(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(Computed_Tomography:CT)画像とポジトロン断層法(Positron_Emission_Tomography:PET)画像のように異なる画像情報を同時に得るための従来手法として、両画像の重ね合わせ表示がある。
図4は、CT画像とPET画像とに重ね合わせ処理を施して表示する一例を示す図である。この手法では、CT画像とPET画像とそれぞれの画像の各画素に対して測定値に応じた透明度の分布(オパシティカーブ)や色の分布(カラーマップ)を設定した上で、両画像を重ね合わせて表示する。これにより医師は、CT画像が有する形態情報とPET画像が有する機能情報とを合わせた画像情報を1枚の画像から得ることができる。ここで形態情報とは体内臓器および骨等の形態を示す情報である。例えばCT、X線撮影装置、核磁気共鳴画像法(Magnetic_Resonance_Imaging:MRI)等により撮影された形態情報を有する画像を、形態画像と呼ぶ。機能情報とは、体内臓器の動きや血流、代謝等を示す情報である。機能情報から医師は、例えば腫瘍や心筋梗塞などの病変を知ることができる。PETや単一光子放射断層撮影(Single_Photon_Emission_Computed_Tomography:SPECT)等により撮影された機能情報を有する画像を、機能画像と呼ぶ。
【0003】
しかし、異なる複数の画像を重ね合わせ表示する手法では、観察に不要な領域も重ね合わせて表示されてしまう。例えば
図4において、PET画像における病変領域はCT画像における骨領域と重ね合わせられ、情報が混雑し見えづらくなっている。すなわちこの手法による重ね合わせ表示手法では、画像における各画素値に対して観察対象領域か否かに関わらず重ね合わせが行われるため、表示画像において情報が混雑し、観察対象領域と非観察対象領域との区別がつきにくく、医師にとって当該画像の読影が困難である。
【0004】
また、一方の画像の測定値に基づいて他方の画像に対して画像処理を行う手法がある。具体的には、一方の画像の測定値から観察対象領域の観察を阻害する阻害領域を特定し、その阻害領域を削除した画像と他方の画像とを重ね合わせ表示することにより、阻害領域を除去した上で観察対象領域をよく観察することができる。
【0005】
しかしこの手法では、削除領域に関する画像情報の一切が失われ、測定値が例えば時間軸でどのように推移するかという情報が得られない問題がある。また、阻害領域と判定されなかった領域では上記手法と同様の重ね合わせを行うことから、やはり情報が混雑し、医師にとって当該画像の読影が困難である。
【0006】
以上のように複数の画像情報を1枚の画像から得ようとして2つの画像を重ね合わせて表示すると、観察対象領域の情報が混雑し、医師にとって当該画像の読影が困難になってしまうという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用画像処理装置、医用画像処理方法および医用画像診断装置を説明する。本実施形態に係る医用画像処理装置は、表示対象のベース画像と前記ベース画像と撮像部位が略一致するサブ画像とを記憶する記憶部と、前記ベース画像に含まれる複数の画素の各々について、前記画素の画素値に基づいて前記ベース画像の表示に関する第1パラメータを決定する第1決定部と、前記サブ画像に含まれる複数の画素の各々について、前記画素の画素値に基づいて前記サブ画像の表示に関する第2パラメータを決定する第2決定部と、前記ベース画像に含まれる複数の画素の各々について前記ベース画像の画素の画素値と前記サブ画像の画素の画素値との両方を反映した表示画像の表示に関する第3パラメータを、前記第1パラメータと前記第2パラメータとに基づいて決定する第3決定部と、を有する。
本実施形態に係るベース画像は、形態画像であっても良いし機能画像であっても良い。また、サブ画像は同様に、形態画像であっても良いし機能画像であっても良い。形態画像は形態的な情報を示す画像であり、例えば体内臓器や骨等の形態的な情報を示す画像である。形態画像は具体的には例えば、X線CT装置やX線撮影装置、磁気共鳴イメージング装置等により発生されたオリジナルの画像である。機能画像は機能的な情報を示す画像であり、例えば心筋壁運動量、駆出率等の、注目部位の動きパラメータや、血流量、血液量、平均通過時間、ウォッシュアウトレート等の血流に関係するパラメータ等を示す情報を含む画像である。機能画像は具体的には例えば、PET装置やSPECT装置等により発生されたオリジナルの画像である。以下の説明を具体的にするため、本実施形態ではベース画像は形態画像であり、サブ画像は機能画像であるとする。さらに説明を具体的にするため、本実施形態ではベース画像はCT画像であり、サブ画像はPET画像であるとする。CT画像とPET画像とは、被検体の略同一部位を対象として撮影したものとする。
