(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(B)成分は、ノニオン性不飽和単量体及びアニオン性不飽和単量体からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用基剤。
前記エチレン性不飽和単量体成分全量に対する、上記式(1a)、(1b)及び(2)で示される各単量体成分の合計含有量が、60〜90質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料用基剤。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0015】
本発明の毛髪化粧料用基剤は、エチレン性不飽和単量体を重合して得られる重合体を含む。この重合体は、少なくとも下記式[化1]における(Ia)で示される骨格及び下記式[化2]における(Ib)で示される骨格のいずれか一方又は両方と、下記式[化3]における(II)で示される骨格とを含む構造を有している。
【0017】
(式(Ia)中、R
1は、H又はCH
3、R
2は、H又は炭素数1〜18のアルキル基、A
1はO又はNHであり、x、y、zはそれぞれ0〜100の整数である。また、x+y≧1、y+z≧1、かつ、z+x≧1である。また、(EO)は(C
2H
4O)、(PO)は(C
3H
6O)、(BO)は(C
4H
8O)を示す。)
【0019】
(式(Ib)中、R
1は、H又はCH
3、R
2は、H又は炭素数1〜18のアルキル基、A
1はO又はNHであり、x、y、zはそれぞれ0〜100の整数である。また、x+y≧1、y+z≧1、かつ、z+x≧1である。また、(EO)は(C
2H
4O)、(PO)は(C
3H
6O)、(BO)は(C
4H
8O)を示す。また、式(Ib)中の[−(EO)x−(PO)y−(BO)z−]は、EO、PO、BOがランダムに配列していること、すなわち、EO、PO、BOのランダム共重合体であることを示す。)
【0021】
(式(II)中、R
3はH又はCH
3、R
4はH又は炭素数1〜18のアルキル基、A
2はO又はNHである。また、mは1〜4の整数であり、nは1〜100の整数である。)
尚、式(Ia)及び(Ib)において、両者のR
1、R
2、A
1、x、y及びzはそれぞれ互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0022】
毛髪化粧料用基剤は上記構造を有する重合体を含むので、この毛髪化粧料用基剤が配合された毛髪化粧料で整髪すると、毛髪にごわつきやべたつきによる不快な感触を生じにくくすることができるものである。また、毛髪化粧料用基剤が配合された毛髪化粧料で整髪した場合、整髪後の髪型が乱れたとしても、手櫛等で容易に整髪(再整髪)することも可能となる。すなわち、毛髪化粧料用基剤が配合された毛髪化粧料では、ヘアスタイルの作りやすさや、指通りの良さといった良好なスタイリング性が発揮されると共にスタイリングの保持性にも優れ、しかも、再整髪性にも優れるものとなる。
【0023】
上記毛髪化粧料用基剤に含まれる重合体は、下記式[化4]の(1a)及び下記式[化5]の(1b)で示される単量体のいずれか一方又は両方と、下記式[化6]の(2)で示される単量体を含むエチレン性不飽和単量体成分を重合することで得ることができる。尚、以下では、(1a)、(1b)又は(2)式で示される単量体を「エチレン性不飽和単量体成分の(A)成分」と表記することがある。
【0025】
(式(1a)中、R
1は、H又はCH
3、R
2は、H又は炭素数1〜18のアルキル基、A
1はO又はNHであり、x、y、zはそれぞれ0〜100の整数である。また、x+y≧1、y+z≧1、かつ、z+x≧1である。また、(EO)は(C
2H
4O)、(PO)は(C
3H
6O)、(BO)は(C
4H
8O)を示す。)
【0027】
(式(1b)中、R
1は、H又はCH
3、R
2は、H又は炭素数1〜18のアルキル基、A
1はO又はNHであり、x、y、zはそれぞれ0〜100の整数である。また、x+y≧1、y+z≧1、かつ、z+x≧1である。また、(EO)は(C
2H
4O)、(PO)は(C
3H
6O)、(BO)は(C
4H
8O)を示す。また、式(Ib)中の[−(EO)x−(PO)y−(BO)z−]は、EO、PO、BOがランダムに配列していること、すなわち、EO、PO、BOのランダム共重合体であることを示す。)
【0029】
(式(2)中、R
3はH又はCH
3、R
4はH又は炭素数1〜18のアルキル基、A
2はO又はNHである。また、mは1〜4の整数であり、nは1〜100の整数である。)
【0030】
ここで、(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体はそれぞれ、重合することによって生成する重合体に、上記の(Ia)、(Ib)及び(II)で示される骨格を与えるものである。以下、(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体及びこれらの単量体を含むエチレン性不飽和単量体の重合方法について詳述する。尚、以下の化合物名の表記における「(メタ)アクリ((meth)acry−)」は、「アクリ(acry−)」および/または「メタクリ(methacry−)]を意味する。
