特許第6525901号(P6525901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525901
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】キー入力インタフェース装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   G06F3/02 510
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-25546(P2016-25546)
(22)【出願日】2016年2月15日
(65)【公開番号】特開2017-146643(P2017-146643A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】秋房 宏和
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信範
【審査官】 田内 幸治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−051774(JP,A)
【文献】 特開平11−338726(JP,A)
【文献】 特開平05−242386(JP,A)
【文献】 特開平07−287631(JP,A)
【文献】 特開昭51−042426(JP,A)
【文献】 特開2014−033309(JP,A)
【文献】 特開昭54−066030(JP,A)
【文献】 特開平09−113569(JP,A)
【文献】 米国特許第05619196(US,A)
【文献】 特開2015−108859(JP,A)
【文献】 特開2008−40953(JP,A)
【文献】 特開2002−7037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02−31/06
G06F 3/02−3/027
H03M 11/00−11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続端子を有するマイコンと、
上記複数の接続端子のそれぞれに対して抵抗を介して並列に接続された複数のキースイッチとを備え、
上記マイコンは、
上記複数の接続端子に入力される電圧を監視し、その中の何れか2つの接続端子に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力された場合、当該2つの接続端子間がショートしていると判定するショート判定部と、
上記ショート判定部により上記2つの接続端子間がショートしていると判定された場合、そのとき検出されている入力電圧値に基づいて、上記2つの接続端子のそれぞれに対して接続された上記複数のキースイッチの中のどれがオンとされたかを推定する操作キー推定部と、
上記操作キー推定部により推定されたキースイッチに対応するキー操作を受け付けるキー操作受付部とを備えたことを特徴とするキー入力インタフェース装置。
【請求項2】
複数の接続端子を有するマイコンと、
上記複数の接続端子のそれぞれに対して抵抗を介して並列に接続された複数のキースイッチとを備え、
上記マイコンは、
上記複数の接続端子に入力される電圧を監視し、その中の何れか2つの接続端子に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力された場合、当該2つの接続端子間がショートしていると判定するショート判定部と、
記ショート判定部により上記2つの接続端子間がショートしていると判定された場合、そのとき検出されている入力電圧値に基づいて、上記ショートがない場合の正常電圧値を算出する正常電圧値算出部と、
上記正常電圧値算出部により算出された上記正常電圧値に基づいて、上記複数の接続端子のそれぞれに対して接続された上記複数のキースイッチの中のどれがオンとされたかを推定する操作キー推定部と、
上記操作キー推定部により推定されたキースイッチに対応するキー操作を受け付けるキー操作受付部とを更に備えたことを特徴とするキー入力インタフェース装置。
【請求項3】
上記キー操作受付部は、上記操作キー推定部により推定されたキースイッチが複数ある場合、当該推定された複数のキースイッチのうち、あらかじめ定めておいた優先度が高い方のキースイッチに対応するキー操作を受け付けることを特徴とする請求項またはに記載のキー入力インタフェース装置。
【請求項4】
上記キー操作受付部は、上記操作キー推定部により推定されたキースイッチが複数ある場合、当該推定された複数のキースイッチに対応するソフトウェアキーを表示装置の画面上に表示させ、ユーザにより選択されたソフトウェアキーに対応するキー操作を受け付けることを特徴とする請求項またはに記載のキー入力インタフェース装置。
【請求項5】
上記キー操作受付部は、上記操作キー推定部により推定されたキースイッチが複数ある場合、上記2つの接続端子のそれぞれに接続されている複数のキースイッチに対応するソフトウェアキーを表示装置の画面上に表示させ、ユーザにより選択されたソフトウェアキーに対応するキー操作を受け付けるキー操作受付部を更に備えたことを特徴とする請求項またはに記載のキー入力インタフェース装置。
【請求項6】
複数の接続端子を有するマイコンと、
上記複数の接続端子のそれぞれに対して抵抗を介して並列に接続された複数のキースイッチとを備え、
上記マイコンは、
