(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことを特徴とする真空断熱材。
粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の角のうちの少なくとも一つの角を、前記発泡状構造体から突設させた該発泡状構造体で覆うとともに、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことを特徴とする真空断熱材。
粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の縁のうちの少なくとも一つの縁を、前記発泡状構造体から突設させた該発泡状構造体で覆うとともに、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことを特徴とする真空断熱材。
【背景技術】
【0002】
真空断熱材(VIP:Vacuum Insulation Panel)は、芯材を外被材で覆い、その内部を減圧して真空封止を行うことで形成されるものである。
【0003】
このような真空断熱材に使用される芯材には、無機繊維を平板状にしたものや、粘土鉱物を平板状にしたものがある。無機繊維を平板状にした芯材では、グラスファイバー、グラスウール、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、炭化ケイ素繊維などが用いられており、粘土鉱物を平板状にした芯材では、シリカ、パーライト、カーボンブラックなどの無機粉体が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
無機繊維を平板状にした芯材の場合、例えば50℃以上の高温環境下で用いられると、外被材で用いられているフィルムの分解ガスや外被材の熱融着部から内部に進入したガスにより、繊維間の隙間での気体(ガス)分子の運動により熱伝導率が増大して、断熱性能が低下する問題があった。また、粘土鉱物を平板状にした芯材の場合、粘土鉱物が有する吸着機能により高温環境下で用いられても断熱性能が低下しにくい特性を有するが、低温環境下で用いられる場合には、無機繊維を平板状にしたものに比べて熱伝導率が高く、断熱性能が劣る傾向がある。従って、上述した真空断熱材では、一方が高温で他方が低温となるような両者の温度差が大きい環境下においては、良好な断熱性能を有することが困難であった。
【0005】
断熱性能向上と高温での断熱性能低下(劣化)抑制の両立を図るため、真空断熱材の芯材を、粉体状構造体と繊維状構造体とを積層させた2層構造としたものがある。
【0006】
図10(a)で例示する真空断熱材90は、例えばフィルムからなる外被材92に平板状にした芯材91を挿入して被包し、外被材92の内部を減圧(例えば、真空ポンプで外被材92内部の気体(ガス)を除去する)した後、熱融着して真空封止(脱気密封)したものである。このように外被材92を熱融着して真空封止(脱気密封)するため、真空断熱材90には外縁部にヒレ部分921が形成されている。
【0007】
真空断熱材90を構成する芯材91は、繊維状構造体911と粉体状構造体912とを積層した2層構造となっている。繊維状構造体911は、例えばグラスファイバーなどの無機繊維の集合体である。粉体状構造体912は、例えばタルク、ゼオライト、カオリナイトなどの粘土鉱物(層状珪酸塩鉱物)のような層状結晶構造を有するものを粉体状にして焼結などにより平板状(ボード化)にしたものである。
【0008】
そして、真空断熱材90の芯材91を、高温側に高温の断熱性能に優れた粉体状構造体912と、低温側に低温の断熱性能に優れた繊維状構造体911と、を積層する2層構造とすることで、高温側においては粉体状構造体912により熱伝導率を低下させることができる一方、低温側においては繊維状構造体911により熱伝導率を低下させることができるようになる(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
真空断熱材90の断熱性能を向上させるには、芯材91に使用される粉体状構造体912の低熱伝導化が必要であり、そのためには粉体粒子912a間の空孔を多く確保して高空孔化(高空洞化)を図ることが必要となる。
【0011】
しかしながら、粉体状構造体912は、例えばタルク、ゼオライト、カオリナイトなどの粘土鉱物(層状珪酸塩鉱物)のような層状結晶構造を有するものを粉体状にして焼結などにより平板状(ボード化)にしたものであるため、粉体粒子912a間の空孔を多く確保して高空孔化を図ると、外被材92に平板状にした芯材91を挿入して被包するときや、外被材92の内部を減圧して熱融着し、真空封止(脱気密封)するときに、
図10(b)に示しているように、粉体状構造体912の端部(角や縁など)が崩れてしまうことがある。そして、粉体状構造体912の端部が崩れると粉体粒子912a間に形成した空孔が壊れて減少し、粉体状構造体912の熱伝導率が増加して断熱性能が低下する虞があった。
【0012】
また、外被材92の内部を減圧するときや外部から加圧されたときに、
