(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.実施形態:
[LTCC基板の構成]
図1は、本発明の一実施形態としてのLTCC基板10の構成を示す概略図である。LTCC基板10は、焼成温度が1000℃以下である低温焼成によって作製されるセラミック基板であり、例えば、コンピューターや通信機器等で用いられる電子部品や、高周波モジュール、ICパッケージ、配線基板などに用いられる。LTCC基板10は、複数のセラミック層が積層された多層構造を有しており、第1セラミック層11aと、第2セラミック層11bと、を含む。
【0014】
第1セラミック層11aは、厚みが85μm以上のセラミック層であり、第2セラミック層11bは、厚みが85μm未満のセラミック層である。つまり、第1セラミック層11aの方が、第2セラミック層11bよりも厚みが厚い。第1セラミック層11aの厚みと第2セラミック層11bの厚みとは、20μm以上の差があることが望ましい。なお、LTCC基板10は、第1セラミック層11aとして、85μm以上の異なる厚みを有する複数のセラミック層を有していても良い。また、第2セラミック層11bとして、85μm未満の異なる厚みを有する複数のセラミック層を有していても良い。LTCC基板10における第1セラミック層11aおよび第2セラミック層11bの積層数や、積層の順番は特に限定されない。
【0015】
本実施形態のLTCC基板10において、第1セラミック層11aおよび第2セラミック層11bは、略同一組成のガラス成分と、略同一組成の無機フィラー(以下、単に「フィラー」と呼ぶ。)と、を有している。本明細書において、「略同一組成」とは、実質的に同一の性質を有していることを意味している。ガラス成分については、例えば、ガラス転移点またはガラス軟化点の少なくとも一方が、示唆熱分析(TDA)による計測値において、±10℃の範囲で一致していれば、略同一組成のガラス成分であるとみなすことができる。一方、フィラーについては、例えば、耐熱温度や熱収縮率が±10%の範囲内で同じであるものは、略同一組成のフィラーであるとみなすことができる。その他に、ガラス成分およびフィラーのいずれについても、「略同一組成」には、含有されている複数の成分のそれぞれの含有割合(例えば、重量%)が、±10%の範囲内で異なっている場合や、含有割合が全体の50%以上を占める主成分の種類が同一である場合などが含まれる。
【0016】
本実施形態のLTCC基板10では、第2セラミック層11bに含まれているフィラーの平均粒径は、第1セラミック層11aに含まれているフィラーの平均粒径よりも大きい。本明細書において、フィラーの平均粒径は、いずれもD50(メジアン径)における平均粒径である。フィラーの平均粒径の測定方法については後述する実施例において説明する。本実施形態のLTCC基板10では、厚みが小さい第2セラミック層11bに、平均粒径が大きいフィラーを含有させていることによって、後述する焼成工程において反りやひずみなどの変形が生じてしまうことが抑制されている。
【0017】
各セラミック層11a,11bの表層には、銀を主成分とする銀系の導体材料によって、配線層12が形成されている。各セラミック層11a,11bの間に位置する配線層12は、内層電極13を有し、LTCC基板10の最外表面に位置する配線層12は、外部電極14を有する。配線層12は、本発明における電極層の下位概念に相当する。各配線層12は各セラミック層11a,11bに設けられている貫通孔であるビア(via)に配置されているビア電極15を介して電気的に接続されている。LTCC基板10の最外表面に位置する配線層12には、外部電極14に接続される抵抗体等の受動素子やIC等の能動素子などが配置される。本明細書では、受動素子や能動素子についての図示および詳細な説明は省略する。
【0018】
[LTCC基板の製造工程]
図2,
図3を参照して、LTCC基板10の製造工程の一例を説明する。
図2は、LTCC基板10の製造工程の手順を示す工程図である。
図3は、以下に説明するLTCC基板10の製造工程のうちの工程1〜工程4の内容を示す模式図である。
【0019】