上記複数の接続端子に入力される電圧を監視し、その中の何れか2つの接続端子に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力された場合、当該2つの接続端子間がショートしていると判定するショート判定部と、
記ショート判定部により上記2つの接続端子間がショートしていると判定した場合、上記2つの接続端子のそれぞれに接続されている複数のキースイッチに対応するソフトウェアキーを表示装置の画面上に表示させ、ユーザにより選択されたソフトウェアキーに対応するキー操作を受け付けるキー操作受付部とを備えたことを特徴とするキー入力インタフェース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー入力インタフェース装置に関し、特に、マイコンの接続端子に入力される電圧値をもとに、どのキーが押下されたのかを判定するキー入力インタフェース装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器のユーザ操作を受け付けるキー入力インタフェースとして、マイコンのA/D端子に入力される電圧値をもとに、どのキーが押下されたのかを判定する技術が知られている。現行の車載用電子機器では、ハードキー/ステアリングリモコンキー/外部キー等の多数のキー操作に対応するため、マイコンが複数のA/D端子を備えているのが一般的な構成である。
【0003】
複数のA/D端子には、それぞれ複数のキースイッチが抵抗を介して接続されている。そして、何れかのA/D端子に接続された何れかのキースイッチがオンになると、そのキースイッチが接続されているA/D端子に対して抵抗値に応じた電圧が発生するので、マイコンがこの電圧値を検出することにより、どのキーが押下されたのかを判定することができるようになっている。
【0004】
しかしながら、コネクタや基板配線上の異なるA/D端子間に跨って導通性の異物が混入・付着した場合、A/D端子間がショート(短絡)してしまう。この場合、何れかのキースイッチがオンになると、正常時に入力される電圧値とは異なる電圧値がA/D端子に入力されるため、キー操作の誤判定や、判定できず動作しないといった不具合事象が発生する。
【0005】
なお、端子間のオープン/ショートの発生を確実に検出できるようにすることを目的とした不具合検出方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術では、今回計測したショート検出電圧のレベルがそれ以前に計測した正常時のショート検出電圧よりも所定の値以上変化したときに、端子間がショート状態にあると判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−113569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、正常時の検出電圧との大小比較からショートの発生を判定する方法であるため、正常時の電圧をあらかじめ検出して記憶しておかなければならない。この場合、電子機器に備えられるキーごとに正常時の検出電圧を測定する必要がある。そのため、キーの数が多くなればなるほど、あらかじめ検出しておかなければならない正常時の検出電圧が多くなり、その分負荷が大きくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、正常時の電圧をあらかじめ検出して記憶しておくことなく、端子間のショートの発生を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、複数の接続端子を有するマイコンと、当該複数の接続端子のそれぞれに対して抵抗を介して並列に接続された複数のキースイッチとを備えたキー入力インタフェース装置において、マイコンが複数の接続端子に入力される電圧を監視し、そのうち2つの接続端子に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力された場合、当該2つの接続端子間がショートしていると判定するようにしている。また、2つの接続端子間がショートしていると判定された場合、そのとき検出されている入力電圧値に基づいて、2つの接続端子のそれぞれに対して接続された複数のキースイッチの中のどれがオンとされたかを推定し、推定したキースイッチに対応するキー操作を受け付けるようにしている。また、2つの接続端子間がショートしていると判定した場合、そのとき検出されている入力電圧値に基づいて、ショートがない場合の正常電圧値を算出し、算出した正常電圧値に基づいて、複数の接続端子のそれぞれに対して接続された複数のキースイッチの中のどれがオンとされたかを推定し、推定したキースイッチに対応するキー操作を受け付けるようにしている。また、2つの接続端子間がショートしていると判定した場合、2つの接続端子のそれぞれに接続されている複数のキースイッチに対応するソフトウェアキーを表示装置の画面上に表示させ、ユーザにより選択されたソフトウェアキーに対応するキー操作を受け付けるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
