(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、前記多官能アクリレートが、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートを含み、前記多官能アクリレートの重量の30%〜50%が前記脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーで構成され、前記多官能アクリレートの重量の50%〜70%が前記ペンタエリスリトールテトラアクリレートで構成されることを特徴とする、紫外線硬化性転写コーティング。
請求項3に記載の導電性シートまたはフィルムであって、前記基材が、ポリカーボネート、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ガラス、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含むことを特徴とする、導電性シートまたはフィルム。
請求項3または4に記載の導電性シートまたはフィルムであって、CIE標準光源Cを使用してASTM D1003手順Aに従って測定された透過率が、430THz〜790THzの周波数を有する入射光の70%以上であることを特徴とする、導電性シートまたはフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
解決すべき問題として、焼結温度によって損傷を受ける恐れのある基材(例えば、焼結温度より低い加熱撓み温度を有する)に、焼結して導電性金属のネットワークを形成することができる導電性コーティングを塗布することを挙げることができる。本主題は、導電性コーティングを焼結した後に導電性コーティングをある基材から別の基材へと転写する能力がある転写コーティング配合物およびそれを使用する方法を提供することなどによって、この問題の解決法を提供するのを助けることができる。
【0010】
本明細書に開示するのは、紫外(UV)光硬化性転写コーティング、それを使用する方法、および転写コーティングを使用して表面に接着させた導電性コーティングを有するシートまたはフィルムである。転写コーティングは、基材と隣り合って配置されてもよい。転写コーティングは、導電性コーティングと基材の表面の間に配置されてもよい。転写コーティングは、導電性コーティングおよび基材の表面に接着されてもよく、導電性コーティングを基材と隣り合って保持する接着力をもたらすことができる。転写コーティングは、導電性コーティングと基材の間に挟まれて、一方が基材の表面と隣り合って配置され、他方が導電性コーティングと隣り合って配置されるようにしてもよい。基材は、基材コーティングを含んでもよい。転写コーティングは、基材表面に直接接着されてもよい。転写コーティングは、基材の表面に接着されたコーティングの表面に接着されてもよい。
【0011】
転写コーティングは、多官能アクリレートオリゴマーおよびアクリレートモノマーを含んでもよい。転写コーティングは、光開始剤を含んでもよい。多官能アクリレートオリゴマーは、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythritol dexaacrylate)、アクリレート化樹脂、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートエステル、または前述のうち少なくとも1種を含む組み合わせを含んでもよい。ある実施形態では、多官能アクリレートは、多官能アクリレートの30重量パーセント(wt%)〜50wt%の量の脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーおよび多官能アクリレートの50wt%〜70wt%の量のペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む、DOUBLEMER(商標)5272(DM5272)(R.O.C、台湾、台北のDouble Bond Chemical Ind.,Co.,LTD.から市販される)を含んでもよい。
【0012】
転写コーティングは、任意選択により重合開始剤を含んで、アクリレート構成成分の重合を促進してもよい。任意選択の重合開始剤は、紫外線に露光したときに構成成分の重合を促進する光開始剤を含んでもよい。
【0013】
転写コーティングは、30wt%〜90wt%、例えば、30wt%〜85wt%、または30wt%〜80wt%の量の多官能アクリレートオリゴマー;5wt%〜65wt%、例えば、8wt%〜65wt%、または15wt%〜65wt%の量のアクリレートモノマー;および0wt%〜10wt%、例えば、2wt%〜8wt%、または3wt%〜7wt%の量で存在する任意選択の光開始剤を含んでもよく、ここでは、重量は転写コーティングの総重量を基準にしている。
【0014】
脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーは、2から15個のアクリレート官能基、例えば、2から10個のアクリレート官能基を含んでもよい。
【0015】
アクリレートモノマー(例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、メタ(アクリレート)モノマー)は、1から5個のアクリレート官能基、例えば、1から3個のアクリレート官能基を含んでもよい。ある実施形態では、アクリレートモノマーは、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)であってもよい。
【0016】
多官能アクリレートオリゴマーは、脂肪族イソシアネートをポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールなどのオリゴマージオールと反応させて、イソシアネートでキャップされたオリゴマーを生成することによって生成される化合物を含んでもよい。次いでこのオリゴマーをヒドロキシエチルアクリレートと反応させてウレタンアクリレートを生成してもよい。
【0017】
多官能アクリレートオリゴマーは、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーであってもよく、例えば、脂肪族ポリオールをベースとし、それを脂肪族ポリイソシアネートと反応させてアクリレート化した、全脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであってもよい。一実施形態では、多官能アクリレートオリゴマーは、ポリオールエーテル骨格をベースとしてもよい。例えば、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーは、(i)脂肪族ポリオール、(ii)脂肪族ポリイソシアネート、および(iii)反応性末端を供給できるエンドキャップされているモノマーの反応生成物であってもよい。ポリオール(i)は、硬化したときに組成物の性質に悪影響を及ぼさない、脂肪族ポリオールであってもよい。例には、ポリエーテルポリオール、炭化水素ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリイソシアネートポリオール、およびそれらの混合物が含まれる。
【0018】
多官能アクリレートオリゴマーは、アクリレートモノマー、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、およびトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で20重量%に希釈されてもよい、脂肪族ウレタンテトラアクリレート(すなわち、最大官能価が4である)を含んでもよい。転写コーティングを形成するのに使用されてもよい市販のウレタンアクリレートは、EBECRYL(商標)8405、EBECRYL(商標)8311、またはEBECRYL(商標)8402であってもよく、それらはそれぞれAllnexから市販される。
【0019】
