特許第6526512号(P6526512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526512
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】アナログ時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/22 20060101AFI20190527BHJP
   G04B 19/28 20060101ALI20190527BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20190527BHJP
【FI】
   G04B19/22 Z
   G04B19/28 A
   G04G21/00 304E
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-151945(P2015-151945)
(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-35459(P2016-35459A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2018年1月5日
(31)【優先権主張番号】10 2014 011 430.9
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515210499
【氏名又は名称】マティアス フェヒナー
【氏名又は名称原語表記】Matthias Fechner
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マティアス フェヒナー
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−005489(JP,U)
【文献】 特開平07−084071(JP,A)
【文献】 実公昭52−052615(JP,Y1)
【文献】 特開平11−006883(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0285443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 3/04
G04B 19/22
G04B 19/23
G04B 19/28
G04B 27/00
G04C 10/00 − 04
G04G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ時計であって、
文字板(100)を囲繞する場所ベゼル(106)を備え、該場所ベゼル(106)は回動可能であり、従って前記文字板(100)の縁の任意の点に対して位置合わせすることができ、これにより前記文字板(100)の縁に取り付けられたマーク(108)を用いて、時計の時間表示部に表示された複数の時間帯のうちの1つを指定することができ
当該アナログ時計は、別のマーク付きリング(120)を備え、該別のマーク付きリング(120)は、別のマーク(122)を有し、該別のマーク(122)は、別の時間帯が指定されるように、又は前記指定された1つの時間帯に対する別の時間帯の時間のずれが示されるように、前記場所ベゼル(106)において指定される任意の場所に位置合わせすることができる、ことを特徴とするアナログ時計。
【請求項2】
前記場所ベゼル(106)と前記マーク付きリング(120)とは、互いに別個に独立してかつ/又は互いに逆向きに回動させることができる、請求項記載のアナログ時計。
【請求項3】
前記場所ベゼル(106)及び/又は前記マーク付きリング(120)の調節が、時間表示部に連結されており、前記場所ベゼル(106)及び/又は前記マーク付きリング(120)の調節の変化が、時間表示部により、調節終了後に追随されるように、当該アナログ時計が構成されている、請求項記載のアナログ時計。
【請求項4】
前記場所ベゼル(106)及び/又は前記マーク付きリング(120)は、ロッカースイッチ介して、一方向又は双方向に回動させて位置合わせすることができる、請求項1からまでのいずれか1項記載のアナログ時計。
【請求項5】
前記ロッカースイッチは、ねじ込み可能な竜頭によりロックしかつ解除することができ、特に時計ケーシングの埃及び水に対して密な閉鎖が可能になっている、請求項記載のアナログ時計。
【請求項6】
前記竜頭を介して、前記場所ベゼル(106)及び/又は前記マーク付きリング(120)がそれぞれ前記ロッカースイッチの揺動運動により時計回り方向又は半時計回り方向に回動するか否かを制御する、請求項記載のアナログ時計。
【請求項7】
少なくとも前記文字板内の前記時間表示部に対して相対的な前記場所ベゼル(106)及び前記マーク付きリング(120)の位置合わせが、交替できるように、当該アナログ時計が構成されている、請求項5又は6記載のアナログ時計。
【請求項8】
