【0063】
上記の構成によれば、接触部30において蓄電素子12から伝達された熱は、吸収部材37へと確実に伝達される。この吸収部材37には冷媒が吸収されているので、蓄電素子12から伝達された熱は冷媒27が蒸発するための気化熱とされる。この結果、蓄電素子12を確実に冷却することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、吸収部材37は、鉛直方向に配した吸収部材37の先端を冷媒27内に浸漬した後、60秒後における、冷媒27が吸収部材37を上方に移動した際の、冷媒27の上端位置と、冷媒27の液面と、の間の高さ寸法が5mm以上である。
【0065】
上記の構成によれば、冷媒27の吸収性を向上させることができるので、冷却部材13の冷却性能を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る蓄電モジュール10は、冷却部材13と、冷却部材13が収容された筐体11と、筐体11内に収容されて、少なくとも外面の一部が冷却部材13と接触する蓄電素子12と、備える。
【0067】
本実施形態によれば、蓄電素子12で発生した熱は、蓄電素子12の外面の一部と接触する冷却部材13によって吸収される。冷却部材13に吸収された熱は、上記のようにして冷却部材13の外部に放散される。この結果、蓄電素子12を効率よく冷却することができる。
【0068】
上記の冷却部材13は液密に形成されており、冷媒27は液密に形成された冷却部材13の内部に封入されているので、蓄電モジュール10の筐体11を液密に構成する必要がない。この結果、蓄電素子12の製造コストを低減させることができる。
【0069】
本実施形態によれば、熱源が局所的に発熱する部分を有する場合に、熱源の温度の分布を小さくすることができる。これは以下のような理由による。熱源の一部分が発熱すると、その部分の温度が上昇する。すると、冷却部材13のうち、局所的に温度が上昇した部分に接触した領域においては、冷媒27の温度が上昇し、まず、冷媒27が気化する。このとき、冷媒27の気化熱によって、熱源のうち局所的に温度が上昇した部分の熱が速やかに除去されるので、熱源の温度分布を小さくすることができる。
【0070】
そして、気化して蒸気となった冷媒27は、封入体26の内部を速やかに上昇する。つまり、熱の移動が、蒸気となった冷媒27の物質自体の移動により行われるようになっている。これにより、例えば金属製のヒートシンクを用いた場合に比べて、熱の伝達速度を向上させることができる。一般に、蒸気となった冷媒27の移動速度は、固体であるヒートシンク内を伝導する熱の伝導速度よりも大きいからである。
【0071】
上記となった冷媒27は、封入体26内を上昇し、拡開部39において冷却されて液体へと凝結する。これにより、局所的に発熱する部分において発生した熱は、効率よく、封入体26の外部へと放散される。この結果、熱源が局所的に発熱する部分を有する場合に、熱源の温度の分布を小さくすることができる。当該技術は、蓄電素子12のように、リード部分等が局所的に高温になる熱源に対して、好適に適用することができる。
【0072】
<実施形態2>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態2を、
図10を参照しつつ説明する。本実施形態に係る冷却部材50の封入体51は、一方の面にのみ合成樹脂層が形成された第1シート部材52と、第2シート部材(図示せず)とを、合成樹脂層同士が封入体51の内側において接触するように重ね合わされた状態で、第1シート部材52と第2シート部材53とを熱溶着してなる。
【0073】
封入体51の外面には、第1シート部材52、及び第2シート部材53に含まれる金属製シートが露出している。
【0074】
吸収部材54は、封入体51内に配された状態で、接触部30と比べて、同等又は広い領域に配されている。
【0075】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0076】
本実施形態においては、第1シート部材52及び第2シート部材は、合成樹脂が積層された合成樹脂層を有し、第1シート部材52及び第2シート部材は、合成樹脂層が内側に配された状態で熱融着されており、封入体51の外面には金属製シートが露出している。
【0077】
上記の構成によれば、封入体51の外面において露出した金属製シートから封入体51の外部に熱が放散されるので、シート部材の外面にも樹脂が積層された場合に比べて、放熱性を向上させることができる。