工程1では、セラミック層11a,11bの原料粉末として、ガラス粉末21と、フィラー22と、が準備される。ガラス粉末21としては、例えば、ホウケイ酸系ガラス粉末が用いられる。フィラー22としては、例えば、アルミナ粉末が用いられる。
【0020】
工程2では、工程1で準備されたフィラー22を複数のロットに分け、それぞれのロットごとに、フィラーの平均粒径が異なる複数種類のスラリーが作製される。本実施形態では、フィラー22を2つのロット22a,22bに分け、フィラーの平均粒径が異なる2種類のスラリー25a,25bが作製される。まず、各ロット22a,22bは、バインダー成分や、可塑剤、溶剤などが加えられた上で、粉砕機において粉砕混合される。次に、粉砕混合の後の第1ロット22aに、工程1で準備されたガラス粉末21が混合されて、第1スラリー25aが生成される。同様に、粉砕混合の後の第2ロット22bに、工程1で準備されたガラス粉末21が混合されて、第2スラリー25bが生成される。
【0021】
ここで、工程2では、各ロット22a,22bを粉砕混合する所要時間によって各スラリー25a,25bに含まれるフィラーの平均粒径が調整される。各ロット22a,22bに対する粉砕混合の時間が長いほど、フィラーの平均粒径は小さくなる。粉砕混合の時間は、予め実験等によって求めておいた粉砕混合の時間とフィラーの平均粒径との間の対応関係に基づいて決定されることが望ましい。なお、粉砕混合の時間は、焼成後のセラミック層11a,11bに含まれるフィラーの平均粒径が、2.0μm以上となるように設定される。また、第2スラリー25bに含まれるフィラーの平均粒径が、第1スラリー25aに含まれるフィラーの平均粒径よりも大きくなるように、第1ロット22aの方が、第2ロット22bより、粉砕混合時間が長く設定される。
【0022】
工程3では、工程2で作製された複数種類のスラリーを用いて、厚みが異なる複数種類のグリーンシートが作製される。本実施形態では、第1スラリー25aおよび第2スラリー25bを、ドクターブレード法などによって、シート状に成形することにより、厚みの異なる2種類のグリーンシート26a,26bが作製される。第1グリーンシート26aは、第1スラリー25aを用いて作製され、第2グリーンシート26bは第2スラリー25bを用いて作製される。第1グリーンシート26aは焼成後に第1セラミック層11aを構成する。第2グリーンシート26bは焼成後に第2セラミック層11bを構成する。
【0023】
第1グリーンシート26aは、第2グリーンシート26bよりも厚みが大きくなるように作製される。第1グリーンシート26aは、第1セラミック層11aが85μm以上の厚みを有するように、焼成収縮を考慮した所定の厚み(例えば、100μm以上の厚み)を有するように作製される。第2グリーンシート26bも同様に、第2セラミック層11bが85μm未満の厚みを有するように、焼成収縮を考慮した所定の厚み(例えば、100μm未満の厚み)を有するように作製される。
【0024】
工程4では、工程3において作製された各グリーンシート26a,26bに、ビア電極15を配置するための貫通孔がパンチ加工などの穴開け加工によって形成される。そして、当該貫通孔に導体ペースト27が充填されるとともに、各グリーンシート26a,26bの表面に、スクリーン印刷法などの印刷によって導体ペースト27が印刷され、配線パターンが形成される。導体ペースト27は、未焼成の銀系導体材料であり、例えば、無機成分である銀系材料の粉末およびガラス粉末と、ワニス成分である樹脂および有機溶剤と、を混合して作製される。配線パターンが形成された後、各グリーンシート26a,26bが積層されることによって未焼成積層体28が構成される。
【0025】
工程5では、未焼成積層体28が低温焼成される。工程5における焼成温度は、各グリーンシート26a,26bに含まれるガラス成分のガラス転移温度に応じて予め設定された温度で良い。工程5の焼成温度は、例えば、750〜950℃程度の温度であって良い。工程5の後、LTCC基板10(
図1)が完成する。完成後のLTCC基板10の最外表面には、外部電極14に接続される受動素子や能動素子などが配置される。
【0026】
