(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
−第1パックがエポキシ樹脂を含み、第2パックが前記エポキシ樹脂のためのアミン硬化剤を含む、2つのパックの被覆組成物であって、さらに式BX1X2X3(式中、X1、X2及びX3は、−Y1及び−OY2から独立に選択され、Y1は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、Y2は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは−OY2基である)の有機ホウ素化合物を含む2つのパックの被覆組成物を提供する工程と、
−前記第1パックと前記第2パックを合わせて被覆組成物を生成する工程と、
−前記被覆組成物を化学装置の表面に塗布して被覆層を形成する工程と、
−前記被覆層を0〜50℃の範囲の温度で硬化させる工程(第1硬化工程)と、
−さらに、前記被覆層に50℃を超え100℃までの範囲の温度の後硬化を施す工程(第2硬化工程)とを含む、化学装置の金属又はコンクリート表面に被覆を設けるための方法。
Y1及び/又はY2が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択され、特に、Y1及びY2がいずれも、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
X1、X2及びX3のすべてが、独立に選択される−OY2基であり、特に前記Y2基が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基、とりわけC2−C5アルキル基から独立に選択される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
前記被覆組成物が、10重量%未満のRDGE(レソルシノールジグリシジルエーテル)、特に5重量%未満のRDGE、例えば2重量%未満のRDGEを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において用いられる被覆組成物は、式BX1X2X3(式中、X1、X2及びX3は、−Y1及び−OY2から独立に選択され、Y1は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、Y2は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは−OY2基である。)の有機ホウ素化合物を含む。
【0014】
用語アルキルは、直鎖及び分岐鎖アルキル基を含み、シクロアルキル(cycloakyl)基も包含する。用語アリールは、アルキル置換アリール基及びアリール置換アルキル基も包含する。アルキル基又はアリール基Y1及びY2は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はリン原子を含む基で置換されてもよいが、これは好ましくはない。
【0015】
1つの実施形態では、Y1及び/又はY2は、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択される。特に、Y1及びY2はいずれも、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択される。
【0016】
1つの実施形態では、Y1及び/又はY2は、C2−C5アルキル基から独立に選択される。特に、Y1及びY2はいずれも、C2−C5アルキル基から独立に選択される。
【0017】
X1、X2及びX3のうちの少なくとも2つが、独立に選択される−OY2基であり、特にY2基が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基、とりわけC2−C5アルキル基から独立に選択されることが好ましいこともある。
【0018】
X1、X2及びX3のすべてが、独立に選択される−OY2基であり、特にY2基が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基、とりわけC2−C5アルキル基から独立に選択されることが特に好ましいこともある。式B(OY2)
3(式中、Y2基は、C2−C5アルキル基から独立に選択される。)の有機ホウ素化合物の使用が特に好ましいと考えられる。
【0019】
適した化合物の例には、トリエチルボラート、トリメチルボラート、トリイソプロピルボラート、トリブチルボラート、フェニルボロン酸のジエチルエステル及びメチルボロン酸のジエチルエステルが含まれる。トリエチルボラートの使用が特に好ましいと考えられる。
【0020】
当業者には明らかになるように、組成物中に存在するY1及びY2はそれぞれ独立に選択することができて、組成物中に存在する他のY1及びY2基と同じでも、異なっていてもよい。式BX1X2X3の有機ホウ素化合物の混合物も用いることができる。
【0021】
有機ホウ素化合物の量は、以下の考慮すべき事項によって支配されることがある。アミン基がエポキシ官能基にさらされるとき、アミン基の窒素原子に対してβであるように配置されるヒドロキシル基が生成される。理論によって制限されることは本意ではないが、1,2−アミノアルコール基とホウ素化合物との間の相互作用が、驚いたことに被覆組成物の耐薬品性を改善する反応につながると考えられる。「耐薬品性」により、われわれは、被覆が膜の完全性を維持しながら化学物質、溶媒又は他の液体の貨物を吸収し、続いて脱着する傾向を意味する。
【0022】
したがって、被覆組成物にもたらされる有機ホウ素化合物の量は、組成物中に存在するエポキシ基とアミン硬化剤との間の反応から生成される1,2−アミノアルコール基の量に関係する。エポキシ−アミン反応から生成されるアルコール基すべてにB−Y1基又はB−OY2基を供給する必要はない。
【0023】
1つの実施形態では、有機ホウ素化合物の適切な量は以下の通り計算することができる:
−(1つ又はそれ以上の)硬化剤中の活性水素と組成物中に存在するエポキシ基の当量比が1.00:1.00又はそれより大きいとき、組成物中に存在するB−OY2基の数は好ましくは、組成物中に存在するエポキシ基の数の5〜80%、より好ましくは10〜50%、最も好ましくは20〜40%と等しく、
−(1つ又はそれ以上の)硬化剤中の活性水素と組成物中に存在するエポキシ基の当量比が1.00:1.00未満であるとき、組成物中に存在するB−OY2基の数は好ましくは、(1つ又はそれ以上の)硬化剤中の活性水素の数の5〜80%、好ましくは10〜50%、最も好ましくは20〜40%と等しい。
【0024】
あるいは、別の実施形態では、有機ホウ素化合物の適切な量は以下の通り計算することができる:
−(1つ又はそれ以上の)硬化剤中の活性水素と組成物中に存在するエポキシ基の当量比が1.00:1.00又はそれより大きいとき、組成物中に存在するB−OY2基の数は好ましくは、組成物中に存在するエポキシ基の数の15〜50%、より好ましくは15〜40%と等しく、
−(1つ又はそれ以上の)硬化剤中の活性水素と組成物中に存在するエポキシ基の当量比が1.00:1.00未満であるとき、組成物中に存在するB−OY2基の数は好ましくは、(1つ又はそれ以上の)硬化剤中の活性水素の数の15〜50%、好ましくは15〜40%と等しい。
【0025】
活性水素及びエポキシ基含有化合物を有する(1つ又はそれ以上の)硬化剤は、以下でより詳しく議論する。
【0026】
被覆組成物は、少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む。適したエポキシ樹脂は当分野において公知である。これらの樹脂は、例えばフェノールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂及びレソルシノールジグリシジルエーテル(RDGE)エポキシ樹脂を包含する。他の適したエポキシ樹脂には、ビスフェノールA、ビスフェノールAノボラック樹脂、水素化ビスフェノールA又はビスフェノールSのジグリシジルエーテル、上述のビスフェノールのいずれかの縮合又は伸長グリシジルエーテル、ビスフェノールの水素化縮合グリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンベースのエポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジルエーテル、例えばトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びソルビトールグリシジルエーテル、エポキシ化油、エポキシ化合物、例えばジエポキシオクタン及びエポキシ化ポリブタジエンが含まれる。
【0027】
1つの実施形態では、エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂、特にフェノールノボラックエポキシ樹脂を含む。適したフェノールノボラックエポキシ樹脂は当分野において周知であり、さらに説明する必要はない。本発明による組成物において用いることができるフェノールノボラックエポキシ樹脂の例には、DEN 425、DEN 431及びDEN 438(旧DOW Chemicals)、Epon 154、Epon 160、Epon 161及びEpon 162(旧Momentive Performance Chemicals)、並びにEpalloy 8250(旧Emerald Chemical社)が含まれる。これらのエポキシ化合物は、165〜185g/eqの範囲のエポキシ当量を有する。エポキシ当量は、1モル(又は1当量)のエポキシ官能基を与えるのに必要なエポキシ樹脂の重量である。用いられてもよい他のエポキシ樹脂には、エポキシクレゾールノボラック樹脂、例えばEpon 164及びEpon 165(旧Momentive Performance Chemicals)、又はビスフェノールAエポキシノボラック樹脂、例えばEpon SUタイプの樹脂が含まれる。
