(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る防災システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、受信機が所定の状態になったと判定装置が判定した場合に、端末装置が、受信機を介さずに出力装置から状態信号を受信して、受信した状態信号に基づいて、監視領域の状態についての情報を出力可能となるようにした監視システムに関するものである。
【0020】
ここで、「所定の状態」とは、予め定められている受信機の状態であり、例えば、受信機が停止している状態、メンテナンスを行うことが必要な受信機の状態、及び受信機の少なくとも一部の機能が故障している状態を含む概念である。なお、「受信機が停止している状態」とは、受信機が自己の有する機能を発揮できなくなった状態であり、例えば、受信機に供給される電源が遮断された状態を含む概念である。
【0021】
また、「監視領域」は、防災システムによる監視対象となっている領域であり、例えば、建築物の部屋、廊下、階段等を含む概念である。
【0022】
また、以下の実施の形態においては、発報信号を出力した感知器を個別に特定することにより異常発生を検出することが可能なR型の受信機を含む防災システムに対して本発明を適用する例を示すが、発報信号が伝達された通信回線を特定することにより異常発生を検出することが可能なP型の受信機を含む防災システムに対しても、本発明を同様に適用することができる。
【0023】
(構成)
まず、本実施の形態に係る防災システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る防災システムを示すブロック図である。
【0024】
(構成‐防災システム)
防災システム100は、災害を防止するためのシステムであり、具体的には、監視領域を監視する監視システムであって、感知器1、分散盤2、受信機3、入出力装置4、及び表示装置5を備えており、これらの装置は所定の通信線を介して接続されている。各装置の接続について具体的には、
図1に示すように、感知器1は、通信線L1を介して分散盤2に接続されており、分散盤2、受信機3、及び入出力装置4は、通信線L2〜L4を介して相互に接続されており、表示装置5は、通信線L5を介して入出力装置4に接続されている。
【0025】
(構成‐防災システム‐感知器)
まず、感知器1は、監視領域における異常の発生を検出する防災検出手段であり、具体的には、火災やガス漏れ等の異常を検出した場合に発報信号を出力する防災装置であって、例えば、煙感知器、ガス感知器、又は熱感知器等である。ここで、「発報信号」とは、監視領域の状態を示す信号であり、具体的には、例えば異常発生等の監視領域の状態を示す状態信号である。
【0026】
(構成‐防災システム‐分散盤)
また、分散盤2は、信号を中継する信号中継手段であり、具体的には、感知器1から出力された発報信号を受信した場合に、受信した当該発報信号を中継して、当該発報信号を受信機3及び入出力装置4の双方に対して出力する出力装置である。
【0027】
(構成‐防災システム‐受信機)
また、受信機3は、各種信号を受信して、受信した信号に応じた処理を行う防災受信手段であり、具体的には、分散盤2を介して受信した発報信号に基づいて所定の防災処理を行うと共に、受信した当該発報信号を中継して、中継した発報信号(移報信号)を入出力装置4に対して出力する装置である。この受信機3は、具体的には、通信部31(第1警報手段)、操作部32、表示部33、音響部34(第1警報手段)、印字部35(第1出力手段)、記憶部36、及び制御部37を備える。
【0028】
まず、受信機3に設けた通信部31は、通信を行う通信手段であり、具体的には、通信インターフェース回路等を備えて構成されている。
【0029】
また、受信機3に設けた操作部32は、受信機3に対する各種の操作を行うための操作手段であり、具体的には、所定の操作ボタン等を備えて構成されている。
【0030】
また、受信機3に設けた表示部33は、防災に関する各種情報を表示するための表示手段であり、具体的には、各種情報を表示するディスプレイ等を備えて構成されている。
【0031】
また、受信機3に設けた音響部34は、防災に関する各種警報音を出力するための音響手段であり、具体的には、各種警報音を出力するスピーカ等を備えて構成されている。
【0032】
また、受信機3に設けた印字部35は、防災に関する各情報を印字して出力するための印字手段であり、具体的には、各種情報を印字して出力するプリンタ等を備えて構成されている。
【0033】
また、受信機3に設けた記憶部36は、受信機3の動作に必要なプログラム及び各種デ−タが記憶されている記憶手段である。
【0034】
