特許第6525146号(P6525146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525146
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】シフト制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20190527BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20190527BHJP
   B60L 50/40 20190101ALI20190527BHJP
   B60L 50/50 20190101ALI20190527BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20190527BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20190527BHJP
   B60L 58/00 20190101ALI20190527BHJP
【FI】
   B60K20/02 E
   B60L3/00 H
   B60L11/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-89749(P2015-89749)
(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-203869(P2016-203869A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 亮太
(72)【発明者】
【氏名】太田 仁一
(72)【発明者】
【氏名】蒲地 誠
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−531190(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/164395(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
B60L 3/00
B60L 50/40
B60L 50/50
B60L 53/00
B60L 55/00
B60L 58/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電力が供給されて充電が実施される車両のシフト制御装置であって、
前記車両の充電判断状態の検出を行う充電判断検出手段と、
所定の基準位置に維持されるシフトレバーと、
操作された際に前記基準位置にあるシフトレバーの操作を有効にする制限部材と、
前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出されていない時に、前記制限部材の操作量が第1の変更条件量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にすると共に、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出された時に前記制限部材の操作量が前記第1の変更条件量よりも操作量が多い第2の変更条件量で、前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にする制御手段とを備え
前記制限部材はブレーキペダルであり、前記制限部材の操作量は前記ブレーキペダルの踏込み量であり、
前記ブレーキペダルの踏込み量が、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出されていない時に、前記第1の変更条件量である第1のブレーキ踏込み量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にし、
前記ブレーキペダルの踏込み量が、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出された時に、前記第1のブレーキ踏込み量よりも踏込み量が多い前記第2の変更条件量である第2のブレーキ踏込み量で、前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にする
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシフト制御装置において、
前記第2の変更条件量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にする際に、前記車両の走行を制限する制限手段の動作状況を条件にする ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシフト制御装置において、
前記制限手段は、駐車ブレーキであり、
前記駐車ブレーキが非作動の時に、前記第2の変更条件量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にする
ことを特徴とするシフト制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の電力が充電される車両のシフト制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の関心から、種々の電動車両が普及してきており、外部の電力が充電される車両が種々知られている。外部の電力が充電される車両として、例えば、電動モータの駆動力により走行駆動力を得る車両や、エンジンの駆動力及び電動モータの駆動力を組み合わせて走行駆動力を得る車両が知られている。
