(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526788
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】自動走行の監視方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20190527BHJP
B60W 50/08 20120101ALI20190527BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/08
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-502880(P2017-502880)
(86)(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公表番号】特表2017-522668(P2017-522668A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015066347
(87)【国際公開番号】WO2016009012
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】102014213959.7
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート シュミート
【審査官】
久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−161196(JP,A)
【文献】
特開2003−015742(JP,A)
【文献】
特表2015−518447(JP,A)
【文献】
特開2013−043475(JP,A)
【文献】
特開平03−282713(JP,A)
【文献】
特開2014−106854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置を備えた車両(1000)の自動走行を監視する方法において、
前記車両(1000)は、自動走行モードにおいて運転者なしに、走行支援システム(100)を用いて自動制御プロセスによって制御可能であり、前記車両(1000)は、前記走行支援システム(100)により、前記自動走行モードが終了されかつ前記車両(1000)が停車される自動フェイルセーフモードにおいて制御可能であり、前記車両(1000)は、手動走行モードにおいて前記運転者の手動制御プロセスによって制御可能であり、前記自動走行モードと前記手動走行モードとの間の切り換えには、前記運転者による前記車両(1000)の引き継ぎのための時間(TU)が必要であり、
前記方法は、
・ 将来に発生する走行状況を前記制御装置が算出するステップと、
・ 前記将来の走行状況において前記走行支援システム(100)が前記車両(1000)を自動走行モードで制御できるか否かを前記制御装置が確認するステップと、
・ 前記将来の走行状況において前記走行支援システム(100)が前記車両(1000)を自動走行モードで制御できないことが確認された場合、前記将来の走行状況が発生するまでの時間(TS)と、前記車両の前記引き継ぎのための前記時間(TU)とを前記制御装置が比較するステップと、
・ 前記将来の走行状況が発生するまでの前記時間(TS)が、前記車両(1000)の引き継ぎのための前記時間(TU)よりも長いことが確認された場合、前記車両(1000)のセンサ(200)によって検出された、前記目下の走行状況における前記手動制御プロセスと、前記走行支援システム(100)によって求められた、前記目下の走行状況に対する自動制御プロセスの算出された目標値とが適合するか否かを前記制御装置がチェックするステップと、
・ 前記目下の走行状況における前記手動制御プロセスと、前記走行支援システム(100)によって求められた、前記目下の走行状況に対する自動制御プロセスの算出された目標値とが適合することが確認された場合、前記制御装置が前記自動走行モードを停止しかつ前記車両(1000)を前記手動走行モードで制御するステップと、
・ 前記将来の走行状況が発生するまでの前記時間(TS)が、前記車両(1000)の引き継ぎのための前記時間(TU)よりも短いかこれに等しいことが確認された場合、前記制御装置が前記車両(1000)の前記自動フェイルセーフモードを起動するステップとを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記目下の走行状況における前記手動制御プロセスと、前記走行支援システム(100)によって求められた、前記目下の走行状況に対する前記自動制御プロセスの算出された目標値とが適合しないことが確認された場合に、前記制御装置が前記将来に発生する走行状況の検出の前記ステップによって前記方法を継続するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・ 前記将来の走行状況において前記走行支援システム(100)が前記車両(1000)を自動走行モードで制御することができないことが確認された場合、前記将来の走行状況が発生するまでの前記時間(TS)と、前記車両の前記引き継ぎのための前記時間(TU)及びバッファ時間(TP)からなる和とを前記制御装置が比較するステップと、
