(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
従って、本開示の目的は、
A)1.5重量%〜6.0重量%;好ましくは2.6重量%〜5.2重量%より好ましくは3.1重量%〜4.3重量%の範囲のエチレン誘導単位含量を有するプロピレンエチレンコポリマーの19重量%〜50重量%好ましくは25重量%〜42重量%;より好ましくは31重量%〜38重量%;
B)1.5重量%〜6.0重量%;好ましくは1.9重量%〜4.8重量%;より好ましくは2.1重量%〜3.7重量%の範囲のエチレン誘導単位含量及び4.8重量%〜12.4重量%;好ましくは5.1重量%〜10.3重量%:より好ましくは6.8重量%〜9.5重量%の1−ブテン誘導単位含量を有するプロピレンエチレン1−ブテンターポリマーの50重量%〜81重量%好ましくは58重量%〜75重量%;より好ましくは62重量%〜69重量%を含むポリオレフィン組成物を含むフィルムであって;
成分A)及びB)の合計は100であり;
前記組成物が下記の要件を特徴とするフィルムである:
−Mw/Mnに関して表示される、分子量分布(MWD)が4.0超過;好ましくは4.5超過;より好ましくは4.7超過であり;
−反応器等級(即ち、化学的または物理的なビスブレーキングを受けないコポリマー)としてのポリオレフィン組成物に対して言及される溶融流量(MFR 230℃ 2,16kg)が、0.9〜25g/10分好ましくは3.0〜20.0g/10分;さらにより好ましくは4.0〜18.0g/10分の範囲であり;
前記ポリオレフィン組成物の成分A)が、下記の反応生成物を含む触媒の存在下でプロピレンとエチレンを重合させることによって得られ:
(i)前記固体触媒成分の総重量に対して0.1〜50重量%のBiを含有する事実を特徴とするTi、Mg、Cl及び内部電子供与体化合物を含む固体触媒成分;
(ii)アルキルアルミニウム化合物及び、
(iii)電子−供与体化合物(外部供与体);
前記ポリオレフィン組成物の成分B)が、下記の反応生成物を含む触媒の存在下でプロピレン、エチレン及び1−ブテンを重合させることによって得られる:
(i)前記固体触媒成分の総重量に対して0.1〜50重量%のBiを含有する事実を特徴とするTi、Mg、Cl及び内部電子供与体化合物を含む固体触媒成分;
(ii)アルキルアルミニウム化合物及び、
(iii)電子−供与体化合物(外部供与体)。
【0011】
好ましくは、ポリオレフィン組成物において、特徴化セクションで報告された手続きに従って測定された200℃でポリマーヒューズに対して測定されたクリープ及び回復曲線は、最大値600〜1200秒、53×10
−51/Pa未満;好ましくは51×10
−51/Pa未満、より好ましくは45×10
−51/Pa未満を示す。
【0012】
好ましくは、ポリオレフィン組成物において、エチレン誘導単位含量は1.5重量%〜6.0重量%の範囲であり;好ましくは2.1重量%〜5.2重量%の範囲であり;より好ましくは2.5重量%〜4.3重量%の範囲であり;さらにより好ましくは2.8重量%〜3.9重量%の範囲である。
好ましくは、ポリオレフィン組成物において、1−ブテン誘導単位含量は3.2重量%〜9.8重量%の範囲であり;好ましくは3.6重量%〜8.2重量%の範囲であり;より好ましくは4.8重量%〜7.9重量%の範囲であり;さらにより好ましくは5.8重量%〜7.4重量%の範囲である;
【0013】
プロピレンエチレン1−ブテンターポリマーは、プロピレン、エチレン及び1−ブテンコモノマーのみを含有するものとして定義され、プロピレンエチレンコポリマーは、コモノマーとしてプロピレン及びエチレンのみを含有するものとして定義される。
【0014】
前記のような触媒システムを使用することにより、一部の特徴を有するポリオレフィン組成物を得ることができるので、2−シグマ%の非常に低い値によって示す非常に高い一定の厚さプロファイルを有するフィルムを得ることができると思われる。
【0015】
