特許第6525336号(P6525336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525336
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】3軸デジタルコンパス
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20190527BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20190527BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   G01R33/02 V
   G01R33/09
   G01R33/02 L
   H01L43/08 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-515637(P2016-515637)
(86)(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公表番号】特表2016-521845(P2016-521845A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】CN2014078685
(87)【国際公開番号】WO2014190909
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】201310202801.1
(32)【優先日】2013年5月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーク、ジェイムズ ゲーザ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チーミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダン
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103116143(CN,A)
【文献】 特開2003−172633(JP,A)
【文献】 特開2012−215579(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/073744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 33/09
G01R 33/06
H01L 43/08
H01L 43/06
H01L 43/04
H01L 43/02
H01L 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部磁場のZ軸磁場成分がX軸磁場成分とY軸磁場成分とに変わるように前記外部磁場を歪ませる磁束コンセントレータと、
X軸方向に沿った両側で前記磁束コンセントレータの縁部の近くにそれぞれ位置し、X軸磁場センサの各々が前記X軸と平行である感知方向を有する2つのX軸磁気センサと、
Y軸方向に沿った両側で前記磁束コンセントレータの縁部の近くにそれぞれ位置し、Y軸磁場センサの各々が前記Y軸と平行である感知方向を有する2つのY軸磁気センサと、
各々の前記磁気センサの出力端子に接続され、前記磁気センサの出力信号をサンプリングするために用いられる信号サンプリングユニットと、
前記サンプリングユニットの出力に接続され、前記サンプリングされた信号から対応する前記X軸磁場成分、前記Y軸磁場成分、および前記Z軸磁場成分を計算するために使用される信号処理ユニットと、
前記信号処理ユニットによって実行された計算を表現するデジタル信号を送出する信号出力ユニットと、
を備え、
前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは、AMR、GMR、またはTMR磁気センサ素子で構成され、
前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは各々が少なくとも感知素子および参照素子を含み、前記参照素子は、前記磁束コンセントレータの下に位置し、前記感知素子は、前記磁束コンセントレータの前記縁部に沿って位置し、
前記外部磁場の前記Z軸磁場成分は、前記X軸磁気センサからの2つの出力信号の間の差と相関がある、もしくは、前記Y軸磁気センサからの2つの出力信号の間の差と相関がある、または、Y軸磁気センサ出力の間の差に加算されたX軸磁気センサ信号出力の間の差の合計と相関がある、3軸デジタルコンパス。
【請求項2】
前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサの各々は、基板表面に成膜され、前記基板表面と平行である磁場成分を感知する、請求項1に記載の3軸デジタルコンパス。
【請求項3】
前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは、ピン止め層磁化方向をもつX軸磁気感知素子と、互いに直交する方向に並べられたピン止め層磁化方向をもつY軸磁気感知素子とを有するスピンバルブである、請求項1に記載の3軸デジタルコンパス。
