特許第6525488号(P6525488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6525488
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】パーキング装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 3/00 20060101AFI20190527BHJP
   B62H 1/00 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   B62H3/00
   B62H1/00
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-236060(P2018-236060)
(22)【出願日】2018年12月18日
【審査請求日】2019年1月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518208369
【氏名又は名称】佐々木 郁夫
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100199831
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(74)【代理人】
【識別番号】100203688
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 郁夫
【審査官】 稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−227228(JP,A)
【文献】 特開2006−213169(JP,A)
【文献】 特開2000−62661(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0262880(US,A1)
【文献】 特許第6446585(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/00
3/00
5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置された函体と、
前記函体内に格納され、該函体の上方に露出されることが可能なように構成され、該函体の上方に露出された時に横方向に貫通する係合孔を有する係合部材と、
自動二輪車のスタンドに連結されるように構成され、該スタンドに連結された時に該自動二輪車の下方において地面に接地する棒状の連結接地バーと、該連結接地バーが該スタンドに連結された時に横方向に貫通する嵌合孔と、を有するストッパーと、
前記函体の上方に露出された前記係合部材の前記係合孔と、前記自動二輪車に連結された前記ストッパーの前記嵌合孔と、に挿入されるように構成された挿入スティックと、
を備えたパーキング装置。
【請求項2】
前記係合部材を前記函体の上方に露出させる露出駆動手段と、
前記係合部材を前記函体の上方に露出させる指令信号を前記露出駆動手段に送信する制御手段と、
を備えた請求項1に記載するパーキング装置。
【請求項3】
前記係合部材の係合孔と前記ストッパーの嵌合孔とに挿入された前記挿入スティックの一端に接近又は接触することにより、該挿入スティックが該係合孔と該嵌合孔とから抜出するのを規制するように構成された抜出規制部材と、
前記抜出規制部材を前記挿入スティックの前記一端に接近又は接触させる接近駆動手段と、を備え、
前記制御手段は、前記抜出規制部材を前記挿入スティックの前記一端に接近又は接触させる指令信号を前記接近駆動手段に送信するように構成された請求項2に記載するパーキング装置。
【請求項4】
前記ストッパーが、
前記自動二輪車の前記スタンドの先端に固定されるベース部材と、
後端及び先端を有し、該後端付近が、前記ベース部材に連結されるように構成された2本の前記連結接地バーと、を備え、
前記2本の連結接地バーは、前記後端付近で互いに連続し、該後端から前記先端へいくに従って互いに離隔し、
前記2本の連結接地バーが前記ベース部材に連結された時、該2本の連結接地バーの前記先端が前記自動二輪車のボディーの下方に位置する状態で、該2本の連結接地バーが地面に接地するように構成された請求項1〜3のいずれかに記載するパーキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、パーキング(駐車場)において自動二輪車を安定して地上に立てるためのパーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動二輪車は、パーキング(駐車場)において停車した時に、地上に立てるためのスタンドを備えている。図18に、スタンド100を備えた自動二輪車102を示す。スタンド100は、自動二輪車102のボディー104の下部に回動可能に連結されたスタンドバー106と、スタンドバー106の先端に固定された接地盤108と、から構成される。スタンド100は、走行する時は、自動二輪車102のボディー104の下に上げて地上から浮かせておく。スタンド100は、停車した時に、スタンドバー106を足でボディー104の外側へ蹴り出して降ろし、接地盤108を地面110に接地させ、スタンドバー106を蹴り出した側に自動二輪車102が傾斜した状態で、自動二輪車102を地面110の上に立てるサイドスタンドと呼ばれるものである。
