(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525165
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】乱用および誤用抑止経皮システム
(51)【国際特許分類】
A61K 9/70 20060101AFI20190527BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20190527BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20190527BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20190527BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20190527BHJP
A61K 31/4468 20060101ALI20190527BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20190527BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20190527BHJP
A61K 31/4458 20060101ALI20190527BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
A61K9/70
A61K47/18
A61K47/38
A61K47/32
A61K31/167
A61K31/4468
A61K31/4535
A61K31/485
A61K31/4458
A61P25/30
【請求項の数】24
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-548240(P2016-548240)
(86)(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公表番号】特表2017-505312(P2017-505312A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】US2015012196
(87)【国際公開番号】WO2015112563
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2018年1月22日
(31)【優先権主張番号】61/930,090
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/083,620
(32)【優先日】2014年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/014,723
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/930,104
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/014,721
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516219554
【氏名又は名称】4ピー セラピューティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エンスコア、デイヴィッド、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】タグリアフェッリ、フランク
(72)【発明者】
【氏名】デイモン、スティーブン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アラン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールディング、ジェフリー、シー.
【審査官】
今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/024408(WO,A1)
【文献】
特表2006−525315(JP,A)
【文献】
特開2002−193835(JP,A)
【文献】
特開2005−248132(JP,A)
【文献】
特表2013−523780(JP,A)
【文献】
特表2007−523167(JP,A)
【文献】
特表2006−525370(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0109886(US,A1)
【文献】
特表2006−501241(JP,A)
【文献】
特表2006−521928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチバッキング層を含む乱用抑止または誤用抑止経皮パッチシステムであって、ここで、該バッキング層は、遠位側および近位側を含み、ここで、1つ以上の嫌悪剤は、バッキング層の遠位側上に組み込まれ、または不可逆的に付着し、接着剤層が前記バッキング層の近位側に付着されており、およびここで、該1つ以上の嫌悪剤は、溶解媒体中に浸漬した場合、二相放出プロファイルを示す、上記システム。
【請求項2】
前記経皮パッチシステムおよび前記接着剤層は、任意の薬物を含まない、または本質的に含まない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接着剤層は、治療活性剤を含有する付着性の層である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
治療活性剤は、性ステロイドホルモン、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド、オピオイド、麻薬性鎮痛薬、および興奮剤からなる群から選択される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記治療活性剤は、オピオイド、麻薬性鎮痛薬、および興奮剤からなる群から選択される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記オピオイド、麻薬性鎮痛薬、または興奮剤は、フェンタニル、スフェンタニル、ブプレノルフィンおよびメチルフェニデートからなる群から選択される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、剥離ライナーをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記剥離ライナーは、透過性剥離ライナーである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記透過性剥離ライナーは、穿孔透過性剥離ライナーである