前記場所ベゼル(106)及び前記マーク付きリング(120)の位置合わせの交替は、前記竜頭を介して、起される、請求項記載のアナログ時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ時計、特に腕時計であって、種々の時間帯におけるローカルタイムを並行にアナログ表示する装置を備えたアナログ時計に関する。個々の時間帯の識別は、適当なマーキングを備えた場所ベゼルにより行われる。
【背景技術】
【0002】
アナログ時計、特に腕時計は、第1には、観察者に(ローカル)時刻を報知するために働く。モビリティ向上の時代において、時間帯を超えたアクティビティはますます当然のことになりつつある。これについては、例えば時間帯を超えた旅行や通信も含まれる。従って、他地域で有効な時刻に関する情報は、一層重要となっている。アナログ時計、特に腕時計の場合、このことは、例えば1つ又は複数の時間帯の並行報知を求める要望に現れている。同じことは、択一的な時刻の間で表示を任意に切り換えることができることを求める要望にも云える。更に、種々の時刻の相互関係(時差、+時差、-時差)に関する情報も、使用者にとっては重要になり得る。
【0003】
時計、特に腕時計が、デジタル表示部を有する時計と、アナログ表示部を有する時計とに区別されると、デジタル表示部を有する時計は、その自由にデザイン可能なディスプレイに基づき、情報媒介における高い自在性の点ですぐれている。種々のデータを表示させるか、又は種々のデータの間で切換えを行うことが比較的簡単である。それに対して、個々の指針の角度位置変化並びにその都度の互いに相対的な位置による、時点や時間幅の、指針表示に伴う直感的な視覚的認識性は、描画不可能である。この点に、デジタル時計では達成されないクラシカルな印象の他に、アナログ時計、特に指針を備えた腕時計が相変わらず広く普及していることの理由の1つが認められ得る。アナログ時計が、多くの人により利点として感じられる前記特徴を有する反面、アナログ時計のあまり自在にはデザイン可能でない表示部は、上記関連においては欠点として挙げられる。それにもかかわらず、種々の時間帯に関する上記情報を表示し得るようにするためには、種々の方法が記載されている。
【0004】
即ち、場所ベゼルが知られている。場所ベゼルは、観察者に、種々のローカルタイムが互いに何時間異なっているのかについての情報を与える。このような配置では、場所ベゼル上の、自地域の時間帯を代表する都市名を起点として、別の都市名に対する間隔(角度)を介して各時間のずれを読み取ることができる。この場合、例えば30゜が、12時間文字板における1時間差に相当する。
【0005】
不動の場所ベゼルに対して択一的に、回転可能な時間ベゼルが設けられていてもよい。時間ベゼルは、択一的な時間帯において有効な現在時が、まさに今文字板の短針により取られている位置へ向けられるように調節され得る。調節された時間ベゼルは、(主)文字板の指針対のための「二次文字板」として機能し、こうしていつでも、択一的な現地時間の直接的な読取りを可能にする。表示のためには、24時間文字板が使用され得る。昼と夜との区別を一層簡単にするためには、2色(明るい色(昼):06:00〜18:00時、暗い色(夜):18:00〜06:00時)に形成されている24時間ベゼルが設けられていてもよい。
【0006】
別の構成では、第2の短針が設けられていてよい。この第2の短針は少なくとも1/2に設定された周速で回転するように、つまり12時間で1回転ではなく24時間で1回転するように、回転する。第2の指針は、文字板の主表示部から独立して、択一的な別の現地時間に合わせて調節され得る。従って、時間は直接に読取り可能となり、分については、主文字板の表示部が有効となる。
【0007】
前で提案したような回転可能な時間ベゼルと相まって、それどころか3つの時間帯を表示することができる。1つ目は、主文字板に、2つ目は、24時間の短針によって直接に主文字板に関連して、3つ目は、24時間の短針によって間接的に、回転させられた時間ベゼルに関連して、それぞれ表示され得る。
【0008】
更に別の構成では、主表示部とは別個に独立して択一的な別の時刻に合わせて調節され得る、表示部内の二次文字板の装置が提供される。こうして、両時間帯における現行の時刻が、並行して表示される(デュアル表示)。制御は、1つ又は2つの独立した時計仕掛けにより行われ得る。当然ながら、それぞれ1つの独立した時計仕掛けにより駆動される3つの文字板を備えた時計も可能であり、かつ知られている。
【0009】
12時間文字板が使用される場合、この文字板には昼夜インジケータを補足することができる。昼夜インジケータはその都度、当該文字板に表示された時刻が夜に対応しているのか、又は昼に対応しているのか、を表示し、従って、12時間表示を間接的に24時間表示にしている。
【0010】
回動可能な場所ベゼルとの組合せの形で、二次表示部は、表示された時間帯を代表する都市が所定のマーキングに合わせられるように前記場所ベゼルとカップリングされ得る。従って、表示された時刻がどの時間帯に対応し得るのかを、直ちに知ることができる。
