特許第6526722号(P6526722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526722
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】羊水を同定するための診断組成物
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20190527BHJP
   G01N 33/52 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   G01N33/50 Z
   G01N33/52 A
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-572788(P2016-572788)
(86)(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公表番号】特表2017-525941(P2017-525941A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】IL2015050670
(87)【国際公開番号】WO2016001918
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年4月5日
(31)【優先権主張番号】62/019,439
(32)【優先日】2014年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516369664
【氏名又は名称】コモン センス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハーショービッツ−ファンドイアノ,ワイファット
(72)【発明者】
【氏名】パルド−イッサール,ヴェレッド
(72)【発明者】
【氏名】ケッサリー ショハム,ハダル
【審査官】 海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0134740(US,A1)
【文献】 特表2006−504954(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/052540(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0275071(US,A1)
【文献】 特開2012−184369(JP,A)
【文献】 特表2009−530325(JP,A)
【文献】 特開2007−326859(JP,A)
【文献】 特表2002−505918(JP,A)
【文献】 特開平08−101185(JP,A)
【文献】 特開2014−204798(JP,A)
【文献】 米国特許第07947467(US,B2)
【文献】 特開平06−289006(JP,A)
【文献】 齋藤好廣,プルロニック系界面活性剤,日本油化学会誌,2000年,49(10),PP.1071-1080
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、を含み、湿潤剤を含まない、膣分泌物中の羊水を検出する指示薬組成物。
【請求項2】
前記芳香族カルボン酸が、サリチル酸、安息香酸またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項3】
前記芳香族カルボン酸が、サリチル酸である、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項4】
前記親水性界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項5】
前記親水性界面活性剤が、ポリマーである、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項6】
前記親水性界面活性剤が、ブロック共重合体界面活性剤を含む、請求項5に記載の指示薬組成物。
【請求項7】
前記指示薬が、負電荷を有する、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項8】
前記イオンバランス試薬が、第四級アンモニウム塩である、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項9】
前記非環式可塑化剤が、トリエステル可塑化剤である、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項10】
複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、からなる、請求項1に記載の指示薬組成物。
【請求項11】
ヒトから分泌された生体液を吸収するための吸収材と、請求項1〜10のいずれか1項または複数の項に記載の指示薬組成物と、を含む、膣分泌物中の羊水を検出するための物品。
【請求項12】
前記吸収材が、スワブ、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン、おむつおよび陰唇間吸収材構造からなる群から選択される、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
(d)請求項1に記載の指示薬組成物を含む分泌モニタリング物品を配置させて、対象から分泌された生体液を受け取ること;
(e)前記物品を膣分泌物と接触させること;および
(f)変色が羊水の存在を示す前記物品を観察すること、
を含む、膣分泌物中の羊水漏出を診断する方法。
【請求項14】
前記変色が、前記分泌モニタリング物品の背景に関して濃い染色である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記濃い染色が、暗青色の染色または暗緑色の染色である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記観察が、前記接触後10分未満で実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記観察が、前記接触後5分未満で実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記指示薬組成物が、複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
膣分泌物中の羊水を検出するための請求項11に記載の物品と、使用説明書と、を含むキット。
【請求項20】
前記物品と羊水との接触によって現れると予測される色を表す色スケールをさらに含む、請求項19に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医療診断薬の分野、より具体的には羊水の同定に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
羊膜嚢の前期破水は、妊婦のおよそ10%に起こる一般的障害である。前期破水の処置に失敗すると、羊膜内感染、胎児肺発達の中断、および周産期死亡を起こす場合がある。
【0003】
膣分泌物との接触後に診断物品の変色をクロマトグラフィー検出するなど、羊水漏出を検出する複数のアプローチが、当該技術分野で知られている。
【0004】
羊水を同定することを目的とした指示薬と共にパンティーシールド、スワブなどを含む複数の器具が、例えば米国特許第5,897,834号;同第6,126,597号および同第6,149,590号において開発された。これらの器具は、ユーザによって装着、さもなければ使用することができ、分泌物が存在すれば、それが吸収されて、さらに検出される。
【0005】
米国特許第6,921,647号、ならびに米国特許第7,314,752号;同第7,541,177号および同第7,947,467号をはじめとする一部継続出願には、吸収材を含む本体と、少なくとも1つのpH測定部材を有する指示体システムと、を含む、羊水をはじめとする分泌された生体液を同定するための分泌物モニタリング物品が開示されている。該pH測定部材は、偽陽性の提示を回避しながら尿を含有する流体と尿を含有しない流体とを区別し得る手法で、尿を含有しない流体と異なった形で尿を含有する流体と反応する化学組成物を含む。該pH測定部材はさらに、またはそれとは別に、緩衝能に基づいて流体と反応し、それにより異なった緩衝能を有する液体が区別され得る、疎水性化学組成物を含み得る。