【0078】
<実験例>
以下に、本明細書に開示された技術の効果を示す実験例について説明する。表1に示すように、実験例1〜8に係る冷却部材を作製した。ポリエチレン製のシート部材を170mm×120mmの大きさに切断した。このシート部材を2枚重ねて、その間に、冷媒10mlと、不織布と、を挟んだ。その後、2枚のシート部材の側縁を溶着することにより液密に密封した。
【0080】
使用した不織布は、表1に示すように、目付量と、厚みが異なると共に、不織布を構成する材料が異なっている。
【0081】
冷媒は、スリーエムジャパン株式会社製Novec649(登録商標)(以下、冷媒という)を用いた。
【0082】
表1における吸液高さは、下記のように測定した。不織布を10cm×10cmの形状に切断した。この不織布の一つの端部を冷媒の中に、深さ5mmだけ浸した状態で鉛直方向に配した。この後、60秒後において、冷媒が不織布を上方に這い上がり移動した際の、冷媒の上端位置と、冷媒の液面との間の高さ寸法を測定した。
【0083】
表1における温度は、以下のようにして測定した。10cm×10cmの電気ヒータを冷却部材の片面に押圧した。ヒータは、冷却部材に対して、0.2Paの圧力で加圧した。ヒータには、12Wの熱量を加えた。温度センサは、ヒータと冷却部材との間に配置した。このように、表1に示した温度は、ヒータと冷却部材との間の領域における、ヒータの表面の温度を示すものである。ヒータを加熱し始めてから30分後における温度を表1に記載した。
【0084】
図11は、冷媒の吸液高さに対する、ヒータの温度変化を示すグラフである。吸液高さが高くなるにしたがって、ヒータの温度が低くなる傾向であることが分かった。これは、以下の理由によると考えられる。
【0085】
冷媒の吸液高さは、不織布が、冷媒を重力に抗して吸い上げる速度に係る数値である。従って、吸液高さの値が大きいということは、不織布が冷媒を吸収する速度が大きいことを意味する。
【0086】
冷媒を吸収する速度が大きな不織布を用いた場合、不織布中を移動する冷媒の速度は比較的に大きなものとなる。このため、冷却部材の一部において冷媒が気化し、その部分の冷媒が少なくなった場合でも、他の部分から冷媒が速やかに補充される。これにより、不織布が乾いた状態になることが抑制されるので、冷却部材の冷却能力が高い状態で維持されるようになっていると考えられる。
【0087】
図11に示されるように、冷媒の吸液高さが、18mmを超えると、ヒータ温度が急激に低くなるので好ましい。また、冷媒の吸液高さが29mmを超えると、ヒータ温度が更に低くなるのでより好ましい。更に、冷媒の吸液高さが32mmを超えると、ヒータ温度が一層低くなるので、更に好ましい。冷媒の吸液高さが32mmを超えると、ヒータ温度が特に低くなるので、特に好ましい。
【0088】
表1には、吸水高さを記載した。吸水高さは、以下のように測定した。不織布を10cm×10cmの形状に切断し、この不織布の一つの端部を水の中に、深さ5mmだけ浸した状態で鉛直方向に配した後、60秒後において、水が不織布を上方に這い上がり移動した際の、水の上端位置と、水面との間の高さ寸法を測定した。
【0089】
図12は、吸水高さに対する、ヒータ温度の変化を示すグラフである。なお、測定に用いた冷却部材の封入体の内部には、上記したスリーエムジャパン株式会社製Novec649が封入されている。
【0090】
図12に示されるように、吸水高さが大きくなるにしたがって、ヒータの温度が低くなる傾向であることが分かった。これは、冷媒によって吸液高さを測定し、この吸液高さとヒータ温度との関係と概ね対応していることが分かった。
【0091】
また、吸水高さが、38mmを超えると、ヒータ温度が急激に低くなるので好ましい。また、冷媒の吸液高さが58mmを超えると、ヒータ温度が更に低くなるのでより好ましい。更に、冷媒の吸液高さが70mmを超えると、ヒータ温度が一層低くなるので、更に好ましい。冷媒の吸液高さが73mmを超えると、ヒータ温度が特に低くなるので、特に好ましい。
【0092】
このように、冷却部材の内部に封入される冷媒とは異なる水についても、冷却部材の冷却性能と相関することが分かった。
【0093】
<実施形態3>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態3を