複数の接続端子に入力される電圧値は、正常時であれば、何れかのキースイッチのオン動作に応じてそれぞればらばらのタイミングで変動する。これに対し、2つの接続端子間がショートした場合、ショートしている接続端子に接続されているキースイッチの何れかがオンにされると、当該2つの接続端子に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力される。本発明では、このことを検出した場合にショートが発生していると判定するので、正常時の電圧をあらかじめ検出して記憶しておかなくても、接続端子間のショートの発生を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態によるキー入力インタフェース装置の構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態によるマイコンの機能構成例を示すブロック図である。
図3】2つのA/D端子に入力される電圧値の例を示す図である。
図4】第1の実施形態によるマイコンの他の機能構成例を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態においてA/D端子間がショートしていると判定された場合に表示されるソフトウェアキーの例を示す図である。
図6】第2の実施形態によるマイコンの機能構成例を示すブロック図である。
図7】第2の実施形態において操作キー推定部が参照するテーブル情報の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態においてA/D端子間がショートしていると判定された場合に表示されるソフトウェアキーの例を示す図である。
図9】第3の実施形態によるマイコンの機能構成例を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態において操作キー推定部が参照するテーブル情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるキー入力インタフェース装置の構成例を示す図である。ここでは一例として、車載用のオーディオ装置に適用されるキー入力インタフェース装置の構成を示すが、適用例はこれに限定されるものではない。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態によるキー入力インタフェース装置は、キー基板100と、オーディオ基板200とを備えている。オーディオ基板200は、マイコン201を搭載している。図1の例では、マイコン201は、3つのA/D端子1〜3(接続端子の一例)を備えている。それぞれのA/D端子1〜3は、同じ値のプルアップ抵抗Rを介して電源に接続されている。なお、ここでは説明の簡便のため、A/D端子1〜3が3つの例を示しているが、実際は4個以上の場合もある。
【0014】
それぞれのA/D端子1〜3には、キー基板100に備えられた複数のキースイッチが並列に接続されている。例えば、第1のA/D端子1には、ハードキーに対応する複数のキースイッチ(KEY11〜KEY15)が並列に接続されている。そして、第1のA/D端子1と1つ目のキースイッチとの間および各キースイッチの間には抵抗R10〜R14が直列に接続されている。これにより、KEY11〜KEY15の中の何れかがオンになると、オンとされたキースイッチから第1のA/D端子1までの間に接続されている1以上の抵抗による直列抵抗値に応じた電圧が第1のA/D端子1に入力される。マイコン201は、その電圧値を検出することにより、KEY11〜KEY15の中のどのハードキーが押下されたのかを判定することができるようになっている。
【0015】
また、第2のA/D端子2には、ステアリングリモコンキーに対応する複数のキースイッチ(KEY21〜KEY25)が並列に接続されている。そして、第2のA/D端子2と1つ目のキースイッチとの間および各キースイッチの間には抵抗R20〜R24が直列に接続されている。これにより、KEY21〜KEY25の中の何れかがオンになると、オンとされたキースイッチから第2のA/D端子2までの間に接続されている1以上の抵抗による直列抵抗値に応じた電圧が第2のA/D端子2に入力される。マイコン201は、その電圧値を検出することにより、KEY21〜KEY25の中のどのステアリングリモコンキーが押下されたのかを判定することができるようになっている。
【0016】
また、第3のA/D端子3には、外部キーに対応する複数のキースイッチ(KEY31〜KEY35)が並列に接続されている。そして、第3のA/D端子3と1つ目のキースイッチとの間および各キースイッチの間には抵抗R30〜R34が直列に接続されている。これにより、KEY31〜KEY35の中の何れかがオンになると、オンとされたキースイッチから第3のA/D端子3までの間に接続されている1以上の抵抗による直列抵抗値に応じた電圧が第3のA/D端子3に入力される。マイコン201は、その電圧値を検出することにより、KEY31〜KEY35の中のどの外部キーが押下されたのかを判定することができるようになっている。
【0017】
図2は、第1の実施形態によるマイコン201の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、マイコン201は、その機能構成として、ショート判定部21およびメッセージ出力部22を備えている。
【0018】
ショート判定部21は、複数のA/D端子1〜3に入力される電圧を監視し、その中の何れか2つのA/D端子に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力された場合、当該2つのA/D端子間がショートしていると判定する。
【0019】