【0031】
(1a)で示される単量体は、オキシエチレン(エチレンオキサイドともいう、EOと表記)、オキシプロピレン(プロピレンオキサイドともいう、POと表記)及びオキシブチレン(ブチレンオキサイドともいう、BOと表記)の構成単位からなるブロックコポリマ
ーが側鎖に結合した構造を有している。このような(1a)で示される単量体の具体例としては、例えばポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(x=5、y=2、z=0)(日油株式会社製ブレンマー70PEP−350B)、プロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート(x=0、y=1、z=6)(日油株式会社製ブレンマー10PPB−500B)、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(x=8、y=6、z=0)(日油株式会社製ブレンマー50POEP−800B)、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート(x=8、y=6、z=0)(日油株式会社製ブレンマー50AOEP−800B)等の単官能不飽和単量体が挙げられる。
【0032】
また、(1b)で示される単量体は、オキシエチレン(エチレンオキサイドともいう、EOと表記)、オキシプロピレン(プロピレンオキサイドともいう、POと表記)及びオキシブチレン(ブチレンオキサイドともいう、BOと表記)の構成単位からなるランダムコ
ポリマーが側鎖に結合した構造を有している。このような(1b)で示される単量体の具
体例としては、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(x=3.5、y=2.5、z=0)(日油株式会社製ブレンマー50PEP−300)、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート(x=5、y=0、z=2)(日油株式会社製ブレンマー55PET−400)、ポリ(エチレングリ
コール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート(x=6、y=0、z=10)(日油株式会社製ブレンマー30PET−800)、ポリ(エチレングリコール−テトラ
メチレングリコール)モノメタクリレート(x=10、y=0、z=5)(日油株式会社製ブレンマー55PET−800)、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリ
コール)モノメタクリレート(x=0、y=4、z=8)(日油株式会社製ブレンマー30PPT−800)、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメ
タクリレート(x=0、y=7、z=6)(日油株式会社製ブレンマー50PPT−800)、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート(
x=0、y=10、z=3)(日油株式会社製ブレンマー70PPT−800)等の単官能不飽和単量体が挙げられる。
【0033】
また、(2)で示される単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、前記ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類の水酸基末端がアルキルエーテル化されたもの等の単官能不飽和単量体が挙げられる。
【0034】
上記の(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体はいずれも、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが好ましい。この場合、整髪したときに、毛髪にごわつきやべたつきによる不快な感触を生じにくくする効果を高めることができ、また、整髪後の髪型が乱れたとしても、手櫛等での整髪(再整髪)をより容易にできる毛髪化粧料用基剤を得ることができる。
【0035】
エチレン性不飽和単量体成分は、上記の(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体以外の単量体(エチレン性不飽和単量体成分の(A)成分以外の単量体)を含むことができる。尚、以下では、上記の(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体以外の単量体を「エチレン性不飽和単量体成分の(B)成分」と表記することがある。「エチレン性不飽和単量体成分の(B)成分」としては、ノニオン性不飽和単量体及びイオン性不飽和単量体から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。前記イオン性不飽和単量体にはアニオン性不飽和単量体、カチオン性不飽和単量体及び両性不飽和単量体が含まれる。前記両性不飽和単量体には、両性不飽和単量体の前駆体、すなわち、両性化により両性不飽和単量体となる単量体も含まれる。
【0036】
