特許第6525970号(P6525970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525970
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】接続エレメントおよび接続構造
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20190527BHJP
   F16L 33/22 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   A61M39/10 100
   F16L33/22
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-518490(P2016-518490)
(86)(22)【出願日】2014年6月12日
(65)【公表番号】特表2016-527929(P2016-527929A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014062237
(87)【国際公開番号】WO2014198828
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年5月31日
(31)【優先権主張番号】102013210922.9
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515344990
【氏名又は名称】ダブリュ・オー・エム・ワールド・オブ・メディスン・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】W.O.M. WORLD OF MEDICINE GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】リーベ・オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ランゲン・ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルベルト・ニルス
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許出願公開第03503562(DE,A)
【文献】 米国特許第05935112(US,A)
【文献】 米国特許第06273478(US,B1)
【文献】 西独国特許出願公開第03624745(DE,A)
【文献】 米国特許第06209928(US,B1)
【文献】 実開昭55−149686(JP,U)
【文献】 特開平09−119569(JP,A)
【文献】 特開2001−054221(JP,A)
【文献】 特表2013−519848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
F16L 33/22
F16L 19/04
F16L 47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れることが可能な2つの中空体同士を接続する接続エレメントであって、
流体が流れることが可能な第1の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第1の接続部材(2)と、
前記第1の接続部材(2)の内側領域内に少なくとも部分的に配置される密封要素(3)と、
前記第1の接続部材の外側に配置されるロック要素(4)と、
を備え、
前記ロック要素(4)が、ロック解除位置からロック位置へと移行可能である、
接続エレメントと、
前記接続エレメント(1)における第1の接続部材(2)の内側領域内に収容されて、流体が流れることが可能な第2の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第2の接続部材(13)と、
を備える接続構造において、
前記第2の接続部材(13)が、メス型ルアーロックフィッティング部材であり、
前記密封要素(3)が、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域の外部に位置する、径方向内側に突出する膨出部(11)を有しており、
前記ロック位置での前記ロック要素(4)は、前記密封要素(3)の前記膨出部(11)に対して、当該ロック要素(4)が前記ロック解除位置にあるときよりも前記密封要素(3)の内径(d)が小さくなるように作用することにより、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域内に前記第2の接続部材(13)が収容されているときに、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域と前記第2の接続部材(13)の内側領域との間に外部に対して流体密な接続をもたらすように構成されており、
前記接続エレメント(1)がその内側領域内に前記メス型ルアーロックフィッティング部材を収容していることにより、前記ロック位置において、前記メス型ルアーロックフィッティング部材が前記第1の接続部材(2)の前記内側領域内に収容されている状態で、前記メス型ルアーロックフィッティング部材の外側が密封されることを特徴とする、接続構造
【請求項2】
請求項1に記載の接続構造において、前記ロック要素(4)が、前記第1の接続部材(2)の少なくとも一部を覆うことを特徴とする、接続構造
【請求項3】
請求項1または2に記載の接続構造において、前記ロック要素(4)が、前記第1の接続部材(2)の少なくとも一部におけるその外周を全周に渡って覆うことを特徴とする、接続構造
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の接続構造において、前記第1の接続部材(2)と前記ロック要素(4)とが、ねじ体(7)によって互いに係合し、前記ねじ体(7)に沿った前記ロック要素(4)の移動が、当該ロック要素(4)の、前記ロック解除位置から前記ロック位置への移行を生じさせることを特徴とする、接続構造