図3は、2つのA/D端子1,2に入力される電圧値の例を示す図である。ここでは一例として、第1のA/D端子1に接続された何れかのキースイッチ(例えば、KEY15)がオンにされた場合と、第2のA/D端子2に接続された何れかのキースイッチ(例えば、KEY23)がオンにされた場合に入力される電圧値の例を示している。点線はショートがない場合の電圧値、実線はA/D端子1,2間にショートが生じた場合の電圧値である。
【0020】
点線で示すように、2つのA/D端子1,2に入力される電圧値は、正常時であれば、何れかのキースイッチのオン動作に応じてそれぞればらばらのタイミングで変動し、異なる電圧値となる。
【0021】
例えば、第1のA/D端子1に接続されたKEY15のキースイッチがオンにされると、KEY15から第1のA/D端子1までの間に接続されている複数の抵抗R10〜R14による直列抵抗値に応じた電圧が第1のA/D端子1に入力される。
【0022】
同様に、第2のA/D端子2に接続されたKEY23のキースイッチがオンにされると、KEY23から第2のA/D端子2までの間に接続されている複数の抵抗R20〜R22による直列抵抗値に応じた電圧が第2のA/D端子2に入力される。
【0023】
これに対し、2つのA/D端子1,2間がショートした場合、ショートしているA/D端子1,2に接続されているキースイッチの何れかがオンにされると、実線で示すように、当該2つのA/D端子1,2に対して同じタイミングで同じ値の電圧値が入力される。ここで、2つのA/D端子1,2の間がショートしていると、A/D端子1,2に接続されているプルアップ抵抗Rの抵抗値が1/2に減少するため、入力電圧値は正常時よりも大きくなる。
【0024】
例えば、2つのA/D端子1,2間がショートしているときに、第1のA/D端子1に接続されたKEY15のキースイッチがオンにされた場合には、図3(a)に実線で示すように、KEY15のキースイッチが正常時にオンとされた場合に生じる電圧値よりも所定電圧だけ高い電圧値が2つのA/D端子1,2に同時に入力される。
【0025】
また、2つのA/D端子1,2間がショートしているときに、第2のA/D端子2に接続されたKEY23のキースイッチがオンにされた場合には、図3(b)に実線で示すように、KEY23のキースイッチが正常時にオンとされた場合に生じる電圧値よりも所定電圧だけ高い電圧値が2つのA/D端子1,2に同時に入力される。
【0026】
ショート判定部21は、図3(a)または(b)のように、2つのA/D端子1,2に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力されたことを検出した場合に、当該2つのA/D端子1,2の間がショートしていると判定する。同様に、ショート判定部21は、2つのA/D端子2,3に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力されたことを検出した場合に、当該2つのA/D端子2,3の間がショートしていると判定する。
【0027】
メッセージ出力部22は、2つのA/D端子間がショートしているとショート判定部21により判定された場合、そのことをユーザに知らせるためのメッセージを出力する。例えば、図示しない表示装置にメッセージを表示させる。このメッセージの内容は、どのA/D端子間にショートが発生しているかを知らせるものとすることができる。
【0028】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態によれば、ショート判定部21が複数のA/D端子1〜3に入力される電圧を監視し、その中の何れか2つのA/D端子に対して同じタイミングで同じ値の電圧が入力された場合に、当該2つのA/D端子間がショートしていると判定するので、正常時の電圧をあらかじめ検出して記憶しておかなくても、A/D端子間のショートの発生を検出することができる。
【0029】
なお、上記第1の実施形態では、2つのA/D端子間がショートしているとショート判定部21により判定された場合、そのことをユーザに知らせるためのメッセージを出力するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、メッセージ出力部22に代えてキー操作受付部23を設けるようにしてもよい。
【0030】
キー操作受付部23は、ショート判定部21により2つのA/D端子間がショートしていると判定された場合、2つのA/D端子のそれぞれに接続されている複数のキースイッチに対応するソフトウェアキーを表示装置の画面上に表示させ、ユーザにより選択されたソフトウェアキーに対応するキー操作を受け付ける。
【0031】
図5は、2つのA/D端子1,2の間がショートしていると判定された場合に表示されるソフトウェアキーの例を示す図である。2つのA/D端子1,2の間がショートしているとショート判定部21により判定された場合、キー操作受付部23は、第1のA/D端子1に接続されている全キースイッチに対応するKEY11〜KEY15と、第2のA/D端子2に接続されている全キースイッチに対応するKEY21〜KEY25とをソフトウェアキー50として画面に表示させる。
【0032】
