特許第6525929号(P6525929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525929
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】干渉を処理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20190527BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20190527BHJP
   H04B 1/76 20060101ALI20190527BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20190527BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20190527BHJP
【FI】
   H04W72/04 136
   H04B1/10 L
   H04B1/76
   H04W16/14
   H04W88/08
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-159943(P2016-159943)
(22)【出願日】2016年8月17日
(62)【分割の表示】特願2015-545645(P2015-545645)の分割
【原出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-197921(P2016-197921A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年8月19日
【審判番号】不服2018-3608(P2018-3608/J1)
【審判請求日】2018年3月13日
(31)【優先権主張番号】201210514520.5
(32)【優先日】2012年12月5日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鋭▼
(72)【発明者】
【氏名】余 ▲榮▼道
【合議体】
【審判長】 北岡 浩
【審判官】 吉田 隆之
【審判官】 中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/015698(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W
H04B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉チャネルを検出するための方法であって、
D2D送信端から到来する信号およびアップリンクユーザ機器から到来する信号を受信するステップと、
前記アップリンクユーザ機器からD2D受信端への干渉チャネルを検出するステップと
を含み、
前記D2D送信端から到来する前記受信される信号と、前記アップリンクユーザ機器から到来する信号とは、時間的に同期すると共に、周波数スペクトルを共有し、
記アップリンクユーザ機器から到来する前記信号のDMRSパイロットシーケンスの位置に対応する、前記D2D送信端から到来する信号は無声であり、
前記DMRSパイロットシーケンスは、受信されるDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルと、既知のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルとから計算された前記DMRSパイロットシーケンスの長さに基づいて計算され、前記計算されたDMRSパイロットシーケンスに基づいて前記干渉チャネルが検出される、方法。
【請求項2】
干渉チャネルを検出するための装置であって、
D2D送信端から到来する信号およびアップリンクユーザ機器から到来する信号を受信するように構成された受信ユニットと、
前記アップリンクユーザ機器からD2D受信端への干渉チャネルを検出する検出ユニットと
を備え、
前記D2D送信端から到来する前記信号と、前記アップリンクユーザ機器から到来する信号とは、双方共に前記受信ユニットによって受信され、時間的に同期すると共に、周波数スペクトルを共有し、
記アップリンクユーザ機器から到来する前記信号のDMRSパイロットシーケンスの位置に対応する、前記D2D送信端から到来する信号は無声であり、
前記DMRSパイロットシーケンスは、受信されるDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルと、既知のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルとから計算された前記DMRSパイロットシーケンスの長さに基づいて計算され、前記計算されたDMRSパイロットシーケンスに基づいて前記干渉チャネルが検出される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2012年12月5日に中国国家知識産権局に出願され、「METHOD AND DEVICE FOR PROCESSING INTERFERENCE」と題された中国特許出願第201210514520.5号の優先権を主張し、この出願の全内容は、本願において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、通信技術分野に関し、特に、干渉を処理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、ほとんどのデバイスツーデバイス(Device-to-Device、D2D)送信技術において、従来の端末のアンテナ数は一般にわずか1〜2であり、干渉除去の限定的な機能につながるので、D2D通信は、セルラ通信の周波数スペクトルとは異なる周波数スペクトルを使用する。すなわち、D2D通信の周波数スペクトルとセルラ通信の周波数スペクトルとは互いに直交し、これにより、相互干渉を回避することができるが、端末のマルチアンテナの能力を充分に発揮させることはできず、リソースの低い利用率につながる。
