(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、幅木に上下方向にスライド可能に設けられたスライドロック金具の下端のロック片を作業布板の下面に係止することにより、幅木を仮設足場に取り付ける構造では、作業布板により形成される作業者歩行通路の曲がり箇所のコーナー部に仮設足場を構成する支柱が配置されている場合には、このコーナー部において、2個の幅木の長さ方向の端部同士を接続させてこのコーナー部を隙間のない箇所とすることが難しく、このコーナー部が、塞がれていない隙間部となるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、作業布板により形成される作業者歩行通路の曲がり箇所のコーナー部に仮設足場を構成する支柱が配置されていても、このコーナー部が、塞がれていない隙間部とならない仮設足場用幅木の取付具を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る仮設足場用幅木の取付具は、作業者が乗って作業するための作業布板を含んで構築される仮設足場に、前記作業布板に沿って配設される幅木を取り付けるための取付具であって、前記作業布板により形成される作業者歩行通路の曲がり箇所のコーナー部に配設されていて前記仮設足場を構成している支柱に不動状態で配置される取付具本体と、この取付具本体に左右2個取り付けられている保持部材とを有し、これらの保持部材に2個の前記幅木の長さ方向の端部が保持されることを特徴するものである。
【0007】
このように本発明に係る取付具は、作業布板により形成される作業者歩行通路の曲がり箇所のコーナー部に配設されていて仮設足場を構成している支柱に不動状態で配置される取付具本体と、この取付具本体に左右2個取り付けられている保持部材とを有するものとなっており、これらの保持部材に2個の幅木の長さ方向の端部が保持されるため、前記コーナー部に支柱が配置されていても、このコーナー部を、取付具本体と左右2個の保持部材とにより塞ぐことができ、このため、このコーナー部が、塞がれていない隙間部とならない。
【0008】
以上の本発明において、左右2個の保持部材を、これらの保持部材がなす水平面内の角度を90度に固定することにより、取付具本体に対して水平方向に回動不能し、これにより、作業者歩行通路の90度の曲がり箇所に対応できるようにしてもよいが、左右2個の保持部材を、取付具本体に対して水平方向に回動可能とし、これらの保持部材がなす水平面内の角度を変更可能とすることが好ましい。
【0009】
これによると、作業者歩行通路の曲がり箇所の内コーナー部と外コーナー部との両方に対応できるようになり、また、左右2個の保持部材がなす水平面内の角度を180度に、すなわち、左右2個の保持部材が左右に平坦となって並ぶ形状に取付具全体をすることにより、複数の取付具を上下に重ねてコンパクト化した状態でこれらの取付具を仮設足場の構築現場に搬入したり、搬出したりすることができ、また、小さいスペースに保管することもでき、このため、取付具の取り扱いを容易に行えるようになる。
【0010】
また、本発明に係る取付具を配置すべき前記支柱が、作業者歩行通路の曲がり箇所の内コーナー部と外コーナー部のうち、どちらに設けられているかにより、この取付具と支柱との間の距離が異なるため、左右2個の保持部材を、取付具本体に対して水平方向へ移動可能とし、この移動可能方向を、前述の支柱側への接近、離間方向とすることが好ましい。
【0011】
これによると、上述の距離の違いに対処できて、本発明に係る取付具を配置すべき支柱が、作業者歩行通路の曲がり箇所の内コーナー部と外コーナー部のうち、どちらに設けられていても有効に対処できるようになり、また、両方のコーナー部に有効に対処できるようになる。
【0012】
さらに、このように左右2個の保持部材を、取付具本体に対して水平方向へ移動可能とし、この移動可能方向を、支柱側への接近、離間方向とする場合には、一例として、左右2個の保持部材を、軸方向が鉛直方向となっている軸部材を中心に水平方向へ回動自在とし、この軸部材を前記移動可能方向に移動可能とすることにより、左右2個の保持部材を、支柱側への接近、離間方向である水平方向へ移動可能としてもよい。
【0013】
また、左右2個の保持部材を、取付具本体に対して水平方向へ移動可能とし、この移動可能方向を、支柱側への接近、離間方向とするためには、左右2個の保持部材を、軸方向が鉛直方向となっている軸部材を中心に水平方向へ回動自在とし、この軸部材に対して左右2個の保持部材を、支柱側への接近、離間方向である水平方向へ移動可能としてもよい。