【請求項4】
前記外部磁場の前記X軸磁場成分は、前記X軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関があり、前記外部磁場の前記Y軸磁成分は、前記Y軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関がある、請求項1に記載の3軸デジタルコンパス。
【請求項5】
前記磁束コンセントレータは、高透磁率軟磁性材料NiFe、CoFeSiB、CoZrNb、CoFeB、FeSiBまたはFeSiBNbCuで構成されている、請求項1に記載の3軸デジタルコンパス。
【請求項6】
前記磁束コンセントレータの厚さは、1から20μmである、請求項1に記載の3軸デジタルコンパス。
【請求項7】
基板は、CMOSを含み、前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは、前記基板の上部にリソグラフィ的にパターニングされている、請求項1に記載の3軸デジタルコンパス。
【請求項8】
前記外部磁場の前記X軸磁成分は、前記X軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関があり、前記外部磁場の前記Y軸磁成分は、前記Y軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関がある、請求項7に記載の3軸デジタルコンパス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサ技術、詳しくは、3軸デジタルコンパスに関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品、たとえば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、および他の携帯用電子機器の分野では、完全な9軸慣性磁気誘導ユニットを形成するために、3軸ジャイロスコープおよび3軸加速度計のような慣性測定機器と組み合わされた3軸コンパスを使用することが必要である。これらの3軸コンパスは、同時に3つの磁場成分を一斉に測定することができ、AMR、GMR、またはTMR磁気抵抗センサで構成されている。これらの磁気抵抗センサは、2軸XY磁場センサを実現するために、2つの磁場成分X、Yが同じ基板上の2つの直交する磁気抵抗センサによって検出できるように基板の平面内の磁場を検出する。しかしながら、Z軸磁場成分については、1つの解決手法は、直交平面上に設置された1軸センサを使用することである。この方法は、以下の欠点がある。
【0003】
1)Z単軸磁気センサ付きのXY磁気センサは、完全に一体化された製造工程では完成させることができないので、複雑さを増加させる。
【0004】
2)完全に一体化された製造工程と比較して、3軸コンパスへの個別のセンサの組み付けは、あまり正確ではなく、このことは、結果として得られるセンサの精度に影響を与える。
【0005】
3)1軸Z軸磁気センサは、XY2軸磁気センサに垂直である感知軸を有するので、結果として得られる3軸磁場センサのサイズがより大きくなり、このことは、機器のサイズを増大させ、パッケージング工程の複雑さを増加させる。
【発明の概要】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、3軸デジタルコンパスを開示し、コンパスの素子は、シングルチップ上に生成することができ、コンパスは、磁場を歪ませるために磁束コンセントレータを利用し、平面に垂直であるZ軸磁場成分が平面内XY成分に変換され、2つのXおよびY磁気センサによって検出することができ、その結果として、XおよびY磁気センサは、X、Y、Z磁場成分を同時に計算するために使用することができ、これらのX、Y、Z磁場成分は、次に、アルゴリズムによって取り出すことができ、その後、デジタル信号に変換される。本発明は、
外部磁場のZ軸成分がX軸磁場成分とY軸磁場成分とに変わるように前記外部磁場を歪ませる磁束コンセントレータと、
X軸方向に沿った両側で前記磁束コンセントレータの縁部の近くにそれぞれ位置し、X軸磁場センサの各々が前記X軸と平行である感知方向を有する2つのX軸磁気センサと、
Y軸方向に沿った両側で前記磁束コンセントレータの縁部の近くにそれぞれ位置し、Y軸磁場センサの各々が前記Y軸と平行である感知方向を有する2つのY軸磁気センサと、
各々の前記磁気センサの出力端子に接続され、前記磁気センサの出力信号をサンプリングするために用いられる信号サンプリングユニットと、
前記サンプリングユニットの出力に接続され、前記サンプリングされた信号から対応する前記X軸磁場成分、前記Y軸磁場成分、および前記Z軸磁場成分を計算するために使用される信号処理ユニットと、
前記信号処理ユニットによって実行された計算を表現するデジタル信号を送出する信号出力ユニットと、
を備える3軸デジタルコンパスを提供する。
【0007】