また、受信機3に設けた制御部37は、受信機3に関する各種の制御を行う制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケ−ションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデ−タを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュ−タである。特に、実施の形態に係る処理プログラムは、任意の記録媒体又はネットワ−クを介して制御部37にインストールされることで、制御部37の各部を実質的に構成する(後述する入出力装置4の制御部43、及び表示装置5の制御部57も同様とする)。
【0035】
この制御部37は、機能概念的に、監視処理部371、及び通信処理部372を有する。そして、監視処理部371は、監視領域の状態を監視する処理を行う監視処理手段であり、具体的には、分散盤2を介して受信した発報信号に基づいて、監視領域を監視する処理を行う。また、通信処理部372は、通信に関する処理を行う通信処理手段であり、具体的には、分散盤2から受信した発報信号を中継して、当該発報信号を入出力装置4に対して出力する処理を行う。
【0036】
(構成‐防災システム‐入出力装置)
また、入出力装置4は、信号の入出力を行う入出力手段であり、具体的には、発報信号の入出力等を行う装置であり、所定の状態に関する判定を行う判定装置でもあって、切替部41、記憶部42、及び制御部43を備える。
【0037】
まず、切替部41は、通信に関する切り替えを行う切替手段であり、具体的には、受信機3を介して分散盤2から受信する(つまり、通信線L2、受信機3、及び通信線L4を介して分散盤2から受信する)発報信号(以下、「第1発報信号」)、又は、受信機3を介さずに分散盤2から受信する(つまり、通信線L3を介して分散盤2から受信する)発報信号(以下、「第2発報信号」)のうちの何れか一方のみが表示装置5に伝達されるように切り替わる切替スイッチ等を含んで構成されている。
【0038】
また、入出力装置4に設けた記憶部42は、入出力装置4の動作に必要なプログラム及び各種デ−タが記憶されている記憶手段である。
【0039】
また、入出力装置4に設けた制御部43は、機能概念的に、判定部431、及び切替処理部432を有する。そして、入出力装置4に設けた判定部431は、受信機3が所定の状態になったか否かを判定する判定手段である。また、切替処理部432は、判定部431の判定結果に基づいて、切替部41を切り替える処理を行う切替処理手段である。ここで、「切替部41を切り替える」とは、切替部41に含まれている前述の切替スイッチの状態を切り替えることであり、具体的には、第1発報信号又は第2発報信号のうちの第1発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替スイッチの状態を切り替えることと、第1発報信号又は第2発報信号のうちの第2発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替スイッチの状態を切り替えることとのうちの、何れか一方を示している。なお、これら制御部43の各部により行われる処理については、後述する。
【0040】
(構成‐表示装置)
また、表示装置5は、防災システム100に関する情報を出力する防災出力手段である。この表示装置5は、具体的には、防災に関する情報の表示等を行う防災表示装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ等を含む汎用的に用いられる端末装置、又は、防災システム100のための専用の端末装置等によって構成されており、通信部51(第2警報手段)、操作部52、表示部53、音響部54(第2警報手段)、印字部55(第2出力手段)、記憶部56、及び制御部57を備える。なお、通信部51、表示部53、音響部54、印字部55、及び記憶部56については、前述の受信機3における対応する構成と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
まず、表示装置5に設けた操作部52は、表示装置5に対する各種の操作を行うための操作手段であり、具体的には、所定のキーボード、マウス、又はタッチパネル等を備えて構成されている。
【0042】
また、表示装置5に設けた制御部57は、機能概念的に、判定部571、及び監視処理部572を有する。そして、表示装置5に設けた判定部571は、表示装置5が受信した発報信号に関する判定を行う判定手段である。また、監視処理部572は、監視領域の状態を監視する処理を行う監視処理手段であり、具体的には、判定部571の判定結果及び受信した発報信号に基づいて、監視領域を監視する処理を行う。なお、これら制御部57の各部により行われる処理については、後述する。
【0043】
(処理)
次に、このように構成された防災システム100によって行われる防災処理について説明する。この防災処理は、防災システム100における各装置の電源スイッチをオンした後に、起動する。ここでは、防災処理が起動した直後の初期状態においては、第1発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41が切り替えられていることとし、また、「所定の状態」が、受信機3が停止している状態に対応していることとして、入出力装置4の処理、及び表示装置5の処理について説明した後、防災システム100の処理について説明する。
