【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日 平成26年10月15日から10月17日 展示会名 モノづくりフェア2014 福岡 主催者名 株式会社日刊工業新聞社 公開者 三洋機工株式会社 〔刊行物等〕 展示日 平成26年10月22日から10月24日 展示会名 第4回次世代ものづくり基盤技術産業展 −TECH Biz EXPO 2014− 主催者名 名古屋国際見本市委員会 公開者 三洋機工株式会社 〔刊行物等〕 展示日 平成26年11月12日から11月14日 展示会名 第6回生産システム見える化展 〜ものづくりNext↑2014〜 主催者名 一般社団法人日本能率協会 公開者 三洋機工株式会社
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被測定ワークの円筒面状の内周面を照らすための光照射手段と、前記内周面を撮像して画像データを形成する撮像手段と、前記画像データに基づいて前記内周面の真円度を演算する演算手段とを備えた真円度測定装置において、
前記内周面の軸線の方向に延びる基準軸と、
前記内周面の内側を前記基準軸の方向に沿って、前記内周面を照らしている前記光照射手段を移動させる第1移動手段と、
前記基準軸の方向に沿って、前記撮像手段を移動させる第2移動手段とを備え、
前記光照射手段と前記撮像手段とが一定の距離を維持しつつ移動するように構成され、
前記演算手段が、前記基準軸に対する垂直面上での位置について、前記軸線の位置を、マスターワークにおける円筒面状内周面の軸線の位置を基準にして算出することを特徴とする真円度測定装置。
前記光照射手段と前記撮像手段とを連結する連結部材が設けられ、前記第2移動手段が前記第1移動手段を兼ねることを特徴とする請求項1又は2に記載の真円度測定装置。
前記演算手段が、前記基準軸に対する垂直面のうちの異なる面上での前記軸線の位置に基づき前記傾斜角度を算出することを特徴とする請求項4に記載の真円度測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の真円度測定装置の被測定ワークの内面は、有底円筒面状でなければならない。これは、この真円度測定装置が、照射する光を被測定ワークの内径より小さい径のストレートビームとして、被測定ワークの内周面の奥に入射させて、底面で反射された光による像を撮像するからである。従って、この真円度測定装置は、底面が無い円筒面状の内面を有するパイプ状等のワークを、測定することができない。また、この真円度測定装置は、底面で反射された光による像を撮像するため、被測定ワークの内周面の開口部周辺の真円度しか測定できない。このため、この真円度測定装置は、被測定ワークの内周面の奥の方の真円度、円筒度、同軸度は測定できない。つまり、特許文献2の真円度測定装置は、真円度測定装置としては未だ改良の余地を残すものであった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、真円度測定装置において、軸合わせ作業を不要として全数検査を可能にすると共に、パイプ状等のワークでも測定可能にすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために創案された本発明に係る真円度測定装置は、被測定ワークの円筒面状の内周面を照らすための光照射手段と、前記内周面を撮像して画像データを形成する撮像手段と、前記画像データに基づいて前記内周面の真円度を演算する演算手段とを備えた真円度測定装置において、前記内周面の軸線の方向に延びる基準軸と、前記内周面の内側を前記基準軸の方向に沿って、前記内周面を照らしている前記光照射手段を移動させる第1移動手段と、前記基準軸の方向に沿って、前記撮像手段を移動させる第2移動手段とを備え、前記光照射手段と前記撮像手段とが一定の距離を維持しつつ移動するように構成されたことに特徴づけられる。ここで、「内周面の軸線の方向に延びる基準軸」には、内周面の軸線の方向に対して傾斜した基準軸も含む(以下、同様)。また、真円度の定義及び表示は、JIS B 0621:1984に準拠する。
【0009】
この構成によれば、内周面の画像データに基づいて内周面の真円度を演算するので、被測定ワークを回転させる必要が無い。そのため、軸合わせ作業を不要とすることができる。従って、真円度の測定に要する時間を短縮できるので、被測定ワークの全数検査が可能になる。
【0010】
また、内周面の内側を、内周面を照らしている光照射手段が移動し、光照射手段と撮像手段とが一定の距離を維持しつつ移動するので、パイプ状等のワークでも真円度を測定できる。また、円筒度、同軸度も測定可能となる。