好ましくは、前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサの各々は、基板表面に成膜され、前記基板表面と平行である磁場成分を感知する。
【0008】
好ましくは、前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは、AMR、GMR、またはTMR磁気センサ素子で構成されている。
【0009】
好ましくは、前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは、ピン止め層磁化方向をもつX軸磁気感知素子と、互いに直交する方向に並べられたピン止め層磁化方向をもつY軸磁気感知素子とを有するスピンバルブである。
【0010】
好ましくは、前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは各々が少なくとも感知素子および参照素子を含み、前記参照素子は、前記磁束コンセントレータの下に位置し、前記感知素子は、前記磁束コンセントレータの前記縁部に沿って位置している。
【0011】
好ましくは、前記磁場の前記X軸成分は、前記X軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関があり、前記磁場の前記Y軸成分は、前記Y軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関がある。
【0012】
好ましくは、前記磁場の前記Z軸成分は、前記X軸センサからの2つの出力信号の間の差と相関がある、もしくは、前記Y軸センサからの2つの出力信号の間の差と相関がある、または、Y軸磁気センサ出力の間の差に加算されたX軸磁気センサ信号出力の合計の間の差と相関がある。
【0013】
好ましくは、前記磁束コンセントレータは、高透磁率軟磁性材料NiFe、CoFeSiB、CoZrNb、CoFeB、FeSiBまたはFeSiBNbCuで構成されている。
【0014】
好ましくは、前記磁束コンセントレータの厚さは、1から20μmである。
【0015】
好ましくは、基板は、CMOSを含み、前記X軸磁気センサおよび前記Y軸磁気センサは、前記基板の上部にリソグラフィ的にパターニングされている。
【0016】
好ましくは、前記磁場の前記X軸成分は、前記X軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関があり、前記磁場の前記Y軸成分は、前記Y軸磁気センサからの2つの出力信号の合計と相関がある。
【0017】
好ましくは、前記磁場の前記Z軸成分は、前記X軸磁気センサからの2つの出力信号の間の差と相関があり、もしくは、前記Y軸磁気センサからの2つの出力信号の間の差と相関があり、または、Y軸磁気センサ出力の間の差に加算されたX軸磁気センサ信号出力の合計の間の差と相関がある。
【0018】
本発明は、小型、単純な製造工程、簡単なパッケージング、新規な構造、単純なアルゴリズム、および高測定精度をもたらす。
【0019】
提案された技術的解決手段の様々な実施をより明確に例示するため、以下の図および本文は、技術的解決手段を紹介するために簡単な実施例を紹介しているが、言うまでもなく、以下の記載は、あらゆる可能な事例について説明するものではなく、平均的な当業者は、創造的な努力なしで、添付図面を使用してさらなる図を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の3軸コンパスの平面図である。
図2】Z軸磁場の歪を表す図である。
図3】X軸またはY軸磁場の歪を表す図である。
図4】X軸に沿って印加された磁場を用いる3軸デジタルコンパスの測定原理を示す図である。
図5】Y軸に沿って印加された磁場を用いる3軸デジタルコンパスの測定原理を示す図である。
図6】Z軸に沿って印加された磁場を用いる3軸デジタルコンパスの測定原理を示す図である。
図7】本発明の具体的な実施形態のブロック図である。
図8】X軸およびY軸被参照ブリッジ型磁気センサの回路の概略図である。
図9】本発明の3軸デジタルコンパスの断面図である。
図10】本発明の3軸デジタルコンパスのために使用される信号処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態例と組み合わされた以下の図は、発明を詳細に説明するために使用される。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の3軸デジタルコンパスの平面図を示す。図1から分かるように、3軸デジタルコンパスは、2つのX軸磁気センサ1および2と、2つのY軸磁気センサ3および4と、磁束コンセントレータ5とを含む。X軸磁気センサ1および2とY軸磁気センサ3および4とは、各々が少なくとも1つの感知素子および1つの参照素子を含む。これらは、基板の表面上に成膜され、磁束コンセントレータ5の外周の周りに配置され、X軸磁気センサ1および2は、向かい合って配置され、Y軸磁気センサ3および4は、向かい合って配置されている。磁気センサの参照素子は、磁束コンセントレータ5の下に位置し、感知素子は、磁束コンセントレータ5の縁部の周りに位置している。