(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、リングブロック工法において安全天井をより低い位置に設置できれば、安全天井を早期に設置でき、炉底における煉瓦積み作業を早期に開始できる。
煉瓦の取込用の開口部として、出銑口の開口を使用することが一般的であるが、安全天井を低い位置に設置すると、安全天井に取り付けられた旋回ホイストが出銑口開口部に近接して位置し、当該開口部から搬入したブロック煉瓦に対する吊り代を確保できないおそれがある。吊り代を確保する為には、更に下方に新たな鉄皮開口を設けることが必要となり、新たな鉄皮開口は、後工程で、鉄皮および鉄皮の内面に取り付けているステーブ等の取付工程を必要とすることから、工程短縮の効果が少なくなる。
【0008】
また、特許文献2に記載の炉底煉瓦築炉方法では、昇降装置によって下降したブロック煉瓦を旋回ホイストで吊っている。しかし、昇降装置自体が炉底底板に設置されるため、この設置位置から昇降装置自体を撤去しなければ当該設置位置にブロック煉瓦を配置できない。従って、煉瓦積み作業が煩雑となり、高炉改修の工期短縮を阻害するおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、安全天井を低い位置に設置でき、高炉改修の工期短縮を図ることができる高炉の煉瓦積み装置および煉瓦積み方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の煉瓦積み装置は、
高炉の炉内に設置される安全天井と前記高炉の炉底底面との間に設けられる煉瓦取込み口からの煉瓦を支持可能に前記炉内に張り出した張出しデッキと、前記安全天井に取り付けられる旋回ビームと、前記旋回ビームに取り付けられる煉瓦積み用ホイストと、
前記張出しデッキに支持される前記煉瓦を吊り上げ可能に前記張出しデッキの上方に位置する煉瓦降し用ホイストとを備え、
前記煉瓦降し用ホイストは、前記煉瓦を前記炉底底面上に降ろすために前記張出しデッキの側方に移動可能に前記安全天井に設置されたガイドレールに取り付けられ、前記煉瓦積み用ホイストは、前記旋回ビームに沿って移動可能であり、前記炉底底面上の前記煉瓦を吊って移動し、前記炉底底面における所定位置に積む構成とされることを特徴とする。
【0011】
本発明の煉瓦積み装置によれば、煉瓦降し用ホイストを、旋回ビームなどを介さずに安全天井に取り付けるため、安全天井との間に旋回ビームが介在される煉瓦積み用ホイストよりも安全天井に近接して配置できる。これにより、煉瓦積み用ホイストによる煉瓦の吊り代が確保できなくなる程度にまで安全天井を低い位置に設置しても、煉瓦降し用ホイストによる煉瓦の吊り代を確保できる。従って、安全天井を低い位置に設置できて、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
【0012】
また、このような構成によれば、煉瓦降し用ホイストが張出しデッキの側方に移動可能であるため、煉瓦降し用ホイストで張出しデッキ上の煉瓦を吊り、張出しデッキの側方に移動し、煉瓦を下降することができる。このため、煉瓦を、張出しデッキに干渉することなく炉底底面上に降ろすことができる。
【0013】
本発明の煉瓦積み装置
の他の形態は、
高炉の炉内に設置される安全天井と前記高炉の炉底底面との間に設けられる煉瓦取込み口から
の煉瓦を支持可能に前記炉内に張り出した張出しデッキ
と、前記安全天井に取り付けられる旋回ビームと、前記旋回ビームに取り付けられる煉瓦積み用ホイストと、前記張出しデッキに支持される前記煉瓦を吊り上げ可能に前記安全天井に取り付けられる煉瓦降し用ホイストとを備え、前記張出しデッキは、前記煉瓦が挿通可能な開口を開閉可能な開閉床を備え
、前記煉瓦降し用ホイストは、当該煉瓦降し用ホイストによって吊り上げた前記煉瓦を前記開口に通して前記炉底底面上に降ろせるように前記張出しデッキの上方の位置に配置され、前記煉瓦積み用ホイストは、前記旋回ビームに沿って移動可能であり、前記炉底底面上の前記煉瓦を吊って移動し、前記炉底底面における所定位置に積む構成とされること
を特徴とする。
本発明の煉瓦積み装置の他の形態によれば、
煉瓦降し用ホイストを、旋回ビームなどを介さずに安全天井に取り付けるため、安全天井との間に旋回ビームが介在される煉瓦積み用ホイストよりも安全天井に近接して配置できる。これにより、煉瓦積み用ホイストによる煉瓦の吊り代が確保できなくなる程度にまで安全天井を低い位置に設置しても、煉瓦降し用ホイストによる煉瓦の吊り代を確保できる。従って、安全天井を低い位置に設置できて、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
