特許第6526423号(P6526423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6526423電子ゲーム装置及び電子ゲームプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526423
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】電子ゲーム装置及び電子ゲームプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/69 20140101AFI20190527BHJP
   A63F 13/46 20140101ALI20190527BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20190527BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20190527BHJP
【FI】
   A63F13/69 520
   A63F13/46
   A63F13/80 B
   A63F13/58
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-9627(P2015-9627)
(22)【出願日】2015年1月21日
(62)【分割の表示】特願2014-112000(P2014-112000)の分割
【原出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-226750(P2015-226750A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薩摩 定壮
(72)【発明者】
【氏名】忍頂寺 毅
【審査官】 田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−061060(JP,A)
【文献】 特開2014−198184(JP,A)
【文献】 特開2009−050387(JP,A)
【文献】 特開2012−068871(JP,A)
【文献】 特許第5475920(JP,B2)
【文献】 特開2014−045821(JP,A)
【文献】 幽☆遊☆白書 −魔界統一最強バトル−,月刊アプリスタイル,株式会社イースト・プレス,2012年12月28日,第1巻 第1号,第68、69頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアイテムに割り当てられたアイテムパラメータに応じて進行する電子ゲーム装置であって、
選択されたアイテムが割り当てられ、割り当てられたアイテムが敵に対して直接攻撃が可能なスロットを少なくとも1つ有する第1のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第1レイヤー割当手段と、
前記第1のレイヤーの各スロットに対して階層的に下位に対応付けられ、割り当てられたアイテムが敵に対して直接攻撃が不可能なスロットを少なくとも1つ有する第2のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第2レイヤー割当手段と、
前記第2のレイヤーのスロットに割り当てられたアイテムのパラメータに応じて、前記第1のレイヤーにおいて当該スロットに対応付けられたスロットに割り当てられたアイテムのパラメータを補正するレイヤー間パラメータ補正手段と、
前記レイヤー間パラメータ補正手段における前記レイヤー間の関係を変更するレイヤー関係変更手段と、
を備え、
前記レイヤー間パラメータ補正手段によって補正されたアイテムパラメータをゲームの進行に用いることを特徴とする電子ゲーム装置。
【請求項2】
請求項に記載の電子ゲーム装置であって、
対戦型の電子ゲームを対象としており、
味方及び敵に対してそれぞれ前記第1のレイヤー及び前記第2のレイヤーが設定され、前記味方及び前記敵について前記レイヤー間パラメータ補正手段においてアイテムのパラメータを補正することを特徴とする電子ゲーム装置。
【請求項3】
請求項に記載の電子ゲーム装置であって、
前記レイヤー間パラメータ補正手段は、前記敵のアイテムのパラメータを電子ゲームが進行した場合に以前と比べてより弱くするように補正することを特徴とする電子ゲーム装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の電子ゲーム装置であって、
ゲームの進行に応じて、前記レイヤー間パラメータ補正手段におけるアイテムパラメータの補正を変更することを特徴とする電子ゲーム装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の電子ゲーム装置であって、