【0004】
アンテナ技術の継続的な発展と共に、将来の携帯端末は、より多くのアンテナ(例えば、最大で8つのアンテナ)を有する可能性があり、これは、セルラ通信のアップリンク/ダウンリンクスループットを強化することができるだけでなく、携帯端末に端末間の直接通信(D2D通信)のためにセルラ通信のアップリンク周波数スペクトルを多重化させることができる。すなわち、同じ周波数スペクトルにおいて、アップリンクユーザは、信号を基地局へ送信し、D2D送信端も、データをD2D受信端へ送信する。
【0005】
周波数スペクトルの共有を実施することは、システムの周波数スペクトル利用率を劇的に増加させ得るが、異なるモードにおける送信間には相互干渉をもたらすであろう。しかしながら、前述の干渉は、端末のマルチアンテナの機能を用いて、空間次元において除去され得る。干渉除去の目的を達成するために、D2D端末は、干渉認識機能をさらに有していなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、干渉を処理するための方法および装置を提供し、この方法および装置は、アップリンクユーザによって送信される信号によって引き起こされる、D2D受信端によって受信される信号への干渉の除去を実現することができる。
【0007】
第1の態様において、本発明の一実施形態は、干渉を処理するための方法を提供し、本方法は、
アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアによって搬送される第1の復調参照信号DMRSパイロットシンボルに従って、アップリンクユーザ機器からD2D受信端へのアップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列を測定するステップであって、第1のサブキャリアが、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有されるサブキャリアである、測定するステップと、
干渉チャネル行列に従って、アップリンク干渉チャネルの零空間行列を計算するステップと、
零空間行列を使用することによって、D2D送信端から到来し、第1のサブキャリアを介してD2D受信端によって受信される信号を、この信号中のアップリンクユーザ機器から到来する干渉信号を除去するために処理するステップと、
を含む。
【0008】
第2の態様において、本発明の一実施形態は、干渉を処理するための装置を提供し、本装置は、
アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアによって搬送される第1の復調参照信号DMRSパイロットシンボルに従って、アップリンクユーザ機器からD2D受信端へのアップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列を測定するように構成された測定ユニットであって、第1のサブキャリアが、D2D送信端とアップリンクユーザ機器との共有サブキャリアであり、アップリンク干渉チャネル行列が、計算ユニットへ送られる、測定ユニットと、
測定ユニットによって送られた干渉チャネル行列を受け取り、干渉チャネル行列に従って、アップリンク干渉チャネルの零空間行列を計算し、零空間行列を処理ユニットへ送るように構成された計算ユニットと、
計算ユニットによって送られた零空間行列を受け取り、零空間行列を使用することによって、D2D送信端から到来し、第1のサブキャリアを介してD2D受信端によって受信される信号を、この信号中のアップリンクユーザ機器から到来する干渉信号を除去するために処理するように構成された処理ユニットと、
を備える。
【0009】
本発明の一実施形態において、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアによって搬送される第1の復調参照信号DMRSパイロットシンボルに従って、アップリンクユーザ機器からD2D受信端へのアップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列が測定され、ただし、第1のサブキャリアは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有されるサブキャリアであり、干渉チャネル行列に従って、アップリンク干渉チャネルの零空間行列が計算され、D2D送信端から到来し、第1のサブキャリアを介してD2D受信端によって受信される信号が、この信号中のアップリンクユーザ機器から到来する干渉信号を除去するために、上記零空間行列を使用することによって処理される。したがって、アップリンク周波数スペクトルがD2D送信によって多重化される場合、どのようにしてD2D受信端におけるアップリンクユーザの干渉を回避するかをD2D送信端が考慮することは不要であり、これによって、D2D送信におけるアップリンク周波数スペクトルの感知の必要性を大きく簡略化する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1によって提供される、干渉を処理するための方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施形態1によって提供される、LTEシステムにおけるアップリンクサブフレームおよびD2Dフレームの構造概略図である。
図3】本発明の実施形態2によって提供される、干渉を処理するための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、本発明の実施形態は、添付の図面と共に、以下にさらに詳細に説明される。
【0012】
説明を容易にするために、本願は、セルラシステムが使用するものをLTEプロトコルまたはLTEプロトコルの進化したバージョンと仮定するが、本発明の実施形態によって提供される方法および装置の保護範囲は、そのようなセルラシステムに限定されず、他のセルラシステムにも適用可能である。
