(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
化合物半導体、例えば、III−V族半導体物質を利用した素子開発に関する研究が活発に進められている。III−V族化合物半導体物質の電子移動度がシリコン対比で10〜10
3倍以上高いため、CMOS(complementary metal−oxide semiconductor)素子において高速のチャネルとして使用されたり、高効率のIII−V太陽電池などに適用されたりするのに適するからである。
【0003】
III−V族半導体物質を成長させるための基板として、InP、GaAs、GaSb、InSbのようなIII−V基板が汎用的に使用されてきた。しかし、そのような基板は、価格がSiに比べてはるかに高いだけではなく、工程中に容易に割れたりし、商用化されている基板の最大サイズも6インチ程と、大面積に製作することが難しい。そのような限界を克服するために、III−V基板の代わりにシリコン基板を活用した半導体素子の開発が行われている。
【0004】
また、最近、シリコン基盤の光集積回路(photonics integrated circuit)を具現する技術への関心が高まっており、そのような動きの中で、III−V化合物半導体物質を利用して、LED(light emitting diode)、LD(laser diode)のような光源用、高速素子用のトランジスタなどをシリコン基板上に形成する技術への需要が増大している。大面積のシリコン基板上に、III−V族化合物半導体を集積させる場合、既存シリコン製造工程をそのまま利用することができ、価格を低下させることができる。
【0005】
しかし、III−V族化合物半導体物質とシリコン基板との格子定数差及び熱膨脹係数差により多様な欠陥(defect)が発生し、そのような欠陥のためにデバイス適用に限界を有している。例えば、基板の格子定数より小さい格子定数の半導体薄膜を成長させる時に圧縮応力(compressive stress)による転移(dislocation)が生じ、基板の格子定数より大きい格子定数の半導体薄膜を成長させる時に引っ張り応力(tensile stress)によるクラックが発生する。
【0006】
また、p型MOS素子としてSi基板上にGeを成長させる技術が開発されている。Geは、正孔移動度が高く、エネルギーバンドギャップが少なく、電力消耗を減らすことができる。Ge物質を使用するためには、量産が可能である高品質のGe結晶成長を行うことが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による基板構造体を示した図である。
【
図2】
図1に示した基板構造体のシード層が複数層を含む例を示した図である。
【
図3】
図2に示した基板構造体のバッファ層が複数層を含む例を示した図である。
【
図4】
図1に示した基板構造体に半導体層を更に具備する例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態による基板構造体の一例を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態による基板構造体の他の例を示した図である。
【
図7】
図5及び
図6に示した基板構造体との比較例を示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるCMOS素子を示した図である。
【
図9】本発明の他の実施形態によるCMOS素子を示した図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図12】本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図13】本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図14】本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図15】本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図16】本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図17】本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図18】本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図19】本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図20】本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図21】本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図22】本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図23】本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
【
