(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の全体にわたって使用されるように、以下に所与の略称は、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、g=グラム、mg=ミリグラム、mL=ミリリットル、L=リットル、cm=センチメートル、m=メートル、mm=ミリメートル、μm=ミクロン、ppm=百万分率、mg/L=1リットル当たりのミリグラム数(milligrams per liter)、M=モル濃度、℃=摂氏温度、RT=室温、g/L=1リットル当たりのグラム数、DI=脱イオン、MID=成型相互接続装置、3−D=三(3)次元、Pd=パラジウム、Nd:YAG=ネオジムド−プイットリウムアルミニウムガーネット、EO=エチレンオキシド、PO=プロピレンオキシド、PO−b−EO=プロピレンオキシド/エチレンオキシドブロックコポリマー、Mn=数平均分子量、wt%=重量パーセント、ABS=アクロルニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、PC=ポリカーボネートポリマー、及びT
g=ガラス転移温度、の意味を有する。
【0011】
用語の成型相互接続装置、つまりMIDは、典型的には3Dの形状または形態を有する集積電子回路トレースを含む熱可塑性プラスチック射出成型品を意味する。用語「バックグラウンドめっき」は、金属の
堆積が意図されていない、ポリマーまたはプラスチックの表面への無作為な金属
堆積を意味する。用語「オーバーめっき」は、所望の回路パターンを超えた金属めっき、及び制御不能な金属めっきを意味する。用語「モノマー」または「モノマーの」は、同一または同類分子のうちの1つ以上と結合する場合がある単一分子を意味する。用語「オリゴマー」は、単一分子を形成するように結合した2つまたは3つのモノマーを意味する。用語「ポリマー」は、結合した2つ以上のモノマー、または単一分子を形成するように結合した2つ以上のオリゴマーを意味する。「−−−−」は、可能な化学結合を示す。用語「隣接する」は、2つの異なる表面を互いに接触させて共通の境界面を形成する場合の接合を意味する。用語「プリント回路基板」及び「プリント配線板」は、本明細書の全体にわたって互換的に使用される。用語「めっき」及び「
堆積」は、本明細書の全体にわたって互換的に使用される。すべての量は、特記されない限り、重量パーセントで示される。すべての数値の範囲は、包括的であり、そのような数値の範囲が合計100%になるという制約を受けることが論理的である場合を除き、順不同で組み合わせ可能である。
【0012】
本発明の遮断コーティングは、1つ以上の6員複素環式窒素化合物を含むプライマー組成物を含み、ポリマーの表面または基板のプラスチック材料と隣接して直接適用されて、ポリマーまたはプラスチック材料上に実質的に親水性のコーティングを提供し、次いで、任意選択のすすぎのステップを除く他の介入ステップなしで、アルキルアルコールアルコキシレート、アルキルチオール、非
ポリマー一級アルキルアミン、及び
非ポリマー二級アルキルアミンのうちの1つ以上を含む疎水性のトップコートをプライマー組成物と直接隣接して適用することで、基板のポリマー材料と直接隣接して遮断コーティングを形成する。したがって、遮断コーティングは、ファンデルワールス力によってポリマーに結合する場合がある6員複素環式窒素化合物を含むプライマーと、アルキルアルコールアルコキシレート、アルキルチオール、非
ポリマー一級アルキルアミン、及び非
ポリマー二級アルキルアミンのうちの1つ以上を含むトップコートとを含む。理論に束縛されるものではないが、疎水性のトップコートに含まれる、化合物の親水性の部分が、親水性のプライマーと相互作用または混合し、トップコートの化合物の疎水性の部分が、実質的に疎水性の頂面を形成するように基板のポリマー材料と対抗して、または遠ざかって延在するため、ポリマー基板上に遮断コーティング層を形成すると考えられる。図は、本発明の4つの基本ステップを説明する。
【0013】
本発明の遮断コーティングの形成時にプライマーを形成し得るすべての6員複素環式窒素化合物が本発明を実施するために使用され得ることが想定される。好ましくは、本発明のプライマーに含まれる6員複素環式窒素化合物は、次の一般式を有し、
【0015】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6が炭素及び窒素から選択されるが、但し、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つが窒素原子であることを条件として、さらにR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6のうちの3つのみが、同時に窒素原子になることができ、残りが炭素原子であることを条件とし、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、及びR
