【実施例】
【0125】
(例1)
材料と方法
マウス
Geoレポーター遺伝子を含む遺伝子トラップ構築物を保有する14−3−3ζ
Gt(OST062)Lex及び14−3−3ζ
Gt(OST390)Lex変異マウスは、それぞれLexicon Genetics ES細胞系OST062及びOST390に由来するものであった。14−3−3ζ
Gt(OST062)Lexマウスにおける遺伝子トラップベクターを14−3−3ζの第1のイントロンに挿入し、14−3−3ζ
Gt(OST390)Lexマウスにおける遺伝子トラップベクターを14−3−3ζES細胞系の第2のイントロンに挿入し、増幅し、SV129の胚盤胞に注入した。得られた生殖系列伝達性のオスを、SV129のバックグラウンドにおいて維持するか、又はC57/B16及びBA1、BCバックグラウンドに6世代にわたって戻し交配した。全組織試料からのqRT−PCR及びウエスタンブロットを用いて、これらのマウス系統における遺伝子の完全なKOを確認した。14−3−3C遺伝子型を、補足の表1において詳述したプライマーを用いて、ゲノムテイルのDNAのPCR増幅によって決定した。WTアレルは288bp(14−3−3ζ
Gt(OST062)Lex)又は445bp(14−3−3ζ
Gt(OST390)Lex)のバンドを増幅し、アレルを捕捉した変異遺伝子は165bp(14−3−3ζ
Gt(OST062)Lex)又は203bp(14−3−3ζ
Gt(OST390)Lex)のバンドを増幅した。マウスを、WT同腹仔と表現型が識別不能であるヘテロ接合性の交配対として維持した。動物実験は、医学及び獣医学研究所(Institute of Medical and Veterinary Sciences)及びアデレード大学の動物倫理委員会(Animal Ethics Committee)のガイドラインにしたがって行った。
【0126】
行動アッセイ
全ての手順を、午前8時から午後12時までの間、通常の光線条件下で行った。行動性の表現型付け(phenotyping)を、以前に記載されている通りに行った(Coyle et al. Behav Brain Res 2009, 197(1): 210-218; Summers et al. Pediatr Res 2006; 59(1): 66-71; van den Buuse et al. Int J Neuropsychopharmacol 2009; 12(10):1383-1393)。1コホートのマウスを、5週齢、10週齢、20週齢、及び40週齢の時間点でオープンフィールド試験に用いた。1コホートのマウスを、12週齢で空間作業記憶に用い、次いで高架式十字迷路及び物体認識タスクに用いた。別の1コホートのマウスを、12週齢でPPIに用いた。
【0127】
歩行運動機能試験
マウスの探査活動及び不安レベルを、床を15の正方形(9cm×10cm)に分割したボックス(50cm×27cm)から作成したオープンフィールドにおいて測定した。各マウスを、右上の角に面する同じ位置のボックスに導入した。マウスの行動を3分間観察し、歩行運動活動を、横断した線の尺度として(即ち、マウスが4本の足全てを1つの四角形から別の四角形に動かしたとき)スコア付けした。マウスが両方の前足を床から離した場合は、後ろ足立ちの数をスコア付けした。セッションの合間に尿及び糞便を除去し、ボックスを80%エタノールで徹底的に清浄にしてあらゆる残存する匂いを除去した。
【0128】
物体認識試験
物体認識タスクは、マウスが生まれつき新奇なものに親しみを持つことを利用するものであり、以前に見た(馴染みのある)物体を認識するマウスは、新奇な物体を探索するのにより時間を費やす(Dere et al. Neurosci Biobehav Rev 2006; 30(8):1206-1224; Sik et al. Behav Brain Res 2003; 147(1-2):49-54)。簡潔に述べると、装置は、敷き藁を満たしたプラスチック製のアリーナ(長さ:50cm、幅:35cm、深さ:20cm)からなる。異なる2セットの物体:黄色の蓋をしたプラスチック製ジャー(高さ、6cm;ベース直径、4.3cm)及び赤色プラスチック製の球体(長さ:8cm、幅:4cm)を用いた。マウスは、配置されたアリーナ内の位置に関係なく、これらの物体の両方を提示すると等しい時間を費やした(データは示さず)。空間学習及び記憶に対して試験した、12週齢の同じコホートのマウスを、物体認識記憶に対して評価した。各マウスに、試験用のボックスを探索するのに5分与え、マウスを試験アリーナに慣らすためのいかなる物体も存在しなかった。マウスは、2つの試験からなる試験セッションを経験した。各試験の持続時間は3分であった。第1の試験の間(サンプル段階)、ボックスは同じ物体2つを含み(a、サンプル)、これら物体はボックスの北西(左)及び北東(右)の角に(壁から5cm離して)置かれた。