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記穿孔透過性剥離ライナーは、直径で約0.05〜約0.50mmの穴を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記穴は、平方センチメートル当たり約75〜約150穴の密度である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の嫌悪剤が、ポリマー層に組み込まれる、請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記ポリマー層は、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、天然ゴム、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドンおよびセルロースポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ポリマーが、ポリイソブチレンである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
パッチバッキング層、および付着性薬物含有層、および剥離ライナーを含む乱用抑止または誤用抑止経皮薬物送達システムであって、ここで、1つ以上の嫌悪剤が、パッチバッキング層の遠位側に組み込まれ、または不可逆的に付着し、ここで、付着性薬物含有層は、1つ以上の治療活性剤を含み、ここで、該付着性薬物含有層は、パッチバッキング層の近位側に付着され、ここで、該剥離ライナーは、付着性薬物含有層に可逆的に付着され、およびここで、該剥離ライナーは、透過性剥離ライナーである、上記薬物送達システム。
【請求項16】
前記治療活性剤は、性ステロイドホルモン、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド、オピオイド、麻薬性鎮痛薬、および興奮剤からなる群から選択される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記治療活性剤は、オピオイド、麻薬性鎮痛薬、および興奮剤からなる群から選択される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記オピオイド、麻薬性鎮痛薬、または興奮剤は、フェンタニル、スフェンタニル、ブプレノルフィンおよびメチルフェニデートからなる群から選択される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記透過性剥離ライナーは、穿孔透過性剥離ライナーである、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記穿孔透過性剥離ライナーは、直径で約0.05〜約0.50mmの穴を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記穴は、平方センチメートル当たり約75〜約150穴の密度である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上の嫌悪剤が、ポリマー層に組み込まれる、請求項15〜21のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
前記ポリマー層は、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、天然ゴム、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドンおよびセルロースポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ポリマーが、ポリイソブチレンである、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2014年1月21に出願された米国仮出願番号61/930,090;2014年1月21に出願された米国仮出願番号61/930,104;2014年6月19日に出願された米国仮出願番号62/014,721;2014年6月19に出願された米国仮出願番号62/014,723;および2014年11月24日に出願された米国仮出願番号62/083,620からの優先権の利益を主張し、これらの全ての全体が、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、経皮薬物送達の分野であり、より具体的に、システムの意図的な乱用または偶発的な誤用の可能性を制限する経皮システムである。
【0003】
発明の背景
治療剤の一日よび複数日の経皮薬物送達システムが開発され、市販されている。これらのシステムの多くは、経皮パッチである。パッチは多くの場合、薬物の治療有効量が意図する投与期間にわたって患者に送達されることを保証するために、治療剤の有意な過剰を含む。結果として、使用されるパッチは、パッチが所定の投与期間の間使用された後でも、薬物のかなりの量を含むことができる。また、これらの薬物の多くは、非常に強力であり、子供または動物が接種した場合、重篤な副作用を引き起こすことができる意図的な乱用または偶発的な誤用をする傾向がある。
【0004】
偶発的な誤用は、子供または動物が新鮮なパッチにアクセスする場合に発生することができ、パッチは、治療中に着用者の皮膚から落ち、使用されるパッチを破棄することができる。また、子供または動物が経皮パッチで処理される場合、それらは、除去し、咀嚼および/またはバッチを呑み込むこと、および危険なボーラス用量で薬物を受けとることを介してバッチを誤用する可能性があった。
【0005】
文献で報告されるこれらのシステムの乱用の複数のルートがある。主なルートは、咀嚼または直接頬設置を介するいずれかの口腔内薬物送達のためのプラットフォームとして、および注射または口腔内もしくは経口投与のためのパッチからの薬物を抽出するパッチの使用である。
【0006】
パッチ製剤中の薬物に特異的なアンタゴニストの取り込みを通して麻薬性鎮痛薬の乱用に対処する多くの特許が付与されている。これらの技術は、有効でありえるが、それらは、重大な欠点がある。具体的には、効果的であるために、アンタゴニスは、麻薬性鎮痛薬およびいくつかの他の薬物に適している薬物に特異的でなければならないが、一般的に経皮的に、送達可能な薬物でない。また、乱用抑止のこのルートのメカニズムは、効果的である麻薬およびそのアンタゴニストの両方の全身送達を必要とする。アゴニストおよびアンタゴニストは、適切な比率で送達されなければならず、アンタゴニストは、麻薬性鎮痛薬よりも早く体から除去されてはならない。薬物拮抗薬の取り込みを介して経皮システム乱用抑止に取り組む典型特許は、米国特許第5,149,538号、米国特許第5,236,714号および米国特許第7,182,955号である。