【0044】
(処理‐入出力装置の処理)
まず、
図2を参照して、入出力装置4の処理について説明する。
図2は、実施の形態に係る入出力装置の処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。
【0045】
まず、この
図2のSA1において入出力装置4の判定部431は、受信機3が所定の状態になったか否かを判定する。具体的には、受信機3が停止している状態になったか否かを判定する。なお、この判定手法については、任意であるが、例えば停止しているために受信機3が通信を行えなくなっている点に着目して、以下に示すように判定する手法を用いてもよい。この手法について具体的には、入出力装置4の判定部431は、受信した場合に応答信号の送信を要求する要求信号を、受信機3に対して所定時間毎に繰り返し送信し続け、受信機3の通信処理部372での処理により、前述の応答信号が受信機3から送信されてくるか否かに基づいて、受信機3が停止している状態になったか否かを判定する。そして、例えば応答信号が受信機3から所定時間以内に送信されてこなかった場合には、受信機3が所定の状態になったと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。また、例えば応答信号が受信機3から所定時間以内に送信されてきた場合には、受信機3が所定の状態になっていないと判定し(SA1のNO)、SA3に移行する。
【0046】
次に、
図2のSA2において入出力装置4の切替処理部432は、第2発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41を切り替えた後、SA1に移行する。なお、このSA2の処理では、例えば、
図2の処理を複数回行い、以前に行われた処理によって既に、第2発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41が切り替えられている場合、この切り替え状態を維持したままで、SA1に移行することとする(後述するSA3も同様とする)。
【0047】
一方、
図2のSA3において入出力装置4の切替処理部432は、第1発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41を切り替えた後、SA1に移行する。
【0048】
(処理‐表示装置の処理)
次に、
図3を参照して、表示装置5の処理について説明する。
図3は、実施の形態に係る表示装置の処理のフローチャートである。
【0049】
まず、この
図3のSB1において表示装置5の判定部571は、表示装置5が発報信号を受信したか否かを監視する。そして、表示装置5が発報信号を受信した場合(SB1のYES)、SB2に移行する。また、表示装置5が発報信号を受信していない場合(SB1のNO)、SB1の処理を再度行う。
【0050】
次に、
図3のSB2において表示装置5の判定部571は、SB1で受信した発報信号が第1発報信号であるか否か(つまり、第1発報信号であるか第2発報信号であるか)の判定を行う。なお、この判定手法については、任意であるが、例えば
図1の受信機3の通信処理部372が、発報信号を中継する場合に中継を行った旨を示す情報(以下、「中継情報」)を付加して、発報信号を中継することとし、以下に示すように判定する手法を用いてもよい。この手法について具体的には、表示装置5の判定部571は、SB1で受信した発報信号に中継情報が含まれているか否かに基づいて、第1発報信号であるか否かを判定する。そして、例えば中継情報が付加されているので、SB1で受信した発報信号が第1発報信号であると判定した場合(SB2のYES)、SB3に移行する。また、例えば中継情報が付加されていないので、SB1で受信した発報信号が第1発報信号でない(つまり、第2発報信号である)と判定した場合、SB4に移行する。
【0051】
次に、
図3のSB3において表示装置5の監視処理部572は、後述するように、監視領域での異常発生を受信機3と共に報知する。
【0052】
一方、
図3のSB4において表示装置5の監視処理部572は、後述するように、監視領域での異常発生を受信機3の代わり報知する。
【0053】
(処理‐防災システムの処理)
次に、
図1〜
図3を参照して、防災システム100の処理について説明する。ここでは、
図1の受信機3が所定の状態になっていない場合において感知器1が発報信号を出力した場合の処理(以下、「第1の処理」)と、受信機3が所定の状態になっている場合において感知器1が発報信号を出力した場合の処理(以下、「第2の処理」)とについて説明する。
【0054】
(処理‐防災システムの処理‐第1の処理)
まず、
図1の受信機3が所定の状態になっていない場合、入出力装置4は、
図2のSA1のNOの後、SA3の処理を行う。この場合、入出力装置4の切替処理部432は、第1発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41を切り替える。