【0011】
更にこの場合、通常の短針に加えて、別の短針を補足することが挙げられる。別の短針は、第2の時間帯の表示用に想定されている。異なる第2の時間帯が調節されていない場合には、別の短針は通常の短針によって覆い隠されている。但し、異なる第2の時間が調節されると、第2の時間が調節されていないときは通常の短針によって覆い隠されていた第2の短針が現れて、同一の文字板内で、第2の時間帯に当てはまる時刻を表示する。
【0012】
別の公知の構成では、(不動の)都市リングに関連した回転式の24時間リングが、世界のあらゆる時間帯に当てはまる複数の現地時間を、同時に表示することを可能にする。時間リングが24時間で360°回転するのに対して、都市リングは不動のままである。云わば時間は都市の傍らを通過していく。各都市に最も近い時間が、そこに該当する時刻を表している。これらの2つのリングの(内側に)位置していて、2本の指針を備えた従来の文字板は、前記両リングとは関係なく、便宜上観察者の滞在地に当てはまる任意の時間に調節可能である。
【0013】
更なる複雑化として、中央の文字板の調節と同時に、24時間リングと都市リングとをユニットとして移動させることができ、これにより、都市リングに表記された首都を代表する、中央の文字板に表示するために選択された時間帯が、所定のマークに位置合わせされる。
【0014】
公知のレベルソ時計は、時計本体の両面に、それぞれ1つの文字板を有している。時計本体は、アームバンドに設けられた特別なホルダ内に位置しており、このホルダは、時計本体の一方の面又は他方の面を選択的に、前面に向けて回動させることができるように構成されている。他方の文字板はその都度、ホルダの方を向くので、見えなくなる。両方の文字板が互いに別個に調節可能である場合には、必要に応じて2つの時間帯が表示され得る。
【0015】
次に、2つの時間帯の並行アナログ表示部(アナログデュアル表示部)を備える従来技術から公知の時計の欠点を説明したい。一般に、並行表示部の大きさ及び配置は、その意味によって主表示部と副表示部とに、視覚的に明確に区別することができる。
【0016】
従来技術における欠点は、目下のところ、アナログ時計により表示される時間帯を複数指定することは不可能である、という点である。場所ベゼル上に示された1つの都市に位置合わせされるマークを用いて、1つの時間帯は確認され得る。しかし、これに並行して時計が同一の文字板又は別の文字板に第2の時間帯を示しても、この第2の時間帯は未指定のものである。よって観察者にとっては、表示された2つの時間の相互関係についての情報が抜け落ちていることになる。従って、時間のずれも、直ぐには判らない。時差は、2つの文字板に表示された時間の比較からしか、求めることができない。また、どちらの現地時間が進んでいるのか、そしてどちらが遅れているのかも、別の補助手段なしには認識することができない。2つの(24時間に代わる)12時間表示部の場合は更に、半日表示の識別が困難になる。
【0017】
別の欠点は、調節が限られた範囲でしか直感的に行えない、という点にある。即ち、時間表示の変更は、従来技術では竜頭又は押しボタンのいずれかを介して行われる。前者の竜頭は、比較的複雑である。それというのも、利用可能な調節運動は、現在のところ、竜頭軸の軸方向運動と回転運動とに限定されているからである。
【0018】
後者の押しボタンは、複数の押しボタンが使用されない場合には、1つの調節方向に確定されている。複数の時間帯を調節しかつ変更するために、直感的なアプローチを十分に多くの自由度と結び付ける装置は、従来技術において知られていない。
【0019】
従来技術における別の欠点は、腕時計の着用者によって調節のためにもたらされる機械的なエネルギが、時計を機能させるためにも後で利用するためにも蓄えられない、という点にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服して、アナログ表示される複数の時間帯、並びにその相互関係、即ち時差、あるいは進み又は遅れを同時に識別することを可能にする装置を提供することにある。
【0021】
本発明の別の観点によれば、本発明に係るアナログ時計は、竜頭や押しボタンといった一般的な調節手段に対する代替手段を提供するものであり、この代替手段は、直感的に操作可能であると同時に、調節上のあらゆる問題を解決することができ、かつ/又は調節プロセスに際して使用されたエネルギを部分的に利用可能にしたことで、時間及びエネルギが最適化された調節を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、前記課題は独立請求項1に記載された構成によって解決される。
【発明の効果】
【0023】