【0003】
外部の電力が充電される車両では、例えば、外部の電力供給装置(充電装置)や電源から伸びる給電プラグが充電口に差し込まれ、車両に電力が供給されて充電が実施される。給電プラグが充電口に差し込まれた状態で車両が走行すると給電プラグや充電口が破損する虞がある。給電プラグや充電口の破損を避ける技術として、給電プラグが充電口に差し込まれた状態で、シフトレバーの操作を無効とした技術が従来から知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示された技術では、給電中に給電プラグが充電口に差し込まれた状態でシフトレバーがP位置からD位置やR位置に遷移操作されても、操作が無効になるため、給電プラグが充電口に差し込まれた状態では車両を移動させないようにすることができる。このため、車両が意図せずに走行することがない。
【0005】
しかし、給電中に給電プラグが充電口に差し込まれた状態であっても(充電中であっても)、荷物の出し入れを行う必要や、車室に対して乗員が出入りする必要が生じることがある。充電中の車両の場所によっては、荷物の出し入れや乗員の出入りが不可能な場所もあり、この場合、給電コードの長さの許容の範囲で車両を移動させることで、荷物の出し入れや乗員の出入りが可能になる。また、実際に給電プラグが充電口に差し込まれていない場合であっても、充電判定の誤判定により、充電中であると判断されてシフトレバーの操作が無効になる虞がある。この場合、シフトレバーの遷移操作により中立状態にできると(操作を有効にすることができると)、レッカー車による移動等が容易になる。
【0006】
特許文献1に開示された技術は、給電プラグが充電口に差し込まれた状態ではシフトレバーの遷移操作が無効になるため、充電中は車両を移動させることができない。このため、充電中に車両を少し移動させて荷物の出し入れや、乗員の出入りを行うことができないのが現状であった。また、充電判定が誤判定されると、シフトレバーの遷移操作が無効になるため、車両を移動させ難い状況になるのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5580132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、充電判断状態が検出されていても決められた制限を満たした時にシフトレバーの遷移操作を有効にすることができるシフト制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明のシフト制御装置は、外部から電力が供給されて充電が実施される車両のシフト制御装置であって、前記車両の充電判断状態の検出を行う充電判断検出手段と、所定の基準位置に維持されるシフトレバーと、操作された際に前記基準位置にあるシフトレバーの操作を有効にする制限部材と、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出されていない時に、前記制限部材の操作量が第1の変更条件量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にすると共に、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出された時に前記制限部材の操作量が前記第1の変更条件量よりも操作量が多い第2の変更条件量で、前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にする制御手段とを備え、前記制限部材はブレーキペダルであり、前記制限部材の操作量は前記ブレーキペダルの踏込み量であり、前記ブレーキペダルの踏込み量が、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出されていない時に、前記第1の変更条件量である第1のブレーキ踏込み量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にし、前記ブレーキペダルの踏込み量が、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出された時に、前記第1のブレーキ踏込み量よりも踏込み量が多い前記第2の変更条件量である第2のブレーキ踏込み量で、前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にすることを特徴とする。
【0010】
請求項1に係る本発明では、充電判断検出手段により車両の充電判断状態が検出された時に、制限部材の操作量が第1の変更条件量よりも操作量が多い第2の変更条件量で、シフトレバーの基準位置から所定の操作位置への遷移操作を有効にするので、充電判断状態が検出されていても制限部材の操作量が多くなった時には、シフトレバーの基準位置から所定の操作位置への遷移操作が有効になる。このため、充電判断状態が検出されていても決められた制限を満たした時にシフトレバーの遷移操作を有効にすることが可能になる。尚、所定の基準位置に維持されるシフトレバーは、例えば、所定の基準位置に付勢されるシフトレバーが適用される。