・ 前記将来の走行状況が発生するまでの前記時間(TS)が、前記車両(1000)の前記引き継ぎのための前記時間(TU)及び前記バッファ時間(TP)からなる前記和よりも長いことが確認された場合、前記制御装置が前記車両(1000)の前記自動走行モードを継続するステップとを含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記将来の走行状況が発生するまでの前記時間(TS)が、前記車両(1000)の前記引き継ぎのための前記時間(TU)及び前記バッファ時間(TP)からなる前記和よりも短いかこれに等しいことが確認された場合に、前記将来の走行状況が発生するまでの前記時間(TS)と、前記車両(1000)の前記引き継ぎのための時間(TU)との比較を前記制御装置が実行するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
・ 前記将来の走行状況において前記走行支援システム(100)が前記車両(1000)を自動走行モードで制御できないことが確認された場合、前記車両(1000)の起動される前記自動フェイルセーフモードが、起動されているか否かを前記制御装置がチェックするステップと、
・ 前記車両(1000)の起動された前記自動フェイルセーフモードが停止され、かつ、前記将来の走行状況において前記走行支援システム(100)が前記車両(1000)を前記自動走行モードで制御することができないことが確認された場合、前記制御装置が起動される前記自動フェイルセーフモードを事前調整するステップとを含む、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記将来の走行状況において前記走行支援システム(100)が、前記車両(1000)を前記自動走行モードで制御できることが確認された場合、前記制御装置が起動されている前記自動フェイルセーフモードの前記事前調整を消去するステップを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
・ 前記走行支援システム(100)が欠陥を有しており、これによって当該走行支援システム(100)による前記車両(1000)の前記自動走行モードが不可能であるか否かを前記制御装置がチェックするステップと、
・ 前記走行支援システム(100)が欠陥を有していることが確認された場合、前記制御装置が前記車両(1000)の前記自動フェイルセーフモードを起動するステップとを含む、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記車両(1000)は、前記手動走行モードに切り換えるための制御命令を外部入力する入力装置(300)を備えており、
前記方法は、
・ 前記手動走行モードに切り換えるための前記制御命令の前記外部入力が行われたか否かを前記制御装置がチェックするステップと、
・ 前記走行支援システム(100)により、前記手動走行モードに切り換えるための前記制御命令の前記外部入力が確認された場合、前記制御装置が前記車両(1000)の前記自動フェイルセーフモードを停止し、かつ、前記手動走行モードで前記車両(1000)を制御するステップとを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
自動走行の監視を備えた、自動走行のための走行支援システムであって、
当該走行支援システム(100)は、請求項1から8までのいずれか1項に記載の、自動走行を監視する方法を実行するために構成されている、ことを特徴とする走行支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の前記自動走行のための走行支援システム(100)を含む、ことを特徴とする、自動走行のための車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動走行を監視する方法に関しており、特に、自動走行モードで車両を制御する、走行支援システムの能力の監視に関する。
【0002】