【0013】
本発明の実施形態をより明確にするために、本発明の実施形態についての適用場面は、本明細書において最初に具体的に紹介されるであろう。
【0014】
セルラシステムにおいて、セルラシステムのアップリンクユーザは、アップリンク周波数スペクトルを介してマルチキャリア送信モードにおいて信号を基地局へ送信する。すなわち、アップリンク周波数スペクトルの様々な搬送波は、アップリンク送信のために種々のユーザに割り当てられ得る。例えば、LTEシステムにおいて、異なるアップリンクユーザは、異なるOFDMサブキャリアを使用する。デバイスツーデバイス(D2D)送信端は、アップリンク周波数スペクトルのうちのいくつかの搬送波を使用して、信号をD2D受信端へ送信することができ、D2D送信端は、いくつかのアップリンクユーザのサブキャリアを同時に占有することもでき、D2D受信端は、データが送信される場合に、D2D送信端によって使用される搬送波を予め知得している。例えば、D2D通信がLTEアップリンク周波数スペクトルを多重化する場合、D2D通信は、OFDM送信モードも使用し、OFDMシンボルは、アップリンク通信のOFDMシンボルと同期する。このようにして、D2D通信の信号とアップリンク通信の信号との双方が同じサブキャリアに存在することが可能である。
【0015】
ほとんどの場合において、D2D送信端は、干渉を回避するために関連する手段を有していないか、または使用することができず(すなわち、D2D送信端自体から遠く離れたアップリンクユーザのサブキャリアが使用される)、D2D受信端は、このD2D受信端が使用する搬送波内で、D2D送信端の信号を受信するだけでなく、アップリンクユーザの強い信号も受信し得る。しかしながら、後者の信号は、D2D受信端にとっては干渉信号であり、端末のマルチアンテナを用いた干渉処理が必要となる。説明を容易にするために、アップリンクユーザからD2D受信端へのチャネルは、以下、アップリンク干渉チャネルと呼ばれ、D2D送信端からD2D受信端へのチャネルは、以下、D2Dチャネルと呼ばれる。
【0016】
端末のアンテナ機能を使用することによってアップリンク干渉処理およびD2D信号検出を実行する鍵は、同じサブキャリアを占有するアップリンクユーザおよびD2D送信端からD2D受信端へのチャネルの情報を取得することである。D2D信号およびアップリンク信号は、同じサブキャリア上にあり、D2D受信端は、アップリンクユーザによって送信される特定のパイロットシーケンスを認識していないことがあるため、従来の方法を使用することによって、アップリンクユーザからD2D受信端へのチャネルの情報を検出することは困難であり、したがって、信号中の干渉信号は除去され得ない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態1によって提供される、干渉を処理するための方法のフローチャートである。図1に示されるように、本発明の実施形態によって提供される方法は:
アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアによって搬送される第1の復調参照信号DMRSパイロットシンボルに従って、アップリンクユーザ機器のD2D受信端へのアップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列が測定され、ただし、第1のサブキャリアは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有されるサブキャリアである、S101を含む。具体的には、アップリンク干渉チャネルは、アップリンク干渉チャネルのチャネル行列によって特徴付けられ得る。そのため、アップリンク干渉チャネルのチャネル行列を測定することができるようにするために、D2D受信端は、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアと、第1のサブキャリアによって使用される第1のDMRSパイロットシンボルとを認識していなければならない。また、D2D受信端は、第1のDMRSパイロットシーケンスの最初の位置を判定し得るが、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さを認識することはできない。そのため、まず、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さを取得し、その長さに従って、第1のDMRSパイロットシーケンスおよび第1のサブバンドを判定することが必要であり、それによって、第1のサブバンドから第1のサブキャリアを選択し、第1のDMRSパイロットシーケンスから第1のDMRSパイロットシンボルを選択する。ただし、第1のサブバンドは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有される全てのサブキャリアから成る。
【0018】
LTEセルラシステムを例にとると、LTEセルラシステムにおいて、異なる長さのDMRSパイロットシーケンスは、異なる構造を有する。すなわち、異なる長さのDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルは、同一ではない。そのため、アップリンク干渉ユーザによって実際に使用されるDMRSパイロットシーケンスは、D2D受信端によって実際に受信されるDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルと、異なる長さの既存および既知のDMRSの最初のK個のシンボルとを比較することによって、推定され得る。具体的な方法は、以下の通りである。
【0019】