【0014】
これらのいずれの場合においても、上記軸部材の本数は、左右2個の保持部材について共通となった1本でもよく、左右2個の保持部材ごとに設けられた2本でもよい。
【0015】
また、上記軸部材は、ボルトの軸部でもよく、ピンでもよい。
【0016】
本発明において、前述のように取付具本体を支柱に不動状態で配置するためには、例えば、取付具本体を、支柱に結合される結合具の係止部材が係止可能となった被係止部材を含んで構成されたものとし、この被係止部材に結合具の係止部材を係止させることにより、支柱に取付具本体が不動状態で配置されるようにしてもよい。
【0017】
また、このようにする場合には、被係止部材の個数を2個とし、これらの被係止部材を、上下が逆となって左右2個の保持部材の上下に配置された上側部材と下側部材としてもよい。
【0018】
これによると、本発明に係る取付具を上下逆にしても、上述の結合部材の係止部材を被係止部材に係止することができて、この取付具を結合具により支柱に不動状態で配置できるため、本発明に係る取付具は上下の区別がないものとなり、このため、この取付具を結合具で支柱に不動状態で配置するときの作業を容易に行えるようになる。
【0019】
また、前述のように取付具本体を支柱に不動状態で配置するためには、この支柱に取付具本体をボルト等の止着具に止着してもよく、あるいは、上述の被係止部材が設けられていなくて支柱に結合される結合具により取付具本体を取り付けてもよい。
【0020】
また、本発明において、左右2個の保持部材に2個の幅木の長さ方向の端部を保持させることは、各種の態様により実施することができ、その一例は、保持部材を、平面視でU字形状となっている保持部を有するものとし、この保持部の内部の溝部に幅木の長さ方向の端部を挿入することにより、この端部が保持部材に保持されるようにすることである。
【0021】
また、ほかの例は、それぞれの保持部材に幅木の長さ方向の端部をボルト等の止着具で止着することにより、幅木の長さ方向の端部を保持部材に保持させることである。
【0022】
なお、上述のように保持部材を、平面視でU字形状となっている保持部を有するものとし、この保持部の内部の溝部に幅木の長さ方向の端部を挿入することにより、この端部を保持部材に保持させるようにする場合にも、保持部に幅木の長さ方向の端部をボルト等の止着具で止着してもよい。
【0023】
以上説明した本発明に係る取付具は、作業者が乗って作業するための作業布板を含んで構築され、作業布板に沿って幅木が配設される仮設足場であれば、任意の作業現場で構築される仮設足場に適用することができ、この作業現場は、例えば、建築の作業現場でもよく、土木の作業現場でもよく、解体の作業現場でもよく、塗装の作業現場でもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、作業布板により形成される作業者歩行通路の曲がり箇所のコーナー部に仮設足場を構成する支柱が配置されていても、このコーナー部が、塞がれていない隙間部にならないという効果を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、建築等の作業現場で構築されている仮設足場の一部が示されており、作業対象物の外周に構築されたこの仮設足場は、複数本の支柱1と、これらの支柱1ごとに支柱1の下端に配置され、それぞれの支柱1の高さを調整するためのジャッキベース2と、作業者が乗って作業するための作業布板3とを含んでいる。それぞれ支柱1の外周面には、継手部材となっている複数個のフランジ4が上下方向に等間隔で結合されており、また、それぞれの支柱1の上端には、図示しない継ぎ足し用支柱の下端が図示しない連結パイプを介して連結され、これらの継ぎ足し用支柱により仮設足場の大きな高さ寸法が確保される。
【0027】
作業布板3は、複数個の作業布板3が長さ方向や幅方向に並設されることにより作業者歩行通路5を形成するものであり、
図1で示されている作業者歩行通路5は、平面視で直角に屈曲した曲がり箇所5Aを有するものになっており、前述の複数本の支柱1のうちには、曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aと、曲がり箇所5Aの外コーナー部に立設された支柱1Bとがある。