【0003】
パーキングにおいて自動二輪車102を地面110の上に立てた時、自動二輪車102の全体の荷重は、接地盤108、前輪112と地面110との接地部114、及び、後輪116と地面110との接地部118の3点のみで支持する。このため、自動二輪車102の接地状態が不安定であり、地震によって転倒することが考えられる。また、図18(a)に示すように、強風や他人の悪戯等によって自動二輪車102に向かって(図18(a)においてY軸正方向)圧力Pが負荷された場合には、自動二輪車102は転倒してしまうことがあった。なお、特許文献1は、自動二輪車のスタンドに関する発明を開示するが、本願発明に関連するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−27771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、パーキングにおける停車時の自動二輪車のスタンドによる接地状態が安定し、自動二輪車の転倒を防止できるパーキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のパーキング装置は、
地面に設置された函体と、
前記函体内に格納され、該函体の上方に露出されることが可能なように構成され、該函体の上方に露出された時に横方向に貫通する係合孔を有する係合部材と、
自動二輪車のスタンドに連結されるように構成され、該スタンドに連結された時に該自動二輪車の下方において地面に接地する棒状の連結接地バーと、該連結接地バーが該スタンドに連結された時に横方向に貫通する嵌合孔と、を有するストッパーと、
前記函体の上方に露出された前記係合部材の前記係合孔と、前記自動二輪車に連結された前記ストッパーの前記嵌合孔と、に挿入されるように構成された挿入スティックと、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載する本願発明のパーキング装置は、前記パーキング装置において、
前記係合部材を前記函体の上方に露出させる露出駆動手段と、前記係合部材を前記函体の上方に露出させる指令信号を前記露出駆動手段に送信する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載する本願発明のパーキング装置は、前記パーキング装置において、
前記係合部材の係合孔と前記ストッパーの嵌合孔とに挿入された前記挿入スティックの一端に接近又は接触することにより、該挿入スティックが該係合孔と該嵌合孔とから抜出するのを規制するように構成された抜出規制部材と、
前記抜出規制部材を前記挿入スティックの前記一端に接近又は接触させる接近駆動手段と、を備え、
前記制御手段は、前記抜出規制部材を前記挿入スティックの前記一端に接近又は接触させる指令信号を前記接近駆動手段に送信するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載する本願発明のパーキング装置は、前記パーキング装置において、
前記ストッパーが、前記自動二輪車の前記スタンドの先端に固定されるベース部材と、 後端及び先端を有し、該後端付近が、前記ベース部材に連結されるように構成された2本の前記連結接地バーと、を備え、
前記2本の連結接地バーは、前記後端付近で互いに連続し、該後端から前記先端へいくに従って互いに離隔し、
前記2本の連結接地バーが前記ベース部材に連結された時、該2本の連結接地バーの前記先端が前記自動二輪車のボディーの下方に位置する状態で、該2本の連結接地バーが地面に接地するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
本願発明に係るストッパーは、自動二輪車のスタンドの先端、中間部又は先端以外に固定されるベース部材と、
後端及び先端を有する棒状であり、該後端付近が、前記ベース部材に連結されるように構成された2本の連結接地バーと、
前記2本の連結接地バーを前記ベース部材に連結した状態を維持するロック手段と、を備え、
前記2本の連結接地バーは、前記後端付近で互いに連続し、該後端から前記先端へいくに従って互いに離隔し、
前記2本の連結接地バーが前記ベース部材に連結された時、該2本の連結接地バーの前記先端が前記自動二輪車のボディーの下方に位置する状態で、該2本の連結接地バーが地面に接地するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