【0055】
次に、
図1の感知器1が発報信号を出力した場合、当該発報信号は、通信線L1、分散盤2、通信線L2、受信機3、通信線L4、入出力装置4、及び通信線L5を介して第1発報信号として表示装置5に伝達される。なお、この場合、第1発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41が切り替えられているので、第2発報信号は、表示装置5には伝達されないことになる。
【0056】
そして、この場合、受信機3の監視処理部371は、受信機3の通信部31、表示部33、音響部34、及び印字部35を介して監視領域での異常発生を報知する。具体的には、防災システム100と接続されている所定の防災盤に対して通信部31を介して移報を行ったり、所定の警報メッセージ等を表示部33に表示したり、所定の警報音を音響部34から出力したり、発報履歴を印字部35で所定の用紙に印字して出力したりする。
【0057】
一方、この場合、
図1の表示装置5は、
図3のSB1のYES、SB2のYESの後、SB3の処理を行う。この場合、SB3では
図1における表示装置5の監視処理部572は、通信部51、表示部53、音響部54、及び印字部55のうちの、表示部53のみを介して監視領域での異常発生を報知する。具体的には、所定の警報メッセージ等を表示部53に表示する。このように、表示部53以外においては、前述の受信機3による報知との重複が回避されているので、防災システム100のユーザによる監視領域の異常発生の把握に関して混乱が引き起こされるのを防止することができる。
【0058】
(処理‐防災システムの処理‐第2の処理)
次に、
図1の受信機3が所定の状態になっている場合、入出力装置4は、
図2のSA1のYESの後、SA2の処理を行う。この場合、入出力装置4の切替処理部432は、第2発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41を切り替える。
【0059】
次に、
図1の感知器1が発報信号を出力した場合、当該発報信号は、通信線L1、分散盤2、通信線L3、入出力装置4、及び通信線L5を介して第2発報信号として表示装置5に伝達される。なお、この場合、受信機3が所定の状態になっており、更に、第2発報信号のみが表示装置5に伝達されるように切替部41が切り替えられているので、第1発報信号は、表示装置5には伝達されないことになる。
【0060】
そして、この場合、受信機3については、所定の状態(つまり、例えば停止している状態)になっているので、監視領域での異常発生を報知しないことになる。
【0061】
一方、この場合、
図1の表示装置5は、
図3のSB1のYES、SB2のNOの後、SB4の処理を行う。この場合、SB4では
図1における表示装置5の監視処理部572は、通信部51、表示部53、音響部54、及び印字部55を介して監視領域での異常発生を報知する。具体的には、
図3のSB3の処理と同様にして所定の警報メッセージ等を表示部53に表示し、更に、前述の「第1の処理」での受信機3の通信部31、音響部34、印字部35を介して異常発生を報知する場合と同様にして、通信部51、音響部54、及び印字部55を介して、監視領域での異常発生を報知する。このように、受信機3が所定の状態になっている場合、表示装置5が受信機3の代わりに異常発生を報知するので、この場合において、監視領域が無監視状態になるのを防止することができる。また、受信機3が所定の状態になっている場合に、受信機3のバックアップ機器として表示装置5を用いることにより、監視領域を監視することができるので、受信機3のバックアップ機器として受信機3と同様な機器を複数台設ける必要がないので、防災システム100に関するコストを低減することができる。
【0062】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、
図1の受信機3が所定の状態になったと判定した場合に、受信機3を介さずに表示装置5が発報信号を受信することができるので、受信機3が所定の状態になっている場合においても、監視領域の状態についての情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。従って、例えば、受信機3の故障等により監視領域の状態の報知に支障をきたす可能性がある場合、又は、当該故障により発報信号を表示装置5に対して中継するのに支障をきたす可能性がある場合においても、表示装置5が、受信機3を介さずに発報信号を受信することができるので、監視領域の状態についての情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0063】
また、
図1の表示装置5は、受信機3を介さずに発報信号を受信した場合に、受信機3の音響部34の代わりに警報音を出力する音響部54を備えているので、受信機3が所定の状態になった場合に、受信機3の代わりに表示装置5が警報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0064】
また、
