特許第6525266号(P6525266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525266
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】温度感知装置の封止構造
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/10 20060101AFI20190527BHJP
   G01K 1/18 20060101ALI20190527BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   G01K1/10
   G01K1/18
   H01M10/48 301
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-215358(P2015-215358)
(22)【出願日】2015年11月2日
(65)【公開番号】特開2017-90048(P2017-90048A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高澤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】井奈福 浩之
(72)【発明者】
【氏名】武田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 遼一
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−307950(JP,A)
【文献】 特開平5−283059(JP,A)
【文献】 実開平3−52644(JP,U)
【文献】 実開昭57−22023(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ蓄電池の電槽外部に設けられた導電体の測温部に固定されて使用される温度感知装置の封止構造において、
a)該温度感知装置は第一の接着剤と第二の接着剤が塗布された状態で導電体の測温部に固定されるものであって、
b)前記第一の接着剤は、第二の接着剤よりも熱伝導率が大きく、温度感知装置の下面及び測温部表面の成す隙間に塗布され、
c)前記第二の接着剤は、温度感知装置及び塗布された第一の接着剤の外面全体を覆って塗布されること、
を特徴とする温度感知装置の封止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度感知装置の封止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルカリ蓄電池の一種であるニッケル・カドミウム蓄電池は、正極活物質にオキシ水酸化ニッケル、負極活物質にカドミウム、電解液として水酸化カリウム水溶液を使用して製造される。特に焼結式極板を用いたニッケル・カドミウム蓄電池は、一般的にニッケル粉末等を焼結させた多孔質の集電体に活物質を含浸し析出させたもので、内部抵抗が小さく表面積が大きいため、大電流の入出力が求められる用途に適している。
【0003】
上記の様なニッケル・カドミウム蓄電池において、大電流の印加は、該蓄電池の温度が所定値以上例えば50℃以上において、該蓄電池に種々の悪影響を与えその寿命を低下させる。そこで、該蓄電池間の接続板等の測温部にサーミスタや熱電対等の温度感知装置を当接させた状態で取り付け、該当接箇所の温度を測定し、該蓄電池に過大な電流が流れた場合やセルの劣化による温度異常等を検知して、該蓄電池の温度上昇警報を出力する手法が従来用いられている。また、この様な温度感知装置は、接続端子の腐食等により測定精度が著しく低下するため、電解液の漏液等から保護するための封止構造が設けられる。
【0004】
ニッケル・カドミウム蓄電池の電解液に用いられる水酸化カリウム水溶液は、浸透性が高く、封止された極柱端子からでも漏液することが知られている。水酸化カリウム水溶液は強アルカリであるため腐食性が強く、漏液した場合には封止構造の内部まで該電解液が侵入することがあり、前記温度感知装置の接続端子等を腐食させ、測定誤差を生じるといった問題があった。また、前記の様に温度感知装置を測温部に当接させた場合には、該測温部の表面に電解液がはい上がった際、該電解液が該測温部の側面を伝って上昇し、該測温部上面の接続端子等を腐食させることがある。
【0005】
蓄電池の封止構造の一例として、特許文献1において蓄電池の板状端子封口部が開示されている。特許文献1の封止構造は鉛蓄電池の板状端子の漏液防止を目的とし、該板状端子がエポキシ樹脂ベースコーティング層に接着固定された状態で、該板状端子をエポキシ樹脂封口層で被覆し、該ベースコーティング層と該封口層とを一体化するとともに、該板状端子の各エッジ部を丸めることで、エポキシ樹脂に対する濡れ性が向上し、封口層からの液漏れを防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−30445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1の様な封止構造は、確かに鉛蓄電池の端子部の封止構造としては有効であっても、ニッケル・カドミウム蓄電池の様なアルカリ蓄電池に適用した場合には十分な効果が得られるとは言い難かった。これは前記水酸化カリウム水溶液の浸透性が高く、僅かな隙間からも毛細管現象によって封止構造の内部に浸透することに因る。