前記複数のレイヤー間においてアイテムを入れ替えるアイテム入替手段を備えることを特徴とする電子ゲーム装置。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の電子ゲーム装置であって、
前記アイテムパラメータは、アイテムの攻撃力、防御力、アイテムに特有の特性の少なくとも1つであることを特徴とする電子ゲーム装置。
【請求項7】
複数のアイテムに割り当てられたアイテムパラメータに応じて進行する電子ゲームプログラムであって、
コンピュータを、
選択されたアイテムが割り当てられ、割り当てられたアイテムが敵に対して直接攻撃が可能なスロットを少なくとも1つ有する第1のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第1レイヤー割当手段と、
前記第1のレイヤーの各スロットに対して階層的に下位に対応付けられ、割り当てられたアイテムが敵に対して直接攻撃が不可能なスロットを少なくとも1つ有する第2のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第2レイヤー割当手段と、
前記第2のレイヤーのスロットに割り当てられたアイテムのパラメータに応じて、前記第1のレイヤーにおいて当該スロットに対応付けられたスロットに割り当てられたアイテムのパラメータを補正するレイヤー間パラメータ補正手段と、
前記レイヤー間パラメータ補正手段における前記レイヤー間の関係を変更するレイヤー関係変更手段と、
として機能させ、
前記レイヤー間パラメータ補正手段によって補正されたアイテムパラメータを用いてゲームを進行させることを特徴とする電子ゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ゲーム装置及び電子ゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ゲームでは、それぞれ特性を持たせたアイテムを利用してゲームを進行させる処理が行われる。例えば、カード型対戦ゲームでは、プレイヤに与えられるカードの各々に攻撃パラメータ、防御パラメータ、特殊効果パラメータ等を割り当て、味方と敵のカードの特性を用いて勝敗を決定する処理が行われる。また、ロールプレイングゲームでは、味方キャラクタや敵キャラクタに装備される武器、防具、道具、魔法等のアイテムにパラメータを定め、それらのアイテムを利用して敵との対戦やゲームを進行させる処理が行われる。
【0003】
ここで、アイテムは、ゲーム上において一度に使用できる数が限定される。例えば、カードゲームでは限られた数のカードを用いて対戦が行われ、ロールプレイングゲームでは各キャラクタに装備できる武器、防具、道具、魔法の数が限られる。したがって、プレイヤが多数のアイテムを保有する場合、保有するアイテムの中から限定された数のアイテムを選択する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲーム上において一度に利用できるアイテムが限定されている場合、集めたアイテムのうち一部のみしかゲームに利用できないのでゲームの戦略の幅が狭められる。また、プレイヤは、せっかく集めたアイテムの一部しか利用できないという不満を持つことがある。
【0005】
さらに、ゲームの進行等に伴って、既に保有しているアイテムよりも強いアイテムを入手した場合、それ以前に入手したアイテムを使用することがなくなり、使用されるアイテムが固定化され、プレイヤもさらにアイテムを入手しようとしなくなり、ゲームの進行が硬直化してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、複数のアイテムに割り当てられたアイテムパラメータに応じて進行する電子ゲーム装置であって、選択されたアイテムが割り当てられるスロットを少なくとも1つ有する第1のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第1レイヤー割当手段と、前記第1のレイヤーの各スロットに対応付けられたスロットを少なくとも1つ有する第2のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第2レイヤー割当手段と、前記第2のレイヤーのスロットに割り当てられたアイテムのパラメータに応じて、前記第1のレイヤーにおいて当該スロットに対応付けられたスロットに割り当てられたアイテムのパラメータを補正するレイヤー間パラメータ補正手段と、を備え、前記レイヤー間パラメータ補正手段によって補正されたアイテムパラメータをゲームの進行に用いることを特徴とする電子ゲーム装置である。
【0007】