転写コーティングに使用されてもよい幾つかの市販のオリゴマーには、以下のファミリーの一部である多官能アクリレートが含まれてもよいが、これらに限定されない:IGM Resins,Inc.(セントチャールズ、IL)製のPHOTOMER(商標)シリーズの脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー;Sartomer Company(エクストン、Pa)製のSartomer SRシリーズの脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー;Echo Resins and Laboratory(バーセールズ、Mo.)製のEcho Resinsシリーズの脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー;Bomar Specialties(ウィンステッド、Conn.)製のBRシリーズの脂肪族ウレタンアクリレート;およびAllnex製のEBECRYL(商標)シリーズの脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー。例えば、脂肪族ウレタンアクリレートは、KRM8452(10官能価、Allnex)、EBECRYL(商標)1290(6官能価、Allnex)、EBECRYL(商標)1290N(6官能価、Allnex)、EBECRYL(商標)512(6官能価、Allnex)、EBECRYL(商標)8702(6官能価、Allnex)、EBECRYL(商標)8405(3官能価、Allnex)、EBECRYL(商標)8402(2官能価、Allnex)、EBECRYL(商標)284(3官能価、Allnex)、CN9010(商標)(Sartomer)、CN9013(商標)(Sartomer)、SR351(Sartomer)またはLaromer TMPTA(BASF)、SR399(Sartomer)ジペンタエリスリトールペンタアクリレートエステルおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、DPHA(Allnex)、CN9010(Sartomer)であってもよい。
【0020】
転写コーティングの別の構成成分は、モノマー分子当たり1つ以上のアクリレートまたはメタクリレート部分を有するアクリレートモノマーであってもよい。アクリレートモノマーは、1、2、3、4、または5官能性であってもよい。一実施形態では、コーティングの望ましい可撓性および接着性のために2官能性モノマーが用いられる。モノマーは、直鎖または分岐鎖のアルキル、環式、または部分的に芳香族であってもよい。コーティング組成物が硬化して、望ましい性質を有する、硬質で可撓性の材料を形成することができるのであれば、反応性モノマーの希釈剤は、すべてを考慮した上で基材上へのコーティング組成物の望ましい接着性をもたらす、モノマーの組み合わせも含んでもよい。
【0021】
アクリレートモノマーは、複数のアクリレートまたはメタクリレート部分を有するモノマーを含んでもよい。これらは、硬化したコーティングの架橋密度を増加させ、それによって脆弱にすることなく弾性率も増加させることができるようにするために、2、3、4、または5官能性、特に2官能性であってもよい。多官能性モノマーの例には、C
6〜C
12炭化水素ジオールジアクリレートまたはジメタクリレート、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)および1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート;トリプロピレングリコールジアクリレートまたはジメタクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレートまたはジメタクリレート;ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレートまたはジメタクリレート;ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレートまたはジメタクリレート;2−フェノキシエチル(2−phenoxylethyl)(メタ)アクリレート;アルコキシル化脂肪族(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート;および前述のモノマーの少なくとも1種を含む混合物が含まれるが、これらに限定されない。例えば、アクリレートモノマーは、単独の、または、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、オリゴトリアクリレート(OTA 480)、もしくはオクチル/デシルアクリレート(ODA)などの別のモノマーと組み合わせた、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)であってもよい。
【0022】
転写コーティングの別の構成成分は、任意選択の重合開始剤、例えば光開始剤であってもよい。一般に、光開始剤は、コーティング組成物を紫外線硬化しようとするならば使用されてもよく、電子ビームによって硬化しようとするならば、コーティング組成物は実質的に光開始剤を含まなくてもよい。
【0023】
転写コーティングが紫外光によって硬化されるとき、少量であるが放射線硬化を促進するのに有効な量で光開始剤が使用されれば、光開始剤は、コーティング組成物の早すぎるゲル化を引き起こすことなく、コーティング組成物の合理的な硬化速度をもたらすことができる。さらに、光開始剤は、硬化されたコーティング材料の光学的透明度に支障を来すことなく、使用することができる。なおさらに、光開始剤は、熱的に安定であり、黄変せず、効率的であり得る。
【0024】
光開始剤には、α−ヒドロキシケトン;ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;ヒドロキシメチルフェニルプロパノン;ジメトキシフェニルアセトフェノン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1;1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン;1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン;ジエトキシアセトフェノン;2,2−ジ−sec−ブトキシアセトフェノン;ジエトキシ−フェニルアセトフェノン;ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド;および前述の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0025】
代表的な光開始剤には、ホスフィンオキシド光開始剤が含まれてもよい。かかる光開始剤の例には、BASF Corp.から入手可能なIRGACURE(商標)、LUCIRIN(商標)およびDAROCURE(商標)シリーズのホスフィンオキシド光開始剤;Allnex製のADDITOL(商標)シリーズ;ならびにLamberti,s.p.a.製のESACURE(商標)シリーズの光開始剤が含まれる。他の有用な光開始剤には、ケトン系光開始剤、例えば、ヒドロキシ−およびアルコキシアルキルフェニルケトン、ならびにチオアルキルフェニルモルホリノアルキルケトンが含まれる。同様に望ましいのは、ベンゾインエーテル光開始剤であってもよい。具体的な代表的な光開始剤には、BASFによってIRGACURE(商標)819として供給されるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、またはAllnexによってADDITOL HDMAP(商標)として供給される2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、またはBASFによってIRGACURE(商標)184としてもしくはChangzhou Runtecure chemical Co. LtdによってRUNTECURE(商標)1104として供給される1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、またはBASFによってDAROCURE(商標)1173として供給される2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンが含まれる。
【0026】
光開始剤が指定量で使用されるとき、光開始剤は、硬化エネルギーが平方センチメートル当たり2.0ジュール(J/cm
2)未満、特に1.0J/cm
2未満であるように選択してもよい。
【0027】
重合開始剤は、熱活性化の下で重合を促進することができる、ペルオキシ系開始剤を含んでもよい。有用なペルオキシ開始剤の例には、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート(di(t−butylperoxy isophthalate)、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシドなど、および前述の重合開始剤の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれる。
【0028】
導電性コーティングは、電磁シールド材料を含有してもよい。導電性コーティングは、導電材料を含んでもよい。導電材料は、純金属、例えば、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、それらの金属酸化物、前述の少なくとも1種を含む組み合わせ、または前述の少なくとも1種を含む金属合金、または米国特許第5,476,535号に記載される冶金学的化学プロセス(Metallurgic Chemical Process)(MCP)によって生成される金属もしくは金属合金を含んでもよい。導電性コーティングの金属は、例えば、導電性コーティング中で粒子の90%の球相当径が100ナノメートル(nm)未満であり得るなど、ナノメートルサイズであってもよい。金属粒子を焼結して、それが塗布された基材表面上に不規則な形状の開口部を定める、相互接続された金属配線のネットワークを形成してもよい。導電性コーティングの焼結温度は、幾つかの基材材料の加熱撓み温度を超える可能性のある、300℃であってもよい。焼結後、導電性コーティングの表面抵抗は、スクエア当たり0.1オーム(オーム/スクエア)以下であり得る。導電性コーティングの表面抵抗は、インジウムスズ酸化物コーティングの表面抵抗の1/10未満であり得る。導電性コーティングは、透明であり得る。
