【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年10月29日ビッグパレットふくしま(福島県郡山市南二丁目52番地)において開催された第10回医療機器設計・製造展示会&最新技術セミナー メディカルクリエーションふくしま2014で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年9月26日大阪産業創造館4F イベントホール(大阪府大阪市中央区本町1−4−5)において開催された第4回 大阪医療機器協会「医療機器開発・販路開拓マッチング商談会」で発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)耳鳴り治療器
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1である電気治療器1の概要を示す説明図である。電気治療器1は、耳鳴りの治療に好適な構成となっており、通電用のコントローラ2と、人体に装着される一対の電極パッド3a,3bとから構成されている。コントローラ2と電極パッド3a,3bとの間はコード4にて接続されている。
【0016】
コントローラ2は、複数の周波数の直流電流あるいはパルス電流が供給可能であり、ここでは、2.5Hz,50Hz,100Hzの3種の低周波電流を供給できるようになっている。コントローラ2には、各周波数ブロック5a〜5cごとに、ON/OFFスイッチ6と、電流供給量を調節するためのボリューム7が設けられている。各周波数ブロック5a〜5cには、給電用の端子8が複数個設けられており、ボリューム7は各端子8ごとに設けられている。
【0017】
図2は電極パッド3a,3bの全体構成を示す説明図、
図3は電極パッド3a,3bの正面図、
図4はその側面図である。
図2〜4に示すように、電極パッド3は、柔らかい合成樹脂(例えば、ウレタン等の柔軟部材)にて形成された円形のパッド部11と、パッド部11の一面側11aに取り付けられた複数個の点電極12とから構成されている。パッド部11は、外径38mm、厚さ5mmとなっており、パッド部11の一面側11aには、点電極12が、直径30mmの円周上に等間隔で12個取り付けられている。点電極12は適宜取り外して交換できるようになっている。
【0018】
図5は、点電極12の構成を示す説明図である。点電極12は、
図5に示すように、底面の直径5mm・高さ2mmのお椀形(半球状)となっており、合成樹脂等の絶縁材にて形成された絶縁基材13内に、ステンレス製の電極部14を配置した構成となっている。電極部14は、先端側の直径が0.08mm、底面側の直径が1mmに形成されている。電極部14の先端部14aは人の肌に接触し、電極部14の底面側の端部14bにはコード4の一端側が接続される。コード4の他端側には、接続プラグ15が取り付けられている。接続プラグ15をコントローラ2の端子8に接続することにより、コントローラ2より点電極12に対して所定周波数の電流が供給される。点電極12に供給される電流は、例えば、
図21のような、台形波形のパルス波が使用される。このパルス波は、OFF時間が50〜70μsと短く、OFF時間がON時間に対し1/10〜1/7程度となっている。なお、ON/OFFの時比率は周波数によって変化するが、OFF時間は極力短く概ね上記範囲に設定する。
【0019】
本発明の電気治療器1では、
図1に示すように、電極パッド3a,3bが人の頭部の両側に装着される。電極パッド3a,3bは、左右の耳の上、側頭部上面の聴覚中枢の部位に配置される。電極パッド3a,3bは弾力性のあるヘッドバンド16の両端に取り付けられており、頭部にヘッドホン状に取り付けられる。電極パッド3a,3bでは、同じ周波数の電気信号が供給される点電極12が、電極パッド3a,3bの中心Oに対して対向する位置に配置される。すなわち、
図2に示すような形で、上下の点電極12から2.5Hz、左右の点電極12から50Hz,100Hzの微弱電流がそれぞれ供給される。電極パッド3a,3b間では、
図1,3に示すように、対向する点電極12が上下にクロスするように導通して体内に微弱電流が流れる。なお、電極パッド3a,3bは何れを左右どちらに取り付けても良い。
【0020】
発明者の治験では、このような状態にて40分間の通電を行なうことにより、耳鳴り症状の改善が見られた。
図6は、その治験結果(表1)である。
[治験1]