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の接続構造において、前記ロック要素(4)が、さらに、前記ロック位置から前記ロック解除位置へも移行可能であることを特徴とする、接続構造
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の接続構造において、前記ロック要素(4)が、そのロック位置において、前記密封要素(3)と前記第1の接続部材(2)の前記内側領域内に収容された前記第2の接続部材(13)とに締付力を加えることを特徴とする、接続構造
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の接続構造において、前記ロック要素(4)の少なくとも一部が、円錐状に形成された形態(12)を有していることを特徴とする、接続構造
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の接続構造において、前記接続エレメント(1)の通常使用時において、前記ロック要素(4)が、前記第1の接続部材(2)に常に連結しており、且つ前記第1の接続部材(2)からの意図しない脱離が不可能であることを特徴とする、接続構造
【請求項9】
請求項1に記載の接続構造において、前記密封要素の、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域の外部に配置された前記膨出部(11)に対して、前記ロック要素(4)が前記ロック位置において直接接触することを特徴とする、接続構造
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の接続構造において、前記密封要素(3)の、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域の外部に配置された前記膨出部(11)が、前記第2の接続部材(13)における突部(16)を、アンダーカットによって包囲するように構成されていることを特徴とする、接続構造
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の接続構造において、前記第1の接続部材(2)の最小内径が、3mm〜15mmであることを特徴とする、接続構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおり接続エレメントに関する。本発明は、さらに、請求項13の前提部に記載されているとおり接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、流体が流れることが可能な2つのチューブ(又はその他の中空体)同士を接続するための、様々な接続構成が知られている。しばしば、ルアーロックコネクタが利用される。ルアーロックコネクタのなかには、ねじ連結用のユニオンナットを設けたものがある。そのようなルアーロックコネクタは、円錐状に形成されたインナーコーンの外側と同じく円錐状に形成されたアウターコーンの外側との間の接触面で密封を行う。具体的に述べると、アウターコーンは、インナーコーンの周囲に設けられたねじ体に対して、対応する形状を有する突部を介して螺合させることができる。そして、意図せず開いてしまうことがないように、そのようなルアーロックコネクタは、ユニオンナットによってロックすることができる。上記のインナーコーンはオス型ルアーロックフィッティング部材と称されることがあり、上記のアウターコアはメス型ルアーロックフィッティング部材と称されることがある。
【0003】
上記の接続をルアーロックコネクタを用いて形成する場合に問題となるのは、その接続の緊密性が不十分である点、さらには、オス型ルアーロックフィッティング部材の内径が規格により2.5mmという小さい数値に予め定められている点である。このような小さい内径を有することから、ルアーロックコネクタを利用した系では、その系全体を通る流体の流量が、著しく制限されることになる。
【0004】
流体を流す多くの機器にとって、流体の流れに対するこのような制限は、さほど重大でない。というのも、そのような機器で使用される他のチューブの内径のほうが、さらに小さいからである。それでも、流体の流量は、(特に、内部にガスを流す機器の場合に)より多いことが最も望ましい。例えば、トロカール等は内径が極めて大きい。よって、トロカールを使用した系において、古典的なルアーロック式接続を用いると、通常これがボトルネックとなって、その系全体の流量を決定してしまう。
【0005】
特許文献1からは、チューブ(特に、ドレナージチューブ)の気密な接続に用いるクリンプコネクタが知られている。同文献によれば、このドレナージチューブは、ルアーロックフィッティングで接続されるのではなく、ルアーロックフィッティングを用いずにクリンプコネクタ内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】西独国特許出願公開第3503562号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎をなす目的の一つは、流体が流れることが可能なチューブその他の中空体用の接続エレメントであって、従来のルアーロック式接続よりも多くの流体流量を確保することにより、そのような従来のルアーロック式接続に代替可能な、新規の接続エレメントを提供することである。好ましくは、接続の完全な密封を実現することができ、かつ、その接続が意図せずに解除されるのを防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、請求項1の構成を備える接続エレメントおよび請求項13の構成を備える接続構造によって達成される。
【0009】
