【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、請求項1の構成を備える接続エレメントおよび請求項13の構成を備える接続構造によって達成される。
【0009】
この接続エレメントは、流体が流れることが可能な2つの中空体同士を接続する役割を果たす。この接続エレメントは、流体が流れることが可能な第1の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第1の接続部材を備える。この目的のために、その第1の接続部材は、例えば、前記中空体に差し込み可能なもの、前記中空体に被せられるもの等とされ得る。これらに加えて、上記の流体密な流動接続のために、チューブクランクなどのロック機構を設けたり、前記接続部材と前記中空体とを接着接合したりすることも可能である。
【0010】
前記接続エレメントは、さらに、前記第1の接続部材の内側領域内に少なくとも部分的に配置される密封要素を備える。好ましくは、この密封要素は、前記接続エレメントの内部において、前記接続エレメントにおける、前記中空体とは反対側に配置される。前記接続エレメントは、さらに、前記第1の接続部材の外側に配置されるロック要素を備える。
【0011】
本発明に係る接続エレメントは、前記ロック要素がロック解除位置からロック位置へと移行可能であり、かつ、前記ロック位置での前記ロック要素が、前記密封要素に対して、当該ロック要素が前記ロック解除位置にあるときよりも前記密封要素の内径が小さくなるように作用する点で特徴付けられる。前記ロック要素が前記密封要素に対して作用することによって引き起こされる、前記密封要素の内径のこのような縮小により、前記第1の接続部材の内側領域内に第2の接続部材が収容されているときに、それら前記第1の接続部材の前記内側領域と前記第2の接続部材の内側領域との間に流体密な接続がもたらされる。すなわち、前記密封要素が前記第2の接続部材を緊密に取り囲むので、前記第1の接続部材の前記内側領域からの流体は、前記第2の接続部材の外側に進むことなく、前記第2の接続部材の前記内側領域内にのみ進入することができる。このようにして確立された接続の流体密性についての説明は、流体が前記第1の接続部材から前記第2の接続部材へと流れる場合だけでなく、これと反対方向に流れる場合にも同様に当てはまる。
【0012】
前記第1の接続部材の前記内側領域および前記第2の接続部材の前記内側領域は、それらを通って流体が流れることが可能なように中空に構成されている。つまり、前記第1の接続部材は前記第1の中空体の延長となるので、対応する第2の接続部材が第2の中空体に備え付けられていれば、前記第1の中空体をその第2の中空体に簡単に接続することができる。したがって、前記接続エレメントと前記第2の接続部材とは、互いに対を成した、互いに接続可能な部品であると言える。
【0013】
新規の前記接続エレメントにより、従来使用されてきた剛体のねじ接続に代えて、可撓体の差し込み接続を実現することができる。前記接続エレメントは、膨縮自在なプラグの如く機能して各種フィッティング部材を汎用的に接続できると同時に、従来から知られている解決技術よりも大幅に大きい内径を実現することができる。各構成要素間の密封は、前記接続エレメント内へと差し込まれるメス型接続部材(すなわち、前記第2の接続部材)の外表面で行われる。そして、この接続は、前記ロック要素によってロックされる。このロック要素は、内側が円錐状に形成されたキャップなどとして構成され得て、例えば、回されることで前記密封要素を押圧するものとされる。
【0014】
前記密封要素の内径の上記のような縮小は、前記ロック要素と前記密封要素との間の直接の接触によっても、前記ロック要素とその密封要素との間の間接的な接触によっても実現可能である。具体的に述べると、一例として、前記ロック要素を前記第1の接続部材に対して作用させることにより、前記第1の接続部材の内径の縮小を引き起こしてから、前記第1の接続部材の内径のこのような縮小によって、前記密封要素の内径の縮小を引き起こすことが考えられる。しかしながら、前記ロック要素によって前記密封要素を直接圧縮することにより、前記密封要素の内径を縮小させるようにすることも可能である。
【0015】
