(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525260
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】軌陸車用搬送台車及びこれに軌陸車を載せ受ける方法
(51)【国際特許分類】
B61D 3/18 20060101AFI20190527BHJP
B61J 3/12 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
B61D3/18 Z
B61J3/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-130690(P2015-130690)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-13588(P2017-13588A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】高木 真理
(72)【発明者】
【氏名】田代 貞明
(72)【発明者】
【氏名】富川 優司
(72)【発明者】
【氏名】大竹 由行
(72)【発明者】
【氏名】金谷 雄大
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−306794(JP,A)
【文献】
特開2009−12565(JP,A)
【文献】
米国特許第5620192(US,A)
【文献】
実開昭52−52213(JP,U)
【文献】
特開2001−39132(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3044877(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 1/00−15/12
B61J 1/00−99/00
B60C 1/00−17/12
B60G 1/00−11/18
B60K 1/00−13/04
B62B 1/00−5/08
B60S 3/00−13/02
B60P 3/00−9/00
B60F 1/00−5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後二対の道路走行用のタイヤ車輪と、前後二対の軌道走行用の鉄輪と、道路から軌道上へ乗り移るときに車体下から降下して車体をせり上げ旋回させる転車台とを具備する軌陸車が、前後いずれか一対の鉄輪の故障により軌道上の走行が不能となった時に、当該軌陸車の転車台を載せ受け、残る前後いずれか一対の正常な鉄輪と共に軌道上を走行可能な台車であって、
前記軌道上を転動可能な前後一対の車輪をそれぞれ備えた左右一対の台車本体と、これらの台車本体を分離可能に連結する連結部材とを具備し、
前記台車本体は、前記転車台の下面に係合し転車台を載せ受ける台座を具備し、
前記台座は、前記転車台を前後方向上下に傾けて載せ受けるように、前後方向の一方へ下降する斜面を具備し、それによって、当該斜面の上昇方向に配置される前記障害鉄輪を軌道上に浮かせ、斜面の下降方向に配置される前記正常鉄輪を軌道上に降ろして搬送するように、前記軌陸車を支持可能に構成されることを特徴とする軌陸車用搬送台車。
【請求項2】
前記軌陸車の転車台は、その下面の前後に、それぞれ段部を形成して下方へ突出する接地板部を具備し、
前記台車本体の台座は、前記軌陸車の転車台の前後いずれかの接地板部に係合して前後方向のずれを防止する係合凹部を具備することを特徴とする請求項1に記載の軌陸車用搬送台車。
【請求項3】
前記台車本体は、両者間に前記前後一対の車輪を軸支する左右一対の側板を具備し、
前記台座は、前記左右の側板の上縁部間を接続する水平の支持板上に設けられ、
前記車輪を支持する車軸は、前記側板から内方へ突出し、ピン挿通孔を有する接続軸部を形成し、
前記連結部材は、鋼管材からなり、両端部を前記台車本体の接続軸部に嵌合させて抜け止めピンにて接続軸部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の軌陸車用搬送台車。
【請求項4】
請求項1に記載の軌陸車用搬送台車に軌道上の前記軌陸車を載せ受ける方法であって、
それぞれ一対の台車本体と連結部材とに分解されて前記軌陸車上に格納されている搬送台車を搬出して、組み立てる工程と、