そして、充電判断検出手段により車両の充電判断状態が検出された時に、ブレーキペダルの踏込み量が、第1のブレーキ踏込み量よりも踏込み量が多い第2のブレーキ踏込み量で、シフトレバーの基準位置から所定の操作位置への遷移操作を有効にするので、充電判断状態が検出されていてもブレーキペダルの踏込み量が多くなった時には、シフトレバーの基準位置から所定の操作位置への遷移操作が有効になる。このため、充電判断状態が検出されていても、ブレーキペダルの踏込み量が多くなった時に、決められた制限を満たしたとされて、シフトレバーの遷移操作を有効にすることが可能になる。
【0011】
充電判断手段による車両の充電判断状態の検出は、給電プラグが充電口に差し込まれたことにより充電が実施できる状態になったことで充電判断状態が検出される。また、例えば、非接触の充電装置が適用される場合、車両が所定の充電可能範囲に位置したことで、充電判断状態が検出される。
【0014】
また、前記制限部材はシフトレバーであり、前記制限部材の操作量は前記シフトレバーの遷移操作継続時間であり、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出されていない時に、前記第1の変更条件量である第1の遷移操作継続時間で、前記シフトレバーが前記操作位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にし、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出された時に、前記第1の遷移操作継続時間よりも長い前記第2の変更条件量である第2の遷移操作継続時間で、前記シフトレバーが前記操作位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にすることが好ましい。
【0015】
これにより、充電判断検出手段により車両の充電判断状態が検出された時に、シフトレバーの遷移操作継続時間が、第1の遷移操作継続時間よりも長い第2の遷移操作継続時間で、シフトレバーが操作位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にするので、充電判断状態が検出されていてもシフトレバーの遷移操作継続時間が長くなった時には、シフトレバーの遷移操作が有効になる。このため、充電判断状態が検出されていても、シフトレバーの遷移操作継続時間が長くなった時に、決められた制限を満たしたとされて、シフトレバーの遷移操作を有効にすることが可能になる。
【0016】
また、前記制限部材はシフトレバーであり、前記制限部材の操作量は前記シフトレバーの遷移操作量であり、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出されていない時に、前記第1の変更条件量である第1の遷移操作量の操作で、前記シフトレバーが前記操作位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にし、前記充電判断検出手段により前記車両の充電判断状態が検出された時に、前記第1の遷移操作量よりも多い操作量の前記第2の変更条件量である第2の遷移操作量の操作で、前記シフトレバーが前記操作位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にすることが好ましい。
【0017】
これにより、充電判断検出手段により車両の充電判断状態が検出された時に、シフトレバーの遷移操作量が、第1の遷移操作量よりも多い第2の遷移操作量で、シフトレバーが操作位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にするので、充電判断状態が検出されていてもシフトレバーの遷移操作量が多くなった時には、シフトレバーの遷移操作が有効になる。このため、充電判断状態が検出されていても、シフトレバーの遷移操作量が多くなった時に、決められた制限を満たしたとされて、シフトレバーの遷移操作を有効にすることが可能になる。
【0018】
また、請求項2に係る本発明のシフト制御装置は、請求項1に記載のシフト制御装置において、前記第2の変更条件量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にする際に、前記車両の走行を制限する制限手段の動作状況を条件にすることを特徴とする。
【0019】
請求項2に係る本発明では、第2の変更条件量でシフトレバーの遷移操作を有効にする際に、車両の走行を制限する制限手段の動作状況を条件にするので、制限手段の動作に関連付けて、意図的にシフトレバーの遷移操作を有効にする操作を行うことができる。
【0020】
また、請求項3に係る本発明のシフト制御装置は、請求項2に記載のシフト制御装置において、前記制限手段は、駐車ブレーキであり、前記駐車ブレーキが非作動の時に、前記第2の変更条件量で前記シフトレバーの前記基準位置から前記所定の操作位置への遷移操作を有効にすることを特徴とする。
【0021】
請求項3に係る本発明では、駐車ブレーキが非作動の時に、第2の変更条件量でシフトレバーの遷移操作を有効にするので、駐車ブレーキを非作動にして走行が可能な条件で、意図的にシフトレバーの遷移操作を有効にする操作を行うことができる。
【0022】
