特許第6525306号(P6525306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越ポリマー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6525306-梱包体 図000002
  • 特許6525306-梱包体 図000003
  • 特許6525306-梱包体 図000004
  • 特許6525306-梱包体 図000005
  • 特許6525306-梱包体 図000006
  • 特許6525306-梱包体 図000007
  • 特許6525306-梱包体 図000008
  • 特許6525306-梱包体 図000009
  • 特許6525306-梱包体 図000010
  • 特許6525306-梱包体 図000011
  • 特許6525306-梱包体 図000012
  • 特許6525306-梱包体 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525306
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20190527BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20190527BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20190527BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20190527BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   B65D81/02
   H01L21/68 T
   B65D77/04 C
   B65D77/26 D
   B65D85/30 500
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-263511(P2014-263511)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-171910(P2015-171910A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-30001(P2014-30001)
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】樫本 明
(72)【発明者】
【氏名】志田 啓之
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−094417(JP,A)
【文献】 特開2011−157088(JP,A)
【文献】 特開2010−195454(JP,A)
【文献】 特開2010−149934(JP,A)
【文献】 特開2011−152624(JP,A)
【文献】 特開2000−127071(JP,A)
【文献】 特開2014−080231(JP,A)
【文献】 特開平07−050338(JP,A)
【文献】 特開2003−300581(JP,A)
【文献】 特開2005−350098(JP,A)
【文献】 特開2007−204116(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/169672(WO,A1)
【文献】 中国実用新案第201712854(CN,U)
【文献】 実開平05−049658(JP,U)
【文献】 特開2005−162255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
B65D 77/04
B65D 77/26
B65D 85/30
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
450mmウェーハ用基板収納容器を収納する梱包体であって、
四方に側壁を有し、少なくとも上部に開口を有する中空状の収納箱本体と、
前記収納箱本体内の底部及び上部に配置される一対の緩衝体と、
前記開口に設けられ、少なくとも前記開口に対応した天板部を有し、前記天板部を吸着して機械式のハンドリングが可能な上部蓋体と、
前記収納箱本体と前記上部蓋体とを連結する少なくとも1以上の上部連結部と、
を備え、
前記上部連結部が
前記側壁に一端側を固定した上部蓋体用本体側ベルトと、
前記上部蓋体用本体側ベルトの固定位置に対応する前記上部蓋体の位置に設けられ、前記上部蓋体に一端側を固定した上部蓋体側ベルトと、
前記上部蓋体用本体側ベルト及び前記上部蓋体側ベルトの一方の他端側に設けられる係合部と、
前記上部蓋体用本体側ベルト及び前記上部蓋体側ベルトの他方の他端側に設けられる被係合部とからなり、
前記係合部と前記被係合部が係脱可能であり、
前記収納箱本体の底部に設けられる開口と、