マウスは常に、装置中に南の壁に面して配置した。第1の探索期間後、マウスを、ホームケージ中に戻した。15分の記憶保持インターバル後、マウスを第2の試験に装置中に配置した(選択段階)が、今度は馴染みのあるもの(a、サンプル)及び新奇な物体(b)と一緒に配置した。物体は、セッションの間にアルコールで徹底的に清浄にして、あらゆる残存する匂いを除去した。試験1及び試験2の間に各物体を探索するのに費やした時間を記録した。探索は、物体に鼻で触れること又は物体から2cm以内にいることのいずれかと定義した。物体認識タスクにおける基本的な尺度は、試験1及び試験2の間に物体を探索するのに費やした時間であった。試験の間にいくつかの変数を測定した:e1(a+a)及びe2(a+b)はそれぞれ、試験1及び試験2の間に両方の物体を探索する合計時間の尺度である。h1は、試験1から試験2までの探索時間の合計における差によって測定した慣れの指標である(e1−e2)。d1(b−a)及びd2(d1/d2)は、新奇な物体と馴染みのある物体との間を識別する指標の尺度とみなした。このように、d2は、探索行動に対してd1を補正する識別の相対的尺度である(e2)。識別の指標がゼロを超えると、動物が馴染みのある物体よりも新奇な物体を探索することを示す。動物がいずれの物体も好まなければ、指標はゼロに近くなる。サンプル段階又は選択段階における試験の間に探索時間の合計が7秒未満であるマウスは、探索時間の測定値がこの閾値未満では信頼できないことが見出されたため、分析から除外した(van den Buuse et al. supra; de Bruin et al. Pharmacol Biochem Behav 2006; 85(1):253-260)。
【0129】
高架式交差バー試験
オープン且つ高架の領域をマウスが生まれつき嫌悪することに基づく、マウスの不安行動を、先に記載した通り、高架式十字迷路を用いて評価した(Komada et al. J Vis Exp 2008; (22); Walf et al. Nat Protoc 2007; 2(2):322-328)。簡潔に述べると、十字架の形状の装置を黒色プレキシガラスから作成し、装置は中央で相互に垂直に交差する2本のオープンアーム(25cm×5cm)及び2本のクローズドアーム(25cm×5cm×16cm)からなっていた。アームの中央には中央プラットフォーム(5cm×5cm)が存在した。交差迷路は地面から1mの高さであった。個々のマウスを、実験者に対して反対側のオープンアームに面した装置の中央に導入し、5分間ビデオ撮影によって観察した。オープンアーム及びクローズドアームに侵入した数、及び両タイプのアームを探索した時間をスコア付けした。頭を漬けた数、立ち上がりの数、及び伸展姿勢をとった数などの自然に似せた行動をとったマウスを測定した。各試験後、全アーム及び中央エリアをアルコールで徹底的に清浄にして、あらゆる残存する匂いを除去した。
【0130】
回避水迷路試験
空間学習及び記憶を、先に記載した通り、交差迷路回避タスクを用いて評価した(Coyle et al. 2009, supra)。交差迷路は、透明プラスチック(長さ、72cm;アーム寸法、長さ26cm×幅20cm)でできており、23Cに維持した水の円形プール(直径1m)中に配置した。粉ミルクを水に混ぜて、迷路の遠位の北アーム中に配置した、水浸した(水面下0.5cm)回避用プラットフォームを隠した。プールを、黒色のプラスチック製の壁(高さ、90cm)によって囲んだ。一定の空間手がかりを迷路の各アームに、並びに訓練及び試験手順の間南端に常に立っていた実験者のそばに並べた。12週齢のマウスを、回避用プラットフォームのないプール中に配置し、60秒間泳がせることによって、個々に迷路環境に慣らした。学習試験を、6日の訓練期間にわたって行い、その期間、マウスは、回避用プラットフォームを含まない他の3本の(東、南、西)アームから、浸漬された回避用プラットフォームの位置を学習することを求められた。各マウスに1日6回試験を行い(2ブロック3回の試験を30分の休憩によって分割した)、試験では3本のアームの各々を、無作為化したパターンにおける出発点として選択した(1日2回)。各試験に対して、マウスを、壁に面するアームの遠位端に配置し、60秒間回避用プラットフォームに到達させ、マウスはプラットフォームに10秒間とどまった。所与の時間に回避用プラットフォーム上に上らなかったマウスを、プラットフォームに10秒間配置した。次いで、マウスをケージ中に10秒間配置し、引き続き試験を続行した。マウスを、学習段階の間同じ位置に配置された回避用プラットフォームの位置の長期間の記憶保持に対して評価した。学習の最終日の14日後(M1)及び28日後(M2)、記憶を試験し、学習期間に関して記載した通り単一日6回の試験からなっていた。マウスの回避潜伏期(即ち、プラットフォームまで泳ぐのにかかった時間(秒))、正しい試験の数(即ち、マウスが第1のアームの侵入でプラットフォームを見つけた場合)、及び不正確な侵入/再侵入の数(即ち、マウスが、回避用プラットフォームを含まないアーム中に入った回数)に対して、各試験に対する各マウスのデータを記録した。
