【文献】
KOBE,B. et al,European Journal of Medicinal Chemistry,1992年,Vol.27, No.3,p.259-66
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、コルチコステロイド、抗炎症性シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレナリン受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動剤、粘液溶解剤、高張食塩水、炎症誘発性細胞の感染部位への移行を阻害する剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の医薬組成物。
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノイラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル阻害剤、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、またはシアリダーゼである、請求項25に記載の医薬組成物。
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、インターフェロン、リバビリン、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、リマンタジン、CS−8958、ファビピラビル、AVI−7100、α−1プロテアーゼ阻害剤、またはDAS181である、請求項25に記載の医薬組成物。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本明細書では、Orthomyxoviridae科のウイルスを阻害する化合物が提供される。本発明は、細胞性核酸ポリメラーゼではなく、ウイルス性核酸ポリメラーゼ、特にOrthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を阻害する、式Iの化合物も含む。式Iの化合物は、ヒトおよびその他の動物のOrthomyxoviridae感染を処置するのに有用である。
【0008】
本発明の第1の実施形態は、式I
【化1】
(式中、
R
1およびR
7のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、OR
a、(C
1〜C
8)ハロアルキル、CN、N
3、(C
1〜C
8)アルキル、(C
1〜C
8)置換アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)置換アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、または(C
2〜C
8)置換アルキニルであり、
ここで、置換基は、−X、−R
b、−OH、=O、−OR
b、−SR
b、−S
−、−NR
b2、−N
+R
b3、=NR
b、−CX
3、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−NHC(=O)R
b、−OC(=O)R
b、−NHC(=O)NR
b2、−S(=O)
2−、−S(=O)
2OH、−S(=O)
2R
b、−OS(=O)
2OR
b、−S(=O)
2NR
b2、−S(=O)R
b、−OP(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(O
−)
2、−P(=O)(OH)
2、−P(O)(OR
b)(O
−)、−C(=O)R
b、−C(=O)X、−C(S)R
b、−C(O)OR
b、−C(O)O
−、−C(S)OR
b、−C(O)SR
b、−C(S)SR
b、−C(O)NR
b2、−C(S)NR
b2、−C(=NR
b)NR
b2からなる群から選択され、各Xは独立して、ハロゲン:F、Cl、Br、またはIであり、各R
bは独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分であり、
R
2は、OR
aであり、
R
3は、ハロゲンまたはN
3であり、
各R
aは独立して、H、アリール、アリールアルキル、または(C
1〜C
8)アルキルであり、
R
4およびR
5のそれぞれは独立して、H、=O、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、S(O)
nR
a、ハロゲン、または(C
1〜C
8)ハロアルキルであり、
nは、0、1、または2であり、
R
6は、H、アリール、アリールアルキル、または
【化2】
であり、
式中、W
1およびW
2はそれぞれ独立して、OR
aまたは式Ia
【化3】
の基であり、
式中、各Yは独立して、結合またはOであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、H、ハロゲン、またはOHである)
の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを対象とする。
【0009】
好ましい実施形態では、式Iの化合物は、式II
【化4】
によって表されるものであるか、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。その他の好ましい実施形態では、R
1がHであり、R
2がOHもしくはO−ベンジルであり、かつ/またはR
3がFもしくはN
3であり、より好ましくはR
3がFである。本発明のある実施形態では、R
4がNH
2であり、R
5がH、F、Cl、Br、N
3、CN、CF
3、NH
2、SMe、またはSO
2Meであり、別の実施形態では、R
5がNH
2であり、R
4が=O、OH、OMe、Cl、Br、I、NH
2、NHMe、NHcPr、またはSMeである。さらにその他の好ましい実施形態では、R
4およびR
5が共にNH
2もしくはSMeであり、R
5がHであるか、またはR
4が=Oである。その他の好ましい実施形態では、R
6がH、ベンジル、または
【化5】
であり、
式中、W
2はOHであり、W
1は式Ia
【化6】
の基であり、
式中、各YはOであり;M2は2であり;各R
xはHである。別の実施形態では、R
7がHまたはOHである。
【0010】
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態で定義された、治療上有効な量の式I、II、またはIIIの化合物と、薬学的に許容される担体または添加剤とを含む、医薬組成物を対象とする。その、ある実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の治療剤をさらに含む。
【0011】
本発明の第3の実施形態は、Orthomyxoviridae感染の処置を必要とする哺乳動物のOrthomyxoviridae感染を処置するための方法であって、本発明の第1の実施形態で定義される、治療上有効な量の式I、II、もしくはIIIの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを投与するステップを含む方法を対象とする。いくつかの実施形態では、処置されるOrthomyxoviridae感染は、インフルエンザウイルスA型感染、インフルエンザウイルスB型感染、またはインフルエンザウイルスC型感染である。別の実施形態では、方法は、有効量の式I、II、もしくはIIIの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを、薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む、治療上有効な量の医薬組成物を投与することによって、Orthomyxoviridae感染の処置を必要とする哺乳動物のOrthomyxoviridae感染を処置するステップを含む。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する方法を提供する。さらなる実施形態では、この方法は、Orthomyxoviridaeウイルスに感染した細胞と、有効量の式I、II、もしくはIIIの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルとを接触させるステップを含む。
【0013】
この実施形態の別の態様では、本発明は、Orthomyxoviridaeウイルス
感染を処置する方法を提供し、ある実施形態では、コルチコステロイド、抗炎症性シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレナリン受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動剤、粘液溶解剤、高張食塩水、炎症誘発性細胞の感染部位への移行を阻害する剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、治療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤またはその組成物を投与するステップをさらに含む。ある実施形態では、追加の治療剤は、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノイラミダーゼ(neuramidase)阻害剤、M2イオンチャネル阻害剤、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、またはシアリダーゼである。別の実施形態では、追加の治療剤は、リバビリン、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、リマンタジン、CS−8958、ファビピラビル、AVI−7100、α−1プロテアーゼ阻害剤、およびDAS181からなる群から選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、式I、II、もしくはIIIの化合物および/または少なくとも1種の追加の治療剤は、吸入によって投与される。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式I
【化64】
(式中、
R
1およびR
7のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、OR
a、(C
1〜C
8)ハロアル
キル、CN、N
3、(C
1〜C
8)アルキル、(C
1〜C
8)置換アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)置換アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、または(
C
2〜C
8)置換アルキニルであり、
ここで、前記置換基は、−X、−R
b、−OH、=O、−OR
b、−SR
b、−S
−、−
NR
b2、−N
+R
b3、=NR
b、−CX
3、−CN、−OCN、−SCN、−N=C
=O、−NCS、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−NHC(=O)R
b、−OC(
=O)R
b、−NHC(=O)NR
b2、−S(=O)
2−、−S(=O)
2OH、−S
(=O)
2R
b、−OS(=O)
2OR
b、−S(=O)
2NR
b2、−S(=O)R
b
、−OP(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(O
−)
2、
−P(=O)(OH)
2、−P(O)(OR
b)(O
−)、−C(=O)R
b、−C(=
O)X、−C(S)R
b、−C(O)OR
b、−C(O)O
−、−C(S)OR
b、−C
(O)SR
b、−C(S)SR
b、−C(O)NR
b2、−C(S)NR
b2、−C(=
NR
b)NR
b2からなる群から選択され、各Xは独立して、ハロゲン:F、Cl、Br
、またはIであり、各R
bは独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複
素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分であり、
R
2は、OR
aであり、
R
3は、ハロゲンまたはN
3であり、
各R
aは独立して、H、アリール、アリールアルキル、または(C
1〜C
8)アルキルで
あり、
R
4およびR
5のそれぞれは独立して、H、=O、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、
S(O)
nR
a、ハロゲン、または(C
1〜C
8)ハロアルキルであり、
各nは、0、1、または2であり、
R
6は、H、アリール、アリールアルキル、または
【化65】
であり、
式中、W
1およびW
2はそれぞれ独立して、OR
aまたは式Ia
【化66】
の基であり、
式中、各Yは独立して、結合またはOであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、H、ハロゲン、またはOHである)
の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステル。
(項目2)
式II
【化67】
によって表される、項目1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物
、もしくはエステル。
(項目3)
R
1がHである、項目2に記載の化合物。
(項目4)
以下の
【化68】
からなる群から選択される、項目3に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩、
溶媒和物、もしくはエステル。
(項目5)
R
1が、H、CH
2OH、CH
2F、CHF
2、CH=CH
2、C≡CH、CN、CH
2CH=CH
2、N
3、CH
3、またはCH
2CH
3である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
R
1がHである、項目5に記載の化合物。
(項目7)
R
2がOHまたはO−ベンジルである、項目1に記載の化合物。
(項目8)
R
2がOHである、項目7に記載の化合物。
(項目9)
R
3がFまたはN
3である、項目1に記載の化合物。
(項目10)
R
3がFである、項目9に記載の化合物。
(項目11)
R
4がNH
2であり、R
5が、H、F、Cl、Br、N
3、CN、CF
3、NH
2、S
Me、またはSO
2Meである、項目1に記載の化合物。
(項目12)
R
5がNH
2であり、R
4が、=O、OH、OMe、Cl、Br、I、NH
2、NHM
e、NHcPr、またはSMeである、項目1に記載の化合物。
(項目13)
R
4およびR
5のそれぞれが独立して、H、NH
2、=O、NHMe、NHcPr、O
H、OMe、Cl、Br、I、SMe、F、N
3、CN、CF
3、およびSO
2Meから
なる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目14)
R
5が、HまたはNH
2である、項目13に記載の化合物。
(項目15)
R
4が、=OまたはNH
2である、項目13に記載の化合物。
(項目16)
R
6が、H、ベンジル、または
【化69】
であり、
式中、W
2はOHであり、W
1は、式Ia
【化70】
の基であり、
式中、
YはOであり、
M2は2であり、
各R
xはHである、項目1に記載の化合物。
(項目17)
R
6がHである、項目16に記載の化合物。
(項目18)
R
7が、HまたはOHである、項目1に記載の化合物。
(項目19)
R
7がHである、項目18に記載の化合物。
(項目20)
R
1がHであり、R
2がOHであり、R
3がFである、項目1に記載の化合物。
(項目21)
R
4およびR
5が、NH
2、H、または=Oであり、R
6およびR
7が水素である、項
目20に記載の化合物。
(項目22)
R
1がHであり、R
2が、O−ベンジルまたはOHであり、R
3がFであり、R
4が、
SMe、NH
2、または=Oであり、R
5が、SMe、SO
2Me、H、またはNH
2で
あり、R
6が、ベンジルまたは
【化71】
であり、
式中、W
2がOHであり、W
1が式Ia
【化72】
の基であり、
式中、
YはOであり、
M2は2であり、
各R
xはHであり、R
7は、HまたはOHである、項目1に記載の化合物。
(項目23)
以下の
【化73-1】
【化73-2】
である、項目1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくは
エステル。
(項目24)
以下の
【化74-1】
【化74-2】
【化74-3】
である、項目1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくは
エステル。
(項目25)
治療上有効な量の、項目1に記載の化合物と、
薬学的に許容される担体または添加剤と
を含む、医薬組成物。
(項目26)
少なくとも1種の追加の治療剤をさらに含む、項目25に記載の医薬組成物。
(項目27)
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、コルチコステロイド、抗炎症性シグナル伝達モ
ジュレーター、β2−アドレナリン受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動剤、粘
液溶解剤、高張食塩水、炎症誘発性細胞の感染部位への移行を阻害する剤、およびこれら
の混合物からなる群から選択される、項目26に記載の医薬組成物。
(項目28)
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノ
イラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル阻害剤、Orthomyxoviridae
RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、またはシアリダーゼである、項目27に記載の
医薬組成物。
(項目29)
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、インターフェロン、リバビリン、オセルタミビ
ル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、リマンタジン、CS−89
58、ファビピラビル、AVI−7100、α−1プロテアーゼ阻害剤、またはDAS1
81である、項目27に記載の医薬組成物。