この接続エレメントは、流体が流れることが可能な2つの中空体同士を接続する役割を果たす。この接続エレメントは、流体が流れることが可能な第1の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第1の接続部材を備える。この目的のために、その第1の接続部材は、例えば、前記中空体に差し込み可能なもの、前記中空体に被せられるもの等とされ得る。これらに加えて、上記の流体密な流動接続のために、チューブクランクなどのロック機構を設けたり、前記接続部材と前記中空体とを接着接合したりすることも可能である。
【0010】
前記接続エレメントは、さらに、前記第1の接続部材の内側領域内に少なくとも部分的に配置される密封要素を備える。好ましくは、この密封要素は、前記接続エレメントの内部において、前記接続エレメントにおける、前記中空体とは反対側に配置される。前記接続エレメントは、さらに、前記第1の接続部材の外側に配置されるロック要素を備える。
【0011】
本発明に係る接続エレメントは、前記ロック要素がロック解除位置からロック位置へと移行可能であり、かつ、前記ロック位置での前記ロック要素が、前記密封要素に対して、当該ロック要素が前記ロック解除位置にあるときよりも前記密封要素の内径が小さくなるように作用する点で特徴付けられる。前記ロック要素が前記密封要素に対して作用することによって引き起こされる、前記密封要素の内径のこのような縮小により、前記第1の接続部材の内側領域内に第2の接続部材が収容されているときに、それら前記第1の接続部材の前記内側領域と前記第2の接続部材の内側領域との間に流体密な接続がもたらされる。すなわち、前記密封要素が前記第2の接続部材を緊密に取り囲むので、前記第1の接続部材の前記内側領域からの流体は、前記第2の接続部材の外側に進むことなく、前記第2の接続部材の前記内側領域内にのみ進入することができる。このようにして確立された接続の流体密性についての説明は、流体が前記第1の接続部材から前記第2の接続部材へと流れる場合だけでなく、これと反対方向に流れる場合にも同様に当てはまる。
【0012】
前記第1の接続部材の前記内側領域および前記第2の接続部材の前記内側領域は、それらを通って流体が流れることが可能なように中空に構成されている。つまり、前記第1の接続部材は前記第1の中空体の延長となるので、対応する第2の接続部材が第2の中空体に備え付けられていれば、前記第1の中空体をその第2の中空体に簡単に接続することができる。したがって、前記接続エレメントと前記第2の接続部材とは、互いに対を成した、互いに接続可能な部品であると言える。
【0013】
新規の前記接続エレメントにより、従来使用されてきた剛体のねじ接続に代えて、可撓体の差し込み接続を実現することができる。前記接続エレメントは、膨縮自在なプラグの如く機能して各種フィッティング部材を汎用的に接続できると同時に、従来から知られている解決技術よりも大幅に大きい内径を実現することができる。各構成要素間の密封は、前記接続エレメント内へと差し込まれるメス型接続部材(すなわち、前記第2の接続部材)の外表面で行われる。そして、この接続は、前記ロック要素によってロックされる。このロック要素は、内側が円錐状に形成されたキャップなどとして構成され得て、例えば、回されることで前記密封要素を押圧するものとされる。
【0014】
前記密封要素の内径の上記のような縮小は、前記ロック要素と前記密封要素との間の直接の接触によっても、前記ロック要素とその密封要素との間の間接的な接触によっても実現可能である。具体的に述べると、一例として、前記ロック要素を前記第1の接続部材に対して作用させることにより、前記第1の接続部材の内径の縮小を引き起こしてから、前記第1の接続部材の内径のこのような縮小によって、前記密封要素の内径の縮小を引き起こすことが考えられる。しかしながら、前記ロック要素によって前記密封要素を直接圧縮することにより、前記密封要素の内径を縮小させるようにすることも可能である。
【0015】
ところで、前記密封要素の内径や前記接続部材の内径は、その全長にわたって必ずしも同じ大きさである必要はない。むしろ、前記接続部材の内径や前記密封要素の内径を、それぞれの長さにわたって変化させる構成も考えられる。その場合の「内径」とは、前記接続部材または前記密封要素における選ばれた位置での内径のことを指す。なお、前記接続部材または前記密封要素における選ばれた箇所での内径が減少しても、前記接続部材または前記密封要素におけるそれ以外の選択され得る箇所での内径には、全く影響が及ばない場合がある点に留意されたい。
【0016】
一実施形態において、前記接続エレメントは、その内側領域内にメス型ルアーロックフィッティング部材を収容するように構成されている。つまり、この実施形態では、本発明にかかる接続エレメントが、オス型ルアーロックフィッティング部材と交替することになる。結果として、メス型ルアーロックフィッティング部材と本発明にかかる接続エレメントとの間には、従来のルアーロックコネクタと完全に異なる形態の密封が実現されることになる。具体的に述べると、従来のルアーロックコネクタの場合の密封は、前述したようにオス型ルアーロックフィッティング部材のコーンの外側とメス型ルアーロックフィッティング部材のコーンの内側との間の接触面で行われる。対照的に、本発明のこの実施形態では、メス型ルアーロックフィッティング部材の外側で密封が実現される(緊密性によって、本発明のこの実施形態では、メス型ルアーロックフィッティング部材の内側領域に形成されているコーンは重要とならない)。つまり、メス型ルアーロックフィッティング部材は、本願において請求される接続エレメント内に挿入されるオス型の部品へと変化するのである。このような各フィッティング間の役割の入れ替えは、当業者にとって全く想定し得ないことであるだけでなく、最終的に、流体が流れることが可能な有効断面積の増大につながる。
【0017】