【0131】
PPI試験
驚愕、驚愕慣れ、及び驚愕のPPIを、以前に記載されている通りに(van den Buuse et al. 2009 supra)、8単位の自動化システム(SR−LAB、San Diego Instruments、米国)を用いて評価した。簡潔に述べると、マウスを、いずれかの側面上が塞がれており、音響刺激がボックスの天井にあるスピーカーを通して70dBのバックグラウンドノイズを超えて送達される、透明なプレキシガラス製の円柱に配置した。各試験セッションは104回の試験からなり、試験間のインターバルの平均は25秒の間であった。最初と最後の8回の試験は、単一の40m秒115dBパルス単独の驚愕刺激からなっていた。中間の88回の試験は、115dBパルス単独の刺激の疑似ランダム送達16回、その間刺激が送達されなかった試験8回、及びプレパルス試験64回からなっていた。115dBパルス単独の試験合計32回は、4ブロック8回として表現し、驚愕慣れを決定するのに用いた。プレパルス試験は、30m秒又は100m秒の刺激間間隙(ISI)が先行する115dBパルス単一からなり、70dBのベースラインを上回る2dB、4dB、8dB、又は16dB非驚愕性の刺激20m秒であった。プラットフォームの真下に付着させた圧電型加速度計ユニットによって、全身驚愕反応を定量値に変換した。プレパルス阻害パーセント値(%PPI)を、パルス単独の驚愕反応−プレパルス+パルスの驚愕反応/パルス単独の驚愕反応×100として算出した。
【0132】
統計学的分析
統計学的計算は全て平均値±SEMとして表し、SAS Version9.2(SAS Institute Inc.、Cary、NC、米国)を用いて行った。オープンフィールドデータに対して、線形混合効果モデル(linear mixed effects model)を用いて、横断した線の数をWT及び変異群にわたって経時的に比較した。無作為マウス効果(random mouse effect)が、同じマウスからの繰返し観察における依存を説明するために、モデルに含まれた。高架式交差バーからのデータを、WTと変異体との間で、独立したサンプルのt検定を用いて比較した。水交差迷路試験に対して、コックス比例ハザードモデルを用いて、回避の潜伏期を2つの処置群間で経時的に比較した。同じマウスに対して反復測定したことから、ロバスト分散(Robust variance)の推定を、結果における依存に対して調節するためのモデルにおいて用いた。モデル群において(WT又はKO)、時間(1日目から6日目)及び群と時間との間の相互作用を予測変数として入力した。回避潜伏期は、マウスが未だに出口を見つけない場合は30秒で右側打切りとみなした。本発明者らの試験において、回避潜伏期間を30秒で打ち切った動物があまりにも多く存在したため、結果は正常に分布しているとして扱うことができなかった。したがって、線形混合効果モデルを用いるのは実現可能ではなかった。不正確な侵入を、WTと変異群との間で、及び経時的に、負の二項回帰モデルを用いて比較した。モデル群において(WT又はKO)、時間(1日目から6日目)及び群と時間との間の相互作用を予測変数として入力した。同じマウスに対する反復測定による結果における依存を説明するのに、一般化した推定式を用いた。PPI試験からのデータを、反復測定の2元配置の分散分析(ANOVA)を用いて比較した(Systat、version 9.0、SPSSソフトウエア;SPSS Inc.、米国)。この分析では、群間の因子は遺伝子型であり、群内では、反復測定因子はプレパルス強度及び驚愕阻止であった。全ての試験において、ap値<0.05を統計学的に有意とみなした。
【0133】
免疫組織化学
切片を、PBST(0.1M PBS、0.3% Triton X−100、1%BSA)中10%非免疫ウマ血清中、室温(RT)で1時間ブロックし、引き続き一次抗体とRTで一夜インキュベートした。一次抗体及び希釈:14−3−3ζに対するウサギポリクローナル(1:200)(Guthridge et al. Blood 2004; 103(3):820-827)、0−チューブリンに対するウサギポリクローナル(1:250、Sigma)、カルビンジン−D28Kに対するウサギポリクローナル(1:1000、Chemicon)、NeuNに対するマウスモノクローナル(1:500、Chemicon)、シナプトフィジンに対するウサギポリクローナル(1:100、Cell Signaling)。翌日、切片を、二次抗体とRTで1時間インキュベートした。0.1M PBSで3回洗浄後、切片を、DAPI含有Prolong(登録商標)Goldアンチフェード試薬(Molecular Probes)中、搭載した。