図1の表示装置5は、受信機3を介さずに受信した発報信号に基づいて、受信機3の印字部35の代わりに、監視領域の状態を示す情報(例えば、発報履歴等)を出力する印字部55を備えているので、受信機3が所定の状態になった場合に、受信機3の代わりに表示装置5が監視領域の状態を示す情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0065】
また、所定の状態とは、
図1の受信機3が停止した状態のことであるので、受信機3が監視領域の状態を報知できない場合においても、監視領域の状態についての情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0066】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0067】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0068】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、入出力装置4の各機能(特に、切替部41、判定部431、切替処理部432)が表示装置5に設けられていることとしてもよい。
【0069】
(入出力装置について)
また、上記実施の形態では、
図2のSA1において入出力装置4の判定部431が要求信号を送信し、この信号に対する受信機3からの応答信号に基づいて、所定の状態についての判定を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、
図1の受信機3が自己診断機能を有しており、自己診断で異常と診断した場合に受信機3から入出力装置4に対して診断異常信号が送信され、入出力装置4の判定部431は、この診断異常信号を受信した場合に所定の状態であるものと判定することとしてもよい。なお、自己診断では、受信機3の少なくとも一部の機能が故障(例えば、予備電源異常等)していたり、受信機3用のプリンタ用紙の補充が必要な場合等に異常であるとの診断をすることとしてもよい。この場合、メンテナンスを行うことが必要な受信機3の状態、及び受信機3の少なくとも一部の機能が故障している状態を、所定の状態として判定することができる。
【0070】
また、上記実施の形態において
図1の入出力装置4を省略して、受信機3によって中継される発報信号、及び受信機3を介さずに分散盤2から送信される発報信号の双方が表示装置5に対して入力されることとし、表示装置5が、入出力装置4の判定部431と同様にして、所定の状態であると判定した場合に、受信機3によって中継される発報信号を無視し、受信機3を介さずに分散盤2から送信される発報信号に基づいて、
図3のSB4のように、受信機3の代わりに報知することとしてもよい。
【0071】
(表示装置について)
また、上記実施の形態において
図3のSB2において表示装置5の判定部571が発報信号に中継情報が含まれているか否かに基づいて、第1発報信号であるか否かを判定する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、
図1の入出力装置4の判定部431の判定結果に基づいて、第1発報信号であるか否かを判定することとしてもよい。具体的には、表示装置5の判定部571は、入出力装置4の判定部431が所定の状態であるものと判定した場合に、第1発報信号であると判定し、入出力装置4の判定部431が所定の状態でないものと判定した場合に、第1発報信号でないと判定することとしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において
図1の表示装置5が、入出力装置4における切替部41の切替状態を常時モニタしており、このモニタ結果に基づいて、表示装置5が受信機3を介して分散盤2と通信を行っているか、受信機3を介さずに通信を行っているかを示す通信情報を表示装置5の表示部53を介して表示して出力することとしてもよい。また、通信情報を、表示装置5における所定の管理画面上に表示することとしてもよい。
【0073】
(防災システム)
また、上記実施の形態では、
図1の防災システム100に、防災装置として感知器1が含まれている場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、防災装置として、発信機、防排煙装置、防火戸装置等の感知器1とは異なる装置も含まれていることとしてもよい。この場合、例えば、これらの防災装置のステータスを示す信号が、所定時間毎に、感知器1の発報信号と同様にして、分散盤2から防災システム100の各装置に状態信号として伝達されることとして、前述の感知器1が出力する発報信号についての防災システム100の各処理と同様にして、防災装置のステータスを示す信号についての防災システム100の処理が行われることとしてもよい。また、防災装置として防災システム100に含まれている装置の個数は、監視領域の規模に応じて、単数であっても複数であってもよい。
【0074】
また、上記実施の形態において