(項目30)
Orthomyxoviridae感染の処置を必要とする哺乳動物のOrthomy
xoviridae感染を処置するための方法であって、治療上有効な量の式I
【化75】
(式中、
R
1およびR
7のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、OR
a、(C
1〜C
8)ハロアル
キル、CN、N
3、(C
1〜C
8)アルキル、(C
1〜C
8)置換アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)置換アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、または(
C
2〜C
8)置換アルキニルであり、
ここで、前記置換基は、−X、−R
b、−OH、=O、−OR
b、−SR
b、−S
−、−
NR
b2、−N
+R
b3、=NR
b、−CX
3、−CN、−OCN、−SCN、−N=C
=O、−NCS、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−NHC(=O)R
b、−OC(
=O)R
b、−NHC(=O)NR
b2、−S(=O)
2−、−S(=O)
2OH、−S
(=O)
2R
b、−OS(=O)
2OR
b、−S(=O)
2NR
b2、−S(=O)R
b
、−OP(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(O
−)
2、
−P(=O)(OH)
2、−P(O)(OR
b)(O
−)、−C(=O)R
b、−C(=
O)X、−C(S)R
b、−C(O)OR
b、−C(O)O
−、−C(S)OR
b、−C
(O)SR
b、−C(S)SR
b、−C(O)NR
b2、−C(S)NR
b2、−C(=
NR
b)NR
b2からなる群から選択され、各Xは独立して、ハロゲン:F、Cl、Br
、またはIであり、各R
bは独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複
素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分であり、
R
2は、OR
aであり、
R
3は、ハロゲンまたはN
3であり、
各R
aは独立して、H、アリールアルキル、アリール、または(C
1〜C
8)アルキルで
あり、
R
4およびR
5のそれぞれは独立して、H、=O、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、
S(O)
nR
a、ハロゲン、または(C
1〜C
8)ハロアルキルであり、
各nは、0、1、または2であり、
R
6は、H、アリール、アリールアルキル、または
【化76】
であり、
式中、W
1およびW
2はそれぞれ独立して、OR
aまたは式Ia
【化77】
の基であり、
式中、各Yは独立して、結合またはOであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、H、ハロゲン、またはOHである)
の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを投与するス
テップを含む方法。
(項目31)
前記式Iの化合物が、式II
【化78】
によって表されるものであるか、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくは
エステルである、項目30に記載の方法。
(項目32)
R
1がHである、項目31に記載の方法。
(項目33)
R
1が、H、CH
2OH、CH
2F、CHF
2、CH=CH
2、C≡CH、CN、CH
2CH=CH
2、N
3、CH
3、またはCH
2CH
3である、項目30に記載の方法。
(項目34)
R
1がHである、項目33に記載の方法。
(項目35)
R
2がOHまたはO−ベンジルである、項目30に記載の方法。
(項目36)
R
2がOHである、項目35に記載の方法。
(項目37)
R
3がFまたはN
3である、項目30に記載の方法。
(項目38)
R
3がFである、項目37に記載の方法。
(項目39)
R
4がNH
2であり、R
5が、H、F、Cl、Br、N
3、CN、CF
3、NH
2、S
Me、またはSO
2Meである、項目30に記載の方法。
(項目40)
R
5がNH
2であり、R
4が、=O、OH、OMe、Cl、Br、I、NH
2、NHM
e、NHcPr、またはSMeである、項目30に記載の方法。
(項目41)
R
4およびR
5が独立して、H、NH
2、=O、NHMe、NHcPr、OH、OMe
、Cl、Br、I、SMe、F、N
3、CN、CF
3、およびSO
2Meからなる群から
選択される、項目30に記載の方法。
(項目42)
R
5が、HまたはNH
2である、項目41に記載の方法。
(項目43)
R
4が、=OまたはNH
2である、項目41に記載の方法。
(項目44)
R
6が、H、ベンジル、または
【化79】
であり、
式中、W
2はOHであり、W
1は、式Ia
【化80】
の基であり、
式中、
各YはOであり、
M2は2であり、
各R
xはHである、項目30に記載の方法。
(項目45)
R
6がHである、項目44に記載の方法。
(項目46)
R
7が、HまたはOHである、項目30に記載の方法。
(項目47)
R
7がHである、項目46に記載の方法。
(項目48)
R
1がHであり、R
2がOHであり、R
3がFである、項目30に記載の方法。
(項目49)
R
4およびR
5が、NH
2、H、または=Oであり、R
6およびR
7が水素である、項
目48に記載の方法。
(項目50)
R
1がHであり、R
2が、O−ベンジルまたはOHであり、R
3がFであり、R
4が、
SMe、NH
2、または=Oであり、R
5が、SMe、SO
2Me、H、またはNH
2で
あり、R
6が、ベンジルまたは
【化81】
であり、
式中、W
2がOHであり、W
1が式Ia
【化82】
の基であり、
式中、
YはOであり、
M2は2であり、
各R
xはHであり、R
7は、HまたはOHである、項目30に記載の方法。
(項目51)
前記化合物が、
【化83-1】
【化83-2】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである、項目30に記載
の方法。
(項目52)
前記化合物が、
【化84】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである、項目51に記載
の方法。
(項目53)
前記化合物が、
【化85-1】
【化85-2】
【化85-3】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである、項目30に記載
の方法。
(項目54)
薬学的に許容される担体または添加剤を投与するステップをさらに含む、項目30に記
載の方法。
(項目55)
コルチコステロイド、抗炎症性シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレナリン受容
体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動剤、粘液溶解剤、高張食塩水、炎症誘発性細胞
の感染部位への移行を阻害する剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される、治
療上有効な量の少なくとも1種の追加の治療剤またはその組成物を投与するステップをさ
らに含む、項目30に記載の方法。
(項目56)
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノ
イラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル阻害剤、Orthomyxoviridae
RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、またはシアリダーゼである、項目55に記載の
方法。
(項目57)
前記少なくとも1種の追加の治療剤が、インターフェロン、リバビリン、オセルタミビ
ル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、リマンタジン、CS−89
58、ファビピラビル、AVI−7100、α−1プロテアーゼ阻害剤、またはDAS1
81である、項目55に記載の方法。
(項目58)
前記式Iの化合物、式IIの化合物、および/もしくは少なくとも1種の治療剤、また
はこれらの混合物が、吸入によって投与される、項目55に記載の方法。
(項目59)
前記式Iの化合物、式IIの化合物、および/もしくは少なくとも1種の治療剤、また
はこれらの混合物が、噴霧によって投与される、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記Orthomyxoviridae感染が、インフルエンザA型ウイルスによって
引き起こされる、項目30に記載の方法。
(項目61)
前記Orthomyxoviridae感染が、インフルエンザB型ウイルスによって
引き起こされる、項目30に記載の方法。
(項目62)
前記Orthomyxoviridae感染が、インフルエンザC型ウイルスによって
引き起こされる、項目30に記載の方法。
(項目63)
前記Orthomyxoviridae感染が、有効量の式Iの化合物、または薬学的
に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを薬学的に許容される賦形剤または担
体と組み合わせて含む、治療上有効な量の医薬組成物を投与することによって処置される
、項目30に記載の方法。
(項目64)
Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼが阻害される、
項目30に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明の第1の実施形態は、式I
【化7】
(式中、
R
1およびR
7のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、OR
a、(C
1〜C
8)ハロアルキル、CN、N
3、(C
1〜C
8)アルキル、(C
1〜C
8)置換アルキル、(C
2〜C
8)アルケニル、(C
2〜C
8)置換アルケニル、(C
2〜C
8)アルキニル、または(C
2〜C
8)置換アルキニルであり、
ここで、置換基は、−X、−R
b、−OH、=O、−OR
b、−SR
b、−S
−、−NR
b2、−N
+R
b3、=NR
b、−CX
3、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−NHC(=O)R
b、−OC(=O)R
b、−NHC(=O)NR
b2、−S(=O)
2−、−S(=O)
2OH、−S(=O)
2R
b、−OS(=O)
2OR
b、−S(=O)
2NR
b2、−S(=O)R
b、−OP(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(O
−)
2、−P(=O)(OH)
2、−P(O)(OR
b)(O
−)、−C(=O)R
b、−C(=O)X、−C(S)R
b、−C(O)OR
b、−C(O)O
−、−C(S)OR
b、−C(O)SR
b、−C(S)SR
b、−C(O)NR
b2、−C(S)NR
b2、−C(=NR
b)NR
b2からなる群から選択され、各Xは独立して、ハロゲン:F、Cl、Br、またはIであり、各R
bは独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分であり、
R
2は、OR
aであり、
R
3は、ハロゲンまたはN
3であり、
各R
aは独立して、H、アリール、アリールアルキル、または(C
1〜C
8)アルキルであり、
R
4およびR
5のそれぞれは独立して、H、=O、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、S(O)
nR
a、ハロゲン、または(C
1〜C
8)ハロアルキルであり、
各nは、0、1、または2であり、
R
6は、H、アリール、アリールアルキル、または
【化8】
であり、
式中、W
1およびW
2はそれぞれ独立して、OR
aまたは式Ia
【化9】
の基であり、
式中、各Yは独立して、結合またはOであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、H、ハロゲン、またはOHである)
の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを対象とする。式Iaに関し、YがOの場合、R
xはハロゲンではない。
【0016】
他に記述しない限り、本明細書で使用される下記の用語および文言は、下記の意味を有することが意図されている。
【0017】
商標名が本明細書で使用される場合、本出願人は、商標名の製品および商標名の製品の活性医薬成分(複数可)を独立して含むことを意図している。
【0018】
「アルキル」は、直鎖、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する炭化水素である。例えばアルキル基は、1から20個の炭素原子(即ち、C
1〜C
20アルキル)、1から8個の炭素原子(即ち、C
1〜C
8アルキル)、または1から6個の炭素原子(即ち、C
1〜C
6アルキル)を有することができる。適切なアルキル基の例には、メチル(Me、−CH
3)、エチル(Et、−CH
2CH
3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH
2CH
2CH
3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH
3)
2)、シクロプロピル(c−プロピル、cPr)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH
3)CH
2CH
3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH
3)
3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)
2)
、2−メチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3−メチル−1−ブチル(−CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2−メチル−1−ブチル(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1−ヘキシル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ヘキシル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3−ヘキシル(−CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH
3)C(CH
3)
3、およびオクチル(−(CH
2)
7CH
3)が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0019】
「アルケニル」は、少なくとも1個の不飽和部位、即ち炭素−炭素sp
2二重結合を有する、直鎖、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する炭化水素である。例えばアルケニル基は、2から20個の炭素原子(即ち、C
2〜C
20アルケニル)、2から8個の炭素原子(即ち、C
2〜C
8アルケニル)、または2から6個の炭素原子(即ち、C
2〜C
6アルケニル)を有することができる。適切なアルケニル基の例には、エチレン、またはビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、シクロペンテニル(−C
5H
7)、および5−ヘキセニル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH=CH
2)が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0020】
「アルキニル」は、少なくとも1個の不飽和部位、即ち炭素−炭素sp三重結合を有する直鎖、第二級、第三級、または環状炭素原子を含有する炭化水素である。例えばアルキニル基は、2から20個の炭素原子(即ち、C
2〜C
20アルキニル)、2から8個の炭素原子(即ち、C
2〜C
8アルキン)、または2から6個の炭素原子(即ち、C
2〜C
6アルキニル)を有することができる。適切なアルキニル基の例には、アセチレニック(−C≡CH)およびプロパルギル(−CH
2C≡CH)などが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0021】
「アリール」は、親芳香環系の単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された、芳香族炭化水素ラジカルを意味する。例えばアリール基は、6から20個の炭素原子、6から14個の炭素原子、または6から10個の炭素原子を有することができる。典型的なアリール基には、ベンゼン(例えば、フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、およびビフェニルなどから誘導されたラジカルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0022】
「アリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端炭素原子またはsp
3炭素原子に結合している水素原子の1個がアリールラジカルに置き換えられた、非環状アルキルラジカルを指す。典型的なアリールアルキル基には、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、ナフトベンジル、および2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが含まれるが、これらに限定するものではない。アリールアルキル基は、7から20個の炭素原子を含むことができ、例えばアルキル部分は1から6個の炭素原子であり、アリール部分は6から14個の炭素原子である。
【0023】