図10(c)に示しているように、粉体状構造体912の中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことがある。そして、粉体状構造体912の中央部が崩れると粉体粒子912a間に形成した空孔が壊れて減少し、粉体状構造体912の熱伝導率が増加して断熱性能が低下する虞があった。
【0013】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、粉体状構造体の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材および断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る真空断熱材は、粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の
請求項2に係る真空断熱材は、粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の角のうちの少なくとも一つの角を、前記発泡状構造体から突設させた該発泡状構造体で覆うとともに、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の
請求項3に係る真空断熱材は、粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の縁のうちの少なくとも一つの縁を、前記発泡状構造体から突設させた該発泡状構造体で覆うとともに、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明
の請求項4に係る断熱容器は、請求項1乃至
請求項3の何れかの項に記載の真空断熱材が適宜配設されることによって構成される断熱容器において、前記真空断熱材は、前記発泡状構造体が低温側、かつ前記粉体状構造体が高温側となる態様で配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことにより、外被材に平板状にした芯材を挿入して内部を減圧するときや外部から加圧されたときの圧力を軽減して、粉体状構造体の中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防止することができる。このように、粉体状構造体の中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材を提供できるようになる。また、粉体状構造体の材料量の低減や焼結時間の短縮による低コスト化を図ることができる。これにより、粉体状構造体の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材を提供することが可能となる。
【0023】
また、
請求項2の発明によれば、粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の角のうちの少なくとも一つの角を、前記発泡状構造体から突設させた該発泡状構造体で覆うとともに、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことにより、外被材に平板状にした芯材を挿入して被包するときや、外被材に芯材を挿入して内部を減圧するときや外部から加圧されたときの圧力を軽減して、粉体状構造体の角(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防止することができる。このように、粉体状構造体の角(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材を提供できるようになる。また、粉体状構造体の材料量の低減や焼結時間の短縮による低コスト化を図ることができる。これにより、粉体状構造体の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材を提供することが可能となる。
【0024】
また、
請求項3の発明によれば、粘土鉱物からなる粉体状構造体と、有機材料からなる発泡状構造体と、を伝熱方向に積層させた芯材を被包する外被材の内部を減圧することにより形成された真空断熱材であって、前記粉体状構造体の縁のうちの少なくとも一つの縁を、前記発泡状構造体から突設させた該発泡状構造体で覆うとともに、前記粉体状構造体の平面部に少なくとも一つ以上の穴を配設し、前記発泡状構造体から突設させた柱状補強部を前記穴に立設させたことにより、外被材に平板状にした芯材を挿入して被包するときや、外被材に芯材を挿入して内部を減圧するときや外部から加圧されたときの圧力を軽減して、粉体状構造体の縁(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防止することができる。このように、粉体状構造体の縁(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材を提供できるようになる。また、粉体状構造体の材料量の低減や焼結時間の短縮による低コスト化を図ることができる。これにより、粉体状構造体の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材を提供することが可能となる。
【0025】
また、