15が独立して、水素;直鎖もしくは分岐鎖(C
1−C
24)アルキル;チオール;直鎖もしくは分岐鎖チオール(C
1−C
24)アルキル;ニトロ;直鎖または分岐鎖ニトロ(C
1−C
24)アルキル;ヒドロキシル、直鎖または分岐鎖ヒドロキシル(C
1−C
24)アルキル;直鎖または分岐鎖アルコキシ(C
1−C
24)アルキル;直鎖または分岐鎖アミノ(C
1−C
24)アルキル;ハロゲンであって、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素から選択され、好ましくは、塩素、臭素、及びヨウ素から選択され、より好ましくは、塩素及び臭素から選択される、ハロゲン;直鎖または分岐鎖ハロ(C
1−C
24)アルキル;カルボキシル;直鎖または分岐鎖カルボキシル(C
1−C
24)アルキル、ケト基;アシル基 ケタール;アセタール;エステル基;置換または非置換アリール(C
1−C
3)アルキル;ならびに置換及び非置換アリール基から選択され、式中、置換基は、限定はされないが、直鎖もしくは分岐鎖アルキル、ヒドロキシル、直鎖もしくは分岐鎖ヒドロキシル(C
1−C
12)アルキル、ニトロ、チオール、アミノ、アルコキシ、カルボキシル、ケト、ケタール、アシル、アセタール、及びハロゲンを含む。
【0016】
好ましくは、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、及びR
15が独立して、水素、直鎖または分岐鎖(C
1−C
10)アルキル;ヒドロキシル;直鎖または分岐鎖ヒドロキシル(C
1−C
10)アルキル;直鎖または分岐鎖アルコキシ(C
1−C
10)アルキル;直鎖または分岐鎖アミノ(C
1−C
10)アルキル;置換または非置換(C
6−C
10)アリール;置換または非置換フェニル(C
1−C
2)アルキル;ニトロ、及びチオールから選択される。置換フェニル(C
1−C
2)アルキルの(C
6−C
10)アリール及びフェニルの好ましい置換基は、直鎖または分岐鎖(C
1−C
5)アルキル;ヒドロキシル;直鎖または分岐鎖ヒドロキシル(C
1−C
5)アルキル、ニトロ;チオール;直鎖または分岐鎖アミノ(C
1−C
5)アルキル;ハロゲン、及び直鎖または分岐鎖ハロ(C
1−C
5)アルキルを含む。より好ましくは、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、及びR
15は独立して、水素;直鎖または分岐鎖(C
1−C
4)アルキル;ヒドロキシル、直鎖または分岐鎖ヒドロキシル(C
1−C
4)アルキル;ニトロ;チオール;直鎖または分岐鎖アミノ(C
1−C
5)アルキル;及び非置換フェニルから選択される。さらにより好ましくは、R
10、R
11、R
12、R
13、及びR
14は独立して、水素;メチル;エチル、及び非置換フェニルから選択される。
【0017】
そのような6員複素環式窒素化合物は、限定はされないが、ピラジン化合物、ピリミジン化合物、ピリダジン(pyridizine)化合物、ピリジン化合物、及びトリアジン化合物を含む。
【0018】
好ましいピラジン化合物は、次の構造を有し、
【0020】
式中、R
11、R
12、R
14、及びR
15は上で記載の通りである。最も好ましくは、R
11、R
12、R
14、及びR
15は独立して、水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、及びアミノから選択される。例示的な化合物は、ピラジン、2−メチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,3,5−トリメチルピラジン(trimethylpyrazine)、及びエチルピラジンである。
【0021】
好ましいピリミジン化合物は、次の構造を有し、
【0023】
式中、R
10、R
11、R
12、及びR
14は、上で記載の通りである。最も好ましくは、R
10、R
11、R
12、及びR
14は独立して、水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、及びアミノから選択される。
【0024】
好ましいピリダジン(pyridizine)化合物は、次の構造を有し、
【0026】
式中、R
12、R
13、R
14、及びR
15は、上で記載の通りである。最も好ましくは、R
12、R
13、R
14、及びR
15は独立して、水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、及びアミノから選択される。
【0027】
好ましいピリジン化合物は、次の構造を有し、
【0029】
式中、R
10、R
11、R
12、R
14、及びR
15は、上で記載の通りである。最も好ましくは、R
10、R
11、R
12、R
14、及びR