尚、制限手段としては、ドアの開閉状態を検出する手段、シートベルトの装着を検出する手段、サイドミラーの傾倒を検出する手段、乗員の着座を検出する着座センサを適用することができる。この場合、第2の変更条件量でシフトレバーの遷移操作を有効にするには、ドアが開いている状態、シートベルトが装着されていない状態、サイドミラーが倒されている状態、乗員の着座が検出されていない状態が適用され、通常の走行を行わない状況を条件とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシフト制御装置は、充電判断状態が検出されていても決められた制限を満たした時にシフトレバーの遷移操作を有効にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に適用されるシフトレバーの外観図である。
図2】本発明の第1実施例に係るシフト制御装置のブロック構成図である。
図3】本発明の第1実施例に係るシフト制御装置のフローチャートである。
図4】本発明の第2実施例(参考例)に係るシフト制御装置のブロック構成図である。
図5】本発明の第2実施例(参考例)に係るシフト制御装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のシフト制御装置は、外部から電力が供給されて充電が実施される車両のシフト制御装置であり、充電中や充電が実施できる状態(充電判断状態が検出されている時)であっても、決められた制限を満たした時に(制限部材による所定の制限の下で)、シフトレバーの基準位置(例えば、駐車状態の位置:P位置)から所定の操作位置(例えば、中立位置:N位置)への遷移操作を有効にするものである。
【0026】
制限部材による所定の制限としては、シフトレバーの遷移操作を可能にする前提としてのブレーキペダルの踏込み量、シフトレバーの遷移操作の継続時間、シフトレバーの遷移操作の操作量が適用される。ブレーキペダルを通常よりも多く踏込んだ時にシフトレバーの遷移操作を有効にすることができる。また、シフトレバーを通常よりも長く遷移操作したり、通常よりも多い操作量で操作したりした時にシフトレバーの遷移操作を有効にすることができる。
【0027】
制限部材による所定の制限の下でシフトレバーの遷移操作を有効にすることで、充電中や充電が実施できる状態であっても、車両の移動が可能になる。このため、充電中や充電が実施できる状態にある車両を、少し移動させて荷物の出し入れや、乗員の出入りを行うことが可能になり、使い勝手を向上させることができる。
【0028】
図1に基づいて本発明のシフト制御装置に適用されるシフトレバーを説明する。図1には本発明のシフト制御装置に適用されるシフトレバーの外観を示してある。
【0029】
図に示したシフトレバー1は、基準位置Xから(図中実線で示した状態から)中立位置(N位置)、ドライブ位置(D位置)、後退位置(R位置)にシフトレバー1を遷移操作させることで(図中点線矢印で示した方向に操作させることで)、所定の操作継続時間により遷移操作が有効になって、アクチュエータによりシフト位置が切り替えられる。遷移操作が有効になった後にシフトレバー1から手を離すことで、シフトレバー1は基準位置Xに戻される(図中実線矢印で示した方向に戻される)。そして、シフトレバー1が基準位置Xにある時に、駐車ボタンPを押すことで、基準位置Xが駐車状態の位置(P位置)とされる。
【0030】
尚、シフトレバーの装置としては、P位置、R位置、N位置、D位置にレバーを遷移移動させ、その場にレバーが保持される装置を適用することも可能である。
【0031】
図1に示したシフトレバー1を有する車両は、本発明の一実施例に係るシフト制御装置を備えている。本発明の一実施例に係るシフト制御装置を備えた車両は、外部から電力が供給されて充電が実施される車両であり、給電プラグが接続される給電口を備えている。給電口に給電プラグが接続された時に、車両の充電判断が検出される(充電判断検出手段)。
【0032】
尚、充電判断検出手段として、給電プラグが接続されて実際に給電が開始された時に車両の充電状態を検出することも可能である。また、非接触の充電装置が適用される場合、車両が所定の充電位置の範囲に移動した時、実際に充電が開始された時に、車両の充電状態を検出することも可能である。
【0033】
本発明の第1実施例に係るシフト制御装置では、充電判断状態が検出されている時には、決められた制限を満たした時に、シフトレバー1を基準位置X(P位置)から所定の操作位置であるN位置へ遷移操作した際に、シフトレバー1の遷移操作を有効にするものである。決められた制限としては、シフトレバーの遷移操作を可能にする前提としてのブレーキペダルの踏込みにおける踏込み量(制限部材の操作量)が適用される。
【0034】
図2図3に基づいて本発明の第1実施例に係るシフト制御装置を具体的に説明する。図2には本発明の第1実施例に係るシフト制御装置のブロック構成、図3には本発明の第1実施例に係るシフト制御装置の動作状況を説明するフローチャートを示してある。
【0035】
図2に基づいてシフト制御装置のブロック構成を具体的に説明する。
【0036】
図に示すように、シフト制御装置には、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にする際のブレーキペダルの踏込み量が設定された制御装置11が備えられている。制御装置11には、シフトレバー1のシフト位置を判定するシフト位置判定手段12が備えられている。
【0037】