請求項4の発明によれば、前記真空断熱材は、前記発泡状構造体が低温側、かつ前記粉体状構造体が高温側となる態様で配設されたことにより、低温環境下において優れた断熱特性を有する発泡状構造体を低温側にし、かつ高温環境下において優れた断熱特性を有する粉体状構造体を高温側に配置することができ、断熱効果をより向上させることができる。これにより、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる断熱容器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る真空断熱材および断熱容器の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である真空断熱材の概略構成を示す図であり、
図1(a)は外被材の内部へ芯材を挿入して真空封止を行った後の状態(真空断熱材の完成状態)を示す断面側面図であり、
図1(b)は芯材を示す平面図、
図1(c)は粉体状構造体を発泡状構造体の片面に積層した2層構造の芯材を示す側面図、
図1(d)は粉体状構造体を発泡状構造体の両面に積層した3層構造の芯材を示す側面図である。
【0028】
ここで例示する真空断熱材10は、例えばフィルムからなる外被材12に平板状にした芯材11を挿入して被包し、外被材12の内部を減圧(例えば、真空ポンプで外被材12内部の気体(ガス)を除去する)した後、外被材12開口部を熱融着して真空封止(脱気密封)したものである。このように外被材12開口部を熱融着して真空封止(脱気密封)するため、真空断熱材10には外縁部にヒレ部分121が形成されている。
【0029】
真空断熱材10を構成する芯材11は、発泡状構造体111と粉体状構造体112とを伝熱方向(厚さ方向)に積層した2層構造(粉体状構造体112を発泡状構造体111の片面に積層した芯材)または3層構造(粉体状構造体112を発泡状構造体111の両面に積層した芯材)となっている。発泡状構造体111は、例えば発泡ウレタンなどの有機材料からなるものであり、具体的には連続気泡ウレタンフォームを多段圧縮成形した連続気泡ウレタンフォーム積層体により構成されている。粉体状構造体112は、例えばタルク、ゼオライト、カオリナイトなどの粘土鉱物(層状珪酸塩鉱物)のような層状結晶構造を有するものを粉体状にして焼結などにより平板状(ボード化)にしたものである。
【0030】
そして、粉体状構造体112の角(コーナー)のうちの少なくとも一つの角を発泡状構造体111から突設させた該発泡状構造体111で覆うようにしている。または、粉体状構造体112の各角部に発泡状構造体111から突設させた突設部111bを設けるようにしている。このように構成していることにより、外被材12に平板状にした芯材11を挿入して被包するときや、外被材12の内部を減圧して熱融着して真空封止(脱気密封)するときに、粉体状構造体112の特に角(コーナー)が崩れることを防止することができる。このように、粉体状構造体112の角が崩れることを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体112の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材10を提供できるようになる。これにより、粉体状構造体112の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材10を提供することが可能となる。
【0031】
粉体状構造体112を発泡状構造体111の片面に積層した2層構造の芯材11(
図1(c)参照)は、低温環境下において優れた断熱特性を有する発泡状構造体111を低温側に配置し、高温環境下において優れた断熱特性を有する粉体状構造体112を高温側に配置することで、真空断熱材10の断熱効果をより向上させることができる。また、粉体状構造体112を発泡状構造体111の両面に積層した3層構造の芯材11(
図1(d)参照)は、温度帯の異なる高温環境下に配置することで、真空断熱材10の断熱効果を向上させることができる。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態1である真空断熱材が適用された自動販売機を概念的に示す概念図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料などの商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体40、外扉60および内扉70を備えている。
【0033】
自動販売機本体40は、
図3に示すように、複数の金属板を適宜組み合わせることによって構成された自動販売機本体40であり、前面が開口した箱状に構成されている。より具体的には、上壁41、一対の側壁42、底壁43、背壁44が接合されることによって自動販売機本体40が構成されている。一対の側壁42は、それぞれ底壁43よりも下方に延在しており、互いの間に台座壁45が接合されている。
【0034】
自動販売機本体40には、その内部に断熱構造の商品収容室50が設けられている。本実施の形態では、
図3に示すように、上壁41、一対の側壁42、底壁43、背壁44の内壁面にそれぞれ予め板状に成形した断熱ボード51が配設されることにより、これら断熱ボード51によって囲まれる空間に商品収容室50が構成されている。そして、商品収容室50に対して前方側より例えば2つの断熱仕切板52が挿入されることで、自動販売機本体40の内部に3つの独立した商品収容庫53が左右に並んだ態様で設けられている。