図1の電気治療器を用いて耳鳴りの治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:男 75歳
・症状:ピーピー、ボワーットとした雑音が耳で鳴っている
・耳鳴を消すための通電部位:
耳上側頭部の聴覚中枢部に左右から
図2の電極パッドを接着し左右から通電した
・通電周波数:2.5Hz,50Hz,100Hz
・通電時間:40分
・電流の種類:パルス波(
図21参照、0Vを超え〜70V以下(通常は35V程度:症状、個人の感じ方によって適宜調整)、以下同様)
・使用機器:電気治療器本体(電源100V、消費電力18VA、パルス波、定格出力電圧90V、最大出力電流13.5mA、以下同様)、電極パッド
【0021】
(実施の形態2)催眠器
次に、本発明の実施の形態2として、本発明による電気治療器を、睡眠を促す催眠器(睡眠導入器)として使用する場合について説明する。
図7は、実施の形態2である電気治療器21の全体構成を示す説明図、
図8は、そこで使用される電極パッド22a,22bの電極配置を示す説明図である。なお、以下の実施の形態では、実施の形態1と同様の部材、部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0022】
図7,8に示すように、電気治療器21のコントローラ23は、5Hzと10Hzの2種の低周波電流を供給できるようになっている。また、電極パッド22a,22bには、点電極12が8個設けられている。ここでは、点電極12として、底面直径10mm・高さ3mmのものが使用される。電極パッド22a,22bの上下の点電極12からは5Hz、左右の点電極12からは10Hzの微弱電流がそれぞれ供給される。電極パッド22a,22bはヘッドバンド16の両端に取り付けられており、頭部にヘッドホン状に取り付けられる。催眠用の電気治療器21では、電極パッド22a,22bは、左右の耳の後側、松果体や視床下部後部の部位に配置される。
【0023】
図7,8に示すように、電極パッド22a,22b間においても、対向する点電極12が上下にクロスするように導通して体内に微弱電流が流れる。なお、この場合も電極パッド22a,22bを左右どちら側に取り付けても良い。また、さらに点電極を増やし、2Hz〜2.5Hzの微弱電流を供給しても良い。
【0024】
発明者の治験では、このような状態にて30〜40分間の通電を行なうことにより、不眠症に悩む治験者が20分ほどで睡眠状態となった。
図9は、その治験結果(表2)である。
[治験2]
図7の電気治療器を用いて催眠の治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:女 69歳
・症状:夜、眠ろうとしても眠れない
・催眠させるための通電部位:
脳の松果体や視床下部後部に向け、左右の耳の後側の側頭部に
図8の電極パッドを
接着し左右から通電した
・通電周波数:5Hz,10Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0025】
(実施の形態3)偏頭痛治療器
さらに、本発明の実施の形態3として、本発明による電気治療器を偏頭痛の治療器として使用する場合について説明する。
図10は、実施の形態3である電気治療器31の全体構成を示す説明図である。電気治療器31では、2種類の電極パッド32,33が使用される。各電極パッド32,33は、それぞれ一対ずつ設けられ(32a,32b、33a,33b)、これらはヘッドバンド16の先端にそれぞれ取り付けられている。電極パッド32,33は、コード4を介してコントローラ34と接続されている。コントローラ34には、ON/OFFスイッチ35と、左右のボリューム36a,36bが設けられている。コントローラ34には、AC電源コード37を介して電源が供給されるが、電池式や充電式とすることも可能である。
【0026】
図11は電極パッド32、
図12は電極パッド33の構成を示す説明図であり、それぞれ(a)は正面側、(b)は側面側を示している。
図11,12に示すように、電極パッド32,33も円形のパッド部11と、点電極12とから構成される。但し、電気治療器31に使用される電極パッド32,33は、先の実施形態とは異なり、各パッドに点電極12が1個ずつ設けられている。また、電極パッド32,33は直径が異なっており、電極パッド32は14mm、電極パッド33は10mmとなっている(厚さは5mm共通)。電極パッド32,33からコード4が引き出される部分は、グロメット部38となっており、前後左右に屈曲自在、また、ねじれ方向にも弾性変形可能となっている。電極パッド32,33においても、点電極12は適宜取り外して交換できるようになっている。