部分的ないしは高度に自動化された走行機能の導入は、定義によれば、運転者による運転の引き継ぎが前提となる。車両に対する車両制御の、運転者による引き継ぎは、例えば、自動走行モードにおいて車両を制御することが可能な走行支援システムにより、この走行支援システムが克服することができない走行状況が識別された場合、又は自動走行機能が、走行支援システムの技術的な問題によって損なわれているかもしくは完全に故障している場合に行われるはずである。必要となる車両の、運転者による引き継ぎの場合、走行支援システムによって保証しなければならないのは、この引き継ぎが、運転者によって実際に行われていることである。
【0003】
クリティカルな状況においても運転者が自分で走行を引き継がなければならない、運転者を支援するあまり複雑でない走行補助システムでは、例えばハンドルの運動、制動又は加速のためのペダルの操作のような簡単な徴候を確認するだけで、この運転者が、この車両に対する制御を再度引き継いだことを識別するのに十分である。なぜならば、この運転者は、強制的につねに走行イベントに係わっているはずだからである。しかしながら部分的ないしは高度に自動化された走行において運転者に許されているのは、自動走行中に走行イベントから切り離されて別のことに専念することである。
【0004】
したがって部分的ないしは高度に自動化された走行では、運転者による車両制御の実際の引き継ぎを確認するための上記のような簡単な徴候はもはや十分ではない。ここでは、ハンドル、ブレーキペダル又はアクセルペダルの運動が、運転者によって意図的に行われたと推定することはできず、むしろ運転者が車両に対する制御を再度引き継ぐことがまだできない場合であっても、運転者によるハンドル又はペダルの偶然の不所望な接触によって行われたこともあり得る。例えばそこにいる運転者は、車両の後部座席の乗客と歓談しており、乗客の方に向きを変えた際に意図せずにハンドルの回転を発生させ得るが、このハンドルの回転は、走行支援システムにより、運転者による車両の引き継ぎとして誤解されてはならない。
【0005】
本発明の課題は、自動走行時の運転者による車両制御の引き継ぎの識別が保証される、自動走行の監視方法を提示することである。本発明の別の課題は、自動走行の監視を備えた、自動走行のための走行支援システムを提示することであり、ここでこの走行支援システムにより、自動走行時に運転者による、車両に対する制御が確実に識別される。本発明の別の課題は、このような走行支援システムを備えた車両を提示することである。
【0006】
自動走行を監視する方法についての上記の課題は、請求項1に記載した方法によって解決される。
【0007】
自動走行を監視する方法の考えられ得る一実施形態によれば、上記の方法を実行するために車両が提供され、この車両は、自動走行モードにおいて運転者なしに、走行支援システムを用いて自動制御
プロセスによって制御可能である。さらに、提供される車両は、自動走行モードが終了されかつこの車両が停車される自動フェイルセーフモードにおいて、走行支援システムを用いて制御可能である。さらに、提供される車両は、手動走行モードにおいて、運転者の手動制御
プロセスによって制御可能である。提供される車両はさらに、自動走行モードと、手動走行モードとの間の切り換えのために、運転者による車両の引き継ぎのために所定の時間が必要である、という特徴を有する。
【0008】
上記の方法の一実施形態によれば、最初に将来に発生する走行状況が検出される。引き続いて、この将来の走行状況において走行支援システムが車両を自動走行モードで制御できるか否かが確認される。この将来の走行状況の算出から、この将来の走行状況が発生するまでに経過する時間は、将来の走行状況において走行支援システムが車両を自動走行モードで制御できないことがあらかじめ確認されている場合には、車両の引き継ぎのための時間と比較される。
【0009】
引き続いてチェックされるのは、将来の走行状況が発生するまでの時間が、運転者による車両の引き継ぎのための時間よりも長いことがあらかじめ確認されている場合、車両のセンサによって検出した、目下の走行状況における手動制御
プロセスと、走行支援システムによって求めた、目下の走行状況に対する自動制御
プロセスとが
適合するか否かである。
【0010】
目下の走行状況における手動制御
プロセスと、車両支援システムによって求めた、目下の走行状況に対する自動制御
プロセスとが
適合することが確認された場合、自動走行モードは停止され、かつ、車両は手動走行モードで制御される。これとは異なり、将来の走行状況が発生するまでの時間が、車両の引き継ぎのための時間よりも短いかこれに等しいことが確認される場合、車両の自動フェイルセーフモードが起動される。
【0011】