図13〜39を参照しつつ説明する。本実施形態は、封入体26の内部に配された吸収部材37,54の形状を変えるものである。他の構成は、特に示さない限り、上記実施形態と略同様なので説明を省略する。
【0094】
吸収部材61の外面(吸収部材61における封入体26の内面に対向する両側面)には、
図13に示すように、上下方向に延びる多数(複数)の冷媒27の通路81が
図13の左右方向に並んで形成されている。多数の通路81は、吸収部材61の両面に設けられており、交互に並んで形成された凹凸からなる。各通路81は、例えば、
図14に示すように、一定の厚みの板状の吸収部材61に対して所定の間隔を空けて形成された複数の半円弧状の曲げ部82の内面に形成されている。吸収部材61は、例えば一定の厚みの板状の吸収部材を図示しないプレス機の金型(通路81の形状に応じた凹部及び凸部を有する金型)によって挟み、各通路81の位置を一方側から他方側に押圧して形成することができる。
【0095】
なお、通路81の形状は、これに限られず、例えば、
図15の吸収部材61Aのように、板状の吸収部材61Aの両側から金型(凸部を有する金型)で押圧して形成される円弧状に窪んだ溝部83A,83Bを冷媒27の通路81としてもよい。この場合は、溝部83Aと溝部83Bとの間が圧縮されることで溝部83Aと溝部83Bとの間の密度が高められている。また、
図16の吸収部材61Bのように、溝部83A,83Bの並び方向の位置を上側の溝部83Aと下側の溝部83Bとで異なる位置に配置したり、
図17の吸収部材61Cのように、凹部を有する金型で吸収部材61Cを挟み、圧力が小さい部分に円弧状に突出する突条84を形成し、隣り合う突条84の間を冷媒27の通路81としてもよい。即ち、通路81の位置に応じて金型で吸収部材を加圧する強さを変えることにより、局所的に密度を変えて通路81を形成してもよい。
【0096】
また、吸収部材61における多数(複数)の冷媒27の通路81の形状(模様)は、上記形状に限られず、種々の形状とすることができる。例えば、
図18に示すように、同図の左右方向に延びる多数(複数)の冷媒27の通路85が上下方向に並んで形成されているようにしてもよい。ここで、吸収部材61Dに重ねられて冷却部材13と接触する蓄電素子12は、図示しない蓄電要素が一対の電池用ラミネートシート23の間に収容されてなる本体12Aの外周から正極端子24及び負極端子25が突出する形状とされている。
図18では、吸収部材61Dにおける通路85は、本体12の外周の4辺23A〜23Dのうち、右辺23D(一辺)側から反対側の左辺23B(他の辺)側に向けて延びている。蓄電素子12の熱を放熱するための放熱部材を蓄電素子12の本体12Aの近傍に配置する場合、本体12Aの4辺23A〜23Dのうち、正極端子24及び負極端子25の少なくとも一方が突出していない一辺23B〜23Dの近傍に放熱部材を配置すれば、正極端子24や負極端子25が放熱部材の配置の邪魔にならないため合理的である。ここで、吸収部材61の通路85の形状を、本体12Aの4辺23A〜23Dのうち、正極端子24及び負極端子25が突出していない一辺23B〜23D側から他の辺に向けて延びるようにすれば、一辺23B〜23D側に放熱部材を配置した場合に、蓄電素子12の熱が通路85を通る冷媒27を介して放熱部材に伝わりやすくなるため、放熱性を向上させることが可能になる。なお、通路85は、
図18では左右方向に延びる形状としたが、これに限られず、一辺23B〜23D側から他の辺に向けて延びる通路85は、例えば辺23D(又は辺23B)側から辺23A又は辺23C側に向けて延びるようにしてもよい。
【0097】
また、例えば、
図19に示すように、吸収部材62の通路81の形状(模様)は、ヘリンボーン形状で延びる溝部(凹部)又は突条(凸部)からなる多数の通路86が左右に連続する形状としてもよい。この場合、蓄電素子12の正極端子24や負極端子25を、例えば、
図19の吸収部材62の上方側や下方側に配置することができる。
【0098】
また、吸収部材の通路は縦縞や横縞に限られず、
図20に示すように、吸収部材63の斜めの方向に延びる溝部又は突条で通路87Aを形成してもよい。また、
図21に示すように、吸収部材64における上下に対して斜めの方向に延びる溝部又は突条からなる通路87A,87Bが互いに交差(直交)するチェック模様としてもよい。また、
図22,