【0027】
電気治療器31は、
図13に示すように、電極パッド32a,32bと電極パッド33a,33bがそれぞれ人の頭部の両側に装着し、例えば、マジックベルト(登録商標)のような面ファスナーベルト39にて固定する。この場合、電極パッド32a,32bは左右の側頭部、電極パッド33a,33bは耳の後にそれぞれ配置される。電極パッド32,33には5Hzの微弱電流がそれぞれ供給される。この場合、側頭部の電極パッド32a,32bは−側、耳の後の電極パッド33a,33bは+側に設定される。電極パッド32a,32b、33a,33b間では、対向する点電極12が上下にクロスするように導通して体内に微弱電流が流れる。つまり、電極パッド32aと電極パッド33b、電極パッド32bと電極パッド33aが頭部を介して導通する。なお、この場合も電極パッド32a,32b、33a,33bを左右どちら側に取り付けても良い。
【0028】
発明者の治験では、このような状態にて5Hz,30分間の通電を行うことにより、偏頭痛の改善が見られた。
図14は、その治験結果(表3)である。
[治験3]
図10の電気治療器を用いて偏頭痛(頭痛)の治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表3参照
・症状:側頭部や後頭部、頭頂部の痛み
・痛みを鎮痛するための通電部位:
痛みのある側頭部や頭頂部、後頭部、及び耳介側頭神経上や頸神経上に電極パッド
を接着し通電した。
・通電周波数:5Hz(偏頭痛の場合は一定の周波数を1種類通電した)
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0029】
(実施の形態4)腰痛症・頚椎症治療器
加えて、本発明の実施の形態4として、本発明による電気治療器を腰痛症や頚椎症の治療器として使用する場合について説明する。実施の形態3では、電極パッド32,33として、電極部14を各パッドに1個配したものを使用し、通電周波数も1種類としたが、ここでは、電極部14を複数個設け、複数種類の周波数の電流を通電する。この場合のコントローラには、
図1に示したコントローラ2に準じたものが使用される。
【0030】
図15,16は、実施の形態4の治療器にて使用される電極パッド41,42の構成を示す説明図であり、それぞれ(a)は正面側、(b)は側面側を示している。この場合、電極パッド41は
図11の電極パッド32に、また、電極パッド42は
図12の電極パッド33にそれぞれ対応した形状となっており、電極パッド41が−側、電極パッド42が+側に使用される。
【0031】
図15,16に示すように、電極パッド41,42も円形のパッド部11と、点電極12とから構成されているが、点電極12には、3個の電極部43〜45が設けられている。電極部43〜45の先端部43a〜45aは人の肌に接触し、電極部43〜45の底面側の端部43b〜45bにはコード4の一端側が接続される。各電極部43〜45は、互いに接触しないように電気的に絶縁された状態となっている。電極パッド41,42からコード4が引き出される部分は、電極パッド32,33と同様に、グロメット部38となっている。電極パッド41,42においても、点電極12は適宜取り外して交換できるようになっている。
【0032】
このような電極パッド41,42では、各電極部43〜45に対し異なる周波数の電流が供給される。例えば、電極部43には2.5Hz、電極部44には5Hz、電極部45には8Hzの電流がそれぞれ供給される。腰痛症や頸椎症により、その痛みが上肢や下肢に現れた場合には、−側の電極パッド41を痛みのある部位、+側の電極パッド42を痛みのある部位を支配する神経支配域である脊椎側の脊髄神経出口部に装着する。この場合、電極パッド41,42の装着方法は、実施形態1,2のようなヘッドホンタイプでも、実施形態3のような面ファスナーベルト固定タイプの何れでも良い。なお、実施の形態3の場合も含め、電極パッド32,33、41,42を複数組使用することも可能である。これにより、3個の電極部が一体に配された電極パッド41,42から3種類の周波数の電気刺激が付与され、腰痛症や頸椎症による痛みの緩和が図られる。また、電極パッド41,42を実施例1,2の治療器に使用することも可能である。
【0033】