前記底部に設けられる前記開口に対応した底板部を有する底部蓋体と、
前記収納箱本体と前記底部蓋体とを連結する少なくとも1以上の底部連結部と、
を備え、
前記底部連結部が
前記側壁に一端側を固定した底部蓋体用本体側ベルトと、
前記底部蓋体用本体側ベルトの固定位置に対応する前記底部蓋体の位置に設けられ、前記底部蓋体に一端側を固定した底部蓋体側ベルトと、
前記底部蓋体用本体側ベルト及び前記底部蓋体側ベルトの一方の他端側に設けられる係合部と、
前記底部蓋体用本体側ベルト及び前記底部蓋体側ベルトの他方の他端側に設けられる被係合部とからなり、
前記係合部と前記被係合部が係脱可能であり、
前記底部の緩衝体は、リフト爪挿入部と、前記基板収納容器の背面と係合可能な凹部とを有し、
前記上部の緩衝体は、前記基板収納容器のドアが取り付けられる正面と係合可能な凹部を有することを特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記収納箱本体は、450mmウェーハ用基板収納容器を包装した包装体が収容される部分であり、
前記緩衝体は、前記包装体の底部及び上部に接触するように配置されるものであることを特徴とする請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記収納箱本体は、450mmウェーハ用基板収納容器を包装した包装体を収容した状態で、前記包装体の対向する一対の側面と対向することとなる一対の前記収納箱本体の内側壁が、前記包装体の前記側面から50mm以上離間し、前記包装体へのアクセス可能隙間が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記上部蓋体が、前記天板部から延出して前記側壁の外側に重なるオーバーラップ部を備え、
前記上部蓋体側ベルトは、前記上部蓋体用本体側ベルトの前記固定位置と相対する前記オーバーラップ部の位置に前記一端側が固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項5】
前記オーバーラップ部と前記側壁の対向する面に設けられる仮固定手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の梱包体。
【請求項6】
前記上部連結部の耐荷重総計が30kgf以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項7】
前記上部蓋体は、前記天板部の1稜線が前記側壁の1稜線と一体的に連結され、前記収納箱本体と一体に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項8】
前記天板部は、前記天板部の外側表面が平面とされるとともに、梱包体を搬送する場合に、前記平面を吸着して持ち上げて搬送可能な剛性を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の梱包体。
【請求項9】
前記天板部の外側表面は、前記平面を吸着する吸着パッドの接触位置を示すマークを1つ以上備えることを特徴とする請求項8に記載の梱包体。
【請求項10】
前記マークの大きさは、前記平面を吸着する吸着パッドの接触時の大きさと略等しい、又は前記吸着パッドの接触時の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の梱包体。
【請求項11】
前記マークは、前記天板部の少なくとも4隅に配置されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の梱包体。
【請求項12】
前記マークは、前記平面を吸着する吸着パッドの接触位置とは異なる場所に配置されていることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、φ300mmの半導体ウェーハを収納する基板収納容器を梱包して輸送する場合には、例えば、包装した基板収納容器を図示しないクリーンルームから梱包作業場である準クリーンルーム環境にパレット等で移し、段ボール等からなる包装箱内に補強材、緩衝材、弾性材をそれぞれ手作業で敷設して積層し、弾性材上に包装状態の基板収納容器を手作業で上向きに搭載するとともに、この基板収納容器の上向きの正面に緩衝材と補強材とを手作業で重ねて積層し、その後、包装箱の開口した上部のフラップを閉じて輸送するようにしている(特許文献1、2参照)。
【0003】
基板収納容器は、複数枚の半導体ウェーハを整列収納する容器本体の開口した正面に蓋体が嵌合されるフロントオープンボックスタイプからなり、容器本体の天井に天井搬送装置に把持されるフランジが装着されており、容器本体の両側壁に搬送レールがそれぞれ着脱自在に装着されている。このような基板収納容器は、不透明のアルミラミネート袋で包装して密閉され、この状態で梱包して出荷される。そして、輸送後に包装箱から取り出され、輸送先のクリーンルームに搬入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−23252号公報
