特許第6526024号(P6526024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6526024標準的なデジタルセルを使用する差動バンバン位相検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526024
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】標準的なデジタルセルを使用する差動バンバン位相検出器
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/085 20060101AFI20190527BHJP
   H03L 7/081 20060101ALI20190527BHJP
   H03K 5/14 20140101ALI20190527BHJP
   H03K 5/26 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   H03L7/085
   H03L7/081 120
   H03K5/14
   H03K5/26 P
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-548263(P2016-548263)
(86)(22)【出願日】2015年1月5日
(65)【公表番号】特表2017-509217(P2017-509217A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2015010086
(87)【国際公開番号】WO2015112321
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】61/932,088
(32)【優先日】2014年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/268,120
(32)【優先日】2014年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジア−イ
【審査官】 鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−164831(JP,A)
【文献】 特開2009−159038(JP,A)
【文献】 特開平11−110065(JP,A)
【文献】 特開平07−106958(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0086002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L 7/085
H03K 5/14
H03K 5/26
H03L 7/081
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相検出回路であって、
基準信号のための第1の入力と、
前記基準信号と比較される入力信号のための第2の入力と、
セット入力、リセット入力、第1の出力、および第2の出力を有するセット−リセット(S−R)ラッチと、
論理入力、クロック入力、リセット入力、および論理出力を有する遅延(D)フリップフロップと、ここにおいて、前記Dフリップフロップの前記論理入力は、論理高レベルに保持される、
を備え、ここにおいて、前記入力信号が前記基準信号より先行しているか遅れているかを前記Dフリップフロップの前記論理出力が示すように、前記第1の入力は、前記S−Rラッチの前記リセット入力と接続され、前記第2の入力は、前記S−Rラッチの前記セット入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第1の出力は、前記Dフリップフロップの前記クロック入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第2の出力は、前記Dフリップフロップの前記リセット入力と接続される、位相検出回路。
【請求項2】
前記S−Rラッチの前記第1の出力と前記Dフリップフロップの前記クロック入力との間に接続された第1のインバータをさらに備える、請求項1に記載の位相検出回路。
【請求項3】
前記S−Rラッチの前記第2の出力と前記Dフリップフロップの前記リセット入力との間に接続された第2のインバータをさらに備える、請求項に記載の位相検出回路。
【請求項4】
前記第1の入力と前記S−Rラッチの前記リセット入力との間に接続された第1の論理ANDゲートをさらに備える、請求項1に記載の位相検出回路。
【請求項5】
前記第2の入力と前記S−Rラッチの前記セット入力との間に接続された第2の論理ANDゲートをさらに備える、請求項に記載の位相検出回路。
【請求項6】
イネーブル入力をさらに備え、前記イネーブル入力は、前記第1の論理ANDゲートにおいて前記第1の入力と論理的にAND演算され、前記第2の論理ANDゲートにおいて前記第2の入力と論理的にAND演算される、請求項に記載の位相検出回路。
【請求項7】
前記S−Rラッチは、前記位相検出回路が完全差動であるように、前記第1の入力および第2の入力と接続される、請求項1に記載の位相検出回路。
【請求項8】
前記S−Rラッチは、前記基準信号および前記入力信号の立ち上がりエッジに応答するように構成される、請求項1に記載の位相検出回路。
【請求項9】
前記S−Rラッチは、2つの相互結合された論理NANDゲートを備える、請求項1に記載の位相検出回路。
【請求項10】
遅延ロックループ(DLL)であって、
基準信号のための入力と、
前記基準信号に対して遅延した信号のための出力と、
前記遅延した信号を生成するための1つまたは複数の遅延ゲートを備えた遅延チェーンと、ここにおいて、前記遅延ゲートのうちの最後のゲートは、前記DLLの前記出力と接続される、
前記DLLの前記出力と接続され、また前記遅延した信号に基づいて選択信号を出力するように構成された選択論理と、
前記遅延チェーンにおける前記遅延ゲートのうちの第1のゲートに出力するための前記基準信号か前記遅延した信号かを選択するように前記選択信号によって制御されるマルチプレクサと、
前記遅延した信号を前記基準信号と比較するための請求項1に記載の前記位相検出回路と
を備え、ここにおいて、前記第1の入力は、前記DLLの前記入力に接続され、前記第2の入力は、前記DLLの前記出力に接続される、DLL。
【請求項11】
前記DLLは、前記DLLの前記出力における前記遅延した信号が、乗率で乗算された前記基準信号の周波数に等しい周波数を有するように構成された乗算DLL(MDLL)である、請求項10に記載のDLL。
【請求項12】
前記選択論理は、前記遅延した信号の各立ち下がりエッジで1だけ値を増分するカウンタを備え、前記選択論理は、前記カウンタの前記値が前記乗率に等しくなった後に論理高レベルで前記選択信号を出力し、前記遅延した信号の次の立ち上がりエッジで、前記カウンタの前記値は0にリセットされ、前記選択論理は、論理低レベルで前記選択信号を出力する、請求項11に記載のDLL。
【請求項13】
ワイヤレス通信のための装置であって、
少なくとも1つのアンテナと、
前記少なくとも1つのアンテナを介して信号を受信するための受信機または信号を送信するための送信機のうちの少なくとも1つと
を備え、ここにおいて、前記受信機または前記送信機のうちの少なくとも1つは、請求項10に記載の前記DLLを備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