【0028】
図1に示されている作業布板3には、幅寸法が大きい作業布板3Aと、幅寸法が小さい作業布板3Bとがあり、これらの作業布板3A,3Bの長さ方向の両端部には、作業布板3A,3Bごとに2個のフック部材6が設けられている。これらのフック部材6は、複数本の支柱1のうち、作業布板3A,3Bの幅方向両側に立設されている2本の支柱1のフランジ4に架け渡されている横架材7に係止され、これにより、それぞれの作業布板3A,3Bは、仮設足場に水平に配置されている。
【0029】
図2は、
図1で示されている作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aの箇所を拡大して示している。この
図2から分かるように、それぞれの横架材7の端部には、支柱1の外周面に結合されているフランジ4を挿入することができる水平の溝部7Aが形成されているとともに、この溝部7Aの上下には、支柱1と対面する対面部7B,7Cが設けられている。また、それぞれ横架材7の端部には、支柱1と横架材7とを連結するための連結部材となっているクサビ部材8を上下に挿通させるための孔部7Dが溝部7Aに跨って形成されており、横架材7の端部を上下に貫通しているこの孔部7Dの支柱1側の端部は、対面部7B,7Cにより閉塞された閉塞部となっている。
【0030】
横架材7の両端部に設けられている溝部7Aにフランジ4を挿入した後に、孔部7Dと、フランジ4に円周方向に4個形成されている凹部4Aのうち、1個の凹部4Aとにクサビ部材8を上から挿入し、このクサビ部材8を上から打圧することにより、クサビ部材8における支柱1側の前面が、孔部7Dの支柱1側の上記閉塞部に当接するとともに、クサビ部材8における支柱1側とは反対側の後面が、凹部4Aにおける支柱1側とは反対側の閉塞端部に当接することにより、横架材7の両端部は、クサビ部材8のクサビ作用によりフランジ4を介して2本の支柱1に結合されるようになっている。
【0031】
このようにして2本の支柱1の間に架け渡された横架材7にフック部材6が係止されることにより、作業者が乗って作業を行うためのそれぞれの作業布板3A,3Bが仮設足場に水平に配置され、これらの作業布板3A,3Bにより上述の作業者歩行通路5が形成される。
【0032】
このような作業者歩行通路5が設けられる仮設足場には、作業布板3A,3Bよりも上側において、作業布板3A,3Bに沿って幅木10が配設され、作業布板3A,3Bの幅方向の端部や作業布板3A,3Bの長さ方向の端部、言い換えると、作業者歩行通路5の幅方向の端部に配設される幅木10により、作業者歩行通路5の上に落ちた工具等が、作業者歩行通路5から落下することが幅木10によって防止されるようになっている。
【0033】
図2には、作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aに本実施形態に係る取付具20を配置し、この取付具20により、支柱1Aの両側に平面視で直角をなして配置された2個の幅木10の長さ方向の端部を保持している状態が示されている。
図3は、この取付具20の全体の斜視図であり、
図4は、取付具20の正面図、
図5は、取付具20の背面図、
図6は、取付具20の平面図、
図7は、取付具20の底面図、
図8は、取付具20の側面図である。また、
図9は、
図4のS9−S9線断面図であり、
図10は、
図4のS10−S10線断面図、
図11は、
図4のS11−S11線断面図、
図12は、
図4のS12−S12線断面図である。
【0034】
これらの
図3〜
図12から分かるように、取付具20は、取付具本体21と左右2個の保持部材22とを含むものになっている。取付具本体21は、左右2個の保持部材22の上下に配置された上側部材23と下側部材24を有し、これらの上側部材23と下側部材24は、上下が逆でかつ前後も逆となっているものであり、このため、これらの上側部材23と下側部材24は、板材の折り曲げで形成された同じ部品を、上下を逆としかつ前後も逆にして用いたものになっている。具体的に説明すると、上側部材23と下側部材24は、保持部材22側のベース部25と、このベース部25の前後方向の一方の端部から、言い換えると、左右2個の保持部材22の並設方向と直交する水平方向の一方の端部から保持部材22側とは反対側へ屈曲している屈曲部26と、この屈曲部26の先端からベース部25と平行にこのベース部25側へ延出している延出部27とからなり、このため、上側部材23と下側部材24は、側面視でコ字形状となっている。