15は独立して、水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、及びアミノから選択される。
【0030】
好ましいトリアジン化合物は、次の構造を有し、
【0032】
式中、R
11、R
13、及びR
15は、上で記載の通りである。最も好ましくは、R
11、R
13、及びR
15は独立して、水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、及びアミノから選択される。
【0033】
好ましいトリアジン化合物は、次の構造も有することができ、
【0035】
式中、R
10、R
13、及びR
14は、上で記載の通りである。最も好ましくは、R
10、R
13、及びR
14は独立して、水素、メチル、エチル、ヒドロキシル、及びアミノから選択される。
【0036】
本発明の前述の6員複素環式化合物は、0.5g/L〜20g/L、好ましくは、1g/L〜15g/L、より好ましくは、1g/L〜10g/Lの量で含まれる。
【0037】
任意選択で、プライマー組成物は、プライマーとトップコート化合物の混合を助ける1つ以上の金属イオンを含み得る。そのような金属イオンは、限定はされないが、銅イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、及び亜鉛イオンを含む。そのようなイオンは、それらの水溶性塩によってプライマー組成物に添加される。銅塩は、限定はされないが、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、及び酢酸銅を含む。ニッケル塩は、限定はされないが、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、及びスルファミン酸ニッケルを含む。マンガン塩は、限定はされないが、硫酸マンガンを含む。亜鉛塩は、限定はされないが、硝酸亜鉛を含む。そのような塩は、0.5g/L〜15g/L、好ましくは、1g/L〜10g/Lの量でプライマーに含まれる。好ましくは、選択の金属イオンは、銅、及びニッケルである。より好ましくは、選択の金属イオンは、銅イオンである。一般に、プライマー溶液には1つ以上の金属イオンを含むことが好ましいが、この1つ以上の金属イオンが特定のポリマー材料へのトップコート化合物の吸着を改善するか否かを判定するためにわずかな実験がなされ得る。
【0038】
プライマーは、水中で順不同に成分を混合することによって調製され得る。プライマーのpHは、好ましくは、7〜13、より好ましくは、8〜12に及び得る。
【0039】
プライマーをポリマー材料に適用する前に、ポリマー材料が、すべての表面油及び残渣をポリマーの表面から除去すべく洗浄されることが好ましい。図は、ステップ1で洗浄された基板を示す。従来の洗浄組成物、及び当該技術において既知の方法が使用され得る。典型的には、洗浄は、超音波を使用して、10%のCUPOSIT(商標)Z洗浄製剤(マサチューセッツ州マルボロ、Dow Advanced Materialsより入手可能)などの洗浄溶液で室温にて行われる。
【0040】
プライマーは、ポリマー材料を含む基板をプライマーに浸漬することによってポリマー材料と直接隣接して適用され得るか、またはポリマー材料と直接隣接して吹き付けられ得る。好ましくは、プライマーは、室温〜80℃、より好ましくは、30℃〜50℃の温度で適用される。ポリマー材料とトップコートの接触前の休止時間は、好ましくは、1分〜10分、より好ましくは、3分〜8分に及ぶ。
【0041】
基板のポリマー材料へのプライマーの適用後、トップコートが、任意選択の水すすぎのステップを除く本発明の方法の他の介入ステップなしで、プライマーと直接隣接してポリマー材料上に適用される。トップコートは、ポリマー材料をトップコートの溶液に浸漬することによって、またはポリマー材料をコーティングするプライマーと直接隣接してトップコートを吹き付けることでプライマーと直接隣接して適用されるか、トップコートは、好ましくは、室温〜80℃、より好ましくは、30℃〜50℃の温度で適用される。トップコートの適用についての休止時間は、好ましくは、1分〜10分、より好ましくは、3分〜8分に及ぶ。トップコートがプライマーに適用された後、トップコートが、基板においてポリマー材料と直接隣接して遮断コーティングを形成するようにプライマー上で乾燥しても構わない。図は、ポリマー基板に隣接する遮断コーティングを示す。任意選択で、トップコートは、室温下でブロー乾燥によって乾燥され得る。
【0042】
トップコートは、アルキルアルコールアルコキシレート、アルキルチオール、ならびに非
ポリマー一級及び非
ポリマー二級アミンから選択される。それらは、0.5g/L〜100g/L、好ましくは、1g/L〜30g/Lの量で含まれ得る。アルキルアルコールアルコキシレートは、限定はされないが、次の式を有するポリエトキシ化アルコールポリマーを含み、
CH
3(CH
2)
m−(O−CH