【0029】
ナノメートルサイズの金属細線で形成されたネットワークとは異なり、ナノメートルサイズの金属粒子で形成された導電性ネットワークは、伝導率を低減させることなく、および/または導電性ネットワークの電気抵抗を増加させることなく屈曲させることができる。例えば、金属細線のネットワークは、屈曲させたときに接合部で分断される恐れがあり、それによって細線ネットワークの伝導率が低減する恐れがあるのに対し、ナノメートルサイズの粒子の金属ネットワークは、ネットワークの配線が分断されることなく弾性的に変形し、それによってネットワークの伝導率を維持することができる。
【0030】
導電性コーティングは、基材、例えば供与基材の表面と隣り合って配置されてもよい。導電性コーティングは、基材、例えば供与基材上に形成されてもよく、形成後にコーティングは別の基材、例えば受容基材に転写されてもよい。導電性コーティングは、任意の適切な湿式コーティング技法、例えば、スクリーン印刷、塗付け、スプレーコーティング、スピンコーティング、浸漬などを使用して、基材に塗布されてもよい。
【0031】
基材は、いかなる形状であってもよい。基材は、第1の表面と第2の表面とを有してもよい。基材は、ポリマー、ガラス、またはポリマーとガラスの組み合わせを含んでもよい。基材の第1の表面は、第1のポリマーを含んでもよい。基材の第2の表面は、第2のポリマーを含んでもよい。基材の第1の表面は、基材の第2の表面の反対側に配置されてもよい。基材の第1の表面は、第1のポリマーから成ってもよい。基材の第2の表面は、第2のポリマーから成ってもよい。基材の第1の表面は第1のポリマーから成ってもよく、かつ基材の第2の表面は第2のポリマーから成ってもよい。第1のポリマーおよび第2のポリマーは、共押出されて基材を形成してもよい。第1のポリマーおよび第2のポリマーは異なるポリマーであってもよく、例えば、異なる化学組成を含んでもよい。基材は、平板状であってもよく、第1の表面と第2の表面とを含んでもよく、この場合、第2の表面は、共押出されて基材の反対側に形成されるなど、第1の表面の反対側に配置されてもよい。基材は、可撓性であってもよい。
【0032】
転写コーティングは、基材の表面と隣り合って配置されてもよい(例えば、基材の表面にわたって分散される)。転写コーティングは、基材の表面に隣接してもよい。転写コーティングは、導電性コーティングを供与基材から受容基材に転写するために使用されてもよい。転写コーティングが受容基材と供与基材の間に挟まれているときに供与基材が除去されたとき、転写コーティングが供与基材ではなく受容基材に優先的に接着することができるように、転写コーティングは、供与基材より受容基材に対するより強い接着性を有していてもよい。転写コーティングは、導電性コーティングのナノ金属のネットワークと基材の表面の両方と機械的に通信することができる。
【0033】
転写コーティングは、基材の表面に配置されてもよい。基材は、導電性コーティングが接着された供与基材であっても、導電性コーティングを供与基材から受け取る受容基材であってもよい。転写コーティングを、供与基材に塗布された導電性コーティングに塗布して、導電性コーティングを転写コーティングと供与基材の間に配置できるようにしてもよい。転写コーティングを受容基材の表面に隣接させて、導電性コーティングと受容基材の表面の間に挟むことができるようにして、導電性コーティングおよび転写コーティングを含む供与基材を受容基材に結合してもよい。次いで供与基材を除去してもよく、転写コーティングおよび導電性コーティングは受容基材に接着させたまま残されてもよい。転写コーティングは、少なくとも部分的に導電性コーティングを取り囲んでもよい。導電性コーティングは、転写コーティングの一部が導電性コーティングのナノ金属ネットワーク中の開口部内に及ぶことができるように、転写コーティング中に少なくとも部分的に埋め込まれてもよい。
【0034】
導電性コーティングを含む供与基材は、受容基材の表面に配置された転写コーティングと結合されてもよく、供与基材を除去して、導電性コーティングが転写コーティングと結合したままで受容基材と隣り合って残ることができるようにしてもよい。供与基材は、導電性コーティングの焼結温度に損傷することなく耐える能力があるポリマーを含んでもよい。
【0035】
基材は、基材の表面上に配置された基材コーティングを任意選択により含んでもよい。基材コーティングは、基材の2つの対向する表面上に配置されてもよい。基材コーティングは、基材に保護部分をもたらすことができる。保護部分、例えばアクリル系ハードコートは、下にある基材に耐摩耗性をもたらすことができる。保護部分は、基材の表面と隣り合って配置されてもよい。保護部分は、基材の表面に隣接してもよい。保護部分は、導電性コーティングの反対側に配置されてもよい。保護部分は、ポリマーを含んでもよい。ある実施形態では、基材コーティングは、良好な鉛筆硬度(例えば、ASTM D3363に従ってポリメタクリル酸メチルについて測定すると4−5H、またはASTM D3363に従ってポリカーボネートについて測定するとHB−F)および耐薬品性/耐摩耗性を望ましい加工特性とともに与える、ポリマーコーティングを含んでもよい。例えば、基材コーティングは、強化された鉛筆硬度、強化された耐薬品性、調節可能な光沢および印刷適性、強化された可撓性、および/または強化された耐摩耗性をもたらすことができるコーティング、例えば、SABIC’s Innovative Plastics Businessから市販されるLEXAN(商標)OQ6DAフィルム、または同様のアクリル系またはシリコン系コーティング、フィルム、もしくはコートフィルムを含んでもよい。コーティングは、0.1ミリメートル(mm)〜2mm厚、例えば、0.25mm〜1.5mm、または0.5mm〜1.2mm厚であってもよい。コーティングは、基材の1つ以上の側面上に塗布されてもよい。例えば、基材コーティングは、アクリル系ハードコートを含んでもよい。
【0036】
図1は、導電性シートまたはフィルム2を示す図である。シートまたはフィルム2は、導電性コーティング4、転写コーティング6、基材8、および保護部分10を含んでもよい。シートまたはフィルム2は、シートまたはフィルムの形状の深さ、Dが、シートまたはフィルム2の総厚、Tより大きくなるように、屈曲および/または形成されてもよい(例えば、押出される)。導電性シートまたはフィルム32の導電率は、A点からB点までで測定されてもよい。基材は、第1の表面22と第2の表面24とを含んでもよい。基材8は、共押出される2種のポリマーを含んでもよい。基材は、第1のポリマーを含む第1の表面22と第2のポリマーを含む第2の側面24とを含んでもよい。共押出された基材は、第1のポリマーから成る第1の表面22と第2のポリマーから成る第2の表面24とを含んでもよい。導電性コーティング4は、基材8の第1の表面22と隣り合って配置されてもよい。転写コーティング6は、基材8の第1の表面22に直接塗布されてもよく、または転写コーティング6は、供与基材に接着された導電性コーティング4に塗布されてもよい。次いで、転写コーティング6を導電性コーティング4と基材8の第1の表面22の間に挟むことができるように、供与基材を基材8の第1の表面22に結合させてもよく、次いで供与基材を除去して、転写コーティング6および導電性コーティング4を基材8の第1の表面22と隣り合って残してもよい。シートまたはフィルム2は、少なくとも1次元、例えば、w軸次元に湾曲されてもよい。シートまたはフィルム2は、少なくとも2次元、例えば、w軸およびh軸次元に湾曲されてもよい。シートまたはフィルム2は、w軸に沿って測定される幅、Wを有してもよい。シートまたはフィルム2は、d軸に沿って測定される深さ、Dを有してもよい。シートまたはフィルム2は、l軸に沿って測定される長さ、Lを有してもよい。シートまたはフィルム2は、一体型導電性フィルム2を屈曲させたときに電気抵抗(A点とB点の間で測定)の変化が1オーム以下であり得るような可撓性であってもよい。シートまたはフィルム2の厚さ、Tは、0.05mm〜25mm、例えば、0.05mm〜10mm、または0.1mm〜5mmであってもよい。シートまたはフィルム2は湾曲されてもよい。深さ、Dは、シートまたはフィルム2の総厚、Tの2倍より大きくてもよい。シートまたはフィルム2の最大深さは、フィルムのいずれの場所にあってもよい。導電性コーティング4は、転写コーティング6の一部が導電性コーティング4のナノ金属ネットワーク中の開口部内に及ぶことができるように、少なくとも部分的に転写コーティング6の一部分に取り囲まれてもよい。
【0037】
