(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パラレル転送方式やシリアル転送方式などのデータ通信を行うデータ伝送インタフェースにおいて、あるレーンにおいて伝送エラーが発生した場合には、エラーが発生したレーンを含む一群のレーンを使用不可にするレーンの縮退処理(以下、「通常の縮退処理」という)が行われることが多い。通常の縮退処理では、縮退後に使用可能なレーンの数が2の冪乗になるように一群のレーンが使用不可にされることが多い。通常の縮退処理により一群のレーンが使用不可にされると、縮退後に有効なレーンの通信速度の合計であるスループットが著しく低下するという問題がある。
【0003】
伝送エラーが発生した際のスループット低下を抑制する技術の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の無線通信方式では、送信側と受信側とが、現用回線及び予備回線により接続される。送信側は、デジタル信号の伝送速度を2分の1に圧縮する帯域圧縮回路と、1つのデジタル信号を伝送速度が2分の1の2つのデジタル信号に変換する変換回路とを含む。1回線の伝送路で信号伝送を完結させるときには、送信側は帯域圧縮回路の出力信号を伝送する。一方、2回線の伝送路を用いて信号伝送を完結させるときには、送信側は変換回路の2つの出力信号の1つずつを各回線で並行して伝送する。上記の動作の結果、特許文献1の無線通信方式では、現用回線の正常時には、現用回線と予備回線の両方を使用して所定のスループットで伝送が行われ、現用回線の異常時には、予備回線を使用してスループットが維持される。
【0004】
特許文献1の無線通信方式には、現用回線の他に予備回線を用意しなければならないという問題がある。
【0005】
1本の回線を用いて、伝送エラーが発生した際のスループット低下を抑制する技術の一例が特許文献2に開示されている。特許文献2のデータ通信システムは、アナログ回線を使用し対向する変復調装置間で再送によるエラー訂正機構を含む通信プロトコルを有し、かつ複数の回線速度を利用する。変復調装置は、回線状態が悪く通信データのエラーが多いときにはフォールバック要求信号によって回線速度を下げてデータ通信をエラーなく継続する手段を含む。また、変復調装置は、一定時間毎に送信されるライズアップテストコマンドがエラーなく受信できることを確認する手段を含む。なお、ライズアップテストコマンドは、現在の通信中の回線速度より速い回線速度による通信の正常性を確認するためのライズアップテストデータを含む。また、変復調装置は、ライズアップテストコマンドによる正常性確認によって回線状態を判断したのち、回線速度を上げてデータ通信を維持する手段を含む。上記の動作の結果、特許文献2のデータ通信システムは、回線状態に応じて回線速度を自動的に制御する。
【0006】
パラレル転送方式やシリアル転送方式などのデータ通信を行うデータ伝送インタフェースでは、1つのリンクが、同等な複数のレーンを含む。特許文献2の技術をパラレル転送方式やシリアル転送方式などのデータ通信を行うデータ伝送インタフェースに適用する場合について説明する。各レーンの入出力データを保持する個々のバッファにおいて、各バッファに保持される個々のデータに対する処理のタイミングはバッファ毎に異なる。従って、特許文献2の技術には、パラレル転送方式やシリアル転送方式などのデータ通信を行うデータ伝送インタフェースには、そのまま適用できないという問題がある。
【0007】
パラレル転送方式やシリアル転送方式などのデータ通信を行うデータ伝送インタフェースにおける伝送エラー発生時のスループット低下を抑制する技術の一例が特許文献3に開示されている。特許文献3のデータ伝送方法では、送信側のデータ伝送装置は、受信側のデータ伝送装置へエラーチェックデータが付与された伝送データを送信する。受信側のデータ伝送装置は、データ伝送エラーが検出された場合に、伝送エラーが検出された伝送線路(信号線)を含む伝送路のセグメントを縮退制御して使用不可とする。送信側のデータ伝送装置は、使用不可とされたセグメントのうち、使用可能なセグメントを利用して、優先度の高い特殊パケット等の伝送データを送信する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すべての図面において、同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態における構成について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるデータ伝送システム100の構成の一例を示すブロック図である。ここでは、レーンの本数が2本である場合について図示する。