以下の説明において、医用画像処理装置はPET/CT装置10に組み込まれているものとする。なお、医用画像処理装置は、PET/CT装置10以外のモダリティに組み込まれても良いし、単独で用いられても良い。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0012】
図1は、本実施形態に係るPET/CT装置10の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るPET/CT装置10は、CTスキャナ20と、CT投影データ収集部30と、形態画像発生部40と、PETスキャナ50と、PET投影データ収集部60と、機能画像発生部70と、を備えている。
【0013】
CTスキャナ20は、被検体をX線でCTスキャンする。具体的には、CTスキャナ20は、被検体が載置される中空部(図示せず)を挟んで向き合うようにX線管(図示せず)とX線検出器(図示せず)とを搭載している。X線管は、X線を発生する。X線検出器は、X線管から発生され被検体を透過したX線を検出し、検出されたX線のエネルギーに応じた電気信号を生成する。X線管とX線検出器とは、中空部周りに回転しながらX線発生とX線検出とをそれぞれ繰り返す。
【0014】
CT投影データ収集部30は、CTスキャナ20からの電気信号に前処理をして投影データ(以下、CT投影データと呼ぶ)を収集する。CT投影データ生成用の前処理は、対数変換や感度補正、ビームハードニング補正等を含む。
【0015】
形態画像発生部40は、形態画像を発生する。具体的には形態画像発生部40は、CT投影データに基づいて所定の再構成断面に関するCT画像のデータを発生する。CT画像を構成する各画素に割り付けられた画素値は、X線の透過経路上の物質に関するX線減弱係数(吸収係数)に応じたCT値を有する。形態画像発生部40で発生されたCT画像は、後述する記憶部500に記憶される。
【0016】
PETスキャナ50は、被検体をガンマ線でPETスキャンする。具体的には、PETスキャナ50は、被検体を載置する中空部周りに沿ってリング状に配列されたガンマ線検出器(図示せず)を搭載する。ガンマ線検出器は、被検体から放出されたガンマ線を繰り返し検出し、検出されたガンマ線のエネルギーに応じた電気信号を繰り返し生成する。
【0017】
PET投影データ収集部60は、PETスキャナ50からの電気信号に信号処理をして投影データ(以下、PET投影データと呼ぶ)を生成する。信号処理は、位置計算処理やエネルギー計算処理、同時計数処理、前処理等を含む。PET投影データ生成用の前処理は、例えば、感度補正やランダム補正、散乱線補正等を含む。
【0018】
機能画像発生部70は、機能画像を発生する。具体的には機能画像発生部70は、PET投影データに基づいて、CT画像の再構成断面と略同一位置の再構成断面に関するPET画像のデータを発生する。PET画像を構成する各画素に割り付けられた画素値は、放射性同位元素の濃度に応じたカウント値を有する。機能画像発生部70で発生されたPET画像は、後述する記憶部500に記憶される。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るPET/CT装置10はCTスキャナ20と、CT投影データ収集部30と、形態画像発生部40と、PETスキャナ50と、PET投影データ収集部60と、機能画像発生部70との他に、医用画像処理装置100を備えている。
【0020】
医用画像処理装置100は、制御部200を備えている。制御部200は、画像取得部210と、画像選択部220と、画像位置合わせ部230と、第1決定部240と、第2決定部250と、第3決定部260と、を備えている。
【0021】
制御部200は、制御部200に含まれる各種構成要素を統括的に制御する。制御部200は、中央演算処理装置(Central_Processing_Unit:以下、CPUと呼ぶ)等により実現される。制御部200は、PET/CT装置10の中枢として、各構成要素を統括的に制御する。
【0022】
画像取得部210は、後述する記憶部500から処理対象のCT画像とPET画像とを取得する。
【0023】