【0028】
1つの実施形態では、エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂、特にビスフェノールFエポキシ樹脂を含む。適したビスフェノールFエポキシ樹脂は当分野において周知であり、さらに説明する必要はない。本発明による組成物において用いることができるビスフェノールFエポキシ樹脂の例には、DER 354(旧DOW Chemicals)又はEpikote 862(旧Momentive Performance Chemicals)が含まれる。
【0029】
1つの実施形態では、エポキシ樹脂は、RDGEエポキシ樹脂を含む。本発明による組成物において用いることができるRDGEエポキシ樹脂は通常、エポキシ当量が110〜140g/eq、より好ましくは120〜135g/eqの低粘度エポキシ化合物である。
【0030】
RDGEエポキシ樹脂は、非常に高い耐薬品性を備える被覆の製造には非常に魅力的であるが、場合によってはRDGEの使用を省くことが好ましく、それは、このエポキシ樹脂が非常に激しい鋭敏化特性(sensitizing properties)を有するからである。したがって、1つの実施形態では、被覆組成物は、エポキシ樹脂の総量に基づいて計算して、50重量%未満のRDGEエポキシ樹脂を含み、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満のRDGE、特に5重量%未満のRDGE、例えば2重量%未満のRDGEを含む。被覆組成物は、実質的にRDGEがない(RDGEが意図的に組成物に加えられていないことを意味する。)ことが好ましいこともある。
【0031】
依然として非常に良好な耐薬品性を示しながら、比較的少量の上述のRDGEを含む組成物又は実質的にRDGEがない組成物を調製することができることは、本発明の特定の特徴であり、驚くべき予想外の知見である。
【0032】
上述のいずれかのエポキシ樹脂のブレンドが互いに組み合わせられて用いられてもよいが、非常に高い耐薬品性が必要なときはエポキシフェノールノボラック樹脂又はビスフェノールFエポキシ樹脂が好ましい。したがって、エポキシ樹脂によってもたらされるエポキシ基の合計に基づいて計算して、エポキシフェノールノボラック樹脂又はビスフェノールFエポキシ樹脂が、エポキシ樹脂の少なくとも50%を構成することが好ましい。より好ましくは、エポキシ樹脂によってもたらされるエポキシ基の合計に基づいて計算して、エポキシフェノールノボラック樹脂又はビスフェノールFエポキシ樹脂は、少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、さらにとりわけ少なくとも80%のエポキシ樹脂を構成する。
【0033】
特に、エポキシ樹脂を含むどのような被覆組成物の溶媒分も最小限に抑えるために、エポキシフェノールノボラック樹脂又はビスフェノールFエポキシ樹脂は、使用される場合、低溶媒分を有し、例えば、エポキシフェノールノボラック樹脂又はビスフェノールFエポキシ樹脂の重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは10重量%未満の溶媒分を有することが好ましい。エポキシフェノールノボラック樹脂又はビスフェノールFエポキシ樹脂には溶媒がないことが特に好ましい。
【0034】
被覆組成物は、エポキシ樹脂のためのアミン硬化剤を含む。
【0035】
エポキシ樹脂は本質的に求電子的であるので、一般に求核試薬と反応する。本発明において用いられる硬化剤は、エポキシ基と反応する求核性官能基、この場合アミン基を含む。求核試薬(求核性官能基)によるエポキシドの開環反応の間、水素原子が求核試薬からエポキシドの酸素原子に移動する。この移動した水素原子は「活性水素」と呼ばれる。反応を示す:
【化1】
【0036】
したがって、求核種の当量を活性水素当量によって示すのは一般的である。これは単に、開環したエポキシに移動可能な1モル(又は1「当量」)の水素原子を与えるのに必要な求核種の重量である。アミン硬化剤の場合、アミン硬化剤の活性水素当量は、したがって、1モル(又は1「当量」)のN−H基を与える硬化剤の重量である。一級アミン硬化剤は、例えば、2つのエポキシド基と反応できるので、2個の活性水素を持つであろう。
【0037】
本発明において用いられるアミン硬化剤は、分子あたり平均で少なくとも2個の活性水素を有する。アミン基は一級及び/又は二級アミン基にすることができる。1個を超える窒素原子を持つアミン硬化剤は、ポリアミンと呼ばれることがある。
【0038】
適したポリアミン硬化剤の例は、エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、並びにこれらのポリアミン硬化剤と脂肪酸及びダイマー脂肪酸との反応により一般に製造され、アミドアミン及びアミン官能性ポリアミド硬化剤になる硬化剤である。このような硬化剤の例は、Clive H. Hare著、「Protective Coatings, Fundamentals of Chemistry and Composition」(Society for Protective Coatingsから出版、ISBN 0-938477-90-0)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。別のポリアミン硬化剤は、ジシアンジアミド、イソホロンジアミン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン及びマンニッヒ塩基硬化剤である。これらのポリアミン硬化剤のいずれかの市販グレード品質の硬化剤を用いることができて、例えばAncamine 2264(旧Air Products)は、主にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを含む市販品質の硬化剤である。アミン硬化剤の例は、Clive H. Hare著、「Protective Coatings, Fundamentals of Chemistry and Composition」(Society for Protective Coatingsから出版、ISBN 0-938477-90-0)、H Lee及びK Neville著、「Epoxy Resins」(LLCから出版、ISBN 978-1258243180)、D Stoye及びW Freitag編、「Resins for Coatings」(Hanserから出版、ISBN 978-1569902097)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
これらのアミンのいずれかの付加生成物も用いることができる。このような付加生成物は、アミンと、適切に反応性の化合物、例えばケイ素フリーエポキシ樹脂、又はエポキシ官能性反応性希釈剤、例えばブチルグリシジルエーテルとの反応により調製することができる。これにより、硬化剤の遊離アミン含有量が低減し、低温及び/又は多湿の条件下での使用にさらに適したものになる。エポキシ官能性反応性希釈剤の別の例は、Clive H. Hare著、「Protective Coatings, Fundamentals of Chemistry and Composition」(Society for Protective Coatingsから出版、ISBN 0-938477-90-0)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。これらのアミンのいずれかの付加生成物も、アミンと、適切に反応性の化合物、例えばアクリレート、マレエート、フマレート、メタクリレート、又は、さらには求電子的なビニル化合物、例えばアクリロニトリルとの反応により調製することができる。
【0040】
脂環式アミンは、本発明の組成物において良好な耐薬品性を与えることが明らかになっている。適した脂環式アミン硬化剤の例には、下に示すビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン及びイソホロンジアミンが含まれる。
【化2】
【0041】
本発明において用いられるアミン硬化剤は、前述の通り0〜50℃の範囲の温度で少なくとも部分的にエポキシ樹脂を硬化可能になる。
【0042】
アミン硬化剤の混合物も用いることができる。
【0043】
別の成分に応じて、アミン硬化剤は、少なくとも1つのアミノ官能性シラン又はシロキサンをアミン硬化剤として含んでもよい。適した化合物は、以下でより詳しく議論する。ケイ素含有アミン硬化剤とケイ素フリーアミン硬化剤の組み合わせの使用も想定される。
【0044】
本発明における使用に適したアミノ官能性シラン及びアミノ官能性シロキサンは式2
式2:Q’−NH−R’
1−Si−(OR’
2)
n’(R’
3)
2−n’−O[−(Q−NH−R’
1)Si(OR’
2)
n’−1(R’
3)
2−n’−O−]
m’R’
2
(式中、Q’は残基−(CH
2CH
2NH)
z’−H又はアミノアリール基を表し、R’
1は1〜6個の炭素原子を持つ脂肪族アルキル基を表し、R’
2は一価の脂肪族C1−C6アルキル基を表し、R’
3は一価の脂肪族C1−C6アルキル基又は一価のC6芳香族基を表し、n’は1又は2であり、m’はゼロより大きいかゼロと等しい整数である。)のものが含まれる。式2において、z’は値0、1又は2を有する。
【0045】
R’
1は、好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、より好ましくは3個有する。R’