ここに記載した本発明によれば、アナログ時計には回動可能な場所ベゼルが備えられている。場所ベゼルには複数のマークが設けられていて、これらのマークは、場所ベゼルの内縁及び外縁において、この時計により現在表示されているまさにその時間に対応する場所、従ってこの場所に属する時間帯を示している。
【0024】
更に、改良された構成では、竜頭を有している時計が形成されている。この時計では、竜頭は、これまでの通常の動きに加えて付加的に、竜頭の軸に沿って及び竜頭の軸周りに、少なくとも1つの別の次元でも可動である。これにより得られる自由度は、一方ではこれまで通常であった以上の時計の機能を竜頭によって制御するために利用され、かつ/又はこれまでの調節法を別の形式にする、例えばより直感的にするために利用される。
【0025】
別の構成では、この時計に、調節の際に付与されるエネルギを、時計の稼動に利用できるエネルギに変換し、場合によっては蓄えることもできる装置が設けられている。特にこの装置は、上述した竜頭でもたらされた機械的な運動エネルギの一部の吸収を含み、このエネルギの直接的な利用、又は場合によってはこのエネルギが別のエネルギ形態に変換された後、後に利用する目的で(一時)貯蔵することを含む。
【0026】
特に好適な構成では、蓄えられたエネルギは、駆動のため、又はベゼルの位置合わせの上述した変更の実行のため、又はその他の何らかの形で利用される。好適には12時間表示部は、昼・夜インジケータにより補われる、又は24時間表示部と置き替えることができる。好適には24時間リングが設けられており、このリングは1日で1回転し、従って、場所ベゼルと共に、この場所ベゼル上に表記された各場所における時刻を示す。
【0027】
特に回転する24時間リングは、場所ベゼルの調節回動に自動的に追随するので、いつでも、そこでのその都度の現行の時間に応じた24時間リング上の時間マークは、場所ベゼル上に相応に表示された場所の直ぐ隣に位置する。
【0028】
以下に、図面につき本発明の例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】文字板の個別の構成要素を示した図である。
図2】文字板を示した図である。
図3】表示部交換の例を示した図である。
図4】ロッカースイッチの位置を示した図である。
図5】ロッカースイッチの複数の引出し段を示した図である。
図6】段1におけるロッカースイッチの揺動機能を示した図である。
図7】段2におけるロッカースイッチの揺動機能を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1及び図2には、文字板の構成要素と文字板自体とが示されている。本発明によれば、文字板100は2つのアナログ表示部を備えていて、アナログデュアル表示部とも云う。しかしながら好適には、この場合、これらの表示部を、例えば両表示部のサイズ及び/又は時計本体の表面上の配置によって、主表示部104と副表示部105とに明確に階層的に区別する必要は必ずしもない。これらの表示部は分離された円形カウンタ104,105内に、又は別の形式のカウンタ102に配置されていてよい。
【0031】
文字板の外縁には、リング106若しくは場所ベゼルが位置している。このリング106若しくはベゼルには、地球の各地の(主な)時間帯を代表する複数の都市名が、15°の間隔を置いて表記されている。リング106は回動可能に形成される。従って、このリング106は、場所ベゼルの内側に位置する文字板100の縁に設けられた好適には不動のマーク108に合わせることができる。これにより、主表示部104に示された時間帯が識別される。
【0032】
場所ベゼル若しくはリング106の外側には別のリング120が配置されていて、このリング120には別のマーク122が設けられている。従ってこのリング120はマーク付きリングとも記載される。マーク付きリング120は場所ベゼル若しくはリング106とは関係なく独立して回動可能である。マーク122を、場所ベゼル若しくはリング106上の別の都市名に合わせることにより、別の時間帯を示すことができる。このようにして、副表示部に示された時間帯が識別される。選択的には、表示された時間帯の識別を、アナログ時計ではマーク108,122によって行う代わりに、指針の回転軸線が文字板の中央に配置されているならば、その指針によって行うこともできる。このような付加的な指針は、調節が変更されるまで、相応の都市名に合わせられたままである。
【0033】
主表示部104に表示される時間を変更すべきとき、このことは、場所ベゼルあるいはリング106の相応の回動に合致させて行われる。丸一時間変更する毎に、場所ベゼルあるいはリング106は、相応の方向に15°ずつ回動させられる。場所ベゼルあるいはリング106の外側に位置するマーク付きリング120上に設けられたマーク122が、場所ベゼルあるいはリング106に対して相対的に、15°ずつ所定の回数動かされると、副表示部105に示される時間は、相応の時間数の分だけその表示部を適応させることで、この変更に従うようになる。単純な操作並びに時間効率及びエネルギ効率のために、作用関連性は断たれる。即ち、表示される時間の調節は、先ず、場所ベゼルあるいはリング106及びマーク付きリング120の回動による場所ベゼルあるいはリング106上での両マーク108,122の位置合わせを介して行われる。次に、主表示部104及び副表示部105の指針は、こうして定められた設定に追随する。エネルギを節約するために、適応動作は、好適な実施の形態では、一緒に実施される代わりに、順次実施され得る。