本願発明に係るストッパーは、前記ストッパーにおいて、前記2本の連結接地バーが前記ベース部材に連結された時、該2本の連結接地バーの前記先端が、前記自動二輪車の前輪の接地部と後輪の接地部とを結ぶ車体中心線に対して、該ベース部材と反対側に位置する状態で、該2本の連結接地バーが地面に接地するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本願発明に係るストッパーは、前記ストッパーにおいて、後端及び先端を有する棒状であり、該後端付近において前記2本の連結接地バーの前記後端と連続する離隔接地バーを備え、
前記2本の連結接地バーが前記ベース部材に連結された時、該離隔接地バーの前記先端が、該ベース部材よりも、前記自動二輪車の前記ボディーから離隔する状態で、該離隔接地バーが地面に接地するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本願発明に係る自動二輪車は、前記本願発明のストッパーと、前記ストッパーの中で、前記ベース部材から離脱させた前記連結接地バーを着脱可能に保持する保持具と、を含み、走行中は前記保持具が前記連結接地バーを保持する状態で該連結接地バーを運搬するように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願発明のパーキング装置によれば、自動二輪車のスタンドにストッパーを連結することにより、自動二輪車の下方において棒状の連結接地バーが地面に接地する。このため、従来のスタンドが有する接地盤よりも、地面との接触面積を広めることができ、自動二輪車を安定して立てておくことができ、地震によって転倒することがない。また、地面に設置された函体から上へ露出された係合部材の係合孔と、自動二輪車のスタンドに連結されたストッパーの嵌合孔とに挿入スティックが挿入されることにより、自動二輪車のスタンドに連結されたストッパーが地面に連結される。すなわち、自動二輪車が地面に連結される。これにより、自動二輪車を、より安定して立てておくことができ、地震によって転倒することを、更に防止できる。
【0015】
本願発明に係るストッパーによれば、ベース部材に連結され地面に接地するように構成された2本の連結接地バーを備え、2本の連結接地バーがベース部材に連結された時、2本の連結接地バーの先端が自動二輪車のボディーの下方に位置する。このため、従来のスタンドが有する接地盤よりも、地面との接触面積を広めることができ、自動二輪車を安定して立てておくことができ、地震によって転倒することがない。
【0016】
2本の連結接地バーが、ベース部材に連結された時、2本の連結接地バーの先端が、自動二輪車の前輪の接地部と後輪の接地部とを結ぶ車体中心線に対して、ベース部材と反対側に位置するように構成された本願発明に係るストッパーによれば、強風等により、車体中心線と略垂直方向の圧力が、スタンドの位置する側から自動二輪車に負荷され、車体中心線まわりの負荷モーメントが自動二輪車に負荷されても、連結接地バーの先端付近において負荷モーメントに対する地面からの反力が生じ、負荷モーメント対する車体中心線まわりの対抗モーメントが生じる。負荷モーメントと対抗モーメントとが釣合うことにより、自動二輪車が負荷モーメントの方向に倒れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明のパーキング装置を示す図であり、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図である。
図2図1のパーキング装置を示す要部拡大平面図である。
図3図1のパーキング装置の使用状態を説明するための図であり、同図(a)は係合部材を示す拡大側面断面図であり、同図(b)は係合部材を示す拡大正面断面図であり、同図(c)は係合部材を覆うカバーを示す拡大側面断面図であり、同図(d)は前記カバーを示す拡大正面断面図である。
図4図1のパーキング装置の使用状態を示す平面図である。
図5】本願発明に係るストッパーを示す図であり、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図である。
図6図5に示すストッパーを示す図であり、同図(a)はA−A線切断部断面端面図であり、同図(b)は分解した状態を示す平面図である。
図7図5に示すストッパーを使用した自動二輪車を示す平面図である。
図8図5に示すストッパーを保持して走行する自動二輪車を示す正面図である。
図9図5に示すストッパーを使用した自動二輪車を示す側面図である。
図10】同図(a)は図5に示すストッパーを使用した自動二輪車のスタンドを降ろした状態を示す側面図であり、同図(b)はベース部材にフレームを連結する状態を示す平面図である。
図11】本願発明のパーキング装置の他の実施形態を示す正面断面図である。
図12】本願発明に係るストッパーの他の実施形態を示すA−A線切断部断面端面図である。
図13】本願発明に係るストッパーの更に他の実施形態を示す側面図である。
図14】本願発明に係るストッパーの更に他の実施形態を示す図であり、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図である。