まず、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さは、アップリンクユーザ機器が使用し得るDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボル、および実際に受信される第1のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルに従って、計算され得る。
【0020】
すなわち、
【0021】
【数1】
【0022】
は、式
【0023】
【数2】
【0024】
に従って計算され得る。式中、Liは、アップリンクユーザ機器が使用し得るDMRSパイロットシーケンスの長さであり、1≦i≦nであり、nは、異なる長さのDMRSパイロットシーケンスの種類の数であり、アップリンクユーザ機器が使用し得るDMRSパイロットシーケンスは、ちょうど既存および既知のパイロットシーケンスの長さであり、Yは、K*1次元の列ベクトルであり、この列ベクトルは、実際に受信される第1のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成り、
【0025】
【数3】
【0026】
は、アップリンクユーザ機器が使用し得る、長さLiのm個のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成る行列
【0027】
【数4】
【0028】
であり、mは、長さLiの異なるDMRSパイロットシーケンスの数であり、Xは、m×1次元の列ベクトルであり、この列ベクトルは、
【0029】
【数5】
【0030】
に最小値を達成させ、
【0031】
【数6】
【0032】
は、
【0033】
【数7】
【0034】
の最小値である。すなわち、パイロットシーケンスの長さLiが判定される場合はいつでも、
【0035】
【数8】
【0036】
に最小値を達成させるXは、式
【0037】
【数9】
【0038】
に従って推定され得る。式中、最小値は、
【0039】
【数10】
【0040】
によって表される。
【0041】
全ての取り得る
【0042】
【数11】
【0043】
が前述のプロセスによって算出された後、
【0044】
【数12】
【0045】
に最小値を達成させるLiは、式
【0046】
【数13】
【0047】
に従って計算され得る。式中、L*は、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さである。
【0048】
次に、
【0049】
【数14】
【0050】
に最小値を達成させるXは、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さL*および式
【0051】
【数15】
【0052】
に従って計算され得る。式中、mは、長さL*の異なるDMRSパイロットシーケンスの数であり、Yは、K*1次元の列ベクトルであり、この列ベクトルは、実際に受信される第1のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成り、X*およびXは、m×1次元の列ベクトルであり、X*=[x1,x2,...,xm]Tであり、
【0053】
【数16】
【0054】
は、アップリンクユーザ機器によって利用可能である、長さL*のm個のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成る行列であり、
【0055】
【数17】
【0056】
であり、1≦i≦mである。X*における各要素のモジュール値が計算され、最小モジュール値を持つ要素xiに対応する、
【0057】
【数18】
【0058】
におけるベクトル
【0059】
【数19】
【0060】
は、第1のDMRSパイロットシーケンスとみなされる。
【0061】
各サブキャリアは、DMRSパイロットシーケンスの1つのシンボルに対応するため、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブバンドに含まれるサブキャリアの数は、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さL*に従って計算され得、それによって、第1のサブバンドが判定され得る。
【0062】
最後に、第1のサブキャリアが第1のサブバンドから選択され、第1のDMRSパイロットシンボルが第1のDMRSパイロットシーケンスから選択され、干渉チャネル行列は、第1のサブバンドおよびDMRSパイロットシンボルに従って測定される。
【0063】
D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有される各サブキャリアが対応する各アップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列は測定されなければならないことに留意されたい。
【0064】
任意選択で、ステップS101の前に、D2D受信端は、D2D送信端から到来する信号と、アップリンクユーザ機器から到来する信号とを受信してもよい。D2D受信端にアップリンクユーザ機器からD2D受信端自体へのチャネルを検出させるために、D2D受信端によって受信される信号の構造は、以下のように特徴付けられる。
【0065】
時間次元において、信号の構造は、アップリンクユーザ機器から到来する信号の構造と一致する。すなわち、D2D受信端によって受信される信号は、サブフレームの形式で編成され、このサブフレームは、時間次元においてアップリンクユーザ機器からのサブフレームと一致する。また、双方共にD2D受信端によって受信される、D2D送信端から到来する信号およびアップリンクユーザ機器から到来する信号におけるDMRSパイロットシーケンスの位置は、互いに重複しない。
【0066】