図23に示すように、吸収部材65の外面に交差する溝部又は突条が三角形(正三角形)状に連続する通路88としたり、吸収部材66の外面に交差する溝部又は突条が六角形(正六角形)状に連続する通路89としたり、他の多角形状に連続する通路としてもよい。また、上記多角形の形状の凹部又は凸部を形成した通路としてよい。例えば、隣り合う多角形の凹部と凸部とが交互に形成されるようにしてもよい。また、
図24に示すように、吸収部材67の外面に交差する溝部又は突条が斜視立方体の格子状に連続する通路90としてもよい。
【0099】
また、
図25に示すように、吸収部材68の外面に円形状に窪んだ多数の凹部又は凸部からなる多数のドット99が間隔を空けて並べられることによりドット99間などに通路91が形成されるようにしてもよい。また、
図26に示すように、吸収部材69の外面は、中心部から外方に放射状に延びる溝部又は突条からなる通路92を有するようにしてもよい。
【0100】
また、
図27に示すように、吸収部材70の通路93は、上下方向に延びる溝部又は突条が左右に間隔を開けて並んだ第1通路部93Aと、第1通路部93Aから傾斜した方向に延びる溝部又は突条からなる第2通路部93Bとを有するようにしてもよい。ここで、
図28に示すように、蓄電素子12を正極端子24と負極端子25とが上向きになるように配置した場合、第1通路部93Aが正極端子24と負極端子25との基端部に連なる位置に延ばせば、正極端子24及び負極端子25の熱が第1通路部93Aを通る冷媒27に伝達されやすくなるため、正極端子24及び負極端子25の熱の冷却性能を高めることが可能になる。
【0101】
また、
図29に示すように、吸収部材71の外面の溝部又は突条からなり直線状に延びる通路94は、少なくとも一辺側の端縁部が湾曲する形状としてもよい。
また、
図30に示すように、円環状の溝部又は突条からなる通路95が同心円状に連続した同心円群96を有する吸収部材72としてもよい。また、
図31に示すように、複数の同心円群96の最外周が互いに接する吸収部材73としたり、
図32に示すように、同心円群96の半円の円弧を長円形状とした吸収部材74としてもよい。
図33に示すように、蓄電素子12を正極端子24と負極端子25とが上向きになるように配置した場合、通路95が正極端子24と負極端子25との基端部に連なる方向に延びるようにすれば、正極端子24及び負極端子25の熱が通路95を通る冷媒27に伝達されやすくなるため、正極端子24及び負極端子25の熱の冷却性能を高めることが可能になる。また、
図34に示すように、吸収部材75は、矩形状の溝部又は突条が同心で連続する通路97を有するようにしてもよい。また、正方形や長方形に限られず、他の多角形が同心で連続するようにしてもよい。
【0102】
また、
図35に示すように、吸収部材76における正極端子24及び負極端子25の基端側から所定の範囲(曲線の内側の領域)は正極端子24及び負極端子25の熱を受ける第1領域A1とし、この第1領域A1には、溝部又は突条からなる通路を形成せず、第1領域A1の外側を、溝部又は突条が放射状に延びる通路102が形成された第2領域A2としてもよい。また、
図36に示すように、通路102の幅寸法が第1領域A1側に向かうほど太くなる通路103を有する吸収部材77としてもよい。
【0103】
また、
図37に示すように、吸収部材78における正極端子24及び負極端子25の近傍の第1領域B1は、他の領域とは吸収部材の材質を変えてもよい。例えば、正極端子24及び負極端子25の近傍の第1領域B1は、他の領域B2,B3よりも熱伝導性の良好な材質(材料)や、冷媒27との親和性の良好な材質(材料)を用いてもよい。また、第1領域B1の外側の第2領域B2と第3領域B3とは、通路の形状(模様)を異なるようにしてもよい。例えば、第2領域B2は、溝部又は突条が複数の枝状に延びる複数の枝部105を有する形状とし、第3領域B3は、複数の枝部105の基端部に連なる溝部又は突条からなる複数の幹部104を有する形状としてもよい。また、吸収部材79の異なる領域で厚みを変えてもよく、例えば、
図38に示すように、吸収部材79における正極端子24及び負極端子25側が傾斜状に厚くなるようにし、正極端子24及び負極端子25側の冷却性能を高めるようにしてもよい。
【0104】
また、
図39に示すように、正極端子24と負極端子25とが反対側の配された蓄電素子100を用いる場合、吸収部材105における正極端子24及び負極端子25の基端から所定の間隔は正極端子24及び負極端子25の熱を受ける一対の第1領域C1とし、各第1領域C1には、溝部又は突条からなる通路を形成せず、第1領域C1の外側の第2領域C2に、溝部又は突条が放射状に延びる通路102を形成してもよい。