また、張出しデッキが前述した開閉床を備えるため、煉瓦降し用ホイストによって張出しデッキ上の煉瓦を吊り、開閉床を開いて開口を形成し、この開口を通じて煉瓦を下降することができる。このため、煉瓦を、張出しデッキに干渉することなく炉底底面上に降ろすことができる。なお、開閉床は、例えば、スライドによって開閉可能に構成されてもよく、また、観音開き式に開閉可能に構成されてもよい。
【0014】
本発明の煉瓦積み装置では、前記張出しデッキ下面に取り付けられる煉瓦積み用の補助吊り装置を備えることが好ましい。
このような構成によれば、補助吊り装置が張出しデッキ下面に取り付けられるため、この補助吊り装置によって吊り上げた煉瓦を、煉瓦積み用ホイストによっては煉瓦積みできない領域である張出しデッキの下方領域に積むことができる。これにより、煉瓦積みを速やかに行うことができ、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
【0015】
本発明の煉瓦積み装置では、前記張出しデッキは、前記煉瓦取込み口よりも下方に配置されるデッキ本体と、前記デッキ本体上に取り付けられた昇降リフトと、前記昇降リフトによって昇降される煉瓦支持台とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、煉瓦支持台を昇降リフトによって上昇して煉瓦取込み口からの煉瓦を支持可能に配置でき、また、煉瓦を支持した煉瓦支持台を昇降リフトによって下降することで、煉瓦を煉瓦降し用ホイストから離間でき、煉瓦降し用ホイストの吊り代を確保できる。このため、煉瓦取込み口と安全天井とが近い位置にある場合であっても、煉瓦降し用ホイストによって煉瓦を吊り、炉底底面上へ降ろすことができる。
【0016】
本発明の煉瓦積み装置では、
前記張出しデッキを懸吊する吊り梁と、前記旋回ビーム
と旋回軸が共通する補助旋回ビームと、前記補助旋回ビームにその長手方向に沿って移動可能に取り付けられる他の煉瓦積み用ホイストとを備え
、前記旋回ビームは、前記旋回軸から前記吊り梁までの長さ寸法より長く形成され、前記補助旋回ビームは、前記旋回軸から前記吊り梁までの長さ寸法よりも短く形成されることが好ましい。
このような構成によれば、補助旋回ビームおよびこれに取り付けられた他の煉瓦積み用ホイストを備えるため、旋回ビームによって旋回される煉瓦積み用ホイストによる煉瓦積みと、補助旋回ビームによって旋回される他の煉瓦積み用ホイストによる煉瓦積みとを行うことができる。従って
、旋回ビームや煉瓦積み用ホイストが吊り
梁に干渉して煉瓦を積めない領
域に対し
ては、補助旋回ビームに旋回される他の煉瓦積み用ホイストによって煉瓦を積むことができる。
【0017】
本発明の煉瓦積み方法は、
高炉の炉内に設置される安全天井と前記高炉の炉底底面との間に設けられる煉瓦取込み口からの煉瓦を支持可能に前記炉内に張り出した張出しデッキと、前記安全天井に取り付けられる旋回ビームと、前記旋回ビームにその長手方向に沿って移動可能に取り付けられる煉瓦積み用ホイストと、
前記張出しデッキに支持される前記煉瓦を吊り上げ可能に前記張出しデッキの上方に位置する煉瓦降し用ホイストとを備え
、前記煉瓦降し用ホイストは、前記煉瓦を前記炉底底面上に降ろすために前記張出しデッキの側方に移動可能に前記安全天井に設置されたガイドレールに取り付けられる煉瓦積み装置を使用して、前記高炉の炉底底面に煉瓦を積む煉瓦積み方法であって、前記高炉の煉瓦取込み口よりも上方に前記安全天井を設置し、前記安全天井と前記高炉の炉底底面との間に位置する
前記煉瓦取込み口に供給される前記煉瓦を
前記張出しデッキ上に配置し、
前記張出しデッキに支持される前記煉瓦を前記煉瓦降し用ホイストにより
吊り上げ、前記煉瓦降し用ホイストを前記ガイドレールに沿って前記張出しデッキの側方に移動し、前記張出しデッキの側方において前記煉瓦を下降して前記炉底底面上に降ろし、前記炉底底面上に降ろした前記煉瓦を、前記煉瓦積み用ホイストにより吊って移動し、前記炉底底面における所定位置に積むことを特徴とする。
【0018】
本発明の煉瓦積み方法によれば、煉瓦積み用ホイストによる煉瓦の吊り代が確保できなくなる程度にまで安全天井を低い位置に設置しても、煉瓦降し用ホイストが安全天井に旋回ビームなどを介さずに近接しているので、煉瓦降し用ホイストによる煉瓦の吊り代を確保できる。従って、安全天井を低い位置に設置できて、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
【0019】
また、このような構成によれば、煉瓦を吊った煉瓦降し用ホイストを張出しデッキの側方に移動し下降することで、煉瓦を張出しデッキに干渉することなく炉底底面上に降ろすことができる。
【0020】
本発明の煉瓦積み方法
の他の形態は、
高炉の炉内に設置される安全天井と前記高炉の炉底底面との間に設けられる煉瓦取込み口からの煉瓦を支持可能に前記炉内に張り出した張出しデッキと、前記安全天井に取り付けられる旋回ビームと、前記旋回ビームにその長手方向に沿って移動可能に取り付けられる煉瓦積み用ホイストと、前記張出しデッキに支持される前記煉瓦を吊り上げ可能に前記張出しデッキの上方の位置において前記安全天井に取り付けられる煉瓦降し用ホイストとを備える煉瓦積み装置を使用して、前記高炉の炉底底面に煉瓦を積む煉瓦積み方法であって、前記張出しデッキは、前記煉瓦が挿通可能な開口を開閉可能な開閉床を備