自動走行では、ハンドルは操舵から、ブレーキペダルは制動から、アクセルペダルは原動機制御部から切り離される。運転者によって誘導された操舵、制動及び加速は、適切なセンサにより、例えば操舵角センサ及びペダル変位センサによって測定可能である。自動走行モードから手動走行モードへの切り換えは、走行支援システムにより、運転者につぎのような場合に提供される。すなわち、走行支援システムにより、将来に発生する走行状況においてこの走行支援システムが車両を引き続いて自動走行モードで制御できないことが確認された場合、かつ、クリティカルな走行状況が発生するまでの時間が、運転者による車両の引き継ぎのために必要な時間よりも長い場合に提供される。
【0012】
運転者が車両に対する制御も実際に完全に引き継いだことを保証するため、引き継ぎ時間中、車両の操舵、制動及び加速特性を車両センサを介して検出し、走行支援システムによって自動化機能から供給される、計算した目標値と比較することができる。手動で実行される制御
プロセスと、自動走行に対して走行支援システムによって計算された目標値とが
適合する場合、これにより、運転者による引き継ぎ準備状態が確認され、操舵、制動のために各アクチュエータの駆動制御部及び原動機にセンサ信号を直接伝送することができる。自動走行モードは遮断可能である。
【0013】
検出した手動制御
プロセスと、求めた必要な自動制御
プロセスとが
適合しないために、あらかじめ設定された引き継ぎ時間中に、運転者による車両の引き継ぎの確認を確定できなかった場合、自動走行モードを直ちに遮断することはできない。その代わりに走行支援システムは、自動化機能をフェイルセーフモードに切り換える。このフェイルセーフモードにおいて走行支援システムは、交通状況に応じて車両を停止状態まで減速できるか又はこの車両は引き続いて自動走行モードで、最も近い安全な場所にまで制御されてそこで停車される。
【0014】
走行支援システムの自動化機能がまだ機能しているかぎり、フェイルセーフモード中も、将来に発生する走行状況の解釈を引き続いて実行することができ、かつ、フェイルセーフモード中に自動制御
プロセスと、運転者の、考えられ得る手動制御
プロセスとの比較によって運転者の運転特性を引き続いて監視することができる。走行支援システムにより、走行支援システムによって目前の走行状況を実際に克服できることが確認される場合、自動走行モードを継続することができる。
【0015】
フェイルセーフモード中に、手動制御
プロセスと、自動制御
プロセスの算出した目標値とが
適合することが確認される場合、フェイルセーフモードを中断し、手動走行モードに切り換えることができる。
【0016】
この方法の別の実施形態によれば、走行支援システムにおいて欠陥があり、これによって自動化機能が、例えばシステムのハードウェア欠陥により、もはや機能しないか否かをチェックすることができる。この場合には車両を、自動フェイルセーフモードで直接制御することができる。運転者が、外部の制御命令の入力により、例えばキーの押下により、又は音声入力により、車両の引き継ぎを確認してはじめて、フェイルセーフモードは終了され、車両は手動走行モードで制御される。
【0017】
以下では本発明の複数の実施例を示す複数の図面に基づき、本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】自動走行の監視機能を備えた、自動走行のための走行支援システムを有する車両を示す図である。
【
図2】自動走行の監視方法の一実施形態を示す図である。
【0019】
部分的ないしは高度に自動化された走行では、自動走行をするため、走行支援システムによってはもはや克服できないクリティカルな走行状況が生じた場合に、車両に対する制御を運転者が再度引き継ぐ必要がある。しかしながらこのようなクリティカルな状況において、運転者は、正しく決定しかつボタンを押すことにより又は音声入力により、車両の引き継ぎのためのその運転準備状況をアクティブに確認できないことが多い。運転者が、確かに車両の制御の引き継ぎを確認したが、この運転者によって実行されるその手動制御
プロセスが、突然の引き継ぎ要求による過大な要求に起因して、統制不能な走行挙動に結び付いてしまう、という事態が発生することもあり得る。
【0020】
以下で示す、自動走行を監視する方法によれば、ないしは自動走行を監視する機能を備えた自動走行のための走行支援システムを用いれば、車両が引き続いて自動制御される間、運転者の運転準備状況の確実な識別が背景において保証される。運転者による車両の引き継ぎの後、運転者は最終的に、走行支援システムが自動走行モードを遮断した、というメッセージだけを受け取る。
【0021】
図1には、自動走行のための走行支援システム100を備えた車両1000が示されている。この車両は、複数の手動制御