ノニオン性不飽和単量体の具体例としては、例えばアクリロニトリル;酢酸ビニル;スチレン;ビニルピロリドン;アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸パル
ミチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸のエステル類;(メタ)アクリル酸グリセリル等の単官能不飽和単量体が挙げられる。これらのノニオン性不飽和単量体は一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。
【0037】
イオン性不飽和単量体のうち、アニオン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート等の不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル、2−メタアクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、β−カルボキシエチルアクリレート;アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−プロペノイックアシッド、3−(2−カルボキシエトキシ)−3−オキシプロピルエステル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族ビニル基含有スルホン酸;スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体等の、スルホン酸基含有単量体、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のメタアクリロイルオキアルキルリン酸モノエステル等のリン酸基含有不飽和単量体等が挙げられる。
【0038】
上記イオン性不飽和単量体のうち、カチオン性不飽和単量体としては、例えば1〜3級アミノ基含有不飽和単量体、第4級アンモニウム塩基含有不飽和単量体等が挙げられる。
【0039】
上記カチオン性不飽和単量体のうち、1〜3級アミノ基含有不飽和単量体としては、例えば(メタ)アリルアミン、アミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノスチレン等のアミノ基含有芳香族ビニル系単量体等が挙げられる。
【0040】
上記カチオン性不飽和単量体のうち、第4級アンモニウム塩基含有不飽和単量体としては、例えば、上記の3級アミノ基含有不飽和単量体を、4級化剤(炭素数が1〜12のアルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート、ベンジルクロライド等)を用いて4級化したもの等が挙げられる。具体的には、第4級アンモニウム塩基含有不飽和単量体として、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0041】
両性不飽和単量体としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミン誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体、モノクロロ酢酸のアミノメチルプロパノール塩、モノクロロ酢酸のトリエタノールアミン塩、モノクロロ酢酸カリウム、モノブロモプロピオン酸ナトリウム等のハロゲン化脂肪酸塩による変性物、プロピオラクトン等のラクトン類、プロパンサルトン等のサルトン類による変性物等が挙げられる。
【0042】
また、両性不飽和単量体の前駆体として、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミン誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。
【0043】
エチレン性不飽和単量体成分に両性不飽和単量体の前駆体が含まれる場合には、エチレン性不飽和単量体成分の重合後、この重合により得られる重合体中の、前記前駆体に由来する構造単位が、両性化剤(モノクロロ酢酸、モノブロモプロピオン酸、プロピオラクトン等のラクトン類;プロパンサルトン等のサルトン類等)で両性化される。両性化により副次的に生成する塩は、必要に応じて濾過、イオン交換等の適宜の手法で除去される。このように両性不飽和単量体の前駆体が使用されると、予め両性化された単量体が使用される場合よりもエチレン性不飽和単量体成分の重合反応が安定化する。
【0044】
上記のようなエチレン性不飽和単量体成分の(B)成分がエチレン性不飽和単量体成分中に含まれることで、例えば、毛髪化粧料から形成される皮膜の硬さ、柔軟性、耐湿性、親水性、毛髪への密着性などを調節することが可能となる。
【0045】
尚、エチレン性不飽和単量体成分には、本発明の効果が阻害されない程度であれば、例えば、重合禁止剤、光安定剤、希釈溶剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0046】
