特許第6525308号(P6525308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525308
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/59 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   H01H33/59 B
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-24510(P2015-24510)
(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-149213(P2016-149213A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年1月16日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/次世代パワーエレクトロニクス/次世代パワーモジュールの応用に関する基盤研究開発/次世代パワーモジュールを使用したパワーエレクトロニクス機器とその統合システムの包括的研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】赤木 泰文
(72)【発明者】
【氏名】萩原 誠
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/094847(WO,A1)
【文献】 特開2003−123599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28−33/59
H01H 9/54− 9/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個もしくは互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器であって、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力する半導体電力変換器と、
一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、前記半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有し、前記1次巻線の前記第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組に接続される単相変圧器と、
一端に第2の外部接続端子を有し、前記第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と前記1次巻線との接続点に接続される機械的遮断器であって、指令に応じて開極して電流路を遮断する機械的遮断器と、
を備え、
前記半導体電力変換器は、
内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、第1の直流側および第2の直流側のうち一方から入力された直流電流を所望の大きさおよび極性の直流電流に変換してもう一方に出力するDCDCコンバータであって、直流電流の入出力方向を前記第1の直流側と前記第2の直流側との間で双方向に切換え可能なDCDCコンバータと、
前記2次巻線または当該半導体電力変換器とは異なる他の前記半導体電力変換器が接続される前記第1の直流側、とは反対側の前記第2の直流側に並列に接続されるエネルギー蓄積部と、
前記エネルギー蓄積部に並列に接続され、前記エネルギー蓄積部に印加された直流電圧が、予め設定された電圧以下の場合は所定の抵抗値を示し、それ以外の場合は前記所定の抵抗値よりも低い抵抗値を示す非線形抵抗と、
を有することを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
1個もしくは互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器であって、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力する半導体電力変換器と、
一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、前記半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有し、前記1次巻線の前記第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組に接続される単相変圧器と、
一端に第2の外部接続端子を有し、前記第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と前記1次巻線との接続点に接続される機械的遮断器であって、指令に応じて開極して電流路を遮断する機械的遮断器と、
を備える回路遮断器であって、
前記回路遮断器に接続された外部配線上において過電流が発生したか否かを検知する過電流検知部と、
前記機械的遮断器に対する開極動作および前記半導体電力変換器の電力変換動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記過電流検知部が過電流を検知したとき、前記機械的遮断器に対して開極動作の開始を指令する開極指令を出力する第1の指令手段と、
前記開極指令が出力されてから前記機械的遮断器の開極動作が完了するまでの間に前記機械的遮断器に流れる電流をゼロに収束させる直流電流を、前記半導体電力変換器に出力させる電力変換指令を出力する第2の指令手段と、
前記機械的遮断器の開極動作が完了した時に、前記半導体電力変換器内の前記半導体スイッチをオフするオフ指令を出力する第3の指令手段と、
を有することを特徴とする回路遮断器。
【請求項3】
1個もしくは互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器であって、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力する半導体電力変換器と、
一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、前記半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有し、前記1次巻線の前記第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組に接続される単相変圧器と、
一端に第2の外部接続端子を有し、前記第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と前記1次巻線との接続点に接続される機械的遮断器であって、指令に応じて開極して電流路を遮断する機械的遮断器と、
を備え、
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組の、前記1次巻線が接続される側とは反対側の端子を、前記第1の外部接続端子および第2の外部接続端子の極性とは反対の極性の端子とし、または第1のグランド端子および第2のグランド端子とすることを特徴とする回路遮断器。
【請求項4】
1個もしくは互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器であって、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力する半導体電力変換器と、
一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、前記半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有し、前記1次巻線の前記第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組に接続される単相変圧器と、
一端に第2の外部接続端子を有し、前記第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と前記1次巻線との接続点に接続される機械的遮断器であって、指令に応じて開極して電流路を遮断する機械的遮断器と、
を備える回路遮断器であって
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と、前記機械的遮断器と、は並列に接続され、
前記回路遮断器は、前記第1の外部接続端子の極性とは反対側の端子もしくは第3のグランド端子と、前記第2の外部接続端子の極性とは反対側の端子もしくは第4のグランド端子とを備えることを特徴とする回路遮断器。
【請求項5】
1個もしくは互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器であって、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力する半導体電力変換器と、
一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、前記半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有し、前記1次巻線の前記第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組に接続される単相変圧器と、
一端に第2の外部接続端子を有し、前記第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と前記1次巻線との接続点に接続される機械的遮断器であって、指令に応じて開極して電流路を遮断する機械的遮断器と、
を備え、
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組において、前記2次巻線は、互いにカスケード接続された複数個の前記半導体電力変換器のうちのいずれかの半導体電力変換器に直列接続されることを特徴とする回路遮断器。