画像選択部220は、取得された複数の画像の中から、ベース画像1枚とサブ画像1枚以上とを選択する。ここで、表示対象の画像をベース画像と呼ぶ。また、ベース画像に対して補正処理を行うための画像をサブ画像と呼ぶ。画像選択部220は、選択した複数の画像を画像選択部220が有するメモリ(図示せず)へ記憶する。なお、複数の画像は、複数のモダリティで撮影されたものでも良いし、単一のモダリティで撮影されたものでも良い。
【0024】
画像位置合わせ部230は、画像選択部220が有するメモリに保存されたベース画像とサブ画像との位置合わせを行う。ベース画像とサブ画像との位置合わせアルゴリズムは、特に限定されない。
【0025】
第1決定部240は、ベース画像に含まれる複数の画素の各々について、画素の画素値に基づいてベース画像の表示に関する第1パラメータを決定する。画像の表示に関するパラメータは例えば、Opacity(不透明度)やColor(色値)である。以下の説明をわかりやすくするため、ベース画像およびサブ画像の表示に関するパラメータは不透明度と色値であるとする。なお第1決定部240は、ベース画像における注目部位を観察しやすいようベース画像の画質に関するパラメータを調整することもできる。
【0026】
第2決定部250は、サブ画像に含まれる複数の画素の各々について、画素の画素値に基づいてサブ画像の表示に関する第2パラメータを決定する。なお第2決定部250は、サブ画像における注目部位を観察しやすいようベース画像の画質に関するパラメータを調整することもできる。
【0027】
第3決定部260は、ベース画像に含まれる複数の画素の各々についてベース画像の画素の画素値とサブ画像の画素の画素値との両方を反映する表示画像の表示に関する第3パラメータを決定する。具体的には第3決定部260は、ベース画像に含まれる複数の画素の各々についてベース画像の画素の画素値とサブ画像の画素の画素値との両方を反映する表示画像の表示に関する第3パラメータを、ベース画像の表示に関する第1パラメータとサブ画像の表示に関する第2パラメータとに基づいて決定する。
【0028】
図1に示すように、医用画像処理装置100は制御部200の他に、表示部300と、入力部400と、記憶部500と、インターフェース部600と、を備えている。
【0029】
表示部300は、種々の情報をモニタに表示する。表示部300は、候補閾値を表示する。表示部300としては例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が適宜利用可能である。
【0030】
入力部400は、入力機器による操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。
【0031】
記憶部500は、表示対象のベース画像と前記ベース画像と撮像部位が略一致するサブ画像とを記憶する。記憶部500は、種々の情報を記憶する記憶装置である。HDD(Hard_Disk_Drive)等により実現される大容量の記憶装置である。なお近年容量の増加によりSSD(Solid_State_Drive)が使用されることもある。
【0032】
インターフェース部600は、ネットワークを介して図示していない医療用画像管理システム(Picture_Archiving_and_Communication_System:PACS)や他のコンピュータに接続される。インターフェース部600は、接続された外部装置とDICOM(Digital_Imaging_and_Communication_in_Medicine)規格に準拠したデータ通信を行う。
【0033】
次に、本実施形態のPET/CT装置10により撮影され記憶部500に記憶されたPET画像によりCT画像を画像補正して表示する典型的な流れについて説明する。
図2は、
図1の医用画像処理装置100に係る画像補正表示の典型的な流れを示す図である。なお、記憶部500には各撮影における一連のCT画像とPET撮影とが関連付けて記憶してあるとする。以下の医用画像処理は一連のCT画像とPET画像とのうちの、例えば撮影時刻が対応するCT画像とPET画像との一組に対して行われる。
【0034】
はじめに制御部200は画像取得部210に、記憶部500から画像処理対象の一連の時系列のCT画像とPET画像とを取得させる(ステップS11)。なおCT画像とPET画像とは、入力部400を介した操作者の指示により取得されても良い。
【0035】