【0006】
α−フェトプロテイン、プロラクチン、フィブロネクチン、およびインスリン様成長因子結合タンパク質1などの羊水中のタンパク質の免疫科学分析を利用することにより羊膜嚢の破裂を検出することも、提案された。例えば、米国特許第8,114,610号には、PAMG−1特異性モノクローナル抗体の組み合わせを利用して妊婦の膣分泌物を含む試料中の羊水を検出する方法が開示される。
【0007】
羊水と、尿などの干渉する生体液とを識別することが可能で、最小限の偽陽性結果を有し、経時的に安定した信頼性のある提示を提供し、信頼性のある結果を得るのに必要な時間量を短縮させる、改善された診断システムが、依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の概要
本発明は、複数のポリマーと;可塑化剤と;界面活性剤と;イオンバランス試薬と;酸と;指示薬と、を含み、湿潤剤を含まない、膣分泌物中の羊水を検出する指示薬組成物を開示する。本発明は、羊水を同定するための診断物品、およびそれを利用する方法をさらに開示する。
【0009】
有利には本発明の物品は、膣分泌物と接触した直後に作用し得る。具体的には本明細書に開示された物品および診断組成物は、乾燥時間を全く必要とせず、そして/または尿蒸発のための待機を必要としない。したがって本明細書に開示された物品および組成物による羊水(または他の流体)の検出は、ワンステップ工程、即ち液体(羊水または尿)と診断組成物を含む物品との接触によるもので、該流体との接触の直後に、そのままの状態の物品で検出が実施され得る。任意の理論またはメカニズムによって拘束されるのを望むものではないが、この利点は、本発明の診断配合剤中の成分の特有の組み合わせによって与えられるか、または具体的には、残りの成分と共に、湿潤剤の欠如、芳香族カルボン酸の存在、界面活性剤としての親水性非イオン性ポリマーの存在、トリエステル非環式可塑化剤の存在もしくはそれらの組み合わせに起因され得ると推定される。
【0010】
さらに本発明の物品は、初期自己検出を可能にし、陽性と偽陽性を区別するのに患者が医療機関を訪れる必要がない。したがって本発明の物品を利用すれば、羊水が実際に漏出しているかどうかを決定するのに必要な時間がかなり節約される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
幾つかの実施形態において、複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、を含み、湿潤剤を含まない、膣分泌物中の羊水を検出する指示薬組成物が提供される。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記芳香族カルボン酸は、サリチル酸、安息香酸またはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、該芳香族カルボン酸は、サリチル酸である。
【0014】
幾つかの実施形態において、該親水性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0015】
幾つかの実施形態において、該親水性界面活性剤は、ポリマーである。
【0016】
幾つかの実施形態において、該親水性界面活性剤は、ブロック共重合体界面活性剤を含む。
【0017】
幾つかの実施形態において、該指示薬は、負電荷を有する。
【0018】
幾つかの実施形態において、該イオンバランス試薬は、第四級アンモニウム塩である。
【0019】
幾つかの実施形態において、該非環式可塑化剤は、トリエステル可塑化剤である。
【0020】
幾つかの実施形態において、複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、からなる、膣分泌物中の羊水を検出する指示薬組成物が提供される。
【0021】
幾つかの実施形態において、ヒトから分泌された生体液を吸収するための吸収材と、複数のポリマー;非環式可塑化剤;親水性界面活性剤;芳香族カルボン酸;イオンバランス試薬;および指示薬を含み、湿潤剤を含まない、指示薬組成物と、を含む、膣分泌物中の羊水を検出するための物品が提供される。
【0022】
幾つかの実施形態において、該吸収材は、スワブ、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン、おむつおよび陰唇間吸収構造からなる群から選択される。
【0023】
幾つかの実施形態において、
(a)複数のポリマー;非環式可塑化剤;親水性界面活性剤;芳香族カルボン酸;イオンバランス試薬;および指示薬を含み、湿潤剤を含まない、指示薬組成物を含む、分泌モニタリング物品を配置させて、対象から分泌された生体液を受け取ること;
(b)前記物品を膣分泌物と接触させること;ならびに
(c)変色が羊水の存在を示す該物品を観察すること、
を含む、膣分泌物中の羊水漏出を診断する方法が提供される。
【0024】
幾つかの実施形態において、前記変色は、分泌モニタリング物品の背景に関して濃い染色である。幾つかの実施形態において、該濃い染色は、暗青色の染色または暗緑色の染色である。
【0025】
幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後10分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後9分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後8分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後7分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後6分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後5分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後4分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後3分未満で実施される。幾つかの実施形態において、前記観察は、前記接触後2分未満で実施される。
【0026】
幾つかの実施形態において、前記指示薬組成物は、複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、からなる。
【0027】
幾つかの実施形態において、膣分泌物中の羊水を検出するための物品と、使用説明書と、を含むキットが提供される。
【0028】
幾つかの実施形態において、該キットは、該物品と羊水との接触によって現れると予測される色と、該物品と尿および任意の非羊水との接触によって現れると予測される色と、を表す色スケールをさらに含む。
【0029】
本発明の適用性のさらなる実施形態、特色、利点および完全な範囲は、本明細書の以後に示される詳細な説明および図面から明白となろう。しかし、詳細な説明は本発明の好ましい実施形態を示しており、この詳細な説明から、本発明の主旨および範囲内の様々な変更および改良が当業者に明白になると思われるため、詳細な説明は例示に過ぎない。
【0030】
図の簡単な説明
例示的実施形態が、参照される図に示されている。本明細書に開示された実施形態および図は、制限ではなくむしろ例示と見なされなければならない。図を以下に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】以下の時点での本明細書に開示された物品(「AL−SENSE Blue」とも称されるALM1を含む)の相対的特異度を示す:0〜2分、5分、10分、20分、30分、1時間および2時間。
図2】尿試料(pH7)を、候補組成物であるALM1と、テスト組成物3Mar1および3Mar2と、を含むある物品と接触させることで得られた結果を示す。