【0134】
BrdUパルスチェイス分析及びTUNEL標識化
14.5dpc又は16.5dpcの妊娠マウスに、100μg/g体重のBrdUを注射し、仔マウスを生後7日に安楽死させた。これらの時間点に生まれた増殖性の海馬ニューロンの最終目的地が、凍結脳切片上BrdU免疫組織化学によって明らかにされた。組織を、37℃で20分間、2M HClで変性させ、0.1Mホウ酸バッファー(pH8.5)中で10分間中和し、PBST中10%ウマ血清でブロックし、4℃で一夜、ラットモノクローナル抗BrdU(1:250;Abcam)及びマウスモノクローナル抗NeuN(1:500;Chemicon)抗体でプローブした。細胞のアポトーシスを、製造元の指示にしたがってIn Situ Cell Death Detection Kit(TMR Red;Roche Applied Science)を用い、その後DAPI(Molecular Probes)で対比染色するTUNELアッセイによって決定した。
【0135】
免疫沈降
タンパク質抽出物全てを、150mM NaCl、10mM Tris−HCl(pH7.4)、10%グリセロール、1% Nonidet P−40、並びにプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害物質(1mlあたりアプロチニン10mg、1mlあたりロイペプチン10mg、2mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、及び2mMバナジン酸ナトリウム)からなるNP40可溶化バッファー中で溶解することによって調製した。試料を4Cで60分間可溶化し、次いで10000gで15分間遠心分離した。上清を、マウスIgとカップリングさせたセファロースビーズで、4Cで30分間予め清澄にした(precleared)。予め清澄にした可溶化液を、プロテインA−セファロース(Amersham Biosciences)に吸収させた抗DISC1抗体(C−term)(Invitrogen)又は抗14−3−3抗体(3F7 Abcam)のいずれか2ug/mlと4Cで2時間インキュベートした。セファロースビーズを可溶化バッファーで3回洗浄した後、SDS−PAGEサンプルバッファー中で5分間煮沸した。免疫沈降したタンパク質及び可溶化物をSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に電気泳動で移動させ、イムノブロットによって分析した。
【0136】
イムノブロット
膜を、1:1000の抗14−3−3ζEB1 pAb(Guthridge et al. 2004 supra)、又は1ug/mlの抗DISC1(C−term)(Invitrogen)のいずれかでプローブした。脳組織からの14−3−3ζを分析するために、(β−アクチン(1:5000、Millipore)に対するウサギポリクローナルをローディング対照として用いた。結合した抗体を、HRPコンジュゲートした二次抗体(1:20000、Pierce−Thermo Scientific)で検出した。免疫反応性タンパク質を、ECL(Luminescent Image Analyzer LAS−4000、富士フィルム、日本)によって可視化した。画像を、Multi Gauge Ver3.0(富士フィルム、日本)で分析した。
【0137】
神経細胞培養物
P7海馬ニューロン−グリア同時培養物を、記載されている通りに(Kaech et al. Nat Protoc 2006, 1(5):2406-2415)調製した。硝酸処理したカバーガラス(直径13mm)を、37℃で一夜、ホウ酸バッファー中100μg/mlポリ−L−リシン/PLL(Sigma)でコーティングし、次いで滅菌水で3×1時間洗浄した。歯状回及びCAの試料を細切し、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中で解離し、ニューロンを培養皿(4PLLコーティングしたカバーガラス付き)1枚あたり1×10
5細胞の密度で塗抹した。神経突起の成長アッセイに対して、培養物を、in vitroで7日間及び14日間インキュベートした。細胞を、4%PFA中、1時間固定し、PBST(0.1M PBS、0.1%Triton X−100、1%BSA)中10%非免疫ウマ血清中、室温(RT)で1時間プレインキュベートし、マウスモノクローナルMAP2(1:200、Millipore)及び14−3−3ζ(1:1000)に対する一次抗体と4℃で一夜インキュベートした。カバーガラスを、次いで、対応する二次抗体とRTで1時間インキュベートした。カバーガラスに、抗フェード(anti−fade)DAPI(Molecular Probes)を搭載した。