図24】本発明の実施形態によるCMOS素子をウェーハ上に具備する例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の基板構造体とそれを含むCMOS素子及びその製造方法を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図面において同一の参照符号は同一の構成要素を指し、各構成要素の大きさや厚みは説明の明瞭性のために誇張される。一方、以下で説明する実施形態は単に例示的なものに過ぎず、そのような実施形態から多様な変形が可能である。以下において「上部」としたり「上」としたりして記載した箇所は、接触して真上にあるものだけではなく非接触で上にあるものを含む。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による基板構造体1を示した図である。基板構造体1は、基板10、基板上のシード層20、及びシード層20上のバッファ層30を含む。基板10は、シリコン系基板であり、例えばシリコン基板である。基板10は、p型不純物又はn型不純物でドーピングされる。
【0016】
シード層20は、ホウ素又はリンを含む少なくとも1層を含み、例えばB、BGe、BSiGe、P、PGe、PSiGe、B:Ge、B:SiGe、P:Ge、又はP:SiGeを含む少なくとも1層を含む。ここで、B:Geは、ホウ素でドーピングされたGeを示す。本明細書において、X:Yは、相対的に少量の物質Xでドーピングされた物質Yを示す。
【0017】
バッファ層30は、Geを含む物質で形成され、例えばGe、SiGe、又はGeSnを含む少なくとも1層を含む。バッファ層30は、低温、例えば450℃以下で成長させる。
【0018】
バッファ層30は、基板10と成長させる層との格子定数の不一致による変位(dislocation)を減らし、熱膨脹係数の不一致によって生じるクラック生成を抑制するために具備される。バッファ層30は、成長させる層の結晶性及び高品質のために、所定厚に成長させなければならない。しかし、バッファ層30を成長させるのに長時間かかり、コストがかさむ。従って、バッファ層30の厚みを薄くすることができるならば、時間及びコストを節減することができる。シード層20は、バッファ層30の厚みを薄くさせるように作用する。例えば、シード層20は、バッファ層30の成長時に欠陥発生を減らす。
【0019】
シード層20は、0より大きく100nm以下の範囲の厚みを有し、例えば0より大きく50nm以下の範囲の厚みを有する。シード層20の作用により、バッファ層30の厚みが薄くなる。シード層20が100nmより厚い場合には欠陥密度や表面粗度が増大してバッファ層30を薄くすることが難しい。バッファ層30は、0より大きく3μm以下の範囲の厚みを有し、例えば0より大きく2μm以下範囲の厚みを有する。
【0020】
図2は、
図1に示した基板構造体のシード層が複数層を含む例を示した図である。
図2に示した基板構造体1Aは、シリコン基板10、シリコン基板上に複数層を含むシード層20、シード層20上のバッファ層30を含む。
【0021】
シード層20は、第1層21、第2層22、第3層23、及び第4層24を含む。シード層20は、例えばB層とBGe層とが相互に配列されるか、又はBGe層とBGeSi層とが相互に配列された構造を有する。或いは、シード層20は、グレーデッド層(graded layer)、例えばグレーデッド層B
x1Ge
1−x1(0<x1<1)を含む。グレーデッド層は、濃度が漸次に増減する複数層を含む。しかし、それに限定されるものではなく、それ以外にもシード層の構成を多様に変形することができる。
【0022】
図3は、
図2に示した基板構造体のバッファ層30が複数層を含む例を示した図である。
図3に示した基板構造体1Bは、シリコン基板10、シリコン基板10上のシード層20、及びシード層20上の複数層を含むバッファ層30を含む。バッファ層30は、第5層31及び第6層32を含み、例えばGe層及びSiGe層を含む。或いは、バッファ層30は、グレーデッド層Si
x2Ge
1−x2(0<x2<1)で形成される。
【0023】
他の実施形態として、第5層31と第6層32との間にシード層が1層以上更に具備され得る。
【0024】
図4は、
図1に示した基板構造体に半導体層を更に具備する例を示した図であり、バッファ層30上に半導体層40を更に具備する。
図4に示した基板構造体1Cは、基板10、基板上のシード層20、シード層30上のバッファ層40、及びバッファ層40上の半導体層40を含む。半導体層40は、IV族物質又はIII−V族物質で形成される。半導体層40は、例えばIV族物質としてGeを含むか、又はIII−V族物質としてInGaAs、InP、InSb、InGaSb、GaSb、及びInAsのうちの少なくとも一つを含む。
【0025】
バッファ層30は、基板10と半導体層40との格子定数差を緩和させることにより、スレディング転移密度(threading dislocation density)を低下させる。また、バッファ層30の厚みが厚いほど、その上に成長させる半導体層40のスレディング転移密度が小さくなり、高品質の半導体層を製作することができるが、バッファ層30の厚みによって製造コストと時間とが比例して増大する。本実施形態では、シード層20を用いることによって、バッファ層30の厚みを薄くしながらも半導体層40の結晶性を高めることができる。
【0026】
図5及び