【請求項6】
1個もしくは互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器であって、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力する半導体電力変換器と、
一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、前記半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有し、前記1次巻線の前記第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組に接続される単相変圧器と、
一端に第2の外部接続端子を有し、前記第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と前記1次巻線との接続点に接続される機械的遮断器であって、指令に応じて開極して電流路を遮断する機械的遮断器と、
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組において、前記半導体電力変換器もしくは前記2次巻線に直列接続されるインダクタとを備えることを特徴とする回路遮断器。
【請求項7】
前記回路遮断器に接続された外部配線上において過電流が発生したか否かを検知する過電流検知部と、
前記機械的遮断器に対する開極動作および前記半導体電力変換器の電力変換動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記過電流検知部が過電流を検知したとき、前記機械的遮断器に対して開極動作の開始を指令する開極指令を出力する第1の指令手段と、
前記開極指令が出力されてから前記機械的遮断器の開極動作が完了するまでの間に前記機械的遮断器に流れる電流をゼロに収束させる直流電流を、前記半導体電力変換器に出力させる電力変換指令を出力する第2の指令手段と、
前記機械的遮断器の開極動作が完了した時に、前記半導体電力変換器内の前記半導体スイッチをオフするオフ指令を出力する第3の指令手段と、
を有する請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項8】
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組の、前記1次巻線が接続される側とは反対側の端子を、前記第1の外部接続端子および第2の外部接続端子の極性とは反対の極性の端子とし、または第1のグランド端子および第2のグランド端子とする請求項1または2に記載の回路遮断器。
【請求項9】
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組と、前記機械的遮断器と、は並列に接続され、
前記回路遮断器は、前記第1の外部接続端子の極性とは反対側の端子もしくは第3のグランド端子と、前記第2の外部接続端子の極性とは反対側の端子もしくは第4のグランド端子とを備える請求項1または2に記載の回路遮断器。
【請求項10】
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組において、前記2次巻線は、互いにカスケード接続された複数個の前記半導体電力変換器のうちのいずれかの半導体電力変換器に直列接続される請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項11】
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組において、前記半導体電力変換器もしくは前記2次巻線に直列接続されるインダクタをさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項12】
互いに直列接続された前記2次巻線と前記半導体電力変換器とからなる組において、前記インダクタは、互いにカスケード接続された複数個の前記半導体電力変換器のうちのいずれかの半導体電力変換器に直列接続される請求項6または11に記載の回路遮断器。
【請求項13】
前記半導体スイッチは、オン時に一方向に電流を通す半導体スイッチング素子と、
該半導体スイッチング素子に逆並列に接続された帰還ダイオードと、を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の回路遮断器。
【請求項14】
前記機械的遮断器は、固定接触子と、前記固定接触子に接触する閉路位置と前記固定接触子から分離される開路位置との間を移動可能な可動接触子と、を有し、指令に応じて前記可動接触子が前記開路位置に移動することにより開極して電流路を遮断する請求項1〜13のいずれか一項に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地絡や短絡などの事故発生時に電流路を遮断する回路遮断器に関し、特に、機械スイッチ方式と半導体スイッチ方式とを併用したハイブリッド方式の回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直流を用いた給電システムが注目されている。直流給電システムは、既存の交流給電システムと比較して変換器損失、送電損失および設置コストを低減できる利点がある。日本では、例えば、直流380[V]、変換器容量500[kW]クラスの直流給電システム、路面電車(600[V]、750[V])や直流電車(1000[V]、1500[V])用の直流給電システムなどが実用化されている。また、数10[kV]以上の高圧用途では、例えば将来の洋上風力発電システムの大量設置を想定し、電圧形変換器を用いた多端子直流送電システム(HVDC:high−voltage direct−current)の導入が期待されている。
【0003】
直流給電システムにおいて地絡事故や短絡事故が発生した場合、過電流が発生する。事故発生からの電流の増加率([A/s])は、直流給電システムが有する直流インダクタンスに反比例する。例えば電圧形変換器を用いて直流電圧を生成した場合、直流インダクタンスが小さいため、過電流が生じる恐れがあるので、高速に動作可能な直流遮断器を設置する必要がある。
【0004】
直流遮断器は、機械スイッチ方式、半導体スイッチ方式、およびハイブリッド方式の3種類に分類できる。
【0005】
このうち、機械スイッチ方式は、例えば、真空遮断器、ガス遮断器もしくは空気吹付遮断器などの機械的遮断器(サーキットブレーカ:Circuit Breaker)とLC共振回路とを用いて電流を遮断するものである(例えば、非特許文献1参照。)。機械スイッチ方式では、パワーデバイスを使用しないため定常損失は発生しない。
【0006】
また、半導体スイッチ方式は、パワーデバイス(電力用半導体素子)を用いて遮断器を構成することで、高速な遮断時間(1[ms]以下)を実現する(例えば、非特許文献2参照。)。
【0007】
また、ハイブリッド方式は、高速動作可能な機械的遮断器とパワーデバイスとを併用することで、電流の高速遮断と損失低減を両立する点に特長があり、各種回路が提案されている(例えば、非特許文献3参照。)。図19は、一般的なハイブリッド方式の回路遮断器を例示する回路図である。例えば図19に示すように、ハイブリッド方式の回路遮断器100は、電流制限用インダクタ61、機械的遮断器(サーキットブレーカ:Circuit Breaker)62、転流補助半導体スイッチ63、主半導体スイッチ64、アレスタ(非線形抵抗)65より主回路を構成する。正常時は電流制限用インダクタ61、機械的遮断器62、転流補助半導体スイッチ63を介して負荷に電力を供給し、地絡や短絡などの事故時には転流補助半導体スイッチ63をターンオフすることで主半導体スイッチ64に転流する。転流補助半導体スイッチ63の必要耐圧は主半導体スイッチ64の数%程度であるため、半導体スイッチ方式と比較し定常損失を低減できる利点がある。また、転流に必要な時間は0.2[ms]以下であり、1[ms]以内に開極可能な機械的遮断器62を用いることで、遮断時間を2[ms]以下にすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】B・バックマン(B.Bachmann)、G・モーザ(G.Mauthe)、E・ルーオス(E.Ruoss)、H・P・リップス(H.P.Lips)著、「500kV風冷式高圧直流給電回路遮断器(Development of a 500kV Airblast HVDC Circuit Breaker)」、(米国)、米国電気電子学会トランザクション(IEEE Transactions)、電気機器およびシステム(Power Apparatus and Systems)、Vol.PAS−104、No.9、pp.2460−2466、1985年9月
【非特許文献2】C・メイヤーズ(C.Meyer)、S・シュレーダー(S.Schroder)、R・W・デドンカー(R.W.De Doncker)著、「分散電力システムを有する中電圧システムのためのソリッドステート回路遮断器および電流制限器(Solid−State Circuit Breakers and Current Limiters For Medium−Voltage Systems Having Distributed Power Systems)」、(米国)、米国電気電子学会トランザクション(IEEE Transactions)、パワーエレクトロン(Power Electron)、Vol.19、No.5、pp.1333-1340、2004年9月
【非特許文献3】M・シュトイラー(M.Steurer)、K・フレーリッヒ(K.Frohlich)、W・ホラウス(W.Holaus)、K・カルテネッガー(K.Kaltenegger)著、「新しい中電圧用ハイブリッド電流制限回路遮断器:原理および試験結果(A Novel Hybrid Current−Limiting Circuit Breaker For Medium Voltage:Principle and Test Results」、(米国)、米国電気電子学会トランザクション(IEEE Transactions)、パワーデリ(Power Deli)、Vol.18、No.2、pp.460−467、2003年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