【0007】
他の特許は、パッチの困難の乱用をさせる嫌悪薬(苦味、辛味、および催吐薬)を取り込むことによって、より汎用的な方法から乱用抑止経皮パッチに近づく。嫌悪剤が、経皮パッチの皮膚接触層中で薬物と結合される場合、薬剤は、経皮的に透過性であってはならず、またはパッチが意図して使用される場合、有害な全身作用を引き起こしてはならず、皮膚を刺激またはそれらの意図される嫌悪効果を示してはならない(例えば、カプサイシンなど辛味剤が嫌悪剤と使用される場合、灼熱間を誘発する)。したがって、技術の多くは、経皮的に送達可能でないパッチ内の場所での嫌悪剤の取り込みを開示するが、パッチが乱用される場合、その抑止効果を発揮することができる。技術の一部は、薬物含有層から遠いシステムバッキング層中または上で嫌悪剤の配置を開示する。
【0008】
パッチバッキングで取り込まれる嫌悪剤の使用は、全ての経皮的に送達可能な薬物に適用されることができ、パッチの咀嚼またはその後の注射または口腔内もしくは経口投与のための薬物と一緒に嫌悪剤の抽出など、いくつかの乱用シナリオにおけるパッチの乱用を抑止することができる一般的な技術である。1つのそのようなパッチシステムは、米国特許第7,011,843号で開示される。しかしながら、乱用前に、嫌悪剤から薬物を分離するユーザーのための比較的簡単な手段がある。1つの手段は、パッチの薬物含有層から嫌悪剤を含むパッチバッキング層の物理的な分離である。別の手段は、水、アルコール、または別の一般的な溶媒中にパッチを置いてバッキング層から嫌悪剤を溶出し、一方、パッチ剥離ライナーを残しながら、主に薬物の溶出を排除する。これは、口腔または経口投与または注射のための嫌悪剤を含まない製剤からの薬物の摂取、頬配置、または溶出を介して、パッチのその後の乱用を可能にするだろう。したがって、経皮薬物システムの誤用および意図的な乱用を効果的に抑止する経皮システムの必要性が依然としてある。
【0009】
発明の概要
1つの側面において、本発明は、パッチバッキング層を含む乱用抑止または誤用抑止経皮パッチシステムを提供し、ここで、1つ以上の嫌悪剤は、パッチバッキング層の遠位側上に組み込まれ、または不可逆的に付着し、およびここで、該1つ以上の嫌悪剤は、溶解媒体中に浸漬した場合、二相または持続性放出プロファイルを示す。
【0010】
別の側面において、本発明は、パッチバッキング層、付着性薬物含有層、および剥離ライナーを含む乱用抑止または誤用抑止経皮薬物送達システムを提供し、ここで、1つ以上の嫌悪剤が、パッチバッキング層の遠位側上に組み込まれ、または不可逆的に付着し、ここで、付着性薬物含有層は、1つ以上の治療活性剤を含み、ここで、該付着性薬物含有層は、パッチバッキング層の近位側に付着され、ここで、該剥離ライナーは、付着性薬物含有層に可逆的に付着され、およびここで、該剥離ライナーは、透過性剥離ライナーである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、本発明による乱用抑止/誤用抑止パッチシステムの断面図である。
【0012】
図1Bは、本発明による別の乱用抑止/誤用抑止パッチシステムの断面図である。
【0013】
【
図2】
図2は、時間にわたる、水または95%エタノール中に嫌悪剤のわずかな放出の代表的なグラフである。
【0014】
【
図3】
図3は、様々な剥離ライナーの存在下でまたは非存在下での時間にわたる水中へのリドカインのわずかな放出の代表的なグラフである。
【0015】
【
図4】
図4は、様々な剥離ライナーの存在下でまたは非存在下での時間にわたる50%エタノール中へのリドカインのわずかな放出の代表的なグラフである。
【0016】
【
図5】
図5は、様々な剥離ライナーの存在下での時間にわたる水中へのフェンタニルのわずかな放出の代表的なグラフである。
【0017】
【
図6】
図6は、様々な剥離ライナーの存在下でまたは非存在下での時間にわたる50%エタノール中へのフェンタニルのわずかな放出の代表的なグラフである。
【0018】
【
図7】
図7は、様々な剥離ライナーの存在下でまたは非存在下での時間にわたる95%エタノール中へのフェンタニルのわずかな放出の代表的なグラフである。
【0019】
【
図8】
図8は、剥離ライナーの非存在下での時間にわたる水または95%エタノール中への嫌悪剤およびフェンタニルのわずかな放出の代表的なグラフである。
【0020】
【
図9】
図9は、穿孔セルロース剥離ライナーの存在下での時間にわたる水または95%エタノール中への嫌悪剤およびフェンタニルのわずかな放出の代表的なグラフである。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は乱用抑止または誤用抑止パッチシステムを提供する。パッチシステムは、経皮薬物送達パッチシステム、または誤用を阻止するためのオーバーレイパッチシステムであることができる。
図1は、本発明の特定の態様により、乱用抑止または誤用抑止パッチシステムを示す。嫌悪剤層1は、パッチバッキング層2の遠位側に不可逆的に付着される。接着剤層または付着薬物含有層3は、バッキング層2の近位側に不可逆的に付着される。剥離ライナー4は、接着剤層または付着薬物含有層3に可逆的に付着される。
【0022】
本発明の乱用抑止または誤用抑止経皮システムは、嫌悪剤または嫌悪剤の組み合わせを利用する。本明細書中で使用される場合、用語「嫌悪剤」は、薬剤に曝露されるヒトを含む動物において、強力な、一時的な、非致死性ネガティブ反応を誘発する任意の薬剤を意味する。そのような嫌悪剤は、苦味剤、刺激剤、および催吐剤を含むが、これらに限定されない。1つの態様において、嫌悪剤は、薬剤に曝露される動物による全身吸収を必要とするのではなく、局所的に作用する薬剤である。口の中に配置される、または吸入、注入、直腸または膣に置かれた場合、灼熱感または他の負の感覚を引き出す場合、局所的に活性な薬剤は、負の感覚(例えば、不快な味、灼熱感または嘔吐)を引き出す。適切な嫌悪剤は、安息香酸デナトニウム、デナトニウム糖類、スクロースオクタアセテート、ケルセチン、カプサイシン、レシニフェラトキシン、クァシン、ブルシン、ピペリン、イソチオシアン酸アリル、ミョウバン、硫酸銅、およびエメチンを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、嫌悪剤は、無傷のヒトの皮膚を通るいくつかの透過性を有するように選択される。いくつかの態様において、2つ以上の嫌悪剤は、乱用または誤用の抑止力を高めるために、または乱用または誤用の複数の方法を阻止するために組み込まれる。
【0023】
本明細書中で使用される場合、語句「治療活性剤」は、ビタミン、ミネラルサプリメントおよび天然物を含む、任意の製剤、処方箋なしで、または配合医薬品または薬剤を意味し、それは、薬剤の以下の投与において生理学的応答を誘発し、一般的に、怪我もしくは病気を治療または予防することが意図される。語句「治療活性剤」および用語「薬物」は、本明細書中で、交互に用いられる。