2は、好ましくはメチル、エチル又はプロピルであり、より好ましくはメチルである。R’
3は、好ましくは脂肪族C1−C6アルキル基であり、とりわけメチル、エチル又はプロピル、より好ましくはメチルあるいは一価のC6芳香族基、好ましくはフェニルである。
【0046】
n’=2のとき、R’
3は存在しない。m’=0のとき、一般式は、アミノ官能性シランを表す。m’>0のとき、一般式は、アミノ官能性シロキサンを表す。アミノ官能性シロキサンについては、m’が広い範囲内で変わってもよい。本発明において用いられるアミノ官能性シランが最大でも10のm’の平均値を有することが一般に好ましい。適したアミノ官能性シラン又はシロキサン化合物は当分野において公知である。
【0047】
適したアミノ官能性シラン又はシロキサンの例には、アミノプロピルトリエトキシシラン(式2中、Q’=−H、R’
1=−CH
2CH
2CH
2−、R’
2=−CH
2CH
3、R’
3は存在せず、m’=0)、アミノプロピルトリメトキシシラン(式2中、Q’=−H、R’
1=−CH
2CH
2CH
2−、R’
2=−CH
3、R’
3は存在せず、m’=0)、アミノフェニルトリメトキシシラン(式2中、Q’=−C
6H
4NH
2、R’
1は存在せず、R’
2=−CH
3、R’
3は存在せず、m’=0)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(式2中、Q’=−NHCH
2CH
2NH
2、R’
1=−CH
2CH
2CH
2−、R’
2=−CH
2CH
3、R’
3は存在せず、m’=0)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(式2中、Q’=−(CH
2CH
2NH)−H、すなわち、式2中、z’=1、R’
1=−CH
2CH
2CH
2−、R’
2=−CH
3、R’
3は存在せず、m’=0)及び(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(式2中、Q’=−(CH
2CH
2NH)
2−H、すなわち、式2中、z’=2、R’
1=−CH
2CH
2CH
2−、R’
2=−CH
3、R’
3は存在せず、m’=0)が含まれる。
【0048】
用いられてもよい多くの別の適した化合物があり、例えば、Wacker製Silres HP2000(式2(式中、m’=2、n’=1、R’
2=CH
3、R’
3=フェニル)の化合物)が含まれる。これはアミノ−シロキサンの一例である。本発明に関連するアルコキシシラン単位を持つアミンには、アミノアルキルアルキルジアルコキシシラン、アミノアルキルジアルキルアルコキシシラン及び予備縮合アミノアルキルアルコキシシランも含まれる。他の適した化合物には、Evonikから入手できるDynasylanタイプのアミノ官能性シロキサンが含まれ、ビス(トリメトキシシリルプロピル(trimethyoxysilylpropyl))アミン、二級アミン官能性シロキサン(Dynasylan 1124)又は3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan AMMO)が含まれる。
【0049】
アミン硬化剤(すなわち、被覆組成物中に存在するアミン硬化剤の総量)が、分子あたり平均で少なくとも2個の活性水素を有することが好ましい。十分な架橋を得るのに十分なアミン官能基を有するアミン硬化剤(又はアミン硬化剤の組み合わせ)を選択することは当業者の範囲内である。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、被覆組成物中に存在するアミン硬化剤の量は、硬化剤中の活性水素と組成物中のエポキシ基の総数の当量比が約0.7:1.00〜1.3:1.00の間、特に0.85:1.00〜1.10:1.00の間にあるような量である。活性水素とエポキシ基のこの比は、本発明による被覆組成物の効率的な硬化を可能にする。硬化剤中の活性水素という用語は、組成物中に存在するすべてのアミン硬化剤に由来する活性水素(ケイ素フリーアミン硬化剤及びケイ素含有アミン硬化剤の両方(すなわちアミノ官能性シラン及びアミノ官能性シロキサン))に由来する活性水素を包含する。
【0051】
1つの実施形態では、被覆組成物は反応性希釈剤をさらに含む。当業者に周知の通り、反応性希釈剤は、組成物の粘度の低減において溶媒と同様にふるまうが、溶媒とは異なり、組成物のVOCには寄与しない添加剤であり、その理由は、反応性希釈剤が、被覆樹脂へと結合したり、あるいは主硬化反応とは独立した化学反応を起こしたりできる反応性基を持つためである。主結合剤成分のうちの1つ、例えば本組成物中のフェノールノボラックエポキシ樹脂又はビスフェノールFエポキシ樹脂と同じ化学的な機能を持つ反応性希釈剤は、その粘度がさらに低く、しばしばポリマーネットワークの形成を可能にするには不十分な数の官能基を持つ結果、これが希釈剤となる樹脂がない状態で硬化したときに所期の目的にかなう一貫した機械的に堅牢な被膜を形成できないことから、一般に樹脂とは区別できる。
【0052】
反応性希釈剤は、適正な量で存在できて、例えば、粘度を低減するために用いられる被覆パックの全反応性官能基の50%又はそれ以下を供給するが、一般に反応性希釈剤は、これが希釈に用いられる樹脂と比べて少ない量で存在することになる。
【0053】
反応性希釈剤が存在すると、被覆を吹付可能な組成物に配合することが容易になることが明らかになっている。吹付が、被覆組成物を塗布するために好ましい方法である。本明細書の意味において、反応性希釈剤は、被覆組成物の粘度を低減し、それ自体、エポキシ樹脂及び/又はアミン硬化剤と反応することができる基を含む化合物である。
【0054】
好ましい反応性希釈剤は、エポキシ官能性シラン、エポキシ官能性シロキサン及びジアルキルカーボネートである。本発明の被覆組成物は、硬化剤−反応性官能基を持たない反応性希釈剤化合物を含んでもよい。適した化合物の例は、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシシランである。
【0055】
特にグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GOPTMS)及びジメチルカーボネート(DMC)が好ましく、その理由は、これらの化合物が、反応性希釈剤を含まない被覆の耐薬品性を維持しながら、吹付可能な組成物を与えることが明らかになったためである。GOPTMSの使用が特に好ましいと考えられるが、その理由は、この化合物はまた、被覆組成物の耐薬品性を改善することが明らかになっているためである。したがって、被覆組成物がグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GOPTMS)を含むことが本発明の特定の実施形態である。エポキシド基がただ1つでは、GOPTMSは、エポキシド基だけの反応を通じて、それ自体に含まれるアミン硬化剤とポリマーネットワークを形成できない。したがって、GOPTMSはこの点に関してエポキシ樹脂と区別することができる。
【0056】
GOPTMSが用いられる場合、組成物中に用いられる反応性希釈剤の量が広い範囲内で変わってもよい。例えば、組成物を効果的に吹付塗布する目的で、所望のレベルまで組成物の粘度を低減するために、十分な材料を加えてもよい。これは、用いられるエポキシ樹脂及び選択される反応性希釈剤化合物に応じて変わることになる。
【0057】
反応性希釈剤が、1つ又はそれ以上のエポキシド基を含む場合、例えばGOPTMSの場合、GOPTMSは例えば、被覆組成物中に存在するエポキシド基の総数に対して、反応性希釈剤中のエポキシド基の数から計算して、0〜50%、特に10〜35%の量で存在してもよい。
【0058】
反応性希釈剤がエポキシド基を含まない場合、反応性希釈剤は一般に、エポキシ樹脂の重量に基づいて計算して、30重量%未満の量で存在することになる。
【0059】
本発明の1つの実施形態において、被覆組成物は、少なくとも1つのエポキシ官能性シラン又はシロキサンを含む。本明細書の文脈の範囲内において、エポキシ官能性シランという用語は、モノグリシジルアルコキシシランを指し、エポキシ官能性シロキサンは、少なくとも1つの−Si−O−Si−結合を含む組成物の任意の成分を含むモノ及びポリグリシジルポリシロキサン組成物を指す。
【0060】
本発明における使用に適したエポキシ官能性シラン及びエポキシ官能性シロキサンは式1
式1:Q−R
1−Si−(OR
2)
n(R
3)
2−n−O[−(Q−R
1)Si(OR
2)
n−1(R
3)
2−n−O−]
mR
2
(式中、Qはグリシドキシ基
【化3】
を表し、R
1は1〜6個の炭素原子を持つ脂肪族アルキル基を表し、R
2は一価の脂肪族C1−C6アルキル基を表し、R
3は一価の脂肪族C1−C6アルキル基又は一価のC6芳香族基を表し、nは1又は2であり、mはゼロより大きいかゼロと等しい整数である。)のものを含む。
【0061】
R
1は、好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、より好ましくは3個有する。R
2は、好ましくはメチル、エチル又はプロピルであり、より好ましくはメチルである。R
3は、好ましくは脂肪族C1−C6アルキル基であり、とりわけメチル、エチル又はプロピル、より好ましくはメチルあるいは一価のC6芳香族基、好ましくはフェニルである。
【0062】
n=2のとき、R
3は存在しない。m=0のとき、一般式は、エポキシ官能性シランを表す。m>0のとき、一般式は、エポキシ官能性シロキサンを表す。エポキシ−シロキサンについては、mが広い範囲内で変わってもよい。本発明において用いられるエポキシ官能性シランが最大でも10のmの平均値を有することが一般に好ましい。適したエポキシ官能性シラン又はシロキサン化合物は当分野において公知である。