エチレン性不飽和単量体成分の重合方法として、親水性溶媒又は水と親水性溶媒の混合溶媒を用いた溶液共重合法が採用され得る。溶液共重合法が採用される場合、例えば親水性溶媒又は混合溶媒中にエチレン性不飽和単量体成分を溶解すると共にラジカル重合開始剤を添加して反応溶液を調製し、この反応溶液を窒素気流下、溶媒の沸点又はそれに近い温度で攪拌することによってエチレン性不飽和単量体成分を重合させることができる。この反応溶液中には重合反応の開始当初からエチレン性不飽和単量体成分に含まれる単量体の全種及び全量が溶解していてもよいが、エチレン性不飽和単量体成分に含まれる単量体の種類、量等に応じて、重合反応を進行させながら反応溶液中にエチレン性不飽和単量体成分を分割して添加し、或いは重合反応を進行させながら反応溶液中にエチレン性不飽和単量体成分を連続滴下してもよい。前記親水性溶媒の使用量は、重合反応終了時の溶液中の樹脂固形分濃度が20〜80質量%の範囲となるように調整されることが好ましい。
【0047】
溶液共重合に使用される溶媒は、上記のとおり親水性溶媒又は水と親水性溶媒の混合溶媒である。親水性溶媒は、水に対する溶解度が10g/水100g(25℃)以上である有機溶媒であることが好ましい。このような親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール及びグリセリン等の炭素数が1〜4の脂肪族1〜4価アルコール;アセトン;メチルセロソルブ;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル;ジオキサン;酢酸メチル;酢酸エチル;ジメチルホルムアミド等が挙げられる。親水性溶媒は一種単独で使用され、或いは二種以
上が併用される。なお、毛髪化粧料用基剤は、人体の皮膚に付着する可能性があることを考慮すれば、重合時の溶媒としては、エタノール又は2−プロパノールを単独又は併用で用いるのがよい。
【0048】
ラジカル重合開始剤としては適宜のものが使用されるが、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化水素等の過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、4,4’−アゾビスー4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド等のアゾ系化合物等を使用することが好ましい。
【0049】
また、反応溶液中には、分子量調節等のため、必要に応じて連鎖移動剤が添加されてもよい。連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えばラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリセロール等のメルカプタン基を有する化合物;次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の無機塩等が挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、重合体の分子量が所望の範囲となるように適宜決定されるが、通常、エチレン性不飽和単量体成分の総量100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0050】
また、リビングラジカル重合法によりエチレン性不飽和単量体成分を重合させてもよい。この場合、重合体の重量平均分子量の調整が容易になると共に、連鎖移動剤を使用する場合よりも分子量分布の狭い重合体が生成する。
【0051】
エチレン性不飽和単量体成分の重合時の温度、時間等の重合条件は、エチレン性不飽和単量体成分やラジカル重合開始剤の種類等に応じ、高い反応率で重合反応が進行するように適宜設定される。重合反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。重合反応終了時の未反応モノマーの残存量は少量であるほど好ましい。
【0052】
このようなエチレン性不飽和単量体成分の重合反応により、エチレン性不飽和単量体成分の共重合体からなる毛髪化粧料用基剤を含有する溶液が生成する。
【0053】
また、この共重合体を、塩基性化合物で中和してもよい。この場合、毛髪化粧料用基剤に良好な水溶性を付与することができる。
【0054】
塩基性化合物として適宜の有機又は無機の塩基性化合物を使用することができる。有機の塩基性化合物は水溶性を有することが好ましい。この有機の塩基性化合物としては、例えば、モルホリン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、エタノールアミン、N,N−ジエタノールアミン、N,N,N−トリエタノールアミン、2−アミノ−2メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。また無機の塩基性化合物としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
【0055】
これらの塩基性化合物は一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。共重合体の中和率は適宜設定されるが、毛髪化粧料用基剤に充分に高い水溶性が付与されるためには、中和率が50〜100%の範囲であることが好ましい。
【0056】