好ましくは、前記密封要素は、当該密封要素と前記接続部材の内部との間に流体が進入できないように前記接続部材の内部に緊密に接するように構成及び寸法決めされている。一具体例として、前記密封要素は、前記第1の接続部材に接着される。また、前記接続部材の少なくとも一部におけるその内周全体が、前記密封要素によって覆われ得る。すなわち、好ましくは、前記接続部材の一部におけるその内側輪郭が、前記密封要素の一部におけるその外側輪郭に合致する。前記接続部材の前記内側領域が円筒状の断面を有している場合、好ましくは、前記密封要素が、少なくとも一部において中空円筒として形成されている。
【0018】
好ましくは、前記ロック要素は、前記第1の接続部材の少なくとも一部を覆うように構成されている。この構成によれば、外側から簡単に前記ロック要素を届かせることができると共に、これによって当該ロック要素を容易に操作することも可能となる。
【0019】
他の変形例では、前記ロック要素が、前記第1の接続部材の少なくとも一部におけるその外周全体を覆う。例えば、前記ロック要素は、前記接続部材に対して当該接続部材の一部(特には、末端部位であり得る)に嵌め被せられるキャップとして構成される。前記ロック要素が前記接続部材の外周全体を覆うこのような構成によれば、ユーザが前記ロック要素を回したり横に変位させたりすることが容易になるので、当該ロック要素の取扱いが特に簡単になる。
【0020】
前記接続エレメントの他の実施形態において、前記第1の接続部材と前記ロック要素とは、ねじ体によって互いに係合する。このようなねじ体により、当該ねじ体に沿って前記ロック要素が前記接続部材に対して移動することが可能となる。これにより、前記ロック要素を、当該ロック要素のロック解除位置からロック位置へと移行させることが(およびその逆も)可能となる。このようなねじ体は、例えば、前記接続部材の一部に実現される。好ましくは、この一部は、前記ロック要素によって覆われる部位ある。また、前記ロック要素には、前記ねじ体において案内されるピン、爪またはその他の突部が設けられ得る。基本的には、前記ロック要素に前記ねじ体を設けて、前記接続部材に前記ねじ体での案内用の案内ピン、突部または爪を設けるようにすることも可能である。
【0021】
一変形例として、前記ロック要素を、当該ロック要素のロック解除位置からロック位置への移行のみが可能なものとすることも考えられる。この構成によれば、互いに接続される前記中空体間の接続を、一度だけ確立可能なものとすることができる。これ以降は、その接続が恒久的に維持される。このような構成は、一部の用途において有利となり得る。しかしながら、大抵の場合、2つの中空体の可逆的な(又は解除可能な)接続が所望される。よって、前記接続エレメントのさらなる他の実施形態では、前記ロック要素は、さらに、前記ロック位置から前記ロック解除位置へも移行可能であるものとされる。この構成によれば、2つの中空体間で既に確立されている接続を、再び解除することが可能となる。
【0022】
好ましくは、前記ロック要素は、当該ロック要素のロック位置において掛け止めする。これにより、前記ロック要素の、前記ロック位置からそのロック解除位置への移行は、大きな労力をかけた場合にのみ可能となる。この構成によれば、確立された接続が不所望に解除されることを効果的に防止することができる。
【0023】
他の変形例において、前記ロック要素は、そのロック位置において、前記密封要素に、さらに、前記第1の接続部材の前記内側領域内に第2の接続部材が収容されているときには当該第2の接続部材にも、締付力を加える。すなわち、前記接続エレメントと前記第2の接続部材との間の緊密な接続を、前記ロック要素の対応する締付力によって実現することができる。
【0024】
他の変形例において、前記ロック要素の少なくとも一部は、円錐状に構成されている。好ましくは、前記ロック要素の内側における一部が、円錐状に形成されている。この構成によれば、前記ロック要素を前記接続部材に対して相対的に変位させることにより、前記ロック要素と接触する構成要素の最大外径の大きさを変化させることができる。ここでの「構成要素」とは、特に、前記密封要素や前記接続部材のことであり得る。具体的に述べると、前記ロック要素の内側領域を適切な円錐構成とすることにより、前記密封要素の内径を縮小させる締付力を提供することができる。
【0025】
他の実施形態において、前記接続エレメントの正規使用時には、前記ロック要素が前記接続部材に常に連結している。この連結は、例えば、ねじ体および当該ねじ体において案内される突部による連結とされる。この変形例を実現するにあたっては、前記ロック要素と前記接続部材とを別々の構造品として作製してから互いに連結しておき、前記接続エレメントの使用時にその連結を解除できるようにすることが考えられる。この目的のために、前記ロック要素が例えば適切な係止爪等により、前記接続部材における突部を押し越えると共にその後さらに当該接続部材のねじ体において案内されるようにすることで、大きな労力をかけないと当該接続部材から脱離することができないようにする構成が考えられる。この構成により、前記接続エレメントの販売及び使用を促すことができる。
【0026】
他の変形例では、前記密封要素の一部が、前記第1の接続部材の前記内側領域の外部に配置される。好ましくは、前記一部は、前記密封要素の円周全体に沿って延在する、周方向の膨らみのような突部である。このような突部により、前記接続エレメントの規定どおりの使用にあたって前記密封要素が前記接続部材内において配されるべき所定の位置を、極めて簡単に予め定めることが可能となる。というのも、適切な突部により、前記密封要素の、前記接続部材内への最大挿入深さを定めることができるからである。これは、そのような突部が前記密封要素の外側に向かって延出する場合に特にそうである。また、そのような突部が前記密封要素の内側に向かって延出する場合には、前記密封要素内へと差し込まれた(すなわち、前記接続部材内へも差し込まれた)第2の接続部材を、そのような対応する突部の裏に掛け止めさせることができるという利点が生じる。
【0027】