本開示によるフィルムは、キャストフィルム、ブローフィルムまたは多層フィルムのような任意の種類のフィルムであり得る。好ましくは多層フィルム。
【0016】
本開示の多層フィルムは、前述のように成分A)及び成分B)を含むポリオレフィン組成物を含む少なくとも1つのスキン層を有することを特徴とし、残り層は、多層フィルムまたはフィルムコーティング製品に使用するために当業界で知られた任意の物質で形成され得る。従って、例えば、それぞれの層は、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーまたはポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーまたは他の種類のポリマー、次のような、EVA、EVOHで形成され得る。
【0017】
多層構造の層の組み合わせ及び数は特に限定されない。その数は、通常3〜11個の層、好ましくは3〜9個の層、及びより好ましくは3〜7個の層、及びより好ましくは3〜5個の層であり、A/B/A、A/B/C、A/B/C/B/A、A/B/C/D/C/B/Aを含む組み合わせが可能であり、但し少なくとも1つのスキン層Aは、本開示のプロピレンエチレンコポリマーを含む。
【0018】
本開示の多層フィルムの好ましい層は3または5個であり、ここで少なくとも1つのスキン層は本開示のプロピレン/エチレンコポリマーを含む。好ましい構造はA/B/AまたはA/B/Cであり、ここでAは本開示のプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0019】
本開示の目的のために、スキン層は、多層フィルムの上部層及び/または下部層である。
【0020】
好ましくは、本開示の多層フィルムにおいて、フィルムの上部及び下部層は、本開示のプロピレン/エチレンコポリマーを含む。
【0021】
ポリオレフィン組成物で得られたフィルムは、0/25℃で測定した低いキシレン可溶物と共に低いシール開始温度(SIT)を有する。
特に、ポリオレフィン組成物は、好ましくは下記を有する:
−1.2重量%〜15.1重量%;好ましくは3.2重量%〜12.3重量%;より好ましくは4.1重量%〜11.6重量%を含む0/25℃でキシレン可溶性分画の含量(XS)。
−90℃〜110℃;好ましくは92℃〜107℃;より好ましくは94℃〜105℃を含むシール開始温度(SIT)。
好ましくは、ポリオレフィン組成物において、0/25℃でキシレン可溶性分画及びシール開始温度(SIT)は、下記の関係式を満たす:
SIT<114−(XSx1.3)
前記式において:
XS=特徴化セクションに与えられた方法に従って測定された、0/25℃でキシレン可溶性分画の重量%;
SIT=℃は、特徴化セクションに与えられた方法に従って測定されたシール開始温度(SIT)である。
好ましくは、関係式は次の通りである:
SIT<113−(XSx1.3);
【0022】
特に、溶融点とSITとの間のは、25℃超過;好ましくは26℃超過である。
【0023】
本明細書に開示されたポリオレフィン組成物は、下記の反応生成物を含む触媒の存在下で、第1段階でプロピレンをエチレンと重合させた後、第2段階でプロピレンをエチレン及び1−ブテンと重合させる段階を含む方法によって製造される:
(i)前記固体触媒成分の総重量に対して0.1〜50重量%のBiを含有する事実を特徴とするTi、Mg、Cl及び内部電子供与体化合物を含む固体触媒成分;
(ii)アルキルアルミニウム化合物及び、
(iii)電子−供与体化合物(外部供与体)。
【0024】
好ましくは、触媒組成物でBiの含量は、0.5〜40%より好ましくは1〜35、特に2〜25重量%、及び非常に具体的な実施形態では2〜20重量%の範囲である。
【0025】
固体成分の粒子は、実質的に球状のモホロジーを有し、平均直径は、5〜150μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜90μmの範囲である。実質的に球状のモホロジーを有する粒子として、より大きい軸とより小さい軸との間の比が1.5より小さいか同一であり、好ましくは1.3より小さいことを意味する。