【0035】
それぞれのベース部25には、前後方向に長い長孔28が形成され、この長孔28は左右に2個設けられている。また、それぞれの延出部27の先端部には、屈曲部26側へ窪んだ係止凹部29が形成されている。
【0036】
左右2個の保持部材22は、左右対称形状のものとなっており、このため、これらの保持部材22は、同じ部品を左右を逆にして用いたものとなっている。それぞれの保持部材22は、取付具本体21を構成している上側部材23と下側部材24の間に配置されたベース部30と、このベース部30から上側部材23及び下側部材24を越えて左右の水平方向へ突出している保持部31とからなる。また、
図4、
図5、
図10及び
図12に示されているように、ベース部30は、上下に分割された分割部30A,30Bからなり、これらの分割部30A,30Bの間には、
図11に示されている中間部材32が配置されている。
図10及び
図12に示されているように、それぞれの分割部30A,30Bには、上下に貫通した孔33が形成されているとともに、
図11に示されているように、中間部材32には、上下に貫通した孔34が左右2個形成されている。
【0037】
図9に示されているように、これらの孔33,34には、上側部材23の長孔28から挿入されたボルト35の軸部35Aが挿通され、下側部材24の長孔28から突出した軸部35Aの先端部にナット36が螺合され、これにより、左右2個の保持部材22は、取付具本体21の構成部材となっている上側部材23と下側部材24とにボルト35及びナット36により取り付けられている。
【0038】
それぞれの保持部材22の上記保持部31は、
図3、
図6、
図7及び
図10〜
図12に示されているように、内部に溝部37が設けられた平面視でU字形状となっており、左右方向の外側に向かって開口しているこの溝部37に、
図1及び
図2で示されている幅木10の長さ方向の端部を挿入することにより、この端部を保持部31で保持できるようになっている。また、それぞれ保持部31には前後方向に貫通した孔38が設けられており、
図2に示されているように、これらの孔38に挿通されたボルト39の軸部を、幅木10の長さ方向の端部に形成されている孔にも挿通し、保持部31から突出したボルト39の軸部の先端部にナット40(
図14を参照)を螺合することにより、保持部材22の保持部31で保持された幅木10の長さ方向の端部を保持部31に止着できるようになっている。
【0039】
以上の説明で分かるように、左右2個の保持部材22は、取付具本体21を構成している上側部材23及び下側部材24に対してボルト35の軸部35Aを中心に水平方向である左右方向に回動可能となっており、このため、ボルト35の軸部35Aは、これらの保持部材22を水平方向に回動可能とするために、軸方向が鉛直方向となっている軸部材になっており、この軸部材を中心に保持部材22は水平方向へ回動可能である。
【0040】
本実施形態に係る取付具20の平面図を示している
図6の二点鎖線は、左右2個の保持部材22がボルト35の軸部35Aを中心に水平方向へ回動したときを示している。
図6の実線で示されているように、左右2個の保持部材22がボルト35の軸部35Aを中心に水平方向へ回動してないときには、これらの保持部材22がなす水平面内の角度αは180度であり、左右2個の保持部材22は、この角度αよりも大きい角度βと、角度αよりも小さい角度γまで回動可能であり、
図6の角度βは270度となっており、角度γは90度となっている。
【0041】
そして、左右2個の保持部材22がなす水平面内の角度を180度としたときには、これらの保持部材22は左右に平坦となって並ぶため、本実施形態に係る取付具20の複数個を上下に重ねてコンパクト化した状態にできることになり、このため、これらの取付具20を仮設足場の構築作業現場に搬入したり、搬出したりする作業を容易に行うことができ、また、保管するためのスペースも小さくすることができ、このため、取付具20の取り扱いを容易に行えるようになる。
【0042】
また、それぞれのボルト35の軸部35Aは、取付具本体21の構成要素である上側部材23及び下側部材24に前後方向に長く形成されている長孔28に挿入されているため、それぞれの保持部材22は、取付具本体21に対して水平方向である前後方向に移動可能となっている。この水平方向である前後方向とは、本実施形態に係る取付具20が、