【0024】
本発明による経皮パッチシステムは、バッキング層を含む。バッキング層は、典型的に、不透過性である、または存在する場合、嫌悪剤(複数可)および治療活性剤(複数可)に不透過性である、または少なくとも実質的に不透過性である材料または材料の組み合わせで作られている。バッキング層は、同じまたは異なる材料の単層または複数の層であることができる。経皮パッチシステムのためのバッキング層を調製するための材料は、当該分野で周知である。バッキング層に適した材料は、ポリエチレンおよびポリオレフィンを含むポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、多層EVAフィルムおよびポリエステルを含むポリエステル;ポリウレタン;またはそれらの組み合わせが挙げられる。他の適切な材料としては、酢酸セルロース、可塑化ビニル酢酸ビニルクロライドコポリマー、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン(例えば、SARAN)、エチレン−メタクリレートコポリマー(Surlyn)、アルミホイルおよびポリマー−金属コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
バッキング層は、可撓性または非可撓性であってもよい。1つの態様において、バッキング層は、可撓性であり、経皮バッチシステムが付着される動物の身体部位の形状に適合することができる。
【0026】
本発明によるバッキング層は、遠位側と近位側を有する。嫌悪剤(複数可)は、経皮パッチのバッキング層の遠位側にまたは遠位側上に組み込まれる。治療活性剤を有するまたは有しない、パッチを付けている動物の皮膚と接触する接着剤層は、バッキング層の近位側の上にある。不透過性バッキング層の遠位側上に嫌悪剤(複数可)を配置することは、パッチの近位側に嫌悪剤(複数可)の送達を防ぐ。不透過性バッキング層の近位側上に治療活性剤を配置することは、バッキング層の遠位側に治療活性剤の送達を防ぐ。
【0027】
嫌悪剤(複数可)は、単独でバッキング層の遠位側に結合されることができる、またはバッキング層に適用される1つ以上のポリマーフィルム層において溶解、分散、または溶解および分散されることができる。好ましいポリマー層は、バッキング層に強力に接着するが、衣服または毛皮にくっつくことから嫌悪剤層を防止するために非付着性である。
【0028】
いくつかの態様において、バッキング層は、薬物不透過性バッキング層の片側または両側に不可逆的に結合される、発泡体または織物または不織布などの非拡張表面領域または追加の層を有する。拡張される表面は、嫌悪剤層、付着薬剤含有層、またはその両方として機能し、互いからパッチ層の物理的分離の難しさを増すために役立つことができる。
図1Aは、本発明のこの特定の態様による乱用抑止または誤用抑止パッチシステムを示す。嫌悪剤層1は、不織布または発泡体層5を介してパッチバッキング2の遠位側に不可逆的に付着される。接着剤層または付着薬物含有層3は、不織布または発泡体層5を介して、バッキング層2の近位側に不可逆的に付着される。剥離ライナー4は、接着剤層または付着薬物含有層3に不可逆的に付着される。
図2において、不透過性バッキング層2の近位側および遠位側の両方は、不織布5の結合層を有する。しかしながら、特定の態様において、不織布層5は、バッキング層2の遠位側上のみまたは近位側上のみに存在する。
【0029】
嫌悪剤(複数可)は、薄膜を形成するために1つ以上のポリマーに組み込まれることができる。そのような層の調製に適切なポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、天然ゴム、エチレン/ビニルアセテートコポリマー(5〜60%ビニルアセテート)、ポリエチレン、エチレン/エチルアクリレートコポリマー(5〜60%エチルアクリレート)、ポリビニルピロリドンおよび架橋ポリビニルピロリドン、およびセルロースポリマーを含むが、限定されない。本明細書中で使用される場合、語句「ポリマー層」は、1つ以上のポリマー薄膜層を意味する。個々のフィルム層は、押し出し後に積層されることができ、バッキング層上に溶媒キャストすることができ、または共押出することができる。このような単層および複数フィルム層の製造は、当該分野で周知である。嫌悪剤を含むポリマー層は、ポリマー層が溶解媒体に接触する場合、嫌悪剤(複数可)の迅速な初期放出を促進するために、単純な塩またはポリビニルピロリドンなどの高水溶性薬剤を含有しうる。
【0030】
本明細書中で使用される場合、語句「溶解媒体」は、水性または非水性液体溶媒を意味する。水性液体溶媒は、限定されないが、水のみ、水および1つ以上の塩を含む溶液、酸または塩基、または水およびエタノールまたはイソプロパノールなどの1つ以上のアルコールを含む溶液を含む液体を含む。非水性液体溶媒は、水および水溶液以外の液体を含むが、限定されず、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、トルエン、およびミネラルスプリットなどの一般的な家庭用の溶媒を含むが、限定されない。当業者は、特定の非水性液体溶媒は、約5%水を含む95%エタノールなど、水のいくらかの量を含むことができる。したがって、本発明の目的のために、95%エタノールなどの非水性の性質を示すそれらの溶媒は、非水性と考えられ、一方、水性の性質を示す50%エタノールおよび50%水などの溶液は、一般的に、水性溶媒と考えられる。
【0031】
特定の態様において、嫌悪剤(複数可)は、溶解溶媒中に浸漬した場合、二相または持続放出プロファイルで放出される。二相または持続放出プロファイルは、即時放出層および持続放出層からなる。即時放出層は、パッチの咀嚼または他の粉砕または磨耗の必要なしに、口、鼻、直腸または膣などの1つ以上の体腔で溶解媒体または水分に接触後すぐにまたは非常にすぐに、嫌悪剤(複数可)の一部がバッキング層から放出する層である。本発明の1つの態様において、嫌悪剤(複数可)の即時放出部は、過剰摂取またはパッチから放出される薬物の潜在的に毒性の用量の前の嫌悪効果を誘発するのに十分な量である。例えば、辛味嫌悪剤が使用され、システムが口の中に配置される場合、嫌悪剤(複数可)の即時放出部分は、過剰摂取または薬物の潜在的に有毒な量が放出される前にその口からパッチを除去するために曝露される動物に強いる灼熱感を生じるのに十分な量である。
【0032】
嫌悪剤(複数可)の持続部分は、即時部分よりもゆっくり放出されるように、ポリマー層に組み込まれる。本発明の1つの態様において、持続放出部分は、そのまま残されているパッチ放出と一緒にまたはなしに、パッチ中の大量の薬剤が、嫌悪剤としての時間の同じ期間の間、溶解溶媒中に抽出されたように、十分に長い時間にわたって放出される嫌悪剤の部分である。持続放出部分は、順次抽出して薬物および嫌悪剤(複数可)を効果的に分離することをより難しくする。また、嫌悪剤(複数可)の持続放出部分は、パッチが入浴または水泳の間に磨耗する場合でも、使用されるパッチにおいて、嫌悪剤の有効量を提供することができる。