【0019】
データ伝送システム100は、受信側のデータ伝送装置115(データ伝送装置B)と、データ伝送装置Bの対向装置である送信側のデータ伝送装置110(データ伝送装置A)とを含む。データ伝送装置A及びデータ伝送装置Bは、レーン102(レーンA)およびレーン103(レーンB)を含むリンク101を経由して接続される。なお、データ伝送装置Aおよびデータ伝送装置Bは、双方ともにデータの送受信が可能であってもよい。
【0020】
送信側のデータ伝送装置Aは、制御手段120と、バッファ131(バッファA)と、バッファ132(バッファB)と、通信手段151と、通信手段152と、選択手段140とを含む。
【0021】
制御手段120は、バッファAと、バッファBと、通信手段151と、通信手段152と、選択手段140を制御する。
【0022】
バッファAおよびバッファBは、制御手段120により格納された送信ビット列を保持する。
【0023】
通信手段151、通信手段152はそれぞれ、バッファA、バッファBにより保持される送信ビット列を受信側へ送信する。
【0024】
選択手段140は、バッファAまたはバッファBにより保持される送信ビット列をどの通信手段(通信手段151または通信手段152)に渡すかを選択する。
【0025】
受信側のデータ伝送装置Bは、制御手段125と、通信手段156と、通信手段157と、バッファ136(バッファa)と、バッファ137(バッファb)と、選択手段145とを含む。
【0026】
制御手段125は、通信手段156と、通信手段157と、バッファaと、バッファbと、選択手段145とを制御する。
【0027】
通信手段156、通信手段157はそれぞれ、通信手段151、通信手段152から送信された送信ビット列を受信し、受信した受信ビット列を各バッファへ格納する。
【0028】
バッファa、バッファbはそれぞれ、通信手段156、通信手段157により格納された受信ビット列を保持する。
【0029】
選択手段145は、バッファa、バッファbにより保持される受信ビット列がどの通信手段(通信手段156または通信手段157)から渡されるかを選択する。
【0030】
次に、本実施形態における動作について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態におけるデータ伝送システム100の動作を示すフローチャートである。具体的には、
図2(a)は送信側のデータ伝送装置Aの縮退動作を示すフローチャートであり、
図2(b)は受信側のデータ伝送装置Bの縮退動作を示すフローチャートである。なお、
図2(a)に示すデータ伝送装置Aの縮退動作と
図2(b)に示すデータ伝送装置Bの縮退動作とは並行して進む。また、
図2に示すフローチャート及び以下の説明は一例であり、適宜求める処理に応じて、処理順等を入れ替えたり、処理を戻したり、又は処理を繰り返したりしてもよい。
【0031】
既に、データ伝送装置Aはビット列をデータ伝送装置Bへ送信し、データ伝送装置Bはデータ伝送装置Aにより送信されたビット列を受信しているものとする。
【0032】
まず、データ伝送装置Aの動作について説明する。
【0033】
データ伝送装置Aは、「縮退レベルの伝送エラー」が発生しているか否かを判定する(ステップS110)。「縮退レベルの伝送エラー」とは、レーンの縮退処理によらなければエラーからの回復が不可能な伝送エラーである。具体的には、例えば、データ伝送装置Aは、送信するビット列に誤り検出符号を付加して送信する。そして、データ伝送装置Aは、データ伝送装置Bにおいて誤りが検出されて、データ伝送装置Bから伝送エラーの発生を示す特別なビット列を受信した場合に、縮退レベルの伝送エラーが発生したと判定する。なお、伝送エラーの発生を示す特別なビット列は、伝送エラーが発生したレーンを識別するための情報を含む。あるいは、データ伝送装置Aは、データ伝送装置Bから定期的に診断用の特別なビット列を受信し、所定の時間を超えて診断用の特別なビット列を受信しない場合に、縮退レベルの伝送エラーが発生したと判定してもよい。
【0034】