図3A】羊水との接触後30分目の、ALM1配合剤を含有する吸収物品の写真を示す。
図3B】尿との接触後30分目の、ALM1配合剤を含有する吸収物品の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の詳細な説明
本発明は、羊水漏出の直後に明瞭で信頼性のある同定を得るための指示薬組成物、それを含む診断物品、およびそれの使用方法を提供する。
【0033】
用語「羊水漏出」および「羊膜嚢の前期破水」は、互換的であり、分娩開始の24時間以上前の膜(「羊膜嚢」は多くの場合、「胎膜」と称される)の自然な破裂に関する。前期破水の約30〜50%は、妊娠37週目以前に起こる。羊水漏出は、子宮内感染および胎児肺系発達阻害のリスクの有意な上昇に関連するため、確定的で信頼性のある破水診断が不可欠である。そのような感染の子宮内浸透は、母体および周産期罹患率および死亡率の両方を約10%上昇させる。妊娠38〜40週目の破水の直後診断は、検出されればできるだけ直ちに出産を誘発しなければならないため、重大である。破水診断は、羊膜内感染の予防および胎児肺発達の刺激を可能にするため、妊娠37週目以前も重要である。
【0034】
羊水漏出という厳しい結果から、妊婦は大きなストレスを受け、多くの場合、膣の近辺からなんらかの液体の分泌があれば医療機関を訪れることになる。医療機関は、膣分泌物のpHをチェックすることにより羊水の存在を捜索する(羊水は、6.7〜7.5のpHを有する)。妊婦は多くの場合、尿失禁を有し、そして尿が、典型的には5.0〜8.0のpHを有するため、pHのみをチェックするだけでは、偽陽性の結果が生じ、つまり尿を羊水と同定する可能性がある。結論として、羊水を示す羊歯状のパターンの存在について、顕微鏡を用いて膣分泌物を検査することが必要になる。
【0035】
流体分泌から医療機関への到着までの時間が長くなる場合があるため、検査時に羊水の証拠が存在しないことが多い。分泌物が、誤って尿であると推定されることもあり、それにより悲劇的結果を生じる場合がある。その一方で、医療機関が過度に慎重になることで誤った決定を行い、尿の分泌を羊水と誤診して、不必要な入院および患者のストレスをまねく場合がある。
【0036】
様々な診断指示薬が公知であるが、多くの障害は、それらが乾燥によるpH変化、生体液の干渉、および乾燥/湿潤の反復周期により、「偽陽性」をもたらすことである。「偽陽性」の判定は、ユーザによってストレスとなり得、そして時間もかかり得る。これらの「偽陽性」の判定を最小限にする器具が、本明細書に開示される。本発明は、先行技術を越える改良であり、より精密で信頼性がありユーザにとって簡便な診断組成物を提供する。本発明の診断組成物は、該流体に関連するpHを同定する指示薬と、複数のポリマーと、トリエステル非環式可塑化剤と、親水性非イオン性ポリマー界面活性剤と、イオンバランス試薬と、少なくとも1種のカルボン酸と、を含み、湿潤剤を含まない。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる用語「複数」は、少なくとも2を意味する。
【0038】
幾つかの実施形態において、複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、を含み、湿潤剤を含まない、膣分泌物中の羊水を検出する指示薬組成物が提供される。
【0039】
幾つかの実施形態において、複数のポリマーと;トリエステル非環式可塑化剤と;親水性非イオン性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、を含み、湿潤剤を含まない、膣分泌物中の羊水を検出する指示薬組成物が提供される。
【0040】
幾つかの実施形態において、該指示薬組成物は、複数のポリマーと;非環式可塑化剤と;親水性界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、からなる。
【0041】
幾つかの実施形態において、該指示薬組成物は、複数のポリマーと;トリエステル非環式可塑化剤と;親水性非イオン性ポリマー界面活性剤と;芳香族カルボン酸と;イオンバランス試薬と;指示薬と、からなる。
【0042】
幾つかの実施形態において、ヒトから分泌された生体液を吸収するための吸収材と、複数のポリマー;非環式可塑化剤;疎水性界面活性剤;芳香族酸;イオンバランス試薬;および指示薬を含み、湿潤剤を含まない、指示薬組成物と、を含む、膣分泌物中の羊水を検出するための物品が提供される。
【0043】
幾つかの実施形態において、
(a)吸収材と、複数のポリマー;芳香族酸;非環式可塑化剤;疎水性界面活性剤;イオンバランス試薬;および指示薬を含み、湿潤剤を含まない、指示薬組成物と、を含む分泌モニタリング物品を配置させて、対象から分泌された生体液を受け取ること;
(b)前記物品を膣分泌物と接触させること;ならびに
(c)変色が羊水の存在を示す物品を観察すること、
を含む、膣分泌物中の羊水漏出を診断する方法が提供される。
【0044】
幾つかの実施形態において、該物品と接触させることは、接着片を覆うリリーステープを取り外し、それにより接着片を露出すること、および下着の股の部分に該物品を配置させ、それにより前記物品を前記下着の股の部分に付着させること、を含む。
【0045】
幾つかの実施形態において、前記変色を観察することは、該物品で羊水の存在を示す濃い染色を検出することを含む。
【0046】
幾つかの実施形態において、該濃い染色は、青い染色である。幾つかの実施形態において、該濃い染色は、緑の染色である。
【0047】
本明細書に記載された組成物は、当業者に周知の方法により調製され得る。
【0048】
幾つかの実施形態において、前記複数のポリマーは、第一のポリマーおよび第二のポリマーを含み、前記第一のポリマーの疎水性は、前記第二のポリマーの疎水性よりも高い。
【0049】
幾つかの実施形態において、前記複数のポリマーは、第一のポリマーと、類似の疎水性を有する第二のポリマーと、を含む。用語「疎水性」および「親水性」ポリマーは、100%の相対湿度で該ポリマーによって吸収された水蒸気の量を参照する。したがって「疎水性ポリマー」は、100%の相対湿度で最大1重量%のみの水を吸収するポリマーを指し、中等度に親水性のポリマーは、1〜10重量%の水を吸収し、親水性ポリマーは、10重量%を超える水を吸収することが可能である。幾つかの実施形態において、本発明のポリマーは、水溶性ポリマーである。幾つかの実施形態において、該ポリマーのそれぞれは、非限定的に酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、プロピオン酸酪酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロースエーテル、およびカルボキシメチルセルロース、ならびに前述のポリマーの任意の共重合体および任意のブレンドをはじめとするセルロース、その誘導体またはその共重合体を含む。
【0050】
幾つかの実施形態において、各ポリマーは、セルロース、その誘導体またはその共重合体を含む。
【0051】
幾つかの実施形態において、本発明のポリマーは、非限定的にセルロースポリマーのモノマーグルコース単位の2、3および6位の実質的にそれぞれが遊離ヒドロキシルまたはアセタートのいずれかからなる、酢酸セルロースをはじめとする部分的にアセチル化されたセルロースポリマー鎖を含むセルロースエステルである。幾つかの実施形態において、該ポリマーは、非限定的に三酢酸セルロースをはじめとする実質的にアセチル化されたセルロースポリマー鎖を含むセルロースエステルである。幾つかの実施形態において、該ポリマーは、部分エステル化されたセルロースポリマー鎖を含むセルロースエステルであり、該エステル化は、部分アセチル化および部分ブチリル化を含み、非限定的に、セルロースポリマーのモノマーグルコース単位の2、3および6位の実質的にそれぞれが遊離ヒドロキシル、アセタートまたはブチラートのいずれかからなる酢酸酪酸セルロースが挙げられる。幾つかの実施形態において、該ポリマーは、部分エステル化されたセルロースポリマー鎖を含むセルロースエステルであり、該エステル化は、部分アセチル化および部分プロピオニル化を含み、非限定的に、セルロースポリマーのモノマーグルコース単位の2、3および6位の実質的にそれぞれ1つが遊離ヒドロキシルまたはアセタートのいずれかからなる酢酸プロピオン酸セルロースが挙げられる。