図6は、本発明の一実施形態による基板構造体の例を示した図であり、ホウ素をドーピングしたシード層の成長時間によるGeバッファ層の厚みを図示したものである。
図5では、シリコン(Si)基板上にホウ素シード層を6nm積層し、更にGeバッファ層を成長させた例を図示したものである。その場合、スレディング転移密度が略1.0×10
7/cm
2であり、Geバッファ層の厚みが略400nmである。
図6では、シリコン基板上にホウ素をドーピングしたGeシード層を略10nmに積層し、更にGeバッファ層を成長させた例を図示したものである。その場合、スレディング転移密度が略0.5×10
7/cm
2であり、Geバッファ層の厚みが略120nmである。一方、
図7は、
図5及び
図6に示した基板構造体との比較例であり、シリコン基板上にシード層なしにGeバッファ層を成長させた例を図示したものである。その場合、スレディング転移密度が略3.0×10
7/cm
2であり、Geバッファ層の厚みが略600nmである。
【0027】
図8は、本発明の一実施形態によるCMOS素子100を示した図である。
【0028】
CMOS素子100は、基板110と、基板110上に互いに離隔されるように配置された第1シード層120及び第2シード層121と、第1シード層120上の第1バッファ層130と、第2シード層121上の第2バッファ層131と、を含む。基板110は、シリコン基板である。第1シード層120及び第2シード層121は、それぞれ単一層又は複数層を含む。第1シード層120及び第2シード層121は、ホウ素又はリンを含み、例えばB、BGe、BSiGe、P、PGe、PSiGe、B:Ge、B:SiGe、P:Ge、又はP:SiGeを含む。
【0029】
第1シード層120及び第2シード層121は、同一の物質で形成されるか又は互いに異なる物質で形成される。第1バッファ層130及び第2バッファ層131は、同一の物質で形成されるか又は互いに異なる物質で形成される。
【0030】
第1バッファ層130上に第1型トランジスタ用第1層140が具備され、第2バッファ層131上に第2型トランジスタ用第2層141が具備される。第1型はn型であり、第2型はp型である。或いは、第1型はp型であり、第2型はn型である。n型トランジスタは、n型MOSFET(metal−oxide semiconductor field−effect transistor)である。p型トランジスタは、p型MOSFETである。n型トランジスタ用層は、電子移動度(electron mobility)が高い物質で形成され、p型トランジスタ用層は、正孔移動度(hole mobility)が高い物質で形成される。第1層140及び第2層141は、チャネル層である。
【0031】
第1層140又は第2層141がn型トランジスタ用層である場合、第1層140又は第2層141は、III−V族物質を含み、例えばInGaAs、InP、InSb、InGaSb、GaSb、及びInAsのうちの少なくとも一つを含む。
【0032】
第1層140又は第2層141がp型トランジスタ用層である場合、第1層140又は第2層141は、IV族物質を含み、例えばGeを含む。
【0033】
第1シード層120及び第2シード層121は、0より大きく100nm以下の範囲の厚みを有し、例えば0より大きく50nm以下の厚みを有する。第1シード層120及び第2シード層121により、第1バッファ層130及び第2バッファ層131の厚みが薄くなる。第1シード層120及び第2シード層121が100nmより厚い厚みを有する場合、欠陥密度や表面粗度が増大し、第1バッファ層130及び第2バッファ層131の厚みを薄くし難くなる。第1バッファ層130及び第2バッファ層131は、0より大きく3μm以下の範囲の厚みを有し、例えば0より大きく2μm以下の範囲の厚みを有する。第1シード層120と第2シード層121との間、第1バッファ層130と第2バッファ層131との間、及び第1層140と第2層141との間には、第1絶縁層150が具備される。そして、第1シード層120、第1バッファ層130、及び第1層140の一側には、第2絶縁層151が更に具備され、第2シード層121、第2バッファ層131、及び第2層141の他の一側には、第3絶縁層152が更に具備される。
【0034】
第1絶縁層150、第2絶縁層151、及び第3絶縁層152は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はシリコン酸窒化膜で形成される。
【0035】
本実施形態によると、シリコン基板110上に、n型トランジスタ及びp型トランジスタを共に具備するCMOS素子を提供することができる。また、第1シード層120及び第2シード層121を用いることにより、第1バッファ層130及び第2バッファ層131の厚みを薄くすることができ、欠陥密度を低下させることができる。
【0036】
図9は、本発明の他の実施形態によるCMOS素子を示した図である。
図9に示したCMOS素子200は、基板210と、基板210上のシード層220と、シード層220上のバッファ層230と、を含む。バッファ層230上に、互いに離隔されるように第1層240及び第2層241が具備される。
【0037】
基板210は、シリコン基板である。シード層220は、単一層又は複数層を含む。シード層220は、ホウ素又はリンを含み、例えばB、BGe、BSiGe、P、PGe、PSiGe、B:Ge、B:SiGe、P:Ge、又はP:SiGeを含む。