そして、制御装置11には、第1のブレーキ踏込み量設定手段13が備えられている。第1のブレーキ踏込み量設定手段13では、充電判断検出手段により給電プラグが接続されていないことが検出されている時の第1のブレーキ踏込み量が設定される。即ち、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にするブレーキペダルの踏込み量が、第1のブレーキ踏込み量(第1の変更条件量)として設定される。
【0038】
また、制御装置11には、第2のブレーキ踏込み量設定手段14が備えられている。第2のブレーキ踏込み量設定手段14では、充電判断検出手段により給電プラグが接続されていることが検出されている時の第2のブレーキ踏込み量が設定される。即ち、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にするブレーキペダルの踏込み量が、第1のブレーキ踏込み量よりも多い踏込み量の第2のブレーキ踏込み量(第2の変更条件量)として設定される。
【0039】
更に、制御装置11には、入力情報に基づいてシフトレバー1の遷移操作を有効にするためのブレーキ踏込み量を選択・判定するブレーキ踏込み量判定手段15が備えられている。即ち、ブレーキ踏込み量判定手段15では、入力情報に基づいて、第1のブレーキ踏込み量設定手段13で設定された第1のブレーキ踏込み量、もしくは、第2のブレーキ踏込み量設定手段14で設定された第2のブレーキ踏込み量を選択する。そして、ブレーキ踏込み量判定手段15は、実際のブレーキの踏込み量が、選択された踏込み量になったかどうかを判定する。
【0040】
制御装置11には、シフトレバー1の操作情報、給電プラグの接続情報、ブレーキペダルの踏込み量の情報(ブレーキ踏込み量の情報)、制限手段としての駐車ブレーキの操作の情報が入力される。制御装置11からは、シフトレバー1の遷移操作を有効にする指令、即ち、シフト位置の動作を行うアクチュエータに動作指示の指令が出力される。
【0041】
図3に基づいて制御動作を具体的に説明する。
【0042】
図に示すように、ステップS1で給電プラグが接続されているか否かが判断され、ステップS1で給電プラグが接続されていると判断された場合、ステップS2で駐車ブレーキがオフであるか(非作動であるか)否かが判断される。ステップS1で給電プラグが接続されていないと判断された場合、充電判断状態が検出されていないとされてステップS3で第1のブレーキ踏込み量Bが設定される(第1のブレーキ踏込み量設定手段13)。
【0043】
ステップS2で駐車ブレーキがオフではない、即ち、オンであり駐車ブレーキが作動中であると判断された場合、給電プラグが接続されている場合でも、車両を動かさない意思が働いている状態なので、ステップS3で第1のブレーキ踏込み量Bが設定される(第2のブレーキ踏込み量設定手段14)。
【0044】
ステップS3で第1のブレーキ踏込み量Bが設定された後、ステップS4でブレーキペダルの踏込み量が踏込み量B以上であるか否かが判断され、ステップS4でブレーキペダルの踏込み量が踏込み量B以上であると判断された場合、ステップS5でシフトレバー1の遷移操作が有効にされ、リターンとなる。
【0045】
つまり、給電プラグが接続されていない時には、決められた制限を満たさない状態で(ブレーキペダルの踏込み量が多くないB以上の状態で)シフトレバー1の遷移操作を有効にすることができる。また、給電プラグが接続されていても、駐車ブレーキが作動中であれば、決められた制限を満たさない状態で(ブレーキペダルの踏込み量が多くないB以上の状態で)シフトレバー1の遷移操作を有効にすることができる。
【0046】
一方、ステップS2で駐車ブレーキがオフであると判断された場合、給電プラグが接続されている状態で駐車ブレーキが非作動になっているので、ステップS6で第2のブレーキ踏込み量A(A>B)が設定される。
【0047】
ステップS6で第2のブレーキ踏込み量Aが設定された後、ステップS7でブレーキペダルの踏込み量が踏込み量A以上であるか否かが判断され、ステップS7でブレーキペダルの踏込み量が踏込み量A以上であると判断された場合、ステップS5でシフトレバー1の遷移操作が有効にされ、リターンとなる。
【0048】
つまり、駐車ブレーキが非作動状態で、給電プラグが接続されている場合、決められた制限を満たした時に(ブレーキペダルの踏込み量が踏込み量Bよりも多い踏込み量A以上の時に)、シフトレバー1の遷移操作を有効にすることができる。
【0049】
従って、給電プラグが接続されている時に、ブレーキペダルの踏込み量が、第1のブレーキ踏込み量Bよりも踏込み量が多い第2のブレーキ踏込み量Aで(ブレーキペダルを通常よりも多く踏込んだ時に)、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にするので、給電プラグが接続されていてもブレーキペダルの踏込み量が多くなった時には、シフトレバー1の遷移操作が有効になる。
【0050】
このため、給電プラグが接続されていても、ブレーキペダルの踏込み量が多くなった時に、決められた制限を満たしたとされて、シフトレバー1の遷移操作を有効にすることが可能になり、車両を移動させることができるようになる。これにより、充電中の車両であっても、少し移動させて、荷物の出し入れや、乗員の出入りを行うことが可能になり、使い勝手を向上させることができる。
【0051】