図15図14のストッパーを示すB−B線切断部断面図である。
図16図14のストッパーの使用状態を示す正面図である。
図17】本願発明に係るストッパーの更に他の実施形態を示す側面図である。
図18】従来の自動二輪車を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)はスタンドを示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明に係るパーキング装置の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1及び図2において、符号200は、本願発明のパーキング装置である。図1図2図3(a)及び図3(b)において、パーキング装置200を使用している時(自動二輪車を駐車している時)の構成要素の状態を実線(見えない部分は破線)で示し、パーキング装置200を使用していない時の構成要素(使用している時に比して状態が変わった構成要素のみ)を2点鎖線で示す。図4において、本願発明のパーキング装置を実線で示し、自動二輪車を2点鎖線で示す。
【0019】
(パーキング装置200の構成)
(函体204及び係合部材206)
パーキング装置200は、図1及び図2に示すように、パーキング(駐車場)の地面202(図3(a)及び(b)に示す)に設置される函体204を備える。パーキング装置200は、パーキング装置200を使用しない時、函体204内に格納される係合部材206を備える。係合部材206は、図3(a)及び(b)に示すように、モータ(露出駆動手段)208によって回転する回転軸210に固定され、パーキング装置200を使用する時、モータ208によって回転させられることにより、図3(a)及び(b)に実線で示すように、函体204の上方に露出されるように構成されている。函体204には、係合部材206が函体204の上方に露出される時に係合部材206が通過する窓孔226が設けられている。モータ208は、無線又は有線により制御手段(図示しない)と通信可能に接続されている。すなわち、制御手段は、上下動スイッチ(図示しない)を操作することにより、係合部材206を函体204の上方に露出させる指令信号をモータ208に送信するように構成されている。また、制御手段は、格納スイッチ(図示しない)を押すことにより、係合部材206を函体204内に格納させるように構成されている。係合部材206の輪郭の形状は、図3(a)に一例として六角形を示すが、特に限定されず、円形、三角形、四角形又は八角形等であってもよい。係合部材206は、中心部に、函体204の上方に露出された時に横方向に貫通する円形の係合孔212を有する。係合孔212は、後述する挿入スティック224を嵌合又は挿入できる寸法に構成されている。
【0020】
図3(c)及び(d)に、パーキング装置200を使用する時に係合部材206を覆うカバー214を示す。カバー214は、第一の被覆部材216と、第二の被覆部材218と、第一の被覆部材216と第二の被覆部材218とを連結する蝶番220と、から構成される。第一の被覆部材216及び第二の被覆部材218の内壁には、係合部材206を押圧する弾性部材222が設けられている。第一の被覆部材216及び第二の被覆部材218は、係合部材206を覆う時に横方向に貫通する嵌合孔227を有する。嵌合孔227は、後述する挿入スティック224を嵌合できる寸法に構成されている。カバー214は、第一の被覆部材216及び第二の被覆部材218が開いた状態で係合部材206に被せて閉じ、第一の被覆部材216と第二の被覆部材218とを接触させた状態で、後述する挿入スティック224を、嵌合孔227及び係合部材206の係合孔212に嵌合することにより、第一の被覆部材216と第二の被覆部材218とが接触する状態(図3(d)に実線で示す)を維持できるように構成されている。カバー214は、自動二輪車12の走行中は、ライダーが携帯し又はパーキング装置200の近辺に保管されるように構成されている。
【0021】
(抜出規制部材228)
函体204の上方に、図1及び図2に示すように、後述する挿入スティック224が嵌合孔227等から抜出するのを規制する抜出規制部材228が、函体204の上方に設けられている。抜出規制部材228は、図2に示すように、函体204内に格納されたボール螺子232に螺合された移動体242に、函体204の上面233に設けられた溝234を貫通する連結部材(図示しない)を介して連結されている。モータ230(接近駆動手段)によってボール螺子232を回転させることにより、抜出規制部材228及び移動体242が、溝234に沿って(Y軸正方向)移動するように構成されている。抜出規制部材228が溝234に沿って(Y軸正方向)移動することにより、抜出規制部材228が、嵌合孔227等に挿入されている挿入スティック224の一端240に接近若しくは接触又は離隔するように構成されている。モータ230は、無線又は有線により制御手段(図示しない)と通信可能に接続されている。すなわち、制御手段は、移動スイッチ(図示しない)を操作することにより、抜出規制部材228を挿入スティック224の一端240に接近若しくは接触させる指令信号を、モータ230に送信するように構成されている。また、制御手段は、離隔用コイン投入口(図示しない)に所定のコイン又は紙幣を投入することにより、抜出規制部材228が溝234に沿って(Y軸負方向)移動し、抜出規制部材228を挿入スティック224の一端240から離隔させる指令信号を、モータ230に送信するように構成されている。