【0038】
第1層240は第1型トランジスタ用層であり、第2層241は第2型トランジスタ用層である。第1型はn型であり、第2型はp型である。或いは、第1型はp型であり、第2型はn型である。n型トランジスタは、n型MOSFETである。p型トランジスタは、p型MOSFETである。第1層240及び第2層241は、チャネル層である。
【0039】
第1層240又は第2層241がn型トランジスタ用層である場合、第1層240又は第2層241は、III−V族物質を含み、例えばInGaAs、InP、InSb、InGaSb、GaSb、及びInAsのうちの少なくとも一つを含む。
【0040】
第1層240又は第2層241がp型トランジスタ用層である場合、第1層240又は第2層241は、IV族物質を含み、例えばGeを含む。
【0041】
シード層220は、0より大きく100nm以下の範囲の厚みを有し、例えば0より大きく50nm以下の範囲の厚みを有する。バッファ層230は、0より大きく3μm以下の範囲の厚みを有し、例えば0より大きく2μm以下の範囲の厚みを有する。第1層240と第2層241との間には、第1絶縁層250が具備される。そして、シード層220、バッファ層230、及び第1層240の一側には、第2絶縁層251が更に具備され、シード層120、バッファ層130、及び第2層140の他の一側には、第3絶縁層252が更に具備される。
【0042】
第1絶縁層250、第2絶縁層251、及び第3絶縁層252は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はシリコン酸窒化膜で形成される。
【0043】
CMOS素子200は、シリコン基板210上に、n型トランジスタ及びp型トランジスタを共に具備することができ、シード層220を用いることにより、バッファ層230の厚みを薄くすることができ、製造時間及び製造コストを節減することができる。
【0044】
図9では、第1絶縁層250が、第1層240と第2層241との間に具備された例を示しているが、それ以外にも、第1絶縁層250が、バッファ層230の内部にまで延長されるものも可能である。
【0045】
次に、本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法について説明する。
【0046】
図10〜
図16は、本発明の一実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
図10を参照すると、基板310上にシード層320が形成され、シード層320上にバッファ層330が形成される。バッファ層330上に、第1型トランジスタ用物質層340が形成される。第1型トランジスタは、n型トランジスタ又はp型トランジスタである。基板310は、シリコン系(silicon based)基板である。基板310は、p型不純物又はn型不純物でドーピングされる。例えば、基板310は、シリコン基板であり、p型シリコン基板である。
【0047】
第1型トランジスタ用物質層340は、III−V族物質又はIV族物質で形成される。III−V族物質及びIV族物質については、後述する。
【0048】
シード層320は、ホウ素又はリンを含み、例えばB、BGe、BSiGe、P、PGe、PSiGe、B:Ge、B:SiGe、P:Ge、又はP:SiGeを含む。
【0049】
バッファ層330は、少なくとも1つのIV族物質から形成される。バッファ層330は、Geを含み、例えばSiGe、GeSn、Geのうちの少なくとも一つを含む。
【0050】
シード層320を用いることにより、基板310とバッファ層330との格子定数差が緩和され、バッファ層330の厚みを薄くすることができる。バッファ層330は、基板310と第1型トランジスタ用物質層340との格子定数差及び熱膨脹係数差を緩和させ、同時に欠陥を緩和して第1型トランジスタ用物質層340の結晶性を向上させることができる。
【0051】
第1型トランジスタ用物質層340は、量子井戸構造(quantum well structure)を有する。第1型トランジスタ用物質層340に対する前処理(pre−treatment)として、湿式処理(wet treatment)及びインシチュ(in−situ)アニーリングを実施する。
【0052】
図11を参照すると、第1型トランジスタ用物質層340をエッチングし、第1型トランジスタ用第1層347及び第1パターン領域348を含む第1パターンを形成する。第1層347は、例えばn型トランジスタのチャネル層又はp型トランジスタのチャネル層である。
【0053】
第1パターンの第1パターン領域348では、バッファ層330の一部が露出する。第1型トランジスタ用第1層347をエッチングする際、フォトレジストを利用して行う。次に、
図12に示すように、第1型トランジスタ用第1層347、露出したバッファ層330、及び第1領域348上に絶縁層350を形成する。絶縁層350は、酸化膜、窒化膜、又は酸窒化膜で形成され、例えばシリコン酸化膜(SiO
2)、シリコン窒化膜(SiN
x)、又はシリコン酸窒化膜(SiO
xN
y)で形成される。
図13を参照すると、絶縁層350をエッチングし、選択的成長のための第2パターンを含む第2パターン領域353を形成する。次に、