伝送エラーが発生していなければ(ステップS110:No)データ伝送装置Aは、ステップS110の処理を繰り返し、その間、データ伝送を継続する。
【0035】
伝送エラーが発生していれば(ステップS110:Yes)、データ伝送装置Aは、伝送エラーが発生したレーンを含む2本の「一群のレーン」を選択し(ステップS120)、ステップS130の処理へ進む。なお、「一群のレーン」は、レーンが3本以上ある場合であっても、データ伝送装置Aとデータ伝送装置Bとの間で共有される。
【0036】
データ伝送装置Aは、選択された一群のレーンを伝送速度が通常モードの1/2である縮退モードで動作させ(ステップS130)、ステップS140の処理へ進む。具体的には、例えば、データ伝送装置Aは、通信速度を半分にするように指示する特別なビット列をデータ伝送装置Bから受信する。なお、通信速度を半分にするように指示する特別なビット列は、選択された一群のレーンを特定するための情報を含む。そして、データ伝送装置Aは、通信速度を半分にするように指示する特別なビット列に従って、選択された一群のレーンの通信速度を半分にする。
【0037】
データ伝送装置Aは、縮退モードにおける伝送の正常性を確認し(ステップS140)、ステップS150の処理へ進む。具体的には、例えば、データ伝送装置Aは、通信速度を半分にして試験用のビット列を送信する。そして、データ伝送装置Aは、伝送エラーの発生の確認結果を示す特別なビット列をデータ伝送装置Bから受信する。
【0038】
データ伝送装置Aは、縮退モードにおける伝送が正常か否かを判定する(ステップS150)。
【0039】
伝送が正常でなければ(ステップS150:No)データ伝送装置Aは、データ伝送を中止して、処理を終了する。さらに、データ伝送装置Aは、障害復旧等の処理を行ってもよい。
【0040】
伝送が正常であれば(ステップS150:Yes)、データ伝送装置Aは、一群のレーンへ逆多重化されたデータを送信し(ステップS160)、処理を終了する。
【0041】
次に、データ伝送装置Bの動作について説明する。
【0042】
データ伝送装置Bは、縮退レベルの伝送エラーが発生しているか否かを判定する(ステップS115)。具体的には、例えば、データ伝送装置Bは、受信したビット列のエラーチェックを行い、縮退レベルの伝送エラーが発生しているか否かを判定する。データ伝送装置Bは、誤りを検出した場合に、伝送エラーの発生を示す特別なビット列を送信する。なお、伝送エラーの発生を示す特別なビット列は、伝送エラーが発生したレーンを識別するための情報を含む。あるいは、データ伝送装置Bは、データ伝送装置Aへ定期的に診断用の特別なビット列を送信してもよい。
【0043】
伝送エラーが発生していなければ(ステップS115:No)、データ伝送装置Bは、ステップS115の処理を繰り返し、その間、データ伝送を継続する。
【0044】
伝送エラーが発生していれば(ステップS115:Yes)、データ伝送装置Bは、伝送エラーが発生したレーンを含む2本の一群のレーンを選択し(ステップS125)、ステップS135の処理へ進む。
【0045】
データ伝送装置Bは、選択された一群のレーンを伝送速度が通常モードの1/2である縮退モードで動作させ(ステップS135)、ステップS145の処理へ進む。具体的には、例えば、データ伝送装置Bは、通信速度を半分にするように指示する特別なビット列をデータ伝送装置Aへ送信する。なお、通信速度を半分にするように指示する特別なビット列は、選択された一群のレーンを特定するための情報を含む。
【0046】
データ伝送装置Bは、縮退モードにおける伝送の正常性を確認し(ステップS145)、ステップS155の処理へ進む。具体的には、例えば、データ伝送装置Bは、データ伝送装置Aから半分の通信速度で試験用のビット列を受信し、伝送エラーが発生するか否かを確認する。そして、データ伝送装置Bは、伝送エラーの発生の確認結果を示す特別なビット列をデータ伝送装置Aへ送信する。
【0047】
データ伝送装置Bは、縮退モードにおける伝送が正常か否かを判定する(ステップS155)。
【0048】
伝送が正常でなければ(ステップS155:No)データ伝送装置Bは、データ伝送を中止して、処理を終了する。さらに、データ伝送装置Bは、障害復旧等の処理を行ってもよい。
【0049】
伝送が正常であれば(ステップS155:Yes)、データ伝送装置Bは、一群のレーンから逆多重化されたデータを受信し(ステップS165)、処理を終了する。