本発明の1つの態様は、複数のアイテムに割り当てられたアイテムパラメータに応じて進行する電子ゲームプログラムであって、コンピュータを、選択されたアイテムが割り当てられるスロットを少なくとも1つ有する第1のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第1レイヤー割当手段と、前記第1のレイヤーの各スロットに対応付けられたスロットを少なくとも1つ有する第2のレイヤーにおいて、当該スロットにアイテムを割り当てる第2レイヤー割当手段と、前記第2のレイヤーのスロットに割り当てられたアイテムのパラメータに応じて、前記第1のレイヤーにおいて当該スロットに対応付けられたスロットに割り当てられたアイテムのパラメータを補正するレイヤー間パラメータ補正手段と、として機能させ、前記レイヤー間パラメータ補正手段によって補正されたアイテムパラメータを用いてゲームを進行させることを特徴とする電子ゲームプログラムである。
【0008】
ここで、対戦型の電子ゲームを対象としており、味方及び敵に対してそれぞれ前記第1のレイヤー及び前記第2のレイヤーが設定され、前記味方及び前記敵について前記レイヤー間パラメータ補正手段においてアイテムのパラメータを補正することが好適である。
【0009】
また、前記レイヤー間パラメータ補正手段は、前記敵のアイテムのパラメータを弱くするように補正することが好適である。
【0010】
また、ゲームの進行に応じて、前記レイヤー間パラメータ補正手段におけるアイテムパラメータの補正を変更することが好適である。
【0011】
また、前記レイヤーの総数を変更するレイヤー数変更手段を備えることが好適である。
【0012】
また、前記レイヤー間パラメータ補正手段における前記レイヤー間の関係を変更するレイヤー関係変更手段を備えることが好適である。
【0013】
また、前記複数のレイヤー間においてアイテムを入れ替えるアイテム入替手段を備えることが好適である。
【0014】
また、前記アイテムパラメータは、アイテムの攻撃力、防御力、アイテムに特有の特性の少なくとも1つであることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多くのアイテムを有効に利用でき、戦略幅が広がった電子ゲーム装置及び電子ゲームプログラムを提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態における電子ゲーム装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態におけるカード型対戦ゲームのゲーム画面を説明する図である。
図3】本発明の実施の形態におけるレイヤーのツリー構造を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における電子ゲーム処理方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態におけるカードデータベースの例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態におけるカードの割り当て処理を説明する図である。
図7】本発明の実施の形態におけるツリー構造を有するレイヤーに割り当てられたカードの例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態におけるレイヤーデータベースの例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態におけるレイヤーのツリー構造を変更する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<基本構成>
本発明の実施の形態における電子ゲーム装置100は、図1に示すように、処理部10、記憶部12、入力部14及び出力部16を含んで構成される。電子ゲーム装置100は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の通信可能な携帯端末の基本構成を備えている。
【0018】
処理部10は、CPU等の演算処理を行う手段を含む。処理部10は、記憶部12に記憶されている電子ゲームプログラムを実行することによって、電子ゲーム装置100において電子ゲーム等の処理を実現する情報処理装置として機能する。本実施の形態では、カード型対戦ゲームを例に説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。記憶部12は、半導体メモリやメモリカード等の記憶手段を含む。記憶部12は、処理部10とアクセス可能に接続され、電子ゲームプログラム、処理に必要なデータ等の情報を記憶する。入力部14は、電子ゲーム装置100に情報を入力する手段を含む。入力部14は、例えば、ユーザからの入力を受けるタッチパネルやボタン等を備える。出力部16は、ユーザから入力情報を受け付けるためのユーザインターフェース画面(UI)等や電子ゲーム装置100での処理結果を出力する手段を含む。出力部16は、例えば、ユーザに対して画像を呈示するディスプレイを備える。