一具体例として、前記密封要素の、前記第1の接続部材内への最大挿入深さは、前記第1の接続部材の対応する形態によって定めることもできる。好ましくは、前記第1の接続部材は、前記密封要素が前記第1の接続部材の前記内側領域内において当接することのできるレッジ形成するように構成されている。このレッジは、前記密封要素が配置された領域と前記密封要素が配置されていない領域との間で前記第1の接続部材の内径を本質的に異ならせない深さを有する。この構成によれば、本質的に乱流が全く発生しないので、流体が前記第1の接続部材を通って特に有利に流れることが可能となる。
【0028】
他の変形例では、前記密封要素の、前記第1の接続部材の前記内側領域の外部に配置される一部が、前記ロック要素がそのロック位置にあるときに当該ロック要素によって直接接触される。すなわち、ロック位置での前記ロック要素は、前記密封要素の、前記第1の接続部材の前記内側領域内に完全には収容されていない一部を直接加圧する。この結果として、前記密封要素の直径の減少が引き起こされ、前記第2の接続部材が前記第1の接続部材の前記内側領域内に差し込まれている場合には、そのような前記第2の接続部材との緊密な連結がもたらされる。
【0029】
他の変形例において、前記密封要素の、前記第1の接続部材の前記内側領域の外部に配置される前記一部は、第2の接続部材が前記第1の接続部材の前記内側領域内に収容されているときには当該第2の接続部材における突部を、アンダーカットによって包囲するように構成されている。この構成は、前記密封要素がその内側に、前記第2の接続部材の対応する突部を後ろから保持することのできる円周状の膨出部のような突部を有している場合に特に実施可能である。この構成によれば、ロック位置での前記ロック要素によって前記密封要素に加えられる締付力により、前記第1の接続部材と前記第2の接続部材との間の緊密な連結を確実にできると同時に、前記接続エレメント内の前記第2の接続部材を、前記ロック要素をそのロック解除位置へと移行させない限り解除することのできない確実な着座状態とすることができる。
【0030】
既述したように、前記第1の接続部材の内径は、当該第1の接続部材の全長にわたって必ずしも一定である必要はない。好ましくは、前記第1の接続部材の最小内径は、約3mm〜約15mmであり、特には約4mm〜約14mm、より特には約5mm〜約13mm、より特には約6mm〜約12mm、より特には約7mm〜約11mm、なおいっそう特には約8mm〜約10mmである。この構成によれば、従来のルアーロックフィッティングよりも多くの流体流量を確保できる。なぜなら、オス型ルアーロックフィッティング部材の内径は2.5mmしかないからである。ルアーロックフィッティングには既存の規格が存在することから、このようなコネクタの内径を拡げる動機は、これまで当業者に存在し得なかった。
【0031】
好ましくは、前記第1の接続部材の前記最小内径は、前記接続エレメントと第2の接続部材との間に適切な接続が確立されているときの、前記第1の接続部材における流体が流れる部位において決まる。また、密封要素によって減少させられた後の前記第1の接続部材の内径も、前記第1の接続部材の最小内径とみなすことができる。というのも、この場合の内径も、前記第1の接続部材の流動特性(又は流体流特性)にとって同じく重要となるからである。ただし、前記第1の接続部材の内径について述べる際には、前記密封要素における、前記第1の接続部材の外部に位置する部位の内径、および/または、前記密封要素における、前記接続エレメントと第2の接続部材との間に接続が確立されているときに流体が流れる領域よりも外側に位置する部位の内径を考慮しないものとする。
【0032】
本発明の基礎をなす前述の目的は、請求項13の構成を備える接続構造によっても達成される。この接続構造は、前述の接続エレメントを備える。これに加えて、さらに、前記接続エレメントにおける第1の接続部材の内側領域内に収容されて、流体が流れることが可能な第2の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第2の接続部材が設けられる。このような接続構造により、前記接続エレメントのうちの前記第1の接続部材に連結される第1の中空体と前記第2の接続部材に連結される前記第2の中空体との間に、流体密な接続を実現することが可能となる。前記接続エレメントのうちの、前記ロック要素の特定の形態および前記接続部材の特定の形態しだいで、それら第1の中空体と第2の中空体との間の接続を、解除不能な接続とも解除可能な接続ともすることが可能である。
【0033】
他の実施形態では、前記第2の接続部材が、メス型ルアーロックフィッティング部材である。これにより、従来のルアーロックコネクタに改変を施した新規の接続構造であって、流体流量を従来のルアーロックコネクタよりも大幅に増大させることが可能な、新規の接続構造を提供することができる。
【0034】
前記接続エレメントの好適な実施形態は、前記接続構造にも同様に適用可能であり、また、その逆も然りである。
【0035】
以下では、本発明のさらなる詳細を、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】例示的な一実施形態に係る接続エレメントの分解図である。
図2図1の接続エレメントの側面図である。
図3A】キャップがロック解除位置にあるときの、図1の接続エレメントの部分断面図である。
図3B】キャップがロック位置にあるときの、図1の接続エレメントの部分断面図である。
図4】例示的な一実施形態に係る接続構造の部分断面図である。
図5図4の接続構造の側面図である。
図6】例示的な一実施形態に係る接続エレメントを装備した系での、生成流量に応じての、計測流量を示すグラフである。
図7】例示的な一実施形態に係る接続エレメントを装備した系での、生成流量に応じての、計測流量を示す他のグラフである。
図8】例示的な一実施形態に係る接続エレメントを装備した系での、生成流量に応じての、計測動圧を示すグラフである。
