特許第6525107号(P6525107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525107
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】ガスケット及び密封構造
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   F16J15/10 T
   F16J15/10 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-524507(P2018-524507)
(86)(22)【出願日】2017年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2017044311
(87)【国際公開番号】WO2018116878
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2018年5月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-246619(P2016-246619)
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】古林 潤
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−024173(JP,A)
【文献】 実公昭47−040192(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3191100(JP,U)
【文献】 特開2001−227644(JP,A)
【文献】 特開2004−316732(JP,A)
【文献】 特開2004−218793(JP,A)
【文献】 特開2016−114076(JP,A)
【文献】 特開2000−002378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに固定される第1部材と第2部材との間の隙間を封止するガスケットであって、
第1部材に設けられた装着溝に装着されるガスケット本体部と、
第1部材に設けられ、前記装着溝から第1部材の外壁面に連通する連通溝に装着され、かつ第1部材の外壁面側から視認可能に構成され、ガスケットの装着の有無を識別するための識別突起と、
を備え、
前記識別突起には、前記連通溝の両側面にそれぞれ密着し、該識別突起の位置決めを可能とする一対の位置決め突起が設けられていることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
互いに固定される第1部材及び第2部材と、
これら第1部材と第2部材との間の隙間を封止するガスケットと、
を備える密封構造であって、
第1部材には、装着溝と、該装着溝から第1部材の外壁面に連通する連通溝とが設けられると共に、
前記ガスケットは、
前記装着溝に装着されるガスケット本体部と、
前記連通溝に装着され、かつ第1部材の外壁面側から視認可能に構成され、ガスケットの装着の有無を識別するための識別突起と、
を備え、
前記識別突起には、前記連通溝の両側面にそれぞれ密着し、該識別突起の位置決めを可能とする一対の位置決め突起が設けられていることを特徴とする密封構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに固定される2部材間の隙間を封止するガスケット及び密封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
各種装置においては、装置内部から外部への密封対象流体の漏れ防止や、外部から装置内部への異物の侵入を防止するために、互いに固定される2部材間の隙間を封止するガスケットが広く用いられている。また、2部材を固定させた後に、ガスケットが装着されているか否かを確認できるように、2部材の外側から視認可能な識別突起が備えられるガスケットが知られている。このような従来例に係るガスケットについて、図7を参照して説明する。図7は従来例に係るガスケットが第1部材に装着された状態を示す平面図である。
【0003】
2部材のうちの一方の部材(第1部材200と称する)には、装着溝211と、装着溝211から第1部材200の外壁面に連通する連通溝212とが設けられている。そして、ガスケット500は、装着溝211に装着されるガスケット本体部510と、連通溝212に装着される識別突起520とを一体に備えている。また、識別突起520は、第1部材200の外壁面側から視認可能に構成されている。以上のように構成されるガスケット500によれば、第1部材200の外壁面側から識別突起520の有無を視認できるため、ガスケット500が装着されているか否かを確認することができる。
【0004】
しかしながら、上記のようなガスケット500を備える密封構造においては、第1部材200に連通溝212が設けられているため、ガスケット本体部510の内側の圧力や熱膨張の影響により、ガスケット本体部510の一部が連通溝212に入り込んでしまうことがある。つまり、ガスケット本体部510が径方向外側に膨らむことにより、識別突起520が外側に飛び出すようにして、ガスケット本体部510の一部が連通溝212に入り込んでしまうことがある。これにより、密封性が低下してしまうおそれがある。また、ガスケット本体部510の一部が連通溝212に入り込むような動作が繰り返されることにより、ガスケット本体部510に亀裂が生じてしまうなど破損してしまうおそれがある。特に、装着溝211と連通溝212との境界付近の角部213にガスケット500が突き当たることにより、亀裂などが生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−218793号公報
【特許文献2】特開2004−316732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、識別突起が装着される連通溝にガスケット本体部の一部が入り込んでしまうことの抑制を図ることのできるガスケット及び密封構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
本発明のガスケットは、
互いに固定される第1部材と第2部材との間の隙間を封止するガスケットであって、
第1部材に設けられた装着溝に装着されるガスケット本体部と、
第1部材に設けられ、前記装着溝から第1部材の外壁面に連通する連通溝に装着され、かつ第1部材の外壁面側から視認可能に構成され、ガスケットの装着の有無を識別するための識別突起と、
を備え、
前記識別突起には、前記連通溝の両側面にそれぞれ密着し、該識別突起の位置決めを可能とする一対の位置決め突起が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の密封構造は、
互いに固定される第1部材及び第2部材と、