機械スイッチ方式による回路遮断器は、パワーデバイスを使用しないため定常損失は発生しない利点があるものの、電流遮断までの所要時間(開極時間)が30〜100[ms]と長いため、直流インダクタンスが大きい電流形変換器には適用できるが、電圧形変換器への適用は困難である。
【0010】
また、半導体スイッチ方式による回路遮断器は、内部の半導体スイッチには定常的に電流が流れるため、定常損失が発生する問題がある。また、電流遮断時には内部の半導体スイッチに直流電圧以上の高電圧が印加されるため、複数のパワーデバイスを直列接続することで高耐圧化を図る必要がある。この場合、半導体スイッチのオン電圧増加が問題となる。例えば、直流320[kV]の場合、半導体スイッチのオン電圧は100[V]以上となる。半導体スイッチには定常的に電流が流れるため、オン電圧に起因する損失低減が課題となる。
【0011】
また、上述のハイブリッド方式の回路遮断器は、転流補助半導体スイッチの必要耐圧は主半導体スイッチの数%程度であるため半導体スイッチ方式と比較して定常損失を低減でき、また、機械スイッチ方式と比較しても遮断時間を短縮することができる利点がある。しかしながら、転流補助半導体スイッチには正常時に依然として定常電流が流れるため、定常損失をゼロにはできない。
【0012】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、正常時には定常損失がゼロであり事故発生時には高速に電流路を遮断することができる回路遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を実現するために、本発明においては、回路遮断器は、1個もしくは互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器であって、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力する半導体電力変換器と、一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有し、1次巻線の第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組に接続される単相変圧器と、一端に第2の外部接続端子を有し、第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端が、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組と1次巻線との接続点に接続される機械的遮断器であって、指令に応じて開極して電流路を遮断する機械的遮断器と、を備える。
【0014】
ここで、半導体電力変換器は、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、第1の直流側および第2の直流側のうち一方から入力された直流電流を所望の大きさおよび極性の直流電流に変換してもう一方に出力するDCDCコンバータであって、直流電流の入出力方向を第1の直流側と第2の直流側との間で双方向に切換え可能なDCDCコンバータと、2次巻線または当該半導体電力変換器とは異なる他の半導体電力変換器が接続される第1の直流側、とは反対側の第2の直流側に並列に接続されるエネルギー蓄積部と、エネルギー蓄積部に並列に接続され、エネルギー蓄積部に印加された直流電圧が、予め設定された電圧以下の場合は所定の抵抗値を示し、それ以外の場合は所定の抵抗値よりも低い抵抗値を示す非線形抵抗と、を有するようにしてもよい。
【0015】
また、回路遮断器は、回路遮断器に接続された外部配線上において過電流が発生したか否かを検知する過電流検知部と、機械的遮断器に対する開極動作および半導体電力変換器の電力変換動作を制御する制御部と、を備え、この場合、制御部は、過電流検知部が過電流を検知したとき、機械的遮断器に対して開極動作の開始を指令する開極指令を出力する第1の指令手段と、開極指令が出力されてから機械的遮断器の開極動作が完了するまでの間に機械的遮断器に流れる電流をゼロに収束させる直流電流を、半導体電力変換器に出力させる電力変換指令を出力する第2の指令手段と、機械的遮断器の開極動作が完了した時に、半導体電力変換器内の半導体スイッチをオフするオフ指令を出力する第3の指令手段と、を有する。
【0016】
また、本発明の第1の態様によれば、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組の、1次巻線が接続される側とは反対側の端子を、第1の外部接続端子および第2の外部接続端子の極性とは反対の極性の端子とし、または第1のグランド端子および第2のグランド端子とする。
【0017】
また、本発明の第2の態様によれば、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組と、機械的遮断器と、は並列に接続され、回路遮断器は、第1の外部接続端子の極性とは反対側の端子もしくは第3のグランド端子と、第2の外部接続端子の極性とは反対側の端子もしくは第4のグランド端子とを備える。
【0018】
また、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組において、2次巻線は、互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器のうちのいずれかの半導体電力変換器に直列接続される。
【0019】
また、回路遮断器は、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組において、半導体電力変換器もしくは2次巻線に直列接続されるインダクタをさらに備えてもよい。
【0020】
ここで、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組において、インダクタは、互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器のうちのいずれかの半導体電力変換器に直列接続される。
【0021】
また、上述の半導体スイッチは、オン時に一方向に電流を通す半導体スイッチング素子と、該半導体スイッチング素子に逆並列に接続された帰還ダイオードと、を有するようにしてもよい。
【0022】
また、機械的遮断器は、固定接触子と、固定接触子に接触する閉路位置と固定接触子から分離される開路位置との間を移動可能な可動接触子と、を有し、指令に応じて可動接触子が開路位置に移動することにより開極して電流路を遮断する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、正常時には定常損失がゼロであり事故発生時には高速に電流路を遮断することができる回路遮断器を実現することができる。
【0024】
本発明による回路遮断器は、機械的遮断器および半導体電力変換器を備えるいわゆるハイブリッド遮断器であるが、正常時には機械的遮断器はオンされて電源側から負荷側に電力が供給され、半導体電力変換器はダイオード動作するのみであるので、正常時の回路遮断器の定常損失をゼロにすることができる。
【0025】
また、本発明によれば、地絡事故や短絡事故により過電流が発生した場合、機械的遮断器および半導体電力変換器の動作を適宜制御することにより、高速に電流路を遮断することができる。
【0026】
また、本発明によれば、カスケード接続する半導体電力変換器の個数を適宜調整するだけで回路遮断器の高耐圧化も容易に実現できる。
【0027】
また、本発明によれば、半導体電力変換器内のDCDCコンバータを双方向DCDCコンバータとして構成することにより、直流電流の振幅および極性に関わりなく電流路を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施例による回路遮断器を示す回路図である。
図2】本発明の第1の実施例および第2の実施例による回路遮断器における半導体電力変換器を説明する回路図である。
図3】本発明の第1の実施例および第2の実施例による回路遮断器における単相変圧器の2次巻線の電気的接続の一例を説明する回路図である。
図4】本発明の第1の実施例による回路遮断器の変形例を示す回路図である。
図5】本発明の第1の実施例および第2の実施例による回路遮断器の変形例における単相変圧器の2次巻線の電気的接続の一例を説明する回路図である。
図6】本発明の第1の実施例による回路遮断器における制御系を説明するブロック図である。
図7】本発明の第1の実施例による回路遮断器の動作フローを示すフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施例による回路遮断器の正常時の動作を説明する等価回路を示す図である。
図9】本発明の第1の実施例による回路遮断器の負荷側の事故発生直後の動作を説明する等価回路を示す図である。
図10】本発明の第1の実施例による回路遮断器における半導体電力変換器が電力変換動作を行うときの動作を説明する等価回路を示す図である。
図11】本発明の第1の実施例による回路遮断器における半導体電力変換器が電力変換動作を終了したときの動作を説明する等価回路を示す図である。
図12】本発明の第1の実施例による回路遮断器内の半導体電力変換器における変換器電流を制御するための電力変換指令を説明する制御ブロック図である。
図13】本発明の第1の実施例による回路遮断器のシミュレーションに用いた回路図であり、(A)は回路遮断器にRL負荷を接続したときに回路遮断器の至近端で短絡事故が発生した場合の回路図を示し、(B)は回路遮断器に回生負荷を接続したときに回路遮断器の至近端で短絡事故が発生した場合の回路図を示す。
図14図13に示すシミュレーション回路図の回路パラメータを説明する図である。
図15】本発明の第1の実施例による回路遮断器を図13(A)のシミュレーション回路にて動作させた場合のシミュレーション波形を示す図である。