図9】例示的な一実施形態に係る接続エレメントを装備した系での、生成流量に応じての、動圧を流量で割った値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、接続エレメントとしてのアダプタ1の分解図である。アダプタ1は、第1の接続部材としてのアダプタ部材2、密封要素としてのシール3、およびロック要素としてのキャップ4で構成される。アダプタ部材2は、流体(又はガス)が流れることが可能なチューブ(又はその他の任意の中空体)と連結されるように構成されている。この目的のために、アダプタ部材2は、対応するチューブ内へと差し込まれるか、対応するチューブ上に被せられるか、あるいは、対応するチューブ上に引き被せられる。アダプタ部材2の、そのようなチューブとの適切な接続は、そのアダプタ部材2における第1の端部5で行われる。
【0038】
アダプタ1が規定どおりに使用されると、シール3は、その大部分がアダプタ部材2の内側領域内に収容される。
【0039】
アダプタ部材2は、前記第1の端部5とは反対側に位置する第2の端部6において、ねじ体7を有している。このねじ体は、当該ねじ体7に沿ってキャップ4が移動可能なように構成されている。この目的のために、キャップ4には、ねじ体7と係合する係止爪8が備え付けられている。係止爪8は、キャップ4がアダプタ部材2に対して回されたときに、前記ねじ体7によって案内可能である。アダプタ部材2は、さらに、前記ねじ体7の終端9に突部を有しており、キャップ4をこのアダプタ部材2に着設するには前記係止爪8をその突部に押し付ける必要がある。この突部は、それと同時に、キャップ4がアダプタ部材2から不用意に脱離できないようにする役割も果たす。したがって、この構成によれば、アダプタ部材2を、これに挿入されたシール3とこれに設置されたキャップ4とのユニットとして販売することが可能となる。
【0040】
そのような形態が、アダプタ1の組立後の状態を表す図2に示されている。図2からは、キャップ4がアダプタ部材2の一部を覆っている様子、具体的には、アダプタ部材2の一部における外周全体に沿って覆っている様子が見て取れる。図2からは、さらに、シール3がアダプタ部材2の内側領域内に収容されている様子が見て取れる。というのも、キャップ4に形成された開口10から見えるのは、シール3の上縁領域のみだからである。キャップ4の開口10は、別の接続部材がその開口10を通ってアダプタ部材2の内側領域内へと問題なく挿入可能であるように寸法決めされている。
【0041】
図3Aは、図1及び図2に示されているアダプタ要素1の、部分断面図である。図3Aでのキャップ4は、シール3に対して力を加えない緩んだ状態でアダプタ部材2に着座するロック解除位置にある。これにより、シール3の第1の直径Dが、円周状の膨出部11の内表面間に形成される。この円周状の膨出部11は、シール3における、キャップ4の前記開口10側に面する端部に設けられている。この円周状の膨出部11は、その円周状の膨出部11が形成されていない領域におけるシール3の内径と比べて、シール3の内径を小さくさせている。
【0042】
シール3は、アダプタ部材2の内側領域内でレッジ17に当接する。レッジ17は、シール3の、アダプタ部材2内への最大挿入深さを予め定めるものである。それと同時に、このレッジは、アダプタ部材2におけるシール3が配置されている部位とシールが配置されていない部位とのいずれに注目してもアダプタ部材2の内側領域における内径の大きさが本質的に変わらないようにする深さで構成されている。
【0043】
図3Bに、キャップ4が前記ロック解除位置からロック位置へと移行した後の、アダプタ要素1を示す。この移行は、矢印Zで表された方向に回すことによって生じる。具体的に述べると、このような回し動作により、キャップ4が、矢印Xの方向へと横に変位する。より具体的に述べると、アダプタ部材2の前記ねじ体7においてキャップ4を回すことにより、このキャップ4が、アダプタ部材2に沿って横に変位する。そして、このような横の変位により、キャップ4における円錐状に形成された領域12が、シール3の前記膨出部11に接触して、その対応する円錐形態によってこの膨出部11を押圧する。これにより、キャップ4の前記ロック解除位置でのシール3の前記膨出部11の領域に形成される前記直径Dが、この直径Dよりも小さい内径dへと縮小する。
【0044】
このように、キャップ4は、シール3の前記膨出部11に対して締付力をもって作用することから、シール3の前記膨出部11によって収納されている物体についても、同じく締め付けることができる。このようにして、アダプタ部材2の内側領域内に存在する物体をロックすると同時に、そのような物体をシール3で密封することができる。
【0045】
図4は、第2の接続部材としての第2のアダプタ部材13を第1のアダプタ部材2内に収容した、接続構造の部分断面図である。第2のアダプタ部材13は、第1のアダプタ部材2とは反対側に位置する端部14において、流体(又はガス)が流れることが可能なチューブ(又はその他の任意の中空体)と連結されるように構成されている。対応するチューブが第2のアダプタ部材13の第1の端部14に接続されており、かつ、対応するチューブが第1のアダプタ部材2の前記第1の端部5にも接続されているとき、前記アダプタ1および第2のアダプタ部材13で構成されるこの接続構造により、それら2つのチューブ同士を接続することができる。
【0046】
アダプタ1において、第1のアダプタ部材2の内側領域内に第2のアダプタ部材13が確実に収容される。この目的のために、第1のアダプタ部材2の内側領域内へと第2のアダプタ部材13の第2の端部15を挿入する際に、図4の例示的な実施形態において、この第2のアダプタ部材13の第2の端部15は、円周状に延びる突部16を有するものとされる。円周状の突部16は、第1のアダプタ部材2の内側領域内の規定どおりの位置に第2のアダプタ部材13が配置されたときに、シール3の前記膨出部11によるアンダーカットによって包囲される。ここで、キャップ4を前記ねじ体7に沿って回すことにより、そのキャップ4を第1のアダプタ部材2に対して横に変位させることができる。これにより、キャップ4は、その円錐状の前記領域12によってシール3の前記膨出部11を、第2のアダプタ部材13の前記第2の端部15に対して締め付ける。このようにして、キャップ4は、第1のアダプタ部材2の内側領域内の第2のアダプタ部材13を流体密にロックする。