[0001] 本出願は、2014年1月27日出願の米国仮特許出願第61/932,088号、および2014年5月2日出願の米国特許出願第14/268,120号の利益を主張するものであり、その両方が全体において参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示のある特定の態様は、概して、無線周波数(RF)電子回路に関し、より具体的には、完全差動位相検出器(fully differential phase detectors)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] ワイヤレス通信ネットワークは、電話、ビデオ、データ、メッセージング、ブロードキャスト、等のような、様々な通信サービスを提供するために広く展開されている。通常は多元接続ネットワークである、このようなネットワークは、利用可能なネットワークリソースを共有することによって複数のユーザのための通信をサポートする。例えば、1つのネットワークは、3G(第3世代のモバイル電話標準規格および技術)システムであり得、これは、EVDO(エボリューションデータ最適化)、1xRTT(1x無線伝送技術または単に1x)、W−CDMA(登録商標)(広帯域符号分割多元接続)、UMTS−TDD(ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーションズ・システム−時分割複信)、HSPA(高速パケットアクセス)、GPRS(汎用パケット無線サービス)、またはEDGE(グローバルエボリューションのためのエンハンスド・データレート)を含む、様々な3G無線アクセス技術(RAT)のうちのいずれか1つを介してネットワークサービスを提供することができる。3Gネットワークは、音声呼び出しに加えて、高速インターネットアクセスおよびビデオ電話を組み込むように進化した広域セルラ電話ネットワークである。さらに、3Gネットワークは、より確立したものであり(more established)、他のネットワークシステムよりも大きいカバレッジエリアを提供することができる。このような多元接続ネットワークは、また、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、単一キャリアFDMA(SC−FDMA)ネットワーク、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))ロングターム・エボリューション(LTE(登録商標))ネットワーク、およびロングターム・エボリューション・アドバンスド(LTE−A)ネットワークを含み得る。
【0004】
[0004] ワイヤレス通信ネットワークは、多くのモバイル局のための通信をサポートすることができる多くの基地局を含み得る。モバイル局(MS)は、ダウンリンクおよびアップリンクを介して基地局(BS)と通信し得る。ダウンリンク(または、順方向リンク)は、基地局からモバイル局への通信リンクを指し、アップリンク(または、逆方向リンク)は、モバイル局から基地局への通信リンクを指す。基地局は、ダウンリンク上でモバイル局にデータおよび制御情報を送信し得、および/または、モバイル局からアップリンク上でデータおよび制御情報を受信し得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示のある特定の態様は、概して、完全差動位相検出器に関し、これは、標準的なデジタルセル(standard digital cells)を使用してインプリメントされ得る。差動位相検出器は、様々な目的で様々な通信デバイスにおいて使用され得る。これの1つの例は、基準信号の周波数の整数の倍数(an integer multiple)である周波数を有する出力信号を生成するために使用される乗算遅延ロックループ(MDLL:multiplying delay-locked loop)にある。
【0006】
[0006] 本開示のある特定の態様は、位相検出回路を提供する。位相検出回路は、概して、基準信号のための第1の入力と、基準信号と比較される入力信号のための第2の入力と、セット入力、リセット入力、第1の出力、および第2の出力を有するセット−リセット(S−R)ラッチ(a set-reset (S-R) latch)と、論理入力、クロック入力、リセット入力、および論理入力を有する遅延(D)フリップフロップ(a delay (D) flip-flop)と、を含み、ここにおいて、入力信号が基準信号より先行しているか、遅れている(leading or lagging the reference signal)か、をDフリップフロップの論理出力が示すように、第1の入力は、S−Rラッチのリセット入力と接続され、第2の入力は、S−Rラッチのセット入力と接続され、S−Rラッチの第1の出力は、Dフリップフロップのクロック入力と接続され、S−Rラッチの第2の出力は、Dフリップフロップのリセット入力と接続される。
【0007】
[0007] ある特定の態様によって、Dフリップフロップの論理入力は、論理高レベル(a logic high level)に保持される。
【0008】
[0008] ある特定の態様によって、第1のインバータは、S−Rラッチの第1の出力とDフリップフロップのクロック入力との間に接続され得る。ある特定の態様では、第2のインバータも、S−Rラッチの第2の出力とDフリップフロップのリセット入力との間に接続され得る。
【0009】
[0009] ある特定の態様によると、第1の論理ANDゲートは、第1の入力とS−Rラッチのリセット入力との間に接続され得る。ある特定の態様では、第2の論理ANDゲートは、第2の入力とS−Rラッチのセット入力との間に接続され得る。いくつかの態様において、位相検出回路は、イネーブル入力(an enabling input)を含み得、これは、第1の論理ANDゲートにおいて第1の入力と論理的にAND演算され(logically ANDed)、第2の論理ANDゲートにおいて第2の入力と論理的にAND演算され得る。
【0010】
[0010] ある特定の態様によると、S−Rラッチは、位相検出回路が完全差動である(fully differential)ように、第1および第2の入力と接続される。
【0011】
[0011] ある特定の態様によると、S−Rラッチは、基準信号および入力信号の立ち上がりエッジ(rising edges)に応答するように構成される。
【0012】
[0012] ある特定の態様によると、S−Rラッチは、2つの相互結合された論理NANDゲート(two cross-coupled logical NAND gates)を含む。
【0013】
[0013] 本開示のある特定の態様は、遅延ロックループ(DLL)を提供する。DLLは、概して、基準信号のための入力と、基準信号に対して遅延した信号のための出力と、遅延した信号を生成するための1つまたは複数の遅延ゲートを備えた遅延チェーン(delay chain)であって、遅延ゲートのうちの最後のゲートがDLLの出力と接続される、遅延チェーンと、DLLの出力と接続され、また遅延した信号に基づいて選択信号を出力するように構成された選択論理(selection logic)と、遅延チェーンにおける遅延ゲートのうちの第1のゲートに出力するために基準信号か遅延した信号かを選択するように選択信号によって制御されたマルチプレクサと、遅延した信号を基準信号と比較するための位相検出回路と、を含む。位相検出回路は、概して、セット入力、リセット入力、第1の出力、および第2の出力を有するS−Rラッチと、論理入力、クロック入力、リセット入力、および論理出力を有するDフリップフロップと、を含み、ここにおいて、遅延した信号が基準信号より先行しているか遅れているかをDフリップフロップの論理出力が示すように、DLLの入力は、S−Rラッチのリセット入力と接続され、DLLの出力は、S−Rラッチのセット入力と接続され、S−Rラッチの第1の出力は、Dフリップフロップのクロック入力と接続され、S−Rラッチの第2の出力は、Dフリップフロップのリセット入力と接続される。