発明者の治験では、電極パッド41,42を用いて2.5Hz,5Hz,8Hz、30分間の通電を行うことにより、腰痛症・頚椎症による痛みの改善が見られた。
図17は、その治験結果(表4)である。
[治験4]
電極パッド41,42を用いて腰痛症・頚椎症による痛みの治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表4参照
・症状:表4参照
・痛みを鎮痛するための通電部位:表4参照
・通電周波数:2.5Hz,5Hz,8Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0034】
(実施の形態5)肋間神経痛治療器
本発明の実施の形態5として、本発明による肋間神経痛の治療器として使用する場合について説明する。肋間神経痛の治療では、先の実施の形態3と同様に、電極部14を各パッドに1個配した電極パッド32,33を使用し、単体の+−電極を肋間患部の適切な箇所に装着して治療を行う。肋間神経痛の治療器1では、コントローラ51として
図18のものを使用する。なお、前述のコントローラ2を使用することも可能であり、実施の形態1〜4にコントローラ51を適用することも可能である。
【0035】
コントローラ51にも、先のコントローラ2と同様に、ON/OFFスイッチ35と、通電強度調整用の左右のボリューム36a,36bが設けられている。コントローラ51の上端部には、電極パッド32,33のコード4が接続される通電リードアウトレット52が、下端部には、AC電源コード37が接続される電源インレット53がそれぞれ設けられている。ON/OFFスイッチ35とボリューム36a,36bの上方には、それぞれの作動状態を示すインジケータ54,55a,55bがそれぞれ設けられている。コントローラ51内には、図示しないタイマー(例えば、30分)が内蔵されており、所定時間で電源が自動的にオフされるようになっている。なお、通電リードアウトレット52と電源インレット53は同一面に設けることも可能である。
【0036】
電極パッド32,33間には5Hzの電流が供給される。肋間神経痛の場合には、
図19に示すように、右第2胸神経(T2)の脊髄出口部に+極を接着し、右前胸部の痛みのある第2,第3肋骨間部に−極を接着する。発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、肋間神経痛による痛みの改善が見られた。
図20は、その治験結果(表5)である。実施の形態5においても、前述の実施の形態と同様に
図21に示すようなパルス波を使用した。
[治験5]
電極パッド32,33を用いて肋間神経痛による痛みの治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表5参照
・症状:表5参照
・痛みを鎮痛するための通電部位:表5,
図19参照
・通電周波数:5Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0037】
(実施の形態6)歯痛治療器
本発明の実施の形態6として、本発明による電気治療器を歯痛の治療器として使用する場合について説明する。歯痛の場合は、実施の形態5の治療器1をそのまま適用でき、左耳介裏の窪んだ部分の三叉神経上に+極を接着し、痛みのある小臼歯根元部分の皮膚上に−極を接着する(
図22)。発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、歯痛の改善が見られた。
図23は、その治験結果(表6)である。なお、歯痛治療器は、三叉神経痛の治療にも有効であり、三叉神経痛治療器としても使用可能である。
[治験6]
電極パッド32,33を用いて歯痛の治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表6参照
・症状:表6参照
・痛みを鎮痛するための通電部位:表6,
図22参照
・通電周波数:5Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0038】
(実施の形態7)レストレスレッグス治療器
本発明の実施の形態7として、本発明による電気治療器をレストレスレッグス(ムズムズ脚症候群)の治療器として使用する場合について説明する。レストレスレッグスの治療では、
図24に示すような帯状の電極ベルト61を使用する。電極ベルト61は、柔軟部材にて形成された弾性ベルト62(パッド部)に複数個(ここでは5個)の点電極12(