この場合、ユーザは、このソフトウェアキー50を操作することにより、所望のキーを押下することができる。マイコン201は、どのソフトウェアキーが操作されたかを検出することにより、どのキーが押下されたのかを判定することが可能である。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。キー入力インタフェース装置のハードウェア構成は、図1と同様である。図6は、第2の実施形態によるマイコン201の機能構成例を示すブロック図である。なお、この図6において、図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0034】
図6に示すように、第2の実施形態によるマイコン201は、その機能構成として、メッセージ出力部22に代えて、操作キー推定部61およびキー操作受付部62を備えている。
【0035】
操作キー推定部61は、ショート判定部21により2つのA/D端子間がショートしていると判定された場合、そのとき検出されている入力電圧値に基づいて、当該2つのA/D端子のそれぞれに対して接続された複数のキースイッチの中のどれがオンとされたかを推定する。この推定は、例えば、複数のキースイッチと、ショート時にA/D端子に入力される電圧値とを対応付けてあらかじめ作成しておいたテーブル情報を参照して行う。
【0036】
図3で説明したように、2つのA/D端子間にショートが発生している場合において、そのA/D端子に接続されている何れかのキースイッチがオンとされたときに生じる電圧値は、プルアップ抵抗Rの減少分で特定される。よって、ショート時の電圧値は、次式によってあらかじめ算出することが可能である。
ショート電圧値=正常電圧値/{(Ron+0.5R)/(Ron+R)}
on:オンとされたキースイッチからA/D端子までの直列抵抗値
【0037】
第2の実施形態では、複数のキースイッチのそれぞれについて、ショート電圧値をあらかじめ算出し、各キースイッチとショート電圧値とを対応付けたテーブル情報をあらかじめ作成して記憶しておく。図7は、2つのA/D端子1,2間にショートが発生した場合に操作キー推定部61が参照するテーブル情報の一例を示す図である。なお、図7の例では、ショート電圧値に関しては、検出時の許容誤差を考慮して、所定範囲の電圧値を記憶するようにしている。
【0038】
図7に示すように、第1のA/D端子1に接続された複数のキースイッチ(KEY11〜KEY15)と、それぞれのキースイッチがオンとされたときに2つのA/D端子1,2に入力されるショート電圧値の検出範囲とを対応付けて記憶している。同様に、第2のA/D端子2に接続された複数のキースイッチ(KEY21〜KEY25)と、それぞれのキースイッチがオンとされたときに2つのA/D端子1,2に入力されるショート電圧値の検出範囲とを対応付けて記憶している。ここでは図示を省略しているが、第3のA/D端子3に関しても同様の対応付けに関する情報を記憶する。
【0039】
操作キー推定部61は、ショート判定部21により2つのA/D端子間がショートしていると判定された場合、そのとき検出されている入力電圧値(ショート電圧値)に基づいて、図7に示すテーブル情報を参照し、ショート電圧値に対応付けて記憶されているキースイッチがオンにされたと推定する。キー操作受付部62は、操作キー推定部61により推定されたキースイッチに対応するキー操作を受け付ける。
【0040】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、A/D端子間におけるショートの発生を単に判定するだけでなく、オンとされたキースイッチを推定し、そのキー操作を受け付けるようにしているので、A/D端子間にショートが発生しているときでも、マイコン201がキー操作を受け付けて、対応する処理を実行することができるというメリットを有する。
【0041】
なお、操作キー推定部61により推定されるキースイッチが複数存在する場合がある。例えば、2つのA/D端子1,2に同時に入力される電圧値(ショート電圧値)が0.00〜0.0007ボルトの範囲内であった場合、図7のテーブル情報を参照すると、第1のA/D端子1に接続されたKEY11のキースイッチと、第2のA/D端子2に接続されたKEY21のキースイッチとの2つが操作キー推定部61により推定されることになる。
【0042】
また、2つのA/D端子1,2に同時に入力される電圧値(ショート電圧値)が1.74〜1.86ボルトの範囲内であった場合、図7のテーブル情報を参照すると、第1のA/D端子1に接続されたKEY12のキースイッチと、第2のA/D端子2に接続されたKEY23のキースイッチとの2つが操作キー推定部61により推定されることになる。
【0043】
このように、操作キー推定部61により推定されたキースイッチが複数ある場合、キー操作受付部62は、例えば、当該推定された複数のキースイッチのうち、あらかじめ定めておいた優先度が高い方のキースイッチに対応するキー操作を受け付けるようにしてもよい。
【0044】
あるいは、キー操作受付部62は、操作キー推定部61により推定されたキースイッチが複数ある場合、ソフトウェアキーを表示装置の画面上に表示させ、ユーザにより選択されたソフトウェアキーに対応するキー操作を受け付けるようにしてもよい。この場合に表示させるソフトウェアキーは、図5に示したように、ショートが発生している2つのA/D端子のそれぞれに接続されている全キースイッチに対応するソフトウェアキーとすることが可能である。
【0045】