【0026】
一般的に、Mgの量は、好ましくは8〜30%より好ましくは10〜25重量%の範囲である。
【0027】
一般に、Tiの量は、0.5〜5%、より好ましくは0.7〜3重量%の範囲である。
【0028】
好ましい内部電子供与体化合物は、オプションとして置換された芳香族ポリカルボン酸のアルキル及びアリールエステル、次のような安息香酸及びフタル酸のエステルから選択される。このようなエステルの具体的な例としては、n−ブチルフタレート、ジーイソブチルフタレート、ジーn−オクチルフタレート、安息香酸エチル及びp−エトキシ安息香酸エチルがある。
【0029】
Mg/Tiモル比は、好ましくは13より大きいか同一であり、好ましくは14〜40の範囲であり、より好ましくは15〜40の範囲である。これに相応して、Mg/供与体モル比は、好ましくは16超過より好ましくは17超過であり、通常18〜50の範囲である。
【0030】
Bi原子は、好ましくは、Bi−炭素結合を有さない1種以上のBi化合物に由来する。特に、Bi化合物は、Biハロゲン化物、Bi炭酸塩、Bi酢酸塩、Bi硝酸塩、Bi酸化物、Bi硫酸塩、Bi硫化物から選択され得る。Biが原子価3
+を有する化合物が好ましい。Biハロゲン化物の中で、Bi三塩化物及びBi三臭化物が好ましい。最も好ましいBi化合物はBiCl
3である。
【0031】
固体触媒成分の製造は、いくつかの方法に従って行うことができる。
1つの方法によれば、固体触媒成分は、式Ti(OR)
q−yX
y(ここで、qはチタンの原子価であり、yは1〜qの数である)のチタン化合物、好ましくはTiCl
4を式MgCl
2・pROH(ここで、pは0.1〜6、好ましくは2〜3.5の数であり、Rは1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基である)の付加物から由来する塩化マグネシウムと反応させることによって製造することができる。付加物は、アルコールと塩化マグネシウムとを混合し、付加物の溶融温度(100〜130℃)で撹拌条件下で作動して球状の形態で適切に製造することができる。その後、付加物を前記付加物と非混和性の不活性炭化水素と混合して、これによってエマルジョンを生成させ、これを迅速にクエンチングして球状粒子の形態で付加物の凝固を引き起こす。このような手続きに従って製造された球状付加物の例は、米国特許第4,399,054号及び米国特許第4,469,648号に記載されている。このようにして得られた付加物は、Ti化合物と直ちに反応することができるか、これが、以前に熱制御された脱アルコール化(dealcoholation)(80−130℃)を実施し、アルコールのモル数が一般的に3未満、好ましくは0.1〜2.5である付加物を得ることができる。Ti化合物との反応は、付加物(脱アルコール化されたものまたはあるがままの)を冷たいTiCl
4(一般的に0℃)中で、懸濁して行うことができ;混合物は80〜130℃まで加熱した後、この温度で0.5−2時間維持させる。TiCl
4を使用した処理は、一回以上行うことができる。電子供与体化合物は、TiCl
4を使用した処理間所望の比率で添加することができる。
【0032】
いくつかの方法は、触媒製造で1種以上のBi化合物を添加するために使用することができる。好ましい選択によれば、Bi化合物(複数)は、製間MgCl
2・pROH付加物に直接混入される。特に、Bi化合物は、これをMgCl
2及びアルコールと共に混合して付加物製造の初期段階で添加され得る。代替で、これはエマルジョン化段階以前に溶融された付加物に添加され得る。Biの導入量は、付加物中にMgのモル当たり0.1〜1モルの範囲である。MgCl
2・pROH付加物に直接混入される好ましいBi化合物(複数)は、Biハロゲン化物、特にBiCl
