特許第6526900号(P6526900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社nendoの特許一覧

<>
  • 特許6526900-開缶装置 図000002
  • 特許6526900-開缶装置 図000003
  • 特許6526900-開缶装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6526900
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】開缶装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/32 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   B65D17/32
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-223462(P2018-223462)
(22)【出願日】2018年11月29日
【審査請求日】2018年12月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515163472
【氏名又は名称】有限会社nendo
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−69605(JP,A)
【文献】 実公平3−39382(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶の天板上に、切込み線によって区画された開口予定部に対応して開缶用タブがリベット止めにより取付けられ、
前記タブを2つ備え、
第1のタブの先端は、第2のタブの先端よりも前記切込み線近くに位置し、
第1のタブの操作によって開口予定部は半開し、第2のタブの操作によって開口予定部が全開するようにした、
開缶装置
【請求項2】
缶の天板上に、切込み線によって区画された開口予定部に対応して開缶用タブがリベットにより固定され、
前記タブを2つ備え、
第1のタブのリベット位置は、第2のタブのリベット位置よりも前記切込み線から離れて位置し、
第1のタブの操作によって開口予定部は半開し、第2のタブの操作によって開口予定部が全開するようにした、
開缶装置
【請求項3】
缶の天板上に、切込み線によって区画された開口予定部に対応して開缶用タブがリベットにより固定され、
前記タブを2つ備え、
第1のタブの先端は、第2のタブの先端よりも前記切込み線近くに位置し、
第1のタブのリベット位置は、第2のタブのリベット位置よりも前記切込み線から離れて位置し、
第1のタブの操作によって開口予定部は半開し、第2のタブの操作によって開口予定部が全開するようにした、
開缶装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、いわゆるイージーオープン機構を備えた缶における開缶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来イージーオープン缶の開口装置については幾多の発明がなされているが、その多くは、開口しやすくすることや開口用の切り込み線(スコア)のピンホールを排除すること等にあり、内容物をおいしく味わうことには関心が持たれていない。
【0003】
出願人は、ビールが充填されたイージーオープン缶において、開口予定部(以下「開口板」ということがある。)を半開きにした状態でビールを注ぐと泡がよく発生し、全開にした状態でビールを注ぐと泡の量が少ないことを知った。半開き状態においては、開口板が邪魔板となり、ビールが空気に触れやすくなるためと思われる。
しかしながら、従来のイージーオープン缶は、開缶用のタブを操作するとタブは一気に開口予定部を押し下げるので全開状態になってしまい、半開状態で操作を止めることはきわめて困難である。
そして、半開状態で容易に止めることのできる開缶装置は提案されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、開缶用のタブで開缶するイージーオープン缶において、容易に半開状態とすることができる開缶装置を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の開缶装置は、缶の天板上に、切込み線によって区画された開口予定部に対応して開缶用タブがリベット止めにより取付けられていることは、従来の装置と同じである。
この発明の特徴は、開缶用タブを二つ備えている点、そして一方のタブ(第1のタブ)は開口予定部を押し下げる力が弱く開口予定部を完全に押し下げることができないように構成し、他方のタブ(第2のタブ)は従来の開缶用タブと同様に、開口予定部を全開状態(ほぼ90度)まで押し下げることができるように構成した点である。
【0006】
請求項1ないし請求項3は上記二つのタブの構成を具体化したものである。
【0007】
請求項1の発明は、第1のタブの先端は、第2のタブの先端よりも前記切込み線近くに位置し、第1のタブの操作によって開口予定部は半開し、第2のタブの操作によって開口予定部が全開するようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、第1のタブのリベット位置は、第2のタブのリベット位置よりも前記切込み線から離れて位置し、第1のタブの操作によって開口予定部は半開し、第2のタブの操作によって開口予定部が全開するようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、第1のタブの先端を、第2のタブの先端よりも前記切込み線近くに位置させると共に、第1のタブのリベット位置を、第2のタブのリベット位置よりも前記切り込み線から離れて位置させ、第1のタブの操作によって開口予定部は半開し、第2のタブの操作によって開口予定部が全開するようにしたものである。