図2は、導電性シートまたはフィルム32の横断面の一部を示す図である。導電性シートまたはフィルム32は、導電性コーティング14、転写コーティング16、任意選択の第1の基材コーティング18、任意選択の第2の基材コーティング28、および基材20を含んでもよい。導電性シートまたはフィルム32の導電率は、A点からB点までで測定することができる。任意選択の第1の基材コーティング18は、転写コーティング16が任意選択の第1の基材コーティング18の表面26に接着されて基材20と隣り合うことができるように、基材20と隣り合って配置されてもよい。導電性コーティング14は、転写コーティング16の一部が導電性コーティング14のナノ金属ネットワーク中の開口部内に及ぶことができるように、少なくとも部分的に転写コーティング16の一部によって取り囲まれてもよい。シートまたはフィルム32は、任意選択の第1の基材コーティング18が配置された表面の反対側の表面に配置される、任意選択の第2の基材コーティング28を含んでもよい。
【0038】
導電性シートまたはフィルムは、入射可視光(例えば、430THzから790THzの周波数を有する電磁放射線)の50%以上(例えば、50パーセントの透過率)、例えば、60%〜100%、または70%〜100%を透過させることができる。透明なポリマー、基材、コーティング、フィルム、および/またはシートもしくはフィルムの材料は、入射する430THzから790THzの周波数を有する電磁放射線(EMR)の50%以上、例えば、75%〜100%、または90%〜100%を透過させることができる。透明度は、2つのパラメータ、すなわち、透過率(パーセント)およびヘイズ(パーセント)によって表現される。実験室規模の試料についての透過率(パーセント)およびヘイズ(パーセント)は、Haze−Gard試験デバイスを用いてCIE標準光源Cを使用して、ASTM D1003手順Aを使用して決定されてもよい。ASTM D1003(手順B、拡散照明で光源Cを使用して一方向から観測する、分光光度計)によって、透過率(パーセント)は、以下の通りに定義され:
【数1】
式中、Iは試験試料を通る光の強度であり、I
oは入射光の強度である。
【0039】
基材は、いかなるポリマー形成プロセスによって形成されてもよい。例えば、基材は、共押出成形プロセスによって形成されてもよい。基材は、フラットシートに共押出されてもよい。基材は、第1のポリマーを含む第1の表面と第1のポリマーとは異なる化学組成を有する第2のポリマーとを含む第2の表面を含むフラットシートに共押出されてもよい。基材は、第1のポリマーだけから成る第1の表面と、第1のポリマーとは異なる化学組成を有する第2のポリマーだけから成る第2の表面とを含むフラットシートに共押出されてもよい。基材は、ポリカーボネートから成る第1の表面とポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)から成る第2の表面とを含むフラットシートに共押出されてもよい。
【0040】
転写コーティングは、硬化されてもよい。転写コーティングの硬化は、待機、加熱、乾燥、電磁放射線(例えば、UVスペクトルのうちの電磁放射線(EMR))への露光、または前述の1つの組み合わせを含んでもよい。供与基材を除去して、転写コーティングおよび導電性コーティングをフィルム表面と隣り合って残してもよい。
【0041】
供与基材は、ポリマーを含んでもよい。転写コーティングと供与または受容基材の間の接着性は、ASTM D3359に従って決定されてもよい。ASTM D3359に従う、転写コーティングと供与基材のポリマーの間の接着性は、0Bであることができる。ASTM D3359に従う、導電性コーティングと供与基材の間の接着性は、0Bであることができる。転写コーティングと受容基材のポリマーの間の接着性は、5Bであることができる。転写コーティングは、受容基材のポリマーに対する方が供与基材のポリマーに対するより大きい接着性を有することができる。
【0042】
導電性シートまたはフィルムは、平板ではないように屈曲されてもよい。基材は、基材の長さ寸法および幅寸法によって定められる平面(添付図におけるl−w面)と同一面とならないように、屈曲されてもよい。基材は、深さ寸法が基材の総厚、Tを超えるように(例えば、基材の厚さは、道具の耐久性、温度などのプロセス条件の変動、冷却中の収縮の変動など、製造の不完全性のために変動する可能性があることが認識される)、湾曲した形状に屈曲されてもよい。基材は、基材の一部の深さ寸法がパネルの総厚、Tの2倍以上になるように、屈曲されてもよい。
【0043】
導電性シートまたはフィルムの周囲の形状はいかなる形状であってもよく、例えば、円形、楕円形、または直線もしくは湾曲端縁を有する多角形の形状であってもよい。
【0044】
基材は、形成、成形可能で、捻れおよび伸長に耐えることができる、可撓性フィルムを含んでもよい。導電性コーティングは、任意の適切な湿式コーティング法、例えば、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティングなどを使用して、基材に塗布されてもよい。フィルムは、ロールツーロール製造または同様のプロセスを使用して形成されてもよい。
【0045】
導電性シートまたはフィルムは、導電性コーティングを供与基材から受容基材に転写することによって形成されてもよい。基材は、加熱されてもよい。基材は、70℃以上の温度に加熱されてもよい。基材は、70℃〜95℃の温度に加熱されてもよい。転写コーティングは、供与基材の表面に塗布されてもよい。転写コーティングは、受容基材の表面に塗布されてもよい。転写コーティングは、任意の湿式コーティング技法を使用して基材に塗布されてもよい。供与および受容基材は、一緒にプレス成形されて積層体を形成してもよく、その積層体において、転写コーティングおよび導電性コーティングは供与および受容基材の表面の間に挟まれてもよい。プレス成形は任意の適切なデバイスによって、例えば、ローラープレス、ベルトプレス、ダブルベルトプレス、スタンピング、型押し、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせによって行われてもよい。プレス成形デバイスを使用して、基材の間に捕捉された気泡を除去してもよい。プレス成形は、導電性コーティングおよび転写コーティングを供与基材と受容基材の間に挟みながら、供与および受容基材を一緒に0.2メガパスカル(MPa)超、例えば、0.2MPa〜1MPa、または0.2MPa〜0.5MPa、または0.3MPaの圧力までプレス成形することを含んでもよい。基材の積層体を、熱、紫外(UV)光または幾つかの他の硬化開始剤に曝露して、転写コーティングを硬化させてもよい。供与基材を除去して、転写コーティングを含む導電性コーティングがしっかりと接着された受容基材を後に残してもよい。
【0046】
ある実施形態では、導電性コーティングは供与基材上に形成されてもよく、転写コーティングは供与基材または受容基材に塗布されてもよく、供与および受容基材を一緒に加熱およびプレス成形して、転写コーティングを基材の間に挟むことができるようにしてもよく、供与基材を除去して、導電性コーティングおよび転写コーティングを受容基材上に残してもよい。
【0047】
導電性シート、フィルム、もしくは基材のポリマー、または導電性シート、フィルム、もしくは基材の製造(例えば、受容基材、供与基材、転写コーティング、および任意選択の基材コーティング)に使用されるポリマーは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含んでもよい。
【0048】
可能な熱可塑性樹脂には、オリゴマー、ポリマー、イオノマー、デンドリマー、コポリマー、例えば、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー(例えば、星型ブロックコポリマー、ランダムコポリマーなど)または前述の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。