3である。アルキル−Al化合物(ii)は、好ましくは、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物の中から選択される。また、前記言及されたトリアルキルアルミニウムと混合して、アルキルアルミニウムハロゲン化物、アルキルアルミニウム水素化物またはアルキルアルミニウムセスキクロライド、次のようなAlEt
2Cl及びAl
2Et
3Cl
3を使用することができる。Al/Ti比率は1以上であり、一般的に50〜2000が含まれる。
【0033】
適切な外部供与体化合物は、シリコーン化合物、エーテル、エステル、アミン、複素環式化合物及び特に2、2、6、6−テトラメチルピペリジン及びケトンを含む。
【0034】
外部供与体の好ましい部類は、式(R
6)
a(R
7)
bSi(OR
8)
c(ここで、a及びbは0〜2の整数であり、cは1〜4の整数であり、合(a+b+c)は4であり;R
6、R
7、及びR
8は、オプションとしてヘテロ原子を含有する1〜18個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリール基である)のシリコーン化合物のものである。特に好ましいことは、aが1であり、bが2であり、R
6とR
7のうちの少なくとも1つが、オプションとしてヘテロ原子を含有する3−10個の炭素原子を有する分枝型アルキル、シクロアルキルまたはアリール基であり、R
8がC
1−C
10アルキル基、特にメチルであるシリコーン化合物である。このような好ましいシリコーン化合物の例は、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(C供与体)、ジフェニルジメトキシシラン、メチルt−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)t−ブチルジメトキシシラン、(2−エチルピペリジニル)ジエチルジメトキシシラン、(3、3、3−トリフルオロ−n−プロピル)−(2−エチルピペリジニル)−ジメトキシシラン、メチル(3、3、3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシランである。また、シリコーン化合物は、aが0であり、cが3であり、R
7がオプションとしてヘテロ原子を含有する、分枝型アルキルまたはシクロアルキル基であり、R
8がメチルであるシリコーン化合物がまた好ましい。このように好ましいシリコーン化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン及びテキシルトリメトキシシランである。
【0035】
電子供与体化合物(iii)は、有機アルミニウム化合物と前記電子供与体化合物(iii)との間のモル比が0.1〜500、好ましくは1〜300及びより好ましくは3〜100になるようにする量で使用される。
【0036】
本開示のポリオレフィン組成物は、成分A)及びB)をブレンディングして得られ、前記成分は、当業界で知られた重合工程、次のような1つ以上の流動床または機械式撹拌床反応器で作動する気相、希釈剤として不活性炭化水素溶媒を使用するスラリー重合または反応媒体として液体モノマー(例えば、プロピレン)を使用するバルク重合によって得られる。本開示のポリオレフィン組成物は、また成分A)が第1段階で得られた後、成分B)が第2段階で成分A)の存在下で得られる2個以上の段階の重合工程で得ることができる。各段階は、1つ以上の流動床または機械式撹拌床反応器で作動する気相、希釈剤として不活性炭化水素溶媒を使用するスラリー床、または反応媒体として液体モノマー(例えば、プロピレン)を使用するバルク重合であり得る。
【0037】
重合は、一般的に20〜120℃、好ましくは40〜80℃の温度で行われる。重合を気相で行う場合、作動圧力は、一般的に0.5〜5MPa、好ましくは1〜4MPaである。バルク重合において、作動圧力は、一般的に1〜8MPa、好ましくは1.5〜5MPaである。水素は、一般的に、分子量調節剤として使用される。