図1で示されている作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設されている支柱1Aと、外コーナー部に立設されている支柱1Bに配置されたとき(
図14を参照)に、これらの支柱1A,1B側への接近、離間方向である。
【0043】
図2には、作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設されている支柱1Aに取付具20を不動状態で配置するために、この支柱1Aに結合されている結合具11が示されている。この結合具11は、仮設足場等の仮設構造物に用いられるクランプである。このため、結合具11は、一端同士が互いにピン12で回動自在に連結された一対の挟着部材13,14と、これらの挟着部材13,14のうち、一方の挟着部材13の他端に端部が回動自在に連結された雄ねじ部材15と、他方の挟着部材14に形成された凹溝14Aに挿入されるこの雄ねじ部材15に螺合されているナット16とを有する。このナット16を締め付けることにより、一対の挟着部材13,14は支柱1Aの外周面を挟着し、これにより、結合具11は、支柱1Aに結合される。
【0044】
本実施形態では、この結合具11の挟着部材14には、下方へ延びる長さを有している板状の係止部材17の上端が溶接で結合されており、エンボス加工による補強部17Bが形成されているこの係止部材17の下端の係止部17Aが、取付具20の取付具本体21の上側部材23に形成されている
図3の係止凹部29に挿入係止されるようになっている。
図13は、このように係止部材17の下端の係止部17Aが、取付具20の取付具本体21の二点鎖線で示されている上側部材23の係止凹部29に挿入係止されたときを示しており、このときには、取付具20は、前述した
図2のクサビ部材8の上に乗っているため、この取付具20は、結合具11の係止部材17の係止部17Aが取付具本体21の係止凹部29に係止する係止作用により、支柱1Aに不動状態で配置されることになる。
【0045】
このため、取付具本体21の係止凹部29が形成されている上側部材23は、結合具11の係止部材17の係止部17Aを係止させることができる被係止部材となっている。また、取付具本体21の下側部材24は、前述したように上側部材23と上下が逆で前後も逆となっているものであるため、取付具20を上下及び前後を逆にして支柱1Aに配置したときには、この下側部材24が上側部材になって、結合具11の係止部材17の係止部17Aを取付具本体21の係止凹部29に係止することができる。このため、下側部材24も、結合具11の係止部材17の係止部17Aを係止させることができる被係止部材となっている。
【0046】
なお、結合具11の係止部材17の係止部17Aが取付具本体21の係止凹部29に係止する係止作用により、取付具20を支柱1Aに不動状態で配置するためには、取付具20を、上述のようにクサビ部材8の上に乗せてもよいが、この取付具20を作業布板3の上や前述のフック部材7の上、さらには、横架材7の上に乗せてもよい。
【0047】
また、本実施形態に係る係止部材17の係止部17Aは、
図13に示されているように、下方へ延びるにしたがい支柱1Aに近づく方向へ傾斜している傾斜部となっている。
【0048】
前述したようにして取付具20を、作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設されている支柱1Aに、この支柱1Aに結合された結合具11の係止部材17により不動状態で配置するときには、
図2で示すように、この取付具20の左右2個の保持部材22が水平面内でなす角度を、曲がり箇所5Aの内コーナー部と対応させて、
図6の角度βである270度としておく。
【0049】
また、
図14は、取付具20を、作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの外コーナー部に立設されている支柱1Bに、この支柱1Bに結合された結合具11の係止部材17により不動状態で配設したときを示しており、このときには、左右2個の保持部材22が水平面内でなす角度を、曲がり箇所5Aの外コーナー部と対応させて、
図6の角度γである90度としておく。
【0050】
このようにしてそれぞれの支柱1A,1Bに結合具11の係止部材17により不動状態で配置された取付具20の左右2個の保持部材22の保持部31には、2個の幅木10の長さ方向の端部が上から挿入されることにより、これらの端部は保持部材22により保持される。また、保持部31に形成されている前述の孔38と、この孔38に対応して幅木10の長さ方向の端部に形成されている孔とに