【0047】
アダプタ1と第2のアダプタ部材13との連結を再び解除するには、キャップ4を前記ねじ体7において逆方向に移動させることにより、そのキャップ4の円錐状の部位12とシール3の前記膨出部11との間の締付力を初めに低下させ、最終的に消失させる。その後、第2のアダプタ部材13を、第1のアダプタ部材2の内側領域から再び外れた状態にすることができる。
【0048】
一具体例として、第2のアダプタ部材13は、メス型ルアーロックフィッティング部材である。従来技術によれば、メス型ルアーロックフィッティング部材を用いたチューブ接続は、そのメス型ルアーロックフィッティング部材内にオス型ルアーロックフィッティング部材を差し込むことによって行われる。そして、この接続は、ねじ山によってロックされる。さらに、この場合の密封は、メス型ルアーロックフィッティング部材の内側領域内の、オス型ルアーロックフィッティング部材との接触面で行われる。これに対し、本発明にかかる解決手段は、対応するメス型ルアーロックフィッティング部材の外側で、シール3の前記膨出部11を用いて密封を行うという、全く異なる密封様式を提供する。これにより、第2の接続部材13および第1の接続部材2を通って流体が流れることが可能な断面積を、古典的なルアーロックフィッティングの場合よりも遥かに増大させることが可能となる。
【0049】
図5は、図4の接続構造を、断面視ではなく側面視で示した図である。説明が不必要に長くならないように、図5の仕様については、その他の図面に関する説明を参照されたい。
【0050】
以下では、前記接続エレメントの有利な流体流量特性について、図6図9を参照しながら、例的な試験セットアップを用いて詳細に説明する。可変強度のガス流を、F114タイプの送気装置を用いて生成し、PVC製チューブ(長さ=3m)を通して供給した。そして、HRH80タイプの計測装置に繋げられた例示的な一実施形態の接続エレメントを、そのチューブの終端に取り付けた。この計測装置は、その接続エレメントの出口で生じる流体流量を決定することができる。この計測装置は、さらに、圧力を決定することもできる。この目的のために、その接続エレメントの前方にTピースを設置し、前記計測装置の圧力プローブとそのTピースとの間に適切な接続を確立することにより、当該接続エレメントの前方で発生する動圧を検出できるようにした。
【0051】
図6図9に、この試験セットアップを用いて得られる計測結果を示す。図6は、試験系からの計測流量を比較したものである。具体的に述べると、実線曲線は、本発明にかかる例示的な一実施形態の接続エレメントに関するものであり、破線曲線は、従来技術から知られている標準的なオス型ルアーロックフィッティング部材に関するもの(参照計測)である。
【0052】
図6から見て取れるように、新規の接続エレメントでの計測流量は、生成流量が約43L/分になるまでこの生成流量に比例して増加し続ける。そこでようやく系の能力に達することで初めて、計測流量が大幅に減少する。その一方で、従来技術から知られている系では、約23L/分の時点で既に、その系の最大能力に達する。その系を通して供給されるガスの生成流量をそれ以上増やしても、計測される流量の増加には繋がらない。オス型ルアーロックフィッティング部材の小さい直径では、約25L/分を超える流体流量を実現することができない。
【0053】
図7は、図6の計測値を相対的に表現したものである。具体的に述べると、計測流量が、生成流量に対する百分率としてプロットされている。図7でも、実線曲線は、前述の例示的な一実施形態における新規の接続エレメントに関するものであり、参照計測としての破線曲線は、従来技術から知られているオス型ルアーロックフィッティング部材に関するものである。図7からは、新規の接続エレメントでは、生成流量が約43L/分になるまで、この生成流量にほぼ合致する流量を計測できることが明らかである。生成流量が少ないときに見受けられる上方への逸脱は、系の計測不確かさに起因するものである。さらに、図7からは、従来のルアーロックフィッティングでは、生成流量が約23L/分の時点で既に流体流量が100%目盛りを切り、流量をさらに増やすと計測流量が100%を大きく下回り、約45L/分の流量の時点ではほぼ半分の50%を僅かに上回る程度にしかならないことが見て取れる。
【0054】
図8は、それぞれの場合に用いられるアダプタの前方で計測される動圧を、生成流量に対してプロットしたものである。図8でも、実線曲線は、本発明にかかる前述の例示的な一実施形態の接続エレメントの場合の計測値を表し、破線曲線は、従来技術から知られているオス型ルアーロックフィッティング部材を用いた場合に検出された計測値を表すものである。図8のグラフからは、従来技術から知られている系の場合の動圧が、生成流量が少ない時点で既に大きく上昇することが明らかである。これとは対照的に、新規の接続エレメントでは、流量が約43L/分になるまで、動圧が軽く上昇するのみである。そこでようやく系の能力の限界に達することで、計測動圧が降下する。
【0055】