え、前記高炉の煉瓦取込み口よりも上方に前記安全天井を設置し、前記安全天井と前記高炉の炉底底面との間に位置する前記煉瓦取込み口に供給される前記煉瓦を前記張出しデッキ上に配置し、前記煉瓦降し用ホイストによって前記張出しデッキ上の前記煉瓦を吊り
上げ、前記開閉床を開いて前記開口を形成し、前記煉瓦降し用ホイストによって前記煉瓦を下降して前記開口を通し、前記炉底底面上に降ろ
し、前記炉底底面上に降ろした前記煉瓦を、前記煉瓦積み用ホイストにより吊って移動し、前記炉底底面における所定位置に積むこと
を特徴とする。
本発明の煉瓦積み方法の他の形態によれば、煉瓦積み用ホイストによる煉瓦の吊り代が確保できなくなる程度にまで安全天井を低い位置に設置しても、煉瓦降し用ホイストが安全天井に旋回ビームなどを介さずに近接しているので、煉瓦降し用ホイストによる煉瓦の吊り代を確保できる。従って、安全天井を低い位置に設置できて、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
また、このような構成によれば、煉瓦降し用ホイストで煉瓦を吊った後、開閉床を開いて開口を形成でき、煉瓦降し用ホイストで吊った状態の煉瓦を開口を通じてそのまま下降でき、煉瓦を張出しデッキに干渉することなく炉底底面上に降ろすことができる。
【0021】
本発明の煉瓦積み方法では、前記煉瓦積み装置は、前記張出しデッキ下面に取り付けられる煉瓦積み用の補助吊り装置を備えており、前記煉瓦降し用ホイストによって前記炉底底面上に降ろした前記煉瓦を、前記補助吊り装置によって吊り、前記張出しデッキの下方領域に移動して積むことが好ましい。
このような構成によれば、張出しデッキ下面に取り付けられた補助吊り装置によって吊り上げた煉瓦を、煉瓦積み用ホイストによっては煉瓦積みできない領域である張出しデッキの下方領域に積むことができる。これにより、煉瓦積みを速やかに行うことができ、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
【0022】
本発明の煉瓦積み方法では、前記張出しデッキは、前記煉瓦取込み口よりも下方に配置されるデッキ本体と、前記デッキ本体上に取り付けられた昇降リフトと、前記昇降リフトによって昇降される煉瓦支持台とを備えており、前記煉瓦取込み口から取り込んだ前記煉瓦を前記煉瓦支持台上に配置し、前記昇降リフトによって前記煉瓦支持台を下降し、前記煉瓦降しホイストによって前記煉瓦支持台上の前記煉瓦を吊って前記炉底底面上に降ろすことが好ましい。
このような構成によれば、煉瓦を支持した煉瓦支持台を昇降リフトによって下降することで、煉瓦を煉瓦降し用ホイストから離間でき、煉瓦降し用ホイストの吊り代を確保できる。このため、煉瓦取込み口と安全天井とが近い位置にある場合であっても、煉瓦降し用ホイストによって煉瓦を吊り、炉底底面上へ降ろすことができる。
【0023】
本発明の煉瓦積み方法では、前記煉瓦積み装置は、
前記張出しデッキを懸吊する吊り梁と、前記旋回ビーム
と旋回軸が共通する補助旋回ビームと、前記補助旋回ビームにその長手方向に沿って移動可能に取り付けられる他の煉瓦積み用ホイスト
とを備
え、前記旋回ビームは、前記旋回軸から前記吊り梁までの長さ寸法より長く形成され、前記補助旋回ビームは、前記旋回軸から前記吊り梁までの長さ寸法よりも短く形成され、前記旋回ビームの旋回可能領域外の領域において、前記補助旋回ビームを旋回し、前記他の煉瓦積み用ホイストによって前記煉瓦を前記炉底底面上に積むことが好ましい。
このような構成によれば、旋回ビームの旋回可能領域では、当該旋回ビームを旋回しながら煉瓦積み用ホイストによって煉瓦積みを行い、他方、旋回ビームの旋回可能領域外の領域では、補助旋回ビームを旋回しながら他の煉瓦積み用ホイストによって煉瓦を炉底底面上に積むことができる。従って
、旋回ビームや煉瓦積み用ホイストが吊り
梁に干渉して煉瓦を積めない領
域に対し
ては、補助旋回ビームに旋回される他の煉瓦積み用ホイストによって煉瓦を積むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、安全天井を低い位置に設置でき、高炉改修の工期短縮を図ることができる高炉の煉瓦積み装置および煉瓦積み方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
先ず、本発明が適用される高炉1を
図1に基づいて説明する。
高炉1は、下から順に炉底部1A、羽口部1B、朝顔部1C、炉腹部1D、シャフト部1E、炉頂部1Fを有する。