【0014】
[0014] ある特定の態様によると、DLLは、DLLの出力における遅延した信号が、乗率(multiplying factor)で乗算された基準信号の周波数に等しい周波数を有するように構成された乗算DLL(MDLL:a multiplying DLL)である。ある特定の態様では、選択論理は、遅延した信号の各立ち下がりエッジ(falling edge)で1だけ値を増分する(increments a value by one with each falling edge of the delayed signal)カウンタを備え、選択論理は、カウンタの値が乗率に等しくなった後に論理高レベルで選択信号を出力する(outputs the selection signal with a logic high level)。遅延した信号の次の立ち上がりエッジで、カウンタの値は0にリセットされ、選択論理は、論理低レベルで選択信号を出力する(outputs the selection signal with a logic low level)。
【0015】
[0015] ある特定の態様によって、Dフリップフロップの論理入力は、論理高レベルに保持される。
【0016】
[0016] ある特定の態様によると、DLLは、さらに、S−Rラッチの第1の出力とDフリップフロップのクロック入力との間に接続された第1のインバータと、S−Rラッチの第2の出力とDフリップフロップのリセット入力との間に接続された第2のインバータとを含む。
【0017】
[0017] ある特定の態様によると、DLLは、さらに、DLLの入力とS−Rラッチのリセット入力との間に接続された第1の論理ANDゲートと、DLLの出力とS−Rラッチのセット入力との間に接続された第2の論理ANDゲートとを含む。このケースにおいて、選択信号は、第1の論理ANDゲートにおいてDLLの入力と論理的にAND演算され得、また、第2の論理ANDゲートにおいてDLLの出力と論理的にAND演算もされ得る。
【0018】
[0018] ある特定の態様によると、S−Rラッチは、位相検出回路が完全差動であるように、DLLの入力およびDLLの出力と接続される。
【0019】
[0019] ある特定の態様によると、S−Rラッチは、基準信号および遅延した信号の立ち上がりエッジに応答するように構成される。
【0020】
[0020] 本開示のある特定の態様は、ワイヤレス通信のための装置を提供する。装置は、概して、少なくとも1つのアンテナと、少なくとも1つのアンテナを介して信号を受信するための受信機または信号を送信するための送信機のうちの少なくとも1つと、を含み、ここにおいて、受信機または送信機のうちの少なくとも1つは、遅延ロックループ(DLL)を備える。DLLは、通常、基準信号のための入力と、基準信号に対して遅延した信号のための出力と、遅延した信号を生成するための1つまたは複数の遅延ゲートを備えた遅延チェーンであって、遅延ゲートのうちの最後のゲートがDLLの出力と接続される、遅延チェーンと、DLLの出力と接続され、また遅延した信号に基づいて選択信号を出力するように構成された選択論理と、遅延チェーンにおける遅延ゲートの第1のゲートに出力するための基準信号か遅延した信号かを選択するように選択信号によって制御されるマルチプレクサと、遅延した信号を基準信号と比較するための位相検出回路と、を含む。位相検出回路は、概して、セット入力、リセット入力、第1の出力、および第2の出力を有するS−Rラッチと、論理入力、クロック入力、リセット入力、および論理出力を有するDフリップフロップと、を含み、ここにおいて、遅延した信号が基準信号より先行しているか遅れているかをDフリップフロップの論理出力が示すように、DLLの入力は、S−Rラッチのリセット入力と接続され、DLLの出力は、S−Rラッチのセット入力と接続され、S−Rラッチの第1の出力は、Dフリップフロップのクロック入力と接続され、S−Rラッチの第2の出力は、Dフリップフロップのリセット入力と接続される。
【0021】
[0021] 本開示の上記の特徴が詳細に理解されることができるように、上では簡潔にまとめられているが、より具体的な説明が、態様への参照によって行われることができ、そのうちのいくつかは添付の図面に例示されている。しかしながら、添付の図面は本開示のある特定の典型的な態様のみを例示するものであり、したがって、その説明が他の同等に効果的な態様を認め得るので、その範囲を限定するものと考慮されるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】[0022] 本開示のある特定の態様にしたがった、例示的なワイヤレス通信ネットワークを例示する図。
図2】[0023] 本開示のある特定の態様にしたがった、例示的なアクセスポイント(AP)およびユーザ端末のブロック図。
図3】[0024] 本開示のある特定の態様にしたがった、例示的なトランシーバフロントエンドのブロック図。
図4】[0025] 本開示のある特定の態様にしたがった、位相検出器として遅延(D)フリップフロップを使用する例示的な乗算遅延ロックループ(MDLL)のブロック図。
図5】[0026] 本開示のある特定の態様にしたがった、完全差動バンバン位相検出器(BBPD:a fully differential bang-bang phase detector)を使用する例示的なMDLLのブロック図。
【詳細な説明】
【0023】
[0027] 本開示の様々な態様が以下に説明される。本明細書での教示が幅広い形態で具現化され得ること、および、本明細書に開示されている任意の特定の構造、機能、またはその両方が、代表的なものにすぎないことが明らかであるべきである。本明細書での教示に基づいて、当業者は、本明細書に開示された態様が、他の任意の態様とは独立してインプリメントされ得ること、および、これらの態様のうちの2つ以上が、様々な方法で組み合わされ得ることを理解すべきである。例えば、本明細書に述べられる任意の数の態様を使用して、装置がインプリメントされることができ、または方法が実現されることができる。さらに、他の構造、機能、または、本明細書に述べられる態様のうちの1つまたは複数に加えた、またはそれ以外の構造および機能を使用して、そのような装置がインプリメントされることができ、または、そのような方法が実現されることができる。さらに、ある態様は、請求項の少なくとも1つのエレメントを備え得る。
【0024】
[0028] 「実例的な」という単語は、本明細書では、「例、事例、または例示としての役割を果たす」という意味で使用されている。「実例的な」ものとして、本明細書に説明された任意の態様は、他の態様に対して好ましいまたは有利なものとして必ずしも解釈されるべきではない。
【0025】