【0019】
また、電子ゲーム装置100は、通信部18を含んでもよい。通信部18は、情報通信網を介して、他の情報通信機器と情報をやり取りするためのインターフェースを含んで構成される。通信部18を含む場合、電子ゲーム装置100は外部のコンピュータ(サーバ)から電子ゲームに関する情報を取得し、以下に説明する処理(手段)の一部を外部のコンピュータにおいて行うように構成してもよい。
【0020】
カード型対戦ゲームは、プレイヤが所有する複数のカードと他のプレイヤ(コンピュータ)が所有する複数のカードとを用いて、それぞれのカードに割り当てられたパラメータに基づいて対戦を行うゲームである。
【0021】
例えば、図2に示すように、味方(プレイヤ)及び敵(コンピュータ)が保有する味方カード30及び敵カード32のうち所定の枚数(例では5枚)をゲーム画面200に配置し、ゲーム画面200に配置されたカード同士で攻撃を行い合う。ここで、味方カード30は味方アイテムに相当し、敵カード32は相手アイテムに相当する。味方カード30及び敵カード32は、前回の攻撃から所定の待機時間が経過するとカードからの攻撃が可能となる。プレイヤは、攻撃可能な状態となった味方カード30を選択(タップ等)し、さらに攻撃対象とする敵カード32を選択(タップ等)することにより味方カード30から敵カード32へ攻撃が行われる。攻撃によって、攻撃対象とされた敵カード32のヒットポイント(HP)が減少させられ、ヒットポイント(HP)が0になると敵カード32を消滅させる。敵カード32が消滅すると、残りの敵カード32から新たな敵カード32が選択されゲーム画面200に配置される。敵カード32から味方カード30への攻撃も同様に行われる。すなわち、攻撃可能な状態となった敵カード32が選択され、さらに攻撃対象とする味方カード30が選択されることにより敵カード32から味方カード30へ攻撃が行われる。味方カード30の選択は所定のアルゴリズムに基づいてランダムに行えばよい。攻撃によって、攻撃対象とされた味方カード30のヒットポイント(HP)が減少させられ、ヒットポイント(HP)が0になると味方カード30を消滅させる。味方カード30が消滅すると、プレイヤによって残りの味方カード30から新たな味方カード30を選択させ、選択された味方カード30がゲーム画面200に配置される。この処理を繰り返すことによって、味方カード30と敵カード32との対戦が進行し、最終的に味方カード30又は敵カード32の残数が0になると勝敗が決定する。
【0022】
従来のカード型対戦ゲームでは、味方(プレイヤ)及び敵(コンピュータ)が保有する味方カード30及び敵カード32のうち所定の枚数(例では5枚)のみを使用して、それらのカードに与えられたパラメータに基づいて対戦が行われていた。すなわち、所定の枚数の味方カード30及び敵カード32を選択し、選択されたカードに割り当てられたアイテムパラメータ(攻撃力を決定するための攻撃パラメータ、防御力を決定するための防御パラメータ、特殊攻撃を行うための特殊攻撃パラメータ等)のみが考慮されて対戦が行われていた。
【0023】
これに対して、本実施の形態では、選択された味方カード30及び敵カード32が割り当てられるスロットを少なくとも1つ有するレイヤーを複数設け、レイヤー間において味方カード30及び敵カード32のパラメータを承継できるようにする。
【0024】
なお、スロットとは、ゲームの進行上において選択されたカードを1枚割り当てることができる概念上のスペースを意味する。また、レイヤーは、1つ以上のスロットをグループ化したものを意味する。
【0025】
例えば、図3に示すように、スロットSを有するレイヤーX1〜X5,Y1,Y2・・・,Z1,Z2,Z3・・・のように設ける。これら複数のレイヤーは、ツリー構造に関連付けられる。レイヤーX1は最上位レイヤーである。レイヤーY1,Y2はレイヤーX1を親ノードとして枝分かれした子ノードである。レイヤーZ1,Z2はレイヤーY1を親ノードして枝分かれした子ノードであり、レイヤーZ3はレイヤーY2を親ノードとして枝分かれした子ノードである。
【0026】
本実施の形態では、最上位のレイヤーであるレイヤーX1〜X5に割り当てられたカードが直接攻撃に参加できるものとする。最上位のレイヤーはそれぞれ1つのスロットから構成される。最上位から枝分かれした下位のレイヤーに割り当てられたカードは、そのパラメータを最上位のレイヤーに割り当てられたカードに承継することによって間接的に攻撃に参加できる。本実施の形態では、下位のレイヤーY1,Y2,Z1〜Z3はそれぞれ5つのスロットを有するものとする。
【0027】