【0010】
この発明において「半開」とは、開口予定部が完全には押し下げられておらず、開口板が注出する内容物(主としてビールその他の発泡飲料)の流れを妨げる邪魔板として機能する程度の押し下げ状態をいう。
この発明において「全開」とは、開口予定部が直角近くまで押し下げられた状態(従来の開缶用タブで押し下げられた状態と同程度)をいう。
この発明における開缶用タブの構造に限定はなく、公知のタブを適宜採用することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明において、第1のタブを操作すると、開口予定部は完全には押し下げられずに半開状態となる。そのために押し下げられた開口板が邪魔板となるので、ビールなどの発泡飲料を缶からグラスに注ぐと泡が多く発生する。
次いで第2のタブを操作すると、開口予定部は完全に押し下げられて全開状態となる。そのために開口板は内容物の注出の妨げになりにくく、泡はあまり発生しない。
すなわち、半開状態と全開状態の二回に分けて注ぐことで、所望の泡のあるグラス入りのビール、その他の炭酸飲料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明実施例の平面図。
図2】この発明実施例における半開状態の断面図。
図3】この発明実施例における全開状態の断面図。
【実施例】
【0013】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0014】
缶1の天板2に切り込み線3によって開口予定部4が形成されており、その近傍に第1の開缶用タブ5と第2の開缶用タブ6がリベット5a、6aによって固定されている。
前記第1の開缶用タブ5のリベット5aと切込み線3との最短の距離L1は、前記第2の開缶用タブ6のリベット6aと切込み線3との最短の距離L2よりも長くしてある。
また、前記第1の開缶用タブ5の先端部における切り込み線3からの突出距離L3は、前記第2の開缶用タブ6の先端部における切り込み線3からの突出距離L4よりも短くしてある。
【0015】
上記において、距離L1と距離L3とは、第1の開缶用タブ5を通常の力で引き上げたときに、開口予定部4が完全には押し下げられずに半開状態にとどまるように選定する。また、距離L2,L4は、第2の開缶用タブを通常の力で引き上げたときに、開口予定部4が完全に押し下げられて全開状態となるように選定する。
【0016】
上記構成による作用は以下の通りである。
前記第1の開缶用タブ5のリベット5aと切込み線3との距離L1および前記第1の開缶用タブ5の先端部における切り込み線3からの突出距離L3は、第1の開缶用タブ5を通常の力で引き上げたときに、開口予定部4が完全には押し下げられずに半開状態にとどまるように選定してあるので、第1の開缶用タブを引き上げたときには開口予定部4は半開状態となり、全開することがない。そのために開口板4が邪魔板として働き、ビールを注いだときには泡が多く発生する。
そして、第2の開缶用タブ6は開口予定部4を完全に押し下げることができるので、内容物はスムーズに注出され、泡があまり発生しない。
【0017】
上記実施例においては、切込み線3からリベット5aまでの距離L1と先端部の切込み線3からの突出距離L3の双方を調節することで第1の開缶用タブの作用を規制しているが、一方のみで規制することもできる。
【0018】
切込み線3から第1の開缶用タブ5のリベット5aまでの最短距離L1を長くすることにより、第1のタブ5を引き上げるときに天板2の応力が大きく働く。そのために第1の開缶用タブを引き上げるためには、第2の開缶用タブなど開口予定部を完全に押し下げるためのタブよりも引き上げに大きな力が必要となる。また、距離L1が長くなるほど第1の開缶用タブの回動量が小さくなる。したがって、一気に開口予定部4を押し下げることは難しい。
そこで、第1の開缶用タブ5と第2の開缶用タブ6の切込み線3からの突出長L3,L4は同じにしつつ、リベットまでの距離L1を適宜選択することにより、第1の開缶用タブ5の操作による開口予定部4の押し下げを半開状態に止めることもできる。
【0019】
第1の開缶用タブ5の先端部の切込み線3からの突出長L3を短くすると、開缶用タブ5を操作したときに開口予定部4に加える力が小さくなる。したがって、一気に開口予定部4を押し下げることは難しい。
そこで、切込み線3からリベット5a、6aまでの距離L1,L2は同じにしつつ、突出長L3を適宜選択することにより、第1の開缶用タブ5の操作による開口予定部4の押し下げを半開状態に止めることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
この発明は、ビールなど泡を楽しむ発泡飲料用の缶における開缶装置として有益なものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0021】
1 缶
2 天板
3 切込み線
4 開口予定部
5 第1の開缶用タブ
6 第2の開缶用タブ
【要約】
【課題】この発明は、開缶用のタブで開缶するイージーオープン缶において、容易に半開状態とすることができる開缶装置を得ることを課題とするものである。
【解決手段】この発明の開缶装置は、缶1の天板2上に、切込み線3によって区画された開口予定部4に対応して開缶用タブがリベット止めにより取付けられていることは、従来の装置と同じである。
この発明は、開缶用タブを二つ備え、一方のタブ(第1のタブ)5は開口予定部4を押し下げる力が弱く開口予定部4を完全に押し下げることができないように構成し、他方のタブ(第2のタブ)6は従来の開缶用タブと同様に、開口予定部4を全開状態(ほぼ90度)まで押し下げることができるように構成してある。
【選択図】図1
図1
図2
図3