[0029] 本明細書に説明される技法は、符号分割多元接続(CDMA)、直交周波数分割多重(OFDM)、時分割多元接続(TDMA)、空間分割多元接続(SDMA)、単一キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)、時分割同期符号分割多元接続(TD−SCDMA)、等のような様々なワイヤレス技術との組み合わせで使用され得る。複数のユーザ端末は、異なる(1)CDMAのための直交符号チャネル(orthogonal code channels)、(2)TDMAのための時間スロット、または(3)OFDMのためのサブ帯域、を介してデータを同時に送信/受信することができる。CDMAシステムは、IS−2000、IS−95、IS−856、広帯域CDMA(W−CDMA)、また他のいくつかの標準規格をインプリメントし得る。OFDMシステムは、米国電気電子学会(IEEE)802.11、IEEE802.16、(例えば、TDDおよび/またはFDDモードの)ロングターム・エボリューション(LTE)、または他のいくつかの標準規格をインプリメントし得る。TDMAシステムは、モバイル通信のためのグローバルシステム(GSM(登録商標))、または他のいくつかの標準規格をインプリメントし得る。これらの様々な標準規格は、当該技術分野において既知のものである。
【0026】
例示的なワイヤレスシステム
[0030] 図1は、アクセスポイントおよびユーザ端末を有するワイヤレス通信システム100を例示する。簡潔にするために、図1には1つのアクセスポイント110のみが示されている。アクセスポイント(AP)は、概して、ユーザ端末と通信する固定局であり、基地局(BS)、進化型ノードB(eNB)、または他の何らかの用語でも称され得る。ユーザ端末(UT)は、固定またはモバイルであり得、モバイル局(MS)、アクセス端末、ユーザ機器(UE)、局(STA)、クライアント、ワイヤレスデバイス、または他の何らかの用語でも称され得る。ユーザ端末は、セルラ電話、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドデバイス、ワイヤレスモデム、ラップトップコンピュータ、タブレット、パーソナルコンピュータ、等のような、ワイヤレスデバイスであり得る。
【0027】
[0031] アクセスポイント110は、ダウンリンクおよびアップリンク上で任意の所与の瞬間に1つまたは複数のユーザ端末120と通信し得る。ダウンリンク(すなわち、順方向リンク)は、アクセスポイントからユーザ端末までの通信リンクであり、アップリンク(すなわち、逆方向リンク)は、ユーザ端末からアクセスポイントまでの通信リンクである。ユーザ端末は、また、別のユーザ端末とピアツーピアで通信し得る。システムコントローラ130は、アクセスポイントに結合し、アクセスポイントに対する調整および制御を提供する。
【0028】
[0032] システム100は、ダウンリンクおよびアップリンク上でのデータ伝送のために、複数の送信アンテナおよび複数の受信アンテナを採用する。アクセスポイント110は、ダウンリンク伝送のための送信ダイバーシティ、および/またはアップリンク伝送のための受信ダイバーシティを達成するためにNap個のアンテナを装備し得る。Nu個の選択されたユーザ端末120のセットは、ダウンリンク伝送を受信し、アップリンク伝送を送信し得る。選択された各ユーザ端末は、アクセスポイントにユーザ固有のデータを送信し、および/またはアクセスポイントからユーザ固有のデータを受信する。一般に、選択された各ユーザ端末は、1つまたは複数のアンテナ(すなわち、Nut≧1)を装備し得る。選択されたNu個のユーザ端末は、同じ数または異なる数のアンテナを有することができる。
【0029】
[0033] ワイヤレスシステム100は、時分割複信(TDD)システムまたは周波数分割複信(FDD)システムであリ得る。TDDシステムでは、ダウンリンクおよびアップリンクは、同じ周波数帯域を共有する。FDDシステムでは、ダウンリンクおよびアップリンクは、異なる周波数帯域を使用する。システム100は、また、伝送のために、単一のキャリアまたは複数のキャリアも利用し得る。各ユーザ端末は、(例えば、コストを低く抑えるために)単一のアンテナを、または(例えば、追加のコストがサポートされることができる場合には)複数のアンテナを装備し得る。
【0030】
[0034] 図2は、ワイヤレスシステム100におけるアクセスポイント110と2つのユーザ端末120mおよび120xとのブロック図を示す。アクセス端末110は、Nap個のアンテナ224a〜224apを装備している。ユーザ端末120mは、Nut,m個のアンテナ252ma〜252muを装備しており、ユーザ端末120xは、Nut,x個のアンテナ252xa〜252xuを装備している。アクセスポイント110は、ダウンリンクでは送信エンティティであり、アップリンクでは受信エンティティである。各ユーザ端末120は、アップリンクでは送信エンティティであり、ダウンリンクでは受信エンティティである。本明細書で使用される「送信エンティティ」は、周波数チャネルを介してデータを送信することが可能な、独立して動作される装置またはデバイスであり、「受信エンティティ」は、周波数チャネルを介してデータを受信することが可能な、独立して動作される装置またはデバイスである。以下の説明において、下付き文字「dn」はダウンリンクを表し、下付き文字「up」はアップリンクを表し、Nup個のユーザ端末が、アップリンク上での同時伝送のために選択され、Ndn個のユーザ端末が、ダウンリンク上での同時伝送のために選択されるが、Nupは、Ndnに等しいことも等しくないこともあり、NupおよびNdnは、各スケジューリング間隔にわたって、変化することができ、または静的な値であることもある。ビームステアリングまたは他の何らかの空間処理技法が、アクセスポイントおよびユーザ端末において使用され得る。
【0031】
[0035] アップリンク上では、アップリンク伝送のために選択された各ユーザ端末120において、TXデータプロセッサ288が、データソース286からトラフィックデータを受信し、コントローラ280から制御データを受信する。TXデータプロセッサ288は、そのユーザ端末のために選択されたレートに関連付けられたコーディングおよび変調方式に基づいて、そのユーザ端末のためのトラフィックデータ{dup}を処理(例えば、符号化、インターリーブ、および変調)し、Nut,m個のアンテナのうちの1つに対してデータシンボルストリーム{sup}を提供する。トランシーバフロントエンド(TX/RX)254(無線周波数フロントエンド(RFFE:a radio frequency front end)としても知られている)は、アップリンク信号を生成するためにそれぞれのシンボルストリームを受信および処理(例えば、アナログにコンバート、増幅、フィルタリング、および周波数アップコンバート)する。トランシーバフロントエンド254は、また、例えば、RFスイッチを介して送信ダイバーシティのためのNut,m個のアンテナのうちの1つにアップリンク信号をルーティングし得る。コントローラ280は、トランシーバフロントエンド254内のルーティングを制御し得る。メモリ282は、ユーザ端末120のためのデータおよびプログラムコードを記憶し得、コントローラ280とインターフェースをとり(interface with)得る。
【0032】
[0036] Nup個のユーザ端末が、アップリンク上での同時伝送のためにスケジューリングされ得る。これらのユーザ端末の各々が、処理されたシンボルストリームのそれのセットをアップリンク上でアクセスポイントに送信する。
【0033】