図16】本発明の第1の実施例による回路遮断器を図13(B)のシミュレーション回路にて動作させた場合のシミュレーション波形を示す図である。
図17】本発明の第2の実施例による回路遮断器における半導体電力変換器を説明する回路図である。
図18】本発明の第2の実施例による回路遮断器の変形例を示す回路図である。
図19】一般的なハイブリッド方式の回路遮断器を例示する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による回路遮断器は、半導体電力変換器と、単相変圧器と、機械的遮断器とを備える。半導体電力変換器は、内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより、所定の直流電流を出力するものであり、単独でもしくは複数個が互いにカスケード接続された状態で設けられる。単相変圧器は、その一端に第1の外部接続端子を有する1次巻線と、半導体電力変換器と直列接続される2次巻線と、を有する。単相変圧器の1次巻線の、第1の外部接続端子とは反対側にある他の一端は、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組に接続される。機械的遮断器は、指令に応じて開極して電流路を遮断するものであり、その一端に第2の外部接続端子を有する。機械的遮断器の、第2の外部接続端子とは反対側にある他の一端は、互いに直列接続された単相変圧器の2次巻線と半導体電力変換器とからなる組と、単相変圧器の1次巻線と、の接続点に接続される。以下、具体的な回路構成について、第1および第2の実施例にて説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施例による回路遮断器を示す回路図であり、図2は、本発明の第1の実施例および第2の実施例による回路遮断器における半導体電力変換器を説明する回路図である。以降、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。本発明の実施例による回路遮断器1は、半導体電力変換器11と、単相変圧器12と、機械的遮断器13と、を備える。図1に示す例では、回路遮断器1は、互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組が、適用される直流給電システムに対して並列になるよう設置されるものであり、単相変圧器12の1次巻線21が電源側に位置し、かつ機械的遮断器13が負荷側に位置するよう、直流給電システム上に設置される。
【0031】
半導体電力変換器11は、後述する単相変圧器12の1次巻線21と後述する機械的遮断器13との接続点P1から分岐した配線上に、単独でもしくは複数個が互いにカスケード接続された状態で設けられる。なお、本明細書では、半導体電力変換器11が1個の場合は、後述する単相変圧器12の2次巻線22が接続される側を「第1の直流側」と称し、複数個の半導体電力変換器11が互いにカスケード接続される場合は、当該半導体電力変換器11とは異なる他の半導体電力変換器11が接続される側を同じく「第1の直流側」と称する。また、「第1の直流側」とは反対側の直流側を、「第2の直流側」と称する。一例として、図1では、複数個(N個、ただしNは2以上の整数)の半導体電力変換器11が第1の直流側にて互いにカスケード接続された場合を示している。カスケード接続する半導体電力変換器11の個数を適宜調整するだけで回路遮断器1の高耐圧化を容易に実現できる。
【0032】
半導体電力変換器11は、DCDCコンバータ31と、エネルギー蓄積部32と、非線形抵抗33とを有し、DCDCコンバータ31の内部に設けられた半導体スイッチを指令に応じてスイッチング動作させることにより所定の直流電流を出力する。
【0033】
半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31は、双方向DCDCコンバータとして構成される。一例として、図1および図2に示す例では、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を2象限双方向DCDCコンバータ(チョッパセル)として構成する。すなわち、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31は、半導体スイッチのスイッチング動作により、第1の直流側および第2の直流側のうち一方から入力された直流電流を所望の大きさおよび極性の直流電流に変換してもう一方に出力するものであり、直流電流の入出力方向は、第1の直流側と第2の直流側との間で双方向に切換え可能である。半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を双方向DCDCコンバータとして構成することにより、直流電流の振幅および極性に関わりなく電流路を遮断することができる。半導体スイッチは、オン時に一方向に電流を通す半導体スイッチング素子Sと、この半導体スイッチング素子Sに逆並列に接続された帰還ダイオードDとで構成される。半導体スイッチング素子Sの例としては、IGBT、サイリスタ、GTO(Gate Turn−OFF thyristor:ゲートターンオフサイリスタ)、トランジスタなどがあるが、スイッチング素子の種類自体は本発明を限定するものではなく、その他の半導体素子であってもよい。なお、代替例として、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31として、図1および図2に示す2象限双方向DCDCコンバータの代わりに4象限双方向DCDCコンバータを用いてもよい。4象限双方向DCDCコンバータは、一般的な単相フルブリッジインバータと等価である。
【0034】
半導体電力変換器11内のエネルギー蓄積部32は、DCDCコンバータ31の第2の直流側に並列に接続される。エネルギー蓄積部32の例としては、直流コンデンサがある。直流コンデンサの場合、回路遮断器1を動作させる際にはDCDCコンバータ31を動作させて初期充電しておく。
【0035】
半導体電力変換器11内の非線形抵抗33は、エネルギー蓄積部32に並列に接続され、エネルギー蓄積部32に印加された直流電圧が、予め設定された電圧(以下、「動作電圧」と称する。)以下の場合は所定の抵抗値を示し、それ以外の場合は所定の抵抗値よりも低い抵抗値を示す素子である。非線形抵抗33の例としては、MOV(Metal Oxide Variable Resistor)(「バリスタ」あるいは「アレスタ」とも称する)がある。非線形抵抗33の動作電圧VRは、使用するパワーデバイスの電圧定格に制限される。例えば、3.3[kV]耐圧のパワーデバイスを使用する場合、非線形抵抗33の動作電圧VRは3.3[kV]以下に設定する必要がある。
【0036】
直流コンデンサ32と非線形抵抗33とは並列に接続されているので、単相変圧器12の励磁インダクタンスと漏れインダクタンスの蓄積エネルギーによって直流コンデンサ32が充電される際には、直流コンデンサ32の充電電圧が徐々に上昇して非線形抵抗33の動作電圧に達すると、その後は直流コンデンサ32の充電電圧は非線形抵抗33の動作電圧にてクランプされ、2次巻線22の蓄積エネルギーは非線形抵抗33にて消費される。なお、エネルギー蓄積部32および非線形抵抗33については、上述のような直流コンデンサ32の充電および非線形抵抗33による消費の一連の動作を行うものであれば他の素子で実現してもよく、例えば、2次電池あるいは電気二重層キャパシタなどに置き換えてもよい。
【0037】
単相変圧器12が有する1次巻線21と2次巻線22とは、機械的(物理的)に近接して配置されるものであるが、本発明の第1の実施例および後述の第2の実施例では、特に2次巻線22と、1次巻線21、半導体電力変換器11および機械的遮断器13との電気的接続関係に特徴がある。以下、単相変圧器12の接続関係について説明する。なお、単相変圧器12が示された各図においては1次巻線21および2次巻線22の極性を黒丸「・」で表わしている。
【0038】
単相変圧器12は、1次巻線21の一端に第1の外部接続端子T1を有する。第1の外部接続端子T1には電源側の回路が接続される。一方、単相変圧器12の2次巻線22は、半導体電力変換器11と直列接続される。黒丸「・」で表される1次巻線21の極性に対し、2次巻線22については、その極性が図示の向きに揃うようにワイヤを巻回するとともに各部品と電気的結線をする。半導体電力変換器11が1個の場合は、2次巻線22は当該半導体電力変換器11に直列接続され、半導体電力変換器11が複数個カスケード接続される場合は、互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器のうちのいずれかの半導体電力変換器11に直列接続される。このように、単相変圧器12において、1次巻線21の、第1の外部接続端子T1とは反対側にある他の一端(すなわち接続点P1)に、互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組が接続される。
【0039】
単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11との電気的接続関係は、図1に示されたものに限定されない。図3は、本発明の第1の実施例および第2の実施例による回路遮断器における単相変圧器の2次巻線の電気的接続の一例を説明する回路図である。単相変圧器12において、2次巻線22は、互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器11のうちのいずれかの半導体電力変換器11に電気的に直列接続すればよく、例えば、図3(A)および図3(B)に示すように、単相変圧器12の2次巻線22は、カスケード接続の両端に位置する半導体電力変換器11のうちのいずれかの半導体電力変換器11の、当該半導体電力変換器11が接続されていない側にそれぞれ設置される。また例えば、図3(C)に示すように、単相変圧器12の2次巻線22は、互いに隣接した半導体電力変換器11の間にそれぞれ設置される。なお、半導体電力変換器11が1個の場合は、単相変圧器12の2次巻線22は単に当該半導体電力変換器11に電気的に直列接続される。このように、半導体電力変換器11が複数個カスケード接続される場合および半導体電力変換器11が1個のみの場合のいずれの場合であっても、単相変圧器12の2次巻線22は、半導体電力変換器11と同一の配線上のいずれかの位置に設けられることとなるように電気的に接続される。