プロセスを検出することが可能な複数のセンサ200を有する。センサ200は、例えば、ハンドル、ブレーキペダル又はアクセルペダルの運動を検出することが可能な操舵角センサ及びペダル変位センサである。走行支援システム100は、自動走行モードにおいて、自動化された制御
プロセスにより、運転者なしに車両を制御する、ように構成されている。さらに走行支援システム100は、自動フェイルセーフモード時にも車両を制御することができる。自動フェイルセーフモードにおいて車両1000を制御する際には、自動走行モードは最初のうち継続されるが、やがて終了して車両が停車される。さらに車両1000は、手動走行モードにおいて、運転者の手動制御
プロセスによって制御可能である。
【0022】
自動走行を監視するこの方法によれば、最初に車両が間もなくとる目前の走行状況、すなわち将来的に発生する走行状況を検出する。このため、例えば、カメラシステムを使用することができ、このカメラシステムは、目前の走行イベントないしは車両の前にある交通状況を撮影し、この交通状況が、近い将来に発生する走行状況を検出するために走行支援システム100によって評価される。検出した走行状況に基づいて、走行支援システム100は、将来に生じる走行状況において、この走行支援システムが、車両1000を自動走行モードで引き続き制御できるか否かを確認する。
【0023】
走行支援システム100により、この走行支援システムが目前の走行状況において車両1000を引き続いて安全に自動走行モードで制御できないことが確認される場合、この目前の走行状況の検出からこの目前の走行状況が実際に発生するまでの間の時間を示す時間T
Sと、運転者によるこの車両の引き継ぎのために必要な時間T
Uとを比較する。この比較の際に走行支援システム100により、将来の走行状況が発生するまでの時間T
Sが、車両の引き継ぎのための時間T
Uよりも長いことが確認される場合、走行支援システム100により、車両1000のセンサ200によって検出した、目下の走行状況における手動制御
プロセスと、目下の走行状況に対して走行支援システム100によって求めた自動制御
プロセスとが
適合するか否かがチェックされる。
【0024】
この際に、目下の走行状況における運転者の手動制御
プロセスが、目下の走行状況に対して走行支援システム100によって事前に算出した自動制御
プロセスに対応することが判明した場合、走行支援システムの自動走行モードを停止し、車両1000を手動走行モードで動作させる。運転者はここで車両に対してアクティブに制御を行うことができるようになる。目前の走行状況が発生するまでの時間T
Sと、運転者による車両の引き継ぎに必要な時間T
Uとの、走行支援システムによる比較において、時間T
Sが時間T
Uよりも短いかこれに等しいことが確認される場合、車両1000の自動フェイルセーフモードが起動される。
【0025】
以下では、
図2に基づいて、自動走行を監視する方法の一実施例を説明する。出発状態1において車両1000は最初のうち、走行支援システム100によって自動走行モードで動作される。後続のステップ2において走行支援システム100によってチェックされるのは、自動走行を可能にする、走行支援システムの自動化機能が欠陥を有しており、これによって走行支援システム100を用いた車両1000の自動走行モードがもはや保証できないか否かである。走行支援システム100の欠陥が確認される場合、方法ステップ3において、この車両の自動フェイルセーフモードが起動される。この車両は、自動フェイルセーフモードにおいてさらに、短時間の間、自動的に引き続き制御され、最も近い利用可能なチャンスにおいて、例えば駐車場に停車される。
【0026】
考えられ得る一実施形態によれば、走行支援システム100は、手動走行モードに切り換えるための制御命令を外部入力する入力装置300に結合されている。入力装置300は、例えばキーであってよく、これによってキーの押下により、手動走行モードに切り換えるための制御命令を入力することができる。さらに入力装置300は、マイクロフォンであってよく、これによって走行支援システムは、手動走行モードに切り換えるための制御命令を音声入力によって受け取る。
【0027】
方法ステップ3の自動フェイルセーフモードにおける走行中、走行支援システム100により、方法ステップ4においてチェックされるのは、手動走行モードに切り換えるための制御命令の入力が運転者によって行われたか否かである。走行支援システム100により、手動走行モードに切り換えるための制御命令の入力が確認されると、車両1000の自動フェイルセーフモードは停止され、車両は、方法ステップ5において、手動走行モードで引き継ぎ動作される。これに対応し、方法ステップ5では自動フェイルセーフモードが停止される。
【0028】