【0022】
(挿入スティック224)
挿入スティック224は、図2に示すように、抜出規制部材228が接触する一端240を含む頭部235と、係合部材206の係合孔212等に挿入される挿入部236と、頭部235及び挿入部236に連続し挿入部236よりも太くて係合孔212等に挿入されない中間部238と、から構成されている。挿入部236に、挿入スティック224が係合孔212等から抜出するのを防止するためのロックを係合できる係合孔を設けてもよい。挿入スティック224は、自動二輪車12の走行中は、ライダーが携帯し又はパーキング装置200の近辺に保管されるように構成されている。
【0023】
(ストッパー10)
パーキング装置200は、自動二輪車12(図4に示す)を安定して地面の上に立てておくためのストッパー10を含む。ストッパー10は、自動二輪車12の走行中は、ライダーが携帯し又はパーキング装置200の近辺に保管されるように構成されている。
(ベース部材34)
本願発明に係るストッパー10は、パーキング装置200を備えたパーキングで自動二輪車12を駐車する場合には、上述の挿入スティック224を使用し、パーキング装置200を備えたパーキング以外で自動二輪車12を駐車する場合には、U字ロック(ロック手段)56を使用する。図1図2及び図4において、挿入スティック224を記載し、図5図6図7及び図10において、U字ロック56を記載する。ストッパー10は、図5及び図6に示すように、自動二輪車12(図4に示す)が有するスタンド30の先端の接地盤32に固定するベース部材34を備える。ベース部材34は、図6に示すように、挟持部材36と挟持部材38とから構成され、挟持部材36の内壁51と挟持部材38の内壁53とによって接地盤32を挟持する状態で、挟持部材38を螺子40によって挟持部材36に固定することにより、接地盤32に固定されるように構成されている。挟持部材36及び38は、内壁51及び53が、市販の自動二輪車12が有する接地盤32を挟持できる形状及び寸法に形成される。挟持部材36の上面の凹部42と挟持部材38の上面の凹部44とによって、スタンド30のスタンドバー46を通すための孔48が形成される。図6(a)に示すように、挟持部材36の外側面には係合溝50が設けられ、挟持部材38の外側面には係合溝52が設けられている。後述するフレーム14を係合するためである。挟持部材36の後端には、突起部54が設けられ、突起部54には、上述の挿入スティック224、又は後述するU字ロック(ロック手段)56のU字バー58を嵌合するための嵌合孔60が設けられている。
【0024】
(フレーム14)
ストッパー10は、図5及び図6に示すように、略Y字形状のフレーム14と、1本のハンドル20とを備える。フレーム14は、2本の連結接地バー16と、1本の離隔接地バー18とから構成される。フレーム14の材質は、鉄鋼等の金属又は強化プラスチック等、特に限定されない。2本の連結接地バー16と、離隔接地バー18とは、離隔接地バー18の後端24付近において連続する。2本の連結接地バー16は、その後端22から、その先端26へいくに従って互いに離隔する。離隔接地バー18の先端28は、離隔接地バー18の後端24に対して、2本の連結接地バー16の先端26と逆方向に位置するように構成されている。連結接地バー16は、図6(a)に示すように、挟持部材36の係合溝50及び挟持部材38の係合溝52に係合するための係合凸部62が設けられ、略L字断面を有する。離隔接地バー18の後端24付近には、図6(b)に示すように、ベース部材34の突起部54に嵌合する嵌合凹部74が設けられている。また、嵌合凹部74のX軸方向(上述の挿入スティック224、又は後述するU字ロック56のU字バー58を嵌合する方向)両側には、突起部76が設けられ、突起部76には、上述の挿入スティック224、又は後述するU字ロック56のU字バー58を嵌合するための嵌合孔78が設けられている。ハンドル20は、離隔接地バー18の後端24付近において、離隔接地バー18と連続する。
【0025】
2本の連結接地バー16は、図5に示すように、ベース部材34に連結された時、先端26が自動二輪車12のボディー64の下方に位置するように構成されている。また、2本の連結接地バー16は、図7及び図9に示すように、ベース部材34に連結された時、先端26が、自動二輪車12の前輪65の接地部66と後輪68の接地部70とを結ぶ車体中心線Cに対して、ベース部材34と反対側に位置するように構成されている。この構成による作用及び効果は、後述する。離隔接地バー18は、図7及び図9に示すように、2本の連結接地バー16がベース部材34に連結された時、先端28が、ベース部材34よりも、自動二輪車12のボディー64から離隔するように構成されている。