[0037] アクセスポイント110において、Nap個のアンテナ224a〜224apが、アップリンク上で送信するNup個のすべてのユーザ端末からのアップリンク信号を受信する。受信ダイバーシティでは、トランシーバフロントエンド222は、アンテナ224のうちの1つから受信された信号を処理のために選択し得る。本開示のある特定の態様では、複数のアンテナ224から受信された信号の組み合わせは、強化された受信ダイバーシティのために組み合わされ得る。アクセスポイントのトランシーバフロントエンド222は、また、ユーザ端末のトランシーバフロントエンド254によって行われた処理に対して相補的な処理を行い、復元されたアップリンクデータシンボルストリームを提供する。復元されたアップリンクデータシンボルストリームは、ユーザ端末によって送信されたデータシンボルストリーム{sup}の推定値である。RXデータプロセッサ242は、復号されたデータを取得するために、そのストリームに使用されたレートにしたがって、復元されたアップリンクデータシンボルストリームを処理(例えば、復調、デインターリーブ、および復号)する。各ユーザ端末のための復号されたデータは、記憶のためにデータシンク244に提供され、および/または、さらなる処理のためにコントローラ230に提供され得る。
【0034】
[0038] ダウンリンク上では、アクセスポイント110において、TXデータプロセッサ210が、ダウンリンク伝送のためにスケジューリングされたNdn個のユーザ端末のために、データソース208からトラフィックデータを受信し、コントローラ230から制御データを受信し、場合によってはスケジューラ234から他のデータを受信する。様々なタイプのデータが、異なるトランスポートチャネル上で送られ得る。TXデータプロセッサ210は、各ユーザ端末のためのトラフィックデータを、そのユーザ端末のために選択されたレートに基づいて、処理(例えば、符号化、インターリーブ、および変調)する。TXデータプロセッサ210は、Nap個のアンテナのうちの1つから送信されることになる、Ndn個のユーザ端末のうちの1つまたは複数に対しするダウンリンクデータシンボルストリームを提供し得る。トランシーバフロントエンド222は、ダウンリンク信号を生成するためにシンボルストリームを受信および処理(例えば、アナログにコンバート、増幅、フィルタリング、および周波数アップコンバート)する。トランシーバフロントエンド222は、また、例えば、RFスイッチを介して送信ダイバーシティのためのNap個のアンテナ224のうちの1つまたは複数にダウンリンク信号をルーティングし得る。コントローラ230は、トランシーバフロントエンド222内のルーティングを制御し得る。メモリ232は、アクセスポイント110のためのデータおよびプログラムコードを記憶し得、コントローラ230とインターフェースをとり得る。
【0035】
[0039] 各ユーザ端末120において、Nut,m個のアンテナ252が、アクセスポイント110からダウンリンク信号を受信する。受信ダイバーシティでは、ユーザ端末120において、トランシーバフロントエンド254は、アンテナ252のうちの1つから受信された信号を処理のために選択し得る。本開示のある特定の態様では、複数のアンテナ252から受信された信号の組み合わせは、強化された受信ダイバーシティのために組み合わされ得る。ユーザ端末のトランシーバフロントエンド254は、また、アクセスポイントのトランシーバフロントエンド222によって行われた処理に対して相補的な処理を行い、復元されたダウンリンクデータシンボルストリームを提供する。RXデータプロセッサ270は、ユーザ端末ための復号されたデータを取得するために、復元されたダウンリンクデータシンボルストリームを処理(例えば、復調、デインターリーブ、および復号)する。
【0036】
[0040] 当業者は、本明細書に説明された技法が、TDMA、SDMA、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、CDMA、SC−FDMA、TD−SCDMA、およびこれらの組み合わせのような、任意のタイプの多元接続方式を利用するシステムにおいて一般に適用され得ることを認識するであろう。
【0037】
[0041] 図3は、本開示のある特定の態様にしたがった、図2のトランシーバフロントエンド222、254のような、例示的なトランシーバフロントエンド300のブロック図である。トランシーバフロントエンド300は、1つまたは複数のアンテナを介して信号を送信するための送信(TX)経路302(送信チェーンとしても知られる)と、そのアンテナを介して信号を受信するための受信(RX)経路304(受信チェーンとしても知られる)とを含む。TX経路302およびRX経路304がアンテナ303を共有するとき、それら経路は、インターフェース306を介してアンテナと接続され得、それは、デュプレクサ、スイッチ、ダイプレクサ(a diplexer)、および同様のもののような、様々な適切なRFデバイスのうちの任意のものを含み得る。
【0038】
[0042] デジタルアナログコンバータ(DAC)308から同相(I:in-phase)または直交(Q:quadrature)ベースバンドアナログ信号を受信するので、TX経路302は、ベースバンドフィルタ(BBF)310、ミキサ312、駆動増幅器(DA)314、および電力増幅器316を含み得る。BBF310、ミキサ312、およびDA314は、無線周波数集積回路(RFIC)に含まれ得るが、PA316は、しばしばRFICの外部にある。BBF310は、DAC308から受信されたベースバンド信号をフィルタリングし、ミキサ312は、関心のあるベースバンド信号を異なる周波数にコンバート(例えば、ベースバンドからRFにアップコンバート)するために、フィルタリングされたベースバンド信号を送信局部発振器(LO)信号と混合する。この周波数コンバートプロセスは、LO周波数と関心のある信号の周波数との和周波数および差周波数を生成する。和周波数および差周波数は、うなり周波数(beat frequencies)と称される。うなり周波数は、ミキサ312によって出力された信号が通常RF信号であるように、通常、RFレンジの中にあり、それらは、アンテナ303による送信の前にDA314によって、およびPA316によって増幅される。
【0039】
[0043] RF経路304は、低雑音増幅器(LNA)322、ミキサ324、およびベースバンドフィルタ(BBF)326を含む。LNA322、ミキサ324、およびBBF326は、無線周波数集積回路(RFIC)に含まれ得、これは、TX経路コンポーネントを含む同じRFICであることもないこともある。アンテナ303を介して受信されたRF信号は、LNA322によって増幅され得、ミキサ324は、関心のあるRF信号を異なるベースバンド周波数にコンバート(すなわち、ダウンコンバート)するために、増幅されたRF信号を受信局部発振器(LO)信号と混合する。ミキサ324によって出力されたベースバンド信号は、デジタル信号処理のためにアナログデジタルコンバータ(ADC)328によってデジタルI信号またはQ信号にコンバートされる前に、BBF326によってフィルタリングされ得る。
【0040】
[0044] LOの出力が周波数において安定した状態を保つことが望ましいが、異なる周波数に同調させることは、可変周波数発振器を使用することを示し、これは、安定性と同調性との間の妥協を伴う。現代のシステムは、特定の同調レンジで安定した同調可能なLOを生成するために、電圧制御発振器(VCO)を有する周波数シンセサイザを採用する。よって、送信LOは、TX周波数シンセサイザ318によって通常生成され、これは、ミキサ312においてベースバンド信号と混合される前に、増幅器320によってバッファまたは増幅され得る。同様に、受信LOは、RX周波数シンセサイザ330によって通常生成され、これは、ミキサ324においてRF信号と混合される前に、増幅器332によってバッファまたは増幅され得る。