【0138】
結果
14−3−3ζ変異マウスは行動及び認知の欠陥を示した
14−3−3タンパク質は、発生中の、及び成体の脳において大量に発現される(Berg et al. Nat Rev Neurosci 2003; 4(9):752-762; Baxter et al. Neuroscience 2002; 109(1):5-14)。神経発生及び生成される脳機能における14−3−3ζの役割を確認するために、2つのノックアウトマウス系統を、イントロン1又は2の内部にレトロウイルスの遺伝子トラップ挿入を含んでいる胚性幹細胞クローンから産生し、それぞれ14−3−3及び14−3−3ζ
Gt(OST390)Lexと呼んだ(
図8;Lexicon Genetics)。ヘテロ接合性の異種交配からの胎仔及び成体の脳組織に対する、定量的RT−PCR及びウエスタンブロットにより、遺伝子トラップベクターは遺伝子の転写を破壊し、ヌルアレルを作り出したことが確認された(
図9)。これらの変異系を14−3−3ζ
062+/−及び14−3−3ζ
390+/−と呼ぶ。他の14−3−3イソ型の欠失と異なり(Su et al. Proc Natl Acad Sci USA 2011; 108(4):1555-1560)、発現分析により、変異マウスにおいて、14−3−3Cの除去は他の14−3−3ファミリーメンバーの発現の増大によって補償されないことがさらに決定された(
図10)。両系統からの14−3−3ζヘテロ接合性マウスの異種交配により、予想されたメンデル比のホモ接合性の変異が生じ(WT23%、Het56%、Mut21%;n=494、p<0.001)、遺伝子の除去は胎仔に致死的ではないことを指摘していた。変異胎仔及び新生仔マウスは同腹仔と形態学的に識別不能であったため、変異胎仔及び新生仔マウスを最初に調査することで、発生が正常に進行したことが示唆された。しかし、P14までに両系統からの変異マウスは成長の遅滞を示し、P21までにおよそ20%の変異マウスが死亡した(WT29%、Het54%、Mut17%;n=1619)。残りの変異マウスはWT同腹仔よりも小型だったが、平均余命はほぼ同じであった(P100;WT24.55±1.7g、Mut19.73g±2.5g)。変異マウスは外見上正常且つ健康であり、嗅覚試験、視覚試験、及びワイヤハング試験において差がなかった。
【0139】
14−3−3ζの、神経精神学的障害及び脳機能との関連を決定的に分析するために、変異マウス及び対照マウスに対する一連の行動試験を完了した。14−3−3ζ
062−/−マウスのオープンフィールド環境に対する反応を、最初に評価した。変異体は、試験期間にわたって移動した距離に有意な増大を示し、これは試験年齢全てにわたって維持され(5週、10週、20週、及び30週)、変異マウスは機能亢進性であることが指摘された(
図1A)。この効果は、オスメス両方に対して同様であり、性的偏りはなかった(p>0.05)。
【0140】
マウスは生まれつき馴染みのある物体よりもむしろ新奇な物体を探索するのを好むことを利用して、認識記憶を試験した。中葉における鼻周囲皮質が正しく機能することが、このタスクに不可欠である(Dere et al. 2006 supra; Sik et al. 2003 supra; Forwood et al. Hippocampus 2005; 15(3):347-355; Winters et al. J Neurosci 2005; 25(17):4243-4251)。サンプル段階において、マウスは、同じ物体を各々探索するのに等しい時間を費やす(14−3−3ζ
062+/+、50.82±1.2%;14−3−3ζ
062−/−、49.18±1.2%)。馴染みのある物体及び新しい物体を提示すると、14−3−3ζ
062−1−マウスは、試験期間にわたって、対照に比べて新奇な物体の認識の有意な減退を表した。馴染みのある物体と新奇な物体との間の好みの欠如と一致して、14−3−3ζ
062−/−マウスでは識別指標(新奇な物体を探索する時間−馴染みのある物体を探索する時間/新奇な物体を探索する時間+馴染みのある物体を探索する時間)が低下し、新たな情報を記憶保持することができないことが指摘された(14−3−3ζ
062+/+、0.1667±0.086秒;14−3−3ζ
062−/−、−0.0569±0.047秒;p<0.05)。繰り返すが、試験の各段階に性差は存在しなかった(p>0.5)。とりわけ、14−3−3ζ
062−/−変異体も、物体認識試験における機能亢進を実証し、試験の両段階における探索時間は長かった(サンプル段階、14−3−3ζ
062+/+、27.33±2.7秒;14−3−3ζ
062−/−、38.62±4.1秒;p<0.05:試験段階、14−3−3ζ