【0011】
また、撮像手段の視野内に、真円度を測定すべき内周面が入るならば、被測定ワークの軸線が基準軸に垂直な方向でどこに位置していても、真円度を測定することができる。従って、被測定ワークに対する基準軸に垂直な方向の位置決めを高精度に行なう必要が無い。
【0012】
上記の構成において、前記基準軸に沿った方向で見た場合に、前記光照射手段が、同時に放射状に光を照射してもよい。
【0013】
この構成であれば、光照射手段が光を走査して内周面に照射する場合に比較して、内周面の画像データを短時間で得ることができる。
【0014】
上記の構成において、前記光照射手段と前記撮像手段とを連結する連結部材が設けられ、前記第2移動手段が前記第1移動手段を兼ねてもよい。
【0015】
この構成であれば、連結部材によって、光照射手段と撮像手段が一定の距離を維持できて、第2移動手段が第1移動手段を兼ねることができるので、製造コストを削減できる。また、内周面の一端の開口部から、撮像手段に対して一定の距離を維持したまま光照射手段を内周面の内側に導入することが容易である。従って、内周面の一端が閉塞した被測定ワークの場合でも、容易に真円度を測定することができる。
【0016】
上記の構成において、前記演算手段が、前記基準軸に対する前記軸線の傾斜角度に基づき前記真円度を補正してもよい。
【0017】
この構成であれば、基準軸に対して内周面の軸線が傾斜している場合でも真円度を正確に測定することが可能になる。
【0018】
上記の構成において、前記演算手段が、前記基準軸に対する垂直面のうちの異なる面上での前記軸線の位置に基づき前記傾斜角度を算出してもよい。
【0019】
この構成であれば、傾斜角度を容易に算出することができる。
【0020】
上記の構成において、前記演算手段が、前記基準軸に対する垂直面上での位置について、前記軸線の位置を、マスターワークにおける円筒面状内周面の軸線の位置を基準にして算出してもよい。
【0021】
この構成であれば、真円度をより正確に測定することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、真円度測定装置において、軸合わせ作業を不要として全数検査を可能にすると共に、非接触でパイプ状等のワークでも測定可能にすることができる。また、真円度の他、内径、円筒度、同軸度も同時に測定可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る真円度測定装置1を示す概略部分断面側面図である。真円度測定装置1によって測定される被測定ワークWは、円筒面形状の内周面Waを有する。被測定ワークWは、内周面Waの軸線Wbが上下方向となるように配置される。本実施形態では、被測定ワークWは円管状体であるが、円筒面形状の内周面を有するものであれば、例えば、外面の横断面が多角形状のものであってもよい。
【0026】
真円度測定装置1は、被測定ワークWの内周面Waを照らすための光照射手段2と、内周面Waを撮像して画像データを形成する撮像手段3と、前記画像データに基づいて内周面Waの真円度等を演算する演算手段4と、撮像手段3を移動させるための第2移動手段としての移動手段5と、被測定ワークWを支持するための支持手段6と、演算手段4で演算された真円度を表示する表示手段7とを主要な構成要素とする。
【0027】
また、真円度測定装置1は、内周面Waの軸線Wbの方向に延びる基準軸Aを備える。基準軸Aは、真円度の測定の際に基準となる仮想の軸であり、後述する座標のZ軸に相当する。この基準軸Aの(延在)方向は、上下方向である。
【0028】
移動手段5は、不図示の制御手段で制御されることによって、ガイド部5aに沿って移動部5bが移動するように構成されており、例えば単軸ロボット等で構成される。光照射手段2と撮像手段3とは、連結部材8で連結されており、撮像手段3が移動部5bに固定されている。連結部材8の連結によって、移動手段5は、光照射手段2を移動させるための第1移動手段を兼ねる。
【0029】
真円度等の測定時には、移動部5bがガイド部5aに沿って移動することにより、内周面Waの内側を基準軸Aの方向に沿って、内周面Waを照らしている光照射手段2が移動する。そして、光照射手段2に対して一定の距離を維持しつつ、撮像手段3が基準軸Aの方向に沿って移動する。
【0030】
載置台等の支持手段6には、被測定ワークWが載置される凹部6aが形成されている。凹部6aは、被測定ワークWの下端面Wcを支持する円形で平面状の底面(支持面6b)と、被測定ワークWを位置決めする円筒状の側面6cを有する。支持面6bは、基準軸Aに対し垂直な面であり、支持面6bの中心は、基準軸A上にある。
【0031】