【0052】
任意の理論または作用機序に拘束されるのを望むものではないが、疎水性の低いポリマー程、より親水性であり、それによりパンティーライナーへの、テストされる流体の透過が改善される。加えて、より疎水性のポリマー程、吸収材(例えば、織物)への指示薬組成物の接着が改善され、それにより配合剤成分の浸出が最小限になるか、または回避される。
【0053】
幾つかの実施形態において、前記複数のポリマーは、酢酸セルロースおよび酢酸酪酸セルロースの群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。
【0054】
幾つかの実施形態において、前記複数のポリマーは、酢酸酪酸セルロースなどの第一のポリマーと、酢酸セルロースなどの第二のポリマーと、を含み、前記第一のポリマーの疎水性は、前記第二のポリマーの疎水性よりも高い。
【0055】
幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、低分子量可塑化剤である。典型的には低分子量可塑化剤は、600グラム/mol未満の分子量を有する可塑化剤である。幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、500グラム/mol未満の分子量を有する。幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、400グラム/mol未満の分子量を有する。幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、300グラム/mol未満の分子量を有する。
【0056】
適切な低分子量可塑化剤としては、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルおよびリン酸トリフェニルなどのリン酸アルキルおよびアリール;クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、およびクエン酸トリヘキシルなどのクエン酸アルキルおよびクエン酸エステル;アジピン酸ジオクチル(DOA;アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)とも称される)、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジ(2−メチルエチル)およびアジピン酸ジヘキシルなどのアジピン酸ジアルキル;酒石酸ジエチルおよび酒石酸ジブチルなどの酒石酸ジアルキル;セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、およびセバシン酸ジノニルなどのセバシン酸ジアルキル;コハク酸ジエチルおよびコハク酸ジブチルなどのコハク酸ジアルキル;グリセロール二酢酸、グリセロール三酢酸(トリアセチン)、グリセロールモノラクタートジアセタート、メチルフタリルエチルグリコラート、ブチルフタリルブチルグリコラート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジブチラート、トリエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジブチラートおよびトリエチレングリコールジプロピオナートなどのアルキルグリコラート、アルキルグリセロラート、グリコールエステルおよびグリセロールエステル;アセチル化モノグリセリド、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、非限定的にクエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、およびクエン酸トリヘキシルなどのクエン酸アルキルおよびクエン酸エステル;アセチル化モノグリセリド、ならびにそれらの混合物をはじめとする低分子量可塑化剤を含む。
【0058】
幾つかの実施形態において、該非環式可塑化剤は、トリエステル可塑化剤である。幾つかの実施形態において、該低分子量可塑化剤は、トリエステル構造を含む。そのような可塑化剤としては、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、およびクエン酸トリヘキシルなどのクエン酸アルキルおよびクエン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、クエン酸トリエチルである。幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、フタル酸ジブチル以外である。幾つかの実施形態において、該可塑化剤は、Hexamoll Dinch(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)以外である。
【0059】
幾つかの実施形態において、該非環式可塑化剤は、クエン酸トリエチルを含む。幾つかの実施形態において、該界面活性剤の量は、固体成分の総重量に対して1%〜10%(wt/wt)の範囲内である。
【0060】
本明細書で用いられる用語「固体成分」または「総固体」は、溶媒、特に水および/またはアセトン以外の、各配合剤内の全成分を指す。
【0061】
本明細書で用いられる用語「界面活性剤」は、1種または複数の界面活性剤を指す。幾つかの実施形態において、界面活性剤は、複数の界面活性剤を含む。
【0062】
幾つかの実施形態において、該界面活性剤は、親水性界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、該親水性界面活性剤は、ポリマーである。幾つかの実施形態において、該界面活性剤は、ブロック共重合体界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、該ポリマー界面活性剤は、トリブロック共重合体界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、該ポリマー界面活性剤は、ポリ(エチレンオキシド)および/またはその共重合体を含む。幾つかの実施形態において、該ポリマー界面活性剤は、ポリ(プロピレンオキシド)および/またはその共重合体を含む。幾つかの実施形態において、該ブロック共重合体界面活性剤は、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)の共重合体、および/またはその共重合体を含む。
【0063】
幾つかの実施形態において、該親水性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。幾つかの実施形態において、該非イオン性界面活性剤は、非イオン性ポリマー界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、該界面活性剤は、ポロキサマー、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)との共重合体、オクチルグルコシド、デシルマルトシド、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドモノエタノールアミン(コカミドMEA)、コカミドジエタノールアミン(コカミドDEA)、コカミドトリエタノールアミン(コカミドTEA)、Tween(登録商標)(例えば、Tween20(登録商標)またはTween80(登録商標))などのポリソルベート、レシチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0064】