好適には、アップリンクユーザ機器から到来し、D2D受信端によって受信される信号において、DMRSパイロットシーケンスの位置で、アップリンクユーザ機器のアップリンク干渉チャネルの検出をより良好に実行するために、D2D送信端から到来する対応する受信される信号は、その位置において無声である。図2は、本発明の実施形態1によって提供される、LTEシステムにおけるアップリンクサブフレームおよびD2Dフレームの構造概略図である。図2に示されるように、図2中の「1」は、アップリンクサブフレームのDMRSパイロットシーケンスを表し、「2」は、D2DフレームのDMRSパイロットシーケンスを表し、「3」は、アップリンクサブフレームのDMRSパイロットシーケンスが存在する位置においてD2Dフレームが無声であることを表す。1つのアップリンクサブフレームは、いくつかのOFDMシンボルから成り、ただし、アップリンクユーザ機器から到来する受信される信号において、あるサブフレームの2つのOFDMシンボルにおけるDMRSパイロットシーケンスの位置で、D2D送信端から到来し、対応するD2D受信端によって受信される対応する信号は、OFDMシンボル上で無声に維持されることが分かる。
【0067】
S102では、アップリンク干渉チャネルの零空間行列が、干渉チャネル行列に従って計算される。
【0068】
具体的には、零空間行列は、式Q*H=0に従って計算され得る。式中、Qは、零空間行列であり、Hは、干渉チャネル行列である。
【0069】
D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有される各サブキャリアに対応する各アップリンク干渉チャネルの零空間行列は計算される必要があることに留意されたい。
【0070】
S103では、零空間行列を使用することによって、D2D送信端から到来し、第1のサブキャリアを介してD2D受信端によって受信される信号が、この信号中のアップリンクユーザ機器から到来する干渉信号を除去するために処理される。
【0071】
具体的には、D2D受信端は、D2D送信端から到来する、第1のサブキャリアを介して受信される信号に、サブキャリアに対応するアップリンク干渉チャネルの零空間行列を乗じ、その後、D2Dチャネル検出および信号検出を実行し得る。D2D信号検出はアップリンク干渉チャネルの零空間において実行されるため、アップリンク干渉は除去されている。
【0072】
本発明の実施形態において、D2D受信端は、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアによって搬送される第1の復調参照信号DMRSパイロットシンボルに従って、アップリンクユーザ機器からD2D受信端へのアップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列を測定し、干渉チャネル行列に従って、アップリンク干渉チャネルの零空間行列を計算し、零空間行列を使用することによって、D2D送信端から到来する、第1のサブキャリアを介してD2D受信端によって受信される信号を、この信号中のアップリンクユーザ機器から到来する干渉信号を除去するために処理し、ただし、第1のサブキャリアは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有されるサブキャリアである。そのため、アップリンク周波数スペクトルがD2D送信によって多重化される場合、どのようにしてD2D受信端におけるアップリンクユーザ機器の干渉を回避するかをD2D送信端が考慮することは不要であり、これは、D2D送信におけるアップリンク周波数スペクトルの感知の必要性を大きく簡略化する。また、D2D送信端から、およびアップリンクユーザ機器から到来する、D2D受信端によって受信される信号におけるDMRSパイロットシーケンスの位置は重複せず、これは、アップリンク干渉チャネルの検出期間中に引き起こされる干渉を低減し得る。
【0073】
したがって、本発明の実施形態は、干渉を処理するための装置を提供する。図3は、本発明の実施形態2によって提供される、干渉を処理するための装置の概略図である。図3に示されるように、本装置は、測定ユニット301、計算ユニット302および処理ユニット303を含む。
【0074】
測定ユニット301は、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアによって搬送される第1の復調参照信号DMRSパイロットシンボルに従って、アップリンクユーザ機器からD2D受信端へのアップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列を測定するように構成される。ただし、第1のサブキャリアは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有されるサブキャリアである。
【0075】
アップリンク干渉チャネルは、干渉チャネル行列によって特徴付けられ得、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有される各サブキャリアが対応する各アップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列は、測定されなければならないことに留意されるべきである。
【0076】
計算ユニット302は、干渉チャネル行列に従って、アップリンク干渉チャネルの零空間行列を計算するように構成される。
【0077】
具体的には、計算ユニット302は、式Q*H=0に従って、零空間行列を計算する。式中、Qは、零空間行列であり、Hは、干渉チャネル行列である。
【0078】
D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有される各サブキャリアに対応する各アップリンク干渉チャネルの零空間行列は、計算される必要があることに留意されたい。
【0079】
処理ユニット303は、零空間行列を使用することによって、D2D送信端から到来し、第1のサブキャリアを介してD2D受信端によって受信される信号を、この信号中のアップリンクユーザ機器から到来する干渉信号を除去するために処理するように構成される。
【0080】