「炭素環」または「カルボシクリル」は、単環として3から7個の炭素原子、二環として7から12個の炭素原子、多環として最大約20個の炭素原子を有する、飽和(即ち、シクロアルキル)、部分不飽和(例えば、シクロアルケニル、シクロアルカジエニルなど)、または芳香環を指す。単環式炭素環は、3から7個の環原子を有し、さらにより典型的には5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[
5,5]、[5,6]、もしくは[6,6]系として配置された7から12個の環原子、またはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配置された9もしくは10個の環原子、またはスピロ縮合環を有する。単環式炭素環の非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、およびフェニルが含まれる。ビシクロ炭素環の非限定的な例には、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、およびデカリンが含まれる。
【0024】
「ハロアルキル」は、上で定義されたとおりのアルキル基であって、アルキル基の1個または複数の水素原子がハロゲン原子に置き換えられた、アルキル基である。ハロアルキル基のアルキル部分は、1から20個の炭素原子(即ち、C
1〜C
20ハロアルキル)、1から12個の炭素原子(即ち、C
1〜C
12ハロアルキル)、または1から6個の炭素原子(即ち、C
1〜C
6アルキル)を有することができる。適切なハロアルキル基の例には、−CF
3、−CHF
2、−CFH
2、および−CH
2CF
3などが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0025】
本明細書で使用される「複素環」または「ヘテロシクリル」は、例としては、Paquette, Leo A.; Principles of Modern Heterocyclic Chemistry(W.A. Benjamin、New York、1968年)、特に第1、3、4、6、7、および9章;The Chemistry
of Heterocyclic Compounds, A Series of Monographs”(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在)、特に第13、14、16、19、および28巻;および、J. Am. Chem. Soc.(1960年)82巻:5566頁に記載されている複素環を含み、かつこれらに限定するものではない。本発明のある特定の実施形態において、「複素環」は、本明細書で定義される「炭素環」であって、1個または複数(例えば、1、2、3、または4個)の炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)で置き換えられている、「炭素環」を含む。「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、飽和環、部分不飽和環、および芳香環(即ち、芳香族複素環)を含む。
【0026】
アルキル、アルケニル、アリールなどに関する「置換(された)」という用語、例えばそれぞれ「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アリール」は、1個または複数の水素原子がそれぞれ独立して非水素置換基で置き換えられているものである。典型的な置換基には、−X、−R
b、−OH、=O、−OR
b、−SR
b、−S
−、−NR
b2、−N
+R
b3、=NR
b、−CX
3、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−NHC(=O)R
b、−OC(=O)R
b、−NHC(=O)NR
b2、−S(=O)
2−、−S(=O)
2OH、−S(=O)
2R
b、−OS(=O)
2OR
b、−S(=O)
2NR
b2、−S(=O)R
b、−OP(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(O
−)
2、−P(=O)(OH)
2、−P(O)(OR
b)(O
−)、−C(=O)R
b、−C(=O)X、−C(S)R
b、−C(O)OR
b、−C(O)O
−、−C(S)OR
b、−C(O)SR
b、−C(S)SR
b、−C(O)NR
b2、−C(S)NR
b2、−C(=NR
b)NR
b2が含まれるが、これらに限定するものではなく、ここで、各Xは独立してハロゲン:F、Cl、Br、またはIであり;各R
bは独立してH、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分である。
【0027】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、生物系に投与されたときに、自発的化学反応(一つもしくは複数)、酵素触媒化学反応(一つもしくは複数)、光分解、および/または代謝性化学反応(一つもしくは複数)の結果として、薬物物質、即ち活性
成分を生じさせる、任意の化合物を指す。したがってプロドラッグは、治療上活性な化合物の、共有結合により修飾された類似体または潜伏性形態である。
【0028】
「保護基」は、官能基の性質または化合物全体の性質をマスクするかまたは変化させる、化合物の部分を指す。保護基の化学構造は、広く様々である。保護基の一つの機能は、親薬物物質の合成における中間体として働くことである。化学的保護基および保護/脱保護のための方策は、当技術分野で周知である。「Protective Groups in Organic Chemistry」、Theodora W. Greene(John Wiley & Sons, Inc.、New York、1991年を参照されたい。保護基は、所望の化学反応、例えば順序づけられ、かつ計画された手法で化学結合をマスクし分解する効率を助けるために、ある官能基の反応性をマスクするのにしばしば利用される。化合物の官能基の保護は、極性、親油性(疎水性)、および一般的な分析ツールにより測定可能であるその他の性質など、保護された官能基の反応性の他に、その他の物理的性質を変化させる。化学的に保護された中間体は、それ自体が生物学的に活性であっても不活性であってもよい。
【0029】
保護された化合物はまた、細胞膜の通過および酵素分解もしくは金属イオン封鎖(sequestration)に対する耐性など、in vitroおよびin vivoで、変化させた性質、そして場合によっては最適化された性質を示すことができる。この役割において、意図された治療上の効果を有する保護された化合物を、プロドラッグと呼んでもよい。保護基の別の機能は、親薬物をプロドラッグに変換することであり、それによって親薬物は、in vivoでプロドラッグの変換直後に放出される。活性プロドラッグは、親薬物よりも効果的に吸収され得るので、プロドラッグは、in vivoで親薬物よりも大きな効力を保有することができる。保護基は、化学中間体の場合にはin vitroで除去されるか、またはプロドラッグの場合にはin vivoで除去される。化学中間体の場合、脱保護後に得られる生成物、例えばアルコールが生理学的に許容されることは特に重要ではないが、一般に、生成物が薬理学的に無害であることがより望ましい。
【0030】
「プロドラッグ部分」は、全身で、細胞内で、加水分解によって、酵素切断によって、またはいくつかのその他のプロセスによって、代謝中に活性阻害化合物から分離する、不安定な官能基を意味する(Bundgaard, Hans、「Design and Application of Prodrugs」、Textbook of Drug Design and Development(1991年)、P. Krogsgaard−LarsenおよびH. Bundgaard編、Harwood Academic Publishers、113〜191頁)。本発明のホスホネートプロドラッグ化合物による酵素活性化機序が可能な酵素には、アミダーゼ、エステラーゼ、微生物酵素、ホスホリパーゼ、コリンエステラーゼ、およびホスファーゼが含まれるが、これらに限定するものではない。プロドラッグ部分は、薬物送達、バイオアベイラビリティ、および効力が最適化されるよう、溶解度、吸収性、および親油性を高めるのに役立ち得る。プロドラッグ部分は、活性代謝物またはその薬物を含んでいてもよい。
【0031】
例示的なプロドラッグ部分としては、加水分解に敏感または不安定なアシルオキシメチルエステル −CH
2OC(=O)R
30、およびアシルオキシメチルカーボネート −CH
2OC(=O)OR
30(ここで、R
30はC
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6置換アルキル、C
6〜C
20アリール、またはC
6〜C
20置換アリールである)が挙げられる。アシルオキシアルキルエステルを、カルボン酸に対するプロドラッグの方策として使用し、次いで、Farquharら、(1983年)J. Pharm. Sci. 72巻:324頁;同様に米国特許第4816570号、同第4968788号、同第5663159号、および同第5792756号により、ホスフェートおよびホスホネートに適
用した。本発明のある化合物では、プロドラッグ部分がホスフェート基の一部である。アシルオキシアルキルエステルは、細胞膜を横断してリン酸を送達するのに、かつ口内バイオアベイラビリティを高めるのに使用されてもよい。アシルオキシアルキルエステルに近い改変体である、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル(カーボネート)が、本発明の組合せの化合物中のプロドラッグ部分として口内バイオアベイラビリティを高めてもよい。例示的なアシルオキシメチルエステルは、ピバロイルオキシメトキシ(POM)、−CH
2OC(=O)C(CH
3)
3である。例示的なアシルオキシメチルカーボネートプロドラッグ部分は、ピバロイルオキシメチルカーボネート(POC)、−CH
2OC(=O)OC(CH
3)
3である。
【0032】
ホスフェート基は、ホスフェートプロドラッグ部分であってもよい。プロドラッグ部分は加水分解に敏感であってもよく、例えば、限定するものではないがピバロイルオキシメチルカーボネート(POC)またはPOM基を含むものである。あるいはプロドラッグ部分は、乳酸エステルまたはホスホンアミデートエステル基など、酵素による増強された切断に敏感であってもよい。
【0033】
当業者であれば、式Iの化合物の置換基およびその他の部分は、許容可能に安定な医薬組成物へと製剤化することができる薬学的に有用な化合物を提供するのに十分安定である化合物を提供するように選択されるべきであることを認識する。そのような安定性を有する式Iの化合物は、本発明の範囲内に包含されることが企図される。
【0034】
式Iの範囲内にある化合物の全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、およびラセミ混合物、互変異性体、多形、擬多形と、薬学的に許容されるその塩(ならびに、錯体、共結晶など)、溶媒和物、またはエステルは、本発明に包含されることに留意されたい。そのような鏡像異性体およびジアステレオマーの全ての混合物は、本発明の範囲内にある。
【0035】
式Iの化合物、およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはエステルは、種々の多形または擬多形として存在してもよい。本明細書で使用される結晶質多形性は、結晶質化合物が種々の結晶構造で存在する能力を意味する。結晶質多形性は、結晶充填の相違(充填多形性)、または同じ分子の異なるコンフォーマー間の充填の相違(配座多形性)の結果として生じ得る。本明細書で使用される結晶質擬多形性は、化合物の水和物または溶媒和物が種々の結晶構造で存在する能力を意味する。本発明の擬多形は、結晶充填の相違(充填擬多形性)によるか、または同じ分子の異なるコンフォーマー間の充填の相違(配座擬多形性)により、存在することができる。本発明は、式Iの化合物の全ての多形および擬多形と、それらの薬学的に許容される塩とを含む。
【0036】
式Iの化合物、およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはエステルは、非晶質固体として存在してもよい。本明細書で使用される非晶質固体は、固体中の原子の位置に、長距離秩序のない固体である。この定義は、結晶サイズが2ナノメートルもしくはそれ未満である場合も同様に適用される。溶媒を含めて添加物は、本発明の非晶質形態を生成するのに使用されてもよい。本発明は、式Iの化合物の全ての非晶質形態と、それらの薬学的に許容される塩とを含む。
【0037】
本発明のある実施形態では、式Iの化合物は、式II
【化10】
によって表されるものであるか、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルであり、式中、変数は式Iに対して定義したとおりである。好ましくは、式II中のR
1はHであり、R
4はNH
2もしくは=Oであり、かつ/またはR
5はNH
2もしくはHである。より好ましくは、化合物は、
【化11】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルからなる群から選択される。
【0038】
式Iの化合物の好ましい実施形態において、R
1はH、CH
2OH、CH
2F、CHF
2、CH=CH
2、C≡CH、CN、CH
2CH=CH
2、N
3、CH
3、またはCH
2CH
3であり、より好ましくはR
1がHである。
【0039】
本発明のさらなる実施形態では、R
2がOHまたはO−ベンジルであり、より好ましくはOHである。
【0040】
本発明のさらなる実施形態では、R
3がFまたはN
3であり、より好ましくはR
3がFである。
【0041】
さらなる好ましい実施形態では、R
4およびR
5は、H、NH
2、=O、NHMe、NHcPr、OH、OMe、Cl、Br、I、SMe、F、N
3、CN、CF
3、およびSO
2Meから選択され、より好ましくはR
4が=OもしくはNH
2であり、かつ/またはR
5がHもしくはNH
2である。
【0042】
さらなる実施形態では、R
6は、H、ベンジル、または
【化12】
であり、
式中、W
2はOHであり、W
1は、式Ia
【化13】
の基であり、
式中、
YはOであり;
M2は2であり;
各R
xはHであり、より好ましくはR
6はHである。
【0043】
本発明のさらなる実施形態では、R
7がHまたはOHであり、より好ましくはR
7がHである。
【0044】
本発明のその他の好ましい実施形態では、R
1がHであり、R
2がOHであり、R
3がFである。別の好ましい実施形態では、R
1がHであり、R
2がOHであり、R
3がFであり、R
4およびR
5がNH
2、H、または=Oであり、R
6およびR
7が水素である。
【0045】
さらに別の好ましい実施形態では、R
1がHであり、R
2がO−ベンジルまたはOHであり、R
3がFであり、R
4がSMe、NH
2、または=Oであり、R
5がSMe、SO
2Me、H、またはNH
2であり、R
6がベンジルまたは
【化14】
であり、
式中、W
2はOHであり、W
1は、式Ia
【化15】
の基であり、
式中、
YはOであり;
M2は2であり;
各R
xはHであり、R
7はHまたはOHである。
【0046】
本発明のその他のある実施形態では、R
4はNH
2であり、R
5はH、F、Cl、Br、N
3、CN、CF
3、NH
2、SMe、もしくはSO
2Meであるか、またはR
5はNH
2であり、R
4は=O、OH、OMe、Cl、Br、I、NH
2、NHMe、NHcPr、もしくはSMeである。その好ましい実施形態では、R
4およびR
5が共にNH
2またはSMeであり、R
5がHであるか、またはR
4が=Oである。
【0047】
本発明の別の実施形態では、R
1がHであり、R
2がO−ベンジルであり、R
3がFであり、R
4がSMe、NH
2、OMe、またはOCH
2CH
3であり、R
5がH、SMe、SO
2Me、NH
2、N
3、またはFであり、R
6はベンジルであり、R
7はHまたはOHである。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、
【化16-1】
【化16-2】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0049】
本発明の別の実施形態では、式Iの化合物は、
【化17】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0050】
本発明のさらにその他の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0051】
本発明のある実施形態では、本発明は、式III
【化19】
(式中、
R
8はNH
2、OMe、OCH
2CH
3、または=Oであり、
R
9はNH
2、H、またはFである)
の化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを対象とする。
【0052】
好ましくは、式IIIの化合物は、
【化20】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルからなる群から選択される。より好ましくは、式IIIの化合物は、
【化21】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルからなる群から選択される。
【0053】
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態に関して上で定義された、治療上有効な量の式Iの化合物と、薬学的に許容される担体または添加剤とを含む医薬組成物を対象とする。そのある特定の実施形態では、式Iの化合物は、本発明の第1の実施形態に関して上で定義された式IIまたは式IIIによって表されるものである。本発明の第2の実施形態における用語は、本発明の第1の実施形態に関する上記の通りに定義される。本発明の第2の実施形態におけるR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7の好ましい実施形態は、本発明の第1の実施形態の場合と同じである。
【0054】
本発明の第2の実施形態の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、
【化22-1】
【化22-2】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルであり、より好ましくは、