【0033】
嫌悪剤(複数可)放出の二相または持続パターンは、いくつかのメカニズムを介して達成されることができる。1つの態様において、嫌悪剤は、嫌悪剤に対して低い拡散性および溶解度を有するマトリックスポリマー中に組み込まれることができ、溶解媒体により可塑化されない。適切なマトリックスポリマーは、ポリイソブチレンを含むが、これに限定されない。別の態様において、マトリックスポリマーから嫌悪剤の放出パターンは、嫌悪剤の異なる濃度を含む同一または異なるマトリックスポリマーのマトリックスポリマーまたは層の複数の層を組み込むことによって、修飾されることができる。他の態様において、二相または持続放出パターンは、ポリマー層中に薬剤(複数可)の取り込み前に、嫌悪剤(複数可)の持続放出部分のマイクロカプセル化を介して達成されることができる。カプセル化ポリマーは、嫌悪剤(複数可)マイクロカプセルを作成するために使用されることができる薬物送達分野において知られる。そのようなポリマーは、限定されないが、ポリ乳酸、乳酸/グリコール酸コポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマー、およびセルロースポリマーを含む。嫌悪剤(複数可)の持続放出部分の放出を拡張する他の方法は、ポリマー層内の個別の制御膜層の背後に薬剤(複数可)を配置することを含み、ポリマー層の鎖に薬剤を可逆的に結合することはまた、本発明による。速度制御膜は、高密度または微孔性であることができ、限定されないが、エチレン/ビニルアセテートコポリマー(5〜60%ビニルアセテート)、ポリエチレン、エチレン/エチルアクリレートコポリマー(5〜60%エチルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびセルロースポリマーから選択されることができる。
【0034】
経皮パッチシステムは、一般的に、剥離ライナーを含む。剥離ライナーは、接着剤層に可逆的に付着され、使用者が皮膚にパッチを付着することができるように接着剤層を露出させて除去される。経皮パッチの剥離ライナーは、典型的に、シリコンまたはフルオロカーボン放出コーティングでコ−ティグされる、ポリエチレンテレフタレートなどのガラス状ポリマーからなるフィルムである。ライナーは、典型的に、パッチに含まれる薬物に不透過性であり、水または他の液体媒質中への浸漬によって影響を受けない。本発明の1つの態様において、放出ライナーは、乾燥の場合、上記のライナーに同様に機能するが、本発明のライナーは、溶解媒体で浸漬した場合、パッチに含まれる薬物に高い透過性になる。そのようなライナーは、「透過性剥離ライナー」として呼ばれる。透過性剥離ライナーに適した材料は、シリコンまたはフルオロカーボン放出コーティングでコーティングされた水和性セルロースおよびデンプン含浸クラフト紙を含むが、これらに限定されない。溶解媒体は、酸性、塩基性、または中性pHであってよく、純水を含むことができる。
【0035】
別の態様において、ライナーは、穿孔透過性剥離ライナーである。穿孔透過性剥離ライナーは、ライナーが水性溶解媒体中に浸漬される場合、パッチが薬物を透過性になることに加えて、パッチが、非水性である溶解媒体中で浸漬される場合、薬物への透過性が高いライナーを提供するために、穴の配列で穿孔される透過性剥離ライナーである。1つの態様において、穿孔透過性剥離ライナーにおける穴は、直径で約0.05〜約0.50mmである。別の態様において、穴は、直径で約0.2〜約0.4mmである。特定の態様において、穴は、平方センチメートル当たり約75〜約150穴の密度で比較的均一に分散される。別の態様において、穴は、平方センチメートル当たり約100〜約150穴の密度で、比較的均一に分散される。いかなる特定の理論に制限されることなく、穿孔は、ライナーを通って非水性液体媒体中に薬物浸漬に十分であるが、水の高い表面張力による多くの水性液体媒体中でライナーを通って薬物浸透に十分でないかもしれない。ライナーは、水性液体媒体に曝露される場合、高い薬物透過性になり、または同様の透過性放出ライナーが浸漬され、また浸漬により非水性液体媒体に曝露される場合、高い薬物透過性になり、嫌悪剤なしで治療活性剤によって続く嫌悪剤(複数可)を効果的に順次溶出することから潜在的な乱用者を制限する。当業者であれば、全ての薬および全ての嫌悪剤が、同じ溶媒中に類似する時間枠で溶出しないことを理解する。したがって、特定の態様において、嫌悪剤および薬物(複数可)は、同様の溶解度特性を有するだろう。
【0036】
二相または持続パターンにおいて放出する嫌悪剤(複数可)を含むバッキング層、溶解媒体中に配置される場合、薬物透過可能になる剥離ライナー、および溶解媒体中に配置される場合、薬物透過可能になる穿孔剥離ライナーは、付着薬物含有層を有する経皮パッチの任意のタイプで使用されることができる。付着薬物含有層は、接着剤層、多層薬物放出システムまたは薬物貯蔵システムにおいて単一薬物であることができる。本発明による適切な付着薬物含有経皮パッチは、限定されないが、付着性(マトリックス)パッチ、速度制御膜を有するまたは有しないマルチラミネートパッチ、および液体貯蔵パッチにおける薬物を含む。1つの態様において、パッチシステムは、マトリックスパッチである。別の態様において、パッチシステムは、マルチラミネートパッチである。別の態様において、パッチシステムは、液体貯蔵パッチである。前述したもののようなパッチシステムは、当該分野において周知である。例えば、Transdermal and Topical Drug Delivery Systems(経皮および局薬物送達システム)、Ghosh, Pfister、およびYum editors, Interpharm Press, 1997年参照。
【0037】
本発明の乱用抑止および誤用抑止システムは、経皮送達に適する任意の治療活性剤を含む経皮パッチが使用されることができる。特定の態様において、パッチは、限定されないが、フェンタニル、スフェンタニル、およびブプレノルフィンを含むオピオイドおよび麻薬性鎮痛剤、メチルフェニデートなどの興奮剤のような乱用の公知の歴史を有する治療活性剤を含む。他の態様において、乱用抑止および誤用抑止システムは、子供または介護者によって付着薬物含有パッチの誤用または偶発的使用を最小化するために使用されることができる。そのようなパッチは、リドカイン、ジクロフェナクまたはグルココルチコイドなどの非麻薬性鎮痛剤、またはプロゲステロン、エストロゲンまたはテストステロンなどの性ステロイドホルモンを含みうる。
【0038】