炉底部1Aからシャフト部1Eまでの領域には、鉄皮2の内面に沿って多数のステーブ(図示省略)が設置される。さらに、炉底部1Aから朝顔部1Cまでの領域には、ステーブの炉内側面に耐火煉瓦(図示省略)が築造される。炉底部1Aには出銑口5が設置される。
【0027】
この高炉1は、リングブロック工法を用いて構築される。このため、高炉1は、11個のリングブロックB1〜B11に区画される。
炉底部1Aには、それぞれリングブロックB1,B2,B11が割り当てられ、リングブロックB2には出銑口5が形成される。羽口部1B、朝顔部1C、炉腹部1Dには、それぞれリングブロックB10,B9,B8が割り当てられる。シャフト部1Eには、リングブロックB4〜B7が割り当てられる。炉頂部1Fには、リングブロックB3が割り当てられる。
【0028】
これらのリングブロックB1〜B11は、それぞれが設置現場とは別の地組場で製造される。
リングブロックB1〜B11の製造にあたっては、それぞれ地組場で鉄皮2を円筒状に構築し、その内側にステーブおよび事前施工可能な配管類や装備が設置される。
図1に示すリングブロック工法は、各ブロックの取込みを鋳床レベルから行ったものであり、高炉本体のリングブロックB11の位置が各ブロックの取込みレベルとなる。よって、リングブロックB1,B2は、下から順に設置現場に搬入して積み上げる。また、リングブロックB3〜B10は、積み上げたリングブロックB2上において、上から順に設置現場に搬入して吊り上げた後、順次設続していき、リングブロックB3〜B10まで設続後、吊り上げた状態で最後にリングブロックB11を搬入し、B2と設続後、リングブロックB3〜B10を下降して接続することで完成する。
【0029】
耐火煉瓦の設置は、最初に搬入するリングブロックB1,B2を設置してから行われる第一煉瓦設置工程と、リングブロックB3〜B11を設置現場に積み上げてから行われる第二煉瓦設置工程とに分けて行われる。このように工程を分けるのは、第一煉瓦設置工程とリングブロックB3〜B11の搬入、組み立てとを並行して行って高炉改修の工期短縮を図るためである。なお、リングブロックB2には、事前に安全天井6が組み込まれている。
ここで、第一煉瓦設置工程では、炉底部1Aの炉底底面7上に耐火煉瓦である炉底煉瓦8(
図2等参照)を積むための後述する煉瓦積み装置10が用いられる。
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図2,3において、第1実施形態に係る煉瓦積み装置10は、炉内側面9から炉内内側に向かって張り出して設置される張出しデッキ20と、安全天井6の中央に取り付けられる旋回装置30と、旋回装置30に取り付けられる旋回ホイスト40(煉瓦積み用ホイスト)と、安全天井6に取り付けられて張出しデッキ20の上方に位置する煉瓦降し用ホイスト50と、張出しデッキ20の下面に取り付けられる煉瓦積み用の補助吊り装置70とを備えて構成されている。
【0031】
張出しデッキ20は、出銑口5の炉内側であって出銑口5から取り込まれる炉底煉瓦8を支持可能な位置に配置されるデッキ本体21と、デッキ本体21を支持する支持ブラケット22とを備えて構成される。
【0032】
旋回装置30は、安全天井6の下面中央に取り付けられる旋回軸31と、旋回軸31に基端が取り付けられる旋回ビーム32と、安全天井6の下面に取り付けられるギアトロリー33とを備えて構成される。
旋回ビーム32は、水平方向に延びており、その設置高さ位置における炉内側面9の内周半径よりも若干短い長さ寸法を有する。ギアトロリー33は、旋回軸31よりも炉内側面9側に位置し、安全天井6および旋回ビーム32間に配置される。このギアトロリー33は、旋回ビーム32に駆動力を与える一方、旋回ビーム32に加わる鉛直荷重を負担している。
【0033】
旋回ホイスト40自体は既知のものであり、各荷物(本実施形態では炉底煉瓦8)を吊り上げるものである。この旋回ホイスト40は、旋回ビーム32に取り付けられており、旋回ビーム32の長手方向に沿って移動と昇降が可能とされている。
この旋回ホイスト40は、旋回ビーム32の旋回によって旋回軸31の軸心31Aの周りで
図4に示す軌跡40Aに沿って旋回移動可能である。そして、この軌跡40Aは、旋回ホイスト40が、旋回ビーム32の長手方向に移動することによって径方向に変化する。このため、旋回ホイスト40は、炉底煉瓦8を吊った状態では、旋回ホイスト40の本体やワイヤー等が張出しデッキ20に干渉しない
図4に示す領域A,B(
図2に示す炉底部1Aの領域)内の任意位置に配置可能である。
【0034】
煉瓦降し用ホイスト50は、旋回ホイスト40と基本構造は同じであり、安全天井6に設置されたガイドレール61に取り付けられており、ガイドレール61に沿って移動可能とされている。
ここで、ガイドレール61は、軸心31Aを中心として円弧状に延びて形成されており、張出しデッキ20の上方に配置されている。ガイドレール61の両端は、領域A内に位置している。従って、このガイドレール61に取り付けられる煉瓦降し用ホイスト50は、