図2及び
図14で示されているボルト39の軸部を挿入し、保持部31から突出したボルト39の軸部の先端部にナット40を螺合することにより、幅木10の長さ方向の端部を保持部31に止着する。
【0051】
このため、本実施形態によると、作業布板3により形成される作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部及び外コーナー部に支柱1A,1Bが立設されていても、これらの支柱1A,1Bに本実施形態に係る取付具20を配置することができ、この取付具20は、支柱1A,1Bに結合された結合具11の係止部材17で不動状態に係止される取付具本体21と、この取付具本体21に左右2個取り付けられている保持部材22とを有するものとなっているため、作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部及び外コーナー部を取付具本体21と左右2個の保持部材22とにより塞ぐことができ、このため、内コーナー部及び外コーナー部が、塞がれていない隙間部となることを防止することができる。
【0052】
また、それぞれの保持部材22の保持部31は、前述したように平面視でU字形状となっていて、その内部が幅木10の長さ方向の端部を上から挿入できる溝部37となっているものであるため、保持部材22に幅木10の長さ方向の端部を保持させる作業を、保持部31の溝部37に幅木10の長さ方向の端部を上から挿入するという簡単な作業により行える。
【0053】
なお、2個の幅木10の長さ方向の端部を左右2個の保持部材22の保持部31に上から挿入することにより、これらの幅木10の下端を、作業者歩行通路5を形成している作業布板3の端部の上面に当接させ、この状態でそれぞれの幅木10の長さ方向の端部を保持部材22の保持部31にボルト39及びナット40で止着するようにしてもよい。
【0054】
また、前述の説明から分かるように、本実施形態に係る取付具20では、取付具本体21に対して左右2個の保持部材22が、軸方向が鉛直方向となっているボルト35の軸部35Aによる軸部材を中心に水平方向に回動可能となっていて、これらの保持部材22が水平面内でなす角度が変更可能となっているため、この取付具20が結合具11の係止部材17により不動状態で配置される支柱1が、作業布板3で形成される作業者歩行通路の曲がり箇所の内コーナー部に配置されている支柱1Aであっても、外コーナー部に配置されている支柱1Bであっても、左右2個の保持部材22が水平面内でなす角度を変更することにより、これらの支柱1A,1Bのいずれにも対処することができる。
【0055】
また、前述したように、取付具本体21の構成要素として左右2個の保持部材22の上下に配置されている上側部材23と下側部材24は、上下が逆で前後も逆の同じのものであり、そして、これらの上側部材23と下側部材24は、前述の被係止部材となって取付具本体21を構成しているため、取付具20をそれぞれの支柱1A,1Bに結合具11の係止部材17により不動状態で配置する際に、この取付具20の上下を逆とし、これにより前後が逆となっても、それぞれの支柱1A,1Bに取付具20を結合具11の係止部材17により不動状態で配置することができ、言い換えると、本実施形態に係る取付具20は上下の区別がないものになっているため、この取付具20を支柱1A,1Bに配置する作業を容易に行える。
【0056】
なお、本実施形態の取付具20は、
図4及び
図5に示されているように、左右対称形状のものになっているため、上側部材23と下側部材24を、上下と前後のうち、少なくとも上下が逆となった部材として左右2個の保持部材22の上下に配置してもよい。
【0057】
図15は、取付具20が、作業布板3により形成される作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aに配置されているときを示す模式的平面図であり、
図16は、取付具20が、作業者歩行通路5曲がり箇所5Aの外コーナー部に立設された支柱1Bに配置されているときを示す模式的平面図である。これらの図には、取付具20のうち、左右2個の保持部材22と、これらの保持部材22のうち、
図10及び
図12で示されているベース部30と、これらのベース部30に上下に挿通されているボルト35の軸部35Aとが示されている。