062+/+、24.58±3.1秒;14−3−3ζ
062−/−、50.77±4.7秒;p<0.0001)。
【0141】
高架式十字迷路は、齧歯動物の不安行動を試験するのに広く用いられている(Komada et al. 2008 supra; Walf et al. 2007 supra; Lister RG, Psychopharmacology (Berl) 1987; 92(2):180-185)。14−3−3ζ
062−/−マウスをこのような試験に配置すると、野生型の対照に比べて活動性の増大も実証した。14−3−3ζ
062−/−マウスは、5分の試験期間の間に交差アーム間を25.23±1.76回移行し、14−3−3ζ
062+/+マウスは12.29±1.21回移行した(p<0.0001)。さらに、14−3−3ζ
062−/−マウスは、14−3−3ζ
062+/+マウス(31.4±6.0秒、p<0.0001)に比べて、有意に多くの時間をオープンアームに費やし(
図1B:114.8±11.5秒)、より頻繁にその中に入り(14−3−3ζ
062+/+、4.6±0,6;14−3−3ζ
062−/−、15.5±1.7、p<0.0001)、より頭部を浸漬し(14−3−3ζ
062+/+19.6±1.5;14−3−3ζ
062−/−、33.4±2.4p=0.0041)、14−3−3ζ
062−/−マウスは不安のレベルが低いことが示唆された。
【0142】
空間作業の記憶依存性学習を、交差迷路回避タスクを用いて試験した(Summers et al. 2006 supra)。海馬と前頭前野との間の好適なシグナル伝達は、このタスクの獲得に必須である。マウスを6日かけて、浸漬した回避用プラットフォームを含む交差迷路の正しいアームを同定するように訓練した。交差迷路の各アームを、実験を通して、新奇な視覚手がかりによって表示した。何匹かの14−3−3ζ
062−/−マウスは正しいアームを同定するように学習したが、獲得期間の経過にわたってプラットフォームに到達する潜伏期の延長を示し(
図11;χ
2(5)=29.8808;p<0.0001)、アーム選択の正確さは有意に低下した(
図1C:IRR=0.52;p<0.0001)。正しい交差アームを記憶するマウスの能力を、次いで、獲得後14日又は28日間休ませることによって試験し、その後回避用プラットフォーム水迷路において再試験を行った(それぞれM1及びM2)。学習段階と比較して、14−3−3ζ
062+/+マウスは回避潜伏期における変化を示さず(HR=1.18,p=0.383)、14−3−3ζ
062−/−は回避潜伏期の有意な増大を実証した(HR=2.98、p<0.0001)。海馬依存性の記憶における機能不全と一致して、変異マウスはアーム選択の正確さにも有意な低下があった(
図1C:IRR=0.231;p<0.0001)。認知欠陥は全て性別と無関係であった。
【0143】
感覚運動ゲーティングにおける欠陥は、統合失調症及び関連障害など、神経精神学的障害の中間表現型(endophenotype)である。海馬及び脳の他の領域における好適なシグナル伝達は、このフィルタリングのメカニズムにとって不可欠である。14−3−3ζ変異マウスに感覚運動ゲーティングの異常があるか否かを決定するために、聴覚驚愕反射のプレパルス阻害(PPI)を評価した。14−3−3
062−/−マウスは、14−3−3ζ
062+/+マウスに比べて、PPI(
図1D:遺伝子型の主な効果F(1,20)=5.89、p=0.025)、及び驚愕(
図12:F(1,20)=5.87、p=0.023)が有意に低いことが見出された。プレパルス強度の増大性のレベルにより、WT及び変異マウスにおけるPPIに同様の増大がもたらされた(
図1D)。全体的に、驚愕の増幅は変異マウスにおいて低下したが、驚愕の慣れは正常であった(
図12)。
【0144】
14−3−3ζは積層を制御するために海馬ニューロンにおいて発現される
認知及び行動の欠損が海馬の神経発生的欠陥から生じるか否かを決定するために、14−3−3ζの神経発生における役割を分析した。海馬ニューロンは、脳室帯(NEv)に沿った神経上皮に由来し、海馬采(NEf)に隣接する神経上皮の制限された領域に由来する(Nakahira et al. J Comp Neurol 2005; 483(3):329-340)(
図2A)。14.5dpcでは、中間体内の遊走性の海馬ニューロンにおいて14−3−3ζの免疫染色が検出されたが、これらの神経上皮前駆体においては検出されなかった(
図2Bi)。P0までに、14−3−3ζ免疫染色が、固有海馬/アンモン角(CA)の錐体細胞にも検出された(
図2Biii)。14−3−3ζマウス系統の遺伝子トラップベクター内のBeta−geoトランスジーンを利用して、ヘテロ接合性マウスにおけるβ−ガラクトシダーゼ染色での14−3−3ζの内因性の発現をモニタリングした。免疫染色と一致して、遊走性のCAニューロンにおける転写レベルでの14−3−3ζの発現が同定された。さらに、CAニューロン内及びDGニューロン内の発現を、後期成体期中に検出した(