【化23】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0055】
本発明の別の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、
【化24-1】
【化24-2】
【化24-3】
【化24-4】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0056】
「医薬組成物」および「医薬製剤」という用語は、本明細書では互換的に使用される。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を含有し、通常の実施に従って選択される任意の従来の担体および添加剤を使用して製剤化されてもよい。錠剤は、添加剤、流動促進剤、充填剤、および結合剤などを含有する。水性医薬製剤は滅菌形態に調製され、経口投与以外により送達されることが意図される場合には、一般に等張性である。全ての医薬製剤は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(1986年)に記述されるような添加剤を任意選択で含有する。適切な添加剤には、アスコルビン酸およびその他の抗酸化剤、EDTAなどのキレート剤、炭水化物、例えばデキストラン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、およびステアリン酸などが含まれるが、これらに限定するものではない。医薬製剤のpHは、好ましくは約3から約11に、より好ましくは約7から約10に及んでもよい。
【0057】
活性成分を単独で投与することは可能であるが、医薬製剤としてそれらを与えることが好ましい場合がある。本発明の、獣医学で使用するためおよびヒトが使用するための両方の医薬製剤は、上で定義された少なくとも1種の活性成分を、1種または複数種の担体または添加剤、および任意選択で追加の治療剤と一緒に含む。
【0058】
治療上有効な量または有効用量は、本明細書で互換的に使用され、所望の結果をもたらすのに必要な活性成分の量を意味すると理解される。活性成分の有効用量は、少なくとも、処置がなされる状態の性質、毒性、化合物が予防的に使用されるのか(より低い用量)または活性ウイルス感染に対して使用されるのか、送達方法、および医薬製剤に依存し、従来の用量増量研究を使用して臨床医が容易に決定することができる。有効量は、1日当たり約0.0001から約100mg/kg体重;好ましくは1日当たり約0.01から約10mg/kg体重;より好ましくは1日当たり約0.01から約5mg/kg体重;最も好ましくは1日当たり約0.05から約0.5mg/kg体重であってもよい。例えば、約70kgの体重の成人に対する毎日の候補用量は、約1mgから約1000mgに及んでもよく、好ましくは約5mgから約500mgの間であり、単回用量の形をとっても複数回用量の形をとってもよい。
【0059】
別の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の追加の治療剤をさらに含む。追加の治療剤は、式Iの別の化合物、または式Iの化合物と共に使用するのに適切な任意の治療剤であり得る。例えば追加の治療剤は、コルチコステロイド、抗炎症性シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレナリン受容体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン作動剤、粘液溶解剤、高張食塩水、炎症誘発性細胞の感染部位への移行を阻害する剤、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。追加の治療剤は、Orthomyxoviridaeウイルス感染を処置するためのその他の薬物を含んでいてもよい。その他の実施形態では、追加の治療剤は、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノイラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル遮断剤、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、シアリダーゼ、およびOrthomyxoviridae感
染を処置するためのその他の薬物であってもよい。さらになお別の実施形態では、追加の治療剤は、インターフェロン、リバビリン、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、リマンタジン、CS−8958、ファビピラビル、AVI−7100、α−1プロテアーゼ阻害剤、またはDAS181である。
【0060】
本発明のその他のある実施形態では、医薬組成物によって処置されるOrthomyxoviridae感染は、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、またはインフルエンザC型ウイルスによって引き起こされる。
【0061】
医薬組成物は、処置がなされる状態に適切な任意の投与経路に適切なものを含む。適切な経路には、経口、吸入、経直腸、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、経膣、および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、鞘内、硬膜外を含む)などが含まれる。好ましい経路は、例えばレシピエントの状態に伴って変わってもよいことが理解されよう。
【0062】
医薬組成物は、単位剤形で都合良く与えられてもよく、調剤の分野で公知の任意の方法によって調製されてもよい。技法および医薬組成物は、一般に、Remington’s
Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing
Co.、Easton、PA)に見出される。そのような方法は、活性成分と、1種または複数種の付属成分を構成する担体とを会合させるステップを含む。一般に医薬組成物は、活性成分と、液体担体もしくは微粉固体担体またはその両方とを、均一にかつ密接に会合させ、次いで必要に応じて製品に成形することにより調製される。
【0063】
経口投与に適切な本発明の医薬組成物は、所定量の活性成分をそれぞれが含有するカプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤などの個別の単位として;粉末剤もしくは顆粒剤として;水性もしくは非水性液体の液剤もしくは懸濁剤として;または水中油型液体乳剤もしくは油中水型液体乳剤として与えられ得る。活性成分は、ボーラス剤、舐剤、またはペースト剤として投与され得る。
【0064】
錠剤は、圧縮または成型によって、任意選択で1種または複数種の付属成分と共に作製される。圧縮錠剤は、粉末または顆粒などの自由流動形態(free−flowing form)の活性成分を適切な機械で圧縮し、任意選択で結合剤、滑沢剤、不活性賦形剤、保存剤、界面活性剤、または分散剤と混合することによって調製されてもよい。成型錠剤は、不活性液体賦形剤で水分が加えられた粉末化活性成分の混合物を、適切な機械で成型することによって作製されてもよい。錠剤は、任意選択でコーティングされても刻み目を付けられてもよく、任意選択で、それから活性成分の持続放出または制御放出がもたらされるように製剤化される。
【0065】
眼またはその他の外部組織、例えば口および皮膚の感染の場合、医薬組成物は、好ましくは、活性成分(複数可)を例えば0.075から20%w/wの量(0.1%w/w単位での、0.1%から20%の間の範囲(例えば、0.6%w/w、0.7%w/wなど)の活性成分(複数可)を含む)で、好ましくは0.2から15%w/w、最も好ましくは0.5から10%w/wの量で含有する、局所軟膏またはクリームとして施用される。軟膏として製剤化される場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性軟膏基剤と共に用いられ得る。あるいは活性成分は、水中油型クリーム基剤を用いてクリームに製剤化されてもよい。
【0066】
望む場合には、クリーム基剤の水相は、例えば、多価アルコール、即ちプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、およびポリエチレングリコール(PEG400を含む)ならびにこれらの混合物など、2個もしくは2個超のヒドロキシル基を有するアルコールを、少なくとも30%w/w含んでいて
もよい。局所医薬組成物は、望ましくは、皮膚またはその他の影響を受けた領域を通した活性成分の吸収または浸透を高める化合物を含んでいてもよい。そのような皮膚浸透増強剤の例には、ジメチルスルホキシドおよび関連の類似体が含まれる。
【0067】
本発明のエマルジョンの油相は、公知の手法で公知の成分から構成されてもよい。該相は乳化剤(他にはエマルジェントとして公知である)のみ含んでいてもよいが、望ましくは、少なくとも1種の乳化剤と脂肪もしくは油または脂肪および油の両方との混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤が、安定化剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。油と脂肪の両方を含むことも好ましい。同時に、安定化剤(複数可)を伴うまたは伴わない乳化剤(複数可)は、いわゆる乳化蝋を構成し、この蝋は油および脂肪と一緒に、クリーム医薬組成物の油状分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。
【0068】
本発明の医薬組成物で使用するのに適切なエマルジェントおよびエマルジョン安定化剤には、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、およびラウリル硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0069】
医薬組成物に適切な油および脂肪の選択は、所望の美容的特性の実現に基づく。クリームは好ましくは、チューブまたはその他の容器から漏れないように適切な粘度を有する、非油状、非汚染性、および洗浄可能な生成物であるべきである。直鎖または分枝鎖の一または二塩基性アルキルエステル、例えばジイソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、またはCrodamol CAPとして公知の分枝鎖エステルのブレンドを使用することができ、最後の3種が好ましいエステルである。これらは、必要とされる性質に応じて単独でまたは組み合わせて使用され得る。あるいは、白色ワセリンおよび/または流動パラフィンまたはその他の鉱油など、高融点脂質が使用される。
【0070】
本発明による医薬組成物は、本発明による組合せを、1種または複数種の薬学的に許容される担体または添加剤、および任意選択で追加の治療剤と一緒に含む。活性成分を含有する医薬組成物は、意図される投与方法に適切な任意の形態であり得る。例えば経口使用で使用される場合、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁剤、分散性粉末剤または顆粒剤、乳剤、硬質または軟質カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤を調製することができる。経口使用が意図される医薬組成物は、医薬組成物の製造に関する技術分野で公知の任意の方法により調製されてもよく、そのような組成物は、味の良い調製物を得るために、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、および保存剤を含めた1種または複数種の剤を含有していてもよい。錠剤の製造に適切な無毒性の薬学的に許容される添加剤との混合物で、活性成分を含有する錠剤が、許容される。これらの添加剤は、例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性賦形剤;トウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;デンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合剤;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの滑沢剤であり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、あるいは、胃腸管での崩壊および吸着を遅延させ、それによってより長期にわたる持続作用がもたらされるように、マイクロカプセル封入を含めた公知の技法によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を単独でまたは蝋と共に用いることができる。
【0071】
経口使用のための医薬組成物は、活性成分が、不活性固体賦形剤、例えばリン酸カルシウムまたはカオリンと混合された状態にある硬質ゼラチンカプセル剤として、あるいは活性成分が、水、または落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油などの油媒体と混
合された状態にある軟質ゼラチンカプセル剤として与えられ得る。
【0072】
本発明の水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適切な添加剤との混合物で活性材料を含有する。そのような添加剤には、懸濁化剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴムと、分散剤または湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が含まれる。水性懸濁剤は、エチルp−ヒドロキシ−ベンゾエートまたはn−プロピルp−ヒドロキシ−ベンゾエートなどの1種または複数種の保存剤、1種または複数種の着色剤、1種または複数種の矯味矯臭剤、およびスクロースやサッカリンなどの1種または複数種の甘味剤を含有していてもよい。
【0073】
油性懸濁剤は、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはヤシ油などの植物油に、または流動パラフィンなどの鉱油に、活性成分を懸濁させることによって製剤化され得る。経口懸濁剤は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコールを含有し得る。上述されたものなどの甘味剤、および矯味矯臭剤は、味の良い経口調製物が得られるように添加してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存されてもよい。
【0074】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適切な本発明の分散性粉末剤および顆粒剤は、分散または湿潤剤、懸濁化剤、および1種または複数種の保存剤との混合物で活性成分を提供する。適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤は、上で開示されたものにより例示される。追加の添加剤、例えば甘味剤、矯味矯臭剤、および着色剤が存在していてもよい。
【0075】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、オリーブ油または落花生油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤には、天然に存在するゴム、例えばアカシアゴムおよびトラガカントゴム、天然に存在するホスファチド、例えば大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されたエステルまたは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、ならびにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが含まれる。乳剤は、甘味剤および矯味矯臭剤を含有していてもよい。シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトール、またはスクロースなどの甘味剤と共に製剤化されてもよい。そのような医薬組成物は、粘滑剤、保存剤、矯味矯臭剤または着色剤を含有し得る。
【0076】
本発明の医薬組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁剤などの、滅菌注射用調製物の形態であってもよい。この懸濁剤は、上述した適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術により製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、1,3−ブタン−ジオールの溶液剤など、無毒性の非経口的に許容される賦形剤または溶媒の滅菌注射用溶液剤または懸濁剤であり得るか、または凍結乾燥させた粉末として調製されてもよい。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油を、溶媒または懸濁媒体として従来通りに用いることができる。この目的で、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含めた任意のブランドの固定油を用いてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を、注射剤の調製で同様に使用することができる。
【0077】
例えば単一剤形を生成するために担体と組み合わせることができる活性成分の量は、処置されるホストおよび特定の投与形態に応じて変わる。例えば、ヒトへの経口投与が意図される時間放出医薬組成物は、全組成物の約5から約95%(重量:重量)まで変化し得る適切かつ都合の良い量の担体と配合された、約1から約1000mgの活性成分を含有していてもよい。医薬組成物は、投与するために、容易に測定可能な量を提供するように調製され得る。例えば、静脈内注入が意図される水溶液は、約30mL/時の注入速度を達成するために、溶液1ミリリットル当たり活性成分を約3から約500μg含有していてもよい。
【0078】
眼に局所投与するのに適切な医薬組成物は、活性成分を適切な担体に、特に活性成分用の水性溶媒に溶解または懸濁させた点眼剤を含む。活性成分は、好ましくは、そのような医薬組成物中に約0.5から約20%w/wの濃度で存在する。
【0079】