なお、被測定ワークWの軸線Wbと支持面6bの中心とを合わせることは、非常に難しい。これは、生産性を上げるために、凹部6aの側面6cと被測定ワークWの外周面との間に隙間Gを設けて、被測定ワークWの設置作業を実施し易くしなければならないからである。
【0032】
真円度等の測定時に、光照射手段2は、光Lを内周面Waに照射する。詳述すれば、光照射手段2は、基準軸Aから内周面Waに向かう向きに、基準軸Aに垂直な方向に沿って光Lを放出する。従って、内周面Waにおける基準軸A方向の所定位置の部位(内周面Wa1)のみに光Lは照射される。なお、光Lは、本実施形態ではレーザ光であるが、撮像手段3で撮像可能なものであれば、これに限定されるものでは無い。
【0033】
図2(A)に示すように、基準軸Aに沿った方向で見た場合に、光照射手段2は、同時に放射状に全方位に向かって光Lを照射する。また、
図2(B)に示すように、光照射手段2は、レーザ光発射部2aと、レーザ光発射部2aから発射されたレーザ光Laを反射するプリズム2bと、レーザ光発射部2aとプリズム2bを接続する無色透明な円筒体2cを有する。
【0034】
撮像手段3は、光Lを照射された内周面Wa(Wa1)を撮像して画像データを形成するものであり、例えばCCDカメラで構成される。なお、撮像手段3の視野の中心は、基準軸A上にある。
【0035】
光照射手段2から内周面Wa(Wa1)に向かって照射された光Lは、内周面Wa(Wa1)に当たって反射する。そのため、撮像手段3によって形成された画像データでは、
図3(A)に示すように、反射された光に基づく明部Bが環状に形成される。
【0036】
演算手段4は、撮像手段3によって形成された画像データに基づいて内周面Wa(Wa1)の真円度を演算するものであり、例えばマイコンやパソコン等で構成される。次に、演算手段4の演算方法について説明する。
【0037】
図3(A)に示す画像データにおいて、明部Bの外周縁Baが、実際に内周面Wa(Wa1)が存在する位置と考えられる。そこで、まず、この外周縁Baで形成される円の重心の位置を求め、その重心の位置を外周縁Baで形成される円の中心C(内周面Wa1の中心)の位置とする。そして、この中心Cの位置から外周縁Baまでの距離(半径の実測値R)を、所定の周方向位置(0°)から所定の角度ごとに360°まで計測する。そして、半径実測値Rのうちの最大値と最小値の差を真円度として算出する。
【0038】
また、この計測された半径実測値Rから、内周面Waの半径の設計値(基準値)を引いたものを偏差として算出する。
【0039】
なお、この時の360°分の半径実測値Rは、全て記録されており、2次元形状データとして利用できる。これは、基準軸A(Z軸)方向を加味すると3次元の内径データとして利用できる。
【0040】
これらの一連の撮像手段3による画像データ形成と演算手段4の演算を、基準軸Aの方向で所定のピッチごとに繰り返し行なうことで、基準軸Aの方向で所定のピッチごとに真円度及び偏差を算出する。より具体的には、内周面Waにおける基準軸A方向の所定ピッチごとの位置の部位Wa1,Wa2,Wa3,・・・Wa(N−2),Wa(N−1),WaNのそれぞれの真円度等を算出する。
【0041】
この算出された真円度及び偏差を、モニター等の表示手段7に表示する。基準軸A方向の所定の位置における偏差を表示する場合には、例えば、
図5に示すように、基準となる真円E(全ての周方向位置での偏差が0)を描画し、これに対して、周方向位置ごとの偏差Fを表示する(二次元表示)。更に、
図9に示すように、基準軸A方向の所定ピッチごとの位置における偏差または半径実測値Rを、円筒の鳥瞰図として三次元表示することもできる。この場合、偏差が小さい(真円に近い)領域Pa、偏差が大きい(真円から離れている)領域Pb、偏差が領域Paと領域Pbの中間である領域Pcを色分けして表示することができる。色分けとしては、例えば、領域Paを緑色、領域Pbを赤色、領域Pcを黄色とすることができる。
【0042】
また、内周面Wa1,Wa2,Wa3,・・・Wa(N−2),Wa(N−1),WaNのそれぞれの真円度から、立体的な真円度である円筒度を得ることができ、これを表示手段7に表示してもよい。また、内周面Wa1,Wa2,Wa3,・・・Wa(N−2),Wa(N−1),WaNのそれぞれの中心C(C1,C2,C3・・・C(N−2),C(N−1),CN)から、同軸度を算出することができ、これを表示手段7に表示してもよい。
【0043】