かかる熱可塑性樹脂の例には、ポリカーボネート(例えば、ポリカーボネートのブレンド(例えば、ポリカーボネート−ポリブタジエンブレンド、コポリエステルポリカーボネート))、ポリスチレン(例えば、ポリカーボネートとスチレンとのコポリマー、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレンのブレンド)、ポリイミド(PI)(例えば、ポリエーテルイミド(PEI))、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)、ポリアルキルメタクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA))、ポリエステル(例えば、コポリエステル、ポリチオエステル)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(例えば、ポリアミドイミド)、ポリアリレート、ポリスルホン(例えば、ポリアリルスルホン、ポリスルホンアミド)、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル(例えば、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES))、ポリアクリル酸、ポリアセタール、ポリベンゾオキサゾール(例えば、ポリベンゾチアジノフェノチアジン、ポリベンゾチアゾール)、ポリオキサジアゾール、ポリピラジノキノキサリン、ポリピロメリトイミド、ポリキノキサリン、ポリベンゾイミダゾール、ポリオキシインドール、ポリオキソイソインドリン(例えば、ポリジオキソイソインドリン)、ポリトリアジン、ポリピリダジン、ポリピペラジン、ポリピリジン、ポリピペリジン、ポリトリアゾール、ポリピラゾール、ポリピロリドン、ポリカルボラン、ポリオキサビシクロノナン、ポリジベンゾフラン、ポリフタルアミド、ポリアセタール、ポリ酸無水物、ポリビニル(例えば、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリ塩化ビニル)、ポリスルホネート、ポリスルフィド、ポリ尿素、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリシロキサン、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニル(polyvinyl fluouride)(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、エチレン四フッ化エチレン共重合体(ETFE))、ポリエチレンナフタレート(PEN)、環式オレフィンコポリマー(COC)、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
より詳細には、熱可塑性樹脂には、ポリカーボネート樹脂(例えば、LEXAN(商標)CFR樹脂を含めた、LEXAN(商標)樹脂、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販される)、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン樹脂(例えば、NORYL(商標)樹脂、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販される)、ポリエーテルイミド樹脂(例えば、ULTEM(商標)樹脂、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販される)、ポリブチレンテレフタレート−ポリカーボネート樹脂(例えば、XENOY(商標)樹脂、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販される)、コポリエステルカーボネート樹脂(例えば、LEXAN(商標)SLX樹脂、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販される)、または前述の樹脂の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれてもよいが、これらに限定されない。さらにより詳細には、熱可塑性樹脂には、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテルのホモポリマーおよびコポリマー、または前述の樹脂の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれてもよいが、これらに限定されない。ポリカーボネートは、ポリカーボネートのコポリマー(例えば、ポリカーボネート−ポリシロキサン、例えば、ポリカーボネート−ポリシロキサンブロックコポリマー、ポリカーボネート−ジメチルビスフェノールシクロヘキサン(DMBPC)ポリカーボネートコポリマー(例えば、LEXAN(商標)DMXおよびLEXAN(商標)XHT樹脂、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販される)、ポリカーボネート−ポリエステルコポリマー(例えば、XYLEX(商標)樹脂、SABIC’s Innovative Plastics businessから市販される))、直鎖状ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、エンドキャップされたポリカーボネート(例えば、ニトリルでエンドキャップされたポリカーボネート)、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせ、例えば、分岐ポリカーボネートと直鎖状ポリカーボネートの組み合わせを含んでもよい。
【0050】
本明細書において、用語「ポリカーボネート」は、式(1)のカーボネート繰返し構造単位を有する組成物を意味し、
【化1】
【0051】
式中、R
1基の総数の少なくとも60パーセントが芳香族部分を含有し、その残部が、脂肪族、脂環式、または芳香族である。ある実施形態では、各R
1は、C
6〜30芳香族基であり、すなわち少なくとも1つの芳香族部分を含有する。R
1は、式HO−R
1−OH、特に式(2)のジヒドロキシ化合物から誘導されてもよく、
【0052】
HO−A
1−Y
1−A
2−OH (2)
【0053】
式中、A
1およびA
2はそれぞれ、単環式の二価の芳香族基であり、Y
1は、単結合、またはA
1をA
2から隔てる1つ以上の原子を有する架橋基である。代表的な実施形態では、1つの原子がA
1をA
2から隔てる。特に、各R
1は、式(3)のジヒドロキシ芳香族の化合物から誘導されてもよく、
【化2】
【0054】
式中、R
aおよびR
bはそれぞれハロゲンまたはC
1〜12アルキル基を表しており、同一であっても異なっていてもよく;pおよびqはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。pが0のときR
aは水素であり、同様にqが0のときR
bは水素であることが理解されよう。また式(3)において、X
aは2つのヒドロキシ置換芳香族基を連結する架橋基を表し、この場合、架橋基および各C
6アリーレン基のヒドロキシ置換基は、C
6アリーレン基上で互いに対してオルト、メタ、またはパラ(特にパラ)に配置される。ある実施形態では、架橋基X
aは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、またはC
1〜18有機基である。C
1〜18有機架橋基は、環式または非環式、芳香族または非芳香族であってもよく、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、またはリンなどのヘテロ原子をさらに含んでもよい。C
1〜18有機基は、それに連結したC
6アリーレン基がそれぞれ、C
1〜18有機架橋基の共通のアルキリデン炭素または異なる炭素に連結するように配置されてもよい。一実施形態では、pおよびqはそれぞれ1であり、R
aおよびR
bはそれぞれC
1〜3アルキル基、特にメチルであり、各アリーレン基のヒドロキシ基に対してメタに配置される。
【0055】
ある実施形態では、X
aは、置換または非置換のC
3〜18シクロアルキリデン、式−C(R
c)(R
d)−のC
1〜25アルキリデン(式中、R
cおよびR
dはそれぞれ独立に、水素、C
1〜12アルキル、C
1〜12シクロアルキル、C
7〜12アリールアルキル、C
1〜12ヘテロアルキル、または環式C
7〜12ヘテロアリールアルキルである)、または式−C(=R
e)−の基(式中、R
eは二価のC
1〜12炭化水素基)である。この種の代表的な基には、メチレン、シクロヘキシルメチレン、エチリデン、ネオペンチリデン、およびイソプロピリデン、ならびに、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンが含まれる。X
aが置換シクロアルキリデンである具体例は、式(4)のシクロヘキシリデンで架橋されたアルキル置換ビスフェノールであり、
【化3】
【0056】
式中、R
a’およびR
b’はそれぞれ独立にC
1〜12アルキルであり、R
gはC
1〜12アルキルまたはハロゲンであり、rおよびsはそれぞれ独立に1〜4であり、tは0〜10である。特定の実施形態では、R
a’およびR
b’のそれぞれの少なくとも1つがシクロヘキシリデン架橋基に対してメタに配置される。置換基R
a’、R
b’、およびR
gは、適正な数の炭素原子を含んでいるとき、直鎖、環式、二環式、分岐、飽和、または不飽和であってもよい。ある実施形態では、R
a’およびR
b’はそれぞれ独立にC
1〜4アルキルであり、R
gはC
1〜4アルキルであり、rおよびsはそれぞれ1であり、tは0〜5である。別の特定の実施形態では、R
a’、R
b’およびR
gはそれぞれメチルであり、rおよびsはそれぞれ1であり、tは0または3である。シクロヘキシリデンで架橋されたビスフェノールは、2モルのo−クレゾールと1モルのシクロヘキサノンとの反応生成物であってもよい。別の代表的な実施形態では、シクロヘキシリデンで架橋されたビスフェノールは、2モルのクレゾールと1モルの水素化イソホロン(例えば、1,1,3−トリメチル−3−シクロヘキサン−5−オン)との反応生成物である。かかるシクロヘキサン含有ビスフェノール、例えば、2モルのフェノールと1モルの水素化イソホロンとの反応生成物は、高いガラス転移温度および高い加熱撓み温度を有するポリカーボネートポリマーを作製するのに有用である。