口内への局所投与に適切な医薬組成物には、矯味矯臭基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含む香錠;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含むマウスウォッシュ剤が含まれる。
【0080】
直腸投与用の医薬組成物は、例えばココアバターまたはサリチレートを含む適切な基剤を有する坐剤として存在してもよい。
【0081】
肺内または経鼻投与に適切な医薬組成物は、例えば約0.1から約500ミクロンの範囲、例えば約0.5、約1、約30、約35などの粒度を有し、これらは、肺胞に到達するように鼻経路を通しての急速吸入または口を通しての吸入によって投与される。適切な医薬組成物は、活性成分の水性または油性溶液を含む。エアゾール剤または乾燥粉末剤の投与に適切な医薬組成物は、従来の方法により調製されてもよく、以下に記述されるOrthomyxoviridae感染の処置または予防でこれまで使用されてきた化合物など追加の治療剤と共に送達されてもよい。
【0082】
別の態様では、本発明は、Orthomyxoviridae感染および潜在的に関連する細気管支炎の処置に対して適切な、式I、IIの化合物または薬学的に許容されるその塩を含む新規で効力のある安全な非刺激性および生理学的に適合性である吸入可能な組成物である。好ましい薬学的に許容される塩は、肺への刺激を少なくする可能性があることから塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩を含む無機酸塩である。好ましくは、吸入可能な医薬品化合物は、空気動力学的中央粒子径(mass median aerodynamic diameter:MMAD)が約1から約5μmの間である粒子を含むエアゾールで、気管支内空間に送達される。好ましくは、式Iの化合物は、ネブライザー、加圧式定量用量吸入器(pMDI)、または乾燥粉末吸入器(DPI)を使用したエアゾール送達用に製剤化される。
【0083】
ネブライザーの非限定的な例には、霧化、噴射、超音波、加圧、振動多孔質プレート、または適応可能なエアゾール送達技術を利用したネブライザーを含めた同等のネブライザーが含まれる(Denyer, J. Aerosol Medicine Pulmonary Drug Delivery 2010年、23巻補遺1、Sl−S10)。ジェットネブライザーは、液体溶液をエアゾールの液滴に破壊する空気圧を利用する。超音波ネブライザーは、液体を小さなエアゾールの液滴に剪断する圧電結晶によって作用する。加圧噴霧システムは、圧力をかけて強制的に溶液を小さい細孔に通すことによって、エアゾールの液滴を生じさせる。振動多孔質プレートデバイスは、急速振動を利用して、液体の流れを適切な液滴サイズに剪断する。
【0084】
好ましい実施形態では、噴霧用の医薬組成物は、式Iの化合物の医薬組成物を、必要とされるMMADの粒子へとエアゾール化することができるネブライザーを使用して、MMADが主として約1μmから約5μmの間である粒子を含むエアゾールとして気管支内空間に送達される。最適に治療上有効にするためにかつ上部呼吸器および全身への副作用を回避するために、エアゾール化した粒子の大部分は、約5μmよりも大きいMMADを有するべきではない。エアゾールが、5μmよりも大きいMMADを有する多数の粒子を含有する場合、粒子は、上気道内に沈着し、下気道の炎症部位および気管支収縮部位に送達される薬物の量が減少する。エアゾールのMMADが約1μmよりも小さい場合、粒子は、吸入された空気中に浮遊したままであるという傾向を有し、その後、呼息中に吐き出される。
【0085】
本発明の方法により製剤化され送達される場合、噴霧用のエアゾール医薬組成物は、Orthomyxoviridae感染を処置するのに十分に、治療上効力のある用量の式Iの化合物をOrthomyxoviridae感染部位に送達する。投与される薬物の量は、式Iの化合物の治療上有効な用量の送達効率が反映されるように、調整されなければならない。好ましい実施形態では、水性エアゾール医薬組成物と霧化、噴射、加圧、振動多孔質プレート、または超音波ネブライザーとの組合せにより、ネブライザーに応じて、式I、II、またはIIIの化合物の投与用量の少なくとも約20から約90%、典型的には約70%を気道内に送達可能になる。好ましい実施形態では、活性成分の少なくとも約30から約50%が送達される。より好ましくは、活性成分の約70から約90%が送達される。
【0086】
本発明の別の実施形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、乾燥吸入用粉末剤として送達される。本発明の化合物は、乾燥粉末または定量用量吸入器を使用して、化合物の微細粒子を気管支内空間に効果的に送達するために乾燥粉末医薬組成物として気管支内に投与される。DPIによる送達では、式Iの化合物は、ミリングスプレー(milling spray)乾燥、臨界流体加工、または溶液からの沈殿により、主としてMMADが約1μmから約5μmの間の粒子に加工される。MMADが約1μmから約5μmの間の粒度を生成することが可能な媒体ミリング、ジェットミリング、およびスプレー乾燥デバイスおよび手順は、当技術分野で周知である。一実施形態では、必要なサイズの粒子に加工する前に、添加剤を、式Iの化合物に添加する。別の実施形態では、例えば添加剤としてラクトースを使用することにより、薬物粒子の分散を助けるために、添加剤を必要なサイズの粒子とブレンドする。
【0087】
粒度の決定は、当技術分野で周知のデバイスを使用してなされる。例えば、定量用量および乾燥粉末吸入器内のエアゾール用の特徴付けデバイスとして、米国薬局方第601章に特に引用されるもののような、多段階Andersonカスケードインパクターまたはその他の適切な方法がある。
【0088】
別の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、乾燥粉末吸入器またはその他の乾燥粉末分散デバイスなどのデバイスを使用して、乾燥粉末として送達される。乾燥粉末吸入器およびデバイスの非限定的な例には、米国特許第5,458,135号;米国特許第5,740,794号;米国特許第5775320号;米国特許第5,785,049号;米国特許第3,906,950号;米国特許第4,013,075号;米国特許第4,069,819号;米国特許第4,995,385号;米国特許第5,522,385号;米国特許第4,668,218号;米国特許第4,667,668号;米国特許第4,805,811号、および米国特許第5,388,572号に開示されたものが含まれる。乾燥粉末吸入器の2つの主なデザインがある。一つのデザインは、薬物用リザーバーがデバイス内に配置され、患者が吸入チャンバー内に、ある用量の薬物を添加する定量デバイスである。第2のデザインは、個々の用量のそれぞれが別々の容器中に製造された、工場で計
量済みのデバイスである。両方のシステムは、MMADが1μmから約5μmの小さい粒子になる薬物の医薬組成物に依存し、しばしば、限定するものではないがラクトースなどのより大きい添加剤粒子との同時製剤化を含む。薬物粉末は、吸入チャンバーに配置され(デバイス計量によって、または工場で計量済みの投薬量の破壊のどちらかによって)、患者の吸気流が、デバイスから出て口腔内に入る粉末を加速させる。粉末経路の非層流特性は、添加剤−薬物凝集物を分解させ、大きな添加剤粒子の塊が、喉の背側に固着し、一方で、より小さい薬物粒子が肺の深部に沈着する。好ましい実施形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、本明細書に記述される乾燥粉末吸入器のいずれかのタイプを使用して乾燥粉末として送達され、任意の添加剤を除いた乾燥粉末のMMADは、主として約1μmから約5μmの範囲にある。
【0089】
別の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、定量用量吸入器を使用して乾燥粉末として送達される。定量用量吸入器およびデバイスの非限定的な例には、米国特許第5,261,538号;米国特許第5,544,647号;米国特許第5,622,163号;米国特許第4,955,371号;米国特許第3,565,070号;米国特許第3,361306号、および米国特許第6,116,234号に開示されているものが含まれる。好ましい実施形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、定量用量吸入器を使用して、乾燥粉末として送達され、任意の添加剤を除いた乾燥粉末のMMADは、主として約1から約5μmの範囲にある。
【0090】
膣投与に適切な医薬組成物は、活性成分に加え、例えば、適切であることが当技術分野で公知である担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー医薬組成物として与えられる。
【0091】
非経口投与に適切な医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および、医薬組成物を意図されるレシピエントの血液を等張性にする溶質を含有していてもよい水性および非水性滅菌注射用溶液剤;懸濁化剤および増粘剤を含んでいてもよい水性および非水性滅菌懸濁剤を含む。
【0092】
医薬組成物は、単位用量または複数回用量容器、例えば封止アンプルおよびバイアルで与えられ、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用の水の添加しか必要としないフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵されてもよい。即時注射溶液剤および懸濁剤は、前述の種類の滅菌粉末剤、顆粒剤、および錠剤から調製される。好ましい単位投薬量医薬組成物は、活性成分の、上で列挙されたような日用量もしくは単位1日サブ用量、またはその適切な割合を含有するものである。
【0093】
特に上述した成分に加え、本発明の医薬組成物は、問題となっている医薬組成物のタイプに関する当技術分野で従来通りのその他の剤を含んでいてもよく、例えば経口投与に適切なものには矯味矯臭剤を含めてもよいことを、理解すべきである。
【0094】
本発明はさらに、上で定義された少なくとも1種の活性成分を、それに合わせた獣医学用担体と一緒に含む、獣医学用組成物を提供する。
【0095】
獣医学用担体は、組成物を投与する目的に対して有用な材料であり、そして、固体、液体、または気体状材料であり得、この材料は、他の点で不活性であるかまたは獣医学の分野で許容され、活性成分と適合性である。これらの獣医学用組成物は、経口的に、非経口的に、または任意のその他の所望の経路により投与され得る。
【0096】
本発明の化合物は、1種または複数種の本発明の化合物を活性成分として含有する制御放出医薬製剤(「制御放出製剤」)であって、より少ない頻度での投与を可能にするよう
にまたは所与の活性成分の薬物動態もしくは毒性プロファイルを改善するように、活性成分の放出が制御され規制される製剤を提供するために使用され得る。
【0097】
別の実施形態では、本出願は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを、少なくとも1種の追加の治療剤、および薬学的に許容される担体または添加剤と組み合わせて含む、医薬組成物を開示する。
【0098】
Orthomyxoviridaeウイルス感染の処置の場合、好ましくは、追加の治療剤は、Orthomyxoviridaeウイルス感染、特にインフルエンザウイルス感染に対して活性である。これら活性治療剤の非限定的な例は、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノイラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル遮断剤、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、およびシアリダーゼである。ノイラミダーゼ阻害剤の非限定的な例には、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、およびCS−8958が含まれる。ウイルス性M2チャネル阻害剤の非限定的な例には、アマンタジンおよびリマンタジンが含まれる。Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤の非限定的な例は、リバビリンおよびファビピラビルである。シアリダーゼの非限定的な例は、DAS181である。別の実施形態では、追加の治療剤は、リバビリン、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、リマンタジン、CS−8958、ファビピラビル、AVI−7100、α−1プロテアーゼ阻害剤、およびDAS181からなる群から選択される。
【0099】
Orthomyxoviridaeウイルスの感染症の多くは、呼吸器感染症である。したがって、呼吸器の症状および感染の後遺症を処置するのに使用される追加の活性治療薬は、式I、II、またはIIIの化合物と組み合わせて使用されてもよい。例えば、ウイルス性呼吸器感染症を処置するための式I、II、またはIIIの化合物と組み合わされるその他の好ましい追加の治療剤には、気管支拡張剤およびコルチコステロイドが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0100】
1950年に喘息療法として最初に導入されたグルココルチコイド(Carryer、Journal of Allergy、21巻、282〜287頁、1950年)は、この疾患に関しては依然として最も強力であり一貫して有効な療法であるが、その作用機序まだ完全に理解されていない(Morris、J. Allergy Clin. Immunol.、75巻(1 Pt)、1〜13頁、1985年)。残念ながら経口グルココルチコイド療法は、体幹肥満、高血圧、緑内障、グルコース不耐性、白内障発症の加速、骨ミネラル損失、および心理的効果などの深刻な望ましくない副作用を伴い、その全ては、長期にわたる治療剤としての使用を制限する(Goodman and Gilman、第10版、2001年)。全身副作用の解決策は、炎症部位に直接ステロイド薬物を送達することである。吸入コルチコステロイド(ICS)は、経口ステロイドの深刻な有害作用を緩和するために開発されてきた。式Iの化合物と組み合わせて使用することができるコルチコステロイドの非限定的な例は、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール、エタボン酸ロテプレドノール、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルドロコルチゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ジプロピオン酸(diproprionate)ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオコルチン−21−ブチレート、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ハロベタゾール、フロ酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド;または薬学的に許容されるその塩である。
【0101】
抗炎症カスケード機序を通して作用するその他の抗炎症薬も、ウイルス性呼吸器感染症
の処置のための式Iの化合物と組み合わせる追加の治療剤として有用である。ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、PDE−4、PDE−5、またはPDE−7特異的)、転写因子阻害剤(例えば、IKK阻害を通したNFκBの遮断)、またはキナーゼ阻害剤(例えば、P38 MAP、JNK、PI3K、EGFR、またはSykを遮断)のような「抗炎症性シグナル伝達モジュレーター」(この文では、AISTMと呼ぶ)の施用は、これらの小分子が限られた数の共通の細胞内経路−抗炎症性の治療上の介入に関して極めて重要なポイントであるシグナル伝達経路を標的とするので(P.J. Barnes、2006年による総説参照)、炎症を止めるための論理的なアプローチである。これらの非限定的な追加の治療剤には、5−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−イソブチル−1H−インダゾール−6−カルボン酸(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミド(P38 Mapキナーゼ阻害剤ARRY−797);3−シクロプロピルメトキシ−N−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−4−ジフルオロルメトキシ−ベンズアミド(PDE−4阻害剤ロフルミラスト);4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニル−エチル]−ピリジン(PDE−4阻害剤CDP−840);N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)−8−[(メチルスルホニル)アミノ]−1−ジベンゾフランカルボキサミド(PDE−4阻害剤オグレミラスト);N−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソ−アセトアミド(PDE−4阻害剤AWD 12−281);8−メトキシ−2−トリフルオロメチル−キノリン−5−カルボン酸(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)−アミド(PDE−4阻害剤Sch 351591);4−[5−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−ピリジン(P38阻害剤SB−203850);4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−1−(3−フェニル−プロピル)−5−ピリジン−4−イル−1H−イミダゾール−2−イル]−ブタ−3−イン−1−オール(P38阻害剤RWJ−67657);4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−シクロヘキサンカルボン酸2−ジエチルアミノ−エチルエステル(シロミラスト(PDE−4阻害剤)の2−ジエチル−エチルエステルプロドラッグ);(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−[7−メトキシ−6−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−キナゾリン−4−イル]−アミン(ゲフィチニブ、EGFR阻害剤);および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(イマチニブ、EGFR阻害剤)が含まれる。