図4に示す軌跡50Aに沿って移動する。
【0035】
煉瓦降し用ホイスト50は、
図3に示すように、炉底煉瓦8を吊りワイヤー101に連結した吊り金具102を吊りフック51に掛けることで、炉底煉瓦8を吊ることが可能となるのであるが、このために、煉瓦降し用ホイスト50の上端から炉底煉瓦8の上端までの高さ方向における吊り代Lが必要となる。吊り代Lは、炉底煉瓦8の高さ寸法および幅寸法によって吊りワイヤー101の高さ寸法が左右され、例えば3m前後となる。
なお、旋回ホイスト40においても、煉瓦降し用ホイスト50と同様の吊り代Lが必要となる。
【0036】
前述したギアトロリー33には、吊り上げる炉底煉瓦8の荷重と旋回ホイスト40および旋回ビーム32自体の荷重とを負担可能な強度を有するものが採用される。また、ギアトロリー33は、旋回ホイスト40が旋回ビーム32の基端から離れた先端側に位置する場合に当該先端側に炉底煉瓦8などの荷重が加わることによって生じ得る旋回ビーム32の撓みを抑制できるものである必要がある。従って、ギアトロリー33には荷重負担性能の高い大型のものが採用される。
ギアトロリー33が大型のもので構成されると、ギアトロリー33の設置スペースを安全天井6および旋回ビーム32間に確保する関係上、旋回ビーム32を安全天井6から下方に離間した位置に配置することになる。このため、旋回ビーム32に取り付けられる旋回ホイスト40の高さ位置は低い位置となる。
【0037】
ここで、安全天井6は、
図1に点線で示すリングブロックB11に設置されるのではなく、炉底部1Aにおける煉瓦積み作業を早期に開始するため、リングブロックB11よりもさらに低い位置にあるリングブロックB2に設置される。このため、安全天井6から出銑口5までの高さ寸法は、リングブロックB11に設置される場合と比べて短くされている。
さらに、旋回ホイスト40と安全天井6との間には、前述したギアトロリー33、旋回ビーム32が介在されるため、旋回ホイスト40は安全天井6から下方に大きく離間して位置する。このため、
図2に二点鎖線で示す炉底煉瓦8(張出しデッキ20上の炉底煉瓦8)の上方に旋回ホイスト40の吊り代Lを確保できず、旋回ホイスト40によって張出しデッキ20上の炉底煉瓦8を吊り上げることはできない。
【0038】
ところで、煉瓦降し用ホイスト50は、前述したギアトロリー33、旋回ビーム32が安全天井6との間に介在されず、当該安全天井6のガイドレール61に直に取り付けられる。これにより、煉瓦降し用ホイスト50は、旋回ホイスト40よりも高い位置であって安全天井6に近接して配置される。このため、張出しデッキ20上の炉底煉瓦8の上方に煉瓦降し用ホイスト50の吊り代Lを確保でき、煉瓦降し用ホイスト50によって張出しデッキ20上の炉底煉瓦8を吊り上げ可能である。
【0039】
補助吊り装置70は、吊りフック、チェーン、チェーンブロック、駆動装置などを備えたクレーン装置によって構成される。補助吊り装置70は、炉底部1Aの周方向に沿って移動可能にデッキ本体21の下面に取り付けられる。補助吊り装置70の移動可能領域は、煉瓦降し用ホイスト50の移動可能領域と同領域である。従って、補助吊り装置70が移動する軌跡は、
図4に示す軌跡50Aと同じとなる。
この補助吊り装置70は、デッキ本体21の下面に取り付けられるので、炉底煉瓦8を吊った状態でも張出しデッキ20に干渉することなく、旋回ホイスト40を配置できない
図4に示す領域C(
図2に示す炉底部1Aの領域)内の任意位置に配置可能である。
【0040】
[第1実施形態での煉瓦積み作業]
以下、第1実施形態に係る煉瓦積み装置10による炉底煉瓦8の煉瓦積み作業について説明する。
リングブロック工法を用いた高炉1の全面改修における前述した第一煉瓦設置工程で、煉瓦積み装置10が設置される。具体的には、リングブロックB1,B2によって形成される炉底部1Aにおいて、張出しデッキ20を炉内側面9に設置するとともに、安全天井6の下面に旋回軸31、ギアトロリー33およびガイドレール61を設置し、旋回軸31およびギアトロリー33に旋回ビーム32を取り付ける。そして、旋回ビーム32の旋回ホイスト40を取り付け、ガイドレール61に煉瓦降し用ホイスト50を取り付ける。
なお、出銑口5の外側には、煉瓦搬入用のローラコンベア4が設置される。
【0041】
煉瓦積み装置10の設置後、煉瓦積み装置10による炉底煉瓦8の煉瓦積み作業を開始し、
図5に示すフロー図に沿って各工程(ステップS1〜S6)を行う。
先ず、炉底煉瓦8を出銑口5から取り込む(ステップS1)。具体的には、
図2に示すように、炉底煉瓦8を、ローラコンベア4上に載置して出銑口5から取り込み、張出しデッキ20上に配置する。そして、ホイスト50のフック51に取り付けられたワイヤーにより炉底煉瓦8をワイヤリングする。
【0042】
次に、