【0063】
1つの実施形態では、式1(式中、R
1=−CH
2CH
2CH
2−、R
2=CH
3、R
3は存在せず、n=2、m=0)のエポキシ官能性シランが用いられる。この化合物は、式
【化4】
を有する。
【0064】
この物質はグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GOPTMS)であり、例えばEvonikから(商品名Dynasylan GLYMOで)入手できる。
【0065】
別の実施形態では、−(Si−O)−骨格及び懸垂エポキシ基を有するエポキシ官能性シロキサンオリゴマーが用いられる。1つの実施形態では、上述の式1(式中、R
1=−CH
2CH
2CH
2−、R
2=CH
3、R
3は存在せず、n=2であり、mは2〜8、特に3〜5の範囲、例えば、およそ4の平均値を有する。)のこのタイプのエポキシ官能性シロキサンオリゴマーが用いられる。このような物質は、Momentive Performance Chemicalsによって製造され、商品名Momentive MP200で販売されている。
【0066】
用いられてもよい多くの別の適した化合物があり、例えば、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(式1(式中、R
1=−CH
2CH
2CH
2−、R
2=CH
2CH
3、R
3は存在せず、n=2、m=0)の化合物)、Wacker製Silres HP1000(式1(式中、m=2、n=1、R
2=CH
3、R
3=フェニル)の化合物)、グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン(式1(式中、R
1=−CH
2CH
2CH
2−、R
2=CH
2CH
3、R
3=CH
3、n=0及びm=0)の化合物)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(式1(式中、R
1=−CH
2CH
2CH
2−、R
2=CH
3、R
3=CH
3、n=1及びm=0)の化合物)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(式1(式中、R
1=−CH
2CH
2CH
2−、R
2=CH
2CH
3、R
3=CH
3、n=1及びm=0)の化合物)が含まれる。
【0067】
1つの実施形態では、1つ又はそれ以上の以下のエポキシ官能性シラン及びエポキシ官能性シロキサンが用いられ、式中、R
4はグリシドキシ基であり、eは0.1〜0.5の値を有し、fは0.1〜0.5の値を有し、gは0.5〜0.9の値を有する:
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
(R
4(CH
3)
2SiO
1/2)
e及び(C
6H
5SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
(R
4(CH
3)
2SiO
1/2)
e、((CH
3)
2SiO
2/2)
f及び(C
6H
5SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
((CH
3)
3SiO
1/2)
e、(R
4(CH
3)SiO
2/2)
f及び(C
6H
5SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
(R
4(CH
3)SiO
2/2)
f及び(C
6H
5SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
(R
4(CH
3)
2SiO
1/2)
e及び(CH
3SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
(R
4(CH
3)
2SiO
1/2)
e、((CH
3)
2SiO
2/2)
f及び(CH
3SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
((CH
3)
3SiO
1/2)
e、(R
4(CH
3)SiO
2/2)
f及び(CH
3SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
(R
4(CH
3)SiO
2/2)
f及び(CH
3SiO
3/2)
g
次の単位を含むエポキシ官能性ケイ素物質:
((CH
3)
2SiO
2/2)
f及び(R
4SiO
3/2)
g。
【0068】
1つの実施形態では、被覆組成物は、エポキシ樹脂のエポキシ基とアミン硬化剤の官能基との硬化反応を速める促進剤を含む。
【0069】
エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を速める公知の促進剤の例には以下が含まれる:アルコール、フェノール、カルボン酸、スルホン酸、塩及び三級アミン:
エポキシ樹脂とアミン硬化剤との硬化反応を速める公知の促進剤の例には以下が含まれる:アルコール、フェノール、カルボン酸、スルホン酸、塩及び三級アミン:
アルコール:適したアルコールの例には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール及び他のアルキルアルコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセロール及び他の多価アルコール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエタノール及び他のβ−ヒドロキシ三級アミンが含まれる。
【0070】
フェノール:適したフェノールの例には、フェノール、2−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、2−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール、4−シアノフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、4−エチルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、ノニルフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール、カルダノール及び他のアルキル化フェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、2,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、4−t−ブチルカテコール、レソルシノール、4−ヘキシルレソルシノール、オルシノール、ヒドロキノン、ナフタレンジオール、アントラセンジオール、ビフェニレンジオール及び他の置換二価フェノール、フロログルシノール、フロログルシド、カリックスアレーン、ポリ(4−ビニルフェノール)及び他のポリ塩基性フェノールが含まれる。
【0071】
カルボン酸:適したカルボン酸の例には、酢酸、プロパン酸、酪酸、乳酸、フェニル酢酸及び他のアルキルカルボン酸、マロン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸及び他の二塩基酸又はこれらのモノエステル、安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、3,5−ジクロロサリチル酸、4−ニトロ安息香酸及び他の芳香族酸が含まれる。
【0072】
スルホン酸:適したスルホン酸の例には、メタンスルホン酸及び他のアルキルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ドデシルベンゼンスルホン酸及び他の芳香族スルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸及び他のポリ塩基性スルホン酸が含まれる。
塩:適した塩の例には、硝酸カルシウム、ナフテン酸カルシウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸イミダゾリニウム、リチウムテトラフルオロボラート、臭化リチウム、トリフルオロ酢酸リチウム、塩化カルシウム、イッテルビウムトリフラート、過塩素酸リチウム、亜鉛トリフラート、硝酸リチウムが含まれる。これらの塩すべてについて、陽イオンは、リチウム、ナトリウム又はカリウムと交換され得る。
【0073】
本発明の被覆組成物において、エポキシ基のアニオン重合が起こってもよい。1つの実施形態では、エポキシ基のアニオン重合は、組成物中に促進剤を含むことにより加速される。
【0074】
適したアニオン重合促進剤の例は、三級アミン、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリエチレンジアミン(ジアザビシクロオクタン)、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−メチルモルホリン、3−モルホリノプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノメチルフェノール、4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;イミダゾール、例えば1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−ヘプタデシルイミダゾールである。これらの促進剤は、エポキシ樹脂のエポキシ基と活性水素を有する硬化剤の官能基との硬化も速める。
【0075】