前記軌陸車の故障鉄輪を軌道上に浮かせるように軌陸車をジャッキにより押し上げて傾ける工程と、
前記台座の斜面を前記転車台の接地板部の傾きに対応させて、転車台の下方位置の軌道上に前記搬送台車を配置する工程と、
前記軌陸車の転車台を降下させて前記転車台の接地板部を前記台座の斜面上に載せる工程と、
前記ジャッキを収縮させ、前記軌陸車の所要の傾きを保った状態で、軌陸車の荷重を前記搬送台車に負担させる工程と、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路の軌道上を走行する軌陸車が、軌道上で脱線などにより走行不能に陥ったとき、この軌陸車を最寄りの退避場所まで非常搬送する際に、軌陸車の転車台を載せ受けて軌道上を走行する台車に関する。
【背景技術】
【0002】
なお、以下の記載中、特に断らない限り、平行に敷設された一対の軌道の延長方向を前後、幅方向を左右とそれぞれ定義する。
道路走行用の前後二対のタイヤ車輪と、軌道走行用の前後二対の鉄輪と、道路から軌道上へ乗り移るときに車体下から降下して車体をせり上げ旋回させる転車台とを具備する軌陸車が、線路の保守用車両として使用されている。軌陸車が、脱線等により、鉄輪での走行が不能となった場合には、これを他の車両の運行の支障にならない退避位置まで軌道上を移動させて速やかに撤去する必要がある。従来、軌陸車を移動させる際には、故障した前後いずれか一対の鉄輪を専用の台車に載せ受け、この台車と正常鉄輪により、自力又は牽引等の方法で、最寄りの退避場所まで移動させている。台車は組み立て式で、常時は分解して軌陸車に搭載されている。特許文献1に記載の台車は、軌道上を走行する車輪付きの一対の本体と、これらの本体間を連結する連結部とを備えており、一対の本体上に軌陸車の左右の鉄輪をそれぞれ載せ受ける。この台車は、本体と連結部とに分解された状態で、軌陸車に常時格納可能とされる。本体の左右の側壁を連結するように、前後一対のブロックが設けられる。このブロック上に軌陸車の故障鉄輪を載せ受ける。前後一対のブロックは、両者間に鉄輪の円弧状の下部を安定して受け入れるように、その中間部に向かって互いに下方に傾斜した状態で側壁に固着される。このような小型簡易な台車の他に、軌陸車のタイヤ車輪を乗せて軌道上を走行する大型の搬送台車があるが、これは大重量で、軌陸車に搭載することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−306794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の軌陸車の搬送用台車においては、故障した鉄輪を載せ受ける前後一対のブロックが左右の側壁の間に固定されているため、脱線等の事故により鉄輪が変形していると、鉄輪を側壁間に収容不能になることがあり、また鉄輪とブロックの接触が不安定となり、移送中に鉄輪が台車から脱落する原因になるおそれがある。
そこで本発明は、軌陸車の故障した鉄輪に変形が生じていても、これに関わりなく、転車台を安定的に載せ受けて、軌陸車を安全に搬送することができる台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の軌陸車の搬送用台車1は、軌道上を転動可能な前後一対の車輪5をそれぞれ備えた左右一対の台車本体2と、これらの台車本体2を分離可能に連結する連結部材3とを具備する。台車本体2は、転車台の下面に係合し転車台を載せ受ける台座6を具備する。台座6は、転車台を前後方向上下に傾けて載せ受けるように、前後方向の一方へ下降する斜面6bを具備し、それによって、当該斜面6bの上昇方向に配置される故障した鉄輪を軌道R上に浮かせ、下降方向に配置される正常な鉄輪を軌道R上に降ろして搬送するように、軌陸車を支持する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の軌陸車の搬送用台車1によれば、台座6上に軌陸車の転車台を載置するので、軌陸車の故障した鉄輪が脱線等により変形していても、軌陸車を確実に、安定して載せ受け、安全に搬送することができる。台座6が、前後方向の斜面6bを有するので、走行不能の故障した鉄輪を軌道R上に浮かせ、前後反対側の正常な鉄輪は軌道R上に降ろすように、軌陸車の車体を前後方向に傾けて支持することができる。これにより、台車1にかかる荷重を半減させて軌陸車を搬送できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