図5参照)を取り付けた構成となっている。点電極12は、14mmピッチにて、長手方向に沿って1列に配されている。なお、点電極12を上下に複数列配しても良く、その際、上下の列をずらして点電極12を交互(斜め)に配置しても良い。
【0039】
電極ベルト61は、
図25のように、ムズムズ感のある足の上下に装着する。例えば、膝関節下部後面に、電極ベルト61の+側を横長に接着し、アキレス腱上に電極ベルト61の−極を横長に接着する。この際、必ず+極を上に、−極を下に取り付ける。発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、ムズムズ感の改善が見られた。
図26は、その治験結果(表7)である。
[治験7]
電極ベルト61を用いてレストレスレッグスの治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表7参照
・症状:表7参照
・症状を緩和するための通電部位:表7,
図25参照
・通電周波数:5Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極ベルト
【0040】
(実施の形態8)顎関節症治療器
本発明の実施の形態8として、本発明による電気治療器を顎関節症の治療器として使用する場合について説明する。顎関節症の治療では、
図27(a),(b)に示すような顎関節症アタッチメント65を使用する。アタッチメント65はヘッドホン型となっており、両端に電極パッド66が取り付けられている。電極パッド66は、パッド部11内に上下2列の点電極12を取り付けた構成となっている。点電極12は、11mmピッチにて、例えば、上下3個ずつ配置されている。上下の点電極間は22mmの間隔が設けられており、上の列が+極、下の列が−極となっている。なお、
図27(c)のように、上下電極の間に左右の電極67をさらに配してこれらを同時に通電しても良い。この場合、左右の電極67は点電極12とは別に通電を行っても良く、上下と左右は同時に通電を開始しない方が好ましい。
【0041】
電極パッド66は、
図28のように、痛みのある顎関節部位を上下に挟むように接着される。この際、電極パッド66の+電極を上、−電極を下に取り付ける。発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、顎関節における痛みの改善が見られた。
図29は、その治験結果(表8)である。
[治験8]
電極パッド66を備えたアタッチメント65を用いて顎関節症の治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表8参照
・症状:表8参照
・痛みを鎮痛するための通電部位:表8,
図28参照
・通電周波数:5Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0042】
(実施の形態9)変形性膝関節症治療器
本発明の実施の形態9として、本発明による電気治療器を変形性膝関節症の治療器として使用する場合について説明する。変形性膝関節症の治療では、
図30に示すような電極パッド71を使用する。電極パッド71は、4個の点電極12が横一列に並んだ構成となっている。点電極12は、ゴム板や合成レザー等の柔軟部材にて形成された電極ベース72(パッド部)に取り付けられている。各点電極12には、
図18のコントローラ51からパルス電流を供給する。電極パッド71は、粘着テープにて体に貼り付けるか、弾性ベルトを用いて固定する。
【0043】
電極パッド71は、
図31のように、膝関節内側の圧痛のある部分を上下に囲むように配置される。この際、電極パッド71は、上が+極、下が−極となるように取り付ける。
図31に破線にて示したように、電極パッド71を2組使用し、各電極パッド71を2つ横方向に並べて配置しても良い。コントローラ51には、給電部(通電リードアウトレット52)が2つ設けられており、電極パッド71を2組使用可能であり、2組用いた方がより治療効果も高まる。発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、変形性膝関節症における痛みの改善が見られた。
図32は、その治験結果(表9)である。
[治験9]
電極パッド71を用いて変形性膝関節症の治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表9参照
