(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525909
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】工業炉
(51)【国際特許分類】
F23J 15/00 20060101AFI20190527BHJP
F23C 6/04 20060101ALI20190527BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
F23J15/00 A
F23J15/00 H
F23C6/04 301
F23L15/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-51224(P2016-51224)
(22)【出願日】2016年3月15日
(65)【公開番号】特開2017-166732(P2017-166732A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】川端 健介
(72)【発明者】
【氏名】有松 毅
(72)【発明者】
【氏名】惠上 寿雄
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5500194(US,A)
【文献】
特表2015−530551(JP,A)
【文献】
特開平5−200251(JP,A)
【文献】
特開2000−130706(JP,A)
【文献】
特開2001−106506(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/052772(WO,A1)
【文献】
米国特許第5626086(US,A)
【文献】
特開平7−133905(JP,A)
【文献】
特開2008−114115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 15/00
F23C 6/04
F23L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給し、前記の燃焼バーナーにより燃料ガスを炉内において燃焼させ、燃焼後の燃焼排ガスを、炉内から排気管を通して排出させる工業炉において、前記の排気管に、三元触媒を収容させた排ガス処理部を設けると共に、前記の排気管に設けた排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出される燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスを燃焼させる後燃焼装置を設けたことを特徴とする工業炉。
【請求項2】
請求項1に記載の工業炉において、前記の排ガス処理部に収容させた三元触媒により、燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物を燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスによって還元させることを特徴とする工業炉。
【請求項3】
請求項1に記載の工業炉において、前記の燃焼バーナーに供給する燃料ガスの一部を、前記の排気管に設けた排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向上流側の位置に導く燃料ガス案内路と、この燃料ガス案内路を通して案内する燃料ガスの量を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする工業炉。
【請求項4】
請求項3に記載の工業炉において、前記の燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物の量に対応させて、前記の制御手段により燃料ガス案内路を通して排気管に案内する燃料ガスの量を制御することを特徴とする工業炉。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の工業炉において、前記の燃焼排ガスの熱によって燃焼用空気を加熱させる熱交換手段を設け、この熱交換手段によって加熱された燃焼用空気を前記の燃焼バーナーに供給させることを特徴とする工業炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給し、前記の燃焼バーナーにより燃料ガスを炉内において燃焼させ、燃焼後の燃焼排ガスを、炉内から排気管を通して排出させる工業炉に関するものである。特に、前記のように燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給して、燃焼バーナーにより燃料ガスを炉内において燃焼させるにあたり、燃焼排ガス中に有害な窒素酸化物(以下、NOxという。)や、またCOガスや炭化水素ガス(HC)等の未燃成分ガスが含まれた状態で、燃焼排ガスが排気管を通して外部に排出されるのを防止するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱炉や熱処理炉等の工業炉においては、被加熱物を加熱させるにあたり、一般に、燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給して、前記の燃焼バーナーにより燃料ガスを炉内において燃焼させ、燃焼後の燃焼排ガスを、炉内から排気管を通して排出させるようにしている。