図2C)。しかし、意外なことに、14−3−3ζは、初期出生後段階の後では、小脳などの脳の他の領域において検出不可能であった(
図13)。CAニューロン内及びDGニューロン内の発現は、顕微解剖した成体海馬から抽出したタンパク質のウエスタンブロットによって確認した(
図2D)。これにより、14−3−3ζ062−/−マウスのこれらの脳領域からタンパク質が完全に除去されたことも確認された。最後に、in vitro10日後(DIV)、海馬のMAP2陽性ニューロン培養物により、細胞体及び軸索/樹状突起内に、14−3−3ζに対する点状の免疫細胞染色(immunocytostaining)も示された(
図2E)。
【0145】
14−3−3ζは海馬ニューロンにおいて発現されるので、本発明者らは次に、CA及びDGのニューロンが、成体及び胎仔の変異体において正しく位置付けられるかどうかを決定するためにCA及びDGニューロンを調べるか否かを試験した。14−3−3ζ
062−/−マウスのニッスル染色により、海馬の成熟前の最初に注目すべき発生の欠陥が明らかにされた(P0で5/5、P7で4/4、P28で2/2、及びP56で2/2;
図3A及び
図14)。具体的には、錐体ニューロンを、錐体細胞層の通常の休憩所の他に、放線状層及び多形細胞層に異所性に位置付けた。CA3亜領域内で、錐体ニューロンは単一の細胞層の代わりに、二層の層に分かれた。歯状回顆粒ニューロンも、14−3−3ζ
062+/+同腹仔に比べて、14−3−3ζ
062−/−マウスにおいて散在性に充填されていた。ニッスル染色に一致して、thy1−YFPマウスにおける海馬の組織化の分析は、層状の組織化の損傷も明らかにするものであった(
図3B)。
【0146】
次いで、異所的に位置付けられた錐体細胞が成熟ニューロンに発生するか否かに対して検討した。14−3−3ζ
062−/−の海馬全てにおいて(仔マウス4/4)、異所性の細胞は、ニューロンマーカーであるNeuNに対して陽性であった(
図3C)。ニューロンは、自身を分子層深く位置付けるよりむしろ、CA3の表面層においても成熟した。まとめると、このデータより、海馬に誤って位置付けられた細胞は機能的な錐体ニューロン及び顆粒状ニューロンを形成することが推測される。さらに、胎仔からの海馬をTUNEL染色すると、出生後初期及び成体のマウスは、遺伝子型間に明らかな違いを示さず(
図15)、14−3−3ζがなくてもニューロンの生存性に影響を及ぼさないことが示唆された。
【0147】
14−3−3ζ欠損マウスは海馬ニューロンの遊走の欠陥を示す
14.5dpcの中間体内での14−3−3ζの発現、及びP0の表面層における成熟ニューロンの存在により、異常な層状構造が誤った遊走に起因し得る可能性が生じた。海馬ニューロンの遊走を可視化するために、14.5dpc及び16.5dpcに、ヘテロ接合型の14−3−3ζ
062の交配からの妊娠中の母マウス中にBrdUを注射することによって、BrdUバースデーティング(birthdating)を完了した。14−3−3ζ
062+/+及び14−3−3ζ
062−/−の仔マウスをP7に回収し、BrdU保持細胞を冠状切片において同定した。切片をDAPIで対比染色して海馬の別々の層を同定した。BrdU保持細胞を、各遺伝子型のマウス5匹を用いて10μm切片から計数し、各層における相対パーセント値を定量した。両方の注射時間点は、14.5dpc又は16.5dpcに脳室帯で生まれたほぼ全てのニューロンが、対照マウスにおけるCAの錐体細胞層に遊走することが示されている(
図4)。驚くべきことに、しかし、顕著なパーセント値のBrdU保持細胞が、14−3−3ζ
062−/−マウスにおける錐体細胞層の外側で同定された。ニューロンが、その出生地から遊走することができず、又は自身の正しい層内で停止することができないと、したがって、14−3−3ζ
062−/−の海馬において複製された錐体細胞層が生じる。
【0148】
14−3−3ζ欠損マウスの錐体細胞における機能的に破壊された苔状線維回路及び異常なシナプス末端
CA3錐体ニューロンとDG顆粒細胞との間の連絡は、正確な軸索の進路決定及びシナプスの標的化によって実現される。誤って整列された錐体ニューロンが海馬の回路に影響を及ぼしたか否かの問題を、P0、P7、及びP56の海馬において抗カルビンジンで免疫組織化学染色を行うことによって評価した。対照のマウスにおいて、苔状線維は顆粒細胞の細胞体から出芽し、CA3錐体細胞層をまたがる、錐体下苔状線維(infrapyramidal mossy fibre)(IPMF)路及び錐体上苔状線維(suprapyramidal mossy fibre)(SPMF)路に二分岐した(