本発明のいくつかの態様において、乱用抑止および誤用抑止嫌悪剤含有ポリマー層は、任意の治療活性剤を含まない付着パッチで使用されることができるが、代わりに、別の経皮薬物送達システムまたは動物の怪我または治療の領域上にわたって適用されることが意図される。そのようなシステムは、適用されるパッチ上または治療もしくは怪我の領域で舐めるまたは咀嚼から非ヒト動物または子供を防止するために使用されることができる。嫌悪剤バッキングは、薬物を含有するパッチシステムのために上記のように同様の方法で、バッキング層上に組み込まれることができる。嫌悪剤は、時間にわたって、または持続放出または二相パターンにおいて、すぐに放出されることができる。したがって、1つの態様において、本発明は、接着剤層を含む乱用抑止または誤用抑止経皮パッチシステムを提供し、ここで、接着剤層および全体のパッチシステムは、任意の薬剤を含まない、また本質的に含まない。
【0039】
以下の実施例は、本発明の特定の態様の単なる例示であり、決して、本発明の範囲を制限するものとして考えられるべきではない。これらの実施例およびその均等物は、本開示および添付の特許請求の範囲に照らして、当業者に対してより明らかになるだろう。
【0040】
実施例
実施例1
経皮パッチの乱用抑止システムバッキングは、分散ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)微粒子における溶解および分散嫌悪剤および嫌悪剤を含むエチレン/ビニルアセテートフィルムに結合される50ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムを含む市販のバッキングを使用して調製される。安息香酸デナトニウム(1重量%)、カプサイシン(3重量%)、およびポリビニルピロリドン(3重量%;K値30)の混合物は、エチレン/ビニルアセテートコポリマー(40%VA)に添加される。その混合物は、均一になるまで、混練押出機の混合室で加熱および撹拌される。乾燥ベースで合計10重量%の安息香酸デナトニウムとカプサイシンの1:3混合物は、塩化エチレン中ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)の10重量%溶液に溶解される。嫌悪剤およびPLGAの微粒子は、噴霧乾燥または水中油型エマルション/蒸発によって製造され、その粒子は、嫌悪剤、ポリビニルピロリドンおよびエチレン/ビニルアセテートコポリマーの加熱された混合物に20重量%の負荷で添加され、その混合物は、均一になるまで撹拌される。加熱されたポリマー層の25ミクロン厚フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面上に押し出される。
【0041】
一般的な亜飽和フェンタニル経皮パッチで使用されるアクリル系接着溶液において、フェンタニルの標準的な製剤は、ポリエチレンテレフタレートバッキングの反対側上にキャストし、乾燥させる。2ミルの厚のシリコン処理されたポリエチレンテレフタレート剥離ライナーは、乾燥した接着剤に積層される。仕上がった乱用抑止経皮フェンタニルパッチは、適切な領域にダイカットされ、袋に入れられる。
【0042】
実施例2
経皮パッチの乱用抑止システムバッキングは、分散ポリDL−ラクチド微粒子中で溶解および分散嫌悪剤および嫌悪剤を含むエチレン/ビニルアセテートフィルムに結合される50ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムを含む市販のバッキングを使用して調製される。カプサイシン(5重量%)およびポリビニルピロリドン(3重量%;K値30)の混合物は、エチレン/ビニルアセテートコポリマー(40%VA)に添加される。その混合物は、均一になるまで、混練押出機の混合室で加熱および撹拌される。カプサイシン(10重量%)は、塩化メチレン中ポリDL−ラクチドの10重量%溶液に溶解される。カプサイシとポリDL−ラクチドの微粒子は、噴霧乾燥または水中油型エマルション/蒸発によって製造され、その粒子は、嫌悪剤、ポリビニルピロリドンおよびエチレン/ビニルアセテートコポリマーの加熱された混合物に20重量%の負荷で添加され、その混合物は、均一になるまで撹拌される。加熱されたポリマー層の25ミクロン厚フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面上に押し出される。
【0043】
一般的な亜飽和フェンタニル経皮パッチで使用されるアクリル系接着溶液において、フェンタニルの標準的な製剤は、ポリエチレンテレフタレートバッキングの反対側上にキャストし、乾燥させる。2ミル厚のシリコン処理されたポリエチレンテレフタレート剥離ライナーは、乾燥した接着剤に積層される。仕上がった乱用抑止経皮フェンタニルパッチは、適切な領域にダイカットされ、袋に入れられる。
【0044】
実施例3
経皮パッチの乱用抑止システムバッキングは、高密度ポリエチレンテレフタレートフィルムの層に接着して積層される不織布ポリエステルの層を含む市販のバッキングを使用して調製される。2重量%の安息香酸デナトリウムおよび5重量%のカプサイシンおよび5重量%のポリビニルピロリドン(K値30)は、塩化メチレン中に溶解されるエチレン/ビニルアセテートコポリマー(40%VA)の40重量%溶液に(固形分基準で)添加される。その混合物は、均一になるまで撹拌され、次に市販のバッキング材の不織布側上にフィルム中にキャストし、乾燥させる。
【0045】
一般的な亜飽和フェンタニル経皮パッチで使用されるアクリル系接着溶液において、フェンタニルの標準的な製剤は、バッキングの高密度ポリエチレンテレフタレートフィルム側上にキャストし、乾燥させる。シリコン剥離コーティングでコーティグされた水和セルロースの2ミル厚フィルムは、乾燥した接着剤に積層される。仕上がった乱用抑止経皮フェンタニルパッチは、適切な領域にダイカットされ、袋に入れられる。
【0046】
実施例4
経皮パッチは、シリコン剥離コーティングでコーティングされた水和セルロースの2ミル厚フィルムが、平方センチメートル当たり125穴の密度で0.3mm直径穴の配列で穿孔されたシリコン剥離コーティングでコーティングされた水和セルロースの3ミル厚フィルムで置き換えられる。穿孔された剥離ライナーは、フェンタニルを含む乾燥された接着層に積層される。仕上がった乱用抑止経皮フェンタニルパッチは、適切な領域にダイカットされ、袋に入れられる。
【0047】
実施例5