【0050】
次に、本実施形態における処理の具体例について説明する。
【0051】
図3は、本発明の第1の実施形態のデータ伝送システム100の処理の具体例を説明するための図である。具体的には、
図3は、逆多重化されたデータの送受信処理の具体例を説明するための図である。
図3(a)から(e)において、最左の2列は、送信側伝送装置Aにおける送信ビット列、バッファAの内容、バッファBの内容を示す。
図3(a)から(e)において、最右の2列は、受信側伝送装置Bにおける受信ビット列、バッファaの内容、バッファbの内容を示す。
図3(a)から(e)において、中央の2列は、レーンA、レーンBにおける受信ビット列の内容を示す。
図3(a)は正常時の伝送状態を、
図3(b)は伝送エラー発生時の伝送状態を、
図3(c)は縮退時の伝送状態を、
図3(d)は本発明とは別の方法による縮退時の伝送状態を、
図3(e)は本発明とは別の方法による縮退時の別の伝送状態を示す。なお、
図3(e)の「別の方法」は、
図3(d)の「別の方法」と同じであるが、使用されるレーン数が異なる。また、丸で囲まれた数字は、送信ビット列中の固定長の要素を示す。
【0052】
まず、伝送エラーが発生していない場合(
図3(a))について、説明する。選択手段140により、送信側のバッファA、バッファBはそれぞれ、レーンA、レーンBに接続されており、選択手段145により、受信側のバッファa、バッファbはそれぞれ、レーンA、レーンBに接続されている。まず、送信データに含まれるビット列の各要素は、バッファA、バッファBに交互に保持される。次に、バッファA、バッファBのビット列は、それぞれ、レーンA、レーンBに送信される。次に、伝送エラーは発生していないので、バッファa、バッファbに受信されたビット列が保持される。次に、バッファa、バッファbに保持されるビット列の各要素は、交互に取り出されて、受信データが再構成される。
【0053】
次に、伝送エラーが発生した場合(
図3(b))について、説明する。選択手段140により、送信側のバッファA、バッファBはそれぞれ、レーンA、レーンBに接続されており、選択手段145により、受信側のバッファa、バッファbはそれぞれ、レーンA、レーンBに接続されている。まず、送信データに含まれるビット列の各要素は、バッファA、バッファBに交互に保持される。次に、バッファA、バッファBのビット列は、それぞれ、レーンA、レーンBに送信される。次に、送信したビット列の半分が正常に受信された後に、レーンAおよびレーンBにおいて伝送エラーが発生する。
【0054】
伝送エラーが発生したので、続いて、レーンの縮退処理が行われる(
図3(c))。縮退処理の結果、選択手段140により、送信側のバッファAは、レーンAとレーンBの両方に接続されており、選択手段145により、受信側のバッファaは、レーンAとレーンBの両方に接続されている。まず、送信データに含まれるビット列の各要素は、バッファAに保持される。次に、バッファAのビット列は、レーンA、レーンBへ交互に半分の速度で送信される。次に、受信されたビット列は、レーンA、レーンBから交互に取り出され、バッファaに保持される。次に、バッファaに保持されるビット列の各要素が取り出されて、受信データが再構成される。つまり、レーンAおよびレーンBにおいて伝送エラーが発生したにもかかわらず、半分のスループットで伝送が行われる。
【0055】
ここで、レーンの縮退時に、選択手段によるバッファの切り替えが行われない場合(
図3(d))について、説明する。まず、送信データに含まれるビット列の各要素は、バッファA、バッファBに交互に保持される。次に、バッファA、バッファBのビット列は、それぞれ、レーンA、レーンBに正常時の半分の通信速度で送信される。次に、正常時の半分の通信速度では伝送エラーは発生していないので、バッファa、バッファbに受信されたビット列が保持される。次に、バッファa、バッファbに保持されるビット列の各要素は、交互に取り出されて、受信データが再構成される。この場合には、受信側の各バッファに保持される受信ビット列の要素の数が、通常時の半分である。すなわち、バッファから取り出す要素の個数が、レーンの縮退時と通常時とで異なる。つまり、この具体例では、レーンの縮退時と通常時とで、受信ビット列からデータを再構成する際の処理やタイミングが変化するので、処理が複雑であるという問題がある。
【0056】