重合体を得るための重合法はもちろん、上記溶液共重合法に限定されるものではなく、その他の方法、例えば、懸濁重合、バルク重合、分散重合等の適宜の方法が採用され得る。また、重合反応はラジカル重合以外にも、イオン重合などで行うこともできる。
【0057】
尚、重合体は、通常は異種の重合性単量体がランダムに配列したランダム共重合体として得られるが、これに限られず、ブロック共重合体や交互共重合体、グラフト共重合体であっても構わない。また、本発明の効果が阻害されない程度であれば、重合体は架橋構造を有していても構わない。
【0058】
毛髪化粧料用基剤は、(1a)、(1b)及び(2)式で示される単量体を含むエチレン性不飽和単量体成分を重合して得られる重合体を含むものであるが、本発明の効果が阻害されない程度であれば、もちろん、その他のポリマー成分又はオリゴマー成分が含まれていてもよい。
【0059】
毛髪化粧料用基剤は、上記のように(Ia)及び/又は(Ib)、並びに(II)で示される骨格をもつ構造を有した重合体を含み、この重合体は、液状に近い非常に柔軟な皮膜を形成することが可能である。よって、上記毛髪化粧料用基剤が配合された毛髪化粧料を毛髪の整髪に使用すると、上記皮膜が毛髪表面に密着してコーティングされるので、毛髪同士の摩擦や絡まりが抑えられ、心地よい感触や手触り感が得られ、さらには再整髪することも容易となる。また、上記皮膜は適度な粘着性も有しているため、毛髪に程よいまとまり感が得られる。そのため、毛髪化粧料用基剤を毛髪化粧料に配合すれば、既述のように、この毛髪化粧料は可塑剤となる油剤が添加されていなくても、優れたヘアスタイリング性を発揮することが可能になる。すなわち、上記毛髪化粧料用基剤を含む毛髪化粧料では、ヘアスタイルの作りやすさや、指通りの良さといった良好なスタイリング性が発揮されるものとなる。その上、当該毛髪化粧料では、スタイリングの保持性にも優れるものであり、しかも、整髪された毛髪の再整髪性を長時間に亘り維持することも可能になる。
【0060】
特に、エチレン性不飽和単量体成分全量に対し、上記の(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体の各々の合計含有量が60〜100質量%であるエチレン性不飽和単量体成分の重合体を含む毛髪化粧料用基剤は、上記効果を高めることが可能となる。具体的に説明すると、上記配合量の場合の毛髪化粧料用基剤を含有する毛髪化粧料では、毛髪化粧料から形成される皮膜に適度な油性感を与えることができ、整髪料として用いれば、毛髪の平滑性(スタイリング性)及び耐湿性を充分に向上することができるものとなる。さらに、このような整髪料では、ごわつきの感じないまとまり感(セット性)を付与しやすくなり、再整髪が容易にできるなどの性能もより高めることができるようになる。エチレン性不飽和単量体成分全量に対し、上記の(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体の各々の合計含有量が70〜90質量%であれば、なお一層、上記の性能が向上する。
【0061】
また、エチレン性不飽和単量体成分全量中に(1b)で示される単量体が含まれていない場合、エチレン性不飽和単量体成分全量に対し、(1a)で示される単量体の含有量の下限値は5質量%とすることができる。また、エチレン性不飽和単量体成分全量中に(1a)で示される単量体が含まれていない場合、エチレン性不飽和単量体成分全量に対し、上記の(1b)で示される単量体の含有量の下限値も5質量%とすることができる。一方、エチレン性不飽和単量体成分全量に対し、(2)で示される単量体の含有量の下限値は5質量%とすることができる。上記の(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体の各々の下限値が上記数値であれば、本発明の上記効果がより発揮されやすくなる。
【0062】
上記説明では、毛髪化粧料用基剤に含まれる重合体は、上記の(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体の共重合により作製する例について説明したが、もちろん上記以外の方法で作製されるものであってもよい。例えば、あらかじめポリアクリル酸やポリアクリルアミドなどのポリマー又はオリゴマーを準備しておき、このポリマー又はオリゴマーの側鎖に(1a)、(1b)及び(2)で示される単量体の側鎖と同一の構造を有するものを化学結合などにより導入することで、上記重合体を得ることも可能である。
【0063】
毛髪化粧料用基剤に含まれる重合体のガラス転移温度(Tg)や重量平均分子量は、特に制限されるものではなく、本発明の効果が阻害されない程度であれば、適宜の範囲に設定することができる。例えば、Tgは0℃以下、好ましくは−20℃以下とすることができ、重量平均分子量は、1000〜200000、好ましくは2000〜50000とすることができる。
【0064】
上記の重合体を含む毛髪化粧料用基剤を用いれば、必要に応じて多価アルコール、界面活性剤、シリコーン、紫外線防止剤、酸化防止剤、毛髪栄養剤等の種々の成分を配合することで、適宜の毛髪化粧料を調製することができる。この場合、例えば、溶液重合法などの重合法によって生成した重合体(毛髪化粧料用基剤)の溶液に直接、必要に応じて種々の成分を配合すれば、毛髪化粧料を調製することができる。また、この溶媒溶液から溶媒を留去して得られる液状〜固形状の毛髪化粧料用基剤に必要に応じて種々の成分を配合することで、毛髪化粧料を調製することもできる。特に、上記成分として多価アルコールを配合することが好ましく、多価アルコールの含有量が毛髪化粧料中0.1〜30質量%であることが好ましい。この場合、得られる毛髪化粧料は、毛髪化粧料用基剤のスタイリング性能および再整髪性、さらには仕上がりの感触の良さをより効果的に発揮することができる。