幾つかの実施形態において、該非イオン性ポリマー界面活性剤は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)の共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)、Tween(登録商標)(例えば、Tween20(登録商標)またはTween80(登録商標))などのポリソルベート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0065】
幾つかの実施形態において、該界面活性剤は、ポロキサマー、ポリソルベート、およびそれらの組み合わせを含む。
【0066】
幾つかの実施形態において、該界面活性剤は、ポロキサマーを含む。幾つかの実施形態において、該界面活性剤は、ポロキサマー407を含む。
【0067】
幾つかの実施形態において、該界面活性剤は、ポリソルベートを含む。幾つかの実施形態において、該非イオン性界面活性剤は、aliquot336などのイオン性界面活性剤以外である。
【0068】
本明細書で用いられる用語「ポロキサマー」は、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中心の疎水性鎖と、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖と、を含む非イオン性トリブロック共重合体を指す。ポロキサマーは、一般に、「P」に続いて3つの数字で称号され、最初の2つの100倍が、ポリオキシプロピレンコアの推定分子量を指し、最後の数字の10倍が、ポリオキシエチレン量の割合%である。例えばP407は、ポリオキシプロピレン分子量が4,000g/mlでポリオキシエチレン量が70%のポロキサマーを指す。
【0069】
本明細書で用いられる用語「ポリソルベート」は一般に、モノラウリン酸ソルビタンのポリオキシエチレン誘導体を指す。ポリソルベートの一般的な商品名には、Tween20(登録商標)またはTween80(登録商標)などのTween(登録商標)が挙げられる。ポリオキシエチレン部分に続く数字は、分子中に見出されるオキシエチレン基の総数を指す。ポリソルベート部分に続く数字は、分子のポリオキシエチレンソルビタン部分に関係する脂肪酸のタイプに関する。モノラウラートは20で示され、モノパルミタートは40で示され、モノステアラートは60で、モノオレアートは80で示される。
【0070】
任意の理論またはメカニズムに拘束されるのを望むものではないが、非イオン性ポリマー界面活性剤が、尿内に分布し、その結果、尿の貯留時間が減少し、それにより尿からの偽陽性の結果が回避される。
【0071】
幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、少なくとも1種の非置換または置換カルボン酸または複素環式カルボン酸を含む。幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、少なくとも1種の非置換または置換芳香族またはヘテロ芳香族カルボン酸を含む。幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、少なくとも1種の非置換または置換芳香族カルボン酸を含む。幾つかの実施形態において、該少なくとも1種の置換カルボン酸は、サリチル酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、トルイル酸の異性体、ハロ安息香酸の異性体、例えば非限定的にp−フルオロ安息香酸およびm−クロロ安息香酸、ニトロ安息香酸の異性体、トリフルオロメチル安息香酸の異性体、アミノ安息香酸の異性体、例えば非限定的にアントラニル酸、アニス酸の異性体、m−ヒドロキシ安息香酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0072】
本明細書で用いられる用語「異性体」は、2つ以上の置換基が芳香族環上に存在する場合の相対的位置を表す位置異性体を指す。
【0073】
幾つかの実施形態において、該酸は、芳香族カルボン酸である。幾つかの実施形態において、該芳香族カルボン酸は、Ar−COOHの形態である。幾つかの実施形態において、Arは、アリールおよびヘテロアリール環からなる群から選択され、Arは、非置換であるか、または置換されている。置換の非限定的例としては、ハロゲン、ハロアルキル、C〜Cアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、オキソ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロアリール、ナフチル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキルヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、カルボキシ、カルバモイル、カルボキサミド、シアノ、スルホニル、スルホニルアミノ、スルフィニル、スルフィニルアミノ、チオール、C〜C10アルキルチオ、アリールチオまたはC〜C10アルキルスルホニル基が挙げられる。任意の置換基は、非置換であり得、またはこれらの上述の置換基の任意の1つでさらに置換され得る。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0074】
単独で、または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アリール」および「Ar」は、互換性があり、6〜14個の炭素原子を含む芳香族環系を表す。該アリール環は、単環式、二環式、三環式などであり得る。アリール基の非限定的例は、フェニル、ナフチル、例えば1−ナフチルおよび2−ナフチルなどである。該アリール基は、非置換であり得、または利用可能な炭素原子を介して、アルキルに関して先に定義された1つもしくは複数の基で置換され得る。
【0075】
単独で、または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「ヘテロアリール」は、窒素、硫黄および酸素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子の環原子を含むヘテロ芳香族系を表す。該ヘテロアリールは一般に、5以上の環原子を含む。該ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式などであり得る。同じくこの表現に含まれるのが、ベンゾ複素環および他の縮合された複素環系である。窒素が環原子である場合、本発明は、窒素含有ヘテロアリールのN−酸化物も企図する。ヘテロアリールの非限定的例としては、チエニル、ベンゾチエニル、1−ナフトチエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリニル、キノリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルボリニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリルなどが挙げられる。該ヘテロアリール基は、利用可能な原子を介して、アルキルに関して先に定義された1つまたは複数の基で置換され得る。
【0076】
単独で、または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「複素環」または「ヘテロシクリル」は、酸素、硫黄および/または窒素などの、特に単独で、または硫黄もしくは酸素環原子と共同で窒素などのヘテロ原子1〜4個を有する5員〜8員環を表す。これらの5員〜8員環は、飽和、完全不飽和、または部分不飽和であり得る。好ましい複素環としては、ピペリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、ピペラジニル、インドリニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニルおよびテトラヒドロピラニルなどが挙げられる。ヘテロシクリル基は、非置換であり得、または利用可能な原子を介して、アルキルに関して先に定義された1つもしくは複数の基で置換され得る。
【0077】
単独で、または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードを包含する。