【0057】
別の実施形態では、X
aは、C
1〜18アルキレン基、C
3〜18シクロアルキレン基、縮合C
6〜18シクロアルキレン基、または式−B
1−W−B
2−の基であり、式中、B
1およびB
2は同一または異なるC
1〜6アルキレン基であり、WはC
3〜12シクロアルキリデン基またはC
6〜16アリーレン基である。
【0058】
X
aはまた、式(5)の置換C
3〜18シクロアルキリデンであってもよく、
【化4】
【0059】
式中、R
r、R
p、R
q、およびR
tは独立に、水素、ハロゲン、酸素、またはC
1〜12有機基であり、Iは、直接結合、炭素、または二価の酸素、硫黄、もしくは−N(Z)−であり、式中、Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1〜12アルキル、C
1〜12アルコキシ、またはC
1〜12アシルであり、hは0〜2、jは1または2、iは0または1の整数、kは0〜3の整数であり、ただし、一緒になったR
r、R
p、R
q、およびR
tの少なくとも2つは、縮合した脂環式、芳香族、またはヘテロ芳香族環であることを条件とする。縮合環が芳香族である場合、式(5)に示す通りの環は、環が縮合するところに不飽和炭素−炭素結合を有することが理解されよう。kが1でiが0のとき、式(5)に示す通りの環は4つの炭素原子を含有し、kが2のとき、式(5)に示す通りの環は5つの炭素原子を含有し、kが3のとき、環は6つの炭素原子を含有する。一実施形態では、2つの隣接基(例えば、一緒になったR
qおよびR
t)が芳香族基を形成し、別の実施形態では、一緒になったR
qおよびR
tが芳香族基を形成し、一緒になったR
rおよびR
pが第2の芳香族基を形成する。一緒になったR
qおよびR
tが芳香族基を形成するとき、R
pは二重結合の酸素原子、すなわちケトンであってもよい。
【0060】
式HO−R
1−OHの他の有用な芳香族ジヒドロキシ化合物には、式(6)の化合物が含まれ、
【化5】
【0061】
式中、各R
hは独立に、ハロゲン原子、C
1〜10ヒドロカルビル、例えば、C
1〜10アルキル基、ハロゲン置換C
1〜10アルキル基、C
6〜10アリール基、またはハロゲン置換C
6〜10アリール基であり、nは0〜4である。ハロゲンは、通常は臭素である。
【0062】
具体的な芳香族ジヒドロキシ化合物の幾つかの実例には、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フッ素、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7−ジヒドロキシカルバゾール、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物、例えば、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノールなど;カテコール;ヒドロキノン;置換ヒドロキノン、例えば、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノンなど、または前述のジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれる。
【0063】
式(3)のビスフェノール化合物の具体例には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以降、「ビスフェノールA」または「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(p,p−PPPBP)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)が含まれる。前述のジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組み合わせも使用してもよい。特定の一実施形態では、ポリカーボネートは、ビスフェノールAから誘導される直鎖状ホモポリマーであり、ここで、式(2)中のA
1およびA
2はそれぞれp−フェニレンであり、Y
1はイソプロピリデンである。
【0064】
式(7)のx部分によって表される、DMBPCカーボネートのホモポリマー、またはそのBPAカーボネートとのコポリマーは、式(7)の全体化学構造を有する。
【化6】
【0065】
DMBPCカーボネートをBPAカーボネートと共重合して、DMBPC BPAコポリカーボネートを形成してもよい。例えば、コポリマーまたはホモポリマー(DMBPC)としてのDMBPC系ポリカーボネートは、10〜100mol%のDMBPCカーボネートと90〜0mol%のBPAカーボネートとを含んでもよい。
【0066】
本明細書に記載のポリカーボネートのいずれかを作製する方法は、特に限定されない。それはポリカーボネートを生成する任意の公知の方法によって生成されてもよく、それらには、ホスゲンを使用する界面法、および/またはジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルカーボネートもしくはビスメチルサリチルカーボネートをカーボネート源として使用する溶融プロセスが含まれる。
【0067】
本明細書における「ポリカーボネート」は、ホモポリカーボネート(ここでは、ポリマー中の各R
1は同一である)、カーボネート中に異なるR
1部分を含むコポリマー(本明細書では「コポリカーボネート」と呼ぶ)、カーボネート単位と他の種類のポリマー単位、例えばエステル単位とを含むコポリマー、ならびにホモポリカーボネートおよび/またはコポリカーボネートの少なくとも1種を含む組み合わせをさらに含む。本明細書において、「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを包括する。
【0068】
ポリカーボネート組成物は、衝撃改質剤をさらに含んでもよい。代表的な衝撃改質剤には、天然ゴム、フルオロエラストマー、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)、アクリル酸ゴム、水素化ニトリルゴム(HNBR)、シリコーンエラストマー、およびエラストマー変性グラフトコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン(AES)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、高ゴムグラフト(HRG)などが含まれる。衝撃改質剤は一般に、組成物中のポリマーの総重量を基準にして1〜30wt%の量で存在する。
【0069】
フィルムのポリマーは、この種のポリマー組成物に通常組み込まれる様々な添加剤を含んでもよいが、添加剤が、ポリマー組成物の望ましい性質、特に、耐熱水性、耐透湿性、耐破壊性、および熱収縮に悪影響を相当に及ぼさないように選択されることを条件とする。かかる添加剤は、組成物を形成する構成成分を混合する間の適当な時点で混合されてもよい。代表的な添加剤には、充填剤、補強剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外(UV)光安定剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、および有機染料、表面効果添加剤、放射線安定剤、難燃剤、ならびにドリップ防止剤が含まれる。添加剤の組み合わせ、例えば、熱安定剤、離型剤、および紫外光安定剤の組み合わせを使用してもよい。添加剤の総量(任意の衝撃改質剤、充填剤、または補強剤以外)は、組成物の総重量を基準にして一般に0.01〜5wt%である。
【0070】
光安定剤および/または紫外光(UV)吸収安定剤も使用してもよい。代表的な光安定剤添加剤には、ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾールおよび2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、または前述の光安定剤の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれる。光安定剤は、充填剤をいずれも除いた全組成物である100重量部を基準として、0.01〜5重量部の量で使用される。
【0071】
UV光吸収安定剤には、トリアジン、ジベンゾイルレゾルシノール(例えば、BASFから市販されるTINUVIN*1577、旭電化から市販されるADK STAB LA−46)、ヒドロキシベンゾフェノン;ヒドロキシベンゾトリアゾール;ヒドロキシフェニルトリアジン(例えば、2−ヒドロキシフェニルトリアジン);ヒドロキシベンゾトリアジン;シアノアクリレート;オキサニリド;ベンゾオキサジノン;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール(CYASORB