【0003】
ここで、このような工業炉において、前記のように燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給して、燃料ガスを炉内において燃焼させるにあたり、燃焼効率を高めるために、燃料ガスに対する燃焼用空気の量を多くして燃焼を行うと、燃焼時にNOxが多く発生し、NOxを多く含む燃焼排ガスが炉内から排気管を通して外部に排出されて、環境を大きく害するという問題があった。特に、近年においては、燃焼排ガス中におけるNOxを大幅に低減させることが要望されている。
【0004】
一方、NOxが燃焼排ガスに含まれるのを抑制するために、燃料ガスに対する燃焼用空気の量を少なくして燃焼を行うと、燃焼効率が低下すると共に、燃焼排ガス中にCOガスや炭化水素(HC)ガス等の未燃成分ガスが多く残り、この未燃成分ガスが炉内から排気管を通して外部に排出されて、安全性や環境の点において問題があった。
【0005】
そして、近年においては、特許文献1に示されるように、ラジアントチューブバーナーからの燃焼排ガスを、窒素酸化物還元触媒を用いて浄化し、得られたNOx浄化ガスに空気比μ(実際の空気量/理論空気量)が1.0以上となるように燃焼用空気を添加した後、更に酸化触媒を用いて未燃成分を酸化除去させるようにしたものが提案されている。
【0006】
ここで、特許文献1に示されるものにおいては、窒素酸化物還元触媒を収容させた第1の排ガス処理部と、酸化触媒を収容させた第2の排ガス処理部とを設けると共に、この第1の排ガス処理部と第2の排ガス処理部との間に空気を供給させることが必要になり、装置が複雑になって大型化する等の問題があった。
【0007】
また、排ガス処理の一つとしては、三元触媒によって、安全、環境、人体などに悪影響なCO、HC、NOxを酸化・還元し、H
2O、CO
2、N
2に変化させて浄化するものが知られており、例えば、特許文献2に示されるように、蓄熱層を有する交番燃焼バーナーにおいて、各バーナー部の蓄熱層に三元触媒層を設け、三元触媒層の活性条件に合わせるように、炉内空気比を0.98〜1.02に調整して燃焼させるようにしたものも提案されている。
【0008】
しかし、特許文献2に示されるものは、使用する炉の種類や使用条件が限定されており、様々な炉において様々な条件の下で使用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−241619号公報
【特許文献2】特開平7−133905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給し、前記の燃焼バーナーにより燃料ガスを炉内で燃焼させ、燃焼後の燃焼排ガスを、炉内から排気管を通して排出させるようにした工業炉における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明における工業炉においては、燃料ガスを燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給して、燃料ガスを燃焼バーナーにより炉内において燃焼させた後、燃焼排ガスを炉内から排気管を通して排出させるにあたり、燃焼排ガス中に有害なNOxや、またCOガスや炭化水素(HC)ガス等の未燃成分ガスが含まれた状態で、燃焼排ガスが外部に排出されるのを適切に防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る工業炉においては、前記のような課題を解決するため、燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給し、前記の燃焼バーナーにより燃料ガスを炉内において燃焼させ、燃焼後の燃焼排ガスを、炉内から排気管を通して排出させる工業炉において、前記の排気管に、三元触媒を収容させた排ガス処理部を設け
ると共に、前記の排気管に設けた排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出される燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスを燃焼させる後燃焼装置を設けるようにした。
【0013】
そして、前記の工業炉においては、前記の排ガス処理部に収容させた三元触媒により、燃焼排ガスに含まれるNOxを燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスによって還元させるようにする。この場合、燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給するにあたり、燃料ガスに対する燃焼用空気の量を少なくして燃焼用空気の空気比μを1.0以下にすると、燃焼時に発生するNOxの量が少なくなって燃焼排ガスに含まれるNOxが減少し、更に燃焼排ガスに含まれるNOxが前記の三元触媒により燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスによって十分に還元されるようになる。