なお、図3では、図を簡潔に示すためにレイヤーX1とツリー構造をなすレイヤーのみ示したが、レイヤーX2〜X5にも同様にツリー構造を設けてもよい。また、各レイヤーに含まれるスロットの数も限定されるものではなく、少なくとも1つ以上のスロットを含めばよい。
【0028】
以下、図4のフローチャートを参照して、このように互いに関連性を持たせたレイヤーを用いてカード型対戦ゲームを行う電子ゲーム処理方法について説明する。以下に説明する電子ゲーム処理方法は、処理部10において電子ゲームプログラムを実行することによって実現される。
【0029】
なお、以下では、プレイヤが操作する味方カード30から敵カード32への攻撃の処理について説明するが敵カード32から味方カード30への攻撃についても同様に行うことができる。
【0030】
ステップS10では、各レイヤーの各スロットへの味方カード30の割り当て処理が行われる。ここでの処理によって、電子ゲーム装置100はレイヤー割当手段として機能する。
【0031】
処理部10は、プレイヤが所有する味方カード30のリストを出力部16に表示させ、リストから味方カード30を選択させると共に、選択された味方カード30を割り当てる各レイヤーの各スロットの入力を受け付ける。
【0032】
例えば、図5のカードデータベースに示すように、プレイヤが味方カード30を24枚所有している場合、図6に示すように、味方カード30のリストを表示させると共に、選択された味方カード30を割り当てる各レイヤーの各スロットの入力を受け付ける。具体的には、リストに含まれる味方カード30の1つをドラッグして空きのスロットを示す領域まで移動させることによって各味方カード30を各レイヤーの各スロットに割り当てるようにしてもよい。
【0033】
例えば、図7に示すように、レイヤーX1にカードC1、レイヤーX2にカードC2、レイヤーX3にカードC3、レイヤーX4にカードC4、レイヤーX5にカードC5、レイヤーY1にカードC6,C7、レイヤーY2にカードC8、レイヤーZ1にカードC9,C10、レイヤーZ2にカードC16、レイヤーZ3にカードC24が割り当てられる。なお、残りのカードもレイヤーX2〜X5とツリー構造をなす他のレイヤーに割り当てることができる。
【0034】
各カードが割り当てられたレイヤーは、図5に示すように、カードデータベースに登録される。
【0035】
なお、カードのスロットへの割り当て処理は自動的に行ってもよい。例えば、プレイヤが所有するカードをランダムに各スロットに割り当てる。また、後述するアイテムパラメータ補正処理及びレイヤー間パラメータ補正処理において最上位のレイヤーの攻撃力、防御力等が最大値となるようにカードを各スロットに割り当てる。
【0036】
ステップS12では、各レイヤーに割り当てられたカードのパラメータの補正処理が行われる。ここでの処理によって、電子ゲーム装置100はアイテムパラメータ補正手段として機能する。
【0037】
各レイヤーには、図8のレイヤーデータベースに示すように、割り当てられたカードのパラメータを補正するためのアイテム補正係数が与えられている。処理部10は、レイヤー毎に定められたアイテム補正係数を用いて、レイヤーに割り当てられたカードのパラメータを補正する。
【0038】
例えば、図8の例では、レイヤーX1にはアイテム補正係数として100%が登録されている。この場合、レイヤーX1に割り当てられた味方カード30のパラメータは補正することなく、そのまま使用する。カードC1の場合、攻撃力97、防御力99として処理される。レイヤーX2〜X5に割り当てられたカードC2〜C5についても同様に処理される。
【0039】
レイヤーY1にはアイテム補正係数として80%が登録されている。この場合、レイヤーのツリー構造を最上位まで遡って、最上位のレイヤーまでのアイテム補正係数を考慮してパラメータの補正を行う。すなわち、レイヤーY1の親レイヤーは最上位のレイヤーX1であるので、レイヤーX1のアイテム補正係数とレイヤーY1のアイテム補正係数とを乗算した補正係数を求め、その補正係数にレイヤーY1に割り当てられた味方カード30のパラメータを乗算した値を補正後のパラメータとして使用する。カードC6の場合、攻撃力78×0.8×1.0=62.4、防御力88×0.8×1.0=70.4として処理される。カードC6〜C10についても同様である。さらに、レイヤーY2に割り当てられた味方カード30のパラメータも同様に処理される。
【0040】
レイヤーZ1にはアイテム補正係数として60%が登録されている。この場合、最上位のレイヤーX1までツリー構造を遡り、上位のレイヤーY1,レイヤーX1のアイテム補正係数とレイヤーZ1のアイテム補正係数を乗算した補正係数を求め、その補正係数にレイヤーZ1に割り当てられた味方カード30のパラメータを乗算した値を補正後のパラメータとして使用する。カードC9の場合、攻撃力73×0.6×0.8×1.0=35.04、防御力71×0.6×0.8×1.0=34.08として処理される。Z2,Z3に割り当てられた味方カード30についても同様に補正係数を算出する。