【0102】
炎症誘発性細胞の感染部位への移行を阻害する剤も、ウイルス性呼吸器感染症を処置するために、式Iの化合物と組み合わせる追加の治療剤として有用である。この機序を通して作用し、かつ例えばインフルエンザにより引き起こされる最終的な死亡率を低減させることによって動物での有用性が実証されたような剤の非限定的な例は、EV−077(二重トロンボキサンシンターゼ阻害剤/トロンボキサン受容体アンタゴニスト)およびFingolimod(登録商標)(スフィンゴシン−1−ホスフェート受容体アンタゴニスト)である。
【0103】
式Iの化合物と共にフォルモテロール、アルブテロール、またはサルメテロールなどの吸入β2−アドレナリン受容体アゴニスト気管支拡張剤を含む組合せも、呼吸器ウイルス感染症の処置に有用である、適切なしかし非限定的な組合せである。
【0104】
フォルモテロールまたはサルメテロールなどの吸入β2−アドレナリン受容体アゴニスト気管支拡張剤とICSとの組合せも、気管支収縮と炎症の両方を処置するのに使用される(それぞれ、Symbicort(登録商標)およびAdvair(登録商標))。これらのICSとβ−2アドレナリン受容体アゴニストの組合せを式Iの化合物と共に含む
組合せも、呼吸器ウイルス感染症の処置に有用である、適切なしかし非限定的な組合せである。
【0105】
肺気管支収縮の処置または予防の場合、抗コリン作動剤は潜在的な用途があるものであり、したがって、ウイルス性呼吸器感染症を処置するための式Iの化合物と組み合わせる追加の治療剤として有用である。これらの抗コリン作動剤には、COPDにおけるコリン作動性の緊張(cholinergic tone)の制御に関してヒトでの治療上の効力が示された(Witek、1999年)ムスカリン受容体(特に、M3サブタイプ)のアンタゴニスト;1−{4−ヒドロキシ−1−[3,3,3−トリス−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−アミド;3−[3−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2−フェニル−プロピオニルオキシ]−8−イソプロピル−8−メチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン(イプラトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);1−シクロヘキシル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルエステル(ソリフェナシン);2−ヒドロキシメチル−4−メタンスルフィニル−2−フェニル−酪酸1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルエステル(レバトロペート);2−{1−[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−エチル]−ピロリジン−3−イル}−2,2−ジフェニル−アセトアミド(ダリフェナシン);4−アゼパン−1−イル−2,2−ジフェニル−ブチルアミド(ブゼピド);7−[3−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2−フェニル−プロピオニルオキシ]−9−エチル−9−メチル−3−オキサ−9−アゾニア−トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(オキシトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);7−[2−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトキシ]−9,9−ジメチル−3−オキサ−9−アゾニア−トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(チオトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);ジメチルアミノ−酢酸2−(3−ジイソプロピルアミノ−1−フェニル−プロピル)−4−メチル−フェニルエステル(トルテロジン−N,N−ジメチルグリシネート);3−[4,4−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル]−1−メチル−1−(2−オキソ−2−ピリジン−2−イル−エチル)−ピロリジニウム;1−[1−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イル]−4,4−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾリジン−2−オン;1−シクロオクチル−3−(3−メトキシ−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−1−フェニル−プロパ−2−イン−1−オール;3−[2−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトキシ]−1−(3−フェノキシ−プロピル)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン(アクリジニウム−N,N−ジエチルグリシネート);または(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジン−4−イルエステルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0106】
式Iの化合物は、呼吸器感染症の感染および症状の両方を処置するために、粘液溶解剤と組み合わせてもよい。粘液溶解剤の非限定的な例は、アムブロキソールである。同様に、式Iの化合物は、呼吸器感染症の感染および症状の両方を処置するために、去痰薬と組み合わせてもよい。去痰薬の非限定的な例は、グアイフェネシンである。
【0107】
ネブライザーで処理された高張食塩水は、肺疾患がある患者の小気道の即座のかつ長期にわたる浄化を改善するのに使用される(Kuzik、J. Pediatrics、2007年、266)。式Iの化合物は、特にOrthomyxoviridaeウイルス感染が細気管支炎を併発したときに、ネブライザーで処理された高張食塩水と組み合わせてもよい。式Iの化合物と高張食塩水との組合せは、上で論じた追加の剤のいずれかを含んでいてもよい。好ましい態様では、ネブライザーで処理した約3%の高張食塩水が使用
される。
【0108】
本発明の任意の化合物と、1種または複数種のその他の活性治療剤とを組み合わせて、患者に同時または逐次投与するための単位剤形にすることも可能である。併用療法は、同時または逐次レジメンとして投与されてもよい。逐次投与される場合、組合せは、2回もしくは2回超の投与で投与されてもよい。
【0109】
本発明の化合物と1種または複数種のその他の活性治療剤との共投与は、一般に、治療上有効な量の本発明の化合物と1種または複数種のその他の活性治療剤とが共に患者の体内に存在するように、本発明の化合物と1種または複数種のその他の活性治療剤との同時または逐次投与を指す。
【0110】
共投与には、単位投薬量の1種または複数種のその他の活性治療剤を投与する前または後に、単位投薬量の本発明の化合物を投与することが含まれ、例えば本発明の化合物の投与は、1種または複数種のその他の活性治療剤の投与の数秒以内、数分以内、または数時間以内である。例えば、単位用量の本発明の化合物を最初に投与し、その後、数秒以内または数分以内に、単位用量の1種または複数種のその他の活性治療剤を投与することができる。
【0111】
あるいは、単位用量の1種または複数種の追加の治療剤を最初に投与し、その後、単位用量の本発明の化合物を数秒または数分以内に投与することができる。ある場合には、単位用量の本発明の化合物を最初に投与し、それから数時間(例えば、1〜12時間)後に、単位用量の1種または複数種のその他の活性治療剤を投与することが望ましい場合がある。その他の場合には、単位用量の1種または複数種のその他の活性治療剤を最初に投与し、それから数時間(例えば、1〜12時間)後に、単位用量の本発明の化合物を投与することが望ましい場合がある。
【0112】
本発明の第3の実施形態は、Orthomyxoviridae感染の処置を必要とする哺乳動物のOrthomyxoviridae感染を処置するための方法を対象とする。この方法は、本発明の第1の実施形態に関して上で定義された通りの、式Iの化合物を治療上有効な量で投与するステップを含む。そのある特定の実施形態では、式Iの化合物は、本発明の第1の実施形態に関して上で定義された通りの式IIまたは式IIIによって表される。本発明の第3の実施形態における用語は、本発明の第1および第2の実施形態に関する上記のものと同様に定義される。本発明の第3の実施形態におけるR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、およびR
7の好ましい実施形態は、本発明の第1の実施形態の場合と同じである。
【0113】
好ましくは、式Iの化合物は、
【化25-1】
【化25-2】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルであり、より好ましくは、
【化26】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0114】
本発明の別の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、
【化27-1】
【化27-2】
【化27-3】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルである。
【0115】
本発明の別の実施形態では、治療上有効な量の、式Iの化合物のラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、多形、擬多形、非晶質形態、もしくは水和物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルが、それを必要とする哺乳動物に投与される。
【0116】
別の実施形態では、Orthomyxoviridaeウイルスにより引き起こされたウイルス性感染を処置するための式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルの使用が提供される。
【0117】
この第3の実施形態の別の態様では、処置がなされるOrthomyxoviridae感染がインフルエンザウイルスA型感染である。この実施形態の別の態様では、Orthomyxoviridae感染がインフルエンザウイルスB型感染である。この実施形態の別の態様では、Orthomyxoviridae感染がインフルエンザウイルスC型感染である。
【0118】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、治療上有効な量の式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することによって、Orthomyxoviridae感染の処置を必要とする哺乳動物のOrthomyxoviridae感染を処置することを含む。
【0119】
別の実施形態では、本発明の方法は、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを、薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて含む、治療上有効な量の医薬組成物を投与することによって、Orthomyxoviridae感染の処置を必要とする哺乳動物のOrthomyxoviridae感染を処置することを含む。製剤のその他の成分との適合性がありかつそのレシピエントに対して生理学的に無害でもある、医薬組成物に使用される当技術分野で公知の任意の担体
または賦形剤を、本発明で使用してもよい。適切な賦形剤には、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0120】
別の実施形態では、本発明の方法は、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを、少なくとも1種の追加の治療剤と組み合わせて含む、治療上有効な量の医薬組成物を投与することによって、Orthomyxoviridae感染の処置を必要とする哺乳動物のOrthomyxoviridae感染を処置することを含む。追加の治療剤は、式Iの化合物と共に使用するのに適切な任意の治療剤であってもよい。例えば、治療剤は、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノイラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル遮断剤、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、シアリダーゼ、およびOrthomyxoviridae感染を処置するためのその他の薬物からなる群から選択されてもよい。
【0121】
さらになお別の実施形態では、本発明は、治療上有効な量の式I、IIの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルを患者に投与するステップを含む、患者のOrthomyxoviridae感染を処置する方法を提供する。
【0122】
さらになお別の実施形態では、本出願は、治療上有効な量の式I、IIの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステル、およびOrthomyxoviridaeポリメラーゼが阻害される少なくとも1種の追加の活性治療剤を、患者に投与するステップを含む、患者のOrthomyxoviridae感染を処置する方法を提供する。
【0123】
さらになお別の実施形態では、本出願は、治療上有効な量の式I、IIの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルと、インターフェロン、リババリン類似体、ウイルス性赤血球凝集素阻害剤、ウイルス性ノイラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル遮断剤、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、シアリダーゼ、およびOrthomyxoviridae感染を処置するためのその他の薬物からなる群から選択される少なくとも1種の追加の活性治療剤を、患者に投与するステップを含む、患者のOrthomyxoviridae感染を処置する方法を提供する。
【0124】
さらになお別の実施形態では、本発明は、患者のOrthomyxoviridae感染を処置する医薬を調製するための、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの使用を提供する。
【0125】
本発明の別の態様では、本発明の式Iの化合物を調製するのに使用することができるプロセスが、以下に開示される。
【0126】
本発明の別の態様は、Orthomyxoviridaeウイルスを含有することが疑われる試料を、本発明の組成物で処理するステップを含む、Orthomyxoviridaeポリメラーゼの活性を阻害する方法に関する。
【0127】
本発明の組成物は、Orthomyxoviridaeポリメラーゼの阻害剤として、もしくはそのような阻害剤の中間体として作用することができるか、または以下に記述するようなその他の有用性を有していてもよい。阻害剤は、Orthomyxoviridaeポリメラーゼに固有の幾何形状を有するOrthomyxoviridaeポリメラーゼのキャビティ内の場所または表面上の場所に結合する。Orthomyxoviridaeポリメラーゼに結合する組成物は、様々な可逆性の度合いで結合し得る。実質的に
不可逆的に結合する化合物は、本発明のこの方法で使用するのに理想的な候補である。標識されると、実質的に不可逆的に結合する組成物は、Orthomyxoviridaeポリメラーゼを検出するためのプローブとして有用である。したがって本発明は、Orthomyxoviridaeポリメラーゼを含有していることが疑われる試料を、標識に結合されている本発明の化合物を含む組成物で処理するステップと;標識の活性に対する試料の作用を観察するステップとを含む、Orthomyxoviridaeポリメラーゼを含有していることが疑われる試料中のOrthomyxoviridaeポリメラーゼを検出する方法に関する。適切な標識は、診断の分野で周知であり、安定なフリーラジカル、蛍光団、放射性同位体、酵素、化学発光基、および色素原を含む。本明細書の化合物は、ヒドロキシル、カルボキシル、スルフヒドリル、またはアミノなどの官能基を使用した従来の手法で標識される。
【0128】
本発明の文脈内で、Orthomyxoviridaeポリメラーゼを含有することが疑われる試料は、天然のまたは人造の材料、例えば、生存生物;組織または細胞培養物;生物学的材料試料など(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙、痰、唾液、および組織試料など)の生物学的試料;実験室試料;食物、水、または空気試料;ならびに細胞、特に所望の糖タンパク質を合成する組換え細胞の、抽出物などのバイオプロダクト試料等を含む。典型的には試料は、Orthomyxoviridaeポリメラーゼを生成する生物、しばしばOrthomyxoviridaeウイルスなどの病原生物を含有することが疑われる。試料は、水および有機溶媒\水の混合物を含む任意の媒体に含有され得る。試料は、ヒトなどの生存生物、および細胞培養物などの人造材料を含む。
【0129】
本発明の処置ステップは、本発明の組成物を試料に添加するステップ、または組成物の前駆体を試料に添加するステップを含む。添加するステップは、本明細書に記述される任意の投与方法を含む。
【0130】
望む場合には、組成物を施用した後のOrthomyxoviridaeポリメラーゼの活性を、Orthomyxoviridaeポリメラーゼ活性を検出する直接および間接的方法を含めた任意の方法によって観察することができる。Orthomyxoviridaeポリメラーゼ活性を決定する定量的、定性的、および半定量的方法が全て企図される。典型的には、上述のスクリーニング方法の一つが適用されるが、生存生物の生理学的性質を観察するなどの任意のその他の方法も適用可能である。