【0014】
また、本発明に係る工業炉においては、前記の燃焼バーナーに供給する燃料ガスの一部を、前記の排気管に設けた排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向上流側の位置に導く燃料ガス案内路と、この燃料ガス案内路を通して案内する燃料ガスの量を制御する制御手段とを設けることが好ましい。
【0015】
ここで、前記の制御手段においては、前記の燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物の量に対応させて、燃料ガス案内路を通して案内する燃料ガスの量を制御させるようにする。
【0016】
そして、前記のように燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給するにあたり、燃焼効率を高めるために、燃料ガスに対する燃焼用空気の量が多くなった状態で、燃料ガスを前記の燃焼バーナーにより燃焼させた結果、燃焼排ガス中にNOxが多く含まれるようになった場合には、前記の燃焼排ガスが排気管を通して三元触媒を収容させた排ガス処理部に導かれる前に、前記の制御手段により燃料ガス案内路を通して適当量の燃料ガスを供給させるようにする。このようにすると、NOxが多く含まれる燃焼排ガスと適当量の燃料ガスとが一緒になって排ガス処理部に導かれ、前記の三元触媒の作用によって、燃焼排ガス中におけるNOxが十分に還元されて排出されるようになる。
【0017】
また、本発明に係る前記の工業炉においては、
前記のように排気管に設けた排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出される燃焼排ガスに含まれる未燃成分ガスを燃焼させる後燃焼装置を設ける
ようにした。このようにすると、排ガス処理部において処理された燃焼排ガス中に未燃成分ガスが残っていても、この未燃成分ガスが前記の後燃焼装置により燃焼されてCO
2やH
2Oに酸化され、未燃成分ガスが排出されるのが防止されるようになる。
【0018】
また、本発明に係る工業炉においては、前記の燃焼排ガスの熱によって燃焼用空気を加熱させる熱交換手段を設け、この熱交換手段によって加熱された燃焼用空気を前記の燃焼バーナーに供給させるようにすることが好ましい。このようにすると、燃焼排ガスの熱を有効に利用して、効率のよい燃焼を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明における工業炉においては、燃焼バーナーに燃料ガスと燃焼用空気とを供給し、燃料ガスを炉内で燃焼させて、燃焼後の燃焼排ガスを炉内から排気管を通して排出させるにあたり、前記のように排気管に三元触媒を収容させた排ガス処理部を設け、前記の燃焼排ガスを前記の排ガス処理部に導いて、燃焼排ガス中における有害なNOxや、またCOガスや炭化水素(HC)ガスからなる未燃成分ガスを適切に処理するようにした。
【0020】
この結果、本発明における工業炉においては、燃料ガスを燃焼用空気と混合させて炉内において燃焼させた場合に、燃焼排ガス中におけるNOxや未燃成分ガスが、排気管に設けた排ガス処理部において適切に処理され、燃焼排ガス中にNOxや未燃成分ガスが含まれない安全な状態で、燃焼排ガスを排気管を通して外部に適切に排出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施
(参考)形態に係る工業炉を使用する状態を示した概略説明図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る工業炉を使用する状態を示した概略説明図である。
【
図3】本発明の第3の実施
(参考)形態に係る工業炉を使用する状態を示した概略説明図である。
【
図4】本発明の第4の実施
(参考)形態に係る工業炉を使用する状態を示した概略説明図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態に係る工業炉を使用する状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施
(参考)形態に係る工業炉を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る工業炉は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0023】
ここで、第1の実施
(参考)形態に係る工業炉においては、
図1に示すように、炉10の炉壁11に燃焼バーナー12を設け、この燃焼バーナー12に、燃料ガス供給管21を通して炭化水素(HC)ガス等の燃料ガスを供給すると共に、燃焼用空気供給管22を通して燃焼用空気を供給し、この燃焼バーナー12において燃料ガスと燃焼用空気とを混合させて、燃料ガスを炉10内で燃焼させるようにしている。
【0024】