【0008】
そこで本発明は、上記の様なアルカリ蓄電池の電解液が漏液しても温度感知装置の劣化や誤作動を抑制し、正確な温度を測定可能な、温度感知装置の封止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するため、アルカリ蓄電池の電槽外部に設けられた蓄電池間の接続板の測温部に当接した状態で固定されて使用される温度感知装置の封止構造であって、特に該温度感知装置は第一の接着剤と第二の接着剤が塗布された状態で該測温部が封止されることを特徴とする。
【0010】
前記第一の接着剤は、前記温度感知装置の下面及び前記測温部表面の成す隙間に塗布されるものであり、前記第二の接着剤よりも熱伝導率が大きいものを使用する。該第一の接着剤は、該温度感知装置の緩み等を防ぎ測温部により強固に固定する役割を担うとともに、熱伝導率の大きいものを使用することで、該測温部の温度が温度感知装置まで伝達されて正確に測定されることを妨げない。また、該第一の接着剤は、温度感知装置の下面及び測温部表面の間に隙間を成し、該隙間に塗布されることで、電解液等が漏液した際、測温部の表面と該接着剤の境界部分から、温度感知装置の上面に設けられた接続端子までの沿面距離を、該温度感知装置を該測温部に当接させた場合と比較して大きくでき、腐食をより効率的に防止できる。
【0011】
一方、前記第二の接着剤は、前記温度感知装置及び前記塗布された第一の接着剤の外面全体を覆って塗布される。この様に該第二の接着剤が該温度感知装置及び前記測温部全体を覆う様に塗布されることで、蓄電池に加わる振動、衝撃等から該温度感知装置を保護する役割を担うとともに、該温度感知装置及び該測温部の表面に密着させ、更に先に塗布した該第一の接着剤に強固に密着させることができ、電解液の侵入防止において良好な効果を奏するものである。
【0012】
上記の温度感知装置の封止構造が優れた効果を発揮することを、より詳しく説明する。図2の本発明の実施形態の断面側面拡大図に示した様に、第二の接着剤と測温部との接着界面α及び第一の接着剤と測温部との接着界面βと比べ、第一の接着剤と第二の接着剤との接着界面γは該第二の接着剤8が該第一の接着剤7の表面の凹凸に追従して密着することで、より強固に結着しているため、もし該第二の接着剤と測温部との接着界面αの端部から電解液が内部へ侵入した場合でも、該接着界面α及び該接着界面βに比べ該接着界面γは電解液を浸透させにくく、電解液が温度感知装置の上面に設けられた接続端子まで電解液が浸透せず、以って温度感知装置の劣化や誤作動を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上の通り、本発明はアルカリ蓄電池の電槽外部に設けられた導電体の測温部に固定されて使用される温度感知措置の封止構造において、該温度感知装置は第一の接着剤と第二の接着剤が塗布された状態で測温部に固定され、更に該第一の接着剤は第二の接着剤よりも熱伝導率が大きいものを使用し、かつ該第一の接着剤は、温度感知装置の下面及び測温部表面の成す隙間に塗布され、更に前記第二の接着剤は前記温度感知装置及び前記塗布された第一の接着剤の外面全体を覆うように塗布される様にしたので、アルカリ蓄電池の電解液が漏液しても温度感知装置の劣化や誤作動を抑制し、正確な温度を測定可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示した断面側面図である。
図2】本発明の実施形態を示した断面側面拡大図である。
図3】本発明の実施例における温度感知装置の封止構造の製造に用いた割型の下型を示した平面図である。
図4】本発明の実施例における温度感知装置の封止構造の製造に用いた割型の下型のIV−IV’線における断面側面図である。
図5】本発明の実施例における温度感知装置の封止構造の製造に用いた割型の上型を示した下面図である。
図6】本発明の実施例における温度感知装置の封止構造の製造に用いた割型の上型のVI−VI’線における断面側面図である。
図7】本発明の実施例における温度感知装置の封止構造の製造に用いた割型の下型と上型を結合させ、更に温度感知装置を挟持した状態を示した断面側面図である。
図8】比較例における温度感知装置の封止構造を示した断面側面図である。
図9】他の比較例における温度感知装置の封止構造を示した断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。なお、本文中で同一の符号は、同一の部分を示したものである。
【0016】