本出願の文脈において好ましい促進剤には、三級アミン、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、トリエチレンジアミン(ジアザビシクロオクタン)、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;イミダゾール、例えば1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−ヘプタデシルイミダゾール、任意選択で1つ又はそれ以上の他の上述の触媒及び促進剤と組み合わせたものが含まれる。
【0076】
三級アミン促進剤は、上で議論した本発明における使用のためのオルガノシラン又はオルガノシロキサンのアルコキシシラン基の加水分解及び縮合のための触媒としても機能する。
【0077】
三級アミンに加えて、硬化剤のアミン基は、その未反応の形態又は反応した形態のいずれも、存在する場合は、GOPTMS又は他の同様の反応性希釈剤上に存在するアルコキシシラン基の加水分解及び縮合反応も速めるが、このプロセスも同様に速める促進剤を加えることが有利であることもある。ある特定のこれらの促進剤も、組成物中に存在する(1つ又はそれ以上の)エポキシ樹脂中のエポキシ基のアニオン重合を促進することができる。アルコキシシラン基の加水分解及び縮合を速める促進剤を加えることもできるが、これらは、アミン基とエポキシ基との反応又はエポキシエポキシ基(epoxy epoxy groups)のアニオン重合に対して著しい影響を与えない。このような促進剤の例は、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート(dioctyltin dialaurate)、ジブチルスズジアセテート、ビスマスネオデカノエート、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、ポリ(n−ブチルチタネート)などである。
【0078】
(1つ又はそれ以上の)促進剤は、存在する場合は、エポキシ樹脂の100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくはエポキシ樹脂の100重量部に対して0.5〜5重量部の量で適切に用いられる。
【0079】
(1つ又はそれ以上の)促進剤が、アミン硬化剤を含むパック内に存在することが好ましい。(1つ又はそれ以上の)促進剤がエポキシ樹脂混合物を含むパック内に存在することは推奨されない。それによって、このパックの貯蔵寿命が短くなり得るからである。
【0080】
1つの実施形態では、本発明の被覆組成物は、1つ又はそれ以上の顔料及び/又は充填材を含む。1つ又はそれ以上の顔料は、着色顔料、例えば二酸化チタン(白色顔料)、有色顔料、例えば鉄黄又はべんがらあるいはフタロシアニン顔料でもよい。1つ又はそれ以上の顔料は、補強顔料、例えば雲母状酸化鉄、結晶シリカ及び珪灰石でもよい。1つ又はそれ以上の顔料は、防錆顔料、例えばリン酸、モリブデン酸又はホスホン酸亜鉛でもよい。1つ又はそれ以上の顔料は、充填材顔料、例えばバライト、タルク、長石又は炭酸カルシウムでもよい。
【0081】
組成物は、1つ又はそれ以上の別の原料、例えば増粘剤又はチキソトロピック剤(thixotrope)、例えば微粒子シリカ、ベントナイト粘土、水素化ヒマシ油又はポリアミドワックスを含んでもよい。組成物は、可塑剤、顔料分散剤、安定剤、流動助剤、湿潤剤、消泡剤、接着促進剤又は希釈溶媒を含んでもよい。1つの実施形態では、本発明において用いられる被覆組成物は、最大でも250g/l、特に最大でも200g/l、とりわけ最大でも150g/l、さらにとりわけ最大でも100g/lの溶媒分を有する。溶媒分が最大でも50g/lであることが好ましいこともある。1つの実施形態では、組成物に溶媒を加えない。
【0082】
溶媒分は以下の通り定めてもよい:溶媒分は、0〜50℃で液体の原料を含み、これらの原料は、エポキシ樹脂又はアミン硬化剤と反応せず、25℃で0.01kPaを超える蒸気圧又は1気圧で250℃未満の沸点を持つ。明確にするために、被覆組成物の硬化によって生成される、上述の定義によるどのような揮発性物質も溶媒分に含まれない。
【0083】
被覆組成物は2つのパックの被覆組成物であり、ここで、第1のパックはエポキシ樹脂を含み、第2のパックは、エポキシ樹脂のためのアミン硬化剤を含む。被覆が0〜50℃の範囲の温度で硬化されることが本発明による方法の特徴である。この特徴は、2つのパックの被覆組成物の使用に関係し、その理由は、0〜50℃の範囲の温度で硬化を示す組成物は、1つのパックの被覆組成物において不十分な貯蔵寿命を示すためである。
【0084】
本発明の被覆組成物は、0〜50℃の範囲の温度で少なくとも部分的にエポキシ官能性樹脂を硬化することができる。したがって、本発明の被覆組成物は、周囲温度硬化性被覆組成物である。この要件が満たされない場合、組成物は、化学装置における金属表面又はコンクリート表面の被覆にあまり適していない。被覆組成物が、第1の工程において0〜50℃の範囲の温度で、例えば10〜30℃、とりわけ15〜25℃で硬化されることが本発明による方法の特徴である。この工程において、少なくとも、被覆表面を乱すことなく水を引き続き被覆上に吹付できる程度、又は被覆を物理的に取り扱える程度に硬化が起こるべきである。この工程は以下、雰囲気硬化(ambient curing)工程と示す。雰囲気硬化工程は例えば、1〜24時間、特に3〜10時間の時間行うことができて、この工程では、さらに温度が高いと必要な硬化時間が短くなり、さらに温度が低いと必要な硬化時間が長くなる。
【0085】
雰囲気硬化工程が0〜100%の相対湿度範囲、より好ましくは20〜80%の範囲、最も好ましくは40〜60%の範囲で行われることが好ましいこともある。被覆される表面が比較的閉じている場合、例えば、表面がタンクの一部である場合、被覆作業中の相対湿度を制御して、著しい欠陥のない一体化した被覆を与える膜形成が行われるようにするのが一般的な方法である。
【0086】
しばしば、最適な耐薬品性能を備える被覆を与えるために、特に被覆が非常に攻撃的な化学物質と接触する場合、第2の工程において被覆組成物をさらに硬化することが有利である。この第2の工程(後硬化工程とも表される。)において、被覆層は、50℃を超える温度まで所与の時間、例えば1〜24時間、特に3〜16時間加熱される。通常、後硬化は、
50℃を超える、例えば50
を超え150℃
以下の温度で起こり得る。1つの実施形態では、後硬化は、50
を超え100℃
以下、例えば50
を超え80℃
以下の温度で起こる。別の実施形態では、後硬化は、100〜150℃の温度で起こる。
【0087】
どのように後硬化が影響されるかは、被覆される表面の特性に依存し、当業者には明らかになるであろう。例えば、硬化は、表面を高温の空気又は熱水で、例えば吹付により加熱することによって影響され得る。化学装置がタンクである場合、例えば、被覆された表面を高温の貨物と接触させたり、さらに硬化を行うために貨物からの熱を利用したり、又はタンクを熱水で満たしたりすることにより、加熱も影響され得る。少なくとも、50℃
を超える温度での後硬化工程の性能が本発明の好ましい実施形態である。
【0088】
1つの実施形態では、後硬化は、表面を高温の空気で加熱したり、又は被覆された表面を高温の貨物と接触させたりすることにより実施される。
【0089】
被覆組成物は、当分野において公知の方法により被覆される表面に塗布することができる。適した方法の例には、ロール塗工、吹付塗り及びはけ塗りが含まれる。吹付による塗布が好ましく、それは、均質な被覆層が効率的に堆積されるからである。被覆組成物は、相当量の溶媒に頼る必要もなく、吹付可能な粘度を有するように配合できることが本発明の特徴である。組成物は例えば、単一の供給エアレススプレー技術又は複数の成分塗布技術により塗布されてもよい。
【0090】
本発明において塗布された各被覆層は、例えば50〜350ミクロン、特に75〜200ミクロンの硬化後厚さを有してもよい。この厚さは、これらの層が塗布後に個別に、又は同時に硬化されたかに関わらず各層に当てはまる。
【0091】
本発明は、化学装置の金属又はコンクリート表面の被覆に関する。本明細書の文脈において、「化学装置」は、液体又は気体の大量の化学物質を生産及び/又は貯蔵及び/又は輸送するのに用いられる建物、人造構造物及び/又は設備を意味する。化学装置の具体例には、海運業又は海産業、石油及びガス産業、化学処理産業、電力産業、廃棄物及び水業界、運輸業並びに鉱業及び金属業向けの既存及び新規両方の化学装置における建物、人造構造物及び/又は設備が含まれる。
【0092】
大量の化学物質は、大量に、すなわち、少なくとも10m
3の体積で存在する化学物質を指す。大量の化学物質は、鋼、コンクリート及び又は他の材料に対して完全に無害なものから非常に攻撃的なものまでさまざまである。大量の液体化学物質は、大まかに食料品と非食料品に分類される。大量の食用液体化学物質貨物の例は、果汁、乳及び植物油であり、大量の非食用化学物質の例には、化学溶媒、反応性の化学中間物、例えば酢酸ビニル、石油、酸、アルカリ及び液化天然ガス(LNG)が含まれる。
【0093】
金属又はコンクリート表面は、貯蔵タンク、貯蔵容器、これらに関連する配管又は他の一般の配管、煙道及び封じ込め区域の内面及び外面両方を含んでもよい。液体又は気体の化学物質に加えて、化学装置におけるこのような金属表面又はコンクリート表面は、静止又は循環して高温にさらされても、静止又は循環して高圧にさらされてもよい。
【0094】
1つの実施形態では、本発明において被覆される化学装置は、煙突、パイプ又はタンク、例えば、貨物タンク又は貯蔵タンクである。
【0095】