また、このように燃料ガスを炉10内で燃焼させた後の燃焼排ガスを、炉10内から排出させる排気管13を設け、この排気管13に三元触媒を収容させた排ガス処理部23を設け、炉10内で燃焼させた後の燃焼排ガスを、前記の排気管13を通してこの排ガス処理部23に導き、排ガス処理部23に収容された三元触媒によって燃焼排ガスを処理するようにしている。
【0025】
ここで、この実施
(参考)形態に係る工業炉において、前記の燃料ガス供給管21と燃焼用空気供給管22とを通して燃焼バーナー12に燃料ガスと燃焼用空気とを供給するにあたり、燃焼時に発生するNOxの量を少なくするためには、燃料ガスに対する燃焼用空気の量を少なくし、例えば、燃焼用空気の空気比μを1.0以下して、前記の燃焼バーナー12において燃料ガスを燃焼させるようにする。
【0026】
このように燃料ガスに対する燃焼用空気の量を少なくして燃焼させると、燃焼排ガスに含まれるNOxが減少すると共に、この燃焼排ガス中にCOガスや炭化水素(HC)ガス等の未燃成分ガスが残るようになる。
【0027】
そして、このようにNOxと未燃成分ガスとが残った燃焼排ガスを、炉10内から前記の排気管13を通して排ガス処理部23に導くと、この排ガス処理部23に収容された三元触媒により、燃焼排ガスに残ったNOxと未燃成分ガスとが反応して、NOxがN
2に還元されると共に、未燃成分ガスがCO
2やH
2Oに酸化された状態で排出されるようになる。
【0028】
ここで、このようにNOxと未燃成分ガスとが残った燃焼排ガスを排ガス処理部23に収容された三元触媒によって処理するにあたり、燃料ガスに対する燃焼用空気の量がさらに少なくなって、燃焼排ガス中における未燃成分ガスが多くなり、排ガス処理部23に収容された三元触媒によって十分に処理されず、排ガス処理部23から未燃成分ガスが残った燃焼排ガスが排出されるおそれがある。
【0029】
このため、第2の実施形態に係る工業炉においては、
図2に示すように、前記の第1の実施
(参考)形態に係る工業炉において、排気管13に設けた前記の排ガス処理部23よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に後燃焼装置24を設け、この後燃焼装置24に対して、必要に応じて、後燃焼用燃料ガス供給管24aから後燃焼用燃料ガスと、後燃焼用空気供給管24bから後燃焼用空気とを供給するようにしている。
【0030】
そして、この第2の実施形態における工業炉においては、排ガス処理部23から排出された燃焼排ガスに残った未燃成分ガスを前記の後燃焼装置24において燃焼させ、未燃成分ガスをCO
2ガスやH
2Oに酸化させて排出させるようにしている。
【0031】
このため、前記の排ガス処理部23において未燃成分ガスが十分に処理されずに、未燃成分ガスが残った燃焼排ガスが排ガス処理部23から排出されたとしても、この未燃成分ガスが後燃焼装置24において燃焼されて処理されるようになり、未燃成分ガスが排出されるのを確実に防止できるようになる。なお、この実施形態においては、燃焼排ガスに残った未燃成分ガスを火炎によって燃焼させる後燃焼装置24を用いるようにしたが、後燃焼装置24はこのようなものに限定されず、電気加熱等によって燃焼排ガスに残った未燃成分ガスを燃焼させることもできる。
【0032】
次に、第3の実施
(参考)形態に係る工業炉においては、
図3に示すように、前記の第1の実施
(参考)形態に係る工業炉において、燃焼バーナー12に燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給管22に代えて、炉10内からの燃焼排ガスを排ガス処理部23に導く前記の排気管13内に、
燃焼排ガスの熱によって燃焼用空気を加熱させる熱交換部(熱交換手段)25aを設け、この熱交換部25aに燃焼用空気を案内する燃焼用空気案内管25bを設けると共に、前記の熱交換部25aにおいて加熱された燃焼用空気を燃焼バーナー12に供給する加熱燃焼用空気供給管25cを設けている。
【0033】
そして、この第3の実施
(参考)形態に係る工業炉においては、前記のように燃焼用空気案内管25bを通して燃焼用空気を熱交換部25aに導き、この熱交換部25aにおいて
燃焼排ガスの熱によって燃焼用空気を加熱させ、このように加熱された燃焼用空気を、前記の加熱燃焼用空気供給管25cを通して燃焼バーナー12に供給し、このように加熱された燃焼用空気と燃料ガスとを燃焼バーナー12において混合させて、燃料ガスを炉10内で燃焼させるようにしている。
【0034】
このようにすると、燃料ガスを燃焼用空気と混合させて燃焼させる際に、
燃焼排ガスの熱を有効に利用することができるようになる。また、このように熱交換部25aにおいて
燃焼排ガスと燃焼用空気との間で熱交換を行うことにより、炉10内から排気管13を通して前記の排ガス処理部23に導かれる
燃焼排ガスの温度が低下し、
燃焼排ガスの温度が、排ガス処理部23に収容させた三元触媒を使用する温度領域を超えた温度になるのが防止され、三元触媒によって
燃焼排ガスを適切に処理できるようになる。なお、この実施
(参考)形態においては、熱交換部25aを排気管13内に設けるようにしたが、熱交換部25aを排気管13の外部に設けるようにすることも可能である。
【0035】
次に、第4の実施
(参考)形態に係る工業炉においては、
図4に示すように、前記の第1の実施