【0131】
Orthomyxoviridaeポリメラーゼを含有する生物には、Orthomyxoviridaeウイルスが含まれる。本発明の化合物は、動物またはヒトのOrthomyxoviridae感染を処置または予防するのに有用である。
【0132】
さらになお別の実施形態では、本出願は、細胞内のOrthomyxoviridae
RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する方法であって、Orthomyxoviridaeウイルスに感染した細胞を、有効量の式I、IIの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルと接触させ、それによってOrthomyxoviridaeポリメラーゼを阻害するステップを含む方法を提供する。この実施形態の態様では、細胞を、少なくとも1種の追加の治療剤にも接触させる。本発明のある実施形態では、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼは、インフルエンザウイルスA型RNA依存性RNAポリメラーゼ、インフルエンザウイルスB型RNA依存性RNAポリメラーゼ、インフルエンザウイルスC型RNA依存性RNAポリメラーゼ、またはこれらの混合物であり得る。
【0133】
さらになお別の実施形態では、本出願は、細胞内のOrthomyxoviridaeポリメラーゼを阻害する方法であって、Orthomyxoviridaeウイルスに感
染した細胞を、有効量の式I、IIの化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、もしくはエステルと、インターフェロン、リバビリン類似体、ウイルス性ノイラミダーゼ阻害剤、ウイルス性ノイラミダーゼ阻害剤、M2イオンチャネル遮断剤、Orthomyxoviridae RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、シアリダーゼ、およびOrthomyxoviridaeウイルス感染を処置するために使用されるその他の薬物からなる群から選択される少なくとも1種の追加の活性治療剤とを接触させるステップを含む方法を提供する。
【0134】
別の態様によれば、本発明は、本発明の式Iの化合物を調製するのに有用な、本明細書に開示されるプロセスおよび新規中間体も提供する。
【0135】
その他の態様では、本発明の化合物を合成し、分析し、分離し、単離し、精製し、特徴付け、試験するための新規方法が提供される。
【0136】
本発明の範囲内には、本明細書に記述される化合物のin vivo代謝産物も、そのような産物が新規でありかつ先行技術に対して進歩性を有するのであれば包含される。そのような産物は例えば、主として酵素的プロセスに起因する、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、およびエステル化などの結果として生じてもよい。したがって本発明は、本発明の化合物と哺乳動物とを、その代謝産物をもたらすのに十分な期間にわたって接触させるステップを含むプロセスによって生成された、新規である、および進歩性を有する化合物を含む。そのような産物は、典型的には、本発明の放射標識された(例えば、
14Cまたは
3H)化合物を調製し、それを非経口的に、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)で、ラット、マウス、モルモット、サルなどの動物にまたはヒトに投与して、代謝が起きるのに十分な時間を与え(典型的には約30秒から30時間)、その変換生成物を、尿、血液、またはその他の生物学的試料から単離することによって、同定される。これらの生成物は、標識されているので容易に単離される(その他は、代謝産物中に生き残っているエピトープに結合することが可能な抗体を使用することによって単離される)。代謝産物構造は、従来の手法で、例えばMSまたはNMR分析によって決定される。一般に、代謝産物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝研究と同じ方法で行われる。変換生成物は、他の手法でin vivoで見出されない限り、それ自体がOrthomyxoviridaeポリメラーゼ阻害活性を保有しない場合であっても、本発明の化合物の治療的投薬についての断アッセイにおいて有用である。
【0137】
代用胃腸分泌物中の化合物の安定性を決定するための処方および方法は、公知である。化合物は、胃腸管内で安定であると本明細書では定義され、保護基の約50molパーセント未満が、37℃で1時間インキュベートすることによって代用腸液または代用胃液中で脱保護される。単に化合物が胃腸管に対して安定だからといって、それらがin vivoで加水分解され得ないことを意味するのではない。本発明のプロドラッグは、典型的には消化系で安定であるが、消化管腔、肝臓、もしくはその他の代謝器官内、または一般に細胞内では、実質的に加水分解されて親薬物になり得る。
【実施例】
【0138】
ある略称および頭字語が、実験の詳細を記述するのに使用される。これらのほとんどは当業者により理解されるが、表1は、これらの略称および頭字語の多くのリストを含む。
【表1】
【0139】
化合物の調製
【0140】
化合物1: (2S,3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−(2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール
【化28】
【0141】
THF(30ml)中の7−ブロモ−2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(2.5g、7.57mmol)の−78℃の混合物に、nBuLi(ヘキサン中1.6M、6.15ml、9.84mmol)を1滴ずつ添加した。−78℃で30分間撹拌した後、THF(5ml)中の(3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロジヒドロフラン−2(3H)−オン(2.43g、8.33mmol)を1滴ずつ添加した。−78℃で3時間撹拌した後、混合物を室温まで温めた。次いで混合物を室温で30分間撹拌し、次いで飽和NH
4Clでクエンチ処理した。反応物を、酢酸エチルで抽出した。層を分離し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮することによって粗製物が得られ、これを、酢酸エチル/ヘキサンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(2S,3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−(2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2.4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール(1) (2g、48%)が黄色泡状物として得られた。MS(m/z):543.2[M+H]
+。
【0142】
化合物2: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン
【化29】
【0143】
−78℃で、(2S,3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−(2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2.4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール(1)(300mg、0.55mmol)のジクロロメタン(3ml)溶液に、BF
3・OEt
2(1.20ml、8.81mmol)を1滴ずつ添加し、その後、Et
3SiH(1.52ml、8.81mmol)を添加した。反応物を室温まで温め、2時間撹拌し、次いで飽和NaHCO
3でクエンチ処理し、次いでジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮することにより粗製物が得られ、これを、酢酸エチル/ヘキサンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の化合物7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(2) (218mg、75%)が得られた。MS(m/z):527.2[M+H]
+。
【0144】
化合物3: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン
【化30】
【0145】
液体アンモニア(120ml)中の7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(2)(390mg、0.74mmol)を、スチールボンベ内で18時間、60℃で加熱した。ボンベを室温まで冷却し、反応物を、酢酸エチル/ヘキサンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の化合物7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(3)(330mg、89%)を得た。MS(m/z):496.2[M+H]
+。
【0146】
化合物4: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン
【化31】
【0147】
0℃で、7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(3)(300mg、0.57mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液に、3−クロロ過安息香酸(MCPBA、77%)(627mg、3.42mmol)を一度に添加した。反応物を室温まで温め、2時間撹拌した。反応物を、H
2O(15ml)中20%のNaS
2O
3溶液でクエンチ処理し、20分間撹拌した。層を分離し、水溶液をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO
3およびブラインで洗浄し、次いでNa
2SO
4で乾燥し、濃縮することによって粗製混合物が得られ、これを、酢酸エチル/ジクロロメタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィによりさらに精製して、所望の生成物7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(4)(276mg、87%)が透明な油として得られた。MS (m/z):528.1[M+H]
+。
【0148】
化合物5: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン
【化32】
【0149】
液体アンモニア(100ml)中の7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(4)(276mg、0.52mmol)を、スチールボンベ内で、110℃で26時間加熱した。ボンベを室温まで冷却し、粗製反応物を、酢酸エチル/ジクロロメタンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の化合物7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン(5)(185mg、78%)を得た。MS(m/z):465.3[M+H]
+。
【0150】
化合物6: (2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジアミノイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール
【化33】
【0151】
7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン(5)(145mg、0.31mmol)の酢酸(10ml)溶液に、10%Pd/C DegussaタイプE101NE/W(290mg)を添加した。反応雰囲気をH
2(g)に交換し、反応物を18時間撹拌した。触媒を濾過によって除去し、混合物を減圧下で濃縮した。粗製物を乾燥することにより、所望の生成物(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジアミノイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール(6)(85mg、96%)が白色固体として得られた。MS(m/z):285.2[M+H]
+。
【0152】
【化34】
【0153】
【化35】
【0154】
化合物7: 2−アミノ−7−(2S,3S,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1.2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン
【化36】
【0155】
(2S,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジアミノイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール(6)(310mg、1.09mmol)の水(800ml)溶液に、ウシ脾臓アデノシンデアミナーゼIX型(Cas No.9026−93−1、205μL)を添加した。溶液を、37℃の水浴中に16時間置いた。溶液を濃縮し、最終化合物を、結晶化溶媒として水を使用して不純物から結晶化して分離した。固形分を収集し、乾燥することにより、2−アミノ−7−(2S,3S,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1.2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン(7)(246mg、80%)が純粋なオフホワイトの固体として得られた。MS(m/z):286.2[M+H]
+。
【0156】
【化37】
【0157】
【化38】
【0158】
化合物8: ((2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−3−ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート
【化39】
【0159】
2−アミノ−7−(2S,3S,4R,5R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1.2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン(7)(12mg、0.042mmol)を、不活性雰囲気(N
2)下でトリメチルホスフェート(1mL)に溶解させた。オキシ塩化リン(58mg、0.378mmol)を添加し、混合物を0℃で2時間、室温で2時間撹拌した。分析イオン交換カラムによるモニタリングは、モノホスフェートの>80%が形成された時間を決定した。溶液を0℃に冷却し、トリブチルアミン(0.15mL、0.63mmol)およびピロリン酸トリエチルアンモニウム(0.25g、0.55mmol)の無水DMF(1mL)溶液を添加した。反応混合物を0℃で2.5時間撹拌し、次いでH
2O(6mL)中1Nの重炭酸トリエチルアンモニウム溶液を添加することによりクエンチ処理した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をH
2Oに再度溶解させた。溶液をイオン交換クロマトグラフィに供することにより、所望の生成物((2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−3−ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート(8)が得られた(テトラトリエチルアンモニウム塩として)(11mg、収率28%)。MS(m/z):526.0[M+H]
+。
【0160】
【化40】
【0161】
【化41】
【0162】
【化42】
【0163】
HPLCイオン交換:溶媒A:水;溶媒B:1M重炭酸トリエチルアンモニウム。
【0164】
12分にわたり0〜50%、次いで5分間で100%、次いで5分で0%に戻る。
【0165】
カラム:Dionex、DNAPac PA−100、4×250mm。
【0166】
T
R=12.04分
【0167】
化合物9: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン
【化43】
【0168】
−78℃で、7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(4)(63mg、0.12mmol)のTHF(5ml)溶液に、LiBHEt
3(THF中1.0M、4.78ml、4.78mmol)を1滴ずつ添加した。反応物を室温まで温め、室温で31時間撹拌した。反応混合物を氷水でクエンチ処理し、酢酸エチルで抽出した。有機溶液をブラインで洗浄し、濃縮することによって、粗製混合物が得られ、これをCH
3OHに溶解させ、真空濃縮(3×)した。粗製物を、酢酸エチル/ジクロロメタンを用いたシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、所望の生成物7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(9)を得た(50mg、収率95%)。MS(m/z):[M+H]
+ 450.3。
【0169】
化合物10: (2S,3S,4R,5R)−5−(4−アミノイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール
【化44】
【0170】
7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(9)(50mg、0.11mmol)の酢酸(5ml)溶液に、10%Pd/C(100mg)を添加した。反応容器の雰囲気を水素に交換し、反応物を室温で終夜撹拌した。反応物を、セライトに通して濾過し、CH