本発明による被覆組成物は、多種多様な化学物質に対する低吸収性と良好な耐洗浄性(washability)が組み合わされ、さまざまなタイプの大量の化学物質の繰り返しの荷積に耐えられる被覆組成物が得られて、タンクライニング組成物として特に良好な結果を示すことが明らかになっている。さらに被覆組成物は、高温で良好な熱安定性を有することが明らかになっており、これにより、高温が問題になる恐れのある陸上での貯蔵タンクにおける使用に適したものになる。本発明は、貨物タンク内及び貨物タンクのために特に使用されるものであるが、別のタンク、例えば、さまざまな化学物質及び原油又は炭化水素−水混合物のための陸上貯蔵タンク並びにこれらのタンクの2次的な封じ込め区域にも使用されるものである。
【0096】
被覆組成物はプライマー/仕上げとして表面に直接塗布することができ、すなわち、該組成物は、表面の唯一のタイプの保護被覆として用いることができる。
【0097】
本発明による被覆組成物をプライマーとして塗布することもできて、すなわち、本発明の被覆をまず表面に塗布して第1の被覆層を形成し、被覆層を0〜50℃の温度で硬化し、第1の被覆層の上にさらに被覆を設けて第2の被覆層を形成し、第2の被覆層を硬化することもできる。本発明の被覆組成物の3つ又はそれ以上の層を設けるために、別の被覆層の塗布も可能である。通常、3つを超える層は必要ない。ただし、正確な数は個々の層の厚さに依存する。後硬化工程が行われる場合、すべての層が堆積された後にこの工程が行われることが好ましい。
【0098】
本明細書に記述される被覆組成物の実施形態は、当業者に明らかな方法で互いに組み合わせられてもよいことを述べておく。このことは、すべての選好、特性及び組成物に当てはまる。被覆について記述されるすべての実施形態及び特性は、タンクにタンクライニングを設けるための方法、及び硬化した被覆組成物のライニングを設けたタンクにも当てはまる。
【0099】
これから本発明を以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、いかなる意味においてもこれらの範囲を限定するものと解釈されない。
【実施例】
【0100】
実施例1:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、酢酸ビニル及びエチレンジクロリドの取り込み質量%に対するエポキシノボラック樹脂と、アミン硬化剤及びトリアルキルボラートエステルとの混合の影響を示す。
【0101】
DEN 431(旧Dow Chemicals;5.0g、0.0285当量エポキシ)をビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM;1.496g、0.0285当量N−H)及びトリエチルボラート(0.416g、当量エポキシに基づいて10mol%)の混合物と室温で完全に混合した。この組成において、エポキシ基の100%がDEN431エポキシノボラック樹脂に由来する。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0102】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数1】
【0103】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表1】
【0104】
実施例2:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、酢酸ビニル及びエチレンジクロリドの取り込み質量%に対するエポキシノボラック樹脂の混合の影響を示し、ここで、樹脂の粘度が、エポキシ官能性シラン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の80%はエポキシノボラック樹脂に由来し、エポキシ基の20%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来し、アミン硬化剤及びトリアルキルボラートエステルで硬化される。
【0105】
DEN 431(旧Dow Chemicals;5.0g、0.0285当量エポキシ)をグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(1.68g、0.00711当量エポキシ)と合わせてブレンドし、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM;1.87g、0.0356当量N−H)、トリエチルボラート(0.520g、当量エポキシに基づいて10mol%)及びトリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール(0.189g、当量エポキシに基づいて2mol%)の混合物と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0106】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数2】
【0107】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表2】
【0108】
実施例3:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、酢酸ビニル及びエチレンジクロリドの取り込み質量%に対するエポキシノボラック樹脂と、アミン硬化剤及びトリアルキルボラートエステルとの混合の影響を示し、ここで、樹脂の粘度が、エポキシ官能性シロキサン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の70%はノボラック樹脂に由来し、エポキシ基の30%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来する。
【0109】
DEN 431(旧Dow Chemicals;5.0g、0.0285当量エポキシ)をMP200(Momentive:2.44g、0.01221当量エポキシ)と合わせてブレンドし、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM;2.14g、0.04071当量N−H)及びトリエチルボラート(0.594g、当量エポキシに基づいて10mol%)の混合物と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0110】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数3】
【0111】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表3】
【0112】
実施例4:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、酢酸ビニル及びエチレンジクロリドの取り込み質量%に対するエポキシノボラック樹脂と、アミン硬化剤及びトリアルキルボラートエステルとの混合の影響を示し、ここで、樹脂の粘度が、エポキシ官能性シラン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の80%はノボラック樹脂に由来し、エポキシ基の20%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来し、ここで、合わせたエポキシ樹脂は着色塗料配合物の一部である。
【0113】
本発明による塗料ベースを製造し、これは以下を含んでいた。
【表4】
【0114】
上述の着色エポキシ樹脂配合物(30g、0.0777当量エポキシ)をビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM;4.08g、0.0777当量N−H)、トリエチルボラート(1.13g、当量エポキシに基づいて10mol%)及びトリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール(0.413g、当量エポキシに基づいて2mol%)の混合物と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0115】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数4】
【0116】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表5】
【0117】
実施例5:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、エチレンジクロリドの取り込み質量%に対するエポキシノボラック樹脂の混合の影響を示し、ここで、樹脂の粘度が、エポキシ官能性シラン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の80%はエポキシノボラック樹脂に由来し、エポキシ基の20%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来し、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンとDynasylan 1124の混合物及びトリアルキルボラートエステルを含むアミン硬化剤で硬化される。
【0118】
DEN 431(旧Dow Chemicals;8.0g、0.0456当量エポキシ)をグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(2.686g、0.0114当量エポキシ)と混合し、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM;2.71g、0.0516当量N−H)、Dynasylan 1124(1.941g、0.00568当量N−H)、トリエチルボラート(0.829g、総当量エポキシに基づいて10mol%)及びトリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール(0.301g、当量エポキシに基づいて2mol%)の混合物と室温で十分に撹拌した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0119】