方法ステップ2において、自動走行のための自動化機能が完全に動作可能であることが確認される場合、方法ステップ6において、走行支援システムによる目前の走行状況の解釈が行われる。ここでは将来に発生する走行状況ないしは交通状況が検出される。後続の方法ステップ7では、走行支援システム100により、この走行支援システムが、検出した将来に発生する走行状況において、車両1000を自動走行モードで引き続き制御できるか否か、が確認される。目前の走行状況を引き続いて自動で処理できることが確認される場合、方法ステップ8ではオプションで、状況に応じて前に設定した自動フェイルセーフモードを終了するか、ないしは、この車両を自動走行モードで動作させる場合、方法ステップ1の自動走行だけを引き続いて継続する。
【0029】
方法ステップ7において、走行支援システム100が、将来の走行状況において車両1000を自動走行モードで制御できないことが確認される場合、方法ステップ9においてチェックされるのは、自動フェイルセーフモードがすでに起動されているか否かである。自動フェイルセーフモードがすでに起動されている場合、この状態は引き続いて維持される。その他の場合、方法ステップ10において自動フェイルセーフモードの事前調整が行われ、これは、起動されるフェイルセーフモードのスタンバイ状態のオンに対応する。上記の事前調整では、例えば、自動フェイルセーフモードに必要なパラメタが事前に設定される。
【0030】
方法ステップ11では、走行支援システム100が、将来に発生する走行状況において自動走行モードで車両1000を制御できないことが前もって確認されている場合、将来の走行状況が発生するまでの時間T
Sと、運転者による車両の引き継ぎのための時間T
U及び付加的なバッファ時間T
Pからなる和とが比較される。この比較の際に走行支援システム100により、将来の走行状況が発生するまでの時間T
Sが、車両1000の引き継ぎのための時間T
U及びバッファ時間T
Pからなる和よりも長いことが確認された場合、出発状態1の自動走行モードが継続される。これに対し、上記の比較の際に、将来の走行状況が発生するまでの時間T
Sが、車両の引き継ぐための時間T
Uとバッファ時間T
Pとからなる和よりも短いか等しいことが確認された場合、つぎの方法ステップ12では、走行支援システム100を用いて、将来の走行状況の発生までの時間T
Sと、車両を引き継ぐための時間T
Uとが比較される。
【0031】
方法ステップ12における時間T
Sと時間T
Uとの比較の際に走行支援システム100により、将来の走行状況が発生するまでの時間T
Sが、運転者による車両1000の引き継ぎのための時間T
Uよりも実際に短いか等しいことが確認される場合、方法ステップ13においてこの車両の自動フェイルセーフモードが起動される。この車両は、つぎの最も近い利用可能なチャンスにおいて、例えば駐車の可能性が得られる場合、停車される。オプションでは、フェイルセーフモード中に引き続き、方法ステップ6の目前の走行状況の解釈が行われる。この際に方法ステップ7において、目前の走行状況がここでも実際に自動で処理できることが確認される場合、自動走行の出発状態1に再度切り換わる。
【0032】
方法ステップ12において、将来の走行状況が発生するまでの時間T
Sと、運転者による車両の引き継ぎに必要な時間T
Uとを比較する際に、時間T
Sが時間T
Uよりも長いことが確認される場合、方法ステップ14において、運転者引き継ぎ識別が行われる。運転者による車両の引き継ぎのこの識別の際には、目下の走行状況において、車両1000のセンサ200によって検出した手動制御
プロセスと、走行支援システム100によって求めた、目下の走行状況に対する自動制御
プロセスとが比較される。
【0033】
この際に、目下の走行状況における手動制御
プロセスと、この目下の走行状況において走行支援システム100によって事前計算した自動制御
プロセスとが
適合することが確認される場合、方法ステップ5によってこの車両の引き続きの誘導が継続される。ここでは自動走行モードが停止され、この車両は手動走行モードで制御される。
【0034】
これに対し、手動制御
プロセスと、目下の走行状況に対して求めた自動制御
プロセスとの間の、方法ステップ14の比較において、走行支援システムにより、自動走行機能から算出した目標値と、運転者の実際の手動制御
プロセスとが
適合しないことが確認される場合、改めて方法ステップ6に切り換わる。運転者はこの場合にまだ車両を確実に引き継いでいない。したがって車両はまず自動的に継続制御される。
【0035】
つぎの方法ステップ7において、目前の走行状況を実際に自動的に処理できることが確認される場合、前に方法ステップ10において行われた、起動したフェイルセーフモードの事前調整が、方法ステップ8において再度消去され、この車両は自動で出発状態1において引き続き動作される。