[LTCC基板における変形の抑制効果について]
一般に、多層構造を有するLTCC基板では、焼成の際に、基板面に沿った方向における各セラミック層の間の収縮率の差に起因して、反りや歪みなどの変形を生じる場合がある。焼成によるセラミック層の収縮率は、グリーンシートにおけるフィラーの充填密度に応じて変化することが知られている。
【0027】
本願発明の発明者は、自身の実験に基づいて、以下のような知見を得た。グリーンシートにおけるフィラーの充填密度は、グリーンシートの厚みが小さいほど減少する傾向にあり、特に、厚みが85
μm未満のセラミック層を構成するグリーンシートにおいて、厚みの減少に対するフィラーの充填密度の低下の割合が大きくなる。これは、グリーンシートの厚みが小さいほど、グリーンシートの乾燥速度が速くなり、グリーンシートが乾燥するまでの間のフィラーの沈降が抑制され、フィラーが充填されにくくなるためであると推察される。
【0028】
本実施形態のLTCC基板10の製造工程では、厚みが85
μm未満の第2セラミック層11bを構成する第2グリーンシート26bにおけるフィラーの平均粒径が第1グリーンシート26aにおけるフィラーの平均粒径よりも大きくされている。これによって、第2グリーンシート26bの乾燥の際のフィラーの沈降速度が高められており、第2グリーンシート26bにおけるフィラーの充填密度が高められている。従って、第1グリーンシート26aと第2グリーンシート26bとの間の厚みの差に起因するフィラーの充填密度の差が低減されており、各セラミック層11a,11b間の収縮率の差に起因する変形の発生が抑制されている。
【0029】
[実施例]
図4〜
図7を参照して、本実施形態のLTCC基板10における変形の抑制効果を検証した実験結果を説明する。
図4の表には、各サンプルS01〜
S15における各セラミック層11a,11bの厚みと、各セラミック層11a,11bにおけるフィラーの平均粒径と、各セラミック層11a,11bの間のフィラーの平均粒径の差と、が示されている。また、
図4の表には、各サンプルS01〜
S15の作製に用いられたスラリー25a,25bを作製する際の攪拌時間が示されている。加えて、
図4の表には、各サンプルS01〜
S15における変形の抑制効果についての評価結果として、「反り」と、「歪み」と、「寸法変化」と、それらの評価結果を踏まえた「総合評価結果」と、が示されている。各評価項目の評価方法については後述する。以下では、各サンプルS01〜
S15の製造条件と、フィラーの平均粒径の測定方法と、各評価項目の評価方法と、各サンプルS01〜
S15の評価結果に対する考察と、をこの順で説明する。
【0030】
[各サンプルS01〜
S15の製造条件]
以下に、
図3で説明した工程手順に即して、各サンプルS01〜
S15の製造条件を説明する。
【0031】
(1)工程1:以下の原料粉末を準備した。
・ガラス粉末:シリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、酸化ホウ素(B
2O
3)を主成分とするホウケイ酸系ガラス粉末(体積平均径(MV)5.9μm)
・フィラー:アルミナ粉末(平均粒径:4μm,比表面積:1.2m
2/g)
【0032】
(2)工程2:以下のように第1スラリーと第2スラリーとを作製した。
上記のアルミナ粉末を500g秤量し、アクリル系バインダーであるアクリル樹脂120gと、溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)と、可塑剤であるフタル酸ジオクチル(DOP)と、ともにアルミナ製のポットに入れて、
図4の表中に示された粉砕混合時間だけ粉砕混合した。その後、上記のホウケイ酸系ガラス粉末を500g秤量して追加し、約2時間にわたって混合した。
【0033】
(3)工程3:ドクターブレード法によって、第1スラリーを用いて第1グリーンシートを作製し、第2スラリーを用いて第2グリーンシートを作製した。第1グリーンシートおよび第2グリーンシートは、
図4の表に示されている第1セラミック層および第2セラミック層の厚みが得られるように、焼成による収縮率を考慮した厚みを有するように作製した。また、各グリーンシートは、焼成後の各サンプルS01〜