【0038】
以下の実施例は、本発明をより良く例示するために提供され、どのような方式でも本発明を限定するものと意図されていない。
【実施例】
【0039】
特性化
Mg、Tiの測定
固体触媒成分中のMg及びTi含量の測定は、“I.C.P分光計ARL Accuris”で誘導結合型プラズマ放出分光器を介して行った。
サンプルは、“Fluxy”白金るつぼ”に0.1÷0.3グラムの触媒及び2グラムのメタほう酸リチウム/四ほう酸リチウム1/1混合物を分析秤量して製造した。KI溶液の数滴を添加した後、るつぼを完璧な燃焼のための特別な装置“Claisse Fluxy”に挿入する。残留物を5%v/vHNO
3溶液を使用して収集して、その後
【0040】
Biの測定
固体触媒成分中のBi含量の測定は、“I.C.P分光計ARL Accuris”で誘導結合型プラズマ放出分光器を介して行った。
サンプルは、200cm
3用量のフラスコに0.1÷0.3グラムの触媒を分析秤量して製造した。約10ミリリットルの65%v/vHNO
3溶液及び約50cm
3の蒸溜水の両方をゆっくり添加した後、サンプルを4÷6時間消化させる。次いで、用量フラスコを脱イオン水で表示まで希釈させる。得られた溶液を次の波長:ビスマス223.06nmでICPを介して直接分析する。
【0041】
内部供与体含量の測定
固体触媒化合物中の内部供与体の含量測定は、ガスクロマトグラフィーを介して行われた。固体成分をアセトンに溶解させ、内部標準物質を添加した後、有機相のサンプルをガスクロマトグラフで分析して、出発触媒化合物に存在する供与体の量を測定した。
【0042】
キシレン可溶性分画(0/25℃)の測定
2.5gの重合体及び250mLのo−キシレンを冷蔵庫及び磁気撹拌機を備えたガラスフラスコに導入する。温度を溶媒の30分内に沸騰点まで上昇させる。次いで、このようにして得られた溶液を還流下に維持させ、さらに30分間撹拌する。次いで、密閉されたフラスコを氷と水のバス中に30分間維持させ、次いで、25℃の恒温水槽に30分間維持させる。このようにして得られた固体を急速濾過紙で濾過し、100mlの濾過液を以前に秤量したアルミニウム容器に注き、これを窒素気流下で加熱板で加熱して蒸発によって溶媒を除去する。次いで、一定の重量が得られるまで容器を80℃のオーブンで真空下に維持させる。前記キシレン可溶性分画の含量は、本来の2.5グラムの百分率で表示した後、その差(100に相補的)は、X.I.%で表現する。
【0043】
分子量分布(Mw/Mn)
分子量及び分子量分布は、13μmの粒子サイズを有する4個の混床式カラムPLgel Olexisが備えられたWaters Alliance GPCV/2000装備を使用して150℃で測定した。カラムの寸法は、300×7.8mmであった。使用された移動相は、真空蒸溜された1、2、4−卜リクロロベンゼン(TCB)であり、流量は1.0ml/分に維持させた。サンプル溶液を1〜2時間TCBで150℃で撹拌下でサンプルを加熱して製造した。濃度は1mg/mlであった。分解を防ぐために、0.1g/lの2、6−ジーtert−ブチル−p−クレゾールを添加した。300μl(公称値)の溶液をカラムセットに注入した。580〜7500000範囲の分子量を有する10個のポリスチレン標準サンプル(アジレント社のEasiCalキット)を使用して較正曲線を得た。Mark−Houwink関係式のK値は、次の通りであると仮定した:
K=1.21×10
−4dl/g及びα=0.706ポリスチレン標準物質の場合、
K=1.90×10
−4dl/g及びα=0.725実験サンプルの場合。
三次多項式フィットを、実験データを補間し、較正曲線を得るために使用した。データ取得及び処理は、GPCオプションを使用してWaters Empowers 3 クロマトグラフィーデータソフトウェアを使用して行った。
【0044】
溶融流量(MIL)