【0041】
なお、パラメータの補正の方法はこれに限定されるものではなく、他の補正方法を適用してもよい。例えば、アイテム補正係数の代わりに、カードのパラメータを引数とした関数を設定しておき、関数にパラメータ値を代入して得られた補正値を用いるようにしてもよい。
【0042】
ステップS14では、補正されたパラメータを用いて、他のレイヤーに割り当てられたカードのパラメータを補正する処理が行われる。ここでの処理によって、電子ゲーム装置100はレイヤー間パラメータ補正手段として機能する。
【0043】
処理部10は、レイヤーのツリー構造に基づいてカードのパラメータの補正処理を行う。すなわち、最上位のレイヤーに割り当てられたカードのパラメータを当該レイヤーとツリー構造で繋がっている下位のレイヤーに割り当てられたカードのパラメータを承継して補正する。このとき、ステップS12において下位のレイヤーに割り当てられたカードについて補正されたパラメータを用いて、上位のレイヤーに割り当てられたカードのパラメータを補正することが好適である。
【0044】
例えば、最上位のレイヤーX1に割り当てられたカードC1のパラメータにレイヤーX1と枝別れして繋がる下位のレイヤーY1,Y2,Z1,Z2,Z3に割り当てられたカードのそれぞれについて補正されたパラメータを加算して補正されたカードC1のパラメータとする。すなわち、カードC1の攻撃パラメータは、カードC1、C6、C7、C8、C9、C10、C16、C24の攻撃パラメータを加算した値とする。このとき、カードC6、C7、C8、C9、C10、C16、C24についてはステップS12において補正されたパラメータを用いる。そうすると、カードC1の攻撃パラメータは、97+62.4+62.4+51.8+35.04+34.56+18.4+5.6=367.2となる。同様に、カードC1の防御パラメータは、99+70.4+66.4+56+34.06+33.12+20+7.84=386.82となる。同様に、他の最上位のレイヤーX2〜X5のカードについてもレイヤー間の関係に基づいてパラメータの補正処理を行う。
【0045】
なお、レイヤー間の関係に基づくパラメータの補正処理は、上記例に限定されるものではない。例えば、各レイヤーに割り当てられたカードのパラメータを引数とした関数を設定しておき、当該関数に各レイヤーに割り当てられたカードのパラメータを代入して得られた値としてもよい。このとき、代入するパラメータとしてステップS12において下位のレイヤーに割り当てられたカードについて補正されたパラメータを用いることが好適である。
【0046】
また、ここまでの説明では、味方カード30のパラメータの補正処理について説明したが、敵カード32のパラメータの補正処理も同様に行えばよい。
【0047】
ステップS16では、補正されたパラメータを用いた対戦処理が行われる。ここでの処理によって、電子ゲーム装置100は対戦処理手段として機能する。
【0048】
処理部10、ステップS14において補正されたパラメータを用いて味方カード30と敵カード32との対戦処理を行う。対戦処理は、従来と同様に、最上位のレイヤーに割り当てられた味方カード30及び敵カード32の間で行われる。ただし、最上位のレイヤーに割り当てられたカードのパラメータは、より下位のレイヤーに割り当てられたカードのパラメータを承継して補正されているので、下位のレイヤーに割り当てられたカードも間接的に対戦に使用されることになる。
【0049】
このように、本実施の形態における電子ゲーム処理方法では、直接対戦を行うカードのみならず、従来では単にストックされていたようなカードも用いて対戦を行うことができる。プレイヤは、レイヤー毎の補正及びレイヤー間の補正を考慮してカードの割り当てを行う必要があり、カードが増えるにつれてゲームの戦略性が高まる。したがって、プレイヤは、集めたカードを十分に利用してゲームを楽しむことができる。また、ゲームの進行等に伴って、既に保有しているアイテムよりも強いアイテムを入手したような場合であっても、使用されるアイテムが固定化されることがなく、プレイヤが新たなカードを入手しようとする動機付けを与えることができる。
【0050】
なお、レイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法(アイテム補正係数やアイテム補正関数)は、レイヤー毎に予め定めてレイヤーデータベースに登録しておけばよい。また、レイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法は、電子ゲームの進行状況、電子ゲームをプレイした時間・回数・頻度、各レイヤーに割り当てられたカードの枚数、各レイヤーに割り当てられたカードの組み合わせ等に応じて変更するようにしてもよい。これにより、アイテムパラメータ補正手段におけるアイテムパラメータの補正が状況に応じて変更される。