【0035】
図4は、
図2に示した自動販売機本体の内部における1つの商品収容庫の内部構造を示す断面側面図である。この
図4では、最も左側にある商品収容庫(以下、左庫ともいう)53の内部構造について示すが、中央の商品収容庫(以下、中庫ともいう)53および右側の商品収容庫(以下、右庫ともいう)53の内部構造も左庫53と略同じような構成を有している。尚、本明細書における左側とは、自動販売機を正面側から見た場合の左方を示し、右側とは、自動販売機を正面側から見た場合の右方を示す。
【0036】
左庫53の内部には、搬出シュータ54が設けられており、この搬出シュータ54よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット55が配設されている一方、搬出シュータ54よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納ラック58が配設されている。
【0037】
搬出シュータ54は、商品収納ラック58から払い出された商品を内扉70(下部内扉70a)の商品搬出口73に案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で配設されている。この搬出シュータ54には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔が多数穿設してある。
【0038】
温度調節ユニット55は、左庫53の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、蒸発器55a、電熱ヒータ55bおよび庫内送風ファン55cを備えて構成されている。
【0039】
蒸発器55aは、圧縮機561、凝縮器562および膨張弁563と冷媒配管57にて接続されて冷凍サイクルを構成するものであり、自身の流路を通過する冷媒が蒸発することで周囲空気を冷却するものである。ここで、圧縮機561、凝縮器562および膨張弁563は、自動販売機本体40の内部であって商品収容室50の下方に区画された機械室46に配設されている。
【0040】
電熱ヒータ55bは、蒸発器55aの前方域に配設されており、通電状態となることにより自身の周囲空気を加熱する加熱源である。庫内送風ファン55cは、左庫(商品収容庫)53の内部空気を循環させるための送風手段である。
【0041】
このような温度調節ユニット55においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で庫内送風ファン55cを駆動すると、蒸発器55aにおいて冷却された空気が搬出シュータ54の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック(商品収納領域)58を低温状態に維持することができる。一方、電熱ヒータ55bに通電した状態で庫内送風ファン55cを駆動すると、電熱ヒータ55bによって加熱された空気が搬出シュータ54の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納ラック(商品収納領域)58を高温状態に維持することができる。
【0042】
外扉60は、自動販売機本体40の前面開口を覆うためのもので、自動販売機本体40の左側縁部に開閉移動可能に配設されている。外扉60の前面には、商品を販売する際に必要となる商品見本表示部、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口が設けられているとともに(いずれも図示せず)、商品取出口61が設けられている。
【0043】
また、この外扉60には商品取出部62が設けられている。商品取出部62は、商品収容庫53における商品収納ラック58から払い出されて内扉70の後述する商品搬出口73を通過した商品を収容し、かつ商品取出口61を通じて該商品を取出可能にするものである。
【0044】
内扉70は、商品収容庫53(商品収容室50)の前面を覆うための断熱扉で、外扉60よりも内方となる位置において自動販売機本体40の一側縁部に開閉可能に配設されている。この内扉70は、上下に分割された構造を有しており、商品収容庫53(商品収容室50)の前面開口の下部側を覆う下部内扉70aと、商品収容庫53(商品収容室50)の前面開口の上部側を覆う上部内扉70bとから構成されている。
【0045】
下部内扉70aは、
図2および
図4に示すように、各商品収容庫53に対応した部位に商品搬出扉74を備えた商品搬出口73が形成されており、商品収納ラック58から商品が搬出シュータ54に払い出された場合に、商品搬出口73を通じて商品を商品取出部62に搬出することが可能である。
【0046】
上部内扉70bは、外扉60の内方となる位置において自動販売機本体40の一側縁部に開閉可能に配設されており、支持部材80を介して外扉60の裏面に取り付け支持されている。この上部内扉70bは、外扉60とともに開閉移動するものである。
【0047】