図6(A)に示すように張出しデッキ20上の炉底煉瓦8を炉底底面7上に降ろす(ステップS2)。具体的には、煉瓦降し用ホイスト50により、この炉底煉瓦8を吊り上げる。つづいて、煉瓦降し用ホイスト50をガイドレール61に沿って移動し、炉底煉瓦8を張出しデッキ20の側方に位置する。そして、炉底煉瓦8を下降して炉底底面7に載置し、ワイヤーを取外す。
【0043】
次に、炉底底面7上の炉底煉瓦8を炉底部1Aの炉底底面7の領域A,Bおよび領域Cのいずれの領域に積むかを判断する(ステップS3)。本実施形態では、ステップS3では、領域Cへの煉瓦積みであるか否かを判断する。
ステップS3での判断の結果、炉底煉瓦8を領域A,Bに積み込む場合には、
図6(B)に示すように旋回ホイスト40を用いて領域A,Bにおける煉瓦積みを行う(ステップS4)。
また、ステップS3での判断の結果、炉底煉瓦8を領域Cに積み込む場合には、
図6(C)に示すように補助吊り装置70を用いて領域Cにおける煉瓦積みを行う(ステップS5)。
【0044】
ステップS4では、旋回ホイスト40を旋回ビーム32に沿って移動し、かつギアトロリー33によって旋回ビーム32を旋回して、旋回ホイスト40を炉底底面7上の炉底煉瓦8の上方に位置する。つづいて、旋回ホイスト40の吊りフックを下降して据付用吊り具103により、炉底底面7上の炉底煉瓦8を吊り上げる。そして、旋回ホイスト40の旋回ビーム32に沿った移動と旋回ビーム32の旋回とによって炉底煉瓦8を領域A,B内における所定位置に配置して下降することで、当該炉底煉瓦8を炉底部1Aの所定位置に積む。このように炉底煉瓦8を積むことで、ステップS4での炉底煉瓦8の煉瓦積み作業は終了する。
【0045】
ステップS5では、補助吊り装置70を軌跡50Aに沿って移動し、煉瓦降し用ホイスト50によって降ろされた炉底底面7上の炉底煉瓦8の上方に位置する。つづいて、補助吊り装置70の吊りフックを下降して据付用吊り具103により、炉底底面7上の炉底煉瓦8を吊り上げる。そして、補助吊り装置70の軌跡50Aに沿った移動によって炉底煉瓦8を領域C内における所定位置に配置して下降することで、当該炉底煉瓦8を炉底部1Aの所定位置に積む。このように炉底煉瓦8を積むことで、ステップS5での炉底煉瓦8の煉瓦積み作業は終了する。
【0046】
ステップS4での煉瓦積み後またはステップS5での煉瓦積み後、炉底部1Aへの炉底煉瓦8の煉瓦積み作業がすべて完了したか否かを判断する(ステップS6)。この判断の結果、煉瓦積み作業がすべて完了していない場合にはステップS1へ戻り、また、煉瓦積み作業がすべて完了した場合には、煉瓦積み作業を終了する。
【0047】
煉瓦降し用ホイスト50、旋回ホイスト40および補助吊り装置70は、一つの炉底煉瓦8の降し作業、積み作業が終了する毎に所定の待機位置に戻り、次の炉底煉瓦8を待ち受ける。
なお、煉瓦積み装置10による煉瓦積み作業と並行して、リングブロックB2の上方では、リングブロックB3〜B11が搬入され、積み上げられる。
【0048】
[第1実施形態の効果]
(1)煉瓦降し用ホイスト50を、旋回装置30を介さずに安全天井6に取り付けるため、安全天井6との間に旋回装置30が介在される旋回ホイスト40よりも安全天井6に近接して配置できる。これにより、旋回ホイスト40による炉底煉瓦8の吊り代Lが確保できなくなる程度にまで安全天井6を低い位置に設置しても、煉瓦降し用ホイスト50による炉底煉瓦8の吊り代Lを確保できる。従って、安全天井6をリングブロックB11よりも低い位置にあるリングブロックB2に設置でき、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
なお、仮にリングブロックB11に安全天井6が設置されると、リングブロックB11は最後に基礎上に搬入されるものであるため、このリングブロックB11の搬入が完了してから安全天井6を設置し、炉底部1Aにおける炉底煉瓦8の煉瓦積み作業が行われることになる。これに対し、本実施形態では、前述した煉瓦積み装置10の採用により、二番目に搬入されるリングブロックB2に対して安全天井6を設置できるので、炉底部1Aにおける炉底煉瓦8の煉瓦積み作業を早期に開始できる。
(2)煉瓦降し用ホイスト50が張出しデッキ20の側方に移動可能であるため、煉瓦降し用ホイスト50で張出しデッキ20上の炉底煉瓦8を吊り、張出しデッキ20の側方に移動し、炉底煉瓦8を下降することができる。このため、炉底煉瓦8を、張出しデッキ20に干渉することなく炉底底面7上に降ろすことができる。
また、張出しデッキ20が炉内側面9に設置されるため、この張出しデッキ20などが炉底底面7に置かれることがない。従って、炉底煉瓦8の煉瓦積み作業において張出しデッキ20などを炉底底面7から撤去等する必要がなく、この煉瓦積み作業が中断することをなくせる。