この実施形態の搬送台車1は、
図4に示す軌陸車21を搬送するためのものである。軌陸車21は、トラック車両をベースとして構成されており、車体の前後左右の4箇所に取り付けられたタイヤ車輪(道路走行用車輪)22によって道路上を走行することができる。また、車体の前後左右の4箇所には、軌道Rを走行するための鉄輪24を有する軌道走行装置23が取り付けられている。軌道走行装置23は、油圧駆動により屈伸し、鉄輪24を軌道R上に配置したときにタイヤ車輪22が浮き上がるように車体を押し上げる。車体の下部中央には、軌陸車21を、レール上へ乗せ換え移動するための転車台25が取り付けられている。転車台25は、油圧駆動で昇降し、降下時に車体を押し上げ、また押し上げた車体をモータ駆動又は手動で水平旋回することができる。転車台25は、その下面の前後に、それぞれ段部を形成して下方へ突出する接地板部26を具備する。
【0009】
図1ないし
図3において、台車1は、平行な一対の軌道R上にそれぞれ載置される左右一対の台車本体2と、これらの2つの台車本体2間をその前部及び後部において連結する前後一対の連結パイプ3とを具備する。
【0010】
台車本体2は、架台4と、架台4に車軸11で軸支される前後一対の車輪5と、架台4上に固定される台座6とを備える。架台4は、左右一対の側板7と、前後方向中間部において両側板7の上縁間を結合する水平の支持板8と、両側板7の間隔を保持するために、両者間を結合する垂直方向の結合板9,10とを具備する。
【0011】
台座6は、支持板8上に固定される。台座6は、転車台25の前後いずれかの接地板部26に嵌合する係合凹部6aを有し、この係合凹部6aの底面6b、すなわち転車台25の接地板部26が載る支持面は、前後一方向下がりに傾斜している。係合凹部6aの前後の縁の起立部6cが、転車台25の接地板部26の前後両縁に係合するようになっている。
【0012】
車輪5を支持する車軸11は、拡径して内側の側板7を貫通し、内方へ突出する。突出部は、連結パイプ3を嵌合させるための接続軸部12を形成する。接続軸部12は、ピン挿通孔12aを有する。
【0013】
連結パイプ3は、接続軸部12に被挿され、これらを直交方向に貫通する抜け止めピン13で抜け止めされる。
【0014】
この実施形態に係る搬送台車1は、2つの台車本体2と、2つの連結パイプ3とからなる、4つの部品に分解された状態で、軌陸車21上に格納される。脱線事故等により軌陸車21の前後いずれか一対の鉄輪24による走行が不能になった場合、
図4に示すように、転車台25を搬送台車1に載せて軌陸車21を退避場所まで移動させる。この場合まず、分解されて軌陸車21上に格納されている搬送台車1を搬出して、組み立てる。次いで、軌陸車21の故障した鉄輪24を軌道R上に浮かせると共に、正常な他の一対のタイヤ車輪22を軌道R上に降ろすように、軌陸車21を図示しないジャッキにより押し上げて傾ける。ジャッキとしては、図示しない付設のアウトリガを用いることができる。次いで、転車台25の下方位置の軌道R上に搬送台車1を配置する。このとき、台座6の斜面6bを転車台2の接地板部26の傾きに対応させる。次いで、軌陸車21の転車台25を降下させ、接地板部26を台座6の斜面6b上に載せる。次いで、ジャッキを収縮させ、軌陸車21の所要の傾きを保った状態で、軌陸車21の荷重を搬送台車1に負担させる。この状態で、搬送台車1により、自力又は牽引等の方法で、最寄りの退避場所まで軌陸車21を移動させる。
【0015】
搬送台車1は、転車台25を支持するので、故障した鉄輪24が変形していても、軌陸車21を確実に、安定して載せ受け、安全に搬送することができる。台座6が、前後方向の斜面6bを有するので、走行不能の故障した鉄輪24を軌道R上に浮かせ、これと前後反対側の正常な鉄輪24は軌道R上に降ろすように、軌陸車21の車体を前後方向に傾けて支持することができる。これにより、搬送台車1にかかる荷重を半減させることができるから、搬送台車1の小型軽量化が可能となる。
【符号の説明】
【0016】
1 搬送台車
2 台車本体
3 連結パイプ
4 架台
5 車輪
6 台座
6a 係合凹部
6b 斜面(底面)
6c 起立部
7 側板
8 支持板
9 結合板
10 結合板
11 車軸
12 接続軸部
12a ピン挿通孔
13 抜け止めピン
21 軌陸車
22 タイヤ車輪
23 レール走行装置
24 鉄輪
25 転車台
26 接地板部
R レール