【0078】
幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、3よりも小さいpKaを有する少なくとも1種のカルボン酸を含む。幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、100グラム/L未満の水溶性を有する少なくとも1種のカルボン酸を含む。幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、10グラム/L未満の水溶性を有する少なくとも1種のカルボン酸を含む。幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、5グラム/L未満の水溶性を有する少なくとも1種のカルボン酸を含む。
【0079】
幾つかの実施形態において、該芳香族カルボン酸は、サリチル酸、安息香酸など、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0080】
幾つかの実施形態において、該芳香族カルボン酸は、サリチル酸である。
【0081】
幾つかの実施形態において、該芳香族カルボン酸は、乳酸、シュウ酸またはクエン酸などの非芳香族カルボン酸以外である。幾つかの実施形態において、該少なくとも1種のカルボン酸は、クエン酸以外である。
【0082】
任意の理論またはメカニズムに拘束されるのを望むものではないが、該芳香族カルボン酸は、複合体を生成し、尿内のアンモニウムイオンと共にトラップとして機能し得る。この相互作用は、7.0単位およびそれ以上のpHレベルを有する尿など、尿からの干渉を低減し、それゆえ指示薬の特異度を改善する。
【0083】
幾つかの実施形態において、該イオンバランス試薬は、約0.1%〜2%の量である。幾つかの実施形態において、該イオンバランス試薬は、約0.1%〜1%の量で存在し、該指示薬は、約0.2%〜0.7%の量で存在する。幾つかの実施形態において、該イオンバランス試薬は、第四級アンモニウムイオンである。幾つかの実施形態において、該イオンバランス試薬は、第四級アンモニウム塩である。
【0084】
幾つかの実施形態において、該イオンバランス試薬は、ジ(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、N−メチル−N,N−ビス(長鎖アルカノイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルスルファート、ビニルベンジルジメチルココアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、トリカプリリルメチルアンモニウムクロリド、トリドデシルメチルアンモニウムクロリド、およびセチルトリメチルアンモニウムクロリド(cetyltimethyl ammonium chloride)からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0085】
トリドデシルメチルアンモニウムクロリド(TDMAC;CAS 7173−54−8)またはセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC;CAS 112−02−7)をはじめとする任意の適切なイオンバランス試薬が、用いられ得る。幾つかの実施形態において、イオンバランス試薬は、イオンバランス試薬の組み合わせである。幾つかの実施形態において、該イオンバランス試薬は、TDMAC(トリドデシルメチルアンモニウムクロリド)である。
【0086】
幾つかの実施形態において、該指示薬は、負電荷の官能基を有する化学的化合物の群から選択される。幾つかの実施形態において、該指示薬は、弱酸である。幾つかの実施形態において、該指示薬は、ニトラジンイエロー、チモールブルー、ブロムチモールブルー、キシレノールブルー、ブロモキシレノールブルー、フェノールレッド、m−クレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロムクレゾールパープル、アリザリン、ニュートラルレッド、およびクレゾールレッドからなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。他の適切な指示薬の列挙は、例えば米国特許第5,897,834号に見出され得る。本明細書で具体的に言及された指示薬が例示に過ぎず、任意の適切な指示薬が用いられ得ることは、当業者に明白である。
【0087】
幾つかの実施形態において、該指示薬は、クレゾールレッド、アリザリン、ブロモクレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ニトラジンイエロー、ブロムチモールブルー、ブロモキシレンブルー、ニュートラルレッド、フェノールレッド、チモーブルー、キシレノールブルーおよびm−クレゾールパープルからなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0088】
幾つかの実施形態において、該指示薬は、負電荷を有する。
【0089】
幾つかの実施形態において、該指示薬は、弱酸である。
【0090】
幾つかの実施形態において、該指示薬は、ニトラジンイエローを含む。
【0091】
幾つかの実施形態において、該診断組成物は、吸収材と会合し(associated)、それにより妊婦から分泌された流体を吸収するための診断物品を形成する。該診断物品は、多くの器具および方法を利用して提供され得る。幾つかの実施形態において、該物品は、非熟練の人々、具体的にはユーザによって容易に用いられ得るように提供される。吸収材を含む物品の本体は、例えばパッド、ガーゼ、スワブ、繊維ボールの形態で、最も好ましくは衛生ナプキン、おむつ、パンティーシールド、および陰唇間構造の形態で、ユーザに供給され得る。
【0092】
幾つかの実施形態において、該物品は、分泌された生体液の採取を容易にするように物品を取り付ける手段をさらに含む。取り付け手段の例としては、該物品に付着された接着片が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、該物品は、リリーステープをさらに含み、該テープのそれぞれは、接着片のそれぞれを覆っている。本明細書で用いられる「覆っている」は、保護(例えば、乾燥からの)も意味する。典型的にはユーザは、リリーステープを取り外し該物品の接着片を露出させ、該物品を下着の股の部分に配置させ、それにより該物品が通常使用の際の位置から移動するのを防ぐ。使用され得る接着化合物のタイプは、当該技術分野で周知である。
【0093】
幾つかの実施形態において、該診断組成物は、羊水の視覚的提示を提供する。幾つかの実施形態において、該視覚的提示は、約1週間安定している。
【0094】
用語「安定した提示」および「不可逆的提示」は、本明細書では互換的に用いられ、一旦得られたら、専門家による臨床検査に必要な時間の間、十分に変化しない状態を保つ提示、典型的には色の提示を記載している。好ましくは該変色は、少なくとも48時間、より好ましくは少なくとも72時間安定しており、幾つかの実施形態において、好ましくは色の変化は、約1週間安定している。
【0095】
幾つかの実施形態において、該吸収材は、スワブ、ガーゼ、パンティーシールド、衛生ナプキン、おむつおよび陰唇間吸収材構造からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0096】
幾つかの実施形態において、膣分泌物中の羊水を検出するための物品と、膣分泌物中の羊水を検出するための物品の使用説明書と、を含むキットが提供される。
【0097】
幾つかの実施形態において、該キットは、該物品と羊水との接触時に現れると予測される色と、該物品と尿との接触時に現れると予測される色と、を表す色スケールをさらに含む。
【0098】
幾つかの実施形態において、該キットは、膣分泌物中の羊水を検出する複数の物品を含む。
【0099】
幾つかの実施形態において、該キット内の各物品は、別々に包装されている。
【0100】