【0041】
例示的な完全差動位相検出器
[0045] 乗算遅延ロックループ(MDLL)は、基準信号の周波数の整数の倍数である周波数を有する出力信号を生成するために使用され得る。図4は、位相検出器として遅延(D)フリップフロップを使用する例示的なMDLL400のブロック図である。マルチプレクサ402は、入力として基準信号(ref)および遅延線404からのフィードバック信号(fb)を受信し得る。マルチプレクサ402は、選択論理ブロック406からの選択信号(sel)によって制御され得、それは、基準信号または遅延線フィードバックのいずれかを遅延線404に出力することを命じる。基準信号が選択された場合、遅延線404は、基準信号のエッジによってトリガされ得る。フィードバック信号が選択された場合、遅延線404は、発振器として機能し得る。MDLLを用いて信号を周波数乗算(frequency multiply)するために、M番目のエッジが基準信号のエッジによって置き換えられ、M番目のエッジは、遅延線の遅延を調整するために基準エッジ(reference edge)と比較される。
【0042】
[0046] 基準信号および遅延線フィードバックは、バンバン位相検出器のような、位相検出器408に提供され得、これは、通常、図示されているような遅延(D)フリップフロップを用いてインプリメントされる。位相検出器408において、基準信号は、Dフリップフロップへのクロック入力として使用され得、遅延線フィードバックはデータ入力として使用され得る。このように、位相検出器408は、基準信号のエッジおよび遅延線フィードバックのエッジを効率的に比較し、DフリップフロップのQ出力は、遅延線フィードバックが基準信号より先行しているか、遅れているか、または基準信号と同相であるかを示す。この比較に基づいて、遅延線404の遅延が調整され得る。
【0043】
[0047] Dフリップフロップを用いて位相検出器408をインプリメントすることは、完全差動設計を提供しない。したがって、位相検出器はオフセットを有することもあり、これは、ロックされたときに有限位相/遅延エラー(a finite phase/delay error)をもたらし得る。これは、MDLLにおける基準スパーレベル(the reference spur level)を増加させることもあり、DLLにおけるクロックジッター(clock jitter)の一因に著しくなるときもあり得る。
【0044】
[0048] したがって、必要とされるものは、位相ロックループ(PLL)またはDLLにおけるクロックジッタを回避するために、および、基準スパーレベルを減少させるためために決定性(deterministic)入力オフセットを除去するために、PLLまたはDLLにおいて使用されることができる完全差動位相検出器である。
【0045】
[0049] 本開示のある特定の態様は、標準的なデジタルセルを使用する完全差動位相検出回路を提供し、これは、オフセットを除去し、基準スパーレベルを減少させることができる。完全差動位相検出器をインプリメントするために、セット−リセット(S−R)ラッチ・トポロジが採用され得、これは平衡構造(a balanced structure)を有する。さらに、MDLLからのフィードバックエッジが基準エッジよりも高い周波数を有することもあるので、位相検出器は、基準エッジと比較するための正しいフィードバックエッジを選択するように設計され得る。さらに、S−Rラッチがレベルセンシティブ(level sensitive)であり得るので、位相検出器において採用されるS−Rラッチは、基準信号およびフィードバック信号の両方の立ち上がりエッジにのみ応答し得る。
【0046】
[0050] 図5は、本開示の態様による、完全差動位相検出回路を用いてインプリメントされる例示的なMDLL500のブロック図である。MDLL500は、マルチプレクサ402、遅延線404、選択論理ブロック406、およびバンバン位相検出器(BBPD)502を含み得る。マルチプレクサ402、遅延線404、および選択論理ブロック406は、上述のように機能し得る。BBPD502の入力における論理ANDゲート504は、選択信号を再使用することによって基準信号およびフィードバック信号をゲート制御する(gate)ことができ、これは、比較のための正しいエッジを選ぶ。ANDゲート504の出力は、第1および第2の出力を有するS−Rラッチ506(例えば、相互結合されたNANDゲート508から成る)への入力として提供される。第1および第2の出力は、論理インバータ510によって反転され、例えば、遅延(D)フリップフロップ512であり得るフリップフロップに提供され得る。例えば、S−Rラッチ506からの第1の出力は、論理インバータ510を介してDフリップフロップ512のクロック入力に提供され得、S−Rラッチからの第2の出力は、Dフリップフロップのリセット入力に提供され得る。Dフリップフロップ512のデータ入力は、論理高レベルに保持され得る。これら入力に基づいて、Dフリップフロップの論理出力は、遅延した信号が基準信号より先行しているか遅れているかを示し得る。
【0047】
[0051] BBPD502の動作中、フィードバック信号が基準信号よりも早い場合、「fast_edge」上に立ち上がりエッジがあり得、これは、Dフリップフロップ512の出力を論理高レベル(「早い」を示す)に変更し得る。対照的に、フィードバック信号が基準信号よりも遅い場合、「slow_edge」上に立ち上がりエッジがあり得、これは、Dフリップフロップ512を論理低レベル(「遅い」を示す)にリセットし得る。Dフリップフロップ512が「fast_edge」または「slow_edge」のいずれかの立ち上がりエッジにのみ反応するので、選択信号が高から低になる(goes from high to low)場合には、遅延した信号が基準信号より先行しているか遅れているかどうかの決定が保たれるように、BBPD502の出力は影響を受けないこともある。言い換えると、BBPD502は、適切な判断を行うためにセルフタイム(self-timed)され得る。
【0048】
[0052] BBPD502が標準的なデジタルセル(例えば、ANDゲート504、S−Rラッチ506のNANDゲート508、論理インバータ510)で組み立てられているので、位相検出器は、異なるプロセスノードに移植する(port)のが簡単である。
【0049】
[0053] ある特定の態様では、BBPD502のANDゲート504は、バッファの出力におけるプルダウン抵抗器(pull-down resistors)を用いて、トライステートバッファ(tri-state buffers)と置き換えられ得る。
【0050】
[0054] 上述された様々な動作または方法は、対応する機能を実行することが可能な任意の適切な手段によって実行され得る。この手段は、限定ではなく、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、または、プロセッサを含む、様々なハードウェアおよび/または(1つまたは複数の)ソフトウェアコンポーネントならびに/あるいは(1つまたは複数の)モジュールを含み得る。概して、図面に例示された動作がある場合、それらの動作は、同様に番号付けされた対応するカウンターパート・ミーンズ・プラス・ファンクション・コンポーネント(counterpart means-plus-function components)を有し得る。