【0065】
上記多価アルコールの例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール等)等を挙げることができる。
【0066】
例えば毛髪化粧料用基剤を、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、95体積%のエタノール等の含水アルコール等の親水性溶媒に溶解させることで、ヘアスプレー剤を調製することができる。このヘアスプレー剤中の毛髪化粧料用基剤の固形分濃度は0.5〜15質量%の範囲が好ましい。
【0067】
このヘアスプレー剤を噴射剤と共に耐圧容器内に加圧封入することで、毛髪化粧料としてのヘアスプレーを作製することができる。上記噴射剤としては、プロパン、ブタン、イソブタンを主成分とする液化石油ガス(LPG);トリクロロモノフルオロメタン(フロン11)、ジクロロジフルオロメタン(フロン12)、ジクロロテトラフルオロエタン(フロン114)、メチレンクロライド、ハイドロフルオロカーボン(HFC152a等)等を成分とするハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル;炭酸ガス等が挙げられる。これらの噴射剤は一種単独で使用され、或いは二種以上が併用される。耐圧容器内には、ヘアスプレー剤と噴射剤とを2:8〜8:2の重量比で封入することが好ましい。
【0068】
また、この毛髪化粧料用基剤の親水性溶媒溶液又は混合溶媒溶液に、更に各種添加剤を加えることで、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアローション、ノンガスエアゾール剤(ヘアミスト剤)、ヘアゲル、ヘアスタイリングフォーム(ヘアムース)、カーラーウォーター等の毛髪化粧料を調製することができる。
【0069】
毛髪化粧料の調製時には、この毛髪化粧料用基剤と共に、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂及びノニオン性樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂が併用されてもよ
い。
【0070】
これらのアニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂及びノニオン性樹脂としては、例えば「薬事日報社編、「医薬部外品原料規格2006」、株式会社薬事日報社、平成18年6月16日」に適合するものが挙げられる。
【0071】
アニオン性樹脂の具体例としては、プラスサイズL−9540B(互応化学工業(株)製)等のアクリル樹脂アルカノールアミン液(成分コード500001);カーボポール940(B.F.Goodrich製)等のカルボキシビニルポリマー(成分コード101243);ウルトラホールド8(BASF社製)等のアクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(成分コード522001);レジン28−1310(NSC社製)等の酢酸ビニル・クロトン酸共重合体液(成分コード522037);ガントレッツES−225(ISP社製)等のビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体液(成分コード504304);ガントレッツES−425(ISP社製)等のビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体液(成分コード504305);ポリアクリル酸(成分コード108622)等が挙げられる。
【0072】
カチオン性樹脂の具体例としては、マーコート550(カルゴン社製)等のアクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液(成分コード532001);ガフカット755(ISP社製)等のビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩液(成分コード520526);ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液(成分コード506024)等が挙げられる。
【0073】
ノニオン性樹脂の具体例としては、ルビスコールK(BASF社製)等のポリビニルピロリドン(成分コード008805);酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(成分コード523102);ポリアクリルアミド(成分コード520988)等が挙げられる。
【0074】