(3)補助吊り装置70が張出しデッキ20に取り付けられるため、この補助吊り装置70によって吊り上げた炉底煉瓦8を、旋回ホイスト40によっては煉瓦積みできない領域である張出しデッキ20の下方領域Cに積むことができる。これにより、補助吊り装置70を利用することで煉瓦積みを速やかに行うことができ、高炉改修の工期短縮を図ることができる。
【0049】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図7において、第2実施形態に係る煉瓦積み装置10Aは、張出しデッキ20Aを備える構成が第1実施形態に係る煉瓦積み装置10の構成と相違し、そのほかの各構成は煉瓦積み装置10と共通である。
【0050】
張出しデッキ20Aは、前述したデッキ本体21および支持ブラケット22と、デッキ本体21上に取り付けられた昇降リフト23と、昇降リフト23に取り付けられた煉瓦支持台24とを備える。
【0051】
デッキ本体21は、出銑口5よりも下方に下がった位置に配置されて炉内側面9に設置される。支持ブラケット22は、前述した位置に設置されたデッキ本体21を支持する。
昇降リフト23は、煉瓦支持台24を昇降可能に構成される。昇降リフト23の上昇状態では、煉瓦支持台24をローラコンベア4との高さ位置を合わせて出銑口5の炉内側に配置する。また、昇降リフト23の下降状態では、煉瓦支持台24に支持される炉底煉瓦8(
図7に二点鎖線で示す炉底煉瓦8参照)に対する煉瓦降し用ホイスト50の吊り代Lが確保される。
【0052】
煉瓦積み装置10Aでは、
図8(A)に示すように、昇降リフト23が煉瓦支持台24を上昇した位置で炉底煉瓦8の取り込みを待ち受ける。そして、ローラコンベア4の走行によって炉底煉瓦8が出銑口5から取り込まれて煉瓦支持台24上に配置されると、
図8(B)に示すように、昇降リフト23が下降動作して煉瓦支持台24を下降する。これにより、煉瓦支持台24上の炉底煉瓦8と煉瓦降し用ホイスト50との高さ方向間隔を拡げ、煉瓦降し用ホイスト50の吊り代Lを確保する。
この吊り代Lの確保後、煉瓦降し用ホイスト50、旋回ホイスト40および補助吊り装置70による煉瓦降し作業、積み作業は、第1実施形態の煉瓦積み装置10と同様に行われる。
【0053】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態に係る煉瓦積み装置10Aによっても、第1実施形態に係る煉瓦積み装置10と同様の作用効果を発揮できる。
さらに、煉瓦支持台24を昇降リフト23によって上昇して出銑口5から取り込まれる炉底煉瓦8を支持可能に配置でき、また、炉底煉瓦8を支持した煉瓦支持台24を昇降リフト23によって下降することで、炉底煉瓦8を煉瓦降し用ホイスト50から離間でき、煉瓦降し用ホイスト50の吊り代Lを確保できる。このため、出銑口5がリングブロックB2の上側寄りに設置されて安全天井6と出銑口5とが近い位置にある場合であっても、煉瓦降し用ホイスト50によって炉底煉瓦8を吊り、炉底底面7へ降ろすことができる。
また、例えば特許文献2における昇降装置は、炉底底板に直に設置されるため、昇降装置の設置箇所に煉瓦を配置する場合には、この昇降装置を撤去する必要がある。これに対して、煉瓦積み装置10Aでは、張出しデッキ20Aが炉内側面9に設置されるため、炉底底面7から張出しデッキ20Aを撤去する必要がなく、煉瓦積み作業が中断されることがない。
【0054】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図9において、第3実施形態に係る煉瓦積み装置10Bは、前述した支持ブラケット22に代えて吊り梁25を備える構成と、補助旋回ビーム82、ギアトロリー83および旋回ホイスト90(他の煉瓦積み用ホイスト)をさらに備える構成とが、第2実施形態に係る煉瓦積み装置10Aの構成と相違し、そのほかの各構成は煉瓦積み装置10Aと共通である。
【0055】
吊り梁25は、安全天井6に取り付けられており、張出しデッキ20Aの先端を懸吊している。この構成では、支持ブラケット22の構成を省くことでデッキ本体21下の空間での作業性を向上できる。しかし、この場合、旋回ホイスト40を
図4に示す領域Bに配置しようとしても、旋回ビーム32が
旋回軸31から吊り梁25までの長さ寸法よりも長く形成されていて吊り梁25に干渉するため、当該領域Bに配置できなくなる。
【0056】
旋回ホイスト90は、前述した領域Bにおける煉瓦積み用のものであるが、基本構造は旋回ホイスト40と同じである。この旋回ホイスト90は、補助旋回ビーム82に取り付けられ、当該補助旋回ビーム82の長手方向に沿って移動可能とされている。
【0057】
補助旋回ビーム82は、旋回ビーム32よりも短いうえ、旋回軸31から吊り梁25までの長さ寸法よりも短い長さ寸法を有して形成される。補助旋回ビーム82の基端は
、旋回ビーム32も取り付けられている共通の旋回軸31に取り付けられる。
【0058】
ギアトロリー83は、安全天井6の下面に取り付けられ、補助旋回ビーム82の先端寄りに連結している。このギアトロリー83は、補助旋回ビーム82に駆動力を与える一方、補助旋回ビーム82に加わる鉛直荷重を負担している。