上記自動販売機本体40における各断熱ボード51、断熱仕切板52および内扉70により断熱容器が形成されており、断熱仕切板52は、本発明の実施の形態1である真空断熱材10により構成されている。より詳細には、右庫53が商品を冷却する冷却庫として用いられ、かつ左庫53および中庫53が商品を加熱する加熱庫として用いられる場合、中庫53と右庫53とを区画する断熱仕切板52に上記真空断熱材10が用いられている。この場合、真空断熱材10は、
図5に示すように、発泡状構造体111が右庫53側、かつ粉体状構造体112が中庫53側となる態様で、すなわち発泡状構造体111が低温側、かつ粉体状構造体112が高温側となる態様で配設されている。
【0048】
このように真空断熱材10が、発泡状構造体111が低温側、かつ粉体状構造体112が高温側となる態様で配設されることにより、低温環境下において優れた断熱特性を有する発泡状構造体111を低温側にし、かつ高温環境下において優れた断熱特性を有する粉体状構造体112を高温側に配置することができ、断熱効果をより向上させることができる。これにより、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる断熱容器を提供することが可能となる。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2である真空断熱材の概略構成を示す図であり、
図6(a)は外被材の内部へ芯材を挿入して真空封止を行った後の状態(真空断熱材の完成状態)を示す断面側面図であり、
図6(b)は芯材を示す平面図、
図6(c)は粉体状構造体を発泡状構造体の片面に積層した2層構造の芯材を示す側面図、
図6(d)は粉体状構造体を発泡状構造体の両面に積層した3層構造の芯材を示す側面図である。
【0049】
ここで例示する真空断熱材10を構成する芯材11は、粉体状構造体112の縁(コーナー)のうちの少なくとも一つの縁を、発泡状構造体111から突設させた該発泡状構造体111で覆うようにしている。または、粉体状構造体112の少なくとも向かい合う2辺、若しくは、外周縁を、発泡状構造体111から突設させた該発泡状構造体111で覆うようにしている。このように構成していることにより、外被材12に平板状にした芯材11を挿入して被包するときや、外被材12の内部を減圧して熱融着して真空封止(脱気密封)するときに、粉体状構造体112の縁(コーナー)が崩れることを防止することができる。このように、粉体状構造体112の縁が崩れることを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体112の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材10を提供できるようになる。これにより、粉体状構造体112の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材10を提供することが可能となる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3である真空断熱材の概略構成を示す図であり、
図7(a)は外被材の内部へ芯材を挿入して真空封止を行った後の状態(真空断熱材の完成状態)を示す断面側面図であり、
図7(b)は芯材を示す平面図、
図7(c)は粉体状構造体を発泡状構造体の片面に積層した2層構造の芯材を示す側面図、
図7(d)は粉体状構造体を発泡状構造体の両面に積層した3層構造の芯材を示す側面図である。
【0050】
ここで例示する真空断熱材10を構成する芯材11は、粉体状構造体112の平面部に少なくとも一つ以上の貫通した穴112aを配設し、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aを穴112aに立設させるようにしている。このように構成していることにより、外被材12に平板状にした芯材11を挿入して内部を減圧するときや外部から加圧されたときの圧力を軽減して、粉体状構造体112の中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防止することができる。このように、粉体状構造体112の中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体112の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材10を提供できるようになる。また、粉体状構造体112の材料量の低減や焼結時間の短縮による低コスト化を図ることができる。これにより、粉体状構造体112の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材10を提供することが可能となる。なお、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aの高さは粉体状構造体112の厚さより高くしてもよく、柱状補強部111aの径は粉体状構造体112の平面部に配設した穴112aの径より小さくしてもよい。また、粉体状構造体112の平面部に配設した穴112aの形状は、丸穴の他に角穴や十字穴などの形状でもよく、また、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aの形状は、丸柱の他に角柱や十字柱などの形状でもよい。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4である真空断熱材の概略構成を示す図であり、