図1は本発明の実施形態における温度感知装置の封止構造を示した断面側面図である。符号1は温度感知装置であり、外装にニッケル鍍金を施した直径の異なる二段の円筒が中心線を共有して連なった形状に形成されている。該温度感知装置1の上部円筒2は、頂面にリード線の接続端子3、3aが接続されており、それぞれの接続端子3、3aは、図示していないがリード線によって充放電電流値を制御するための回路に接続されている。また、該温度感知装置1の下部円筒4は前記上部円筒2よりも直径が小さく、側面に雄ネジ部が形成されており、蓄電池間に取り付けられた接続板5の測温部51に穿設され内周に雌ネジ部が形成された貫通孔52に、途中まで螺合された状態でナット6を締結して固定した。上述の通り螺合を途中までとする理由は、温度感知装置1の下面即ち温度感知装置1が接続板5と当接する上部円筒2の下面と接続板5の上面との間に第一の接着剤7が充填されるための隙間を形成するためである。測温部51は温度感知装置1が取り付けられる場所で、図示の様に接続体5の中央部に限らない。なお符号53は、アルカリ蓄電池の極柱端子を挿通し固定するための貫通孔であり、該アルカリ蓄電池は本図では省略した。
【0017】
第一の接着剤7は、上記の様に温度感知装置1が接続板5に途中まで螺合された状態で、該温度感知装置1の上部円筒2の下面と該接続板5の上面に形成される隙間を空隙なく充填し、かつ該第一の接着剤7の硬化後に該上部円筒2の下面から延出した状態となる様に充填した。この様に該第一の接着剤が該上部円筒2の下面から延出した状態とすることで、例えば電解液等が浸透して接続板5をはい上がった場合でも、温度感知装置の接続端子3、3aまでの沿面距離を稼ぐことができる。
【0018】
該第一の接着剤7の硬化後、温度感知装置1の外周及び第一の接着剤7の外周全体、接続板5の測温部51を被覆する様に、第二の接着剤8を塗布した。図3乃至図5に示した様な割型を用意し、開口部から第二の接着剤8を充填することで、温度感知装置1の全体を隙間なく被覆して封止することが可能である。
【0019】
該第一の接着剤7は、第二の接着剤よりも熱伝導性が大きいものを使用し、第二の接着剤8は温度感知装置1の外周及び第一の接着剤7の外周全体、接続板5の測温部51を空隙なく被覆し、硬化後は蓄電池に加わる振動、衝撃等の外力や、漏出した電解液、高湿度による結露等から温度感知装置1を保護する役割を担うものである。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
【0021】
(アルカリ蓄電池の作成)
実施例及び比較例においてアルカリ蓄電池は、従来公知の方法で作成したベント形ニッケル・カドミウム蓄電池を使用した。まず、主としてニッケル粉末を焼結させた多孔質の集電体に、正極活物質として水酸化ニッケルを充填し化成した正極板と、負極活物質として水酸化カドミウムを充填し化成した負極板とを、多孔性樹脂のセパレータを介して交互に積層し、該正極板の集電部と該負極板の集電部とをそれぞれ極柱端子に溶接して極板群を得た。次いで該極板群を樹脂製の電槽内部に収納し、樹脂性の電槽蓋を施して前記極柱端子を挿通した状態で封止し、水酸化カリウム水溶液の電解液を該電槽蓋に穿設された注液孔から所望量注入した。続いて、蓄電池の内圧が急激に上昇した場合などに、係る内圧を安全に開放するための放圧弁を前記電槽蓋の注液孔に嵌合させ、蓄電池を気密に封止してアルカリ蓄電池を得た。
【0022】
(接着剤)
本発明の実施例及び比較例では、第一の接着剤及び第二の接着剤として、エマーソン&カミング社製のスタイキャスト(登録商標)の2850GT及び2651MMを使用した。どちらも2液混合方式のエポキシ樹脂であり、第一の接着剤7である2850GTは主剤72:硬化剤5の比率で混合して使用し、第二の接着剤8である2651MMは主剤323:硬化剤10の比率で混合して使用した。2850GTは混合時粘度が10,000mPa・s、熱伝導率が0.15W/m・Kであり、2651MMは混合時粘度が100mPa・s、熱伝導率が0.59W/m・Kである。
【0023】
(実施例1)
本発明の実施例における温度感知装置の封止構造を、図3乃至図7に示した下型9と上型10とからなる割型11を用いて作成した。まず接続板5の表面の貫通孔53の縁に沿って硬化前の第一の接着剤7を所定量塗布した状態で、温度感知装置1の下部円筒4を、該温度感知装置1の上部円筒2の下面から接続板5の表面までの隙間の高さが1mmとなる様に途中まで螺合した。この状態で、第一の接着剤7が前記隙間を空隙なく満たし、かつ温度感知装置1の上部円筒2の下面から2mm程度延出した状態となる様にした。
【0024】
更に、第一の接着剤7は接続板5の貫通孔53の縁丁度、もしくは該貫通孔53の側面にはみ出し付着させておくことで、温度感知装置1の下部円筒4を該貫通孔53に螺合した際に、図2の拡大図に示した様に第一の接着剤7が接続板5の表面から貫通孔53の側面まで連続的に塗布された状態となるため、該接続板5の表面をはい上がった電解液が温度感知装置1の壁面に到達するまでの沿面距離を著しく増大させ、これにより該電解液が温度感知装置1の上部の接続端子3、3aに到達しこれを腐食させることを防ぎ、もって温度感知装置1の誤作動を防ぐ上でより望ましい効果を奏するものである。
【0025】
上記の様に接続板5及び温度感知装置1に第一の接着剤7を塗布後、硬化させた。
【0026】