【0051】
[0055] 例えば、送信するための手段は、送信機(例えば、図2に図示されたユーザ端末120のトランシーバフロントエンド254、または図2に示されたアクセスポイント110のトランシーバフロントエンド222)、および/またはアンテナ(例えば、図2に描かれたユーザ端末120mのアンテナ252ma〜252mu、または図2に例示されたアクセスポイント110のアンテナ224a〜224ap)を備え得る。受信するための手段は、受信機(例えば、図2に図示されたユーザ端末120のトランシーバフロントエンド254、または図2に示されたアクセスポイント110のトランシーバフロントエンド222)、および/またはアンテナ(例えば、図2に描かれたユーザ端末120mのアンテナ252ma〜252mu、または図2に例示されたアクセスポイント110のアンテナ224a〜224ap)を備え得る。処理するための手段または決定するための手段は、処理システムを備え得、これは、図2に例示されたユーザ端末120のRXデータプロセッサ270、TXデータプロセッサ288、および/またはコントローラ280のような、1つまたは複数のプロセッサを含み得る。
【0052】
[0056] 本明細書に使用される、「決定すること」という用語は、幅広いアクションを包含する。例えば、「決定すること」は、計算すること、算出すること、処理すること、導出すること、調査すること、ルックアップすること(例えば、テーブル、データベース、または別のデータ構造内をルックアップすること)、確かめること、および同様のことを含み得る。また、「決定すること」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)、および同様のことを含み得る。また、「決定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立すること、および同様のことを含み得る。
【0053】
[0057] 本明細書で使用される、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」を指すフレーズは、単一のメンバを含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a−b、a−c、b−c、およびa−b−cをカバーするように意図されている。
【0054】
[0058] 本開示に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書で説明された機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネント、またはこれらの任意の組み合わせを用いて、インプリメントまたは実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、その代わりに、プロセッサは、商業的に利用可能な任意のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであり得る。プロセッサは、また、例えば、DSPとマクロプロセッサの組み合わせといった、コンピューティングデバイスの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに連結した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または他の任意のそのような構成としてインプリメントされ得る。
【0055】
[0059] 本明細書に開示された方法は、説明された方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを備える。方法のステップおよび/またはアクションは、特許請求の範囲から逸脱せずに、互いに入れ替えられ得る。言い換えると、ステップまたはアクションの特定の順序が指定されていない限り、特定のステップおよび/またはアクションの順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0056】
[0060] 説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせにインプリメントされ得る。ハードウェアにインプリメントされる場合、例示的なハードウェア構成は、ワイヤレスノード内に処理システムを備え得る。処理システムは、バスアーキテクチャを用いてインプリメントされ得る。バスは、処理システムの特定の用途および全体的な設計制約に依存して、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含み得る。バスは、プロセッサ、機械可読媒体、およびバスインターフェースを含む様々な回路をリンクさせ得る。バスインターフェースは、ネットワークアダプタを、バスを介して、特に、処理システムに接続するように使用され得る。ネットワークアダプタは、PHYレイヤの信号処理機能をインプリメントするように使用され得る。ユーザ端末120(図1参照)のケースにおいて、ユーザインターフェース(例えば、キーパッド、ディスプレイ、マウス、ジョイスティック、等)もまた、バスに接続され得る。バスはまた、タイミングソース、周辺機器、電圧レギュレータ、電力管理回路、および同様のものといった、他の様々な回路をリンクさせることができるが、これらは、当該技術において周知であるので、これ以上説明されないであろう。
【0057】
[0061] 処理システムは、プロセッサ機能を提供する1つまたは複数のマイクロプロセッサと、機械可読媒体の少なくとも一部分を提供する外部メモリとを有し、すべてが外部バスアーキテクチャを通して他のサポート回路とリンクされている、汎用処理システムとして構成され得る。代替として、処理システムは、プロセッサ、バスインターフェース、アクセス端末のケースではユーザインターフェース、サポート回路、および単一のチップに一体化された機械可読媒体の少なくとも一部分を有するASIC(特定用途向け集積回路)でインプリメントされ得るか、または、1つまたは複数のFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、PLD(プログラムマブル論理デバイス)、コントローラ、ステートマシン、ゲート論理、離散ハードウェアコンポーネント、または、他の任意の適切な回路、あるいは本開示全体を通して説明されている様々な機能を行うことができる回路の任意の組み合わせでインプリメントされ得る。当業者は、システム全体に課せられた特定の用途および全体的な設計制約に依存して、処理システムに関する説明された機能をいかに最善にインプリメントするべきかを認識するであろう。
【0058】
[0062] 本願の特許請求の範囲が、上に例示された構成およびコンポーネントそのものに限定されないことが理解されるべきである。様々な修正、変更、および変形が、本願の特許請求の範囲から逸脱せずに、上述された方法および装置の配列、動作、および詳細でなされ得る。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
位相検出回路であって、
基準信号のための第1の入力と、
前記基準信号と比較される入力信号のための第2の入力と、
セット入力、リセット入力、第1の出力、および第2の出力を有するセット−リセット(S−R)ラッチと、
論理入力、クロック入力、リセット入力、および論理出力を有する遅延(D)フリップフロップと