経皮パッチの乱用抑止システムバッキングは、分散ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)微粒子中で溶解および分散嫌悪剤および嫌悪剤を含むエチレン/ビニルアセテートフィルムに結合される50ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムを含む市販のバッキングを使用して調製される。安息香酸デナトニウム(1重量%)、カプサイシン(3重量%)、およびポリビニルピロリドン(3重量%;K値30)の混合物は、エチレン/ビニルアセテートコポリマー(40%VA)に添加される。その混合物は、均一になるまで、混練押出機の混合室で加熱および撹拌される。乾燥ベースで合計10重量%の安息香酸デナトニウムとカプサイシンの1:3混合物は、80℃超えの温度で水中ででんぷんの10重量%の溶液で溶解される。嫌悪剤およびでんぷんの微粒子は、噴霧乾燥によって製造され、その粒子は、嫌悪剤、ポリビニルピロリドンおよびエチレン/ビニルアセテートコポリマーの加熱された混合物に20重量%の負荷で添加され、その混合物は、均一になるまで撹拌される。加熱されたポリマー層の25ミクロン厚フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面上に押し出される。
【0048】
一般的な亜飽和フェンタニル経皮パッチで使用されるアクリル系接着溶液において、フェンタニルの標準的な製剤は、バッキングの高密度ポリエチレンテレフタレート側上にキャストし、乾燥させる。シリコン剥離コーティグでコーティングされた2ミル厚フィルムは、層を含む乾燥した接着性フェンタニルに積層される。仕上がった乱用抑止経皮フェンタニルパッチは、適切な領域にダイカットされ、袋に入れられる。
【0049】
実施例6
実施例1のアクリル系接着剤に溶解されたフェンタニルの代わりに、薬剤を含まない市販のアクリレート接着剤の50ミクロン(乾燥厚)フィルムがキャストすることを除き、誤用抑止オーバーレイパッチは、実施例1の乱用抑止バッキングであるように調製される。シリコン処理されたポリエステル剥離ライナーは次に、乾燥接着剤に積層される。
【0050】
実施例7
誤用抑止オーバーレイパッチは、溶解および分散嫌悪剤および嫌悪剤を含むエチレン/ビニルアセテートフィルムに結合される12ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルムを含む市販のバッキングを使用して調製される。カプサイシン(5重量%)、およびポリビニルピロリドン(3重量%;K値30)の混合物は、エチレン/ビニルアセテートコポリマー(40%VA)に添加される。その混合物は、均一になるまで、混練押出機の混合室で加熱および撹拌される。カプサイシン(10重量%)は、エチレン/ビニルアセテートコポリマーと一緒に混合され、加熱されたポリマー層の25ミクロン厚フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面上に押し出される。市販のアクリレート接着剤の50ミクロン(乾燥厚)フィルムは、嫌悪剤を含む側と反対のオーバーレイバッキングの側にキャストし、乾燥される。シリコン処理されたポリエステル剥離ライナーは次に、乾燥接着剤に積層される。
【0051】
実施例8
実施例5のアクリル系接着剤に溶解されたフェンタニルの代わりに、薬剤を含まない市販のアクリレート接着剤の50ミクロン(乾燥厚)フィルムがキャストすることを除き、誤用抑止オーバーレイパッチは、実施例5の乱用抑止バッキングであるように調製される。シリコン処理されたポリエステル剥離ライナーは次に、乾燥接着剤に積層される。
【0052】
実施例9
経皮パッチの誤用抑止システムバッキングは、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、および中密度ポリエチレン(スコッチパック(Scotchpak) 9730、3M)の3つの層を含む経皮パッチのための市販バッキングを使用して調製される。ポリイソブチレン(MW 1,000,000, BASF)は、n−へプタン(Fisher Scientific)中で溶解され、固形分を測定した。ポリイソブチレン溶液の約2mLの量は、ガラスシンチレーションバイアル中に秤量され、ポリマーの質量を計算した。乾燥基準でポリイソブチレンの各薬剤の15重量%負荷になる安息香酸デナトニウム(Alfa Aesar)およびカプサイシン(Chem−Impex、Int’l)の質量が計算された。嫌悪剤のそれらの質量は、個別のシンチレーションバイアル中に秤量され、塩化メチレン(スペクトル)の少量に溶解した。嫌悪剤塩化メチレン溶液をポリイソブチレン溶液を含むバイアルに添加し、その混合物を目視で均一な分散系が形成されるまでボルテックスした。ポリイソブチレンおよび嫌悪剤を含む溶液は、キャスティングナイフを使用するバッキングフィルムの中密度ポリエチレン側上にキャストし、得られたフィルムを80℃で対流式オーブン内で乾燥させた。
【0053】
一般的な亜飽和フェンタニル経皮パッチで使用されるアクリル系接着溶液において、フェンタニルの標準的な製剤は、バッキングの高密度ポリエチレンテレフタレートフィルム側上にキャストし、乾燥させる。シリコン剥離コーティグでコーティングされた水和セルロースの2ミル厚フィルムは、層を含む乾燥した接着性フェンタニルに積層される。仕上がった乱用抑止経皮フェンタニルパッチは、適切な領域にダイカットされ、袋に入れられる。
【0054】
実施例10
嫌悪剤マトリックスの2つの層を有する経皮パッチの誤用抑止システムバッキングは、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、および中密度ポリエチレン(スコッチパック(Scotchpak) 9730、3M)の3つの層を含む経皮パッチのための市販のバッキングを使用して調製される。第1の嫌悪剤層は、次のように調製された。ポリイソブチレン(MW 1,000,000, BASF)は、n−へプタン(Fisher Scientific)中で溶解され、その固形分を測定した。ポリイソブチレン溶液の約2mLの量は、ガラスシンチレーションバイアル中に秤量され、ポリマーの質量を計算した。乾燥基準でポリイソブチレンの各薬剤の15重量%負荷になる安息香酸デナトニウム(Alfa Aesar)およびカプサイシン(Chem−Impex、Int’l)の質量が計算された。嫌悪剤のそれらの質量は、個別のシンチレーションバイアル中に秤量され、塩化メチレン(スペクトル)の少量に溶解した。嫌悪剤塩化メチレン溶液をポリイソブチレン溶液を含むバイアルに添加し、その混合物を目視で均一な分散系が形成されるまでボルテックスした。ポリイソブチレンおよび嫌悪剤を含む溶液は、キャスティングナイフを使用するバッキングフィルムの中密度ポリエチレン側上にキャストし、得られたフィルムを80℃で対流式オーブン内で乾燥させた。第2の嫌悪剤層は、次のように調製された。ポリイソブチレン(MW 1,000,000)をn−ヘプタン中に溶解し、その固形分を測定した。ポリイソブチレン溶液の約2mLの量は、ガラスシンチレーションバイアル中に秤量され、ポリマーの質量を計算した。乾燥基準でポリイソブチレンの各薬剤の5重量%負荷になる安息香酸デナトニウムおよびカプサイシンの質量が計算された。嫌悪剤のそれらの質量は、個別のシンチレーションバイアル中に秤量され、塩化メチレン(スペクトル)の少量に溶解した。嫌悪剤塩化メチレン溶液をポリイソブチレン溶液を含むバイアルに添加し、その混合物を目視で均一な分散系が形成されるまでボルテックスした。ポリイソブチレンおよび嫌悪剤を含む溶液は、キャスティングナイフを使用する第1の層に渡ってキャストし、得られた二層フィルムを80℃で対流式オーブン内で乾燥させた。