また、上述したように、真円度測定装置1では、基準軸Aの方向で所定のピッチごとに真円度及び偏差を算出するが、この所定のピッチは任意に細かくできる。例えば、精度良く偏差を測定して平面形状データを形成し、この平面形状データを1/100ミリピッチで3次元化すれば、三次元形状データを得ることができ、真円度測定装置1を三次元形状計測機として応用することができる。勿論、この場合でも、計測ピッチは1/100ミリピッチに限定されず、更に1/1000ミリピッチ、1/10000ミリピッチと細かくしたり、逆に1/10ミリピッチと荒くしたりしてもよく、任意のピッチで計測することができる。
【0044】
なお、光照射手段2と撮像手段3との位置関係を安定化するためには、連結部材8を基準軸Aの周方向に等間隔で3つ以上配設することが好ましい。しかし、連結部材8が非透明の材質の場合、内周面Waからの反射光を遮るため、
図4に示すように、円環状の明部Bにおいて、連結部材8の影に起因して欠けSが生じる。
図4(A)に示すように、連結部材8が周方向に等間隔で3つ配置された場合には、明部Bの欠けSに起因して、3つの半径が測定できなくなり、3本の直径Dが求められなくなる。
【0045】
これに対して、
図4(B)に示すように、連結部材8が周方向に等間隔で4つ配設された場合には、明部Bの欠けSに起因して、測定できない半径は4つとなるが、この測定できない4つの半径は2つの直径Dに相当するので、求められない直径Dの数は2つである。従って、真円度測定装置1で直径Dを求めることが想定される場合には、連結部材8は、周方向に等間隔で4つ配設されることが好ましい。なお、ここでは、理解しやすいように、明部Bの欠けS1つによって、1つの半径が測定できないものとして説明しているが、厳密には、欠けSの大きさや、半径を何度ごとに測定するかによって測定できない半径の数は異なる。
【0046】
ところで、被測定ワークWの内周面Waの軸線Wbが基準軸Aに同軸又は平行であれば、理論上、上述の演算で正確な真円度が得られるが、
図6に示すように、内周面Waの軸線Wbが基準軸Aに対して傾斜している場合には、上述の演算だけでは正確な真円度が得られない。
【0047】
これは、内周面Waの真円度は、被測定ワークWの内周面Waの軸線Wbに垂直な方向の断面で測定しなければならないのに対して、真円度測定装置1による測定では、内周面Waの真円度を、基準軸Aに対して垂直な方向の断面(画像データ)に基づき測定するからである。
【0048】
このような理由から、内周面Waの軸線Wbが基準軸Aに対して傾斜していることが検出される場合には、演算手段4が、基準軸Aに対する内周面Waの軸線Wbの傾斜角度θに基づき真円度を補正するようにしてもよい。
【0049】
なお、内周面Waの軸線Wbが基準軸Aに対して傾斜していることは、同軸度を求めた結果から検出できる。例えば、
図6で、内周面Wa1の中心C1と、内周面WaNの中心CNの2点間を結ぶ直線と基準軸Aとの傾斜角度θが、内周面Waの軸線Wbの基準軸Aに対する傾斜として検出される。
【0050】
基準軸Aに対する内周面Waの軸線Wbの傾斜角度θに基づき真円度を補正する方法を次に具体例を挙げて説明する。
【0051】
具体例として、基準軸Aの方向のレベル(高さ)0mm〜400mm間を所定ピッチ(ここでは1mm)で測定する場合について考える。
【0052】
最初に、マスターワークMWを測定する。マスターワークMWは、補正のために形成されたワークであり、その内周面Waの横断面が実質的に真円状であり、その軸線Wbが下端面Wcに対して実質的に垂直となっている。演算手段4は、基準軸Aの方向の0mm〜400mm間を1mmごとに、上記と同様に、マスターワークMWの内周面Waの横断面の中心Cの位置を求める。
【0053】
具体的には、
図7に示すように、基準軸Aを、座標のZ軸とし、内周面Waの横断面(Z軸に垂直な断面)の中心Cの位置(Xm,Ym)を算出し、記憶する。なお、理解しやすいように、この具体例では、マスターワークMWの内周面Waの横断面の中心Cの座標(Xm,Ym)は、全て(0.00,0.00)としている。
【0054】
次に、被測定ワークWを測定する。演算手段4は、基準軸Aの方向の0mm〜400mm間を1mmごとに、上記と同様に、被測定ワークWの内周面Waの横断面(Z軸に垂直な断面)の中心Cの位置を求める。
【0055】
そして、得られた中心CのXY座標の値からマスターワークMWの中心CのXY座標の値(0.00,0.00)を差し引いたものを算出し、被測定ワークWの中心Cの座標(Xw,Yw)として記憶する。
【0056】
つまり、ここでは、演算手段4は、基準軸A(Z軸)に対する垂直面(XY座標平面又はこれに平行な平面)上での位置について、被測定ワークWにおける内周面Waの軸線Wb(中心C)の位置(Xw,Yw)を、マスターワークMWにおける円筒面状内周面Waの軸線Wb(中心C)の位置(Xm,Ym)を基準にして算出していることになる。