S15のサイズが、ほぼ100mm×100mmになるように作製した。
【0034】
(4)工程4,工程5:各グリーンシートに穴開け加工をした後、導体ペーストを用いて各グリーンシートに配線パターンを形成し、第1グリーンシートと第2グリーンシートとを複数枚ずつ組み合わせて未焼成積層体を構成した。その未焼成積層体を、焼成炉において、約850℃の焼成温度で、約30分間、低温焼成をおこない、各サンプルS01〜
S15を得た。
【0035】
[フィラーの平均粒径の測定方法]
鏡面研磨し、ガラスエッチングを施したLTCC基板の基板断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、5000倍の倍率で、所定の範囲の4視野を観察し、各フィラーの水平フェレ径を測定して、その平均値を算出した。「フィラーの水平フェレ径」とは、SEM画像において、フィラーを垂直方向(縦方向)に射影したときの射影像の横幅である。つまり、水平方向(横方向)において最も外側に位置するフィラーの端部同士の間の横方向における距離である。
【0036】
[評価方法および評価基準]
図5は、
図4の表における「反り」の評価方法を説明するための概略図である。
図5には、LTCC基板10の基板面が模式的に図示されている。各サンプルS01〜
S15について、表面粗さ計によって、基板面の2つの対角線に沿って高低差のプロファイルをとり、高低差の幅が200μm未満のものを「良(○)」とし、200μm以上のものを「不良(×)」とした。
【0037】
図6は、
図4の表における「歪み」の評価方法を説明するための概略図である。
図6には歪みが生じている状態のLTCC基板10の基板面が模式的に図示されている。LTCC基板10の隣り合う角同士を結ぶ4本の仮想直線L
1〜L
4に対するLTCC基板10の各端面との間の最短距離D
1〜D
4を求めた。各最短距離D
1〜D
4がいずれも50μm未満であったものを「良(○)」とし、各最短距離D
1〜D
4のうち、ひとつでも50μm以上であったものを「不良(×)」とした。
【0038】
図7は、
図4の表における「寸法変化」の評価方法を説明するための概略図である。
図7の上段には焼成前の未焼成積層体28の基板面が模式的に図示されており、下段には焼成後のLTCC基板10の基板面が模式的に図示されている。焼成前の各サンプルS01〜
S15の基板面に4つのマークM1〜M4を、焼成収縮率を考慮して、焼成後に90mmとなるような間隔で格子状に配列した。焼成後の各サンプルS01〜
S15において、横方向または縦方向に隣り合うマークM1〜M4間の距離d1〜d4を計測し、距離d1〜d4のいずれもが90±0.4mmの範囲内であったものについては「良(○)」とした。一方、距離d1〜d4のうち、ひとつでも90±0.4mmの範囲を超えていたものについては「不良(×)」とした。
【0039】
「総合評価」では、「反り」、「歪み」、「寸法変化」の3項目の全てにおいて「良(○)」であったものが「A」である。また、3項目のうちの2つが「良(○)」であったものが「B」であり、1つだけが「良(○)」であったものが「C」である。3項目の全てが「不良(×)」であったものは「D」である。
【0040】
[実施例の考察]
サンプルS01〜S13ではいずれも、第1セラミック層の厚みが85μm以上であり、第2セラミック層の厚みが85μm未満であった。また、第2セラミック層におけるフィラーの平均粒径が第1セラミック層におけるフィラーの平均粒径よりも大きくなっていた。また、サンプルS01〜S13では各セラミック絶縁層におけるフィラーの平均粒径が2.0μm以上であった。サンプルS01〜S13では、「反り」、「歪み」、「寸法変化」の評価項目のうちの少なくとも1つにおいて「良」の結果が得られた。
【0041】
これに対して
、第1セラミック層の厚みが85μm以上であり、第2セラミック層の厚みが85μm未満であるものの、各セラミック層におけるフィラーの平均粒径が同じであるサンプルS15で
は、「総合評価」が「D」であった。さらに、第1セラミック層におけるフィラーの平均粒径が2.0μ未満であるサンプルS14においても、「総合評価」が「D」であった。