【0040】
機械的遮断器13は、その一端が単相変圧器12の1次巻線21と、互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組と、の接続点P1に接続される。また、機械的遮断器13は、単相変圧器12の1次巻線21および互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組と接続される側(すなわち接続点P1がある側)とは反対側に、第2の外部接続端子T2を有する。第2の外部接続端子T2には負荷側の回路が接続される。機械的遮断器13は、固定接触子と、固定接触子に接触する閉路位置と固定接触子から分離される開路位置との間を移動可能な可動接触子と、を有し、指令に応じて可動接触子が開路位置に移動することにより開極して電流路を遮断する。機械的遮断器13の例としては、真空遮断器、ガス遮断器もしくは空気吹付遮断器などがある。
【0041】
本発明の第1の実施例では、上述のように半導体電力変換器11、単相変圧器12および機械的遮断器13を結線することにより、互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組の、1次巻線12が接続される側(すなわち接続点P1がある側)とは反対側の端子P2が、第1の外部接続端子T1および第2の外部接続端子T2にそれぞれ対応する第1のグランド端子G1および第2のグランド端子G2となる。
【0042】
なお、本実施例では、回路遮断器1が直流遮断器として動作する場合について説明したが、回路遮断器1は交流遮断器としても動作可能であり、この場合は、互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組の、接続点P1が接続される側とは反対側の端子P2を、第1の外部接続端子T1および第2の外部接続端子T2の極性とは反対の極性の端子G1およびG2とする。回路遮断器1が直流遮断器として動作する場合は、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を2象限双方向DCDCコンバータまたは4象限双方向DCDCコンバータのいずれで構成してもよいが、回路遮断器1が交流遮断器として動作する場合は、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を4象限双方向DCDCコンバータとして構成する。
【0043】
図1に示す例では、第1の外部接続端子T1およびグランド端子G1からなる側を電源側とし、第2の外部接続端子T2およびグランド端子G2からなる側を負荷側としたが、この変形例として、第1の外部接続端子T1およびグランド端子G1からなる側を負荷側とし、第2の外部接続端子T2およびグランド端子G2からなる側を電源側としてもよい。
【0044】
上述の本発明の第1の実施例についての変形例として、回路遮断器1は、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組において、半導体電力変換器もしくは2次巻線に直列接続される、電流制御用のインダクタをさらに備えてもよい。図4は、本発明の第1の実施例による回路遮断器の変形例を示す回路図である。図4に示すように、回路遮断器1は、互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組において、半導体電力変換器11もしくは2次巻線22に直列接続される電流制御用のインダクタ14をさらに備える。なお、図1および図2を参照して説明した回路遮断器1においては、単相変圧器12の2次巻線22の漏れインダクタンスが、図4における電流制御用のインダクタ14と同等の機能を有する。
【0045】
インダクタ14と、2次巻線22および半導体電力変換器11との電気的接続関係は、図4に示されたものに限定されない。図5は、本発明の第1の実施例および第2の実施例による回路遮断器におけるインダクタの電気的接続の一例を説明する回路図である。互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組において、インダクタ14は、互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器11のうちのいずれかの半導体電力変換器11に電気的に直列接続されればよく、例えば、図5(A)に示すように、インダクタ14は、カスケード接続の両端に位置する半導体電力変換器11のうち図中上端の半導体電力変換器11の、他の半導体電力変換器11が接続されていない側に配置され、単相変圧器12の2次巻線22は、カスケード接続の両端に位置する半導体電力変換器11のうち図中下端の半導体電力変換器11の、他の半導体電力変換器11が接続されていない側に配置される。また例えば、図5(B)および図5(C)に示すように、インダクタ14および単相変圧器12の2次巻線22は、互いにカスケード接続された半導体電力変換器11の任意の位置に配置される。また例えば、ここでは図示しないが、インダクタ14と単相変圧器12の2次巻線22とを直列接続した上で、半導体電力変換器11に直列接続してもよい。なお、半導体電力変換器11が1個の場合は、インダクタ14および単相変圧器12の2次巻線22は単に当該半導体電力変換器11に電気的に直列接続される。このように、半導体電力変換器11が複数個カスケード接続される場合および半導体電力変換器11が1個のみの場合のいずれの場合であっても、インダクタ14および単相変圧器12の2次巻線22は、半導体電力変換器11と同一の配線上のいずれかの位置に設けられることとなるように電気的に接続される。
【0046】
これ以降、電源側直流電圧をVdc、負荷電圧をvL、半導体電力変換器11のN個カスケード接続される側の半導体電力変換器11の合計電圧をvHBで表す。また、単相変圧器12の1次巻線21の巻き数をN1、2次巻線22の巻き数をN2で表し、1次巻線21の両端に現れる電圧をvN1、2次巻線22の両端に現れる電圧をvN2で表す。また、N個の半導体電力変換器11のそれぞれに並列に接続された直流コンデンサの電圧をそれぞれvC1、・・・、vCNで表す(ただし、Nは自然数)。また、第1の外部接続端子T1から回路遮断器1へ流れ込む電源電流をiSとし、接続点P1から第2の外部接続端子T2に流れる電流を負荷電流iLとする。なお、図中の電圧および電流については、それぞれ矢印の向きを正としている。また、単相変圧器12の1次巻線21および2次巻線22の極性を黒丸「・」で表わしている。
【0047】
図6は、本発明の第1の実施例による回路遮断器における制御系を説明するブロック図である。図6に示す制御系は、図1図3を参照して説明した回路遮断器1ならびに図4および図5を参照して説明した回路遮断器1のいずれにも適用可能である。回路遮断器1は、その制御系として、過電流検知部41および制御部42を有する。
【0048】
過電流検知部41は、回路遮断器1の第2の外部接続端子T2に接続された負荷側の外部配線上において過電流が発生したか否かを検知する。過電流発生の検知は公知の方法で実現すればよい。例えば、地絡や短絡などの事故が発生すると第1の外部接続端子T1から回路遮断器1へ流れ込む電源電流iSが増加することから、電流検出器(図示せず)を用いて電流iSを常時監視しておき、電源電流iSが定格電流より所定の値大きくだけなった場合に「過電流発生」と判定するようにすればよい。過電流発生の判断に用いられる基準電流値は、例えば定格電流120%に設定するなど、必要に応じて適宜設定すればよい。
【0049】
制御部42は、機械的遮断器13に対する開極動作および半導体電力変換器11の電力変換動作を制御する。すなわち、制御部42は、過電流検知部41が過電流を検知したとき、機械的遮断器13に対して開極動作の開始を指令する開極指令を出力する第1の指令手段51と、開極指令が出力されてから機械的遮断器13の開極動作が完了するまでの間に機械的遮断器13に流れる電流をゼロに収束させる直流電流を、半導体電力変換器11に出力させる電力変換指令を出力する第2の指令手段52と、機械的遮断器13の開極動作が完了した時に、半導体電力変換器11内の半導体スイッチSをオフする指令を出力する第3の指令手段53と、を有する。
【0050】
第1の指令手段51、第2の指令手段52および第3の指令手段53は、例えばソフトウェアプログラム形式で構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。例えばこれらの手段をソフトウェアプログラム形式で構築する場合は、制御部42内の演算処理装置はこのソフトウェアプログラムに従って動作することで上述の各手段の機能が実現される。
【0051】
図7は、本発明の第1の実施例による回路遮断器の動作フローを示すフローチャートである。また、図8図11は、本発明の第1の実施例による回路遮断器の動作を説明する等価回路を示す図である。ただし、Llは単相変圧器12の2次巻線22の漏れインダクタンスを表す。2次巻線22の漏れインダクタンスLは既知の手法で算出される。なお、単相変圧器12の1次巻線21の漏れインダクタンスは回路動作に大きな影響を与えないため、図8図11では記載していない。
【0052】
ここでは一例として、時刻t0で負荷側に地絡もしくは短絡の事故が発生して過電流が発生した場合を考える。
【0053】
回路遮断器1は、回路遮断器1の第2の外部接続端子T2に接続された負荷側の外部配線上において過電流が発生していないとき、正常動作を行う(ステップS101)。すなわち正常時では、図8に示すように、機械的遮断器13はオンされ、電源側から単相変圧器12の1次巻線21および機械的遮断器13を介して負荷側に電力が供給される。このとき、半導体電力変換器11内の各ダイオードDが機能することにより、半導体電力変換器11そのものはダイオードとして動作し、変換器電流iHBはゼロとなり、電源電流iSと負荷電流iLとは等しくなる。したがって、正常時の回路遮断器1の定常損失はゼロである。