X軸磁気センサは、磁場のX成分だけを検出し、Y軸磁気センサは、磁場のY成分だけを検出する。2つのX軸磁気センサ1および2と2つのY軸磁気センサ3および4とは、AMR、GMR、またはTMR型磁気抵抗センサである可能性がある。これらは、スピンバルブでもよく、X軸磁気センサ1および2のピン止め層磁気モーメント方向は、Y軸磁気センサ3および4のピン止め層磁化方向に関して直角に設定される。磁束コンセントレータ5は、高透磁率軟強磁性材料で構成され、好ましくは、NiFe、CoFeSiB、CoZrNb、CoFeB、FeSiB、またはFeSiBNbCuのような合金で構成されている。好ましくは、磁束コンセントレータ5は、1から20μmの厚さを有する。基板の表面は、XY平面と平行であり、Z軸は、基板平面と垂直である。
【実施例2】
【0023】
図2は、磁束コンセントレータ5の周りのZ軸磁場成分の分布を表す。磁力線6の分布から分かるように、磁束コンセントレータ5の近くで磁場のZ成分は、曲げられるので、XY平面内に磁場成分を発生させる。磁束コンセントレータ5の周囲の周りに配置されたX軸およびY軸磁気センサの感知素子7および8は、X軸およびY軸磁場成分をそれぞれ測定することができ、出力信号を生成するが、磁束コンセントレータ5の下に位置している参照素子9および10は、XまたはY磁場成分に晒されることがなく、近くの磁場は、ほぼ垂直方向に向けられるので、信号を生成し、出力することがない。
【実施例3】
【0024】
図3は、磁束コンセントレータ5の周りの磁場成分の分布のXまたはY平面における断面図を表す。磁力線分布11から、磁束コンセントレータ5の近くでのXまたはY平面磁場成分は曲げられ、Z軸成分を生成することが分かり、磁束コンセントレータ5の下に位置している参照素子9および10に対して、磁場は、磁束コンセントレータの内部領域の近くで垂直であり、ほぼ完全にZ軸成分を生成し、その結果、信号応答が生成されることはない。磁束コンセントレータ5の縁部の近くに位置している感知素子7および8に対して、X軸およびY軸磁場成分が存在するので、X軸またはY軸に向けられた磁場は、応答を生成するであろう。2つのX軸磁場センサは、X軸磁場成分に対する応答だけを生成するものであり、Y軸磁場成分に応答することはないであろう。2つのY軸磁場センサは、Y軸磁場成分に対する応答だけを生成するものであり、X軸磁場成分に応答することはないであろう。
【0025】
線形範囲において、センサ応答が外部磁場に関して以下の関係:
ij=Sijij+Voij
を有することを仮定する。式中、i=1または2であり、j=xまたはyである。Sijは、磁気センサ感度を表し、以下の値の範囲:
ij:0<Sij<100mV/V/G
を有する。Bijは、各センサ位置の場所における磁場を表す。
【0026】
X軸、Y軸、およびZ軸に沿った外部磁場は、磁束コンセントレータを通過した後に歪むようになる3つの成分B、B、およびBを有する。X1、X2、Y1、およびY2磁気センサの位置1〜4において、磁場B1x、B2x、B1y、およびB2yは:
1x=αB+γB
2x=αB−γB
1y=αB+γB
2y=αB−γB
と表されることがある。
【0027】
センサの出力電圧は、磁場成分B、B、およびBの線形結合:
1x=S1x(αB+γB)+Vo1x
2x=S2x(αB−γB)+Vo2x
1y=S1y(αB+γB)+Vo1y
2y=S2y(αB−γB)+Vo2y
に関連している。
【0028】
式中、αおよびγは、外部磁場に対する磁束コンセントレータ5の磁場利得係数であり、これらは、この磁束コンセントレータの長さ(L)、幅(W)、および厚さ(t)の関数:
α=α(L,W,t)
γ=γ(L,W,t)
である。式中、
α:0<|α|<100
γ:0<|γ|<100
である。
【0029】
センサ出力に対するこれらの線形方程式を解法するために、4つの出力電圧信号V1x、V2x、V1y、V2yを利用し、固有の磁場値の組B、B、Bについてこれらの線形方程式を解法することができる:
【数1】
【数2】
【数3】
【0030】
簡単にするために、較正定数は、以下の通り:
ox=Vo1x+Vo2x
=α(S1x+S2x
ここで、
ox=Vox/S
oy=Vo1y+Vo2y
=α(S1y+S2y
ここで、
oy=Voy/S
oz=(Vo2x−Vo1x)+(Vo2y−Vo1y
=γ(S1x+S2x+S1y+S2y
ここで、
oz=Voz/S
と定義することができる。
【0031】
このように、3つの感度および3つのオフセット較正係数を使用して以下の3つの簡単な方程式を解法することにより、3つの磁場成分B、B、およびBを取得することができる。従って、この3軸コンパスの較正は、従来技術の設計と同じ複雑さである。
【数4】
【数5】
【数6】
【実施例4】
【0032】
図4図5および図6は、それぞれ、X、Y、Z方向に印加された外部磁場の磁場分布を表している。X軸磁場成分13、By=0、Bz=0だけに対して、X軸およびY軸磁気センサの出力は、それぞれ、以下の通り:
1x=S1x(αB)+Vo1x