ところで、前記密封要素の内径や前記接続部材の内径は、その全長にわたって必ずしも同じ大きさである必要はない。むしろ、前記接続部材の内径や前記密封要素の内径を、それぞれの長さにわたって変化させる構成も考えられる。その場合の「内径」とは、前記接続部材または前記密封要素における選ばれた位置での内径のことを指す。なお、前記接続部材または前記密封要素における選ばれた箇所での内径が減少しても、前記接続部材または前記密封要素におけるそれ以外の選択され得る箇所での内径には、全く影響が及ばない場合がある点に留意されたい。
【0016】
一実施形態において、前記接続エレメントは、その内側領域内にメス型ルアーロックフィッティング部材を収容するように構成されている。つまり、この実施形態では、本発明にかかる接続エレメントが、オス型ルアーロックフィッティング部材と交替することになる。結果として、メス型ルアーロックフィッティング部材と本発明にかかる接続エレメントとの間には、従来のルアーロックコネクタと完全に異なる形態の密封が実現されることになる。具体的に述べると、従来のルアーロックコネクタの場合の密封は、前述したようにオス型ルアーロックフィッティング部材のコーンの外側とメス型ルアーロックフィッティング部材のコーンの内側との間の接触面で行われる。対照的に、本発明のこの実施形態では、メス型ルアーロックフィッティング部材の外側で密封が実現される(緊密性によって、本発明のこの実施形態では、メス型ルアーロックフィッティング部材の内側領域に形成されているコーンは重要とならない)。つまり、メス型ルアーロックフィッティング部材は、本願において請求される接続エレメント内に挿入されるオス型の部品へと変化するのである。このような各フィッティング間の役割の入れ替えは、当業者にとって全く想定し得ないことであるだけでなく、最終的に、流体が流れることが可能な有効断面積の増大につながる。
【0017】
好ましくは、前記密封要素は、当該密封要素と前記接続部材の内部との間に流体が進入できないように前記接続部材の内部に緊密に接するように構成及び寸法決めされている。一具体例として、前記密封要素は、前記第1の接続部材に接着される。また、前記接続部材の少なくとも一部におけるその内周全体が、前記密封要素によって覆われ得る。すなわち、好ましくは、前記接続部材の一部におけるその内側輪郭が、前記密封要素の一部におけるその外側輪郭に合致する。前記接続部材の前記内側領域が円筒状の断面を有している場合、好ましくは、前記密封要素が、少なくとも一部において中空円筒として形成されている。
【0018】
好ましくは、前記ロック要素は、前記第1の接続部材の少なくとも一部を覆うように構成されている。この構成によれば、外側から簡単に前記ロック要素を届かせることができると共に、これによって当該ロック要素を容易に操作することも可能となる。
【0019】
他の変形例では、前記ロック要素が、前記第1の接続部材の少なくとも一部におけるその外周全体を覆う。例えば、前記ロック要素は、前記接続部材に対して当該接続部材の一部(特には、末端部位であり得る)に嵌め被せられるキャップとして構成される。前記ロック要素が前記接続部材の外周全体を覆うこのような構成によれば、ユーザが前記ロック要素を回したり横に変位させたりすることが容易になるので、当該ロック要素の取扱いが特に簡単になる。
【0020】
前記接続エレメントの他の実施形態において、前記第1の接続部材と前記ロック要素とは、ねじ体によって互いに係合する。このようなねじ体により、当該ねじ体に沿って前記ロック要素が前記接続部材に対して移動することが可能となる。これにより、前記ロック要素を、当該ロック要素のロック解除位置からロック位置へと移行させることが(およびその逆も)可能となる。このようなねじ体は、例えば、前記接続部材の一部に実現される。好ましくは、この一部は、前記ロック要素によって覆われる部位ある。また、前記ロック要素には、前記ねじ体において案内されるピン、爪またはその他の突部が設けられ得る。基本的には、前記ロック要素に前記ねじ体を設けて、前記接続部材に前記ねじ体での案内用の案内ピン、突部または爪を設けるようにすることも可能である。
【0021】