【0058】
取付具20が、
図15のように作業者歩行通路5の曲がり箇所5Aの内コーナー部に立設された支柱1Aに配置されているときでも、また、
図16のように内コーナー部に立設された支柱1Bに配置されているときでも、保持部材22の保持部31で長さ方向の端部が保持された幅木10の延長線(
図15及び
図16では、保持部31の延長線が一点鎖線で示されている。)が、支柱1A,1Bと、これらの支柱1A,1Bと作業者歩行通路5の長さ方向に隣接して立設されているほかの支柱1との関係において、同じ又は略同じ大きさの離間距離の位置に達していることが要求され、このような要求に応えて取付具20を支柱1Aに配置した場合には、
図15に示されているように、支柱1Aと、保持部材22のベース部30に挿通されたボルト35の軸部35Aとの間の間隔はX寸法となり、これに対して取付具20を支柱1Bに配置した場合には、
図16に示されているように、支柱1Bと、保持部材22のベース部30に挿通されたボルト35の軸部35Aとの間の間隔はY寸法となり、これらのX寸法とY寸法は異なっている。
【0059】
このため、本実施形態では、前述したように左右2個の保持部材22を水平方向に回動可能とするための軸部材となっているボルト35の軸部35Aを、取付具本体21の上側部材23と下側部材24に形成されている長孔28に挿入し、これにより、この軸部35Aと保持部材22を、取付具本体21に対する前後方向であって、支柱1A,1B側への接近、離間方向である水平方向に移動可能としている。
【0060】
これにより、
図15に示されているように、取付具20を支柱1Aに配置した場合には、支柱1Aと、保持部材22のベース部30に挿通されたボルト35の軸部35Aとの間の間隔をX寸法とすることができ、なり、また、
図16に示されているように、取付具20を支柱1Bに配置した場合には、支柱1Bと、保持部材22のベース部30に挿通されたボルト35の軸部35Aとの間の間隔をY寸法とすることができ、これにより、上述の要求に応えることができる。
【0061】
図17は、支柱1A,1B以外の支柱1に幅木10を保持させるための構造を示している。
図1に示されているように、支柱1A,1B以外の支柱1に幅木10を保持させるためにも、取付具20を支柱1A,1Bに不動状態で配置するための結合具11が用いられており、この結合具11に設けられている前述の係止部材17により、幅木10が保持されている。
【0062】
すなわち、
図17に示されているように、幅木10は、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形や引き抜き成形で形成されており、この幅木10は、作業布板3により形成されている作業者歩行通路5に向かって凹凸となっている凸部10Aと凹部10Bが、鉛直方向に対して傾斜している傾斜部10C,10Dにより上下方向に連結されたものとなっており、これらの傾斜部10C,10Dのうち、下側に延びるにしたがい作業者歩行通路5側とは反対へ延びている傾斜部10Cにおける作業者歩行通路5側の面10Eに、支柱1A,1B以外の支柱1に結合された結合具11の係止部材17の下端に設けられている前述の係止部17Aが当接、係止され、これにより、幅木10は、支柱1A,1B以外の支柱1と、結合具11の係止部材17との間において、係止部17Aにより保持される。この状態は、
図1にも示されている。
【0063】
すなわち、本実施形態では、
図13で示されていて、取付具本体21の係止凹部29に挿入、係止される結合具11の係止部材17の係止部17Aを、幅木10の傾斜部10Cの傾斜角度と同じ又は略同じ角度をもって斜め下向きに延びるものとしており、このため、この係止部17Aにより、幅木10を保持できるようにしている。
【0064】
したがって、本実施形態によると、支柱1A,1Bに取付具20を不動状態で配置するために用いられる結合具11を複数個用意し、この結合具11を支柱1A,1B以外の支柱1に結合することにより、支柱1A,1B以外の支柱1に幅木10の長さ方向の途中部等を結合具11の係止部17により保持できるようになる。
【0065】
なお、
図1では示されていないが、複数個の幅木10が、これらの幅木10の長さ方向の端部同士が重ねられることにより、1個の幅木10の長さ方向に延長して並べられ、これにより、作業者歩行通路5の全長に渡って幅木10が配設されるようになっている。