先の開示は一般に、本発明を記載している。より完全な理解は、以下の具体的実施例を参照することにより得ることができる。これらの実施例は、単に例示を目的として記載されており、本発明の範囲を限定するものではない。状況が功利的であることを示唆また提示し得るため、均等物の形式変更および置き換えが企図される。具体的用語を本明細書で用いたが、そのような用語は、記述的な意味のもので、限定を目的とするものではない。
【0101】
実施例
実施例1:臨床試験
尿および羊水の試料を、以下の区分に従って妊婦83名から採取した:尿および羊水を8名から採取し、尿のみを63名から採取し、羊水を12名から採取した。
【0102】
本試験の対象参加の組み入れ基準は、以下の妊婦である:
(i)18〜50歳の妊婦。
(ii)対象は、インフォームドコンセントの書式に署名する準備ができている。
(iii)対象は、羊膜切開を受けるために分娩室に到着している。
【0103】
本試験の対象参加の除外基準は、以下の通りである:
(iv)対象は、出血している。
(v)対象は、試験の手順に協力することができない、またはその意思がない。
(vi)対象は現在、別の臨床試験に参加している。
【0104】
分娩室に到着した対象は、清潔なコンテナに無作為な尿試料を採取するように求められた。羊膜切開手順の際に、羊水試料が医師により採取された。本試験における各新鮮な尿および羊水試料を、テスト器具(パンティーライナー)を用いてテストしたが、各テスト器具は、候補配合剤または参照配合剤を以下の通り含んでいた:
1.pHおよび他の尿パラメータのためのディップスティック(Roche DiagnosticsのCombur−Test(登録商標)ストリップ使用)
2.羊水100μlを各候補器具および参照器具(AL−SENSEおよびAmniScreen)に滴下した。
3.尿400μlを各候補器具(8種の候補配合剤のうちの1種を含むパンティーライナー)および各参照器具(AmniScreenまたはAl−Sense配合剤を含むパンティーライナー)に滴下した。
4.試験コーディネータが、「実生活」での使用を模倣するように、各パンティーライナーをかき回した。
5.羊水および尿試料では、コーディネータが、テストされたパッドで観察された色に基づいて、直後(0〜2分)および5分後、10分後、15分後、20分後、30分後、60分後および120分後の結果の状態(陽性または陰性)を記録した。黄色のパンティーライナーが、淡色であっても任意のサイズまたは形状の青緑の染色に見えた場合には、陽性結果と結論づけた。パンティーライナーの色が黄色のままであれば、陰性結果と結論づけた。
【0105】
8つのタイプの候補器具(表1)および2種の参照器具:AL−SENSEおよびAmniScreen(表2)を用いた。各候補および参照配合剤中の成分を、アセトン50mlおよび水2mlに溶解した。
【表1】
【表2】
【0106】
感度および特異度に関するAmniScreen参照器具の値は、以下の通りである:特異度84%および感度96%の有効性。AmniScreenは、30分後の最終的な測定値を与える。知見の有意水準は、5%以下であると決定された。統計解析は全て、SAS v9.3(SAS(登録商標)、SAS Institute Cary、米国ノースカロライナ州所在)ソフトウエアを用いて実施した。
【0107】
結果(染色)を、異なる時点で検出した。感度100%での精密な検出が、羊水との接触後最初の2分以内に本発明の指示薬組成物を含む物品によって得られたが(表3)、偽陽性判定(即ち、尿による染色)を回避するために、AmniScreenおよびAL−SENSEを用いる場合にはそれぞれ30分および10分の待機が必要であった。これは、AmniScreenおよびAL−SENSEでは染色が非特異的染色(尿による)から得られ、その退色に若干の時間(AmniScreenでは30分、AL−SENSEでは10分)が必要になるためである。
【0108】
パッドの色に基づき、異なるテストからの結果を「陽性」、「陰性」に割り付けた。用語「陽性」は、青い染色を意味し、それはパンティーライナー器具の黄色を背景にして現れる。用語「陰性」は、染色が現れないか、または現れて検出時間の間に黄色に戻ることを意味する。尿テスト中に形成された染色は、偽陽性と見なされ、染色が尿テスト中に現れなかった場合には、それは真陰性であった。同様に、染色が羊水のテストの際に現れなかった場合、それは偽陰性とした。
【0109】
表3〜4および図1は、羊水(表3)または尿(表4)への暴露後の候補器具から読み取られた検出結果を表す。有効性の評価を、感度、即ち羊水にパッドを暴露した後の「陽性」判定の割合、および特異度、即ち尿にパッドを暴露した後の様々な器具(パッド)からの「陰性」の割合を比較することにより得た。得られた感度および特異度を、マクネマー検定と比較した各両側の90%正確な信頼区間(CI)と共に表3および4に表す。各候補器具について、候補器具とAmniScreenとの一致を、90%正確な信頼区間と共に計算した。羊水、尿およびそれら全てにおける一致を、器具対の間の等しい診断(陽性−陽性 陰性−陰性)の割合%として評価した。器具診断の一致レベルを、AmniScreenの全体的な一致レベルに対してクロス集計し、マクマネー検定を用いて比較した。表3に示される通り、候補器具の全てが、100%の感度を有し、即ち候補の全てが、羊水への暴露後に陽性判定(青い染色)を示した。さらに、全ての候補パッドにおいて、変色(黄色の背景で青い染色が形成)が、テスト試料との接触後直ちに、または2分以内に起こり(即ち、0〜2分)、2時間の追跡期間の間、安定した状態であった。特異度に関して、候補パッドALM1およびALM1Gは、残りの候補パッドを越える優越性を実証した(表4および図1)。これらの2種の候補は、5分目に84%の特異度を、そして10分目により良好な特異度値を示し、変動はなかった(5分目のALM1(およびALM1G)候補の特異度は、84.5%(60/71)であり、10分目は87.2%(62/71)であった)。したがって、ALM1およびALM1Gは、短時間で良好な精度という目的に適っている。
【0110】
表5および6は、表3および4に示された値に基づいて、5種の選択された候補パッドのそれぞれの感度および特異度を、より低い両側の90%正確な信頼区間のAL−SENSEおよびAmniScreenの結果と共に表している。表5によれば、5および10分目のALM1の感度は、100%である(即ち、ALM1と接触させた羊水試料の全てで、陽性の検出(青い染色)が得られた)。性能に関しては、この試験では86.09%の値が95%信頼区間を有すると述べることができる。他の方法で述べるなら、86.09%の値は、試料のサイズおよび感度のデータを与えさせ得る断定を指す。同じことが、AmniScreenにあてはまる。AL−SENSEは、90%の感度を有し、ALM1およびAmniScreenよりも低い。
【表3】
【0111】
表6によれば、5分目のALM1の特異度(84.51%)は、AmniScreen(77.46%;p=0.0588)よりも良好で、10分目はAmniScreen(p=0.0082)およびAL−SENSE(74.65%;p=0.0067)に対して有意な優越性を有する(87.32%)。AmniScreenおよびAL−SENSEの特異度は、有意差がなかった(p=0.5637)。
【0112】
本明細書で用いられる特異度は、尿試料との接触により陰性判定、即ち組成物の非染色を回収することを指す。
【0113】
ALM1での明瞭で鋭敏な検出が、図3Aおよび3Bで実証される。図3Aは、パンティーシールドに吸収されたALM1の組成物を羊水と接触させた後に得られた濃い染色を表す(濃い染色は、破線によって囲まれ、矢印は、染色を指している)。図3Aに示された濃い染色は、参照組成物、即ちAL−SENSEおよびAmniScreenを羊水と接触させた後に観察された染色に比較して、より明瞭でかなり際立っている。図3Bは、尿と接触させた後にパンティーシールドに吸収されたALM1の対応する組成物を表す。認められる通り、染色は観察されず、羊水の非存在が示される。
【表4】
【表5】
【表6】
【0114】