ポリマーの溶融流量MILは、ISO 1133(230℃、2.16Kg)に従って測定した。
【0045】
コモノマー含量の測定:
コモノマー含量は、フーリエ変換赤外線分光器(FTIR)を使用してサンプル対空気バックグラウンドのIRスペクトルを収集することによって赤外線分光法によって測定した。装備データ取得パラメーターは、次の通りである:
パージ時間:最小30秒
収集時間:最小3分
アポディゼイション:Happ−Genzel
解像度:2cm−1。
【0046】
サンプル製造:
油圧プレスを使用して2枚のアルミニウムホイルの間に約1gのサンプルをプレッシングして厚いシートが得られる。均質性が問題になる場合、最小2回のプレッシング作動が推奨される。このシートから小さな部分を切断してフィルムを成形する。推奨フィルム厚さは0.02−:0.05cm(8〜20ミル)の範囲である。
【0047】
プレッシング温度は、約1分間180±10℃(356°F)及び約10kg/cm2(142.2PSI)の圧力である。圧力を解除し、プレスから除去してサンプルを室温まで冷却する。
【0048】
ポリマーの圧縮フィルムのスペクトルを吸光度対波数(cm−1)で記録する。次の測定値を使用してエチレン及び1−ブテン含量を計算する。
【0049】
フィルム厚さの分光標準化に使用される4482〜3950cm−1の組み合わせ吸収帯の面積(At)。
【0050】
アイソタクチック非添加的(isotactic non additivate)ポリプロピレンスペクトルの2つの適切な連続的な分光学的減算の以後に750〜700cm−1の間の吸収帯の面積(AC2)及び次いで800〜690cm−1の範囲の1−ブテン−プロピレンランダムコポリマーの基準スペクトルの面積。
【0051】
アイソタクチック非添加的ポリプロピレンスペクトルの2つの適切な連続的な分光学的減算の以後に769cm−1(最大値)における吸収帯の高さ(DC4)及び次いで800〜690cm−1の範囲のエチレン−プロピレンランダムコポリマーの基準スペクトルの高さ。
【0052】
エチレン及び1−ブテン含量較正直線を計算するために、知られた量のエチレン及び1−ブテンのサンプルを使用して得られたエチレン及び1−ブテンに対する較正直線が必要である:
【0053】
エチレンの較正:
AC2/At対エチレンモルパーセント(%C2m)をフロットすることによって較正直線を得る。勾配GC2は、線形回帰から計算される。
【0054】
1−ブテンの較正
DC4/At対ブテンモルパーセント(%C4m)をフロットすることによって較正直線を得る。勾配GC4は、線形回帰から計算される。
【0055】
知られないサンプルのスペクトルを記録した後、知られないサンプルの(At)、(AC2)及び(DC4)を計算する。サンプルのエチレン含量(%モル分率C2m)は、次のように計算する:
【0056】
【数1】
【0057】
サンプルの1、ブテン含量(%モル分率C4m)は、次のように計算する:
【0058】
【数2】
【0059】
プロピレン含量(モル分率C3m)は、次のように計算する:
【0060】
【数3】
【0061】
重量を基準に、エチレン、1−ブテン含量は、次のように計算する:
【0062】
【数4】
【0063】
【数5】
【0064】
成分A)及びB)のコモノマー含量は、以下の式を用いて測定した:
C
2tot=X
AC
2A+X
BC
2B及びC
4tot=X
BC
4B
前記式において、
C2は、成分A、Bまたは全体エチレン含量のエチレン誘導単位重量%であり;
C4は、成分Bまたは全体1−ブテン含量の1−ブテン誘導単位重量%であり
XAは、成分A重量%/100の量であり
XBは、成分B重量%/100の量である。
【0065】
示差走査熱量法(DSC)を通じる溶融温度
ポリマーの溶融点(Tm)は、インジウム溶融点に対して以前に較正されたパーキンエルマー社のDSC−1熱量計上で、示差走査熱量法(D.S.C.)で、20℃/分でISO 11357−1, 2009及び11357−3, 2011に従って測定した。すべてのDSCるつぼ内のサンプルの重量は、6.0±0.5mgに維持した。