特に、受信ビット列からデータを再構成する際の処理方法やタイミングが変化するという問題は、縮退したレーンと縮退していないレーンとが混在する場合(
図3(e))に顕著である。ここでは、送信側バッファCおよび受信側バッファcが3本目のレーンCに接続された例について説明する。レーンCは縮退していない。その他の条件は、
図3(d)における条件と同じである。レーンCは縮退していないので、通常の速度でビット列が伝送される。その結果、受信側のバッファcに保持されるビット列の要素数は、バッファa、バッファbの2倍である。すなわち、バッファから取り出す要素の個数が、2種類存在する。つまり、この具体例では、縮退したレーンのバッファと通常のレーンのバッファとで、受信ビット列からデータを再構成する際の処理やタイミングが2種類存在するので、処理が複雑であるという問題がある。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のデータ伝送システム100では、縮退対象の2本のレーンは通常の1本のレーンとして動作する。つまり、本実施形態のデータ伝送システム100では、データ伝送インタフェースにおける伝送エラーの発生時に、通常の縮退処理において少なくとも2つのレーンが同時に縮退対象になる場合に比べて、スループットの低下が抑制されるという効果がある。
【0058】
また、本実施形態のデータ伝送システム100では、エラーが発生したレーンの各バッファおよびエラーが発生しないレーンの両方の各バッファにおいて、縮退後にデータが読み書きされるタイミングが同じである。従って、本実施形態のデータ伝送システム100では、縮退が発生したレーンのバッファと縮退が発生しないレーンのバッファとの間で、ビット列の送受信順序を合せる仕組みが不要であるという効果がある。
【0059】
また、本実施形態のデータ伝送システム100では、縮退後に使用されないバッファが存在する。そのため、ステップS110におけるレーンの障害検出処理を、バッファの障害検出処理に置き換えれば、ステップS120からステップS160までの処理は、バッファの障害時の縮退処理として利用可能である。または、ステップS115におけるレーンの障害検出処理を、バッファの障害検出処理に置き換えれば、ステップS125からステップS165までの処理は、バッファの障害時の縮退処理として利用可能である。
【0060】
なお、上述の本実施形態の構成では、データ伝送装置は、2つのレーンを有し、レーン数に対応する数の、バッファ、通信手段、及び選択手段の入出力を有する場合について示した。しかしながら、上述の説明から明らかなように、本実施形態のデータ伝送装置が有する、レーン、バッファ、選択手段の入出力の数は、2つに限定されず、2以上の任意の自然数(M)であってよい。
【0061】
また、上述の本実施形態の動作では、縮退対象のレーンが2つである場合について説明した。しかしながら、上述の説明から明らかなように、本実施形態の縮退対象のレーンの数は、2つに限定されず、2以上でM以下の任意の自然数(N)であってよい。その理由は、縮退対象のレーンの数がNであれば、縮退対象のレーンの通信速度を通常の1/Nにして、1つの送信バッファ及び1つの送信バッファに接続させることにより、1本の通常のレーンと同等に動作させることができるからである。
(第2の実施形態)
次に、上述した第1の実施形態を基本とする本発明の第2の実施形態におけるデータ伝送システムについて説明する。本実施形態のデータ伝送システムは、8本のレーンを含む。以下の説明において、第1の実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0062】
本実施形態における構成について説明する。
【0063】
図4は、本発明の第2の実施形態におけるデータ伝送システム200の構成の一例を示すブロック図である。
【0064】
データ伝送システム200は、お互いにデータ伝送を行うデータ伝送装置201(データ伝送装置A)およびデータ伝送装置202(データ伝送装置B)を含む。データ伝送装置Aおよびデータ伝送装置Bは、双方ともにデータの送受信が可能である。ただし、説明を簡単にするために、データ伝送装置Aを送信側、データ伝送装置Bを受信側とする、一方向のレーンのみを図示する。また、レーンの本数が8本(双方向合わせて16本)である場合について図示する。
【0065】
送信側のデータ伝送装置Aは、データ処理部210と、バッファ211と、送信器213と、セレクタ212とを含む。