両性樹脂の具体例としては、プラスサイズL−401(互応化学工業株式会社製)等のポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン液(成分コード521111);プラスサイズL−450(互応化学工業株式会社製)等のメタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体液(成分コード523245);ユカフォーマーAM−75(三菱化学株式会社製)等のN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液(成分コード521112)等が挙げられる。
【0075】
これらの樹脂は固形状のものが販売され、或いはこれらの樹脂から調製された溶液や中和溶液が販売されている。これらの固形状の樹脂、溶液、中和溶液等を毛髪化粧料に配合することができる。また、固形状の樹脂から樹脂溶液や中和溶液等を調製し、この樹脂溶液や中和溶液等を毛髪化粧料中に配合してもよい。また、樹脂溶液から中和溶液を調製し、この中和溶液を毛髪化粧料に配合してもよい。
【0076】
毛髪化粧料中の毛髪化粧料用基剤の含有量は、毛髪化粧料の形態、毛髪化粧料の構成成分等に応じて適宜設定されるが、溶媒を含めた毛髪化粧料の全成分の総量に対して、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.5〜7質量%、特に好ましくは1〜5質量%の範囲とする。
【0077】
毛髪化粧料は、上記毛髪化粧料用基剤を含むので、可塑剤となる油剤を使用されていなくても良好なヘアスタイリング性を発揮することが可能になり、しかも、整髪された毛髪の再整髪性を長時間に亘り維持することも可能になる。そのため、毛髪化粧料は、ヘアク
リーム、ヘアワックス、ヘアローション、ノンガスエアゾール剤(ヘアミスト剤)、ヘアゲル、ヘアスタイリングフォーム(ヘアムース)、カーラーウォーター等に好適に使用することが可能である。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。尚、以下に記載される%は、特に示さない限り全て質量基準である。
【0079】
(実施例1〜
3、5、6、参考例4、8、比較例1、2、4)
反応容器として、還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機が取り付けられた容量1リットルの四つ口フラスコを用い、この反応容器中にエタノール100部を仕込み、窒素気流下、昇温した。この反応容器中のエタノールが還流状態(約80℃)になったところで、このエタノール中に重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.5部添加した。
【0080】
次に、前記重合開始剤の添加後、表1に示す配合組成であらかじめ調製しておいたエチレン性不飽和単量体成分100部を反応容器内に加えて8時間重合を行ない、重合体(毛髪化粧料用基剤に相当)を含む反応溶液を得た。その後、反応溶液を冷却し、この反応溶液の不揮発分量が40質量%となるようにエタノールを加えて希釈することによって、毛髪化粧料用基剤の溶液を得た。
【0081】
(実施例7、9、10、比較例3)
重合反応は、上記(実施例1〜
3、5、6、参考例4、8、比較例1、2、4)と同様の手順で行って、重合体(毛髪化粧料用基剤に相当)を含む反応溶液を得た。上記重合を行った後、有機塩基性物質であるAMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)をこれと同量のエタノールで希釈して調製した溶液を、50℃の反応溶液中に加え、重合体の中和率が80%になるようにした。その後、反応溶液を冷却し、この反応溶液の不揮発分量が40質量%となるようにエタノールを加えて希釈することによって、毛髪化粧料用基剤の溶液を得た。
【0082】
【表1】
【0083】
ここで、表1に掲げているエチレン性不飽和単量体成分の各々の名称は以下のとおりである。尚、表1中、「(A)」はエチレン性不飽和単量体成分の(A)成分、「(B)」はエチレン性不飽和単量体成分の(B)成分を示し、「(1a)」は(1a)式で示す単量体、「(1b)」は(1b)式で示す単量体、「(2)」は(2)式で示す単量体を示している。
【0084】
[エチレン性不飽和単量体成分の(A)成分]
(1a)
・50POEP−800B:オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート(x=8、y=6、z=0)(日油株式会社製)
・70PEP−350B:ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート(x=5、y=2、z=0)(日油株式会社製)
・10PPB−500B:プロピレングリコールポリブチレングリコール(n=6)メタクリレート(x=0、y=1、z=6)(日油株式会社製)
(1b)
・50PEP−300:ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)メタクリレ
ート(x=3.5、y=2.5、z=0)(日油株式会社製)
・55PET−800:ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)メタク
リレート(x=10、y=0、z=5)(日油株式会社製)