【0066】
溶融点を得るために、秤量されたサンプルをアルミニウムパンに密封し、20℃/分で200℃まで加熱した。サンプルを200℃で2分間維持し、すべての微結晶を完全に溶融させた後、20℃/分で5℃まで冷却した。5℃で2分間放置した後、サンプルを20℃/分で200℃まで第2の実行時間加熱した。このような二回目の加熱作業でピーク温度(Tp、m)を溶融温度で取った。
【0067】
ヘイズの測定
各試験組成物を単一スクリューコリン押出機(スクリュー1:25の長さ/直径比)で7m/分のフィルム延伸速度及び210−250℃の溶融温度で押出して製造された約5×5cm50μm厚さのフィルム試片を使用した。ヘイズ値は、ヘーズメーター(Hazemeter)タイプUX−10またはフィルター“C”と共に、G.E.1209光源を有する同等の装備に連結されたガードナー(Gardner)測光単位を使用して測定する。知られたヘイズの基準サンプルは、装備を較正するのに使用する。
【0068】
シール開始温度(SIT)
フィルム試片の製造
50μmの厚さを有するフィルムは、それぞれの試験組成物を単一スクリューコリン押出機(スクリューの長さ/直径比率1:25)で7m/分のフィルム延伸速度及び210〜250℃の溶融温度で押出させて製造する。それぞれの得られたフィルムを97重量%のキシレン不溶性分画及び2g/10分のMFRLを有するプロピレンホモポリマーの1000μm厚さのフィルム上に重ね合わせた。重ね合わされたフィルムを200℃で9000kg荷重下でCarverプレスで互いに結合してこれを5分間維持した。得られたラミネートを150℃でT.M.Longフィルム延伸機を用いて6倍に、縦横に、即ち、2軸延伸して、それによって20μm厚さのフィルム(18μmホモポリマー+2μm試験)を得た。2×5cmの試片を前記フィルムから切断した。
【0069】
SITの測定
それぞれの試験のために、2つの前記試片を隣接した層が特定な試験組成物の層になるように整列して重ね合わせた。重ね合わされた試片をBrugger Feinmechanik Sealer、モデル HSG−ETK 745を用いて2cm側面の一方に沿って密封した。密封時間は、0.1N/mm
2の圧力で5秒である。密封温度は、各シールに対して1℃を増加させて、試験組成物の溶融温度よりも約30℃未満の温度から始めた。密封されたサンプルを冷却させた後、このシールされていない端部をインストロン機械に取り付け、これらを50mm/分の牽引速度(traction speed)で試験した。
【0070】
SITは、少なくとも2ニュトーンの荷重が前記試験条件に適用される場合、シールが壊れない最小限の密封温度である。
【0071】
クリープ及び回復試験
クリープ及び回復曲線は、25mm半径の円錐版形状及び上部に円錐版を有する1.992゜等級の測定円錐角度を有するPhysica MCR301レオメーターを使用して測定した。試験温度は200℃である。
【0072】
クリープ時間の測定
複素粘度は、5%の一定の歪みで100rad/s〜0.01rad/sの周波数掃引試験(frequency sweep test)において測定し、0.01rad/sの周波数での値は、クリブ時間を計算するために選択した(プロファイルで時間設定なし)。次いでクリープ時間は、次の式を使用して計算した:
クリープ時間=複素粘度
@0.01rad/s/100; [1]
前記の式中、100は印加された応力パスカルである。
【0073】
回復時間の測定
回復時間は、次の式に従って計算した:
回復時間=クリープ
*7 [2]
【0074】
クリープ及び回復試験
a)クリープ
クリープは、[1]で計算されたクリープ時間に従って最大秒間1秒に1回測定した。印加された剪断応力は100Paである。
【0075】
b)回復
回復率は、[2]で計算された回復時間に従って最大秒間1秒に1回測定した。印加された剪断応力は0Paである;