*5411);2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB
*531);2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノール(CYASORB
*1164);2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン)(CYASORB
*UV−3638);1,3−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL
*3030);2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン);1,3−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;ナノサイズの無機材料、例えば、酸化チタン、酸化セリウム、および酸化亜鉛(すべて100ナノメートル以下の粒径を有する)、または前述のUV光吸収安定剤の少なくとも1種を含む組み合わせが含まれる。UV光吸収安定剤は、充填剤をいずれも除いた全組成物である100重量部を基準として、0.01〜5重量部の量で使用される。
【0072】
受容基材は、ポリカーボネートを含んでもよい。受容基材は、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)を含んでもよい。受容基材は、共押出されたポリカーボネートおよびポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)を含んでもよい。受容基材は、共押出されたポリカーボネートおよびポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)を含んでもよく、この場合、基材の第1の表面はポリカーボネートから成り、基材の第2の表面はPMMAから成る。供与基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。転写コーティングは、ポリカーボネートを含む基材の表面に塗布されてもよい。転写コーティングは、ポリカーボネートから成る基材の表面に塗布されてもよい。転写コーティングは、導電性コーティングと、ポリカーボネートを含む基材の表面の間に配置されてもよい。転写コーティングは、ポリカーボネートから成る基材の表面と導電性コーティングの間に配置されてもよい。
【実施例】
【0073】
5種の転写コーティング配合物を、表1に示す通りに試験した。各転写コーティングは、供与基材への接着性を助けるための多官能アクリレートを含んでいた。各転写コーティングは、転写コーティングと受容基材の間の接着性を助けるための1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含んでいた。転写コーティングは、UV露光の下でコーティングの硬化を促進するための光開始剤(例えば、RUNTECURE(商標)1104)を含んでいた。混合を助けるために、各配合物をオーブン中で30分間、60℃で加熱した。
【表1】
【0074】
これらの配合物を、接着性、表面抵抗率(ASTM D257に従い、脱イオン水を使用する)、透過率、ヘイズ、および鉛筆硬度について試験した。転写コーティングと基材の間の接着性は、ASTM D3359に従って決定し、ここで、5Bは基材上に100%接着することを意味し、0Bは、基材から転写コーティングが100%層間剥離することを意味する。接着性は、沸騰水に曝す前、沸騰水に1時間曝した後、および沸騰水に2時間曝した後に測定した。導電性シートまたはフィルムの鉛筆硬度は、ASTM D3363に従い、三菱ユニ鉛筆を1キログラム(kg)の荷重で使用して決定した。鉛筆硬度は、最も軟らかいものから最も硬いものまで、6B−5B−4B−3B−2B−B−HB−F−H−2H−3H−4H−5H−6Hである。表2は、これらの試験の結果を示す。各試料の透過率およびヘイズは、ASTM D1003に従って試験した。各試料の透過率およびヘイズは、ASTM D1003手順Aに従い、Haze−Gard試験デバイスを用いてCIE標準光源Cを使用して試験した。
【表2】
【0075】
5種の配合物はすべて、導電性コーティングを基材に転写することができ、ASTM D3359に従う接着強さは、水で煮沸する前に5Bであった。試料を沸騰している脱イオン水中に入れて、1時間後および2時間後に接着安定性を決定した。接着性はASTM D3359に従って試験し、その結果から、転写コーティングA(DM5272)および転写コーティングD(EB8311)の接着性が煮沸試験後に最も高かったことが示される。
【0076】
基材1の水での煮沸試験前後の表面抵抗率を、ASTM D257を使用して、脱イオン水を使用して決定した。この結果から、2時間の煮沸試験の結果としての表面抵抗率の変化は、基材1上の転写コーティング配合物A〜Eについてそれぞれ、表2に与えられる結果から算出できる、−1.6オーム(Ω)、−3.1Ω、+0.7Ω、−2.4Ω、および+0.8Ωであったことが示される。
【0077】
鉛筆硬度試験を試料1について行い、その結果から、各配合物はASTM D3363に従って決定されたH硬度を呈することができることが示される。
【0078】
接着性に及ぼす温度の効果を評価するために、配合物AおよびDについて加熱前の温度に関しても50℃〜95℃でスクリーニングした。表3に示す結果から、加熱前の温度が70℃〜95℃(端点を包括する)のときに温度接着性(temperature adhesion)は最良であることが示される。
【表3】
【0079】
比較例
ND−9740−1という名称のUV硬化性転写コーティング(大韓民国、京畿道、始興市のNanoPhotonic Chemicalから市販される)の接着性を、ポリカーボネート基材に対する接着性について試験した。ASTM D3359に従って決定された接着性は結果的に0Bであった。接着性の結果が0Bであったことから、この試料を沸騰水試験にかけなかった。
【0080】
本明細書において特に指定しない限り、ASTM D1003、ASTM D3359、ASTM D3363などの、規格、試験方法などへの言及はいずれも、本出願の出願時点で効力のある規格または方法が言及される。
【0081】
転写コーティングおよび作製方法は、少なくとも以下の実施形態を含む。
【0082】
実施形態1:多官能アクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、および光開始剤を含む紫外線硬化性転写コーティングであって、前記紫外線硬化性転写コーティングの総重量の30%〜80%が前記多官能アクリレートオリゴマーで構成され、前記総重量の15%〜65%が前記アクリレートモノマーで構成され、前記総重量の3%〜7%が前記光開始剤で構成される、紫外線硬化性転写コーティング。
【0083】
実施形態2:多官能アクリレートオリゴマー、およびアクリレートモノマーを含む紫外線硬化性転写コーティングであって、前記紫外線硬化性転写コーティングの総重量の30%〜80%が前記多官能アクリレートオリゴマーで構成され、前記総重量の15%〜65%が前記アクリレートモノマーで構成される、紫外線硬化性転写コーティング。
【0084】
実施形態3:実施形態1から2のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、前記多官能アクリレートオリゴマーが、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アクリレート化樹脂、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートエステル、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含む、紫外線硬化性転写コーティング。
【0085】
実施形態4:実施形態1から3のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、前記多官能アクリレートオリゴマーが、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートを含み、前記多官能アクリレートオリゴマーの重量の30%〜50%が前記脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーで構成され、前記多官能アクリレートオリゴマーの重量の50%〜70%が前記ペンタエリスリトールテトラアクリレートで構成される、紫外線硬化性転写コーティング。
【0086】
実施形態5:実施形態1から4のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、前記多官能アクリレートオリゴマーがアクリレート化樹脂を含む、紫外線硬化性転写コーティング。
【0087】