【0026】
(U字ロック(ロック手段)56)
U字ロック56は、本願発明のパーキング装置200を備えたパーキング以外でストッパー10を使用するために、ライダーが携帯するように構成されている。U字ロック56は、図5及び図6に示すように、U字バー58と、U字バー58を挿入する施錠具80と、U字バー58を施錠具80に挿入した状態に施錠するキー90とから構成される。U字ロック56は、市販のものが使用される。U字ロック56は、U字バー58をベース部材34の嵌合孔60及び連結接地バー16の嵌合孔78に隙間なく嵌合できるものが選択される。理由はストッパー10の作用及び効果の説明で後述する。
【0027】
(自動二輪車12)
本願発明の自動二輪車12は、図8に示すように、保持具35が、シート台82の下面に基台84を介して、雄螺子86によって固定されている。保持具35の構成は、ベース部材34と同じである。保持具35は、フレーム14を連結した時に、ハンドル20がシート台82と干渉しないように、ハンドル20が下になる向きでシート台82の下面に固定されている。自動二輪車12の走行中に、スタンド30に固定したベース部材34から離脱させたフレーム14を運搬するように構成されている。
【0028】
(本願発明のパーキング装置200の作用及び効果)
本願発明のパーキング装置200を使用するための準備作業として、ベース部材34が自動二輪車12のスタンド30の接地盤32に固定される。図1(b)に示すように、挟持部材36と挟持部材38とによって接地盤32を挟持する状態で、挟持部材38を螺子40により挟持部材36に固定することにより、ベース部材34が接地盤32に固定される。ベース部材34は、自動二輪車12の停車中及び走行中を通じて、スタンド30に固定された状態で維持される。
【0029】
パーキング装置200を備えたパーキングに自動二輪車12を駐車しようとする時に、ベース部材34が固定されているスタンド30が、図1(a)に示すように、パーキング装置200の近辺において、地面202の上に降ろされ、ベース部材34が地面202の上に接地する。ドライバーが携帯する等によって準備されたフレーム14のハンドル20が手で保持され、フレーム14がベース部材34に向かって(Y軸正方向に)移動させられ、図1(b)に示すように、フレーム14の2本の連結接地バー16がベース部材34の係合溝50及び52に係合される。図2に示すように、ベース部材34の突起部54にフレーム14の嵌合凹部74(図6(b)を参酌)が嵌合される。ベース部材34の突起部54とフレーム14の突起部76とが合わされる。以上のようにして、フレーム14がベース部材34に取り付けられる。
【0030】
次に、制御手段の上下動スイッチが操作され、図1(a)及び図2に実線で示すように、係合部材206が函体204の上方に露出される。露出された係合部材206は、図3(d)に示すように、カバー214で覆われる。カバー214の嵌合孔227と、係合部材206の係合孔212とが、合わされる。ベース部材34に係合されたフレーム14は、挿入スティック224を、カバー214の嵌合孔227(図3(d)に示す)によって、係合部材206の係合孔212(図3(b)に示す)、フレーム14の嵌合孔60及び78に挿入できる位置(図1(b)に示す位置)に位置決めされる。挿入スティック224の挿入部236が、嵌合孔227、係合孔212、嵌合孔60及び78に挿入される。
【0031】
次に、制御手段の移動スイッチが操作され、図1(a)及び図2に実線で示すように、抜出規制部材228が挿入スティック224の一端240に接近され接触する。挿入スティック224は、抜出規制部材228により嵌合孔227等から抜けない状態に規制され、挿入スティック224によってフレーム14がベース部材34に固定される。以上のようにして、パーキング装置200を備えたパーキングにおける自動二輪車12の駐車の作業が終了する。
【0032】
再び自動二輪車12を走行させる場合には、制御手段の離隔用コイン投入口にコイン等が投入され、抜出規制部材228が、溝234に沿って(Y軸負方向)移動させられ、挿入スティック224の一端240から離隔させられる。挿入スティック224が嵌合孔227等から抜き出され、カバー214が係合部材206から離脱される。制御手段の格納スイッチが押され、係合部材206が函体204内に格納される。フレーム14がベース部材34から取り外され、ベース部材34を備えた自動二輪車12は、走行可能な状態となる。
【0033】