【0066】
データ処理部210は、送信データを送信ビット列に符号化して各バッファへ格納する。
【0067】
バッファ211は、データ処理部210により格納された送信ビット列を保持する。
【0068】
送信器213は、バッファ211により保持される送信ビット列を受信側へ送信する。
【0069】
セレクタ212は、バッファ211により保持される送信ビット列をどの送信器213に渡すかを選択する。
【0070】
受信側のデータ伝送装置Bは、受信器223と、バッファ221と、セレクタ222と、データ処理部220とを含む。
【0071】
受信器223は、送信器213から送信された送信ビット列を受信し、受信した受信ビット列を各バッファへ格納する。
【0072】
バッファ221は、受信器223により格納された受信ビット列を保持する。
【0073】
セレクタ222は、バッファ221により保持される受信ビット列がどの受信機223から渡されるかを選択する。
【0074】
データ処理部220は、バッファ221により保持される受信ビット列を元の送信データに復号化する。
【0075】
次に、本実施形態における動作について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態におけるデータ伝送システム200の動作を示すフローチャートである。なお、
図5に示すフローチャート及び以下の説明は一例であり、適宜求める処理に応じて、処理順等を入れ替えたり、処理を戻したり、又は処理を繰り返したりしてもよい。
【0076】
データ伝送装置Aは、ビット列をデータ伝送装置Bへ送信する(ステップS201)。
【0077】
データ伝送装置Bは、データ伝送装置Aにより送信されたビット列を受信し(ステップS202)、ステップS203の処理へ進む。
【0078】
データ伝送装置Bは、受信したビット列のエラーチェックを行い、縮退レベルのエラーが発生しているか否かを判定する(ステップS203)。
【0079】
データ伝送装置Aおよびデータ伝送装置Bは、ステップS203において縮退レベルのエラーが発生していない場合には(ステップS203:No)、データ伝送を継続する(ステップS204)。
【0080】
データ伝送装置Bは、ステップS203において縮退レベルのエラーが発生した場合には(ステップS203:Yes)、通信速度を半分にするように指示するスペシャルパケットをデータ伝送装置Aへ送信する(ステップS205)。スペシャルパケットとは、データ伝送装置間で指示や応答を交換するための特別なビット列である。
【0081】
データ伝送装置Aは、データ伝送装置Bにより送信されたスペシャルパケットを受信し(ステップS206)、ステップS207の処理へ進む。
【0082】
データ伝送装置Aおよびデータ伝送装置Bは、通信速度を半分にして伝送トレーニングを行い(ステップS207)、ステップS208の処理へ進む。伝送トレーニングとは、縮退レベルのエラーが発生することなく伝送を継続できるか否かを検査する処理である。
【0083】
データ伝送装置Bは、伝送トレーニングの結果に基づいて、縮退レベルのエラーが発生するか否かを判定する(ステップS208)。
【0084】
データ伝送装置Bは、ステップS208において縮退レベルのエラーが発生した場合には(ステップS208:Yes)、通常の縮退処理を行う(ステップS209)。
【0085】
データ伝送装置Aおよびデータ伝送装置Bは、ステップS208において縮退レベルのエラーが発生していない場合には(ステップS208:No)、ステップS203において縮退レベルのエラーが発生したレーンを含む2つのレーンを選択する。次に、データ伝送装置Aおよびデータ伝送装置Bは、選択した2つのレーンに対して共通に使用される、送信側及び受信側の各々1つのバッファを決定し(ステップS210)、ステップS211の処理へ進む。
【0086】
データ伝送装置Aは、決定した送信側の1つのバッファにより保持される送信ビット列が2つのレーンへ送信され、決定した受信側の1つのバッファにおいて2つのレーンからの受信ビット列が保持されるように、データ伝送装置A側およびデータ伝送装置B側のセレクタへ経路変更コマンドを送信し(ステップS211)、ステップS212またはステップS213の処理へ進む。経路変更コマンドとは、セレクタに経路を変更させるための命令である。経路変更コマンドは、所定のスペシャルコマンドにより、データ伝送装置間で交換されてもよい。