【0057】
図7に示すように、Z=0では、(Xw,Yw)=(−1.00,0.00)であり、Z=400では、(Xw,Yw)=(1.00,0.00)である。Z=0とZ=400でYwの値は0.00なので、被測定ワークWの軸線Wbは、XZ座標平面上で基準軸A(Z軸)に対して傾斜していることになる。この算出結果を、グラフとして示したものが
図8である。
図8から理解できるように、基準軸A(Z軸)に対する軸線Wbの傾斜角度をθとすると、tanθ=2.00/400となるので、傾斜角度θ=arctan(2.00/400)となり、この式から傾斜角度θを算出する。
【0058】
つまり、ここでは、演算手段4が、基準軸A(Z軸)に対する垂直面(XY座標平面又はこれに平行な平面)のうちの異なる面上での被測定ワークWの軸線Wb(中心C)の位置(Xw,Yw)に基づき傾斜角度θを算出していることになる。
【0059】
被測定ワークWの軸線WbがXZ座標平面上で基準軸A(Z軸)に対して傾斜している場合、
図3(B)に示すように、撮像手段3で形成される被測定ワークWの内周面Waの画像データの明部Bは、X軸方向に長軸をもつ楕円形状となる。
図6に示す関係から分かるように、求めるべきX軸方向の半径をRrとすると、画像に基づき算出されるX軸方向の半径Raに対して、Rr=Ra×cosθの関係となるので、傾斜角度θと半径Raから半径Rrが求まる。この半径Rrから上記と同様に真円度を求めることができる。この結果、演算手段4が、基準軸A(Z軸)に対する被測定ワークWにおける軸線Wbの傾斜角度θに基づき真円度を補正したことになる。
【0060】
以上のように構成された真円度測定装置1では、以下の効果を享受できる。
【0061】
被測定ワークWの内周面Wa1,Wa2,・・・WaN周辺の反射光による画像データに基づいて内周面Wa1,Wa2,・・・WaNの真円度等を演算するので、被測定ワークWを回転させる必要が無い。そのため、軸合わせ作業を不要とすることができる。そして、光照射手段2が内周面Waの内側を移動して、内周面Wa1,Wa2,・・・WaNの各部の反射光による画像を撮像できる。これにより、この画像に基づき真円度を測定でき、更には、真円度の立体版ともいえる円筒度や同軸度を測定できる。また、光照射手段2と撮像手段3とが一定の距離を維持しつつ移動するので、撮像手段3で撮像された内周面Waの画像が一定の大きさとなる。つまり、光照射手段2と撮像手段3との距離の変化による画像の大きさの変化が無い。また、基準軸Aに対する内周面Waの軸線Wbの傾斜角度θに基づき真円度を補正することによって、真円度の測定精度が向上する。
【0062】
また、撮像手段3の視野内に、真円度を測定すべき内周面Waが入るならば、被測定ワークWの軸線Wbが基準軸Aに垂直な方向でどこに位置していても、真円度を測定することができる。従って、被測定ワークWに対する基準軸Aに垂直な方向の位置決めを高精度に行なう必要が無い。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、被測定ワークWは軸線Wbが上下方向になるように配置され、光照射手段2と撮像手段3は、上下方向に沿って移動するが、これに限定されず、被測定ワークWを軸線Wbが横方向になるように配置し、光照射手段2と撮像手段3を横方向に沿って移動するように構成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、光照射手段2と撮像手段3が、連結部材8による連結で一定の距離を維持していたが、連結されていなくても、光照射手段2と撮像手段3が一定の距離を維持できればよい。例えば、撮像手段3を移動させる移動手段5(第2移動手段)とは別に、光照射手段2を移動させる第1移動手段を配設し、光照射手段2と撮像手段3を、それぞれ、被測定ワークWの反対側の開口部から導入し、測定時に同期して移動するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態の光照射手段2におけるレーザ光発射部2aとプリズム2bとの位置関係を反対にしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、演算手段4が傾斜角度θに基づき真円度を補正する場合に、被測定ワークWの位置(Xw,Yw)を、マスターワークMWの位置(Xm,Ym)を基準にして算出していた。しかしながら、本発明はこれに限定されること無く、演算手段4が傾斜角度θに基づき真円度を補正しない場合であっても、被測定ワークWの位置(Xw,Yw)を、マスターワークMWの位置(Xm,Ym)を基準にして算出してもよい。