小数第4位まで正確に事前に秤量した3枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、1,2−エチレンジクロリドが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数5】
【0120】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表6】
【0121】
実施例6:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、エチレンジクロリドの取り込み質量%に対するエポキシノボラック樹脂の混合の影響を示し、ここで、樹脂の粘度が、エポキシ官能性シラン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の80%はエポキシノボラック樹脂に由来し、エポキシ基の20%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来し、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンとアミノプロピルトリメトキシシランの混合物及びDynasylan 1124並びにトリアルキルボラートエステルを含むアミン硬化剤で硬化される。
【0122】
DEN 431(旧Dow Chemicals;8.0g、0.0456当量エポキシ)をグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(2.686g、0.0114当量エポキシ)と混合し、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM;2.529g、0.0482当量N−H)、アミノプロピルトリメトキシシラン(0.407g、0.00454当量N−H)、Dynasylan 1124(1.553g、0.00455当量N−H)、トリエチルボラート(0.829g、総当量エポキシに基づいて10mol%)及びトリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール(0.301g、当量エポキシに基づいて2mol%)の混合物と室温で十分に撹拌した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0123】
小数第4位まで正確に事前に秤量した3枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、1,2−エチレンジクロリドが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数6】
【0124】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表7】
【0125】
実施例7:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、酢酸ビニル及びエチレンジクロリドの取り込み質量%に対するビスフェノールFエポキシ樹脂と、アミン硬化剤及びトリアルキルボラートエステルとの混合の影響を示し、ここで、樹脂の粘度が、エポキシ官能性シラン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の80%はビスフェノールFエポキシ樹脂に由来し、エポキシ基の20%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来し、ここで、合わせたエポキシ樹脂は着色塗料配合物の一部である。
【0126】
本発明による塗料ベースを製造し、これは以下を含んでいた。
【表8】
【0127】
上述の着色エポキシ樹脂配合物(19g、0.041当量エポキシ)を混合物Ancamine 2264(旧Air Products;2.234g、0.041当量N−H)、トリエチルボラート(0.613g、当量エポキシに基づいて10mol%)及びトリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール(0.222g、当量エポキシに基づいて2mol%)と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0128】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数7】
【0129】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表9】
【0130】
実施例8:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、エチレンジクロリドの取り込み質量%に対するビスフェノールFエポキシ樹脂と、アミン硬化剤及びトリアルキルボラートエステルとの混合の影響を示し、ここで、樹脂の粘度が、エポキシ官能性シラン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の70%はビスフェノールFエポキシ樹脂に由来し、エポキシ基の30%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来し、ここで、合わせたエポキシ樹脂は着色塗料配合物の一部である。
【0131】
本発明による塗料ベースを製造し、これは以下を含んでいた。
【表10】
【0132】
上述の着色エポキシ樹脂配合物(17.5g、0.0366当量エポキシ)を混合物Ancamine 2264(旧Air Products;1.985g、0.0368当量N−H)及びトリエチルボラート(0.537g、当量エポキシに基づいて10mol%)と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0133】
小数第4位まで正確に事前に秤量した3枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、1,2−エチレンジクロリドが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数8】
【0134】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表11】
【0135】
実施例9:本発明による実施例
本発明によるこの実施例は、レソルシノールジグリシジルエーテルを全く加えないときの、エチレンジクロリドの取り込み質量%に対するフェノールノボラックエポキシ樹脂及びビスフェノールFエポキシ樹脂のブレンドと、アミン硬化剤及びトリアルキルボラートエステルとの混合の影響を示し、ここで、エポキシ樹脂ブレンドの粘度が、エポキシ官能性シラン樹脂とのその組み合わせにより変更されており、したがって、エポキシ基の70%はエポキシノボラック樹脂及びビスフェノールFエポキシ樹脂の混合物に由来し、エポキシ基の30%はエポキシ官能性シラン樹脂に由来し、ここで、合わせたエポキシ樹脂は着色塗料配合物の一部である。
【0136】
本発明による塗料ベースを製造し、これは以下を含んでいた。
【表12】
【0137】
上述の着色エポキシ樹脂配合物(15.0g、0.0313当量エポキシ)を混合物Ancamine 2264(旧Air Products;1.709g、0.0316当量N−H)及びトリエチルボラート(0.455g、当量エポキシに基づいて10mol%)と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0138】
小数第4位まで正確に事前に秤量した3枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、1,2−エチレンジクロリドが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数9】
【0139】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表13】
【0140】
比較例1:ホウ素化合物がない状態で唯一のエポキシ樹脂としてエポキシフェノールノボラックをベースとする被覆を備える比較例
この比較例では、唯一のエポキシ樹脂としてエポキシフェノールノボラック(DEN 431)を用いて調製した被覆内の各種有機液体の比較的高い吸収が示される。
【0141】
DEN 431(旧Dow Chemicals;5.0g、0.0285当量エポキシ)をビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM;1.496g、0.0285当量N−H)の混合物と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は1.00である。
【0142】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数10】
【0143】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【0144】
酢酸ビニルと1,2−ジクロロエタン(dicloroethane)のいずれについても、被覆は、有機ホウ素化合物を含む被覆よりも高い汚染物質取り込み量を示す。
【表14】
【0145】
比較例2:RDGEをベースとする被覆を備える比較例