【特許文献2】実開平05−49658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
次世代の450mmウェーハを収納して輸送に使用される基板収納容器は、既存の300mmウェーハの輸送容器に比較して、重量が大幅に増加し、総重量は約25kgとなると考えられている。このため、パレットへの積載や荷下ろしは、作業員が行うことは困難で、機械・装置を使って自動化すことが不可欠である。軽量物の積載・荷下ろしの場合は外装ダンボール箱の天面を吸着する装置を使用する方法が一般的であり、梱包体の上面を開梱して、収納された包装体を取り出すことが容易である。
しかしながら、包装体の重量が増すと、ハンドリングを十分考慮した梱包体でなければ、ハンドリングを安全に行ったり、自動化したりすることは出来ないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、ハンドリングを十分考慮した梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、(1)本発明は、基板収納容器を収納する梱包体であって、四方に側壁を有し、少なくとも上部に開口を有する中空状の収納箱本体と、前記収納箱本体内の底部及び上部に配置される一対の緩衝体と、前記開口に設けられ、少なくとも前記開口に対応した天板部を有する上部蓋体と、前記収納箱本体と前記上部蓋体とを連結する少なくとも1以上の上部連結部と、を備え、前記上部連結部が、前記側壁に一端側を固定した上部蓋体用本体側ベルトと、前記上部蓋体用本体側ベルトの固定位置に対応する前記上部蓋体の位置に設けられ、前記上部蓋体に一端側を固定した上部蓋体側ベルトと、前記上部蓋体用本体側ベルト及び前記上部蓋体側ベルトの一方の他端側に設けられる係合部と、前記上部蓋体用本体側ベルト及び前記上部蓋体側ベルトの他方の他端側に設けられる被係合部とからなり、前記係合部と前記被係合部が係脱可能である梱包体を提供する。
【0008】
(2)前記収納箱本体は、基板収納容器を包装した包装体が収容される部分であり、前記緩衝体は、前記包装体の底部及び上部に接触するように配置されるものである(1)に記載の梱包体を提供する。
(3)前記収納箱本体は、基板収納容器を包装した包装体を収容した状態で、前記包装体の対向する一対の側面と対向することとなる一対の前記収納箱本体の内側壁が、前記包装体の前記側面から50mm以上離間し、前記包装体へのアクセス可能隙間が設けられている(1)又は(2)に記載の梱包体を提供する。
【0009】
(4)前記上部蓋体が、前記天板部から延出して前記側壁の外側に重なるオーバーラップ部を備え、前記上部蓋体側ベルトは、前記上部蓋体用本体側ベルトの前記固定位置と相対する前記オーバーラップ部の位置に前記一端側が固定されている(1)から(3)のいずれか1に記載の梱包体を提供する。
(5)前記オーバーラップ部と前記側壁の対向する面に設けられる仮固定手段を備える(4)に記載の梱包体を提供する。
(6)前記上部連結部の耐荷重総計が30kgf以上である(1)から(5)のいずれか1に記載の梱包体を提供する。
(7)前記上部蓋体は、前記天板部の1稜線が前記側壁の1稜線と一体的に連結され、前記収納箱本体と一体に設けられている(1)から(6)のいずれか1に記載の梱包体を提供する。
(8)前記天板部は、前記天板部の外側表面が平面とされるとともに、梱包体を搬送する場合に、前記平面を吸着して持ち上げて搬送可能な剛性を有する(1)から(7)のいずれか1に記載の梱包体を提供する。
【0010】
(9)また、前記天板部の外側表面は、前記平面を吸着する吸着パッドの接触位置を示すマークを1つ以上備える(8)に記載の梱包体を提供する。
(10)前記マークの大きさは、前記平面を吸着する吸着パッドの接触時の大きさと略等しい、又は前記吸着パッドの接触時の大きさよりも大きい(9)に記載の梱包体を提供する。
(11)前記マークは、前記天板部の少なくとも4隅に配置されている(9)又は(10)に記載の梱包体を提供する。
(12)前記マークは、前記平面を吸着する吸着パッドの接触位置とは異なる場所に配置されている(9)から(11)のいずれか1に記載の梱包体を提供する。
【0011】
(13)本発明は、さらに前記収納箱本体の底部に設けられる開口と、前記底部に設けられる前記開口に対応した底板部を有する底部蓋体と、前記収納箱本体と前記底部蓋体とを連結する少なくとも1以上の底部連結部と、を備え、前記底部連結部が、前記側壁に一端側を固定した底部蓋体用本体側ベルトと、前記底部蓋体用本体側ベルトの固定位置に対応する前記底部蓋体の位置に設けられ、前記底部蓋体に一端側を固定した底部蓋体側ベルトと、前記底部蓋体用本体側ベルト及び前記底部蓋体側ベルトの一方の他端側に設けられる係合部と、前記底部蓋体用本体側ベルト及び前記底部蓋体側ベルトの他方の他端側に設けられる被係合部とからなり、前記係合部と前記被係合部が係脱可能である(1)から(12)のいずれか1に記載の梱包体を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ハンドリングを十分考慮した梱包体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態の梱包体を表わす展開斜視図である。