【0087】
データ伝送装置A側のセレクタは、データ伝送装置Aにより送信された経路変更コマンドを受信し、経路の切り替えを開始し(ステップS212)、ステップS214の処理へ進む。
【0088】
データ伝送装置B側のセレクタは、データ伝送装置Aにより送信された経路変更コマンドを受信し、経路の切り替えを開始し(ステップS213)、ステップS214の処理へ進む。
【0089】
データ伝送装置Aおよびデータ伝送装置Bは、変更された経路を経由して、それぞれが、1つのバッファに接続された2つのレーンを交互に利用してデータ伝送を行う(ステップS214)。
【0090】
以上説明したように、本実施形態のデータ伝送システム200では、データ伝送インタフェースにおける伝送エラーの発生時に、通常の縮退処理において少なくとも2つのレーンが同時に縮退対象になる場合に比べて、スループットの低下が抑制されるという効果がある。
【0091】
また、本実施形態のデータ伝送システム200では、エラーが発生したレーンの各バッファおよびエラーが発生しないレーンの両方の各バッファにおいて、縮退後にデータが読み書きされるタイミングが同じである。従って、本実施形態のデータ伝送システム200では、縮退が発生したレーンのバッファと縮退が発生しないレーンのバッファとの間で、ビット列の送受信順序を合せる仕組みが不要であるという効果がある。
【0092】
また、本実施形態のデータ伝送システム200では、縮退後に使用されないバッファが存在する。そのため、ステップS203におけるレーンの障害検出処理を、バッファの障害検出処理に置き換えれば、ステップS204以降の処理は、バッファの障害時の縮退処理として利用可能である。
【0093】
なお、上述の本実施形態の構成では、データ伝送装置は、8つのレーンを有し、レーン数に対応する数の、バッファ、通信手段、及びセレクタの入出力を有する場合について示した。しかしながら、上述の説明から明らかなように、本実施形態のデータ伝送装置が有する、レーン、バッファ、セレクタの入出力の数は、8つに限定されず、2以上の任意の自然数であってよい。
【0094】
また、上述の本実施形態の動作では、縮退対象のレーンが2つである場合について説明した。しかしながら、上述の説明から明らかなように、本実施形態の縮退対象のレーンの数は、2つに限定されず、2以上の任意の偶数であってよい。その理由は、縮退対象のレーンの数が2以上の偶数であれば、縮退対象のレーンは、縮退対象のレーンの数の半分の数の縮退対象でないレーンと同等に動作するからである。
【0095】
なお、上述した各実施形態におけるデータ伝送装置は、専用の装置又は回路によって実現してもよいが、コンピュータ(情報処理装置)によっても実現可能である。この場合、係るコンピュータは、メモリ(不図示)に格納されたソフトウェア・プログラムをCPU(Central_Processing_Unit、不図示)に読み出し、読み出したソフトウェア・プログラムをCPUにおいて実行することにより、実行結果を、例えば、ユーザ・インタフェースに出力する。上述した各実施形態の場合、係るソフトウェア・プログラムには、上述したところの、
図1に示したデータ伝送装置110、115の各手段の機能を実現可能な記述がなされていればよい。あるいは、
図4に示したデータ伝送装置201、202の各手段の機能を実現可能な記述がなされていればよい。そして、このような場合、係るソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム)は、本発明を構成すると捉えることができる。更に、係るソフトウェア・プログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体も、本発明を構成すると捉えることができる。
【0096】
以上、本発明を、上述した各実施形態およびその変形例によって例示的に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態およびその変形例に記載した範囲には限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更又は改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更又は改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。