【0054】
また、電源側直流電圧Vdcと半導体電力変換器11内の直流コンデンサ電圧vC(=vC1=vCN)は式1の関係を満足する必要がある。Nは半導体電力変換器11の個数(換言すれば直流コンデンサの個数)を示す。
【0055】
【数1】
【0056】
図8に示すように、正常時においては、キルヒホッフの電流則より、負荷電流iLと電源電流iSとは等しく、すなわち「iL=iS」である。また、正常時の定常状態においては、単相変圧器12の鉄心における磁束は時間的には変化しないので式2が成り立つ。
【0057】
【数2】
【0058】
ステップS102において、過電流検知部41は、第2の外部接続端子T2に接続された負荷側の外部配線上において過電流が発生したか否かを検知する。過電流検知部41が過電流を検知しなかったときはステップS101に戻り正常動作を継続する。過電流検知部41が過電流を検知したときはステップS103へ進む。
【0059】
例えば時刻t0で過電流検知部41が過電流の発生を検知したとすると、負荷側の事故発生直後である時刻t0の回路遮断器1の等価回路は図9のように表される。機械的遮断器13における電圧降下を無視すると、式3に示される回路方程式が成立する。
【0060】
【数3】
【0061】
このとき、電源電流iSおよび負荷電流iLに、1次関数的に増加する励磁電流が流れる。この電流増加率は、単相変圧器12の励磁インダクタンスをLMとしたとき、Vdc/LMで与えられる。したがって、単相変圧器12の励磁インダクタンスLMを増加させれば、事故時の電流増加率を抑制することができる。なお、単相変圧器12の励磁インダクタンスLMは、単相変圧器12の磁気抵抗をRとしたとき、式4のように表せられる。
【0062】
【数4】
【0063】
時刻t0で短絡や地絡事故が発生すると電源電流iSは増加するため、過電流検知部41は、電流検出器(図示せず)を用いて電源電流iSを常時監視し、電源電流iSが定格電流より所定の値だけ大きくなった場合(例えば定格電流120%)に「過電流発生」と判定する。この事故が発生したと判定したときの時刻をt1とする。事故発生から事故判断に要する時間「t1−t0」は電源側直流電圧Vdc、単相変圧器12の励磁インダクタンスLM、負荷、基準電流値などに依存する。
【0064】
負荷側の事故発生直後である時刻t0から事故が発生したと判定した時刻t1までの間の単相変圧器12においては、式5で表される関係式が成り立つ。ただし、各巻線の漏れインダクタンスの影響は無視している。
【0065】
【数5】
【0066】
ステップS102において過電流検知部41が過電流を検知したとき、ステップS103において、制御部42の第1の指令手段51は、機械的遮断器13に対して開極動作の開始を指令する開極指令を出力する。
【0067】
機械的遮断器13に開極指令を与えても機械的遮断器13は直ちに開極動作を完了するのではなく、機械的遮断器13の機械的構造に起因する遅れ時間が発生し、実際には少し遅れて開極動作を完了する。例えば、直流電圧が数10[kV]クラスでは1[ms]以下、数100[kV]クラスでは2[ms]程度の遅れ時間が発生する。機械的遮断器13はゼロ電流時のみ電流路を遮断することが可能であるため、機械的遮断器13を流れる負荷電流iLをゼロにする必要がある。そこで、ステップS104において、制御部42の第2の指令手段52は、開極指令が出力されてから機械的遮断器13の開極動作が完了するまでの間に機械的遮断器13に流れる電流をゼロに収束させる直流電流を半導体電力変換器11に出力させるための電力変換指令を出力する。半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31内にある半導体スイッチの半導体スイッチング素子Sは受信した電力変換指令に基づいてPWMスイッチング動作を行う。これにより、図10に示すように、半導体電力変換器11はvHBを出力する制御電圧源として動作することと等価になる。したがって、図10において、式6のような回路方程式が成立する。
【0068】
【数6】
【0069】
本発明の第1の実施例では、制御電圧源については、一例としてPI制御にて実現し、vHBを式7で与える。式7において、Kpは比例ゲインを表し、KIは積分ゲインを表し、i*HBは変換器電流の指令値を表す。なお、本実施例ではPI制御を適用したが、PI制御以外の電流制御を適用してもよい。
【0070】
【数7】
【0071】
式7において、右辺第1項、第2項、第3項および第4項はフィードフォワード制御に相当し、右辺第5項はフィードバック制御(PI)に相当する。式7を式6に代入すると式8が得られる。
【0072】
【数8】
【0073】
式8に示すように変換器電流iHBはその指令値i*HBに対して2次遅れで応答する。このとき、変換器電流の指令値i*HBをiSに設定することで変換器電流iHBを単相変圧器12の1次巻線に流れる電源電流iSに一致させる制御を行えば、キルヒホッフの電流則により負荷電流iLをゼロにすることができる。負荷電流iLをゼロにするのに要する時間(すなわち、変換器電流iHBを電源電流iSに一致させるのに要する時間)は、半導体電力変換器11のキャリア周波数、等価スイッチング周波数、ディジタル制御手法に依存する。例えば低損失かつ高スイッチング周波数動作を実現可能な高圧SiC MOSFETを用いれば、負荷電流iLをゼロにするのに要する時間を1[ms]以下に実現することは十分可能である。
【0074】
ここで、電源電流iSに含まれる励磁電流をiMとすると、変圧器起磁力の関係より式9が成り立つ。ただし、各巻線の漏れインダクタンスの影響は無視している。
【0075】
【数9】
【0076】
式9に、「iS=iHB」を代入すると、式10が得られる。
【0077】
【数10】
【0078】
以上を踏まえ、式7に基づく電力変換指令の生成原理を説明すると次の通りである。図12は、本発明の第1の実施例による回路遮断器内の半導体電力変換器における変換器電流を制御するための電力変換指令を説明する制御ブロック図である。変換器電流の制御では、フィードバック制御とフィードフォワード制御を併用する。
【0079】
図12に示すように、フィードバック制御に係るブロックB1では、電流検出器(図示せず)によって検出された変換器電流iHBと電流検出器(図示せず)によって検出された電源電流iSの差分に対しPI制御を適用することで偏差(iHB−iS)を抑制する。一方、フィードフォワード制御に係るブロックB2では、電源側直流電圧vdc、単相変圧器12の1次巻線21の両端に現れる電圧vN1、2次巻線22の両端に現れる電圧vN2、2次巻線22の漏れインダクタンスLlに現れる電圧Lld(iHB)/dtから得られるvfを利用することで、電流制御性向上を実現する。電源側直流電圧vdc、単相変圧器12の1次巻線21の両端に現れる電圧vN1、および2次巻線22の両端に現れる電圧vN2は、電圧センサ(図示せず)を用いて直接検出することで得ればよい。また、2次巻線の漏れインダクタンスに現れる電圧Lld(iHB)/dtは既知の手法で予め取得したLlの値と、検出した変換器電流iHBを用いて算出することで得ればよい。ブロックB3によってvfを半導体電力変換器11の個数Nで除算し、そして、ブロックB1の出力とブロックB3の出力とが加算されて各半導体電力変換器11に対する電力変換指令v*jが生成される。各半導体電力変換器11に対する電力変換指令v*jは、ブロックB4jにて直流コンデンサ電圧vCj(ただし、j=1〜N)で規格化した後、一般的なPWM変調法(三角波比較)を適用して各半導体電力変換器11内の半導体スイッチSへ与えられる。
【0080】
なお、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を2象限双方向DCDCコンバータとして構成したときは、PWM制御に用いられる三角波キャリアの初期位相を360°/N移相する「位相シフトPWM手法」を各半導体電力変換器11のDCDCコンバータ31の制御に適用すれば、等価スイッチング周波数を増加できる。具体的には、キャリア周波数をfCとすると、等価スイッチング周波数はNfCとなる。あるいは半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を4象限双方向DCDCコンバータとして構成したときは、PWM制御に用いられる三角波キャリアの初期位相を180°/N移相する「位相シフトPWM手法」を各半導体電力変換器11のDCDCコンバータ31の制御に適用すれば、等価スイッチング周波数を増加できる。具体的には、キャリア周波数をfCとすると、等価スイッチング周波数は2NfCとなる。等価スイッチング周波数を高く設定することで、電流制御系の向上と2次巻線22の漏れインダクタンスLlの低減を実現できる。
【0081】
一般に、高圧用途の半導体電力変換器のスイッチング周波数は、スイッチング損失低減の観点から数100[Hz]に設定される。一方、本発明の第1の実施例による回路遮断器1内の半導体電力変換器11は事故発生時のみPWM動作を行うため、スイッチング損失の増大は問題とならない。半導体電力変換器11として例えば3.3[kV]/1500[A]のSiCパワーモジュール(SiC MOSFETとSiC SBD(Schottky Barrier Diode))を使用した場合、PWM変調には数[kHz]のキャリア周波数適用が想定され、電流制御性の向上が期待できる。同一キャリア周波数を想定した場合、半導体電力変換器11のカスケード数が多くなるような高圧用途において電流制御性が向上する。
【0082】
以上、ステップS104における電力変換指令の出力について説明したが、ステップS104における処理は、ステップS103における開極指令の出力と同時に実行されてもよい。
【0083】