図1の通信線L3には、受信機3以外の所定の装置(例えば、中継装置等)が接続されており、入出力装置4は、通信線L3における所定の装置を介して分散盤2に接続されていることとしてもよい。
【0075】
(付記)
付記1の監視システムは、監視領域の状態を示す状態信号を出力する出力装置と、前記出力装置が出力した前記状態信号に基づいて前記監視領域の状態を監視するように、前記出力装置に接続されている受信機と、前記受信機を介して前記状態信号を受信するように、前記受信機に接続されている端末装置と、前記受信機が所定の状態になったか否かを判定する判定装置と、を備え、前記受信機が所定の状態になったと前記判定装置が判定した場合に、前記端末装置が、前記受信機を介さずに前記出力装置から前記状態信号を受信して、受信した前記状態信号に基づいて、前記監視領域の状態についての情報を出力可能となるようにした。
【0076】
また、付記2の監視システムは、付記1に記載の監視システムにおいて、前記受信機は、前記状態信号が前記監視領域での異常の発生を示している場合に警報を出力する第1警報手段、を有しており、前記端末装置は、前記受信機を介さずに前記出力装置から受信した前記状態信号が前記監視領域での異常の発生を示している場合に、前記受信機の前記第1警報手段の代わりに警報を出力する第2警報手段、を有している。
【0077】
また、付記3の監視システムは、付記1又は2に記載の監視システムにおいて、前記受信機は、前記状態信号に基づいて、前記監視領域の状態を示す情報を出力する第1出力手段、を有しており、前記端末装置は、前記受信機を介さずに前記出力装置から受信した前記状態信号に基づいて、前記受信機の前記第1出力手段の代わりに前記監視領域の状態を示す情報を出力する第2出力手段、を有している。
【0078】
また、付記4の監視システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の監視システムにおいて、前記所定の状態とは、前記受信機が停止した状態である。
【0079】
また、付記5の端末装置は、監視領域の状態を示す状態信号を出力する出力装置と、前記出力装置が出力した前記状態信号に基づいて前記監視領域の状態を監視するように、前記出力装置に接続されている受信機と、を有する監視システムのための端末装置であって、前記端末装置は、前記受信機を介して前記状態信号を受信するように、前記受信機に接続されており、前記受信機が所定の状態になったか否かを判定する判定手段、を備え、前記受信機が所定の状態になったと前記判定手段が判定した場合に、前記端末装置が、前記受信機を介さずに前記出力装置から前記状態信号を受信して、受信した前記状態信号に基づいて、前記監視領域の状態についての情報を出力可能となるようにした。
【0080】
(付記の効果)
付記1に記載の監視システムによれば、受信機が所定の状態になったと判定した場合に、受信機を介さずに端末装置が状態信号を受信することができるので、受信機が所定の状態になっている場合においても、監視領域の状態についての情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。従って、例えば、受信機の故障等により監視領域の状態の報知に支障をきたす可能性がある場合、又は、当該故障により状態信号を端末装置に対して中継するのに支障をきたす可能性がある場合においても、端末装置が、受信機を介さずに状態信号を受信することができるので、監視領域の状態についての情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0081】
付記2に記載の監視システムによれば、受信機を介さずに受信した状態信号が監視領域での異常の発生を示している場合に、受信機の第1警報手段の代わりに警報を出力する第2警報手段を端末装置が有しているので、受信機が所定の状態になった場合に、受信機の代わりに端末装置が警報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0082】
付記3に記載の監視システムによれば、受信機を介さずに受信した状態信号に基づいて、受信機の第1出力手段の代わりに監視領域の状態を示す情報を出力する第2出力手段を端末装置が有しているので、受信機が所定の状態になった場合に、受信機の代わりに端末装置が監視領域の状態を示す情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0083】
付記4に記載の監視システムによれば、所定の状態とは、受信機が停止した状態のことであるので、受信機が監視領域の状態を報知できない場合においても、監視領域の状態についての情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。
【0084】
付記5に記載の端末装置によれば、受信機が所定の状態になったと判定した場合に、受信機を介さずに端末装置が状態信号を受信することができるので、受信機が所定の状態になっている場合においても、監視領域の状態についての情報を出力することができ、監視領域を確実に監視することができる。