あるいは、図8に示すように、操作キー推定部61により推定された複数のキースイッチに対応するソフトウェアキー81,82のみを表示させるようにしてもよい。このようにすれば、実際にユーザが押下した可能性の高いキーに絞ってソフトウェアキーを表示させることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。キー入力インタフェース装置のハードウェア構成は、図1と同様である。図9は、第3の実施形態によるマイコン201の機能構成例を示すブロック図である。なお、この図9において、図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0047】
図9に示すように、第3の実施形態によるマイコン201は、その機能構成として、メッセージ出力部22に代えて、正常電圧値算出部91、操作キー推定部92およびキー操作受付部93を備えている。
【0048】
正常電圧値算出部91は、ショート判定部21により2つのA/D端子間がショートしていると判定された場合、そのとき検出されている入力電圧値(ショート電圧値)に基づいて、ショートがない場合の正常電圧値を算出する。このとき使用する算出式は、次の通りである。
正常電圧値=ショート電圧値×{(Ron+0.5R)/(Ron+R
【0049】
ただし、どのA/D端子に接続されたどのキースイッチがオンとなっているかが分からないので、上記式においてRonの値を一義的に特定することができない。そこで、正常電圧値算出部91は、複数のA/D端子1〜3に接続されている複数のキースイッチがそれぞれオンになったと仮定をして、それぞれの場合の正常電圧値を1つずつ算出する。
【0050】
操作キー推定部92は、正常電圧値算出部91により算出された正常電圧値に基づいて、複数のA/D端子1〜3のそれぞれに対して接続された複数のキースイッチの中のどれがオンとされたかを推定する。この推定は、例えば、複数のキースイッチと、ショートが発生していない正常時にA/D端子に入力される電圧値とを対応付けてあらかじめ作成しておいたテーブル情報を参照して行う。
【0051】
第3の実施形態では、複数のキースイッチと、ショートが発生していない場合にA/D端子に入力される正常電圧値とを対応付けたテーブル情報をあらかじめ作成して記憶しておく。図10は、2つのA/D端子1,2間にショートが発生した場合に操作キー推定部92が参照するテーブル情報の一例を示す図である。なお、図10の例では、正常電圧値に関しては、ショート電圧検出時の許容誤差を考慮して、所定範囲の電圧値を記憶するようにしている。
【0052】
操作キー推定部92は、ショート判定部21により2つのA/D端子間がショートしていると判定された場合、正常電圧値算出部91によりキースイッチごとに算出された正常電圧値に基づいて、図10に示すテーブル情報を参照し、何れかの正常電圧値に対応付けて記憶されているキースイッチがオンにされたと推定する。
【0053】
すなわち、正常電圧値算出部91によりキースイッチごとに仮に算出される複数の正常電圧値のうち、何れかの正常電圧値のみが、ショート判定部21により検出されたショート電圧値に対応する真の値(直列抵抗値Ronを用いた場合に計算される値)であり、それ以外は真の値を示していない。一方、図10に示すテーブル情報には、真の正常電圧値のみが記憶されている。そのため、キースイッチごとに算出された正常電圧値の何れか(真の値)が、テーブル情報に記憶されている正常電圧値の何れかと合致することになる。操作キー推定部92は、その合致する正常電圧値をテーブル情報から抽出し、それに対応付けて記憶されているキースイッチを確認することにより、どのキースイッチがオンとされたかを推定することが可能である。
【0054】
キー操作受付部93は、操作キー推定部92により推定されたキースイッチに対応するキー操作を受け付ける。
【0055】
なお、第3の実施形態においても、操作キー推定部92により推定されるキースイッチが複数存在する場合がある。この場合におけるキー操作受付部93による処理内容は、第2の実施形態で説明したキー操作受付部62と同様とすることが可能である。すなわち、操作キー推定部92により推定されたキースイッチが複数ある場合、キー操作受付部93は、例えば、当該推定された複数のキースイッチのうち、あらかじめ定めておいた優先度が高い方のキースイッチに対応するキー操作を受け付けるようにしてもよい。あるいは、キー操作受付部93は、ソフトウェアキーを表示装置の画面上に表示させ、ユーザにより選択されたソフトウェアキーに対応するキー操作を受け付けるようにしてもよい。
【0056】
なお、上記第1〜第3の実施形態では、複数のキースイッチの間に直列に抵抗を接続する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数のキースイッチの間に並列に抵抗を接続するようにしてもよい。
【0057】
また、上記第1〜第3の実施形態では、接続端子の一例としてA/D端子を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。操作キーに応じて入力電圧値が変わる接続端子であれば、A/D端子以外の端子を用いることも可能である。
【0058】
その他、上記第1〜第3の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
21 ショート判定部
22 メッセージ出力部
23 キー操作受付部
61 操作キー推定部
62 キー操作受付部
91 正常電圧値算出部
92 操作キー推定部
93 キー操作受付部
201 マイコン
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