具体的には、D2D受信端は、D2D送信端から到来する、第1のサブキャリアを介して受信される信号に、サブキャリアに対応するアップリンク干渉チャネルの零空間行列を乗じ、その後、D2Dチャネル検出および信号検出を実行し得る。D2D信号検出はアップリンク干渉チャネルの零空間において実行されるため、アップリンク干渉は除去されている。
【0081】
本発明の実施形態によって提供される測定ユニット301は、具体的には、第1の計算サブユニット310、第2の計算サブユニット311、選択サブユニット312および測定サブユニット313を含む。
【0082】
第1の計算サブユニット310は、アップリンクユーザ機器によって利用可能である第1のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルと、実際に受信される第1のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルとに従って、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さを計算するように構成される。
【0083】
アップリンク干渉チャネルは、チャネル行列によって特徴付けられ得る。そのため、アップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列を測定することができるようにするために、D2D受信端は、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアと、第1のサブキャリアによって使用される第1のDMRSパイロットシンボルとを認識していなければならない。また、D2D受信端は、第1のDMRSパイロットシーケンスの最初の位置を判定し得るが、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さを認識することはできない。そのため、まず、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さを取得し、その長さに従って、第1のDMRSパイロットシーケンスおよび第1のサブバンドを判定することが必要であり、それによって、第1のサブバンドから第1のサブキャリアを選択し、第1のDMRSパイロットシーケンスから第1のDMRSパイロットシンボルを選択する。ただし、第1のサブバンドは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有される全てのサブキャリアから成る。
【0084】
具体的には、第1の計算サブユニット310は、
【0085】
【数20】
【0086】
を、式
【0087】
【数21】
【0088】
に従って計算する。式中、Liは、アップリンクユーザ機器が使用し得るDMRSパイロットシーケンスの長さであり、1≦i≦nであり、nは、異なる長さのDMRSパイロットシーケンスの種類の数であり、アップリンクユーザ機器が使用し得るDMRSパイロットシーケンスは、ちょうど既存および既知のパイロットシーケンスの長さであり、Yは、K*1次元の列ベクトルであり、この列ベクトルは、実際に受信される第1のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成り、
【0089】
【数22】
【0090】
は、アップリンクユーザ機器が使用し得る、長さLiのm個のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成る行列
【0091】
【数23】
【0092】
であり、mは、長さLiの異なるDMRSパイロットシーケンスの数であり、Xは、m×1次元の列ベクトルであり、この列ベクトルは、
【0093】
【数24】
【0094】
に最小値を達成させ、
【0095】
【数25】
【0096】
は、
【0097】
【数26】
【0098】
の最小値である。すなわち、パイロットシーケンスの長さLiが判定される場合はいつでも、
【0099】
【数27】
【0100】
に最小値を達成させるXは、式
【0101】
【数28】
【0102】
に従って推定され得、最小値は、
【0103】
【数29】
【0104】
によって表される。
【0105】
全ての取り得る
【0106】
【数30】
【0107】
が前述のプロセスによって算出された後、
【0108】
【数31】
【0109】
に最小値を達成させるLiは、式
【0110】
【数32】
【0111】
に従って計算され得る。式中、L*は、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さである。第2の計算サブユニット311は、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さに従って、第1のDMRSパイロットシーケンスの位置および第1のサブバンドを計算するように構成される。ただし、第1のサブバンドは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有されるサブキャリアから成る。
【0112】
具体的には、第2の計算サブユニット311は、
【0113】
【数33】
【0114】
に最小値を達成させるXを、式
【0115】
【数34】
【0116】
に従って計算する。ここで、L*は、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さであり、mは、各々が長さL*の異なるDMRSパイロットシーケンスの数であり、Yは、K*1次元の列ベクトルであり、この列ベクトルは、実際に受信される第1のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成り、X*およびXは、m×1次元の列ベクトルであり、X*=[x1,x2,...,xm]Tであり、
【0117】
【数35】
【0118】