図2図1の梱包体の側面図である。
図3】(a)は、本発明の第1実施形態の固定バンドの固定状態を表わす正面図、(b)は、本発明の第1実施形態の固定バンドが解錠された状態を表わす正面図である。
図4図2の梱包体の断面図である。
図5】本発明の第1実施形態の梱包体が収納する基板収納容器を表わす斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態の基板収納容器の包装体と緩衝体とを表わす斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態の梱包体のハンドリング状態を表わす斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態の梱包体を表わす展開斜視図である。
図9】本発明の第3実施形態の梱包体を表わす斜視図である。
図10】本発明の第3実施形態の梱包体のハンドリング状態を表わす斜視図である。
図11】本発明の第3実施形態の梱包体を表わす斜視図である。
図12】本発明の第3実施形態の梱包体を表わす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態の梱包体を表わす展開斜視図である。図2は、図1の梱包体の側面図である。図3(a)は、本発明の第1実施形態の上部連結部と底部連結部による固定状態を表わす正面図、(b)は、本発明の第1実施形態の上部連結部と底部連結部が解錠された状態を表わす正面図である。図4は、図2の梱包体の断面図である。
【0016】
図1図2及び図4に示すように、本第1実施形態の梱包体30は、基板収納容器1を収納するものであって、収納箱本体3、一対の上部緩衝体4a、底部緩衝体4b、上部蓋体8、底部蓋体9、上部連結部11、底部連結部12を有する。
【0017】
図5は、本発明の第1実施形態の梱包体が収納する基板収納容器を表わす斜視図である。基板収納容器1は、図5に示すようなボックスであり、正面に開口を備え外径450mmのウェーハを収納する容器本体1aと、容器本体1aの開口を閉鎖するドア1bとを有していて、ウェーハを25枚収納したときの総重量は、約25kgとなるので、通常作業員が手作業でハンドリングすることは、困難であり、無理に行えば身体を痛めてしまう危険もある。
【0018】
図1図2及び図4に戻り、収納箱本体3は、スリーブ状の中空状に形成されており、四方に側壁5を有し、基板収納容器1を包装した包装体2が収容される部分である。包装体2は、例えばアルミラミネート袋からなり、基板収納容器1を、アルミラミネート袋に収納した後に、このアルミラミネート袋の開口部を密封したものである。アルミラミネート袋は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂などの樹脂フィルムと、アルミ箔を貼り付けた樹脂フィルムとをラミネートした多層構造のフィルムが使用できる。
【0019】
この収納箱本体3は、上下方向に上部開口6と下部開口7を有していて、それぞれの上部開口6と下部開口7に、上部蓋体8と、底部蓋体9とがそれぞれ取り付けられている。一対の上部緩衝体4a、底部緩衝体4bは、収納箱本体3内の底部及び上部に配置される。上部緩衝体4a、底部緩衝体4bは、包装体2の底部及び上部に接触するように配置される。
【0020】
収納箱本体3の開口には、開口に対応した天板部8aを有する上部蓋体8が設けられている。この上部蓋体8が、天板部8aから延出して側壁5の外側に重なるオーバーラップ部8bを備える。上部蓋体8は、天板部8aの1稜線が側壁5の1稜線と一体的に連結され、収納箱本体3と一体に設けられている。
【0021】
天板部8aは、天板部8aの外側表面が平面とされるとともに、梱包体30を搬送する場合に、搬送装置としての吸着式のハンドラーが平面を吸着して持ち上げて搬送可能な剛性を有する。収納箱本体3と上部蓋体8とを連結する上部連結部11と、収納箱本体3と底部蓋体9とを連結する底部連結部12が設けられている。この上部連結部11、底部連結部12は、例えばワンタッチで取り付けと取り外しが可能なもので構成される。
【0022】
図3に示すように、上部連結部11は、上部蓋体側ベルト11a、上部蓋体用本体側ベルト11b、係合部11c、被係合部11dを有する。上部連結部11の耐荷重総計が30kgf以上である。上部蓋体用本体側ベルト11bは、一端側がピン等によって側壁5に固定されている。上部蓋体用本体側ベルト11bの固定位置に対応する上部蓋体8の位置には、上部蓋体側ベルト11aが設けられており、この上部蓋体側ベルト11aは一端側が上部蓋体8に固定されている。この上部蓋体側ベルト11aは、上部蓋体用本体側ベルト11bの固定位置と相対するオーバーラップ部8bの位置に一端側が固定されている。