図9は、生成流量に対する流動抵抗(すなわち、動圧を流量で割った値)を、グラフで表したものである。図9でも、従来技術から知られているオス型ルアーロックフィッティングに関する計測値については破線曲線で表し、本発明にかかる前述の例示的な一実施形態に関する計測値については実線曲線で表している。新規の接続エレメントでは、生成流量が約44L/分になるまで、流動抵抗が極めて穏やかに線形増加する。これとは対照的に、従来技術から知られている系では、流量が約22L/分になるまで急峻な増加が見受けられ、その後の曲線は直線プラトーのような軌跡を取る。全体的に見ると、新規の系の流動抵抗は、従来技術から知られている系の流動抵抗よりも著しく小さい。したがって、本発明にかかる接続エレメントは、チューブ(又はその他の任意の中空体)をチューブ(又はその他の任意の中空体)に流体密に接続するのにきわめて適しているだけでなく、それと同時に、動圧を低く抑えつつ極めて大量の流体の流れを可能にすることができる。さらに、本発明にかかる接続エレメントは、取り扱い易く、かつ、射出成型品として作製することが可能である。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
流体が流れることが可能な2つの中空体同士を接続する接続エレメントであって、
流体が流れることが可能な第1の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第1の接続部材(2)と、
前記第1の接続部材(2)の内側領域内に少なくとも部分的に配置される密封要素(3)と、
前記第1の接続部材の外側に配置されるロック要素(4)と、
を備え、
前記ロック要素(4)が、ロック解除位置からロック位置へと移行可能であり、
前記ロック位置での前記ロック要素(4)は、前記密封要素(3)に対して、当該ロック要素(4)が前記ロック解除位置にあるときよりも前記密封要素(3)の内径(d)が小さくなるように作用することにより、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域内に第2の接続部材(13)が収容されているときに、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域と前記第2の接続部材(13)の内側領域との間に流体密な接続をもたらす、接続エレメントにおいて、
当該接続エレメント(1)がその内側領域内にメス型ルアーロックフィッティング部材を収容可能に構成されていることにより、前記ロック位置において、メス型ルアーロックフィッティング部材が前記第1の接続部材(2)の前記内側領域内に収容されている状態で、前記メス型ルアーロックフィッティング部材の外側が密封されることを特徴とする、接続エレメント。
[態様2]
態様1に記載の接続エレメントにおいて、前記ロック要素(4)が、前記第1の接続部材(2)の少なくとも一部を覆うことを特徴とする、接続エレメント。
[態様3]
態様1または2に記載の接続エレメントにおいて、前記ロック要素(4)が、前記第1の接続部材(2)の少なくとも一部におけるその外周を全周に渡って覆うことを特徴とする、接続エレメント。
[態様4]
態様1から3のいずれか一項に記載の接続エレメントにおいて、前記第1の接続部材(2)と前記ロック要素(4)とが、ねじ体(7)によって互いに係合し、前記ねじ体(7)に沿った前記ロック要素(4)の移動が、当該ロック要素(4)の、前記ロック解除位置から前記ロック位置への移行を生じさせることを特徴とする、接続エレメント。
[態様5]
態様1から4のいずれか一項に記載の接続エレメントにおいて、前記ロック要素(4)が、さらに、前記ロック位置から前記ロック解除位置へも移行可能であることを特徴とする、接続エレメント。
[態様6]
態様1から5のいずれか一項に記載の接続エレメントにおいて、前記ロック要素(4)が、そのロック位置において、前記密封要素(3)と前記第1の接続部材(2)の前記内側領域内に収容された第2の接続部材(13)とに締付力を加えることを特徴とする、接続エレメント。
[態様7]
態様1から6のいずれか一項に記載の接続エレメントにおいて、前記ロック要素(4)の少なくとも一部が、円錐状に形成された形態(12)を有していることを特徴とする、接続エレメント。
[態様8]
態様1から7のいずれか一項に記載の接続エレメントにおいて、当該接続エレメント(1)の通常使用時において、前記ロック要素(4)が、前記第1の接続部材(2)に常に連結しており、且つ前記第1の接続部材(2)からの意図しない脱離が不可能であることを特徴とする、接続エレメント。
[態様9]
態様1から8のいずれか一項に記載の接続エレメントにおいて、前記密封要素(3)の一部分(11)が、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域の外部に配置されていることを特徴とする、接続エレメント。
[態様10]
態様9に記載の接続エレメントにおいて、前記密封要素の、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域の外部に配置された前記一部分(11)に対して、前記ロック要素(4)が前記ロック位置において直接接触することを特徴とする、接続エレメント。
[態様11]
態様9または10に記載の接続エレメントにおいて、前記密封要素(3)の、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域の外部に配置された前記一部分(11)が、前記第1の接続部材(2)の前記内側領域内に収容された第2の接続部材(13)における突部(16)を、アンダーカットによって包囲するように構成されていることを特徴とする、接続エレメント。
[態様12]
態様1から11のいずれか一項に記載の接続エレメントにおいて、前記第1の接続部材(2)の最小内径が、3mm〜15mmであることを特徴とする、接続エレメント。
[態様13]
態様1から12のいずれか一項に記載の接続エレメント(1)と、
前記接続エレメント(1)における第1の接続部材(2)の内側領域内に収容されて、流体が流れることが可能な第2の中空体との、流体密な流動接続を形成することが可能な第2の接続部材(13)と、
を備える接続構造において、
前記第2の接続部材(13)が、メス型ルアーロックフィッティング部材であることを特徴とする、接続構造。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9