この比較例では、唯一のエポキシ樹脂としてレソルシノールジグリシジルエーテル(RDGE)を用いて調製した被覆内の各種有機液体の低い吸収が示される。
【0146】
レソルシノールジグリシジルエーテル(旧CVC、8.0g、0.06349当量エポキシ)を、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)(1.1581g、0.02186当量N−H)、1−メチルイミダゾール(0.1906g)及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(0.1173g)の混合物と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は0.34である。
【0147】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数11】
【0148】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表15】
【0149】
この比較例と本発明による実施例の比較は、本発明によってRDGEベースの被覆と同等に、又はそれよりもよく機能する被覆を得ることが可能になる一方で、非常に鋭敏なRDGEの使用を省くことができることを示す。
【0150】
比較例3:RDGE及びエポキシフェノールノボラックをベースとする被覆を備える比較例
この比較例では、レソルシノールジグリシジルエーテル(RDGE)とエポキシフェノールノボラック(DEN 431)のブレンドを用いて調製した被覆内の各種有機液体の低い吸収が示される。
【0151】
レソルシノールジグリシジルエーテル(旧Emerald Chemical社、5.0g、0.0397当量エポキシ)をDEN 431(旧DOW Chemicals、1.529g、0.0087当量エポキシ)に加え、Ancamine 2264(旧Air Products、0.956g、0.0177当量N−H)、1−メチルイミダゾール(0.1941g)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(0.078g)及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(0.122g)の混合物と室温で完全に混合した。活性水素とエポキシ基の当量比は0.37である。
【0152】
小数第4位まで正確に事前に秤量した6枚の顕微鏡スライドガラスに、400ミクロンキューブ・アプリケータを用いて混合物を塗布した。次に被覆したスライドを、23℃及び50%相対湿度に保った環境のキャビネット内に置き、24時間硬化させた。被覆を24時間内によく乾燥させた。次に被覆したスライドを、80℃に保ったファン付きオーブン内に16時間置いた。オーブンから取り出してすぐにスライドを室温まで徐冷し、被覆したスライドを小数第4位まで正確に秤量した。各スライドを、酢酸ビニル又は1,2−エチレンジクロリドのいずれかが入ったそれぞれのガラスジャー内に入れた。各溶媒につき3枚の被覆したスライドを用いた。ガラススライドをそのジャーから定期的に取り出し、被覆したスライドの表面を乾燥し、速やかにスライドを小数第4位まで正確に秤量して、酢酸ビニル又は1,2−ジクロロエタンの取り込み質量をモニターした。取り込み量を、以下の通り計算された元の膜の質量の%で表した:
【数12】
【0153】
下表に示す結果は、室温での28日の浸漬後の、浸漬した液体それぞれにつき3枚のスライドの平均取り込み量を表す。
【表16】
【0154】
この比較例と本発明による実施例の比較は、本発明によってRDGEベースの被覆と同等に、又はそれよりもよく機能する被覆を得ることが可能になる一方で、非常に鋭敏なRDGEの使用を省くことができることを示す。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
−第1パックがエポキシ樹脂を含み、第2パックが前記エポキシ樹脂のためのアミン硬化剤を含む、2つのパックの被覆組成物であって、さらに式BX1X2X3(式中、X1、X2及びX3は、−Y1及び−OY2から独立に選択され、Y1は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、Y2は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは−OY2基である)の有機ホウ素化合物を含む2つのパックの被覆組成物を提供する工程と、
−前記第1パックと前記第2パックを合わせて被覆組成物を生成する工程と、
−前記被覆組成物を化学装置の表面に塗布して被覆層を形成する工程と、
−前記被覆層を0〜50℃の範囲の温度で硬化させる工程とを含む、化学装置の金属又はコンクリート表面に被覆を設けるための方法。
項2.
前記被覆層に50℃を超える温度の後硬化工程がさらに施される、項1に記載の方法。
項3.
前記化学装置が、煙突、パイプ又はタンク、例えば、貨物タンク又は貯蔵タンクである、項1又は2に記載の方法。
項4.
前記有機ホウ素化合物が、
−前記硬化剤中の活性水素と前記組成物中に存在するエポキシ基の当量比が1.00:1.00又はそれより大きいとき、前記組成物中に存在するB−OY2基の数が、前記組成物中に存在するエポキシ基の数の5〜80%、より好ましくは10〜50%、最も好ましくは20〜40%と等しく、及び
−前記硬化剤中の活性水素と前記組成物中に存在するエポキシ基の当量比が1.00:1.00未満であるとき、前記組成物中に存在するB−OY2基の数が、前記硬化剤中の活性水素の数の5〜80%、好ましくは10〜50%、最も好ましくは20〜40%と等しい、
ような量で存在する、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
項5.
Y1及び/又はY2が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択され、特に、Y1及びY2がいずれも、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択される、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
Y1及び/又はY2が、C2−C5アルキル基から独立に選択される、項5に記載の方法。
項7.
X1、X2及びX3のすべてが、独立に選択される−OY2基であり、特に前記Y2基が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基、とりわけC2−C5アルキル基から独立に選択される、項1から4のいずれかに記載の方法。
項8.
前記被覆組成物が、10重量%未満のRDGE(レソルシノールジグリシジルエーテル)、特に5重量%未満のRDGE、例えば2重量%未満のRDGEを含む、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
硬化した被覆組成物のライニングを設けた金属又はコンクリート表面を含む化学装置であって、
前記被覆組成物が、エポキシ樹脂及び前記エポキシ樹脂のためのアミン硬化剤を含む被覆組成物から誘導され、さらに式BX1X2X3(式中、X1、X2及びX3は、−Y1及び−OY2から独立に選択され、Y1は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、Y2は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは−OY2基である)の有機ホウ素化合物を含む、
化学装置。
項10.
煙突、パイプ又はタンク、例えば、貨物タンク又は貯蔵タンクである、項9に記載の化学装置。
項11.
Y1及び/又はY2が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択され、特に、Y1及びY2がいずれも、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択される、項9又は10に記載の化学装置。
項12.
X1、X2及びX3のすべてが、独立に選択される−OY2基であり、特に前記Y2基が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基、とりわけC2−C5アルキル基から独立に選択される、項9から11のいずれか一項に記載の化学装置。
項13.
第1パックがエポキシ樹脂を含み、第2のパックが前記エポキシ樹脂のためのアミン硬化剤を含む、2つのパックの被覆組成物であり、さらに式BX1X2X3(式中、X1、X2及びX3は、−Y1及び−OY2から独立に選択され、Y1は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、Y2は、一価のC1−C12アルキル基及び一価のC6−C12アリール基から独立に選択され、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは−OY2基である)の有機ホウ素化合物を含む、化学装置の金属又はコンクリート表面に被覆を設けるのに適した被覆組成物。
項14.
Y1及び/又はY2が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択され、特に、Y1及びY2がいずれも、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基から独立に選択される、項13に記載の被覆組成物。
項15.
X1、X2及びX3のすべてが、独立に選択される−OY2基であり、特に前記Y2基が、C1−C8アルキル基及びC6−C8アリール基、とりわけC2−C5アルキル基から独立に選択される、項14に記載の被覆組成物。