ステップS11が行われると制御部200は画像選択部220に、ステップS11で取得されたCT画像とPET画像の中から、ベース画像1枚とサブ画像1枚とを選択させる(ステップS12)。ここで画像補正を行う対象となる画像であるベース画像は、先に定義したようにCT画像を示す。ベース画像に対して補正処理を行うためのサブ画像は、PET画像を示す。なおサブ画像は複数枚でも良い。なおCT画像とPET画像とは、入力部400を介した操作者の指示により選択されても良い。
【0036】
ステップS12が行われると制御部200は画像位置合わせ部230に、画像選択部220のメモリに保存されたベース画像とサブ画像との位置合わせを行わせる(ステップS13)。ステップS13において画像位置合わせ部230は例えば、ベース画像とサブ画像とのそれぞれに解剖学的同一部位の画素同士の対応づけにより位置合わせを行う。ベース画像とサブ画像との位置合わせアルゴリズムは、特に限定しない。
【0037】
ステップS13が行われると制御部200は第1決定部240に、ベース画像に含まれる複数の画素の各々について、画素の画素値に基づいてベース画像の表示に関する第1パラメータを決定させる(ステップS14)。ステップS14において第1決定部240は、ベース画像であるCT画像に対して、自動または操作者の手動操作によりCT値に応じた不透明度と色値との表示パラメータ、ウインドウレベル/ウインドウ幅の調整を行う。画質調整後の画像上において、CT値p(pは−1000〜1000の実数)を有する座標における不透明度をO
CT(p)と定義する。ここで、不透明度O
CTは0.0〜1.0の値をとり、0.0で完全に透明、1.0で完全に不透明であるものとする。また、画質調整後の画像上のCT値pの座標における色値をC
CT(p)と定義する。ここで、色値C
CTはRGBで表記するものとし、C
CT(p)=(R(C
CT),G(C
CT),B(C
CT))と表記する。R(C
CT)(以下、R要素と呼ぶ),G(C
CT)(以下、G要素と呼ぶ)およびB(C
CT)(以下、B要素と呼ぶ)はそれぞれ0〜255の値をとる。以上により、ベース画像の表示に関する当初のパラメータが決定される。
【0038】
ステップS14が行われると制御部200は第2決定部250に、サブ画像に含まれる複数の画素の各々について、画素の画素値に基づいてサブ画像の表示に関する第2パラメータを決定させる(ステップS15)。ステップS15において第2決定部250は、サブ画像であるPET画像に対して、自動または操作者の手動操作によりCT値に応じたOpacity(不透明度)やColor(色値)、ウインドウレベル/ウインドウ幅の調整を行う。サブ画像であるPET画像は、CT値に対応するSUV(Standardized_Uptake_Value)値という指標を有する。SUV値は測定されたPET値に基づいて算出される値で、病変への放射性薬剤の集積程度を示す指標である。ここでベース画像と同様に、SUV値qの座標における不透明度をO
PET(q)と定義する。SUV値qの座標における色値をC
PET(q)と定義する。以上により、サブ画像の表示に関する当初のパラメータが決定される。
【0039】
ステップS15が行われると制御部200は第3決定部260に、ベース画像に含まれる複数の画素の各々についてベース画像の画素の画素値とサブ画像の画素の画素値との両方を反映する表示画像の表示に関する第3の表示パラメータを決定させる(ステップS16)。ステップS16において第3決定部260は、ベース画像に含まれる複数の画素の各々についてベース画像の画素の画素値とサブ画像の画素の画素値との両方を反映する表示画像の表示に関する第3パラメータを、ベース画像の表示に関する第1パラメータとサブ画像の表示に関する第2パラメータとに基づいて決定する。第3決定部260は、第2パラメータと第3パラメータとが正の相関を有するようベース画像に関する第3パラメータを決定する。ここで、正の相関とは、両者が同様の傾向を示す関係、すなわち一方が高ければ高いほど他方も高くなる関係、または一方が低ければ低いほど他方も低くなる関係を言う。
【0040】
具体的には第3決定部260は、サブ画像すなわちPET画像のSUV値を用いて、ベース画像すなわちCT画像の表示に関する第3パラメータを決定する。
【0041】
第3パラメータのうち、はじめに不透明度の決定について説明する。CT値pの座標におけるCT画像の不透明度をO
CT(p)、SUV値qの座標におけるPET画像の不透明度をO
PET(q)とする。補正処理後のCT画像の不透明度O’
CTを以下の式で表す。
【0043】
ここでfは補正関数で、CT画像のCT値pとPET画像のSUV値q、不透明度に関するCT画像に対するPET画像の寄与率αにより定義される。本実施形態において補正関数fは、式(1)または式(2)で定義される。