2−CH
2)
n−OH (VIII)
式中、mは、7〜25であり、nは、1〜25の平均エトキシ化度を示す。好ましくは
、nは、7〜15であり、より好ましくは、nは、13〜25であり、mは、好ましくは、8〜10である。アルキルアルコールアルコキシレートは、次の式を有する脂肪族エトキシ化/プロポキシ化コポリマーも含み、
R−O−(CH
2CH
2O)
x−(CH
2CH
2CH
2O)
y−H (IX)、または、
R−O−(CH
2CH
2O)
x−(CH
2CH(CH
3)O)
y−H (X)
式中、Rは、8〜22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、またはイソトリデシル基であり、x及びyは独立して、1〜20から選択される。アルキルアルコールアルコキシアルテス(alkoxyaltes)は、次の式を有するプロポキシ化/エトキシ化コポリマーも含み、
R−O−(CH
2CH(CH
3)O)
x−(CH
2CH
2O)
y−H (XI)、または、
R−O−(CH
2CH
2CH
2O)
x−(CH
2CH
2O)
y−H (XII)
式中、R、ならびにx及びyは、上記のように定義される。
【0043】
アルキルチオールは、限定はされないが、次の式を有するチオールを含み、
R
16−SH (XIII)
式中、R
16は、1〜24個の炭素原子、好ましくは、16〜21個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基、5〜14個の炭素原子を有するアリール基、及びアルキルアリールであり、式中、アルキルアリールのアルキ
ルは、1〜24個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖であり、アリールは、5〜14個の炭素原子を有する。例示的なアルキルチオールは、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、1−ペンタンチオール、2,2−ジメチル−1−プロパンチオール、1−ヘキサンチオール、1,6−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、2−エチルヘキサンチオール、1−オクタンチオール、1,8−オクタンチオール、1−ノナンチオール、1,9−ノナンチオール、1−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、1−トリデカンチオール、1−テトラドデカンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール、1−オクトデカンチオール、1−ノナデカンチオール(nonadecanthiol)、及び1−エイコサンチオールである。好ましい例示的なアルキ
ルチオールは、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘプタデカンチオール、1−オクトデカンチオール、1−ノナデカンチオール(nonadecanthiol)、及び1−エイコサンチオールである。
【0044】
非
ポリマー一級及び非
ポリマー二級アミンは、限定はされないが、次の式を有するアミン化合物を含み、
R
17−CH
2−NH
2 (XIV)、または、
R
18−CH
2−NH−CH
2−R
19 (XV)
式中、R
17、R
18、及びR
19は独立して、水素、直鎖もしくは分岐鎖の置換もしくは非置換(C
1−C
24)アルキル、直鎖もしくは分岐鎖の置換もしくは非置換(C
2−C
20)アルケニル、置換もしくは非置換(C
3−C
8)シクロアルキル、及び置換もしくは非置換(C
6−C
10)アリールから選択され、式中、置換基は、限定はされないが、ヒドロキシル、ヒドロキシ(C
1−C
20)アルキル、アミノ、(C
1−C
20)アルコキシ、フッ素、塩素、及び臭素などのハロゲン、メルカプト、ならびにフェニルを含む。好ましくは、アミン化合物は、非
ポリマー一級アミンであり、式中、R
17は、直鎖もしくは分岐鎖の置換もしくは非置換(C
1−C
21)アルキルであり、より好ましくは、アミン化合物は、非
ポリマー一級アミンであり、式中、R
17は、直鎖または分岐鎖の非置換(C
1−C
21)アルキルである。
【0045】
例示的な一級アミンは、アミノエタン、1−アミノプロパン、2−アミノプロパン、1−アミノブタン、2−アミノブタン、1−アミノ−2−メチルアミノペンタン、2−アミノ−2−メチルプロパン、1−アミノペンタン、2−アミノペンタン、3−アミノペンタン、ネオペンチルアミン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、2−アミノヘプタン、1−アミノオクタン、2−アミノオカトン(aminoocatne)、1−アミノノナン、1−アミノデカン、1−アミノドデカン、1−アミノトリデカン、1−アミノテトラデカン、1−アミノペンタデカン、1−アミノヘキサデカン、1−アミノヘプタデカン、及び1−アミノオカトデカン(aminoocatdecane)を含む。好ましくは、例示的な一級アミンは、1−アミノヘキサデカン、1−アミノヘプタデカン、及び1−アミノオカトデカン(aminoocatdecane)を含む。