を備え、ここにおいて、前記入力信号が前記基準信号より先行しているか遅れているかを前記Dフリップフロップの前記論理出力が示すように、前記第1の入力は、前記S−Rラッチの前記リセット入力と接続され、前記第2の入力は、前記S−Rラッチの前記セット入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第1の出力は、前記Dフリップフロップの前記クロック入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第2の出力は、前記Dフリップフロップの前記リセット入力と接続される、位相検出回路。
[C2]
前記Dフリップフロップの前記論理入力は、論理高レベルに保持される、C1に記載の回路。
[C3]
前記S−Rラッチの前記第1の出力と前記Dフリップフロップの前記クロック入力との間に接続された第1のインバータをさらに備える、C1に記載の回路。
[C4]
前記S−Rラッチの前記第2の出力と前記Dフリップフロップの前記リセット入力との間に接続された第2のインバータをさらに備える、C3に記載の回路。
[C5]
前記第1の入力と前記S−Rラッチの前記リセット入力との間に接続された第1の論理ANDゲートをさらに備える、C1に記載の回路。
[C6]
前記第2の入力と前記S−Rラッチの前記セット入力との間に接続された第2の論理ANDゲートをさらに備える、C5に記載の回路。
[C7]
イネーブル入力をさらに備え、前記イネーブル入力は、前記第1の論理ANDゲートにおいて前記第1の入力と論理的にAND演算され、前記第2の論理ANDゲートにおいて前記第2の入力と論理的にAND演算される、C6に記載の回路。
[C8]
前記S−Rラッチは、前記位相検出回路が完全差動であるように、前記第1の入力および第2の入力と接続される、C1に記載の回路。
[C9]
前記S−Rラッチは、前記基準信号および前記入力信号の立ち上がりエッジに応答するように構成される、C1に記載の回路。
[C10]
前記S−Rラッチは、2つの相互結合された論理NANDゲートを備える、C1に記載の回路。
[C11]
遅延ロックループ(DLL)であって、
基準信号のための入力と、
前記基準信号に対して遅延した信号のための出力と、
前記遅延した信号を生成するための1つまたは複数の遅延ゲートを備えた遅延チェーンと、ここにおいて、前記遅延ゲートのうちの最後のゲートは、前記DLLの前記出力と接続される、
前記DLLの前記出力と接続され、また前記遅延した信号に基づいて選択信号を出力するように構成された選択論理と、
前記遅延チェーンにおける前記遅延ゲートのうちの第1のゲートに出力するための前記基準信号か前記遅延した信号かを選択するように前記選択信号によって制御されるマルチプレクサと、
前記遅延した信号を前記基準信号と比較するための位相検出回路と
を備え、前記位相検出回路は、
セット入力、リセット入力、第1の出力、および第2の出力を有するセット−リセット(S−R)ラッチと、
論理入力、クロック入力、リセット入力、および論理出力を有する遅延(D)フリップフロップと
を備え、ここにおいて、前記遅延した信号が前記基準信号より先行しているか遅れているかを前記Dフリップフロップの前記論理出力が示すように、前記DLLの前記入力は、前記S−Rラッチの前記リセット入力と接続され、前記DLLの前記出力は、前記S−Rラッチの前記セット入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第1の出力は、前記Dフリップフロップの前記クロック入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第2の出力は、前記Dフリップフロップの前記リセット入力と接続される、DLL。
[C12]
前記DLLは、前記DLLの前記出力における前記遅延した信号が、乗率で乗算された前記基準信号の周波数に等しい周波数を有するように構成された乗算DLL(MDLL)である、C11に記載のDLL。
[C13]
前記選択論理は、前記遅延した信号の各立ち下がりエッジで1だけ値を増分するカウンタを備え、前記選択論理は、前記カウンタの前記値が前記乗率に等しくなった後に論理高レベルで前記選択信号を出力し、前記遅延した信号の次の立ち上がりエッジで、前記カウンタの前記値は0にリセットされ、前記選択論理は、論理低レベルで前記選択信号を出力する、C12に記載のDLL。
[C14]
前記Dフリップフロップの前記論理入力は、論理高レベルに保持される、C11に記載のDLL。
[C15]
前記S−Rラッチの前記第1の出力と前記Dフリップフロップの前記クロック入力との間に接続された第1のインバータと、
前記S−Rラッチの前記第2の出力と前記Dフリップフロップの前記リセット入力との間に接続された第2のインバータと
をさらに備える、C11に記載のDLL。
[C16]
前記DLLの前記入力と前記S−Rラッチの前記リセット入力との間に接続された第1の論理ANDゲートと、
前記DLLの前記出力と前記S−Rラッチの前記セット入力との間に接続された第2の論理ANDゲートと
をさらに備える、C11に記載のDLL。
[C17]
前記選択信号は、前記第1の論理ANDゲートにおいて前記DLLの前記入力と論理的にAND演算され、前記第2の論理ANDゲートにおいて前記DLLの前記出力と論理的にAND演算される、C16に記載のDLL。
[C18]
前記S−Rラッチは、前記位相検出回路が完全差動であるように、前記DLLの前記入力および前記DLLの前記出力と接続される、C11に記載のDLL。
[C19]
前記S−Rラッチは、前記基準信号および前記遅延した信号の立ち上がりエッジに応答するように構成される、C11に記載のDLL。
[C20]
ワイヤレス通信のための装置であって、
少なくとも1つのアンテナと、
前記少なくとも1つのアンテナを介して信号を受信するための受信機または信号を送信するための送信機のうちの少なくとも1つと
を備え、ここにおいて、前記受信機または前記送信機のうちの前記少なくとも1つは、遅延ロックループ(DLL)を備え、前記DLLは、
基準信号のための入力と、
前記基準信号に対して遅延した信号のための出力と、
前記遅延した信号を生成するための1つまたは複数の遅延ゲートを備えた遅延チェーンと、ここにおいて、前記遅延ゲートのうちの最後のゲートは、前記DLLの前記出力と接続される、
前記DLLの前記出力と接続され、また前記遅延した信号に基づいて選択信号を出力するように構成された選択論理と、
前記遅延チェーンにおける前記遅延ゲートのうちの第1のゲートに出力するための前記基準信号か前記遅延した信号かを選択するように前記選択信号によって制御されるマルチプレクサと、
前記遅延した信号を前記基準信号と比較するための位相検出回路と
を備え、前記位相検出回路は、
セット入力、リセット入力、第1の出力、および第2の出力を有するセット−リセット(S−R)ラッチと、
論理入力、クロック入力、リセット入力、および論理出力を有する遅延(D)フリップフロップと
を備え、ここにおいて、前記遅延した信号が前記基準信号より先行しているか遅れているかを前記Dフリップフロップの前記論理出力が示すように、前記DLLの前記入力は、前記S−Rラッチの前記リセット入力と接続され、前記DLLの前記出力は、前記S−Rラッチの前記セット入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第1の出力は、前記Dフリップフロップの前記クロック入力と接続され、前記S−Rラッチの前記第2の出力は、前記Dフリップフロップの前記リセット入力と接続される、装置。
図1
図2
図3
図4
図5