【0105】
上記実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
吸収部材61〜79,105には、外面の凹凸によって冷媒27の通路81〜95,97,102,10が形成されている。
このようにすれば、冷媒27が通路81,86〜95,97,102,103を移動することにより冷媒27が循環しやすくなるため、冷却性能を向上させることが可能になる。
【0106】
また、吸収部材61〜79,105は、通路81,86〜95,97,102,103が形成された領域が他の領域とは異なる密度とされている。
このようにすれば、プレス機の金型によって吸収部材61〜79,105の密度を変えれば冷媒27の通路81〜97,102,103を形成することができるため、製造工程を簡素化することが可能になる。
【0107】
また、封入体26は熱源と接触する接触部30を有し、通路81〜95,97,102,10は、吸収部材61〜79,105における接触部30に重なる領域から接触部30に重ならない領域に向けて延びている。
このようにすれば、吸収部材61〜79,105における接触部30に重ならない領域に冷媒27が移動しやすくなるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0108】
通路81〜95,97,102,103は、正極端子24及び負極端子25の少なくとも一方の側に向けて延びている。
このようにすれば、正極端子24や負極端子25の熱が冷媒27に伝わりやすくなるため、放熱性を向上させることが可能になる。
【0109】
吸収部材61〜79,105のうち、正極端子24及び負極端子25の少なくとも一方の近傍の領域は、当該吸収部材61〜79,105における他の領域とは異なる材料で形成されている。
このようにすれば、正極端子24や負極端子25の近傍の高温になりやすい領域が異なる材料で形成されるため、吸収部材の材料を適宜選択することにより冷却性能を向上させることが可能になる。
【0110】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0111】
(1)実施形態1に係る冷却部材13においては、第1シート部材28、及び第2シート部材29は金属製シートの両面に合成樹脂が積層されたラミネートフィルムとされ、また、実施形態2に係る冷却部材50においては、第1シート部材52、及び第2シート部材53は金属製シートの一方の面に合成樹脂が積層された構成とされたが、これに限られず、第1シート部材、及び第2シート部材は、金属製シートからなる構成としてもよい。この場合、第1シート部材、及び第2シート部材は、接着、溶接、ロウ接等により液密に接合される構成とすることができる。また、第1シート部材、及び第2シート部材は、合成樹脂製のシートからなる構成としてもよい。合成樹脂製のシートを構成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド等、必要に応じて任意の合成樹脂を適宜に選択できる。
【0112】
(2)本実施形態においては、封入体26内には1つの吸収部材37が配される構成としたが、これに限られず、封入体26内には、2つ以上の吸収部材37が配される構成としてもよい。
【0113】
(3)本実施形態においては、吸収部材37は、封入体26の接続部と比べて同等又は広い領域に配されている構成としたが、吸収部材37は、封入体26の接続部よりも狭い領域に配される構成としてもよい。
【0114】
(4)本実施形態に係る冷却部材13は、蓄電モジュール10に使用されたが、これに限られず、冷却部材は、電気接続箱、ECU等、任意の発熱部品に対して適宜に使用することができる。
【0115】
(5)本実施形態においては、封入体26は、第1シート部材28と、第2シート部材29とを接合することにより形成したが、これに限られず、封入体は、1つのシート部材を折り曲げた状態で端縁を液密に接合して形成する構成としてもよく、また、3つ以上のシート部材を液密に接合して形成する構成としてもよい。
【0116】
(6)実施形態3では、プレス機により吸収部材の密度を部分的に変えて冷媒27の通路を形成することとしたが、吸収部材の成形時に通路を一体的に形成する等により、吸収部材の密度を部分的に変えずに冷媒27の通路を形成してもよい。