また、第2のブレーキ踏込み量Aでシフトレバー1の遷移操作を有効にする際に、車両の走行を制限する駐車ブレーキの動作状況(非作動の状況)を条件にするので、駐車ブレーキの動作に関連付けて、意図的にシフトレバー1の遷移操作を有効にする操作を行うことができる。
【0052】
尚、車両の走行を制限する制限手段として、駐車ブレーキの動作の状況を条件にしているが、駐車ブレーキがオフである判断(ステップS2)の処理を省略することも可能である。
【0053】
また、制限手段としては、ドアの開閉状態を検出する手段、シートベルトの装着を検出する手段、サイドミラーの傾倒を検出する手段、乗員の着座を検出する着座センサのいずれか、もしくは、複数の組み合わせを適用することができる。この場合、ドアが開いている状態、シートベルトが装着されていない状態、サイドミラーが倒されている状態、乗員の着座が検出されていない状態を、通常の走行を行わない状況として、第2のブレーキ踏込み量Aでシフトレバー1の遷移操作を有効にする条件とすることができる。
【0054】
上述したシフト制御装置は、給電プラグが接続されていても、ブレーキペダルの踏込み量が多くなった時に(決められた制限を満たした時に)、シフトレバー1の遷移操作を有効にすることが可能になる。
【0055】
図4図5に基づいて本発明の第2実施例(参考例)に係るシフト制御装置を具体的に説明する。図4には本発明の第2実施例(参考例)に係るシフト制御装置のブロック構成、図5には本発明の第2実施例(参考例)に係るシフト制御装置の動作状況を説明するフローチャートを示してある。尚、図3に示した第1実施例と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0056】
本発明の第2実施例(参考例)に係るシフト制御装置では、充電判断状態が検出されている時には、第1実施例と同様に、決められた制限を満たした時に、シフトレバー1を基準位置X(P位置)から所定の操作位置であるN位置へ遷移操作した際に、シフトレバー1の遷移操作を有効にするものである。決められた制限としては、シフトレバー1の遷移操作の継続時間(制限部材の操作量)が適用される。
【0057】
図4に基づいてシフト制御装置のブロック構成を具体的に説明する。
【0058】
図に示すように、シフト制御装置には、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にする際のシフトレバー1の遷移操作継続時間が設定された制御装置21が備えられている。制御装置21には、シフトレバー1のシフト位置を判定するシフト位置判定手段12が備えられている。
【0059】
そして、制御装置21には、第1の遷移操作継続時間設定手段23が備えられている。第1の遷移操作継続時間設定手段23では、充電判断検出手段により給電プラグが接続されていないことが検出されている時のシフトレバー1の第1の遷移操作継続時間が設定される。即ち、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にするシフトレバー1のN位置の側への操作の継続時間が、第1の遷移操作継続時間(第1の変更条件量)として設定される。
【0060】
また、制御装置21には、第2の遷移操作継続時間設定手段24が備えられている。第2の遷移操作継続時間設定手段24では、充電判断検出手段により給電プラグが接続されていることが検出されている時のシフトレバー1の第2の遷移操作継続時間が設定される。即ち、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にするシフトレバー1のN位置の側への操作の継続時間が、第1の遷移操作継続時間よりも長い時間の第2の遷移操作継続時間(第2の変更条件量)として設定される。
【0061】
更に、制御装置21には、入力情報に基づいてシフトレバー1の遷移操作を有効にするための遷移操作継続時間を選択・判定する継続時間判定手段25が備えられている。即ち、継続時間判定手段25では、入力情報に基づいて、第1の遷移操作継続時間設定手段23で設定された第1の遷移操作継続時間、もしくは、第2の遷移操作継続時間設定手段24で設定された第2の遷移操作継続時間を選択する。そして、継続時間判定手段25は、実際のシフトレバー1の遷移操作の継続時間が、選択された継続時間になったかどうかを判定する。
【0062】
制御装置21には、シフトレバー1の操作情報、給電プラグの接続情報、制限手段としての駐車ブレーキの操作の情報が入力される。制御装置21からは、シフトレバー1の遷移操作を有効にする指令、即ち、シフト位置の動作を行うアクチュエータに動作指示の指令が出力される。
【0063】
図5に基づいて制御動作を具体的に説明する。
【0064】
図に示すように、ステップS11で給電プラグが接続されているか否かが判断され、ステップS11で給電プラグが接続されていると判断された場合、ステップS12で駐車ブレーキがオフであるか(非作動であるか)否かが判断される。ステップS11で給電プラグが接続されていないと判断された場合、充電判断状態が検出されていないとされてステップS13で第1の遷移操作継続時間T1が設定される(第1の遷移操作継続時間設定手段23)。
【0065】
ステップS12で駐車ブレーキがオフではない、即ち、オンであり駐車ブレーキが作動中であると判断された場合、給電プラグが接続されている場合でも、車両を動かさない意思が働いている状態なので、ステップS13で第1の遷移操作継続時間T1が設定される。