図7に戻ると、ステップS105において、機械的遮断器13は、制御部42内の第2の指令手段52からの開極指令に応じて開極動作を開始する。上述のように機械的遮断器13はゼロ電流時のみ動作可能であるが、ステップS104における機械的遮断器13に流れる電流をゼロにする処理は、開極指令が出力されてから機械的遮断器13の開極動作が完了するまでに要する時間よりも十分短い時間に実行される。
【0084】
機械的遮断器13の開極動作が完了したとき(ここでは時刻t2とする)、ステップS106において、制御部42内の第3の指令手段53は、半導体電力変換器11内の全ての半導体スイッチSをオフする指令を出力する。半導体電力変換器11の電力変換動作開始から機械的遮断器13の開極動作完了までに要する時間「t2−t1」は、機械的遮断器13に対して開極指令を与えてから機械的遮断器13が実際に開極動作を完了するまでの遅れ時間と等しく、その時間は例えば2[ms]である。
【0085】
制御部42内の第3の指令手段53によるオフ指令を受信して半導体電力変換器11内の全ての半導体スイッチSはターンオフし、電力変換動作は終了する。これにより、図11に示すように、半導体電力変換器11内の各ダイオードDのみが機能することになる。このとき、単相変圧器12はインダクタとして動作するが、このインダクタンスをLM2すると式11で表される。ただし、各巻線の漏れインダクタンスの影響は無視している。
【0086】
【数11】
【0087】
漏れインダクタンスを含む単相変圧器12の蓄積エネルギーは、半導体電力変換器11内において帰還ダイオードDを介して直流コンデンサ32および非線形抵抗33に放出される。半導体電力変換器11内の直流コンデンサ32と非線形抵抗33とは並列に接続されているので、半導体スイッチの半導体スイッチング素子Sのターンオフ後(すなわち時刻t2以降の期間)は、漏れインダクタンスを含む単相変圧器12の蓄積エネルギーによって、直流コンデンサ32は充電される。その結果、直流コンデンサ電圧vCは徐々に上昇し、非線形抵抗33の動作電圧VRでクランプされる。直流コンデンサ32が当該動作電圧まで充電された後は、蓄積エネルギーは非線形抵抗33にて消費される。
【0088】
漏れインダクタンスを含む単相変圧器12の蓄積エネルギーによって直流コンデンサ32が非線形抵抗33の動作電圧まで充電されるまでは、式12に示す回路方程式が成立する。
【0089】
【数12】
【0090】
式12より、直流コンデンサ32の電圧vCおよび電源電流iS(=iHB)は2階定数係数線形微分方程式を解くことで算出できる。
【0091】
直流コンデンサ32が当該動作電圧まで充電された後は、式13に示す回路方程式が成立する。式13において、非線形抵抗33の動作電圧をVRとする。
【0092】
【数13】
【0093】
式13より、電源電流iSおよび変換器電流iHBは1階定数係数線形微分方程式を解くことで算出できる。
【0094】
次に、本発明の第1の実施例による回路遮断器のシミュレーション結果について説明する。図13は本発明の第1の実施例による回路遮断器のシミュレーションに用いた回路図であり、(A)は回路遮断器にRL負荷を接続したときに回路遮断器の至近端で短絡事故が発生した場合の回路図を示し、(B)は回路遮断器に回生負荷を接続したときに回路遮断器の至近端で短絡事故が発生した場合の回路図を示す。ただし、図13(B)において、回生負荷は直流電流源で模擬している。また、図14は、図13に示すシミュレーション回路図の回路パラメータを説明する図である。シミュレーションには「PSCAD/EMTDC」を使用した。高圧用途への適用を想定し定格容量Pは7.5[MW]、定格直流電圧Vdcは15[kV]、定格電源電流ISは500[A]、定格負荷電流ILは500[A]とした。単相変圧器12の励磁インダクタンスLMは10[mH]、巻数比N1/N2は2とした。また、電流制御に使用する2次巻線22の漏れインダクタンスLlは、0.5[mH]とした。また、3.3[kV]耐圧の半導体スイッチング素子を想定し、初期直流コンデンサ電圧は1.5[kV]、各半導体電力変換器11の個数Nは10とし、キャリア周波数fCは2[kHz]とした。単位静電定数Hは、直流コンデンサの全静電エネルギーを変換器容量で規格化した値(単位は[s])であり、式14で表せる。
【0095】
【数14】
【0096】
また、シミュレーションでは、制御遅延がゼロであるアナログ制御系を想定して半導体スイッチング素子のデッドタイムはゼロとした。また、電流発生の判断に用いられる基準電流値は定格電流120%に設定した。また、非線形抵抗33は、動作電圧を2[kV]とし、印加される電圧が2[kV]以下の場合無限大の抵抗値を示し、2[kV]以上は抵抗値がゼロを示すものとした。また、機械的遮断器13は、インピーダンスがゼロの理想スイッチとして模擬し、開極指令受信から開極動作完了までの遅れ時間(=t2−t1)を1.5[ms]とした。
【0097】
図15は、本発明の第1の実施例による回路遮断器を図13(A)のシミュレーション回路にて動作させた場合のシミュレーション波形を示す図である。回路遮断器1にRL負荷(7.5[MW])を接続したときに時刻t0の時点で回路遮断器1の至近端で短絡事故が発生した場合をシミュレーションした。
【0098】
短絡事故が発生する時刻t0以前における半導体電力変換器11は、半導体電力変換器11内の各ダイオードDが機能することにより、半導体電力変換器11そのものはダイオードとして動作する。この場合は、電源電流iSおよび負荷電流iLは、いずれも500[A]となり、キルヒホッフの電流則より変換器電流iHBは0[A]となる。したがって、電源側直流電圧Vdcと変換器電圧vHBとは等しくなり、いずれも15[kV]である。この間、各半導体電力変換器11内の直流コンデンサ32の電圧(Vdc/N)はそれぞれ1.5[kV]に充電される。
【0099】
時刻t0において短絡事故が発生すると、電源電流iSおよび負荷電流iLは1.5[kA/ms](=Vdc/LM)の傾きで増加する。式3、式5および式6ならびに「N/N=2」の関係式より、変換器電圧vHBはVdc/2に減少する。
【0100】
時刻t1において、機械的遮断器13に開極指令を与える。同時に、機械的遮断器13に流れる電流をゼロに収束させる直流電流を半導体電力変換器11に出力させる電力変換指令を出力する。これにより半導体電力変換器11内の半導体スイッチの半導体スイッチング素子Sは受信した電力変換指令に基づいてPWMスイッチング動作を行う。なお、本シミュレーションでは、PWM動作開始および開極指令受信から機械的遮断器13の開極完了までの時間「t2−t1」を1.5[ms]と設定した。図15に示すように、電流制御適用後0.35[ms]で、負荷電流iLはゼロとなり、電源電流iSと変換器電流iHBは等しくなるので、機械的遮断器13により電流路の遮断が可能な状態となる。式10と、「N1/N2=2」の関係式より、電源電流iSの電流増加率は、事故発生直後(t0≦t≦t1)の電源電流iSの電流増加率の2倍(=3.0[kA/ms])となる。変換器電力pHBは常に正であるので、直流コンデンサ32の電圧vC1、vC2は増加し、最終的には非線形抵抗33の動作電圧VRである2[kV]でクランプされる。
【0101】
時刻t2において機械的遮断器13の開極動作が完了し、同時に半導体電力変換器11内の全ての半導体スイッチの半導体スイッチング素子Sをターンオフする。電源電流iSおよび変換器電流iHBは1次関数的に減少し、時刻t3においてゼロとなる。本シミュレーション結果によれば、短絡事故発生から電流遮断完了までの所要時間「t3−t0」は4.8[ms]であり、回路遮断器1により高速遮断を実現できることがわかる。
【0102】
図16は、本発明の第1の実施例による回路遮断器を図13(B)のシミュレーション回路にて動作させた場合のシミュレーション波形を示す図である。回路遮断器1に回生負荷(7.5[MW])を接続したときに時刻t0の時点で回路遮断器1の至近端で短絡事故が発生した場合をシミュレーションした。
【0103】
本シミュレーションでは回生負荷を想定しているため、短絡事故が発生する時刻t0以前の正常時は電源電流iSおよび負荷電流iLはともに−500[A]となる。各部波形は、図15と同様となる。本シミュレーション結果によれば、短絡事故発生から電流遮断完了までの所要時間「t3−t0」は5.4[ms]であり、回路遮断器1により高速遮断を実現できることがわかる。
【0104】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図17は、本発明の第2の実施例による回路遮断器における半導体電力変換器を説明する回路図である。上述の第1の実施例による回路遮断器1は、互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組が、適用される直流給電システムに対して並列になるよう設置されたが、本発明の第2の実施例による回路遮断器2は、互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組が、直流給電システムに対して直列になるよう設置される。本発明の第2の実施例による回路遮断器2は、第1の実施例同様、半導体電力変換器11と、単相変圧器12と、機械的遮断器13と、を備える。互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組と、機械的遮断器13とは、並列に接続される。以下、各構成について説明する。
【0105】
半導体電力変換器11は、単相変圧器12の1次巻線21と機械的遮断器13との接続点P1から分岐した配線上に、単独でもしくは複数個が互いにカスケード接続された状態で設けられる。第1の実施例同様、半導体電力変換器11が1個の場合は、単相変圧器12の2次巻線22が接続される側を「第1の直流側」と称し、複数個の半導体電力変換器11が互いにカスケード接続される場合は、当該半導体電力変換器11とは異なる他の半導体電力変換器11が接続される側を同じく「第1の直流側」と称する。また、「第1の直流側」とは反対側の直流側を、「第2の直流側」と称する。一例として、図17では、複数個(N個、ただしNは2以上の整数)の半導体電力変換器11が第1の直流側にて互いにカスケード接続された場合を示している。カスケード接続する半導体電力変換器11の個数を適宜調整するだけで回路遮断器1の高耐圧化を容易に実現できる。半導体電力変換器11の構成については第1の実施例において説明したものと同様である。ただし、半導体電力変換器11内のエネルギー蓄積部32を直流コンデンサとした場合は、第2の実施例では、第1の実施例の場合とは異なり、初期充電回路(図示せず)を別途設ける必要がある。