【0059】
煉瓦積み装置10Bでは、炉底煉瓦8の炉内への取り込みから煉瓦降し用ホイスト50による炉底煉瓦8の炉底底面7への積み降し作業までは、第2実施形態に係る煉瓦積み装置10Aと同様に行われる。
また、旋回ホイスト40による領域Aにおける煉瓦積み作業、および補助吊り装置70による領域Cにおける煉瓦積み作業も、第1、第2実施形態に係る煉瓦積み装置10,10Aと同様に行われる。
【0060】
炉底部1Aの領域Bにおいて煉瓦積み作業は、旋回ホイスト90を用いて行う。具体的には、煉瓦降し用ホイスト50によって炉底底面7上に降ろした炉底煉瓦8を旋回ホイスト40によって吊り上げる。そして、
図10(A)に示すように、旋回ホイスト40を旋回ビーム32に沿って炉中央側に移動し、炉底煉瓦8を吊り梁25よりも炉中央側であって旋回ホイスト90による吊り上げ可能な位置に配置する。
【0061】
次に、旋回ビーム32、補助旋回ビーム82を旋回し、旋回ホイスト90を前述した炉底煉瓦8の上方に位置する。つづいて、
図10(B)に示すように、旋回ホイスト90によって炉底煉瓦8を吊り上げ、旋回ホイスト90を補助旋回ビーム82に沿って移動し、かつ補助旋回ビーム82を旋回して、炉底煉瓦8を領域B内の任意位置に配置する。そして、炉底煉瓦8を下降して領域Bに積む。
【0062】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態に係る煉瓦積み装置10Bによれば、第1、第2実施形態に係る煉瓦積み装置10,10Aと同様の作用効果を発揮できる。
さらに、補助旋回ビーム82および旋回ホイスト90を備えるため、旋回ビーム32によって旋回される旋回ホイスト40による領域Aにおける煉瓦積みと、補助旋回ビーム82によって旋回される旋回ホイスト90による領域Bにおける煉瓦積みとを行うことができる。
加えて、張出しデッキ20Aを支持する方法として、支持ブラケット22に代えて吊り梁25とすることで、張出しデッキ20A下の煉瓦積みの作業性を向上できる。
【0063】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、第1実施形態では、煉瓦降し用ホイスト50がガイドレール61に沿って移動可能な構成とされ、この移動によって張出しデッキ20の側方から炉底煉瓦8を炉底底面7上に降ろすこととしたが、これに限定されない。例えば、
図11に示すように、張出しデッキ20のデッキ本体21に開口を形成し、この開口を開閉可能な開閉床としてスライド床211を設け、スライド床211のスライド移動によってデッキ本体21に炉底煉瓦8が挿通可能な開口を開閉してもよい。
スライド床211がある場合、出銑口5から取り込んだ炉底煉瓦8を張出しデッキ20上に配置し、煉瓦降し用ホイスト50によって張出しデッキ20上の炉底煉瓦8を吊り、スライド床211をスライドして開口を形成し、煉瓦降し用ホイスト50によって炉底煉瓦8を下降して開口を通し、炉底底面7上に降ろすことができる。このため、炉底煉瓦8を張出しデッキ20に干渉することなく炉底底面7上に降ろすことができる。
なお、スライド床211を備える場合、ガイドレール61の構成は省略されてもよい。
また、第2、第3実施形態における張出しデッキ20Aの煉瓦支持台24にスライド床211を設けてもよい。この場合、張出しデッキ20Aの煉瓦支持台24およびデッキ本体21の双方に炉底煉瓦8が挿通可能な開口が形成される。なお、炉底底面7上に、ローラーコンベアを設置することで、張出しデッキ20Aの外に炉底煉瓦8を移動し、旋回ホイスト40での据付が可能となる。また、スライド床211上に昇降リフト23を設置してもよい。
【0064】
第3実施形態では、吊り梁25を有した張出しデッキ20Aを備えているが、これに限定されず、例えば、支持ブラケット22に代えて吊り梁25を有した張出しデッキ20を備えていてもよい。
【0065】
前記実施形態では、高炉1の全面改修時における炉底部1Aでの煉瓦積み作業について説明したが、これに限定されない。例えば、高炉1の鉄皮2を流用してステーブのみを取替える鉄皮流用改修時では、先ずリングブロックB1,B2において下部ステーブを取り付け、次に、リングブロックB2に安全天井6を設置し、煉瓦積み装置10,10A,10Bを設置して煉瓦積み作業を行う。この煉瓦積み作業と並行してリングブロックB3〜B11に上部ステーブを取り付ける。煉瓦積み装置10,10A,10Bを設置して煉瓦積み作業の完了後、リングブロックB3〜B11への煉瓦積み作業を行う。
【0066】
なお、本発明の参考として、例えば、第2実施形態に係る煉瓦積み装置10Aから煉瓦降し用ホイスト50の構成を省略してなる煉瓦積み装置が挙げられる。この煉瓦積み装置では、昇降リフト23により煉瓦支持台24を下降することで、旋回ホイスト40の吊り代Lを確保できる。