【0066】
ステップS13で第1の遷移操作継続時間T1が設定された後、ステップS14でシフトレバー1の遷移操作の継続時間Tが第1の遷移操作継続時間T1以上であるか否かが判断され、ステップS14でシフトレバー1の遷移操作の継続時間Tが第1の遷移操作継続時間T1以上であると判断された場合、ステップS15でシフトレバー1の遷移操作が有効にされ、リターンとなる。
【0067】
つまり、給電プラグが接続されていない時には、決められた制限を満たさない状態で(シフトレバー1の遷移操作継続時間が長くないT1以上の状態で)シフトレバー1の遷移操作を有効にすることができる。また、給電プラグが接続されていても、駐車ブレーキが作動中であれば、決められた制限を満たさない状態で(シフトレバー1の遷移操作継続時間が長くないT1以上の状態で)シフトレバー1の遷移操作を有効にすることができる。
【0068】
一方、ステップS12で駐車ブレーキがオフであると判断された場合、給電プラグが接続されている状態で駐車ブレーキが非作動になっているので、ステップS16で第2の遷移操作継続時間T2(T2>T1)が設定される。
【0069】
ステップS16で第2の遷移操作継続時間T2が設定された後、ステップS17でシフトレバー1の遷移操作の継続時間Tが第2の遷移操作継続時間T2以上であるか否かが判断され、ステップS17でシフトレバー1の遷移操作の継続時間Tが第2の遷移操作継続時間T2以上であると判断された場合、ステップS15でシフトレバー1の遷移操作が有効にされ、リターンとなる。
【0070】
つまり、駐車ブレーキが非作動状態で、給電プラグが接続されている場合、決められた制限を満たした時に(シフトレバー1の遷移操作継続時間がT1よりも長いT2以上の時に)、シフトレバー1の遷移操作を有効にすることができる。
【0071】
従って、給電プラグが接続されている時に、シフトレバー1の遷移操作の継続時間Tが、第1の遷移操作継続時間T1よりも長い時間の第2の遷移操作継続時間T2で(遷移移動を長く継続させた時に)、シフトレバー1のP位置からN位置への遷移操作を有効にするので、給電プラグが接続されていてもシフトレバー1の遷移移動を長く継続させた時には、シフトレバー1の遷移操作が有効になる。
【0072】
このため、給電プラグが接続されていても、シフトレバー1の遷移移動を長く継続させた時に、決められた制限を満たしたとされて、シフトレバー1の遷移操作を有効にすることが可能になり、車両を移動させることができるようになる。これにより、充電中の車両であっても、少し移動させて、荷物の出し入れや、乗員の出入りを行うことが可能になり、使い勝手を向上させることができる。
【0073】
また、第2の遷移操作継続時間T2でシフトレバー1の遷移操作を有効にする際に、車両の走行を制限する駐車ブレーキの動作状況(非作動の状況)を条件にするので、駐車ブレーキの動作に関連付けて、意図的にシフトレバー1の遷移操作を有効にする操作を行うことができる。
【0074】
尚、上記第2実施例では、シフトレバー1の遷移操作継続時間を制限部材の操作量としたが、第1の遷移操作継続時間、第2の遷移操作継続時間に代えて、第1の遷移操作量、第2の遷移操作量を適用することが可能である。つまり、給電プラグが接続されていない時に、第1の遷移操作量の操作で、シフトレバー1がP位置からN位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にし、給電プラグが接続されていない時に、第1の遷移操作量よりも操作量が多い第2の遷移操作量でシフトレバー1がP位置からN位置に遷移したことを判定して遷移操作を有効にすることも可能である。遷移操作量は電圧の値を検出することで容易に判断することができる。
【0075】
また、車両の走行を制限する制限手段として、駐車ブレーキの動作の状況を条件にしているが、第1実施例の場合と同様に、駐車ブレーキがオフである判断(ステップS12)の処理を省略することも可能である。
【0076】
更に、制限手段としては、第1実施例と同様に、ドアの開閉状態を検出する手段、シートベルトの装着を検出する手段、サイドミラーの傾倒を検出する手段、乗員の着座を検出する着座センサのいずれか、もしくは、複数の組み合わせを適用することができる。この場合、ドアが開いている状態、シートベルトが装着されていない状態、サイドミラーが倒されている状態、乗員の着座が検出されていない状態を、通常の走行を行わない状況として、第2の遷移操作継続時間T2でシフトレバー1の遷移操作を有効にする条件とすることができる。
【0077】
上述したシフト制御装置は、給電プラグが接続されていても、シフトレバー1の遷移操作継続時間が長くなった時に(決められた制限を満たした時に)、シフトレバー1の遷移操作を有効にすることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、外部の電力が充電される車両のシフト制御装置の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 シフトレバー
11、21 制御装置
12 シフト位置判定手段
13 第1のブレーキ踏込み量設定手段
14 第2のブレーキ踏込み量設定手段
15 ブレーキ踏込み量判定手段
23 第1の遷移操作継続時間設定手段
24 第2の遷移操作継続時間設定手段
25 継続時間判定手段
図1
図2
図3
図4
図5