本発明のパーキング装置200によれば、パーキング装置200を備えたパーキングにおいて、フレーム14がベース部材34に連結された状態で自動二輪車12を駐車することにより、2本の連結接地バー16及び1本の離隔接地バー18が地面202に接地する。このため、接地盤32が地面202に接地するよりも、スタンド30を支持するために接地する面積が広くなり、自動二輪車12を安定して地面202の上に立てることができる。また、地面202に設置された函体204から上へ露出された係合部材206の係合孔212と、自動二輪車12のスタンド30に連結されたストッパー10の嵌合孔60とに挿入スティック224が挿入されることにより、自動二輪車12のスタンド30に連結されたストッパー10が地面202に連結される。すなわち、自動二輪車12が地面202に連結される。これにより、自動二輪車12を、地面202の上により安定して立てておくことができ、地震によって転倒することを、更に防止できる。
【0034】
(ストッパー10の作用及び効果)
次に、パーキング装置200が備えられたパーキング以外の地面88の上でストッパー10を使用する場合の、ストッパー10の作用及び効果を以下に示す。本願発明のパーキング装置200の作用及び効果の説明と同様に、ベース部材34が自動二輪車12のスタンド30の接地盤32に固定されているとして、以下に説明する。
【0035】
パーキング装置200を備えたパーキングに自動二輪車12を駐車しようとする時と同様の方法で、フレーム14がベース部材34に取り付けられる。フレーム14が地面88を擦ることのないようにして、フレーム14を係合溝50及び52に係合しやすいように、金属片を準備しておき、ベース部材34を金属片によって浮かせてもよい。
【0036】
次に、図10(b)に示すように、U字ロック56のU字バー58が、突起部54の嵌合孔60及び突起部76の嵌合孔78に隙間なく嵌合される。構成の説明で上述したように、U字ロック56は、U字バー58を嵌合孔60及び嵌合孔78に隙間なく嵌合できるものが選択されている。その後、U字バー58が施錠具80に挿入され、キー90により、施錠具80にU字バー58が挿入された状態に施錠される。U字バー58が嵌合孔60及び嵌合孔78に隙間なく嵌合された状態が維持されるため、フレーム14がベース部材34に対してY軸方向に移動することはなく、フレーム14がベース部材34の係合溝50及び52から離脱することはない。また、フレーム14が盗難されることがない。なお、フレーム14のベース部材34への係合については、ライダーが自動二輪車12に跨った状態で、ベース部材34を浮かせ、地面88の上に置いたフレーム14を足でベース部材34に係合してもよい。
【0037】
フレーム14がベース部材34に連結されていることにより、2本の連結接地バー16及び1本の離隔接地バー18が地面88に接地するため、接地盤32が地面88に接地するよりも、スタンド30を支持するために接地する面積が広くなる。このため、自動二輪車12を安定して地面88の上に立てることができる。また、図7及び図9に示すように、ストッパー10は、連結接地バー16の先端26が、自動二輪車12の前輪65の接地部66と後輪68の接地部70とを結ぶ車体中心線Cに対して、ベース部材34と反対側に位置するように構成されている。このため、図9に示すように、強風や他人の悪戯等により、車体中心線Cと略垂直方向の圧力Pが、自動二輪車12にスタンド30の位置する側から負荷され、車体中心線Cまわりの負荷モーメントM1が自動二輪車12に負荷されても、連結接地バー16の先端26付近において負荷モーメントM1に対する地面88からの反力Rが生じ、負荷モーメントM1に対する車体中心線Cまわりの対抗モーメントM2が生じる。負荷モーメントM1と対抗モーメントM2とが釣合うことにより、自動二輪車12が負荷モーメントM1の方向に回転して転倒することはない。なお。仮に、連結接地バー16の先端26が、自動二輪車12の前輪65の接地部66と後輪68の接地部70とを結ぶ車体中心線Cに対して、ベース部材34側に位置する場合には、負荷モーメントM1により、連結接地バー16は地面88から浮き上がり、自動二輪車12は車体中心線Cのまわりに回転し転倒する。
【0038】
自動二輪車12による走行を開始する時は、U字ロック56の施錠がキー90によって解除され、U字バー58がベース部材34の嵌合孔60及びフレーム14の嵌合孔78から離脱させられ、フレーム14がベース部材34から離脱させられる。なお、U字ロック56を解除した後、ライダーが自動二輪車12に跨って、足でフレーム14をベース部材34から離脱させてもよい。ベース部材34から離脱させられたフレーム14は、図8に示すように、シート台82の下面に固定されている保持具35に連結される。この保持具35へのフレーム14の連結方法は、スタンド30に固定されたベース部材34への連結方法と同様であるため、説明を省略する。自動二輪車12の走行中は、フレーム14が保持具35に連結された状態で運搬される。
【0039】