試験が終わると、ソフトウェアは曲線秒(複数)対Paを計算する。
【0076】
重合実施例1及び2
球状付加物の製造のための手続き
マイクロ球状MgCl
2・pC
2H
5OH付加物を、粉末形態のBiCl
3をマグネシウムに対して3モル%の量でオイルの供給前に添加することの差をWO98/44009号の比較例5に記述された方法に従って製造した。 付加物は11.2重量%の Mgを含有する。
【0077】
固体触媒成分の製造のための手続き
機械的撹拌機、凝縮器及び熱電対を備えた300Lのジャケット形反応器に200LのTiCl
4を窒素雰囲気下に室温で導入した。0℃まで冷却した後、撹拌しながら、ジイソブチルフタルレート及び8kgの球状付加物(前記言及されたように製造された)を連続的に添加した。内部供与体の充電量は、8のMg/供与体モル比を満たす程度であった。温度を100℃まで上昇させて1時間維持した。その後、撹拌を中止し、固体生成物を沈降させた後、上澄液を100℃で吸い上げた(siphoned off)。上澄液を除去した後、追加的な新しいTiCl
4を初期の液体体積に再び到達されるように添加した。その後、混合物を120℃で加熱し、この温度で1/2時間維持した。撹拌を再び中止し、固体を沈降させた後、上澄液を120℃で吸い上げた。その後、処理時間を15分に減少させだが、前述と同一の手続きに従って120℃でTiCl
4による処理を再び繰り返した。固体を無数ヘキサンで60℃以下の温度勾配で6回及び室温で1回洗浄した。次いで、得られた固体を真空下で乾燥させた。
【0078】
予備重合処理
これを重合反応器内に導入する前に、前述の固体触媒成分をトリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS、D供与体)と表1に報告された比率で接触させた。その後、得られた混合物を重合反応器内にこれを導入する前に、20℃で約5分間液体プロピレンの中に懸濁液で維持させて予備重合を行った。
【0079】
重合
第1気相重合反応器に、予備重合された触媒システム、水素(分子量調節剤として使用された場合)プロピレン及びエチレンを気体状態で連続的且つ一定の流れで供給することによって、プロピレンエチレンコポリマーを生成する。
【0080】
第1反応器で生成された重合体は、連続流れで排出し、未反応モノマーを除去した後、水素(使用された場合)1−ブテン、エチレン及びプロピレンを気体状態で定量的に一定の流れと共に、第2気相重合反応器に連続流れでパージングする。
【0081】
第2反応器を出る重合体粒子は、反応性モノマー及び揮発性物質を除去するために蒸気処理した後乾燥させる。
【0082】
主な重合条件が表1に報告される。重合体の特徴は表2に報告されている。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
比較例1は、表2に報告された特徴を有するLyondellbasellによって販売される市販製品であって、ビスマスを含有してないが、
実施例1及び2のものと同一の触媒を使用して生成される。
【0086】
多層フィルム
実施例1〜2及び比較例1のポリマーを使用して前記A層が実施例のポリマーであり、前記B層がLyondellbasellによって販売されるプロピレンホモポリマーMOPLEN HP515MであるA/B/A多層フィルムを生成した。処理パラメーターは、表3に報告されている。
【0087】
【表3】
【0088】
多層フィルムは、縦方向に5.1:1の比率で延伸されし、横方向に9.1:1の比率で延伸された。
【0089】
フィルム厚さプロファイルは、ノンタッチ式(容量性)測定(センサー)システムで測定される。従って、平均厚さ、最小及び最大。厚さ及び標準偏差2−シグマ%は、表4に報告されたように測定される。
【0090】
【表4】
【0091】
実施例1及び2のフィルムは、比較例に対してより低い2−シグマ%を示し、これは、平均厚さが同一であっても厚さの規則性が増加することを意味する。