【0034】
好適な実施の形態では、回転する24時間リング130が設けられていてもよい。24時間リング130は、例えば場所ベゼルあるいはリング106の直ぐ隣(外側又は内側)に取り付けられている。24時間リング130には、時計回りに数字の1〜24/0が、等間隔に表記されている。24時間リング130は、24時間で360゜を反時計回りに回転するので、常に、場所ベゼルあるいはリング106上に都市名で表示された各時間帯において、当該時間帯で適用されているローカルタイムが読取り可能である。分単位については、地球上の24の主時間帯においてどこでも同じであるため、主表示部104又は副表示部105で識別される。このことは、第1に、24時間リング130が先ず現況に合わせて場所ベゼルあるいはリング106に対して位置合わせされ、第2に、主表示部104に表示される現地時間130を変更する際の、場所ベゼルあるいはリング106の後続のすべての回動が、24時間リング(130)により追随されることを前提としている。
【0035】
図2は、本発明に係るアナログ時計、特に文字板の平面図を示している。図1に示した構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付した。主表示部104及び副表示部105が明りょうに看取可能である。更に、主時間帯の都市名が表記された場所ベゼルあるいはリング106も看取可能である。場所ベゼルあるいはリング106の内縁にあるマーク108及びマーク付きリング120のマーク122も看取可能である。他方、文字板には、符号100を付した。
【0036】
図3.1及び図3.2を参照しながら表示変更(表示切換え)について説明する。例えばロンドンからドバイに旅行する際、文字板の表示部は、それぞれの場所について対照される。図3.1は、マーク108が「ロンドン」の都市名を指し、ひいてはグリニッジ時間帯を指している表示となっている。主表示部104に表示される時間は、10:00時である。このことは、24時間リング130でも読取り可能である。マーク付きリング120に設けられたマーク122は、「ドバイ」の都市名を指している。ドバイは、グリニッジ時間帯に対して4時間進んでいる。従って、105に表示される「ドバイ時間」は、4時間進んだ14:00時である。図3.2では、マーク108により場所ベゼルあるいはリング106に示されているように、主表示部104に表示される時間が、「ドバイ時間」であり、マーク付きリング120のマーク122により示されているように、副表示部105に表示される時間が、グリニッジ時間である。
【0037】
図4図7.3には、好ましくは操作要素としてロッカースイッチを有するパラメータの調節部を詳細に示してある。時計の調節は、2つの期間、即ち(a)「調節パラメータの設定」及び(b)「設定の実行」に分けられる。先ず、調節パラメータの設定について説明する。
【0038】
時計の調節に関し、操作要素、好ましくは多段に引出し可能とされた竜頭からなる操作要素について、図4図7.3に示したロッカースイッチとの関連において説明する。しかし、操作要素はこの形態に限定されるものではない。本実施の形態では、ロッカースイッチ300は、三角形/円錐形に形成されており、時計のケーシングの側部において、やはり時計の中心に向かって先細りした凹部内に配置されている。凹部400とロッカースイッチ300とは、互いに嵌合するように加工されているので、ロッカースイッチ300は、それが凹部400に沈められているときは、不動である。このことは、図4及び図5.1に示してある。ロッカースイッチ300を貫いて時計の中心に向かって、竜頭402の軸404が延びている。竜頭402がねじ込まれると、ロッカースイッチ300は、凹部400に引き込まれる。これによりロッカースイッチ300は、凹部400に固定される。このことは、図5.1に示してある。竜頭402がねじ込まれていない状態にあっては、ロッカースイッチ300は、ばね力により凹部400から押し出され、上下動可能あるいは上下に「揺動」可能であるように十分な遊びを有している。このことは、図5.2に引出し段1として示してある。前後動は不可能である。非作動状態において、ロッカースイッチ300は、やはりばね力により、凹部400の中央に保たれる。
【0039】
竜頭402は、螺解後、多段に引出し可能とされている。引出し段の選択を介して、調節モードが決定される。このことは、図5.1〜図5.4に示してある。調節モードは、ロッカースイッチ300及び竜頭402の(調節)運動により時計のどの表示部が反応するかを制御する。
【0040】