(参考)形態に係る工業炉において、燃料ガス供給管21を通して燃焼バーナー12に供給する燃料ガスの一部を、前記の排気管13に設けた排ガス処理部23よりも燃焼排ガスの排出方向上流側の位置に導く燃料ガス案内路26と、この燃料ガス案内路26を通して排ガス処理部23よりも燃焼排ガスの排出方向上流側の位置における排気管13に供給する燃料ガスの量を制御する制御弁(制御手段)26aとを設けている。
【0036】
そして、この第4の実施
(参考)形態に係る工業炉においては、前記の燃焼バーナー12において燃焼された後の燃焼排ガスに含まれるNOxの量に対応させて、前記の制御弁26aにより、燃料ガス案内路26を通して排ガス処理部23よりも燃焼排ガスの排出方向上流側の位置における排気管13に供給する燃料ガスの量を制御するようにしている。
【0037】
ここで、前記の燃料ガス供給管21と燃焼用空気供給管22とを通して燃焼バーナー12に供給する燃料ガスと燃焼用空気とを供給するにあたり、燃焼効率を高めるために、燃焼用空気の空気比μが1.0を超えるように、燃料ガスに対する燃焼用空気の量を多くして、燃料ガスを前記の燃焼バーナー12において燃焼させた場合、十分な量の燃焼用空気によって燃料ガスが燃焼され、燃焼排ガス中におけるCOガスや炭化水素(HC)ガス等の未燃成分ガスが減少する一方、燃焼時にNOxが多く発生して、燃焼排ガス中にNOxが多く含まれるようになる。
【0038】
そして、このように燃焼排ガス中にNOxが多く含まれるようになった場合には、前記の制御弁26aにより、前記の燃料ガス案内路26を通して排ガス処理部23よりも燃焼排ガスの排出方向上流側の位置における排気管13に案内する燃料ガスの量を制御して、適当量の燃料ガスを排ガス処理部23よりも燃焼排ガスの排出方向上流側の位置に供給し、前記のNOxが多く含まれる燃焼排ガスと一緒にして、三元触媒を収容させた排ガス処理部23に導くようにする。このようにすると、排ガス処理部23に収容された三元触媒の作用によって、燃焼排ガス中におけるNOxが燃料ガスとが反応して、NOxがN
2に還元されると共に、燃料ガスがCO
2やH
2Oに酸化された状態で排出されるようになる。
【0039】
次に、第5の実施形態に係る工業炉においては、
図5に示すように、前記の第4の実施
(参考)形態に係る工業炉において、前記の第2の実施形態に係る工業炉に示すように、前記の排ガス処理部23よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置における排気管13に後燃焼装置24を設けると共に、前記の第3の実施
(参考)形態に係る工業炉に示すように、炉10内からの燃焼排ガスを排ガス処理部23に導く排気管13内に、
燃焼排ガスの熱によって燃焼用空気を加熱させる熱交換部25aを設け、この熱交換部25aに加熱させる燃焼用空気を案内する燃焼用空気案内管25bを設けると共に、前記の熱交換部25aにおいて加熱された燃焼用空気を燃焼バーナー12に供給する加熱燃焼用空気供給管25cを設けている。
【0040】
そして、この第5の実施形態に係る工業炉においては、前記の第3の実施
(参考)形態に係る工業炉と同様に、燃焼用空気案内管25bを通して燃焼用空気を熱交換部25aに導き、この熱交換部25aにおいて
燃焼排ガスの熱によって燃焼用空気を加熱させ、このように加熱された燃焼用空気を、前記の加熱燃焼用空気供給管25cを通して燃焼バーナー12に供給し、加熱された燃焼用空気と燃料ガスとを燃焼バーナー12において混合させて、燃料ガスを炉10内で燃焼させるようにする。
【0041】
このようにすると、前記のように燃料ガスを燃焼用空気と燃料ガスとを混合させて燃焼させる際に、
燃焼排ガスの熱を有効に利用することができるようになると共に、炉10から排ガス処理部23に導かれる
燃焼排ガスの温度が低下し、
燃焼排ガスの温度が、排ガス処理部23に収容させた三元触媒を使用する温度領域を超えた温度なるのが防止され、三元触媒によって
燃焼排ガスを適切に処理できるようになる。
【0042】
また、この第5の実施形態に係る工業炉において、前記の燃料ガス案内路26を通して案内される燃料ガスの量が多くなって、燃焼排ガス中におけるNOxをN
2に還元させるのに必要とされる量よりも多くの燃料ガスが排ガス処理部23に導かれるようになると、排ガス処理部23から未燃成分ガスが残った燃焼排ガスが排出されるようになる。このような場合には、前記の第2の実施形態における工業炉と同様に、排ガス処理部23から排出された燃焼排ガスに残った未燃成分ガスを後燃焼装置24において燃焼させ、未燃成分ガスをCO
2ガスやH
2Oに酸化させて排出させるようにすることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 :炉
11 :炉壁
12 :燃焼バーナー
13 :排気管
21 :燃料ガス供給管
22 :燃焼用空気供給管
23 :排ガス処理部
24 :後燃焼装置
24a :後燃焼用燃料ガス供給管
24b :後燃焼用空気供給管
25a :熱交換部(熱交換手段)
25b :燃焼用空気案内管
25c :加熱燃焼用空気供給管
26 :燃料ガス案内路
26a :制御弁(制御手段)
μ :空気比