・50PPT−800:ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)メタクリレート(x=0、y=7、z=6)(日油株式会社製)
(2)
・PE−350:ポリエチレングリコールメタクリレート(m=2、n=8)(日油株式会社製)
・AP−400:ポリプロピレングリコール(n=6)アクリレート(m=3、n=6)(日
油株式会社製)
・M−90G:メトキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリレート(m=2、n=9
)(新中村化学工業社製)
・DPM−A:メトキシジプロピレングリコールアクリレート(共栄社化学社製)
・EHDG−AT:オクトキシジエチレングリコールアクリレート(共栄社化学社製)
・HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
・HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
・C−1:メトキシエチルアクリレート
[エチレン性不飽和単量体成分の(B)成分]
・BMA:n−ブチルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・BA:n−ブチルアクリレート
・LA:ラウリルアクリレート
・DMMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱レイヨン社製)
・DMAA:N、N−ジメチルアクリルアミド
・Aa:アクリル酸
・MAa:メタクリル酸
・M−5300:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n=2)モノアクリレート
・M−5400:フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート
・DMC:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(三菱レイヨン社製)
【0085】
上記の実施例1〜
3、5〜7、9、10、参考例4、8及び比較例1〜4で得た毛髪化粧料用基剤の溶液を用い、表2又は表3に示す配合組成によって、毛髪化粧料を調製した。ここで、表2はヘアスプレー、表3はスタイリングミストの調製例である。これらの調製は、表2又は表3に示す原料を混合させることで行うことができる。
【0086】
ここで、表2及び3に掲げている配合条件における略称は以下のとおりである。
・BG:1、3−ブチレングリコール
・PG:プロピレングリコール
・DPG:ジプロピレングリコール
・LPG:液化石油ガス(LPG)
表2に示す調製例1−1〜1−14及び表3に示す調製例2−1〜2−15の毛髪化粧料において、ヘアスタイリング性、セット性、軽さ及び再整髪性について評価した結果を表2(調製例1−1〜1−14)及び表3(調製例2−1〜2−15)に示す。
【0087】
尚、各評価は以下の方法で行った。
【0088】
(ヘアスタイリング性評価試験)
実験用人頭モデル(ウィッグ)の毛髪に、この毛髪を整髪した後、乾燥した。この毛髪を25℃、60%R.H.の条件下に3時間放置した後の状態を目視で観察し、ヘアスタイリング性を下記評価基準で評価した。
○:ひっかかりなく、スムーズに手櫛が通る。
△:手櫛にややひっかかりが感じられる。
×:ひっかかりが強く、手櫛が通らない。
【0089】
(セット性)
実験用人頭モデル(ウィッグ)の毛髪に、ヘアスプレー剤又はヘアミスト剤を噴霧し、このときのセット感を下記評価基準で評価した。
○:好みの髪型を作ることができ、その状態を充分に保持できる。
△:好みの髪型を作ることができ、その状態をやや保持できる。
×:好みの髪型を作ることができない、もしくは作った髪型を保持できない。
【0090】
(軽さ)
実験用人頭モデル(ウィッグ)の毛髪に、ヘアスプレー剤又はヘアミスト剤を噴霧し、このときの風合いを下記評価基準で評価した。
○:油性感による重たさが感じられない。
△:油性感による重たさがやや感じられる。
×:油性感による重たさが感じられる。
【0091】
(再整髪性)
実験用人頭モデル(ウィッグ)の毛髪に、ヘアスプレー剤又はヘアミスト剤を噴霧し、このときの再整髪のしやすさを下記評価基準で評価した。
○:作った髪型を崩した後、再び好みの髪型を作ることができる。
△:作った髪型を崩した後、再び好みの髪型をやや作ることができる。
×:作った髪型を崩した後、再び好みの髪型を作ることができない。
【0092】
調製例1−1〜1−10及び調製例2−1〜2−10の毛髪化粧料では、実施例1〜
3、5〜7、9、10のいずれかの毛髪化粧料用基剤を含むものであるので、ヘアスタイリング性、セット性、軽さ及び再整髪性が損なわれるものではなかった。一方、調製例1−11〜1−14及び調製例2−11〜2−15の毛髪化粧料では、本発明の毛髪化粧料用基剤を含むものでないため、ヘアスタイリング性、セット性、軽さ及び再整髪性のいずれかが損なわれるものであった。従って、本発明の毛髪化粧料基剤を毛髪化粧料に配合することで、良好なスタイリング性が発揮されると共にスタイリングの保持性にも優れ、しかも、再整髪性にも優れるものになることが明らかである。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】