図8(a)は外被材の内部へ芯材を挿入して真空封止を行った後の状態(真空断熱材の完成状態)を示す断面側面図であり、
図8(b)は芯材を示す平面図、
図8(c)は粉体状構造体を発泡状構造体の片面に積層した2層構造の芯材を示す側面図、
図8(d)は粉体状構造体を発泡状構造体の両面に積層した3層構造の芯材を示す側面図である。
【0051】
ここで例示する真空断熱材10を構成する芯材11は、粉体状構造体112の角(コーナー)のうちの少なくとも一つの角を、発泡状構造体111から突設させた該発泡状構造体111で覆うとともに、粉体状構造体112の平面部に少なくとも一つ以上の貫通した穴112aを配設し、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aを穴112aに立設させるようにしている。このように構成していることにより、外被材12に平板状にした芯材11を挿入して被包するときや、外被材12に芯材11を挿入して内部を減圧するときや外部から加圧されたときの圧力を軽減して、粉体状構造体112の角(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防止することができる。このように、粉体状構造体112の角(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体112の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材10を提供できるようになる。また、粉体状構造体112の材料量の低減や焼結時間の短縮による低コスト化を図ることができる。これにより、粉体状構造体112の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材10を提供することが可能となる。なお、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aの高さは粉体状構造体112の厚さより高くしてもよく、柱状補強部111aの径は粉体状構造体112の平面部に配設した穴112aの径より小さくしてもよい。また、粉体状構造体112の平面部に配設した穴112aの形状は、丸穴の他に角穴や十字穴などの形状でもよく、また、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aの形状は、丸柱の他に角柱や十字柱などの形状でもよい。
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5である真空断熱材の概略構成を示す図であり、
図9(a)は外被材の内部へ芯材を挿入して真空封止を行った後の状態(真空断熱材の完成状態)を示す断面側面図であり、
図9(b)は芯材を示す平面図、
図9(c)は粉体状構造体を発泡状構造体の片面に積層した2層構造の芯材を示す側面図、
図9(d)は粉体状構造体を発泡状構造体の両面に積層した3層構造の芯材を示す側面図である。
【0052】
ここで例示する真空断熱材10を構成する芯材11は、粉体状構造体112の縁(コーナー)のうちの少なくとも一つの縁を、発泡状構造体111から突設させた該発泡状構造体111で覆うとともに、粉体状構造体1112の平面部に少なくとも一つ以上の貫通した穴112aを配設し、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aを穴112aに立設させるようにしている。このように構成していることにより、外被材12に平板状にした芯材11を挿入して被包するときや、外被材12に芯材11を挿入して内部を減圧するときや外部から加圧されたときの圧力を軽減して、粉体状構造体112の縁(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防止することができる。このように、粉体状構造体112の縁(コーナー)が崩れることや中央部が崩れてへこみ(凹み)ができてしまうことを防ぐことで粉体粒子間に形成した空孔が壊れて減少することを防止して空孔を確保することができるので、粉体状構造体112の断熱性能低下を防ぎ、断熱性能に優れた真空断熱材10を提供できるようになる。また、粉体状構造体112の材料量の低減や焼結時間の短縮による低コスト化を図ることができる。これにより、粉体状構造体112の空孔が壊れることに起因して断熱性能が低下することを防ぎ、様々な温度環境下において断熱性能を良好なものとすることができる真空断熱材10を提供することが可能となる。なお、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aの高さは粉体状構造体112の厚さより高くしてもよく、柱状補強部111aの径は粉体状構造体112の平面部に配設した穴112aの径より小さくしてもよい。また、粉体状構造体112の平面部に配設した穴112aの形状は、丸穴の他に角穴や十字穴などの形状でもよく、また、発泡状構造体111から突設させた柱状補強部111aの形状は、丸柱の他に角柱や十字柱などの形状でもよい。