一変形例として、前記ロック要素を、当該ロック要素のロック解除位置からロック位置への移行のみが可能なものとすることも考えられる。この構成によれば、互いに接続される前記中空体間の接続を、一度だけ確立可能なものとすることができる。これ以降は、その接続が恒久的に維持される。このような構成は、一部の用途において有利となり得る。しかしながら、大抵の場合、2つの中空体の可逆的な(又は解除可能な)接続が所望される。よって、前記接続エレメントのさらなる他の実施形態では、前記ロック要素は、さらに、前記ロック位置から前記ロック解除位置へも移行可能であるものとされる。この構成によれば、2つの中空体間で既に確立されている接続を、再び解除することが可能となる。
【0022】
好ましくは、前記ロック要素は、当該ロック要素のロック位置において掛け止めする。これにより、前記ロック要素の、前記ロック位置からそのロック解除位置への移行は、大きな労力をかけた場合にのみ可能となる。この構成によれば、確立された接続が不所望に解除されることを効果的に防止することができる。
【0023】
他の変形例において、前記ロック要素は、そのロック位置において、前記密封要素に、さらに、前記第1の接続部材の前記内側領域内に第2の接続部材が収容されているときには当該第2の接続部材にも、締付力を加える。すなわち、前記接続エレメントと前記第2の接続部材との間の緊密な接続を、前記ロック要素の対応する締付力によって実現することができる。
【0024】
他の変形例において、前記ロック要素の少なくとも一部は、円錐状に構成されている。好ましくは、前記ロック要素の内側における一部が、円錐状に形成されている。この構成によれば、前記ロック要素を前記接続部材に対して相対的に変位させることにより、前記ロック要素と接触する構成要素の最大外径の大きさを変化させることができる。ここでの「構成要素」とは、特に、前記密封要素や前記接続部材のことであり得る。具体的に述べると、前記ロック要素の内側領域を適切な円錐構成とすることにより、前記密封要素の内径を縮小させる締付力を提供することができる。
【0025】
他の実施形態において、前記接続エレメントの正規使用時には、前記ロック要素が前記接続部材に常に連結している。この連結は、例えば、ねじ体および当該ねじ体において案内される突部による連結とされる。この変形例を実現するにあたっては、前記ロック要素と前記接続部材とを別々の構造品として作製してから互いに連結しておき、前記接続エレメントの使用時にその連結を解除できるようにすることが考えられる。この目的のために、前記ロック要素が例えば適切な係止爪等により、前記接続部材における突部を押し越えると共にその後さらに当該接続部材のねじ体において案内されるようにすることで、大きな労力をかけないと当該接続部材から脱離することができないようにする構成が考えられる。この構成により、前記接続エレメントの販売及び使用を促すことができる。
【0026】
他の変形例では、前記密封要素の一部が、前記第1の接続部材の前記内側領域の外部に配置される。好ましくは、前記一部は、前記密封要素の円周全体に沿って延在する、周方向の膨らみのような突部である。このような突部により、前記接続エレメントの規定どおりの使用にあたって前記密封要素が前記接続部材内において配されるべき所定の位置を、極めて簡単に予め定めることが可能となる。というのも、適切な突部により、前記密封要素の、前記接続部材内への最大挿入深さを定めることができるからである。これは、そのような突部が前記密封要素の外側に向かって延出する場合に特にそうである。また、そのような突部が前記密封要素の内側に向かって延出する場合には、前記密封要素内へと差し込まれた(すなわち、前記接続部材内へも差し込まれた)第2の接続部材を、そのような対応する突部の裏に掛け止めさせることができるという利点が生じる。
【0027】
一具体例として、前記密封要素の、前記第1の接続部材内への最大挿入深さは、前記第1の接続部材の対応する形態によって定めることもできる。好ましくは、前記第1の接続部材は、前記密封要素が前記第1の接続部材の前記内側領域内において当接することのできるレッジ形成するように構成されている。このレッジは、前記密封要素が配置された領域と前記密封要素が配置されていない領域との間で前記第1の接続部材の内径を本質的に異ならせない深さを有する。この構成によれば、本質的に乱流が全く発生しないので、流体が前記第1の接続部材を通って特に有利に流れることが可能となる。
【0028】