【0046】
任意選択で、トップコートは、有機化合物の可溶化を助ける1つ以上の有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、疎水性のトップコート化合物を可溶化するのに十分な量で含まれる。好ましくは、1つ以上の有機溶媒は、0〜60容量%、好ましくは、10容量%〜50容量%の量で含まれる。そのような有機溶媒は、アルコール、ジオール、トリオール、及び高級ポリオールを含む。好適なアルコールは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン(hecane)−1,6−ジオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール(propaoxyethanol)、及び2−ブトキシエタノール(butoxyeethanol)を含む。また、ブタン−ジオール、ヘキサン−ジオールなどの不飽和ジオール、及びブチンジオールなどのアセチレニクス(acetylenics)が含まれる。好適なトリオールは、グリセロールである。追加のアルコールは、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、チレチレン(tirethylene)グリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロリルレン(diprolylene)グリコール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ならびにポリエチレン及びポリエチレングリコールのブロックポリマーを含む。
【0047】
遮断コーティングが基板のポリマー上に形成された後、電気回路のパターンを形成するように遮断コーティングが選択的にエッチングされる。パターンは、限定はされないが、レーザーエッチング、サンドペーパーエッチング、及びプラズマエッチングなど、プラスチック業界のめっきにおいて既知の従来の方法によってエッチングされる場合がある。好ましくは、遮断コーティングは、LPKF Laser & Electronics AGから入手可能なNd:YAG、1064nm LPKFレーザーなどのレーザー光によって選択的にエッチングされる。レーザー光を超微細寸法に調節することができるため、レーザーエッチングにより微細線回路用の微細線パターンの形成が可能になる。これにより、回路の小型化、及び3D電子製品の小型化がさらに可能になる。典型的なトラック幅は、150μm以上で、200μm以上の間隔またはギャップである。遮断コーティングを除去するようにエッチングがポリマー材料に至るまで行われ、図に示されるようにステップ3でポリマー表面が粗化される。ポリマー材料が包埋触媒を有する場合、十分な量のポリマー材料が表面から除去され、無電解金属めっき用に触媒を露出させる。ポリマー材料が包埋触媒を含まない場合、従来のイオン触媒またはコロイド触媒が、図のステップ4で示されるように無電解金属めっき用にポリマーに適用され得る。イオンまたはコロイド触媒は、エッチングされた基板上に触媒を浸すこと、または吹き付けることなど従来の手段で適用され得る。触媒液の温度、pH、及び滞留時間など従来の触媒のパラメータが、本発明を実施するために使用され得る。触媒のタイプによって、従来の後処理が、無電解金属被覆前に触媒を活性化するために使用される場合がある。イオン触媒は、好ましくは、銀イオン及びパラジウムイオンなどの触媒イオンを含む。典型的には、錯化剤が金属イオンに含まれ、触媒作用前に金属イオンを安定化される。コロイド触媒は、好ましくは、従来のスズ/パラジウムである。
【0048】
触媒がイオン触媒である場合、ポリマーへの触媒適用後及び金属被覆前に、1つ以上の還元剤が触媒化されたポリマーに適用されて、金属イオンをそれらの金属状態に還元する。金属イオンを金属に還元すると知られている従来の還元剤が使用される場合がある。そのような還元剤には、限定はされないが、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン水和物、ギ酸、及びホルムアルデヒドが含まれる。還元剤は、実質的に金属イオンのすべてを金属に還元する量で含まれる。そのような量は、概して従来の量であり、当業者にはよく知られている。
【0049】