は、アップリンクユーザ機器によって利用可能である、各々が長さL*のm個のDMRSパイロットシーケンスの最初のK個のシンボルから成る行列であり、
【0119】
【数36】
【0120】
であり、1≦i≦mである。X*における各要素のモジュール値が計算され、最小モジュール値を持つ要素xiに対応する
【0121】
【数37】
【0122】
におけるベクトル
【0123】
【数38】
【0124】
は、第1のDMRSパイロットシーケンスとみなされる。
【0125】
各サブキャリアはDMRSパイロットシーケンスの1つのシンボルに対応するため、第1のサブバンドが判定され得るように、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブバンドに含まれるサブキャリアの数は、第1のDMRSパイロットシーケンスの長さL*に従って計算され得る。
【0126】
選択サブユニット312は、第1のサブバンドから第1のサブキャリアを選択し、第1のDMRSパイロットシーケンスから第1のDMRSパイロットシンボルを選択するように構成される。
【0127】
測定サブユニット313は、第1のサブバンドおよびDMRSパイロットシンボルに従って、干渉チャネル行列を測定するように構成される。
【0128】
任意選択で、本装置は、D2D送信端から到来する信号およびアップリンクユーザ機器から到来する信号を受信するための受信ユニット304をさらに含む。
【0129】
双方共に受信ユニット304によって受信される、D2D送信端から到来する信号とアップリンクユーザ機器から到来する信号とは、時間的に同期し、構造的に一致する。双方共に受信ユニット304によって受信される、D2D送信端から到来する信号およびアップリンクユーザ機器から到来する信号におけるDMRSパイロットシーケンスの位置は、互いに重複しない。
【0130】
好適には、アップリンクユーザ機器から到来し、受信ユニット304によって受信される信号において、DMRSパイロットシーケンスの位置で、アップリンクユーザ機器のアップリンク干渉チャネルの検出をより良好に実行するために、D2D送信端から到来する対応する受信される信号は、受信時には、その位置において無声である。
【0131】
本発明の実施形態において、D2D受信端は、アップリンクユーザ機器によって使用される第1のサブキャリアによって搬送される第1の復調参照信号DMRSパイロットシンボルに従って、アップリンクユーザ機器からD2D受信端へのアップリンク干渉チャネルの干渉チャネル行列を測定し、干渉チャネル行列に従って、アップリンク干渉チャネルの零空間行列を計算し、零空間行列を使用することによって、D2D送信端から到来する、第1のサブキャリアを介してD2D受信端によって受信される信号を、信号中のアップリンクユーザ機器から到来する干渉信号を除去するために処理し、ただし、第1のサブキャリアは、D2D送信端とアップリンクユーザ機器とによって共有されるサブキャリアである。そのため、アップリンク周波数スペクトルがD2D送信によって多重化される場合、どのようにしてD2D受信端におけるアップリンクユーザ機器の干渉を回避するかをD2D送信端が考慮することは不要であり、これは、D2D送信におけるアップリンク周波数スペクトルの感知の必要性を大きく簡略化する。また、D2D送信端から、およびアップリンクユーザ機器から到来する、D2D受信端によって受信される信号中のDMRSパイロットシーケンスの位置は重複せず、これは、アップリンク干渉チャネルの検出期間中に引き起こされる干渉を低減し得る。
【0132】
当業者は、本明細書において開示される実施形態と共に説明されるような様々な例のユニットおよびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または双方の組み合わせによって実装され得ることをさらに認識し得る。このハードウェアとソフトウェアとの互換性を明確に説明するために、上記の説明では、上記例の構成および手続が、概して機能性に従って説明されてきた。これらの機能がハードウェアの形式で実装されるか、またはソフトウェアの形式で実装されるかは、具体的な適用例および技術的解決策の設計制約条件によって判定される。当業者は、説明された機能性を達成するために、特定の適用例ごとに異なる方法を使用し得るが、そのような実装は、本発明の範囲を超えるものとしてみなされるべきではない。
【0133】
本明細書において開示される実施形態と共に説明される方法またはアルゴリズムステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、または、この2つの組み合わせによって実行され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、読み出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、電気的プログラム可能ROM、電気的消去可能プログラム可能ROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または、本技術分野において知られているような任意の他の形式の記憶媒体に配置され得る。
【0134】
上述された実施形態においては、本発明の目的、技術的解決策および有利な効果が、さらに詳細に説明された。上記実施形態は、本発明の原理を説明するための例示的な実施形態にすぎないことが理解されるべきである。ただし、本発明は、それらの実施形態に限定されない。様々な変形および改良が、本発明の精神および本質から逸脱することなく、当業者によって行われてもよく、こうした変形および改良も、本発明の保護範囲内にあるとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0135】
301 測定ユニット
302 計算ユニット
303 処理ユニット
304 受信ユニット
310 第1の計算サブユニット
311 第2の計算サブユニット
312 選択サブユニット
313 測定サブユニット
図1
図2
図3