他の変形例では、前記密封要素の、前記第1の接続部材の前記内側領域の外部に配置される一部が、前記ロック要素がそのロック位置にあるときに当該ロック要素によって直接接触される。すなわち、ロック位置での前記ロック要素は、前記密封要素の、前記第1の接続部材の前記内側領域内に完全には収容されていない一部を直接加圧する。この結果として、前記密封要素の直径の減少が引き起こされ、前記第2の接続部材が前記第1の接続部材の前記内側領域内に差し込まれている場合には、そのような前記第2の接続部材との緊密な連結がもたらされる。
【0029】
他の変形例において、前記密封要素の、前記第1の接続部材の前記内側領域の外部に配置される前記一部は、第2の接続部材が前記第1の接続部材の前記内側領域内に収容されているときには当該第2の接続部材における突部を、アンダーカットによって包囲するように構成されている。この構成は、前記密封要素がその内側に、前記第2の接続部材の対応する突部を後ろから保持することのできる円周状の膨出部のような突部を有している場合に特に実施可能である。この構成によれば、ロック位置での前記ロック要素によって前記密封要素に加えられる締付力により、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材との間の緊密な連結を確実にできると同時に、前記接続エレメント内の前記第2の接続部材を、前記ロック要素をそのロック解除位置へと移行させない限り解除することのできない確実な着座状態とすることができる。
【0030】
既述したように、前記第1の接続部材の内径は、当該第1の接続部材の全長にわたって必ずしも一定である必要はない。好ましくは、前記第1の接続部材の最小内径は、約3mm〜約15mmであり、特には約4mm〜約14mm、より特には約5mm〜約13mm、より特には約6mm〜約12mm、より特には約7mm〜約11mm、なおいっそう特には約8mm〜約10mmである。この構成によれば、従来のルアーロックフィッティングよりも多くの流体流量を確保できる。なぜなら、オス型ルアーロックフィッティング部材の内径は2.5mmしかないからである。ルアーロックフィッティングには既存の規格が存在することから、このようなコネクタの内径を拡げる動機は、これまで当業者に存在し得なかった。
【0031】
好ましくは、前記第1の接続部材の前記最小内径は、前記接続エレメントと第2の接続部材との間に適切な接続が確立されているときの、前記第1の接続部材における流体が流れる部位において決まる。また、密封要素によって減少させられた後の前記第1の接続部材の内径も、前記第1の接続部材の最小内径とみなすことができる。というのも、この場合の内径も、前記第1の接続部材の流動特性(又は流体流特性)にとって同じく重要となるからである。ただし、前記第1の接続部材の内径について述べる際には、前記密封要素における、前記第1の接続部材の外部に位置する部位の内径、および/または、前記密封要素における、前記接続エレメントと第2の接続部材との間に接続が確立されているときに流体が流れる領域よりも外側に位置する部位の内径を考慮しないものとする。
【0032】
本発明の基礎をなす前述の目的は、請求項13の構成を備える接続構造によっても達成される。この接続構造は、前述の接続エレメントを備える。これに加えて、さらに、前記接続エレメントにおける第1の接続部材の内側領域内に収容されて、流体が流れることが可能な第2の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第2の接続部材が設けられる。このような接続構造により、前記接続エレメントのうちの前記第1の接続部材に連結される第1の中空体と前記第2の接続部材に連結される前記第2の中空体との間に、流体密な接続を実現することが可能となる。前記接続エレメントのうちの、前記ロック要素の特定の形態および前記接続部材の特定の形態しだいで、それら第1の中空体と第2の中空体との間の接続を、解除不能な接続とも解除可能な接続ともすることが可能である。
【0033】
他の実施形態では、前記第2の接続部材が、メス型ルアーロックフィッティング部材である。これにより、従来のルアーロックコネクタに改変を施した新規の接続構造であって、流体流量を従来のルアーロックコネクタよりも大幅に増大させることが可能な、新規の接続構造を提供することができる。
【0034】
前記接続エレメントの好適な実施形態は、前記接続構造にも同様に適用可能であり、また、その逆も然りである。
【0035】
以下では、本発明のさらなる詳細を、添付の図面を参照しながら説明する。