本発明の方法は、プリント回路基板及びMIDなどの種々の基板を無電解金属めっきするために使用され得る。好ましくは、本発明の方法は、プリント回路基板などの平面構造の基板ではなく、3D構造を典型的に有するMIDを選択的に無電解金属めっきするために使用される。そのような3D構造の基板は、回路をMID構造の表面の不規則な輪郭に従わせる必要がある3D構造ゆえ、連続的な均一な回路では無電解金属めっきすることが難しい。そのようなプリント回路基板及びMIDは、ガラス繊維などの繊維、及び前述の浸漬された実施形態を含む、熱硬化性樹脂、熱可塑性プラスチック樹脂、及びそれらの組み合わせのポリマー材料を含み得る。
【0050】
熱可塑性プラスチック樹脂は、限定はされないが、アセタール樹脂、アクリル酸メチルなどのアクリル、酢酸エチル、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、及び硝酸セルロースなどのセルロース樹脂、ポリエーテル、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン及びコポリマーならびにアクリロニトリル−ブタジエンスチレンコポリマーなどのスチレンブレンド、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ならびに酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルブチラール、塩化ビニル、塩化酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、ならびにビニルホルマールなどのビニルポリマー及びコポリマーを含む。
【0051】
熱硬化性樹脂は、限定はされないが、アリルフタラート、フラン、メラミン−ホルムアルデヒド、フェノール−ホルムアルデヒド、及びフェノール−フルフラールコポリマー、ブタジエンアクリロニトリルコポリマーまたはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーの単体もしくは化合物、ポリアクリル酸エステル、シリコーン、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、アリル樹脂、フタル酸グリセリン樹脂、ならびにポリエステルを含む。
【0052】
本発明の方法は、低及び高T
g樹脂の両方で基板をめっきするために使用され得る。低T
g樹脂は、160℃未満のT
gを有し、高T
g樹脂は、160℃以上のT
gを有する。典型的には、高T
g樹脂は、160℃〜280℃、または170℃〜240℃などのT
gを有する。高T
gポリマーは、限定はされないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリテトラフルオロエチレンブレンドを含む。そのようなブレンドは、例えば、ポリフェニレンオキシド及びシアネートエステルを含むPTFEを含む。高T
gの樹脂を含むポリマー樹脂の他の級は、限定はされないが、二官能性及び多官能性エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ビスマレイミド/トリアジン及びエポキシ樹脂(BTエポキシ)、エポキシ/ポリフェニレンオキシド樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PS)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、エポキシ、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0053】
温度及び時間などのめっきのパラメータは、従来のものである場合がある。無電解金属めっき槽のpHは、アルカリ性である。基板表面の洗浄もしくは脱脂、表面の粗化もしくは微細粗化、表面のエッチングもしくは微細エッチング、溶剤膨潤適用、貫通孔のスミア除去、ならびに種々のすすぎ及び変色防止処理などの従来の基板製法の方法が使用される場合がある。そのような方法及び製剤は、当業者にはよく知られており、文献でも開示されている。
【0054】
本発明が無電解めっきされる場合があるすべての金属を無電解
堆積するために使用され得ることを想定する一方、好ましくは、金属は、銅、銅合金、ニッケル、またはニッケル合金から選択される。市販の無電解銅めっき槽の例は、CIRCUPOSIT(商標)880無電解銅槽(マサチューセッツ州マルボロ、Dow Advanced Materialsより入手可能)である。市販の無電解ニッケルめっき槽の別の例は、DURAPOSIT(商標)SMT 88(マサチューセッツ州マルボロ、Dow Advanced Materialsより入手可能)である。市販の無電解ニッケル槽の例は、DURAPOSIT(商標)SMT 88無電解ニッケルである。
【0055】
典型的には、銅イオン源は、限定はされないが、水溶性ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、ならびに他の有機及び無機銅塩を含む。そのような銅塩のうちの1つ以上の混合が、銅イオンを提供するために使用される場合がある。例は、硫酸銅五水和物などの硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、水酸化銅、及びスルファミン酸銅を含む。銅塩の従来の量が、組成物で使用され得る。