ALM1での明瞭で鋭敏な検出が、図3Aおよび3Bでさらに実証される。図3Aは、パンティーシールドに吸収されたALM1の組成物を羊水と接触させた直後に得られた濃い染色を表している(濃い染色は、破線によって囲まれ、矢印は、染色を指している)。図3Aに示された濃い染色は、参照組成物、即ちAL−SENSEおよびAmniScreenを羊水と接触させた後に観察された染色に比較して、より明瞭でかなり際立っている。図3Bは、尿と接触させた後にパンティーシールドに吸収されたALM1の対応する組成物を表している。認められる通り、染色は観察されず、羊水の非存在が示されている。
【0115】
表7は、ALM1およびAL−SENSEのクロス集計の判定をAmniScreenの判定と共に表している(全ての判定を同じ試料で得た)。
【0116】
表8は、陽性例、陰性例および全体での候補および参照(AL−SENSEおよびAmniScreen)器具の合計一致レベル%と、それぞれについての両側の95%正確な信頼区間を示している。これらの値は、それらの器具が羊水(陽性例;N=20)、尿(陰性例;N=71)および全体(尿と羊水を一緒にして;N=91)で同じ判定を与えた例の割合%を表している。陽性例、即ち羊水に認められる通り、5および10分目のALM1の判定は、AmniScreenの判定に相当する。したがってALM1とAmniScreenとの羊水診断の一致は、両方の時点で100%であるが、ALM1とAL−SENSEとの一致は、90%に過ぎなかった(表5)。尿では、5分目のALM1は、AmniScreenが陰性の判定を与えた全例の98.2%で、10分目では全ての例で(100%)AmniScreenと一致した。AmniScreenは、5分目は6つの偽陽性の判定を、10分目には7つの偽陽性の判定を示し、ALM1は、5分目および10分目に陰性の判定を正しく読み取った(表6)。
【表7】
【0117】
概して、7例で5分目および10分目のALM1とAmniScreenの間に不一致が存在し、そのうちからALM1は、5分目の6例と10分目の評価ポイントの7例で正しい判定を与えた。それらの差は、5分目では統計学的に有意でなかったが(p=0.0588、表8)、10分目には統計学的有意性が見出された(p=0.0082、表8)。他の方法で述べるなら、表7から明らかな通り、前述の不一致は、陰性例(即ち、尿)のみであり、5分目のALM1は、7つの相反する例のうち6例で、そして10分目の評価ポイントでの7例全てで、正しい判定を与えた。AL−SENSEとAmniScreenとの不一致は、より大きく14例あり、それらのうちAmniScreenが、全例のうち9例で正しかった。AmniScreenとAL−SENSEは、より良好な精度であるにもかかわらず、陽性および陰性の判定の割合%に関して類似しており(p=1.00、表8)、ALM1よりも効果が低いことが見出された。
【表8】
【0118】
実施例2:界面活性剤および酸を含まない物品での臨床試験
ポロキサマー407またはサリチル酸以外のALM1配合剤の成分全てを含む2種の配合剤3Mar1および3Mar2を、調製した(表9)。
【表9】
【0119】
pH7.0を有する尿試料(400μl)を、3Mar1および3Mar2配合剤を含む物品、ならびにALM1配合剤を含む物品を含む物品に滴下した。
【0120】
図2に示された通り、尿と接触させた後、3Mar1または3Mar2配合剤を含む物品それぞれが、偽陽性の結果、即ち物品それぞれの中央に形成された濃い特有の(青い)染色を生じた。しかし、ALM1の物品は、尿試料との接触により任意の染色を生じなかったため、真陰性の結果を与えた。
【0121】
結果から、界面活性剤(複数可)および酸(複数可)が、信頼性のある検出を得るのに必要であることが示される。
【0122】
実施例3:装着実行可能性の試験
診断組成物ALM1(以後、「AL SENSE Blue」とも称される)を含む物品での一次有効性分析を、試験プロトコルを遵守した合計43名の女性で実施し、分析に有効なデータを有した。該分析は、AL SENSE Blueの結果の患者判定と臨床診断との比較からなる。
【0123】
表10は、AL SENSE Blue器具の対象判定と臨床診断(滅菌検鏡プーリング試験を行い、結果が陰性であれば、顕微鏡による羊歯状結晶テストおよびpHテストを実施した)との対比を表す。
【表10】
【0124】
この試験で観察された感度は、96.15%(25/26)で、95%正確な二項確率の信頼区間が80.36%〜99.90%であり、特異度は、94.12%(16/17)で95%正確な二項確率の信頼区間が71.31%〜99.85%である。成功基準が、感度で91%、特異度で73%であったため、本試験は成功であったと結論づけられる。
【0125】
二次有効性試験では、女性(参加者全て)が、問診票に記入するよう求められた。最初の3つの質問は、1〜5のスケールで評価され、1はあまりあてはまらない結果、5は、非常にあてはまる結果を表す。最後の2つの質問は、結果判定の患者の解釈に関する。表11〜14は、まとめられた回答の分布を記述方式で表している。
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0126】
質問1に回答した女性35名のうち、97.14%(34/35)が、黄色の試験片での青または緑の染色を若干明瞭、明瞭、または非常に明瞭に区別したと回答した。
【0127】
質問2に回答した女性40名のうち、100%(40/40)が、パッドがかなり、または非常に快適に使用されたと回答した。
【0128】
質問3に回答した女性41名のうち、AL−SENSE Blueの使用に関してわずかな不快感の経験さえも主張する人はいなかった。
【0129】
質問4に回答した女性41名のうち、24名が、陽性との判定を表記した。これらの女性のうち95.83%(23/24)は、試薬片から、湿潤の原因が羊水の漏出によるものと理解して、その全員が実際に陽性との判定を表記したと述べた。
【0130】
テストされた物品の「判定までの時間」は、参照物品に比較して改善された。具体的にはライナーの色の判定を検出して、2、5、10、15、20および30分目に記録した(表15)。症例の100%(43/43)で、最後の判定が、暴露後2分目から既に存在した。これに対して、参照物品AmniScreenの判定までの時間は30分であり、参照物品AL−SENSEの判定までの時間は、少なくとも10分である。
【表15】
【0131】
一次および二次試験の概要において、AL−SENSE Blueの対象判定の感度は、96.15%であり、家庭用テストとして非常に良好である。さらに、AL−SENSE Blueの全体的な性能(感度、特異度、判定までの時間など)は、参照物品AL−SENSEおよびAmniScreenよりも良好である。
【0132】
実施例4:物品の調製
物品の調製は最初、候補および参照配合剤(3Mar1および3Mar2など)のそれぞれを溶液の形態で調製することを含んだ。この目的で、ニトラジンイエローを除く各配合剤の固体部分を、アセトン50mlに溶解した。ニトラジンイエローを水2mlに溶解し、その後、該アセトン溶液に添加した。
【0133】
得られた溶液を基板材料に噴霧した。その結果、基板材料が、ほのかな黄色になり、膣液との相互作用による変色の検出のための、特に羊水との相互作用の適切な結果としての青い染色の検出のための、適切な背景を与えた。各基板は、その後、プリフォームのパンティーライナーと一体化され、それにより他とは異なる診断用(候補または参照)パンティーライナーを得た。
【0134】
具体的な実施形態の前述の記載は、他者が現行の知識を適用することによって、過度の実験を行わず、そして一般的概念を逸脱することなく、そのような具体的実施形態を様々な適用例に向けて即座に修正および/または適合させることが可能な本発明の一般的性質を非常に完全に明示しており、それゆえそのような適合および修正は、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内と解釈されるものとする。本明細書で用いられる表現法または用語法は、記述を目的としており、限定ではないことが理解されなければならない。様々な開示された機能を実行するための手段、材料、およびステップは、本発明を逸脱することなく様々な別の形態をとることができる。
図1
図2
図3A
図3B