3OHで洗浄した。濾液を濃縮することにより、粗製混合物が得られ、これを、CH
3OH/ジクロロメタンを使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の生成物(2S,3S,4R,5R)−5−(4−アミノイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール(10)が白色固体として得られた(23mg、収率77%)。MS(m/z):270.2[M+H]
+。
【0171】
【化45】
【0172】
【化46】
【0173】
化合物11: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−フルオロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン
【化47】
【0174】
4mLの50%HF/ピリジン中の7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン(5)(140mg、0.30mmol)を、−10℃の浴内で撹拌し、45μL(0.38mmol)の亜硝酸t−ブチルを添加した。反応物を低温で1時間撹拌した。反応を、H
2O 50mLを添加することによってクエンチ処理し、水層を2×50mLジクロロメタンで抽出した。合わせた有機物をNa
2SO
4で乾燥し、濃縮した。残留物を、シリカゲル(6
g)クロマトグラフィ法で分離し、所望の化合物7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−2−フルオロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(11)(50mg、36%)を得た。MS(m/z):468.2[M+H]
+。
【0175】
【化48】
【0176】
【化49】
【0177】
化合物12: (2R,3R,4R,5S)−5−(4−アミノ−2−フルオロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール
【化50】
【0178】
7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(11)(50mg、0.11mmol)の酢酸(8ml)溶液に、10%Pd/C(100mg)を添加した。反応容器の雰囲気を水素に交換し、反応物を室温で終夜撹拌した。反応物をセライトに通して濾過し、酢酸で、次いでCH
3OHで洗浄した。濾液を濃縮することにより、粗製混合物が得られ、これを逆相HPLCにより精製して、所望の生成物(2R,3R,4R,5S)−5−(4−アミノ−2−フルオロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール(12)が白色固体として得られた(26mg、84%)。MS(m/z):288.1[M+H]
+。
【0179】
【化51】
【0180】
【化52】
【0181】
化合物13: 7−ブロモ−4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン
【化53】
【0182】
室温で、EtOH(25ml)中の7−ブロモ−2,4−ビス(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(1.0g、3.45mmol)の混合物に、NaOEt(EtOH中21%、1.28ml、3.45mmol)を添加した。室温で1時間撹拌した後、反応をAcOH(1mL)でクエンチ処理した。溶媒を減圧下で除去し、混合物を、CH
2Cl
2と1/2飽和ブラインとの間で分配した。有機物を分離し、Na
2SO
4で乾燥し、固形分を濾過によって除去し、溶媒を減圧下で除去した。粗製材料を、酢酸エチル/ヘキサンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の化合物7−ブロモ−4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(13)(791mg、79%)が黄色泡状物として得られた。MS(m/z):288.9/290.8[M+H]
+。
【0183】
化合物14: (2S,3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−(4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2.4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール
【化54】
【0184】
−78℃で、THF(15ml)中の7−ブロモ−4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(13)(917mg、3.17mmol)の混合物に、LaCl
3*2LiCl(THF中0.6M、5.28mL、3.17mmol)を添加し、その後、nBuLi(ヘキサン中2.5M、1.27ml、3.17mmol)を1滴ずつ添加した。−78℃で30分間撹拌した後、THF(10ml)中の(3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロジヒドロフラン−2(3H)−オン(805mg、2.44mmol)を1滴ずつ添加した。−78℃で30分間撹拌し、混合物を室温まで温めた後、混合物を室温で30分間撹拌し、次いでAcOHでクエンチ処理した。反応物を酢酸エチルで抽出した。層を分離し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮することにより粗製物が得られ、これを、酢酸エチル/ヘキサンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(2S,3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−(4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2.4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール(14)(244mg、19%)が黄色泡状物として得られた。MS(m/z):541.1[M+H]
+。
【0185】
化合物15: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン
【化55】
【0186】
0℃で、(2S,3R,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−(4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2.4]トリアジン−7−イル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−オール(X)(244mg、0.45mmol)のCH
2Cl
2(5ml)溶液に、BF
3・OEt
2(900μl、3.5mmol)を1滴ずつ添加し、その後、Et
3SiH(600μl、3.5mmol)を添加した。反応物を室温まで温め、3時間撹拌した。反応を、飽和NaHCO
3でクエンチ処理し、CH
2Cl
2で抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮することにより、粗製物が得られ、これを、酢酸エチル/ヘキサンを用いたフラッシカラムクロマトグラフィにより精製して、所望の化合物7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(15)(107mg、46%)を得た。MS(m/z):525.1[M+H]
+。
【0187】
化合物16: 7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシ−2−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン
【化56】
【0188】
室温で、7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシ−2−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(15)(107mg、0.204mmol)のCH
2Cl
2(3ml)溶液に、3−クロロ過安息香酸(MCPBA、77%)(100mg、0.443mmol)を一度に添加した。反応物を室温で4時間撹拌した。反応を、H
2O中20%のNaS
2O
3溶液(5ml)でクエンチ処理し、20分間撹拌した。層を分離し、水溶液をCH
2Cl
2で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO
3、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮することにより、粗製7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシ−2−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(16)が得られ、これを精製することなく次の操作に用いた。MS(m/z):557.1[M+H]
+。
【0189】
化合物17: 2−アジド−7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキ
シ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン
【化57】
【0190】
NaN
3(66mg、1.01mmol)のDMSO(5mL)溶液に、7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシ−2−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(16)(113mg、0.203mmol)を一度に添加した。反応物を室温で16時間撹拌させた。混合物を、EtOAc/H
2Oの間で分配した。有機物を分離し、Na
2SO
4で乾燥し、EtOAc/ヘキサンを用いたシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、2−アジド−7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(17)(93mg、88%)がオフホワイトの固体として得られた。MS(m/z):520.05[M+H]
+。
【0191】
化合物18: (2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−エトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール
【化58】
【0192】
2−アジド−7−((2S,3S,4R,5R)−4−(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−3−フルオロテトラヒドロフラン−2−イル)−4−エトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(17)(93mg、0.18mmol)のCH
3OH(5mL)溶液を、アルゴンでパージし、10%Pd/C(100mg)を添加した。反応容器中の気体を排気し、H
2で3回再充填した。次いで反応混合物を、水素雰囲気下で16時間撹拌させた。固形分を濾別し、有機物を減圧下で除去することにより粗製材料が得られ、これをHPLCにより精製して、(2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−エトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール(18)(27mg、48%)が白色固体として得られた。MS(m/z):314.10[M+H]
+。
【0193】
【化59】
【0194】
【化60】
【0195】
化合物19: (2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−メトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール
【化61】
【0196】
合成の第1のステップにおけるEtOH中のNaOEtの代わりにMeOH中のNaOMeを使用したことを除いて、(2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−メトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オール(19)を、(2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−エトキシイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−2−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−3−オールの調製で使用される手法と正に類似の手法で調製した。MS(m/z):300.18[M+H]
+。
【0197】
【化62】
【0198】
【化63】
【0199】
抗インフルエンザアッセイ
【0200】
インフルエンザRNAポリメラーゼ阻害(IC50)アッセイ
【0201】
インフルエンザA/PR/8/34(H1N1)精製ウイルスを、PBS緩衝液中の懸濁液としてAdvanced Biotechnologies Inc.(Columbia、MD)から得た。ビリオンを、100mM Tris−HCl、pH8、200mM KCl、3mMジチオトレイトール[DTT]、10%グリセロール、10mM MgCl
2、2U/mL RNasinリボヌクレアーゼ阻害剤、および2mg/mLリゾレシチンV型(Sigma、Saint Louis、MO)を含有する緩衝液中で、室温で30分間、等体積の2%Triton X−100に曝すことによって破壊した。ウイルス溶解産物を、アリコートに分けて−80℃で保存した。
【0202】
濃度は、他に記述しない限り、最終濃度を指す。ヌクレオチド類似体阻害剤を、水で3倍に連続希釈し、10%ウイルス溶解産物(v/v)、100mM Tris−HCl(pH8.0)、100mM KCl、1mM DTT、10%グリセロール、0.25%Triton−101(還元型)、5mM MgCl
2、0.4U/mL RNasin、および200μM ApGジヌクレオチドプライマー(TriLink、San Diego CA)を含有する反応混合物に添加した。反応を、1種のα−
33P標識NTPおよび100μMのその他の3種の天然NTP(PerkinElmer、Shelton、CT)を含有するリボヌクレオチド三リン酸(NTP)基質混合物を添加することによって、開始させた。各アッセイで使用した放射標識は、スクリーニングされたヌクレオチド類似体のクラスに一致した。限定的な天然NTPの濃度は、ATP、CTP、UTP、およびGTPに関してそれぞれ、20、10、2、および1μMであった。非放射標識:放射標識NTPのモル比は、100〜400:1の範囲であった。
【0203】
反応物を、30℃で90分間インキュベートし、次いでDE81濾紙上にスポットした。フィルターを空気乾燥し、0.125M Na
2HPO
4(3×)、水(1×)、およびEtOH(1×)で洗浄し、空気乾燥した後に、Typhoonフォスフォイメージャーに曝露し、放射活性をTyphoon Trio(GE Healthcare、Piscataway NJ)で定量した。IC
50値は、GraphPad Prismにおいてデータを、可変勾配方程式を用いるS字状用量応答にあてはめ、100%および0%でYmaxおよびYmin値を固定することによって、阻害剤に関して計算した。((2R,3R,4R,5S)−5−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−4−フルオロ−3−ヒドロキシ−3−ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メチルテトラハイドロジェントリホスフェート(化合物8)のIC
50は、2.8μMであることが決定された。
【0204】
正常ヒト気管支/気管上皮細胞インフルエンザ感染アッセイ(EC
50)
【0205】
正常ヒト気管支/気管上皮細胞(Lonza、Basel スイス)を、384ウェルプレートに、成長因子(Lonza、Basel スイス)を補充したBEGM培地中で1ウェル当たり4000細胞の密度で播種する。培地を翌日除去し、細胞を、RPMI+1%BSA(RPMI−BSA)100μLで3回洗浄する。その後、RPMI−BSA
30μLを細胞に添加する。化合物を、DMSO中で3倍に連続希釈し、化合物希釈液0.4μLをプレートにスタンプする。インフルエンザA型ウイルスHK/8/68(Advanced Biotechnology Inc、Columbia、MD、13.5 MOI)、PC/1/73(ATCC Manassas、VA、0.3 MOI)、およびインフルエンザB型ウイルスB/Lee/40((ATCC Manassas、VA、10 MOI)を、8μg/mLのトリプシン(Worthington、Lakewood、NJ)を補充したRPMI−BSA培地10μL中の細胞に添加する。5日間のインキュベーション後、66mM Mes pH6.5、8mM CaCl
2、0.5%NP−40、および100μMノイラミダーゼ基質(2’−(4−メチルウンベリフェリル)−α−D−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム塩水和物、Sigma Aldrich、St.Luis、MO)を含有する緩衝液40μLを、細胞に添加する。加水分解生成物の蛍光を、37℃で1時間インキュベーションした後に、360nmでの励起および450nmでの放出を使用して読み取る。EC
50値を、多数のデータセットの非線形回帰によって計算する。
【0206】
下記の表は、このアッセイにより決定されたEC
50をまとめる。
【表2】
【0207】
本発明について、様々な特定の実施形態および好ましい実施形態ならびに特定の技法および好ましい技法を参照しながら記述してきたが、それらが本発明をそのような実施形態に限定することは意図されていないことが理解される。当業者は、本発明の趣旨および範囲内であることを維持しつつ、多くの変更および改変を行い得ることを理解する。本発明は、本発明の範囲内に含まれる全ての代替物、改変物、および均等物を包含することが意図される。