これら第1部材と第2部材との間の隙間を封止するガスケットと、
を備える密封構造であって、
第1部材には、装着溝と、該装着溝から第1部材の外壁面に連通する連通溝とが設けられると共に、
前記ガスケットは、
前記装着溝に装着されるガスケット本体部と、
前記連通溝に装着され、かつ第1部材の外壁面側から視認可能に構成され、ガスケットの装着の有無を識別するための識別突起と、
を備え、
前記識別突起には、前記連通溝の両側面にそれぞれ密着し、該識別突起の位置決めを可能とする一対の位置決め突起が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、識別突起には、第1部材に設けられた連通溝の両側面にそれぞれ密着し、該識別突起の位置決めを可能とする一対の位置決め突起が設けられている。従って、識別突起が連通溝内で移動してしまうことを抑制することができる。これにより、ガスケット本体部の内側に圧力がかかったり、熱膨張したりしても、ガスケット本体部の一部が連通溝内に入り込んでしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、識別突起が装着される連通溝にガスケット本体部の一部が入り込んでしまうことの抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施例に係るガスケットの平面図である。
図2図2は本発明の実施例に係るガスケットの模式的断面図である。
図3図3は本発明の実施例に係るガスケットの模式的断面図である。
図4図4は本発明の実施例に係るガスケットが第1部材に装着された状態を示す平面図である。
図5図5は本発明の実施例に係る密封構造の模式的断面図である。
図6図6は本発明の実施例に係る密封構造の模式的断面図である。
図7図7は従来例に係るガスケットが第1部材に装着された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
(実施例)
図1図6を参照して、本発明の実施例に係るガスケット及び密封構造について説明する。図1は本発明の実施例に係るガスケットの平面図である。図2及び図3は本発明の実施例に係るガスケットの模式的断面図である。なお、図2図1中のAA断面図であり、図3図1中のBB断面図である。図4は本発明の実施例に係るガスケットが第1部材に装着された状態を示す平面図である。図5及び図6は本発明の実施例に係る密封構造の模式的断面図である。なお、図5中のガスケット及び第1部材は図4中のCC断面図に相当し、図6中のガスケット及び第1部材は図4中のDD断面図に相当する。
【0015】
<ガスケット>
特に、図1図3を参照して、本実施例に係るガスケット100の構成について説明する。本実施例に係るガスケット100は、互いに固定される2部材(以下、第1部材200,第2部材300と称する)間の隙間を封止する役割を担っている。ガスケット100は、ゴムなどの弾性体により構成されている。そして、本実施例に係るガスケット100は、ガスケット本体部110と、ガスケット100の装着の有無を識別するための識別突起120とを一体に備えている。また、識別突起120は、識別突起本体部121と、識別突起本体部121の両側面側にそれぞれ設けられる一対の位置決め突起とから構成されている。これら一対の位置決め突起は、いずれも、大突起122と、この大突起122の先端に設けられる小突起123とから構成される。大突起122と小突起123は、いずれも、円柱形状に対して、円柱の中心軸線に平行な面で切断したような形状で構成されている。そして、上記中心軸線に垂直な面で切断した場合における大突起122の表面の曲率半径の方が、小突起123の表面の曲率半径よりも大きくなるように構成されている。
【0016】
<密封構造>
特に、図4図6を参照して、本実施例に係るガスケット100が備えられる密封構造について説明する。本実施例に係る密封構造は、互いに固定される第1部材200及び第2部材300と、これら第1部材200と第2部材300との間の隙間を封止するガスケット100とを備えている。図5,6中、右側が密封対象側(O)であり、左側が大気側(A)である。第1部材200には、装着溝211と、装着溝211から第1部材200の外壁面に連通する連通溝212とが設けられている。
【0017】
ガスケット100におけるガスケット本体部110は装着溝211に装着される。そして、ガスケット100における識別突起120は連通溝212に装着される。識別突起120は、第1部材200の外壁面側から視認可能に構成されている。本実施例においては、識別突起120の先端の一部が、第1部材200及び第2部材300の外壁面よりも外側に飛び出していることにより、識別突起120を簡単に視認できるように構成されている。このように、第1部材200の外壁面側から識別突起120の有無を視認できるため、ガスケット100が装着されているか否かを確認することができる。また、識別突起120に設けられている一対の位置決め突起は、連通溝212の両側面にそれぞれ密着するように構成されている。つまり、一対の位置決め突起は、連通溝212の両側面に対して、締め代を有している。これにより、連通溝212に識別突起120が装着されると、特に小突起123が圧縮された状態で、一対の位置決め突起は連通溝212の両側面にそれぞれ密着する。これにより、連通溝212に対して、識別突起120の位置決めがなされる。なお、位置決め突起が大突起122と小突起123とから構成されることにより、位置決め突起を連通溝212に装着させる際に必要な力を抑制しつつ、安定した位置決め機能を発揮させることができる。
【0018】
<本実施例に係るガスケット及び密封構造の優れた点>
本実施例に係るガスケット100及び密封構造によれば、識別突起120には、第1部材200に設けられた連通溝212の両側面にそれぞれ密着し、識別突起120の位置決めを可能とする一対の位置決め突起(大突起122と小突起123とから構成される位置決め突起)が設けられている。従って、識別突起120が連通溝212内で移動してしまうことを抑制することができる。これにより、ガスケット本体部110の内側に圧力がかかったり、熱膨張したりしても、ガスケット本体部110の一部が連通溝212内に入り込んでしまうことを抑制することができる。また、装着溝211と連通溝212との境界付近の角部213にガスケット100が突き当たってしまうことも抑制することができる。以上より、識別突起120が装着される連通溝212にガスケット本体部110の一部が入り込んでしまうことに伴う破損の抑制を図ることができる。また、密封性の低下も抑制することができる。
【符号の説明】
【0019】
100 ガスケット
110 ガスケット本体部
120 識別突起
121 識別突起本体部
122 大突起
123 小突起
200 第1部材
211 装着溝
212 連通溝
213 角部
300 第2部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7