続いて、第二の接着剤8の充填及び硬化の方法について説明する。図3は外形直方体形状の下型9を示した平面図であり、図4は該下型9のIV−IV’線断面側面図である。該下型9の載置上面には長辺に対し水平方向に接続板載置部91が形成されており、該接続板載置部91の深さは接続板5の厚みと等しく、また該接続板載置部91の長辺lの長さは接続板5の長辺の長さと等しく、つまり接続板5を載置した際に該接続板5と該接続板載置部91との間に空隙が生じない様に形成したものである。更に、該接続板載置部91に接続板5を載置した際に、該接続板5の貫通孔53と重なる位置には、該貫通孔53に嵌挿され該接続板5を固定するとともに上型10の嵌合孔101に嵌挿され、該上型10を固定するための嵌合用凸部92が突設されている。前記下型9の載置上面中央には、第二の接着剤8を充填し温度感知装置1及び接続板5を封止するための充填部93が形成されている。該充填部93の深さは、前記温度感知装置1を螺合した接続板5を接続板載置部91に載置した際に、該温度感知装置1の頂面から該充填部93の下面までの高さが、該温度感知装置1の接続端子3、3aに接続したリード線の端子部頂面から該充填部93の下面までの高さより3mm程度大きくなる様に形成した。なお符号94は充填部の壁面に貫設したリード線挿通孔である。
【0027】
図5は外形直方体形状の上型10を示した下面図であり、図6は該上型10のVI−VI’線断面側面図である。該上型10には、前記下型9に設けた嵌合用凸部92を挿通するための嵌合孔101が2箇所設けられており、中央には下型9と上型10を突き合わせて割型11を形成した後に第二の接着剤を注入し、温度感知装置1の下部を被覆するための凹部を形成する平面矩形形状の注入孔102が穿設されている。該注入孔102は、図6の断面側面図に示した様に、載置下面と載置上面とで開孔面積を異ならせ、該開孔の内部の下部の垂直な側面と上部の垂直な側面とが中央付近で傾斜した側面で互いに接続される様にした。
【0028】
該注入孔102をこの様な形状に形成したことで、本発明の温度感知装置1の封止構造に面取り加工を施す必要がなく、係る加工の際に加わる負荷等によって、前記封止構造が変形するなどして気密性を損なう心配もない。
【0029】
図7の様に、前記下型9の接続板載置部91に、温度感知装置1を螺合し第一の接着剤7を充填して硬化させた状態の接続板5を上部円筒2が下方に位置する様に裏返して載置し、更に前記上型10を該下型9に冠着して割型11を結合し、該上型10の注入孔102から硬化前の第二の接着剤8を注入し充填した。もし、充填した接着剤8に気泡が混じる場合は、真空状態にして脱気すれば良い。
【0030】
前記割型11に第二の接着剤8を充填し、これを硬化させて本発明の実施例1の温度感知装置の封止構造を得た。
【0031】
(比較例1)
図8に示した様に、温度感知装置1を接続板5に当接させた状態で、該温度感知装置1の頂面のみを第二の接着剤8で被覆したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の温度感知装置の封止構造を得た。
【0032】
(比較例2)
図9に示した様に、温度感知装置1の上部円筒2の下面から接続板5の表面までの隙間の高さが1mmとなる様に途中まで螺合した。この状態で、第二の接着剤8が前記隙間を空隙なく満たし、かつ温度感知装置1の上部円筒2の下面から2mm程度延出した状態となる様にしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の温度感知装置の封止構造を得た。
【0033】
(実施例、比較例の結果)
実施例1、比較例1、比較例2のそれぞれの温度感知装置の封止構造について、劣化を加速させるため電解液として用いた水酸化カリウム水溶液を霧吹きで満遍なく塗布した状態で、50℃に設定した恒温槽で30日間放置した後、温度感知装置の封止構造を解体し、該温度感知装置の端子部の腐食等から電解液の漏出による温度感知装置への影響について評価し、表1の結果を得た。ここで、該端子部の腐食が無い、もしくは電気的特性において有意な変化が見られない場合は、保護できたもの(○印)と判定した。一方、該端子部に腐食が見られた場合は、電解液や湿気等に対する気密性及び液密性が不十分である(×印)と判定した。
【0034】
該表1の通り、実施例1は温度感知装置の端子部には腐食が確認されず、本発明の温度感知装置の封止構造が良好な効果を奏することが確認された。一方、比較例1は、温度感知装置の端子部に腐食の痕跡が見られ、電解液の浸透耐性が不十分であったために、内部に侵入したものと考えられる。他方、比較例2は温度感知装置の端子部には腐食が確認されなかったものの、温度感知装置の側面の一部にわずかに電解液の進入によるものと推定される変色が見られ、実施例ほどの封止効果が得られなかったため、△印と判定した。
【0035】
(表1)
【符号の説明】
【0036】
1 温度感知装置
2 上部円筒
3、3a 接続端子
4 下部円筒
5 接続板
51 測温部
6 ナット
7 第一の接着剤
8 第二の接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9