【0051】
例えば、電子ゲームが進行するにつれて味方カード30がより強くなるよう又は敵カード32がより弱くなるようにレイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法を設定するようにしてもよい。具体例として、下位レイヤーに割り当てられた味方カード30に対するアイテム補正係数を電子ゲームの進行と共に大きくしたり、下位レイヤーに割り当てられた敵カード32に対するアイテム補正係数を電子ゲームの進行と共に小さくしたりすればよい。通常は電子ゲームの進行と共に敵カード32のパラメータはより強くなるように設定されるので、それに応じて味方カード30も強くなるよう又は敵カード32がより弱くなるようにレイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法を設定することで、レイヤーへのカードの割り当ての重要度が増し、戦術的な要素が高まるからである。
【0052】
また、電子ゲームをプレイした時間が長いほど、電子ゲームをプレイした回数が多いほど、電子ゲームをプレイした頻度(単位時間当たりのプレイ時間)が高いほど、味方カード30がより強くなるように補正されるようにレイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法を設定するようにしてもよい。具体例として、電子ゲームをプレイした時間が長いほど、又は電子ゲームをプレイした回数が多いほど、又は電子ゲームをプレイした頻度(単位時間当たりのプレイ時間)が高いほど、下位レイヤーに割り当てられた味方カード30に対するアイテム補正係数を大きくしたり、下位レイヤーに割り当てられた敵カード32に対するアイテム補正係数を小さくしたりすればよい。これにより、ユーザが電子ゲームをプレイしたくなるように動機を与えることができる。
【0053】
また、レイヤーに割り当てられたカードの枚数の変化に応じて、そのレイヤーのレイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法を変更するようにしてもよい。また、カード各レイヤーに割り当てられたカードの組み合わせに応じて、そのレイヤーのレイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法を変更するようにしてもよい。これにより、プレイヤが所有するカードの枚数の増減やカードの組み合わせに応じて、カード全体による攻撃力や防御力を調整することができる。
【0054】
ただし、レイヤー毎のアイテムパラメータの補正方法の変更方法は、これらの例に限定されるものではなく、様々な方法を採用することができる。
【0055】
また、レイヤー間の補正処理の方法は、予め定めておけばよい。また、レイヤー間の補正処理の方法は、電子ゲームの進行状況、電子ゲームをプレイした時間・回数・頻度、各レイヤーに割り当てられたカードの枚数、各レイヤーに割り当てられたカードの組み合わせ等に応じて変更するようにしてもよい。これにより、レイヤー間パラメータ補正手段におけるアイテムパラメータの補正が状況に応じて変更される。
【0056】
例えば、電子ゲームが進行するにつれて味方カード30がより強くなるよう又は敵カード32がより弱くなるようにレイヤー間の補正処理の方法を設定するようにしてもよい。具体例として、下位のレイヤーから上位のレイヤーに承継される味方カード30のパラメータの割合を電子ゲームの進行と共に大きくしたり、下位のレイヤーから上位のレイヤーに承継される敵カード32のパラメータの割合を電子ゲームの進行と共に小さくしたりすればよい。通常は電子ゲームの進行と共に敵カード32のパラメータはより強くなるように設定されるので、それに応じて味方カード30も強くなるよう又は敵カード32がより弱くなるようにレイヤー間の補正処理の方法を設定することで、レイヤーへのカードの割り当ての重要度が増し、戦術的な要素が高まるからである。
【0057】
また、電子ゲームをプレイした時間が長いほど、電子ゲームをプレイした回数が多いほど、電子ゲームをプレイした頻度(単位時間当たりのプレイ時間)が高いほど、味方カード30がより強くなるように補正されるようにレイヤー間の補正処理の方法を設定するようにしてもよい。具体例として、電子ゲームをプレイした時間が長いほど、又は電子ゲームをプレイした回数が多いほど、又は電子ゲームをプレイした頻度(単位時間当たりのプレイ時間)が高いほど、下位のレイヤーから上位のレイヤーに承継される味方カード30のパラメータの割合を大きくしたり、下位のレイヤーから上位のレイヤーに承継される敵カード32のパラメータの割合を小さくしたりすればよい。これにより、ユーザが電子ゲームをプレイしたくなるように動機を与えることができる。