【0056】
1つ以上の合金金属も無電解組成物に含まれ得る。そのような合金金属は、限定はされないが、ニッケル及びスズを含む。銅合金の例には、銅/ニッケル及び銅/スズが含まれる。典型的には、銅合金は、銅/ニッケルである。
【0057】
ニッケル及びニッケル合金の無電解槽についてのニッケルイオン源は、1つ以上の従来の水溶性ニッケル塩を含み得る。ニッケルイオン源は、限定はされないが、硫酸ニッケル及びハロゲン化ニッケルを含む。ニッケルイオン源は、従来の量で無電解合金組成物に含まれ得る。スズイオン源は、限定はされないが、硫酸スズ、塩化スズ、及びスルホン酸アルキルスズなどの有機スズ塩を含む。スズ塩は、従来の量で無電解合金組成物に含まれ得る。
【0058】
温度及び時間などの無電解金属めっきのパラメータは、従来のものになり得、また当該技術で周知である。無電解金属めっき槽のpHは、典型的にはアルカリ性である。
【0059】
露出されたポリマー材料の選択的な無電解金属めっき中、遮断コーティングでコーティングされたポリマー材料の部分は、図のステップ5に示されるように無電解金属めっきを抑制する。金属めっきが実質的にポリマーのエッチングされた部分で起こるように、遮断コーティングでコーティングされたポリマーの部分で望まれないバックグラウンドめっき及びオーバーめっきが抑制される。遮断コーティングは、3D製品の輪郭に従う金属回路の形成を可能にする一方、欠陥製品をもたらし得るバックグラウンドめっき及びオーバーめっきを抑制する。微細線回路のパターン形成を可能にするレーザーエッチングと遮断コーティングとの組み合わせにより、小型電子製品の形成用に3Dポリマー基板の不規則な表面での連続的な小型回路の形成が可能になる。
【0060】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することを意図しているわけではないが、本発明をさらに説明する。
【0061】
実施例1
ABS、PC/ABS(XANTAR(商標)3720)、及びPC(XANTAR(商標)3730)から選択された複数のポリマー基板が提供された。各々の基板が、下の表1に開示の方法に従って処理され、選択的に無電解銅めっきされた。各々のポリマー基板は、ピラジン、ならびに硫酸マンガン五水和物、硫酸ニッケル六水和物、硫酸亜鉛六水和物、及び硝酸銅から選択された金属塩のうちの一タイプを含んだプライマー組成物、または金属塩を除去したプライマー組成物で処理された。無電解銅めっきがなされた遮断コーティングの部分が、炭化ケイ素タイプのP220サンドペーパーで除去された。水溶性のイオン触媒液は、40ppmのパラジウムイオン及び1,000ppmの2,6−ジメチルピラジンを含んだ。還元剤は、1g/Lの濃度のジメチルアミンボランであった。無電解銅めっきは、Dow Advanced Materialsから入手可能なCUPOSIT(商標)71HS無電解銅槽で行われた。
【0063】
無電解銅めっき後、ポリマー基板は銅
堆積の品質について分析された。すべてのポリマー基板が明るい銅
堆積を有した。各々のイミダゾールのプライマー製剤に関するバックグラウンドめっきの結果が下の表2に示される。
【0065】
金属塩がプライマー組成物に含まれなかったPC/ABSでは一部少量のバックグラウンドめっきがあったが、PCポリマー基板を除き、すべてのポリマー基板が金属塩を含む状態及び含まない状態で良好なバックグラウンドめっき抑制を有した。
【0066】
実施例2
プライマー組成物に含まれた6員複素環式窒素化合物が2−メチルピラジンであった点を除き、上の実施例1に記載の無電解銅めっきの方法が繰り返された。すべてのポリマー基板が明るい銅
堆積を有した。バックグラウンドめっきの結果を下の表に開示する。
【0068】
硫酸ニッケル六水和物で処理されたABSポリマー基板を除き、すべてのプライマーが金属塩を含んでまた含まずに良好なバックグラウンドめっき抑制を提供した。金属塩が硫酸マンガン五水和物及び硫酸ニッケル六水和物であったPCポリマー基板では、ごく少量のバックグラウンドめっきが観察された。
【0069】
実施例3
プライマー組成物に含まれた6員複素環式窒素化合物が2,6−ジメチルピラジンであった点を除き、上の実施例1に記載の無電解銅めっきの方法が繰り返された。すべてのポリマー基板が明るい銅
堆積を有した。バックグラウンドめっきの結果を下の表に開示する。
【0071】
最善のめっき結果が、ABSポリマー基板で得られた。バックグラウンドめっきは全く観察されなかった。硫酸マンガン五水和物を含んだプライマーを除き、すべてのPC/ABSポリマーがバックグラウンドめっきを抑制した。相当量のバックグラウンドめっきが観察された、硫酸マンガン五水和物を含んだプライマーを除き、多くのPCポリマーで許容可能な結果が観察された。