実施形態6:実施形態1および3から4のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、前記光開始剤がα−ヒドロキシケトン光開始剤を含む、紫外線硬化性転写コーティング。
【0088】
実施形態7:実施形態6に記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、前記α−ヒドロキシケトン光開始剤が1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンである、紫外線硬化性転写コーティング。
【0089】
実施形態8:実施形態1から7のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、前記アクリレートモノマーが1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含む、紫外線硬化性転写コーティング。
【0090】
実施形態9:実施形態1から8のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、ASTM D3359に従って測定された3B以上の接着強度でポリカーボネート基材に接着することができる、紫外線硬化性転写コーティング。
【0091】
実施形態10:実施形態1から9のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、ASTM D3359に従って測定された4B以上の接着強度でポリカーボネート基材に接着することができる、紫外線硬化性転写コーティング。
【0092】
実施形態11:実施形態1〜10のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングであって、紫外線硬化性転写液が、ASTM D3359に従って測定された5Bの接着強度でポリカーボネート基材に接着することができる、紫外線硬化性転写コーティング。
【0093】
実施形態12:第1の表面と第2の表面とを含む基材;前記第1の表面に接着された、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティング;および前記紫外線硬化性転写コーティングと隣り合った導電性コーティングを含み、前記導電性コーティングがネットワーク中に配置されるナノメートルサイズの金属粒子を含み、前記導電性コーティングが0.1オーム/スクエア以下の表面抵抗を有する、導電性シートまたはフィルム。
【0094】
実施形態13:実施形態12に記載の導電性シートまたはフィルムであって、前記基材が、ポリカーボネート、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ガラス、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含む、導電性シートまたはフィルム。
【0095】
実施形態14:実施形態12から13のいずれか1つに記載の導電性シートまたはフィルムであって、1キログラムの荷重を有する三菱ユニ鉛筆を使用してASTM D3363に従って測定された鉛筆硬度がH以上である、導電性シートまたはフィルム。
【0096】
実施形態15:実施形態12から14のいずれか1つに記載の導電性シートまたはフィルムであって、CIE標準光源Cを使用してASTM D1003手順Aに従って測定されたヘイズが6%以下である、導電性シートまたはフィルム。
【0097】
実施形態16:実施形態12から15のいずれか1つに記載の導電性シートまたはフィルムであって、CIE標準光源Cを使用してASTM D1003手順Aに従って測定された透過率が、430THz〜790THzの周波数を有する入射光の70%以上である、導電性シートまたはフィルム。
【0098】
実施形態17:実施形態12から16のいずれか1つに記載の導電性シートまたはフィルムであって、CIE標準光源Cを使用してASTM D1003手順Aに従って測定された透過率が80%以上である、導電性シートまたはフィルム。
【0099】
実施形態18:実施形態12から17のいずれか1つに記載の導電性シートまたはフィルムであって、水中で2時間煮沸された後にASTM D257に従って測定された表面抵抗率の変化が4オーム以下である、導電性シートまたはフィルム。
【0100】
実施形態19:導電性基材を作製する方法であって、実施形態1から11のいずれか1つに記載の紫外線硬化性転写コーティングを受容基材の第1の表面または供与基材の第1の表面に塗布する工程であって、前記供与基材の前記第1の表面が、そこに結合した導電性コーティングを含む工程;前記受容基材の前記第1の表面と前記供与基材の前記第1の表面とを一緒にプレス成形して積層体を形成する工程であって、それらの間に前記紫外線硬化性転写コーティングが配置される工程;前記積層体を加熱する工程;前記紫外線硬化性転写コーティングを紫外線放射源で活性化させる工程;前記積層体から前記供与基材を除去して導電性基材を残す工程であって、前記紫外線硬化性転写コーティングが前記基材の前記第1の表面および前記導電性コーティングに接着したままである工程を含む、方法。
【0101】
実施形態20:実施形態19に記載の方法であって、前記紫外線硬化性転写コーティングを紫外線放射源で硬化する工程を含む方法。
【0102】
実施形態21:実施形態19から20のいずれか1つに記載の方法であって、前記導電性基材の表面に保護材料を塗布する工程を含む方法。
【0103】
実施形態22:実施形態19から21のいずれか1つに記載の方法であって、前記導電性基材をトリミングする工程を含む方法。
【0104】
実施形態23:実施形態19から22のいずれか1つに記載の方法であって、プレス成形する工程が、ローラープレス、ベルトプレス、ダブルベルトプレス、スタンピング、型押し、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせを含む方法。
【0105】
実施形態24:実施形態19から23のいずれか1つに記載の方法であって、前記加熱する工程が、70℃超に加熱する工程をさらに含む方法。
【0106】
実施形態25:実施形態19から24のいずれか1つに記載の方法であって、前記加熱する工程が、70℃〜95℃に加熱する工程をさらに含む方法。
【0107】
実施形態26:実施形態19から25のいずれか1つに記載の方法であって、プレス成形する工程が、受容基材と供与基材とを一緒に0.2メガパスカル(MPa)超の圧力まで圧力をかける工程を含む方法。
【0108】
一般に、本発明は、代わる代わる、本明細書に開示する任意の適正な構成成分を含んでもよく、それらから成ってもよく、またはそれらから本質的に成ってもよい。本発明は、追加的に、または代替的に、先行技術の組成物に使用される任意の構成成分、材料、成分、補助剤もしくは化学種、またはそれ以外に本発明の機能および/もしくは目的の実現に必要のないものを含まないまたは実質的に含まないように配合されてもよい。
【0109】
本明細書に開示するすべての範囲は端点を包括し、端点は独立に互いに組み合わせることができる(例えば、「25wt%まで、またはより具体的には5wt%〜20wt%」という範囲は、「5wt%〜25wt%」という範囲の端点とすべての中間値を包括する、など)。「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを包括する。さらに、用語「第1の」、「第2の」などは、本明細書において何らかの順序、分量、または重要性を表すものではなく、1つの要素を別の要素と分けて表すために使用される。単数形の冠詞を表す用語(「ある」および「その」)は、本明細書では分量の限定を表すものではなく、本明細書において特に示さない限り、または文脈により明白に矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈するべきである。接尾辞「(複数可)」は、本明細書において、それが修飾する単数形および複数形の両方の用語を含むこと、それによって1つ以上の該用語を含むこと(例えば、フィルム(複数可)は、1つ以上のフィルムを含む)を意図している。本明細書を通して「一実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」などが言及される場合、該実施形態に関連して記載する特定の要素(例えば、特徴、構造、および/または特性)が本明細書に記載する少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態に存在しても存在しなくてもよいことを意味する。加えて、記載する要素は、種々の実施形態において任意の適切な方式で組み合わせてもよいことが理解されるべきである。
【0110】
具体的な実施形態を説明してきたが、当技術の出願人または他の当業者であれば、現時点では予見されていないまたは予見されていない可能性のある代替形態、変形形態、変更形態、改良形態、および実質的に等価な形態を想起することができる。したがって、出願した(場合により補正した)通りの添付の特許請求の範囲は、かかるすべての代替形態、変形形態、変更形態、改良形態および実質的に等価な形態を包含することを意図している。