f(p,q,α)=O
CT(p)−α(1−O
PET(q)) …(1)
f(p,q,α)=O
CT(p)・exp{−α(1−O
PET(q))} …(2)
ここでfは、O
PETの値が小さいほどfの値が小さくなるように定義される。ここで寄与率αは、補正された表示画像におけるサブ画像の不透明度O
PETの寄与率である。αが大きくなると補正の度合いは強くなり、αが0になると補正は行われない。αの最大値は1である。なお寄与率αは、表示の際のパラメータとして医師が入力部400を介して自由に設定できるものとする。
【0044】
式(1)または式(2)の補正関数fを用いてO’
CTを画像表示することで、PET画像の中で不透明度の低い透明な領域は、補正処理後の画像でも透明に表示されることになるなど、表示画像の不透明度O’
CTがO
PETと同様の傾向を示すようになる。
【0045】
次に第3パラメータのうち、色値の決定について説明する。同様に、サブ画像すなわちPET画像のSUV値を用いて、ベース画像すなわちCT画像の色値の補正処理を行う。CT値pの座標におけるCT画像の色値をC
CT(p)、SUV値qの座標におけるPET画像の色値をC
PET(q)とする。補正処理後のCT画像の色値をC’
CTとし、C’
CTのR要素を以下の式で表す。
【0047】
ここでgは補正関数で、CT画像のCT値pとPET画像のSUV値q、色値に関するCT画像に対するPET画像の寄与率βにより定義される。本実施形態において補正関数gは式(3)または式(4)として定義される。
g(p,q,β)=R(C
CT(p))−β(255−R(C
PET(q))) …(3)
g(p,q,β)=R(C
CT(p))・exp{−β(255−R(C
PET(q)))}
…(4)
ここでgは、O
PETの値が小さいほどgの値が小さくなるように定義される。ここで寄与率βは、補正された表示画像におけるサブ画像のR要素C
PETの寄与率である。βが大きくなると補正の度合いは強くなり、βが0になると補正は行われない。βの最大値は1である。なお寄与率βは、表示の際のパラメータとして医師が入力部400を介して自由に設定できるものとする。
【0048】
式(3)または式(4)の補正関数gを用いてC’
CTを画像表示することで、PET画像の中でR要素の小さい領域は、補正処理後の画像でもR要素が小さく表示されることになるなど、表示画像の色値C’
CTのR要素がC
PETのR要素と同様の傾向を示すようになる。C’
CTのG要素、B要素に対しても同様の処理を行う。
【0049】
ステップS16が行われると制御部200は表示部300に、第3パラメータに応じてベース画像を表示させる(ステップS17)。ステップS16において表示部300は、第3パラメータに応じて補正されたベース画像すなわち表示画像を表示する。表示部300に表示された画像は、形態情報を有するCT画像を主体としながら、PET画像のSUV値分布という機能情報を反映した画像である。
図3は、
図1の機能画像発生部70により発生されたサブ画像(PET画像)によりベース画像(CT画像)を補正した表示画像の表示の一例を示す図である。表示画像は、CT画像の形態情報を主体としながら、PET画像におけるSUV値が高い範囲すなわち病変などの存在範囲を強調する図である。すなわち
図3に示す表示画像は、形態情報と機能情報とを反映する。しかも
図4の重ね合わせ画像と異なり、観察対象領域が明確に区別できる。なお、表示画像は他の画像例えばサブ画像と位置整合して重ね合わせられて表示されても良い。
【0050】
以上、CT画像をベース画像、PET画像をサブ画像として説明してきたが、本実施形態はそれにとらわれない。ベース画像は形態画像でも良いし、機能画像でも良い。サブ画像は形態画像でも良いし、機能画像でも良い。また、モダリティもPET/CT装置にとらわれない。X線撮影装置、MRI、SPECTなどでも良い。また画像の種類も、CT画像、PET画像にとらわれない。単純X線画像、MRI画像、超音波断層画像、血管造影画像、赤外線トポグラフィ装置画像、SPECT画像などでも良い。
【0051】
上記のとおり、本実施形態に係る医用画像処理装置によれば、サブ画像によってベース画像を補正できる。補正処理により得られた表示画像は、CTの不透明度や色値などの表示パラメータがPET画像の表示パラメータと同様の傾向を有する。複数画像の情報が得られる1枚の画像の読影のしやすさを向上することができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。