【0106】
単相変圧器12の構成については第1の実施例において説明したものと同様である。すなわち、単相変圧器12は、1次巻線21の一端に第1の外部接続端子T1を有する。第1の外部接続端子T1には電源側の回路が接続され、単相変圧器12の2次巻線22は、半導体電力変換器11と直列接続される。黒丸「・」で表される1次巻線21の極性に対し、2次巻線22については、その極性が図示の向きに揃うようにワイヤを巻回するとともに各部品と電気的結線をする。単相変圧器12において、1次巻線21の、第1の外部接続端子T1とは反対側にある他の一端(すなわち接続点P1)に、互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組が接続される。単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11との電気的接続関係は、図17に示されたものに限定されず、例えば、図3に示したように、2次巻線22は、互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器11のうちのいずれかの半導体電力変換器11に電気的に直列接続すればよい。また、本発明の第2の実施例では、第1の外部接続端子T1の極性とは反対側の端子として第3のグランド端子G3が設けられる。
【0107】
機械的遮断器13は、互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組と並列になるように、一端が接続点P1に接続され、他の一端が接続点P3に接続される。また、機械的遮断器13の、単相変圧器12の1次巻線21に接続される側(すなわち接続点P1がある側)とは反対側の接続点P3を、第2の外部接続端子T2とする。第2の外部接続端子T2には負荷側の回路が接続される。機械的遮断器13の構成については第1の実施例において説明したものと同様である。なお、本発明の第2の実施例では、第2の外部接続端子T2の極性とは反対側の端子として第4のグランド端子G4が設けられるが、第3のグランド端子G3と第4のグランド端子G4とは同電位となる。
【0108】
本発明の第2の実施例では、上述のように半導体電力変換器11、単相変圧器12および機械的遮断器13を結線することにより、互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組と、機械的遮断器13とは、並列に接続された構成となる。回路遮断器2は直流遮断器として動作するほかに交流遮断器としても動作可能であり、この場合は、端子G3は第1の外部接続端子T1の極性とは反対の極性を有する端子となり、端子G4は第2の外部接続端子T2の極性とは反対の極性を有する端子となる。第1の実施例と同様、回路遮断器2が直流遮断器として動作する場合は、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を2象限双方向DCDCコンバータまたは4象限双方向DCDCコンバータのいずれで構成してもよいが、回路遮断器2が交流遮断器として動作する場合は、半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31を4象限双方向DCDCコンバータとして構成する。
【0109】
なお、図17に示す例では、第1の外部接続端子T1および第3のグランド端子G3からなる側を電源側とし、第2の外部接続端子T2および第4のグランド端子G4からなる側を負荷側としたが、この変形例として、第1の外部接続端子T1および第3のグランド端子G3からなる側を負荷側とし、第2の外部接続端子T2および第4のグランド端子G4からなる側を電源側としてもよい。
【0110】
上述の本発明の第2の実施例についての変形例として、回路遮断器2は、互いに直列接続された2次巻線と半導体電力変換器とからなる組において、半導体電力変換器もしくは2次巻線に直列接続される、電流制御用のインダクタをさらに備えてもよい。図18は、本発明の第2の実施例による回路遮断器の変形例を示す回路図である。図18に示すように、回路遮断器2は、互いに直列接続された単相変圧器12の2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組において、半導体電力変換器11もしくは2次巻線22に直列接続される電流制御用のインダクタ14をさらに備える。なお、図17を参照して説明した回路遮断器2においては、単相変圧器12の2次巻線22の漏れインダクタンスが、図18における電流制御用のインダクタ14と同等の機能を有する。インダクタ14と、2次巻線22および半導体電力変換器11との電気的接続関係は、図18に示されたものに限定されず、例えば、図5に示したように、互いに直列接続された2次巻線22と半導体電力変換器11とからなる組において、インダクタ14は、互いにカスケード接続された複数個の半導体電力変換器11のうちのいずれかの半導体電力変換器11に電気的に直列接続されればよい。
【0111】
ここで、電源側直流電圧をVdc、負荷電圧をvL、半導体電力変換器11のN個カスケード接続される側の半導体電力変換器11の合計電圧をvHBで表す。また、単相変圧器12の1次巻線21の巻き数をN1、2次巻線22の巻き数をN2で表し、1次巻線21の両端に現れる電圧をvN1、2次巻線22の両端に現れる電圧をvN2で表す。また、N個の半導体電力変換器11それぞれについて並列に接続された直流コンデンサの電圧をそれぞれvC1、・・・、vCNで表す(ただし、Nは自然数)。第1の外部接続端子T1から回路遮断器1へ流れ込む電源電流をiSとする。また、接続点P1から接続点P3に流れる電流(すなわち機械的遮断器13を流れる電流)については「iL」と表記するが、説明を簡明にするために、第2の実施例でも機械的遮断器13を流れる電流「iL」を「負荷電流」と呼称する。なお、図中の電圧および電流については、それぞれ矢印の向きを正としている。また、単相変圧器12の1次巻線21および2次巻線22の極性を黒丸「・」で表わしている。
【0112】
本発明の第2の実施例による回路遮断器2の制御系は、図1を参照して説明した第1の実施例による回路遮断器1の制御系と同様の構成を有する。この制御系の下、本発明の第2の実施例による回路遮断器2の動作も、図7を参照して説明した第1の実施例による回路遮断器1の動作フローと同様に動作する。すなわち、時刻t0で負荷側に地絡もしくは短絡の事故が発生して過電流が発生し、時刻t1において機械的遮断器13に開極指令を与えると同時に各半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31の電力変換動作を開始させる。また、時刻t2において機械的遮断器13の開極動作が完了すると同時に全ての半導体スイッチの半導体スイッチング素子Sをターンオフし、時刻t3において電源電流iSと変換器電流iHBがゼロとなり電流遮断が完了する。より詳しくは次の通りである。
【0113】
短絡事故が発生する時刻t0以前の正常時の回路遮断器2の動作は、第1の実施例による回路遮断器1の動作と同じである。すなわち正常時では機械的遮断器13はオンされて電源側から負荷側に電力が供給される。このとき、半導体電力変換器11内の各ダイオードDが機能することにより、半導体電力変換器11そのものはダイオードとして動作する。この場合、変換器電流iHBはゼロとなる。つまり、短絡事故が発生する時刻t0以前の正常時では、第1の外部接続端子T1から流入した電源電流iSは、単相変圧器12の1次巻線、および閉路した機械的遮断器13を順次経由して、第2の外部接続端子T2から流出する。したがって、短絡事故が発生する時刻t0以前の正常時では、電源電流iSと、負荷電流iLとは全て同一となる。なお、第1の実施例と同様、電源側直流電圧Vdcと半導体電力変換器11内の直流コンデンサ電圧vC(=vC1=vCN)は式1の関係を満足する必要がある。
【0114】
時刻t0で過電流検知部41が過電流の発生を検知した直後の回路遮断器2の動作も、第1の実施例による回路遮断器1の動作と同じである。このとき、電源電流iSおよび負荷電流iLは「Vdc/LM」の傾きで1次関数的に増加する。
【0115】
時刻t1から時刻t2までの間の回路遮断器2の動作も、第1の実施例による回路遮断器1の動作と同じである。すなわち、図12を参照して説明した変換器電流を制御するための電力変換指令の生成原理を適用することで、変換器電流iHBを電源電流iSに一致させる制御を行い、負荷電流iLがゼロになるようにする。
【0116】
時刻t2で機械的遮断器13の開極動作が完了したときの回路遮断器2の動作も、第1の実施例による回路遮断器1の動作と同じである。すなわち半導体電力変換器11内のDCDCコンバータ31内の全ての半導体スイッチング素子Sをオフすることで、単相変圧器12およびインダクタ14の蓄積エネルギーは、半導体電力変換器11内において帰還ダイオードDを介して直流コンデンサ32および非線形抵抗33に放出される。この期間において成立する電圧方程式や電流の関係式は、第1の実施例の場合と同一である。
【符号の説明】
【0117】
1、2 回路遮断器
11 半導体電力変換器
12 単相変圧器
13 機械的遮断器
14 インダクタ
21 1次巻線
22 2次巻線
31 DCDCコンバータ
32 エネルギー蓄積部
33 非線形抵抗
41 過電流検出部
42 制御部
51 第1の指令手段
52 第2の指令手段
53 第3の指令手段
D 帰還ダイオード
1 第1のグランド端子
2 第2のグランド端子
3 第3のグランド端子
4 第4のグランド端子
S 半導体スイッチング素子
1 第1の外部接続端子
2 第2の外部接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19