【0023】
上部蓋体側ベルト11aのバンド部13の他端側には、突出形状の係合部11cが配設されている。上部蓋体用本体側ベルト11bのバンド部13の他端側には、溝形状の被係合部11dが設けられている。係合部11cを被係合部11dに挿入することで、両者は互いに噛み合うようになっていて、上部蓋体側ベルト11aと上部蓋体用本体側ベルト11bを一体化することが可能となる。また、係合部11cの一部は、嵌合した時に被係合部11dに設けられた貫通穴から露出したアクセス可能部11eとしておき、この部分を内側に変形されることで、ワンタッチで係合部11cと被係合部11dが係脱可能となり、嵌合を解錠することが可能となる。
【0024】
底部蓋体9は、底部に設けられる開口に対応した底板部9aを有する。底部蓋体9が、底板部9aから延出して側壁5の外側に重なるオーバーラップ部9bを備える。底部蓋体9は、底板部9aの1稜線が側壁5の1稜線と一体的に連結され、収納箱本体3と一体に設けられている。
【0025】
底部連結部12は、収納箱本体3と底部蓋体9とを連結するものである。底部連結部12は、底部蓋体側ベルト12a、底部蓋体用本体側ベルト12b、係合部12c、被係合部12dを有する。底部蓋体用本体側ベルト12bは、一端側をピン等によって側壁5に固定されている。底部蓋体用本体側ベルト12bの固定位置に対応する底部蓋体9の位置には、底部蓋体側ベルト12aが設けられ、この底部蓋体側ベルト12aは、一端側が底部蓋体9に固定されている。
【0026】
底部蓋体側ベルト12aのバンド部13の他端側には、係合部12cが配設されている。底部蓋体用本体側ベルト12bのバンド部13の他端側には、被係合部12dが配設されている。アクセス可能部12eの操作によって係合部12cと被係合部12dが係脱可能である。
【0027】
また、上部蓋体8と底部蓋体9と、側壁5とのそれぞれのオーバーラップ部分8b、9bには、仮固定可能な仮固定部(仮固定手段)14が設けられている。これにより、オーバーラップ部8b、9bと側壁5とを弱い力で補助的に接合しているので、側面のばたつきによる汚染物質の発生や侵入を防止できる。また、仮固定できるようにすることで、側面部を外方向に開くようにもできるので、梱包時や開梱時の作業性も改善できる。仮固定部14は、例えば、マジックテープ(登録商標)であったり、ゴムや熱可塑性エラストマーなどからなる粘着層であったり、磁力を利用したものとできる。
【0028】
図6は、本発明の第1実施形態の基板収納容器の包装体と緩衝体とを表わす斜視図である。図4図6に示すように、基板収納容器1の包装体2は、ドア1bを上方に向けた状態(ウェーハが垂直になった状態)で、底部緩衝体4bの凹部に容器本体1aの背面側が接触して保持される。
【0029】
底部緩衝体4bは、底面側に支柱部15と、支柱部15の間に形成されるリフト爪挿入部16とを有し、上面には、基板収納容器の背面と係合可能な凹部17が形成されている。上部緩衝体4aは、基板収納容器のドアが取り付けられる正面と係合可能な凹部18が形成されている。このように上下に配置される一対の上部緩衝体4a、底部緩衝体4bによって包装体2が、収納箱内で挟持されて保護されることとなるので、輸送時の振動や衝撃を緩和して、基板収納容器1を安全に搬送することが可能となる。こうした、上部緩衝体4a、底部緩衝体4bは、ポリスチレン系樹脂やポリオレフィン系樹脂からなるシートを成形加工したものや、これらを発泡させた発泡樹脂成形体から形成することができる。
【0030】
図7は、本第1実施形態の基板収納容器の梱包体30の上面を吸着して、ハンドリングする状態を表わす略斜視図である。搬送装置19によって収納箱の上部開口を閉鎖する上部蓋体の平坦な天面を吸着することとなるが、側壁5と上部蓋体8と底部蓋体9とは、十分な耐荷重性能を備えた上部連結部11、底部連結部12によってそれぞれ連結されているので、機械式のハンドリングが可能となる。
【0031】
上部連結部11と底部連結部12の耐荷重性能は、最低限収納する基板収納容器1の包装体2の重量の1.2倍あれば良いので、30kg以上が必要である。上部連結部11と底部連結部12の個数は、荷重を均等に分散させることから、各辺に1又は複数個配置することが好ましいが、作業性を重視して各辺に1個以下とすることもできる。
【0032】
本第1実施形態の梱包体30によれば、上部に開口を有していて、上部連結部11、底部連結部12を解錠することで、上部蓋体8を容易に取り除くことができるので、上部緩衝体4aを取り除いた後に、収納箱本体3は、基板収納容器1を包装した包装体2を収容した状態で、包装体2の対向する一対の側面と対向することとなる一対の収納箱本体3の内側壁5aが、包装体2の側面から片側50mm以上離間し、包装体2へのアクセス可能隙間が設けられている。つまり、上部蓋体8と、上部緩衝体4aを取り外したときに、包装体2と収納箱本体3の内側壁5aとの間に50mm以上のアクセス可能隙間が形成されている。このアクセス可能隙間は、特に50mm〜100mm以下の範囲が好ましい。