【0058】
また、レイヤーに割り当てられたカードの枚数の変化に応じて、レイヤー間の補正処理の方法を変更するようにしてもよい。また、カード各レイヤーに割り当てられたカードの組み合わせに応じて、レイヤー間の補正処理の方法を変更するようにしてもよい。これにより、プレイヤが所有するカードの枚数の増減やカードの組み合わせに応じて、カード全体による攻撃力や防御力を調整することができる。
【0059】
ただし、レイヤー間の補正処理の変更方法は、これらの例に限定されるものではなく、様々な方法を採用することができる。
【0060】
また、各レイヤーに割り当てられたカードは、レイヤー間において入れ替えることができるようにしてもよい。この処理によって、電子ゲーム装置100はアイテム入替手段として機能する。例えば、1回の対戦が終了する毎に、上記ステップS10と同様に、各レイヤーにカードを割り当てる処理を行うようにしてもよい。また、プレイヤに新たなカードが与えられた場合、上記ステップS10と同様に、各レイヤーにカードを割り当てる処理を行うようにしてもよい。レイヤー間においてカードの交換ができるようにすることで、電子ゲームの戦略性を高めることができる。
【0061】
また、レイヤーの総数及びレイヤー間の関係(ツリー構造)は、予め定めておけばよい。また、レイヤーの総数又はレイヤー間の関係(ツリー構造)は、電子ゲームの進行状況、電子ゲームをプレイした時間・回数・頻度等に応じて変更するようにしてもよい。これらの処理によって、電子ゲーム装置100はレイヤー数変更手段又はレイヤー関係変更手段として機能する。
【0062】
例えば、電子ゲームが進行するにつれてプレイヤが所有するカードの枚数も多くなるので、レイヤーの総数を増加させるようにしてもよい。また、電子ゲームをプレイした時間が長いほど、電子ゲームをプレイした回数が多いほど、電子ゲームをプレイした頻度(単位時間当たりのプレイ時間)が高いほど、レイヤーの総数を増加させるようにしてもよい。なお、レイヤーの数を増やした場合には、新たに増やしたレイヤーをレイヤーデータベースに登録する。これにより、電子ゲームの進行状況、電子ゲームをプレイした時間・回数・頻度に応じて、プレイヤが選択できる戦術が増え、電子ゲームの戦略性を高めることができる。
【0063】
また、電子ゲームの進行状況や電子ゲームをプレイした時間・回数・頻度等に応じて、なんらかの条件が成り立った場合にレイヤー間の関係(ツリー構造)をプレイヤが変更できるようにしてもよい。例えば、電子ゲームに設定されたボーナスステージに突入した場合、レイヤー間の関係(ツリー構造)をプレイヤが自由に組み替えることができるようにしてもよい。この場合、図9に示すように、ノードとなるレイヤーを入れ替えたり、レイヤー間を繋ぐ枝を変更したりできるようにすることが好適である。なお、レイヤー間の関係を変更した場合、新たなレイヤー間の関係をレイヤーデータベースに登録する。
【0064】
また、本実施の形態では、補正されるパラメータを攻撃力及び防御力としたが、これに限定されるものではない。下位レイヤーに割り当てられたカードに特有の特性が与えられている場合、上位レイヤーにその特性が承継されるように処理してもよい。
【0065】
例えば、図7の例では、レイヤーY1に割り当てられているカードC7は特殊攻撃M4が可能であるとされているので、レイヤーY1が属するツリー構造の最上位のレイヤーX1に割り当てられたカードC1においても特殊攻撃M4を用いることができるようにする。このとき、カードC7に与えられた特殊攻撃M4をカードC1にてそのまま使用できるようにしてもよいし、割り当てられたレイヤーや他のレイヤーとの関係に応じて何らかの制限を設けるようにしてもよい。
【0066】
なお、カードに特有の特性は、特殊な攻撃の特性に限定されるものではなく、電子ゲームにおいて各カードに与えられる特性であればよい。
【0067】
また、本実施の形態では、カード型対戦ゲームを例に説明したが、本発明はカード以外のアイテムを使用するゲームに適用することもできる。例えば、ロールプレイングゲームにおいて、キャラクタに装備する武器、防具、道具、魔法等をレイヤーに割り当て、レイヤー毎の補正処理やレイヤー間の補正処理を同様に適用してキャラクタに与えられるパラメータを補正してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 処理部、12 記憶部、14 入力部、16 出力部、18 通信部、30 味方カード、32 敵カード、100 電子ゲーム装置、200 ゲーム画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9