図14に示すように、第2パターン領域353に、選択的成長を介して第2型トランジスタ用第2層355を形成する。第2層355は、第2パターンの第2パターン領域353の深さより低く成長させるか、又は第2パターン領域353に符合するように成長させるか、或いは第2パターン領域353より高く成長させる。第2層355の成長後、平坦化工程を介して第2層355の表面を平坦化する。平坦化工程には、例えば化学機械的研磨(chemical mechanical polishing)法を利用する。ここで、平坦化工程は、必須なものではなく、第2層355の表面状態によって選択的に遂行される。絶縁層350は、選択的成長工程におけるマスクとして使用される。第2層355は、n型トランジスタ用又はp型トランジスタ用である。例えば、第1層347がp型である場合に第2層355がn型であり、第1層347がn型である場合に第2層355がp型である。第2層355がn型である場合、III−V族物質、例えばInGaAs、InP、InSb、InGaSb、GaSb、及びInAsのうちの少なくとも一つを含む物質で形成される。第2層355がp型である場合、IV族物質、例えばGeを含む物質で形成される。
【0054】
第2層355がGeで形成される場合、第2層355は、エピタキシ法によって成長させる。例えば、第2層355は、先ず低温(例えば、400℃)でGeを数〜数十nm厚に成長させた後、続いて低温より高い温度、例えば600℃でGeを成長させて形成する。その際、絶縁層350は、マスクとして使用される。第1層347の表面が絶縁層350で覆われているため、第2層355は、第2パターンによって露出したバッファ層330の露出した領域上にのみ選択的に成長する。
【0055】
図15を参照すると、
図14に示した結果物の表面を平坦化し、第1層347を露出させる。平坦化は、例えば化学機械的研磨法を利用して遂行する。その方法により、1枚の基板310上に第1型トランジスタ用第1層及び第2型トランジスタ用第2層を共に形成することができる。そして、III−V族物質で形成された第1層を形成することよりも、Ge物質で形成された第2層を選択的に成長させることが相対的に更に容易であり簡便である。
【0056】
次に、
図16を参照すると、第1層347の両側に、第1ソース電極S1及び第1ドレイン電極D1が形成される。或いは、第1層347の上部に、互いに離隔されるように第1ソース電極及び第1ドレイン電極が形成される。また、第2層355の両側に、第2ソース電極S2及び第2ドレイン電極D2が形成される。或いは、第2層355の上部に、互いに離隔されるように第2ソース電極S2及び第2ドレイン電極D2が形成される。第1ソース電極S1及び第2ソース電極S2と、第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2は、インプランテーションによって形成される。しかし、それに限定されるものではなく、ソース電極及びドレイン電極を形成する多様な方法を採用することができる。第1ソース電極S1及び第2ソース電極S2と、第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2は、導電性物質で形成され、例えば金属又は合金によって形成される。第1ソース電極S1及び第2ソース電極S2と、第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2は、例えばTi/Au合金、又はGe/Au/Ni/Au合金で形成される。
【0057】
第1層347上に第1ゲート絶縁層360が形成され、第2層355上に第2ゲート絶縁層370が形成される。第1ゲート絶縁膜360及び第2ゲート絶縁層370は、Al
2O
3、SiO
x、Si
xN
y、Sc
2O
3、AlN、Ga
2O
3、Gd
2O
3、Al
xGa
2(1−x)O
3、MgO、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む。しかし、それらに限定されるものではなく、一般的なトランジスタで使用されるゲート絶縁層物質であるならば、いずれも第1ゲート絶縁膜360及び第2ゲート絶縁層370の物質として適用される。第1ゲート絶縁膜360及び第2ゲート絶縁層370上に、それぞれ第1ゲート電極G1及び第2ゲート電極G2が形成される。第1ゲート電極G1の両側には、第1スペーサ363が形成される。第2ゲート電極G2の両側には、第2スペーサ373が形成される。第1ゲート電極G1、第1ソース電極S1、及び第1ドレイン電極D1は、多様な金属や導電性酸化物などで形成される。また、第1ゲート電極G1、第1ソース電極S1、及び第1ドレイン電極は、同一の物質で形成されるが、それぞれ異なる物質で形成されてもよい。第2ゲート電極G2、第2ソース電極S2、及び第2ドレイン電極D2は、多様な金属や導電性酸化物などから形成される。また、第2ゲート電極G2、第2ソース電極S2、及び第2ドレイン電極D2は、同一の物質で形成されるが、それぞれ異なる物質で形成されてもよい。一方、第1ゲート絶縁膜360及び第2ゲート絶縁層370は、非常に大きいエネルギーバンドギャップを有するため、第1層347及び第2層355に対してバリア層のような役割を担う。
【0058】
図17〜
図23は、本発明の他の実施形態によるCMOS素子の製造方法を示した図である。