2x=S2x(αB)+Vo2x
1y=Vo1y
2y=Vo2y
である。上記4つの方程式から、V1x、V2xは、外部磁場に関連し、V1y、V2yは、外部磁場に関連することなく、
【数7】
であることが分かる。
【0033】
図5は、B=0、B=0であるときのB磁場成分12を表している。このとき、X軸およびY軸磁気センサ出力は:
1x=Vo1x
2x=Vo2x
1y=S1y(αB)+Vo1y
2y=S2y(αB)+Vo2y
である。上記4つの方程式から、V1x、V2xは、外部磁場に依存することがなく、V1y、V2yは、
【数8】
であるように外部磁場に依存することが分かる。
【0034】
図6は、B=0、B=0である場合のB磁場成分14を表し、X軸およびY軸磁気センサ出力は、それぞれ:
1x=S1x(γB)+Vo1x
2x=S2x(−γB)+Vo2x
1y=S1y(γB)+Vo1y
2y=S2y(−γB)+Vo2y
である。ここから、V1x、V2x、V1y、およびV2yは、外部磁場に関連し、
【数9】
であることが分かる。
【実施例5】
【0035】
図7は、3軸デジタルコンパス発明の具体的な実施形態の別の実施例を表している。同図において、X軸磁気センサ(1’,2’)およびY軸磁気センサ(3’,4’)は、基板の表面と平行である平面内でXY磁場成分を感知し、同図は、XY平面と平行である平面を表している。磁気センサは、AMR、GMR、またはTMRセンサでもよい。各磁気センサは、磁束コンセントレータ5の直ぐ下に位置している2つの参照素子8’および9’と、磁束コンセントレータ5の外周の周りに配置されている2つの感知素子7’および10’とを含む。参照素子8’および9’は、XY磁場成分に晒されないので、外部磁場に対する応答が存在することなく、それ故に、2つのX軸およびY軸磁気センサ7’および10’を使って磁場センサ信号出力が生成される。参照素子8’および9’は、磁束コンセントレータ5の外側縁部の周りにある感知素子7’および10’の代わりに感知素子としても使用されることがある。参照素子8’、9’と感知素子7’、10’とは、図8に表されるようにフルブリッジとして接続されている。同図において、各素子は、フルブリッジ回路が以下の出力電圧:
【数10】
を生じるように同じ向きに設定された各素子のピン止め層磁化を有する。
【実施例6】
【0036】
図9は、3軸デジタルコンパスの構造を表す概略図であり、X軸磁気センサおよびY軸磁気センサの感知素子7および8は、磁束コンセントレータ5の外周の周りに位置し、参照素子9および10は、磁束コンセントレータ5の縁部の下に位置し、参照素子9、10と感知素子7、8とは、CMOS基板15の表面上にリソグラフィ的にパターニングされている。
【0037】
図10は、3軸デジタルコンパスの信号処理回路の略図を表している。X1、X2、Y1、およびY2軸磁場センサ出力端部は、信号サンプリングユニットADC 17の入力と電気接続され、出力信号V1x、V2x、V3x、およびV4xは、信号サンプリングユニットADC 17に送られ、デジタル信号に変換され、ADC信号サンプリングユニット17のデジタル変換された信号は、これの電気接続された出力を介して信号処理ユニット18へ送られ、信号処理ユニット18は、次に、以下のとおり、V1x、V2x、V3x、およびV4xに加算演算および減算演算:
1x=S1x(αB+γB)+Vo1x
2x=S2x(αB−γB)+Vo2x
1y=S1y(αB+γB)+Vo1y
2y=S2y(αB−γB)+Vo2y
を実行する。式中、αおよびγは、外部磁場に対する磁束コンセントレータ5の磁場利得係数であり、これらは、磁束コンセントレータの長さ(L)、幅(W)、および厚さ(t)の関数である。
α=α(L,W,t)
γ=γ(L,W,t)
【0038】
その後、以下の方程式を使用することにより、電圧信号は、3つの磁場成分:
【数11】
【数12】
【数13】
に変換することができる。
【0039】
3次元磁場計算の結果は、信号出力ユニット19に伝達され、3軸デジタルコンパスが外部磁場測定の成分を出力することを可能にする。
【0040】
磁場のZ軸成分は、X軸磁気センサからの2つの出力信号の間の差と相関がある、もしくは、Y軸磁気センサからの2つの出力信号の間の差と相関がある、または、Y軸磁気センサ出力の間の差に加算されたX軸磁気センサ信号出力の合計の間の差と相関がある。本発明の本実施形態では、他の方法が対応する形で最終的に説明される可能性があるが、最初の2つの方法は、実質的な相違がなく、当業者は、これらの実施を理解した直ぐ後に、全く疑いなしに、最初の2つの方法から本発明の実施形態を結論として出すことができるので、これらの方法の上記詳細な説明は、繰り返されない。
【0041】
上記事項は、本発明の好ましい実施形態を提示するが、上記事項は、本発明を限定しない。当該技術分野において熟練した技術者にとって、本発明は、様々な変形および変更を行うことができる。本発明の趣旨および原理の範囲内の変更、等価置換、または改良はどれでも本発明の範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10