竜頭402が、図5.2に示したような第1の段に位置している場合には、ロッカースイッチ300の運動が、図6.1〜図6.3に示したように、場所ベゼル若しくはリング106に作用する。上方への1回の揺動運動(シーソー運動)によって、場所ベゼル若しくはリング106は15゜だけ反時計回り方向に回動させられ、下方への1回の揺動運動によって、場所ベゼル若しくはリング106は15゜だけ時計回り方向に回動させられる。このことは、1つの完全な主時間帯分の変更に相当している。第2の引出し段(図5.3参照)では、ロッカースイッチ300が、場所ベゼル若しくはリング106の外側に位置する、副時間表示部に対応させるためのマーク122を備えたマーク付きリング120に同様に作用する。このことは、図7.1〜図7.3に示してある。図5.4に示した第3の引出し段は、調節機能のいずれにも結び付けられていない。相応に、第3の引出し段では、竜頭402が係止されておらず、引張り力を弱めると、再び第2の引出し段に跳ね戻される。第3の引出し段では、ロッカースイッチ300の操作は見せかけだけでしかない(即ち、いずれの機能にも結び付けられていない)、又は全く不可能である。その代わりに、第3の段への引出しによって、場所ベゼルの位置と外側のマークの位置とが相互に入れ換えられる。ベゼルがその位置を変更し、動作の終了後、内側に位置するマークが、外側のマークによって予め特徴づけられていた場所を示すようになる。外側のマークは、内側のマークによって前回表示されていた都市名に向けられる(図3.1及び図3.2参照)。
【0041】
竜頭を、図5.2に示した第1の引出し段及び図5.3に示した第2の引出し段で回すことによって、これに主表示部若しくは副表示部の指針(長針)が反応し、この指針を調節することができる。
【0042】
時計が、従来技術の中で説明したような回転式の24時間リングを有している場合には、この24時間リングも、ベゼル及び外側のマーク付きリングと同様に、竜頭の別の引出し段においてロッカースイッチを介して、又は付加的な押しボタンに基づき1時間単位で、又は竜頭を介して、無段階に調節される。
【0043】
図5.1に示した竜頭の押込み及びねじ込みによって、「パラメータの設定」段階が終了される。
【0044】
以下では、設定がどのように実行されるのかを説明する。
【0045】
第1に、竜頭の押込み及びねじ込みによって、ロッカースイッチが凹部に引き込まれ、位置固定される。第2に、時計が密閉される。第3に、設定の実行が開始される。予めロッカースイッチを介して場所ベゼル及び場合によっては対応するマークに合わせて調節された主・副時間帯が、主・副表示部の指針によって引き受けられる。時計の指針運動は、通常、エネルギ需要の約80%を担っている。この背景を前にして、
・ベゼル及びマーク付きリングの前調節への主・副表示部の適応を、この前調節の終了後ひいては竜頭の再ねじ込み後にはじめて開始させること、
・上述した適応を短針の調節に限定すること、即ち、長針は通常通り引き続き動かすこと、
・個々の指針の調節を、並行してではなく、エネルギ消費を最小限に抑えるという目的で順次に、場合によっては中断を伴って、例えば以下に説明するエネルギ取得に合わせて調整しつつ制御すること、
・揺動運動を機械式に(例えばばねの緊縮によって)、電気式に(例えば小型発電機の駆動及び二次電池の給電によって)又は別の適切な方式で一時的に蓄えかつ、例えば、上述したようなエネルギ集中的な後続の適応調節のために又は主エネルギ源に対して補足的に時計の通常の作動のために使用すること、
が好適であると思われる。
【0046】
上述した装置は、更に、時間帯制度の3つの特殊性だけ拡張することができる。夏時間と冬時間とが区別される位置が、場所ベゼルに相応の記号、例えば次の時間帯への指示矢印によってマークされてよい。
【0047】
隣接する時間帯の位置時間と丸1時間よりも少ない時間分だけ位置時間が異なっている領域である副時間帯が、必要に際して、隣接位置に対して相応により小さな間隔を置いて場所ベゼルに表されてよい。この場合、ベゼルとマーク付きリングとの調節歩進の回数及び角度が相応に適合されなければならない。当該形態では、主・副表示部への適応調節に、短針に加えて、長針も含められなければならない。
【0048】
両時間表示部に付け加えて、「基本時間」又は「居住地時間」を常時報知する役割を有する第3の時間表示部が設けられてよい:旅行中、主・副表示部が旅程に相応に適応させられるのに対して、第3の表示部は、居住地において現行の時間を不変に表示している。ここでは、24時間文字板又は補足的な昼/夜表示部の使用が好適である。
【符号の説明】
【0049】
100 文字板
102 表示部
104 主表示部
105 副表示部
106 リング
108 マーク
120 リング
122 マーク
130 24時間リング
300 ロッカースイッチ
400 凹部
402 竜頭
404 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7