図17を参照すると、基板410上にシード層420が形成され、シード層420上にバッファ層430が形成され、バッファ層430上に第1型トランジスタ用物質層440が形成される。基板410は、シリコン系基板である。また、基板410は、p型不純物又はn型不純物でドーピングされる。例えば、基板410は、シリコン基板であり、p型シリコン基板である。
【0059】
第1型トランジスタ用物質層440は、例えば第1型がn型である場合にIII−V族物質で形成され、第1型がp型である場合にIV族物質で形成される。シード層420は、ホウ素又はリンを含む。シード層420、バッファ層430、及び第1型トランジスタ用物質層440は、
図10〜
図16を参照して説明したシード層320、バッファ層330、及び第1型トランジスタ用物質層340と実質的に同一の材質で形成され、同一の動作を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0060】
図18を参照すると、第1型トランジスタ用物質層440をエッチングし、第1型トランジスタ用第1層441及び第1パターン領域418を含む第1パターンを形成する。第1パターンの第1パターン領域418では、シード層420の一部が露出する。しかし、それに限定されるものではなく、第1パターンでバッファ層431が露出するようにエッチングすることができる。次に、
図19に示すように、第1型トランジスタ用第1層441及び露出したシード層420上に絶縁層434を形成する。絶縁層434は、酸化膜、窒化膜、又は酸窒化膜で形成される。例えば、絶縁層434は、シリコン酸化膜(SiO
2)、シリコン窒化膜(SiN
x)、又はシリコン酸窒化膜(SiO
xN
y)で形成される。
【0061】
図20を参照すると、絶縁層434をエッチングし、選択的成長のための第2パターンの第2パターン領域453を形成する。第2パターン領域453では、基板410が露出する。次に、
図21に示すように、第2パターン領域453に、選択的成長を介して第2型トランジスタ用第2層455を形成する。絶縁層434は、選択的成長工程におけるマスクとして使用される。第2層455は、n型トランジスタ用又はp型トランジスタ用である。例えば、第1層441がp型である場合に第2層455がn型であり、第1層441がn型である場合に第2層455がp型である。第2層455がn型である場合、III−V族物質、例えばInGaAs、InP、InSb、InGaSb、GaSb、及びInAsのうちの少なくとも一つを含む物質で形成される。第2層455がp型である場合、IV族物質、例えばGeを含む物質で形成される。
【0062】
第1層441の表面が絶縁層434によって覆われているため、第2層455は、基板410の露出した領域上にのみ選択的に成長する。
【0063】
図22を参照すると、平坦化工程を介して第1層441及び第2層455の表面を平坦化する。次に、
図23を参照すると、第1層441の両側に、第1ソース電極S11及び第1ドレイン電極D11が形成される。或いは、第1層441の上部に、互いに離隔されるように第1ソース電極及び第1ドレイン電極が形成される。また、第2層455の両側に、第2ソース電極S12及び第2ドレイン電極D12が形成される。第1ゲート電極G11の両側に、第1スペーサ463が具備される。第2ゲート電極G12の両側に、第2スペーサ473が具備される。或いは、第2層455の上部に、互いに離隔されるように第2ソース電極S12及び第2ドレイン電極D12が具備される。そして、第1層441上に第1ゲート絶縁層460が具備され、第1ゲート絶縁層460上に第1ゲート電極G11が具備される。また、第2層455上に第2ゲート絶縁層470が具備され、第2ゲート絶縁層470上に第2ゲート電極G12が具備される。
【0064】
本発明の他の実施形態による製造方法によると、基板上にシード層を積層し、シード層上にバッファ層を積層した後、第1型トランジスタ用第1層を選択的成長させ、その上に更に第2型トランジスタ用第2層を選択的成長させることも可能である。
【0065】
一方、本発明の実施形態による製造方法を介して、ウェーハの1セル内に複数個の異種結合エピ構造を含むことができる。例えば、
図24に示す本発明の実施形態によるCMOS素子をウェーハ上に具備する例のように、ウェーハ500の1つのセル505内に、第1領域510、第2領域520、及び第3領域530を含む。第1領域510は、例えばシリコン領域であり、第2領域520は、例えばIII−V族化合物領域であり、第3領域530は、例えばGe領域である。例えば、第1領域510には光素子が具備され、第2領域520にはn型トランジスタが具備され、第3領域530にはp型トランジスタが具備される。光素子は、例えばLED(light emitting diode)、LD(laser diode)、PD(photo diode)である。例えば、n型トランジスタ及びp型トランジスタは、光素子の発光動作又は受光動作を支援する電子素子として動作する。また、そのような方式で、光素子集積(photonic device integration)、光電子ハイブリッド回路集積(hybrid electronic and photonic circuit integration)が可能である。
【0066】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。