図5)。14−3−3ζ
062−/−マウスにおいて、IPMF路はCA3錐体ニューロンの尖端の表面に沿って進んだが、SPMF路はCA3ニューロンの中で誤った経路で送られた。
【0149】
DG顆粒細胞が、そのCA標的細胞上にシナプス形成したか否かを決定するために、抗シナプトフィジンを用いて、対照動物におけるCA3亜領域のIPMF及びSPMF両方の前シナプスを同定した。14−3−3ζ
062−/−マウスにおいて、誤った経路で送られた軸索も、錐体細胞層内で異常なシナプスを形成した(
図6)。ゴルジ染色によってシナプスボタンを可視化すると、CA3におけるシナプス形成に注目すべき差がさらに明らかになった。対照動物において、尖端の樹状突起の近位領域上の大型の棘状の突出物に、口径の細かな樹状の分枝が続いた。14−3−3ζ
062−/−マウスにおける錐体ニューロンにおいて、樹状ツリーは、同様の数の分枝点を有するように見えたが、調べたマウス全ての近位及び遠位両方の尖端の樹状突起上に、間違った経路の苔状線維路からの棘の多い突出物を有していた。
【0150】
ニューロンの遊走と軸索の経路探索とを協調させるために14−3−3ζが用いる分子経路を同定するために、P7マウスからの全脳抽出物に対して同時免疫沈降実験を行った。14−3−3ζはDISC1のC末端に対して産生された抗体で同時免疫沈降され得ることが見出された。逆の場合も同様であり、DISC1は、14−3−3ζを認識する抗体で同時免疫沈降され得ることも見出された(
図7)。驚くべきことに、データは、14−3−3ζは、DISC1の、100kDaの全長タンパク質よりもむしろ75kDa型と特異的に相互作用することを指摘しており、DISC1は、イソ型に特異的に、神経発生において機能することが指摘される。
【0151】
(例2)
集まりつつある臨床上及び実験上の証拠は、統合失調症及び関連の障害はドパミン作動性及びグルタミン酸作動性の神経伝達物質経路における相互接続の欠陥に起因することを示唆するものである。海馬の錐体ニューロンはグルタミン酸作動性及びドパミン作動性の系を統合するので、海馬は、このモデルにおける主要な構造として位置付けられている。神経伝達物質の経路が、14−3−3ζ
−/−マウスにおける統合失調症様の行動の欠陥の根拠となるか否かを決定するために、各経路に特異的に拮抗する向精神病薬が誘発する行動試験を試みた(
図16)。NMDA受容体アンタゴニストであるMK801は、野生型対照におけるPPIを攪乱するが、14−3−3ζ
−/−マウスにおけるPPIは攪乱しないことが見出された。これとは対照的に、ドパミン放出薬であるアポモルヒネは、14−3−3ζ
−/−マウス及び野生型対照の両方におけるPPIに対して同様の効果があった。これは、14−3−3ζ
−/−マウスのベースラインPPIの欠陥は、グルタミン酸作動性経路における欠損に起因することを指摘している。ドパミン作動性過剰仮説(hyperdopaminergic hypothesis)を、別のドパミン放出薬であるアンフェタミンを用いて、歩行運動機能試験においてやはり調査した。増強効果が、野生型対照に比べて14−3−3ζ
−/−マウスにおいて生じる(即ち、機能亢進になる早々の低減及び長距離移動における増大)ことが見出され、14−3−3ζ
−/−マウスのベースラインの機能亢進はドパミン作動性経路における欠損に起因することが指摘された(
図17)。このように、14−3−3ζ
−/−マウスは、ドパミン作動性及びグルタミン酸作動性の神経伝達経路における欠陥を有する。これらの薬物が統合失調症患者において同様の効果を誘発できることを考慮すると、これらの知見は、統合失調症及び関連の障害に対するモデルとして、14−3−3ζ
−/−マウスに対する確固とした支持を提供する。
【0152】
(例3)
樹状の分枝の低下及び棘の多いシナプスは、統合失調症及び関連の障害の解剖学的特徴である。ゴルジ透浸、錐体ニューロンのin vitroの培養、及び微粒子銃の標識など、相補的な技術を用いて、海馬の顆粒ニューロン及び錐体ニューロンにおける樹状突起棘数及び棘のサイズの分析が行われている(
図18)。統合失調症及び関連の障害に対する頑強なモデルとして14−3−3ζ−/−マウスを強力に支持するように、海馬における棘の著しい低下が見出された。
【0153】
当業者であれば、本明細書に記載する本発明は、詳しく記載したもの以外の変形及び修飾を受けやすいことを理解されよう。本発明には、このような変形及び改変を全て含まれることを理解されたい。本発明にはまた、本明細書において個々に、又は集合的に、言及され、又は指摘されるステップ、特徴、組成物、及び化合物も全て含まれ、並びに、前記ステップ又は特徴のあらゆる2つ以上のありとあらゆる組合せが含まれる。
【表1】
【0154】
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