【0055】
一般的な亜飽和フェンタニル経皮パッチで使用されるアクリル系接着溶液において、フェンタニルの標準的な製剤は、バッキングの高密度ポリエチレンテレフタレートフィルム側上にキャストし、乾燥させる。シリコン剥離コーティグでコーティングされた水和セルロースの2ミル厚フィルムは、層を含む乾燥した接着性フェンタニルに積層される。仕上がった乱用抑止経皮フェンタニルパッチは、適切な領域にダイカットされ、袋に入れられる。
【0056】
実施例11
実施例5のアクリル系接着剤に溶解されたフェンタニルの代わりに、薬剤を含まない市販のアクリレート接着剤の50ミクロン(乾燥厚)フィルムを除き、誤用抑止オーバーレイパッチは、実施例9の乱用抑止バッキングであるように調製される。シリコン処理されたポリエステル剥離ライナーは次に、乾燥接着剤に積層される。
【0057】
実施例12
嫌悪剤バッキング層は、2つの嫌悪剤の放出パターンを決定するために調製された。ポリイソブチレン(MW 1,000,000, BASF)は、n−へプタン(Fisher Scientific)中で溶解され、その固形分を測定した。ポリイソブチレン溶液の約2mLの量は、ガラスシンチレーションバイアル中に秤量され、ポリマーの質量を計算した。乾燥基準でポリイソブチレンの各薬剤の15重量%負荷になる安息香酸デナトニウム(Alfa Aesar)およびカプサイシン(Chem−Impex、Int’l)の質量が計算された。薬剤のそれらの質量は、個別のシンチレーションバイアル中に秤量され、塩化メチレン(スペクトル)の少量に溶解した。嫌悪剤塩化メチレン溶液をポリイソブチレン溶液を含むバイアルに添加し、その混合物を目視で均一な分散系が形成されるまでボルテックスした。ポリイソブチレンおよび嫌悪剤を含む溶液は、キャスティングナイフを使用するバッキングフィルム(ストックパック(Scotchpak) 9730, 3M)の着色されたポリエチレン側上にキャストし、得られたフィルムを80℃で対流式オーブン内で乾燥させた。
【0058】
コーティングされたバッキングの円形サンプルは、アーチパンチを使用して切断され、USP装置7(Agilent Technologies)を使用して、32℃で、酸性水(pH4)および95%エタノール中への嫌悪剤放出速度について試験した。カプサイシンおよびデナトニウムは、HPLCによって定量され、放出された各薬剤のわずかな量が計算された。その結果を
図2に示し、ここで、嫌悪剤の即時放出部分は、最初の15分以内で放出され、嫌悪剤の持続放出部分は、少なくとも4時間、放出される。
【0059】
実施例13
リドカインパッチは、1.25:1.0の比でn−ヘプタン中ポリイソブチレン(1,000,000 MW, BASF)およびポリイソブチレン(30,000 MW, BASF)を溶解し、固体分基準で50重量%の光鉱油(Sonneborn)を添加することによって、調製された。10重量%のリドカイン塩基(ICN Biomedicals)がPIB/MO溶液(乾燥基準)に添加され、溶解させた。その溶液を均一になるまでローラーミルで混合した。フィルムがキャストし、その溶液を80℃で対流式オーブン中で乾燥させた。
【0060】
シリコン処理されたPET,シリコン処理されたセルロース、穿孔シリコン処理されたセルロースまたは穿孔シリコン処理されたPET剥離ライナーは、乾燥リドカインフィルムに積層された。穿孔ライナーは、シリコン処理されたセルロースまたはPETライナーにわたり8針X24行(192ニードル)DermaRoller(ZGTS, Jiatailonghe(北京)Technologies)を通過させることにより調製した。穿孔ライナーは、平方センチメートル当たり125穴のおよその密度で0.3mm直径の穴の配列を有した。全てのライナー構成では、18mmの直径の試験パッチが放出試験のために、アーチパンチを使用して切断された。
【0061】
各ライナー構成用パッチは、USP装置7(Agilent Technologies)を使用して酸性水(pH4)、水中50%エタノール、および水中95%エタノール中への薬物放出のために試験された。リドカインは、HPLCを使用して定量し、放出されたリドカインのわずかな量を計算した。水中へのおよび50%エタノール中へのリドカインパッチについての結果をそれぞれ、
図3および
図4に示す。非穿孔のシリコン処理されたセルロースは、水中でライナーのない同様の結果を提供するので、穿孔のシリコン処理されたセルロースは、水中への放出について試験されなかった。50%エタノール中への穿孔シリコン処理されたセルロース、穿孔PETライナーもまた、試験されなかった。
【0062】
実施例14
平方センチメートル当たり0.41mgのフェンタニル塩基を含む商用のフェンタニル経皮システム(Mylan)は、5つの剥離ライナー構成のために32℃で薬物放出の速度について試験された。商用のパッチは、商業的に供給されるライナーなしに、または供給されるPETライナーを用いて試験された。残り3の構成では、商業的に供給されるPETライナーを除去し、シリコン処理されたセルロース、穿孔シリコン処理されたセルロース、または穿孔シリコン処理されたPETライナーで置換された。穿孔ライナーは、商業的に供給されるPETライナーにわたり8針X24行(192ニードル)DermaRoller(ZGTS, Jiatailonghe(北京)Technologies)を通過させることにより調製された。穿孔ライナーは、平方センチメートル当たり125穴のおよその密度で0.3mm直径の穴の配列を有した。全てのライナー構成では、18mmの直径の試験パッチが放出試験のために、アーチパンチを使用して切断された。
【0063】
各ライナー構成用パッチは、USP装置7(Agilent Technologies)を使用して、酸性水(pH4)、水中50%エタノール、および水中95%エタノール中への薬物放出について試験された。フェンタニルをHPLCを使用して定量し、放出されたフェンタニルのわずかな量を計算した。各ライナー構成について、水、50%エタノールおよび95%エタノール中への放出されたフェンタニルについて結果をそれぞれ、
図5、
図6および
図7に示す。
【0064】
実施例15
ライナーの非存在下で、実施例14における穿孔セルロースライナーの存在下で、95%エタノール中へのおよび酸性水中へのフェンタニルについて得られた放出データは、実施例12において得られたカプサイシンとデナトニウム放出データと組み合わせられる。これらの組み合わされたグラフは、それぞれ、
図8および
図9において、ライナーなしの、または穿孔セルロースライナーを有するパッチについて示される。少なくとも70%の嫌悪剤はまだ、少なくとも60%のフェンタニルが放出された4時間後にパッチに存在する。