・症状:表9参照
・痛みを鎮痛するための通電部位:表9,
図31参照
・通電周波数:5Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0044】
また、電極パッド71を用いて「肩板損傷」の治療を行うことも可能である。肩板損傷の治療の場合は、
図33に示すように、人体正面において、上腕骨骨頭部の圧痛のある部分を囲むように、4個(2組)の電極パッド71を正方形状に配置する。電極パッド71は、粘着テープにて体に貼り付ける。横辺に位置する電極パッド71は、上が+極、下が−極となるように取り付ける。縦辺となる左右の電極パッド71は、何れが+でも−でも良い。これにより、発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、肩板損傷における痛みの改善が見られた。この他にも、「外傷、皮下外傷の後遺症の痛み」や「手術痕の感覚障害」に対し、該当部を電極パッド71によって囲み(上下に横方向配置、左右に縦方向配置)接着し、5Hz、30分間の通電を行うことにより、各所の痛みや感覚障害が改善される。
【0045】
(実施の形態10)変形性股関節症治療器
本発明の実施の形態10として、本発明による電気治療器を変形性股関節症の治療器として使用する場合について説明する。変形性股関節症の治療では、
図34に示すような電極パッド75を使用する。電極パッド75は、
図30の電極パッド71の点電極12を5個に増やしたものであり、前述の電極ベルト61と同様に、5個の点電極12が横一列に並んだ構成となっている。点電極12は、ゴム板や合成レザー等の柔軟部材にて形成された電極ベース76(パッド部)に取り付けられている。各点電極12には、
図18のコントローラ51からパルス電流を供給する。電極パッド75は、粘着テープにて体に貼り付けるか、弾性ベルトを用いて固定する。
【0046】
電極パッド75は、
図35のように、股部外側の大転子付近の圧痛のある部分を上下左右に囲むように、4個(2組)の電極パッド75を正方形状に配置する。電極パッド75は、粘着テープにて体に貼り付ける。横辺に位置する電極パッド75は、上が+極、下が−極となるように取り付ける。縦辺となる左右の電極パッド75は、何れが+でも−でも良い。発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、変形性股関節症における痛みの改善が見られた。
図36は、その治験結果(表10)である。
[治験10]
電極パッド75を用いて変形性股関節症の治験を行った。対象や方法は以下の通りである。
・性別,年齢:表10参照
・症状:表10参照
・痛みを鎮痛するための通電部位:表10,
図35参照
・通電周波数:5Hz
・通電時間:30分
・電流の種類:パルス波
・使用機器:電気治療器本体、電極パッド
【0047】
また、電極パッド75を用いて「前大腿筋の疲労」の治療を行うことも可能である。前大腿筋の疲労の治療の場合は、
図37に示すように、前大腿筋の疲労した部分を上下に挟むように電極パッド75を長方形状に配置する。電極パッド75は、粘着テープや弾性ベルトによって体に取り付けられ、上が+極、下が−極となるように配置される。これにより、発明者の治験では、5Hz、30分間の通電を行うことにより、前大腿筋の疲労の改善が見られた。この他にも、「後大腿筋の疲労」や「前下腿筋の疲労」、「後下腿筋の疲労」に対し、該当部を上下に挟み込むように、電極パッド75を横方向に取り付け、5Hz、30分間の通電を行うことにより、各所の疲労が改善される。
【0048】
さらに、電極パッド71,75は、上記症例以外にも、嚥下障害の緩和にも適用できる。その場合、4〜5組の電極パッド71(又は75)を顎下の舌骨筋近傍に配置し、5Hz、30分間の通電を行う。なお、実施の形態9,10においては、電極パッド71,75を相互に交換使用可能である。但し、各症例に対しては、前述の組み合わせの方が好ましい結果が得られている。また、点電極12を3個配置したものや、6個以上配置したものも使用可能であり、3個配置のものを複数個使用することも可能である。
【0049】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、本発明の電気治療器を耳鳴りや不眠、偏頭痛、腰痛症や頸椎症等の治療に用いた場合を説明したが、その治療対象は前述のものには限られず、高血圧や肩こり、パーキンソン病、メニエル病、めまい、うつ病、肥満の抑制、その他の治療にも適用可能である。また、前述の寸法や周波数値、通電周波数の数、時間、通電部位等はあくまでも一例であり、症状や個人差に応じて適宜変更可能である。さらに、複数種類の電気治療器を組み合わせて使用することも可能である。