【0033】
このような隙間を形成することで、ロボットアクセスを可能として、搬送用の自動機でのハンドリングが可能となる。例えば、基板収納容器1は、ドア面を上向きに収納されているので、ドア1bを嵌合するために容器本体の開口周縁に張り出したフランジ部等をチャックするなどして、上部に取り出して、所定の位置に搬送することが可能となる。このように自動機を使ってハンドリングできるので、作業員の負担を軽減できるし、安全なハンドリングが可能となる。
【0034】
また、50mmの隙間を形成することで、自動機のハンドリングが可能となる他に輸送時の振動を緩和することもできる。また、隙間を100mm以下とすることで、梱包体のサイズを必要以上に大きくして保管スペースが増大したり、輸送効率を低減してしまうことを防止できる。
【0035】
次に本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態の梱包体40を表わす展開斜視図である。図8に示す例では、上部と下部とに開口を備えた収納箱本体20の一辺に相対向する上部蓋体21と下部蓋体22の一辺とを連結した連結部23を形成したものである。
この連結部23を基点として、上部蓋体21を収納箱本体20の外側に折り曲げて、上部を開口することができる。その他の形態は、上述の第1実施形態と同様であり、これと同様の効果が得られる。この場合、収納箱本体20と、上部蓋体21及び下部蓋体22とを部分的に一体化しているので、部品点数を少なくでき、組み立て作業や開梱作業が容易にできるし、梱包資材の保管スペースを縮小でき、管理も容易となる。
【0036】
図9図12は、本発明の第3実施形態の梱包体50を表わす斜視図である。第1実施形態の梱包体を図7に示すように搬送装置19で吸着してハンドリングする場合、正しい位置で吸着しないと位置がずれて吸着が不十分になったり、釣り上げた時にバランスを崩したりして安定したハンドリングが難しくなる。第3実施形態では、第1実施形態の天板部8aの外側表面に、搬送装置19の吸着パッド19aが吸着する位置を示すマーク24を設けている。このため、搬送装置19と梱包体50との位置決めを効率良く正確に行うことができる。
【0037】
図9図10は印刷などにより、天板部8aの外側表面にマーク24を設けたものである。マーク24は吸着パッド19aの吸着位置に配置され、吸着パッド19aの接触時の大きさと略等しい円形か、これより大きい円形に形成している。このため、搬送装置19で天板部8aを吸着した後でも、外観から吸着パッド19aの吸着位置がずれていないか確認できる。
【0038】
図11は天板部8aの4隅で吸着する搬送装置19の場合であり、マーク24も4隅に設けているが、対角線上の2箇所に設けるだけでも良い。また、天板部8aの中央で吸着する搬送装置19であれば、マーク24を吸着パッド19aの吸着位置に1つ設けるだけでも良い。
【0039】
図12は、搬送装置19に突起状の位置合わせ部材25を設け、マーク24を位置あわせ部材25に対応する位置に配置したものである。マーク24は吸着パッド19aの接触位置とは異なる場所に配置されることになるが、位置合わせ部材25とマーク24が一致するように吸着することで、梱包体50を正しい位置で吸着しハンドリングできる。また、マーク24を小さくすることもできる。
【0040】
上記実施形態によれば、梱包体は、上部に開口を備えた収納箱本体3、20に上部蓋体8を物理的なロック手段を用いて固定しているので、基板収納容器1を収容した梱包体のパレットへの積載または荷下ろしを搬送装置19を使って行い、また荷下ろしした梱包体の上部を簡単に開梱し、収納した基板収納容器の包装体2にハンドリングロボットが容易にアクセス可能となるので、安全にハンドリングすることが可能となる。
【0041】
本実施形態では、上下に開口を備えた収納箱本体の例を示したがこれに限らず、上部のみに開口を有し、下部の開口は、収納箱本体と一体化された折り曲げ片で閉鎖するものであってもよい。また、実施形態では、1個の基板収納容器を収納箱に収納していたが、これに限らず、複数段にするなど複数個の基板収納容器を1つの収納箱に収納可能としてもよい。
【0042】
以上、具体的な実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでは無い。
【符号の説明】
【0043】
1 基板収納容器
2 包装体
3 収納箱本体
4a 上部緩衝体
4b 底部緩衝体
5 側壁
6 上部開口
7 下部開口
8 上部蓋体
8a 天板部
8b オーバーラップ部
9 底部蓋体
9a 底板部
9b オーバーラップ部
11 上部連結部
12 底部連結部
14 仮固定部
19 搬送装置
19a 吸着パッド
20 収納箱本体
21 上部蓋体
22 下部蓋体
23 連結部
24 マーク
25 位置合わせ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12