【0042】
これらの結果から、厚みが85μm未満の第2セラミック層におけるフィラーの平均粒径を、厚みが85μm以上の第1セラミック層におけるフィラーの平均粒径より大きくし、各セラミック層におけるフィラーの平均粒径を2.0μm以上にすれば、焼成工程におけるLTCC基板の変形による劣化が抑制されることがわかる。なお、各サンプルS01〜
S15ではいずれも、第1セラミック層と第2セラミック層との間の厚みの差が20μm以上、かつ、70μm以下の範囲内であった。この結果から、第1セラミック層と第2セラミック層との間の厚みの差は20μm以上であることが望ましいことがわかる。また、第1セラミック層と第2セラミック層との間の厚みの差は70μm以下であることが望ましいことがわかる。
【0043】
「総合評価」が「A」のサンプルS01〜S09では、第1セラミック層におけるフィラーの平均粒径がいずれも2.5μm以下であった。また、第2セラミック層におけるフィラーの平均粒径がいずれも2.8μm以上であり、3.2μm以下であった。さらに、第1セラミック層と第2セラミック層との間におけるフィラーの平均粒径の差は、いずれも、0.5以上であり、1.0以下であった。
【0044】
これらの結果から、以下のことがわかる。第1セラミック層におけるフィラーの平均粒径は2.5μm以下であることが望ましい。また、第2セラミック層におけるフィラーの平均粒径は2.8μm以上であることが望ましく、第2セラミック層におけるフィラーの平均粒径は3.2μm以下であることが望ましい。さらに、第1セラミック層と第2セラミック層との間におけるフィラーの平均粒径の差は、0.5以上であることが望ましく、1.0以下であることが望ましい。
【0045】
[実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態のLTCC基板10によれば、厚みの大きい第1セラミック層11aにおけるフィラーの平均粒径より、厚みの小さい第2セラミック層11bにおけるフィラーの平均粒径の方が大きく、焼成収縮に起因する変形の発生が抑制される。従って、LTCC基板10の寸法精度が高められる。
【0046】
B.変形例:
B1.変形例1:
上記実施形態では、本発明が適用されたLTCC基板10が説明されている。これに対して、本発明は、LTCC基板に限定されることなく、他の多層構造を有するセラミック基板に対しても適用することが可能である。LTCC基板以外の他の多層構造を有するセラミック基板においても、本発明の適用によって、上記実施形態で説明したのと同様な作用効果を奏することができる。
【0047】
B2.変形例2:
上記実施形態では、工程1において準備された同じガラス粉末21とフィラー22とを用いて、第1セラミック層11a用の第1スラリー25aと、第2セラミック層11b用の第2スラリー25bが作製されている。これに対して、第1スラリー25aおよび第2スラリー25bはそれぞれ、別々に準備された組成などが異なるガラス粉末とフィラーとを用いて作製されても良い。第1スラリー25aおよび第2スラリー25bはそれぞれ、第1セラミック層11aおよび第2セラミック層11bが略同一組成のガラス成分と、略同一組成のフィラーと、を有するように作製されれば良い。
【0048】
B3.変形例3:
上記実施形態では、各スラリー25a,25bの作製時における粉砕混合時間によって、第1セラミック層11aに含まれるフィラーの平均粒径と、第2セラミック層11bに含まれるフィラーの平均粒径と、が調整されている。これに対して、第1セラミック層11aに含まれるフィラーの平均粒径と、第2セラミック層11bに含まれるフィラーの平均粒径とは、他の方法によって調整されても良い。例えば、第1スラリー25aおよび第2スラリー25bを作製する前に、予め、平均粒径が調整されたフィラーが準備されても良い。また、各スラリー25a,25bの作成時の粉砕混合工程において、粉砕機の回転速度や、粉砕機の種類などによって調整されても良い。
【0049】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。