【0050】
例えば、高血圧治療の場合、通電目標を延髄(特に、副交感神経)とし、左右の耳下に通電を行う。その際、電極パッド3を2組使用し、睡眠を促す睡眠器を併用することも可能である。この場合、1組の電極パッド3は、0.15〜0.4Hz(例えば、0.2Hz,0.3Hz,0.4Hz)の3種の微弱電流を延髄に供給する。また、他の1組の電極パッド3は、2.5Hz,5Hz,10Hzの3種の微弱電流を松果体や視床下部後部に供給する。なお、電極パッド2個に代えて、2組の電極パッドを1つにまとめた
図38のような電極パッド81を使用しても良い。
【0051】
また、前述の実施形態1,2では、電極パッドをヘッドバンド先端に配したヘッドホン状の構成を示したが、各電極パッドを頭部等の患部に装着した後、それらを実施形態3のように面ファスナーベルトにて固定するようにしても良い。加えて、症状によっては、電極パッドを左右一対ではなく、片側にのみ配置して治療を行うことも可能である。
【0052】
一方、本発明による電気治療器では、
図5の点電極12に代えて、
図39のような点電極82を用いることも有効である。
図39の点電極82は、合成樹脂等の絶縁材にて形成された絶縁基材83内にステンレス製の電極84を配置した構成となっている。絶縁基材83の中央部には、電極取付孔85が
図39において上下方向に貫通形成されている。電極取付孔85の中には電極84が収容される。電極84は弾性電極となっており、接触電極部86とコイル部87及び導電部88とから構成されている。電極84は、直径0.1mmのステンレス鋼線が使用されており、接触電極部86とコイル部87は一体に連続形成されている。
【0053】
接触電極部86は、内径0.1mmのリング状に形成されており、コイル部87の上端部87aに、約1巻き分の小径部を、引張ばねのフック状に立ち上げた形となっている。コイル部87は、内径0.7mmに形成されたコイルばねとなっており、電極取付孔85内に収容配置される。コイル部87は、接触電極部86を軸方向(電極84の延伸方向:
図39において上下方向)に付勢しつつ保持している。接触電極部86は、絶縁基材83の頂部から突出しており、好ましくは、直径の約1/3程度が電極取付孔85に隠れるように(直径の約2/3程度が露出するように)、設置される。接触電極部86は、下方がコイル部87となっているため、
図39において上下方向に弾性的に可動な状態となっており、皮膚との接触により適宜電極取付孔85内に出没するようになっている。
【0054】
導電部88は、直径1mm程度のステンレス鋼線にて形成されている。コイル部87の下端部87bは、導電部88上端部88aと溶接等により電気的に接続されている。導電部88の下端側88bは、絶縁基材83の底面部83aから2mm程度突出している。この下端側88bにはコード4の一端側が接続され、コントローラ51と電気的に接続される。
【0055】
点電極82では、皮膚との接触部分はリング状の接触電極部86であり、皮膚には線材断面のようなエッジや先鋭な部分は接触しない。すなわち、皮膚には円形線材が接触し、皮膚と電極84との接触は極めてソフトである。このため、電極装着の際に使用者に痛みや刺激を与えることがなく、使用感が非常に良好となる。また、皮膚上に点電極82を装着後に、点電極82をずらしても、接触電極部86の外周が皮膚上を滑るように移動するため、痛みもなく、皮膚を傷付けることもない。
【0056】
さらに、点電極82を装着する際には、コイル部87が撓み、接触電極部86が電極取付孔85内に沈みつつ皮膚に接触するため、この点においても、皮膚との接触がソフトになり、使用感が向上する。つまり、点電極82では、コイル部87が撓みつつ円形の接触電極部86が皮膚に接触するため、非常に当たりがソフトであり、使用時の不快感が大幅に軽減される。加えて、電極取付孔85にゴミなどが入り込んでも、導電性が損なわれることが少なく、接触痛等の緩和のためボールを使用したものなどに比しても、安定した導電性能が維持できる。このように、点電極82によれば、
図5の点電極12と同等の皮膚接触面積を確保しつつ、皮膚装着時における痛みや刺激を緩和できると共に、皮膚装着後の皮膚損傷も効果的に防止できる。