以上、本願発明の一実施形態について説明したが、本願発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、図11に示すパーキング装置244であってもよい。パーキング装置244は、地面202に設置される函体246と、使用しない時に函体246内に格納される係合部材248と、を備えている。係合部材248は、使用する時に手動により函体246の上方に露出されるように構成され、函体246の上方に露出された時に横方向に貫通する係合孔250を有している。また、パーキング装置244は、パーキング装置200の構成要素であるストッパー10と、挿入スティック224と、を備える。図11において2点鎖線は、ストッパー10の嵌合孔60(図1に示す)等に挿入した挿入スティック224を係合部材248の係合孔250に挿入した状態を示す。係合部材248の下端には棒状部256が連続し、棒状部256の下端には、中空部252に格納された規制部材254が備えられている。規制部材254が中空部252の上端に当接することにより、係合部材248が、挿入スティック224を挿入できる位置よりも、上方へ抜出しないように構成されている。
【0040】
また、本願発明のストッパー10を構成するベース部材34において、図12に示すように、挟持部材36及び38が、接地盤32に当接する弾性部材92を各々備えてもよい。弾性部材92を備えることにより、接地盤32の寸法が多少変化しても、弾性部材92が弾性変形しながら接地盤32を挟持できるため、ベース部材34が接地盤32を挟持して固定することができ、ベース部材34の汎用性を高めることができる。
【0041】
また、本願発明に係るストッパー10は、サイドスタンドに使用することに限定されず、センタースタンドである図13に示すスタンド30に使用してもよい。この場合、2本のスタンドバー46の中の1本のスタンドバー46に、図5と同様に、ストッパー10が取り付けられるように構成されている。
【0042】
また、本願発明に係るストッパー10を構成するベース部材34は、スタンド30の先端に固定されることに限定されず、図14及び図15に示すように、スタンド30の中間部(先端以外)に固定されるように構成してもよい。この場合、ベース部材34は、挟持部材36及び38が、スタンド30のスタンドバー46の中間部に、溶接(図示しない)又は螺子(図示しない)によって固定される。2本の連結接地バー16の上部に設けられた係合部258がベース部材34の下部に設けられた被係合部260に係合され、ベース部材34は、地面88に接地しないように構成されている。図14及び図15に示すストッパー10によれば、図16に示すように、2本の連結接地バー16の上面をベース部材34の被係合部260に当接させ、2本の連結接地バー16の下面を地面88から浮かし、2本の連結接地バー16を被係合部260に沿ってY軸方向に摺動させた後に、被係合部260を係合部258に係合することにより、ベース部材34に取り付けることができる。このため、ストッパー10が地面88によって擦られることが少なく、ストッパー10の摩耗を防止できる。
【0043】
また、図14及び図15に示すストッパー10は、サイドスタンドに使用することに限定されず、センタースタンドである図17に示すスタンド30に使用してもよい。図14及び図15に示すストッパー10は、2本のスタンドバー46の中の1本のスタンドバー46に、図5と同様に取り付けられるように構成されている。
【0044】
以上、本願発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、本願発明は図示した実施形態に限定されない。例えば、フレーム14において、離隔接地バー18を備えないで、連結接地バー16のみを備えてもよい。連結接地バー16のみによっても、スタンド30と地面88との接地面積を広げることができる。
【符号の説明】
【0045】
10:ストッパー
12:自動二輪車
14:フレーム
16:連結接地バー
18:離隔接地バー
20:ハンドル
26:先端
28:先端
30:スタンド
32:接地盤
34:ベース部材
36,38:挟持部材
46:スタンドバー
56:U字ロック(ロック手段)
64:ボディー
65:前輪
66:接地部
68:後輪
70:接地部
C:車体中心線
M1:負荷モーメント
M2:対抗モーメント
P:圧力
R:反力
200、244:パーキング装置
202:地面
204:函体
206:係合部材
208:モータ(露出駆動手段)
210:回転軸
212:係合孔
224:挿入スティック
228:抜出規制部材
230:モータ(接近駆動手段)
240:一端
【要約】
【課題】パーキングにおいて、停車時の自動二輪車のスタンドによる接地状態が安定し、自動二輪車の転倒を防止できるパーキング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】パーキング装置200を、ストッパー10を備えて構成した。ストッパー10を、ベース部材34とフレーム14とハンドル20とから構成した。ベース部材34を、挟持部材36と挟持部材38とから構成し、挟持部材36の内壁51と挟持部材38の内壁53とによって接地盤32を挟持する状態で、接地盤32に固定するように構成した。フレーム14を、2本の連結接地バー16と、1本の離隔接地バー18とから構成した。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18