特許第6526910号(P6526910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526910
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】検出装置及び検出装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/63 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   G01N21/63 Z
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-511589(P2018-511589)
(86)(22)【出願日】2016年4月7日
(65)【公表番号】特表2018-521329(P2018-521329A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】US2016026319
(87)【国際公開番号】WO2016200473
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】14/733,433
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン,エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スパリオウス,カリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,エリック ディー.
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0053049(US,A1)
【文献】 特開平04−160361(JP,A)
【文献】 特開平06−300849(JP,A)
【文献】 特開2012−184682(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0098422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62−74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置であって:
ガス状流体のサンプルを含む貯蔵コンテナの内部に対するアクセスを有するコレクタ;及び
前記コレクタにホースを介して結合されるテスター;
を有し、前記テスターは:
テスト・チェンバーであって、前記サンプルは前記コレクタから前記テスト・チェンバーの中に方向付けられる、テスト・チェンバー;
前記テスト・チェンバー内のサンプルを励起させる励起エレメント;及び
前記テスト・チェンバーに結合され、前記ガス状流体中の対象粒子の濃度が閾濃度を超えていることの証拠を求めて、励起したサンプルを分析するスペクトル分析装置;
を有し、前記閾濃度は、前記対象粒子の種類と前記貯蔵コンテナの内部における前記サンプルの滞留時間とに従って決定される、検出装置。
【請求項2】
前記ホース、前記ホースの両端にある端部で前記コレクタ及び前記テスターに結合される請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記テスターは、前記テスト・チェンバー、前記励起エレメント及び前記スペクトル分析装置のうち少なとも何れかを収容する囲いを更に有する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記テスト・チェンバーは、少なくとも1つの反射面と少なくとも1つの吸収面とを有する管状ボディを有する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記コレクタから前記テスト・チェンバーへ前記サンプルを方向付ける送風機を更に有する請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記励起エレメントはレーザーを有する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
前記レーザーは前記テスターの内部に実装される、請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記レーザーは前記テスターに対して外部に実装される、請求項6に記載の検出装置。
【請求項9】
前記スペクトル分析装置は、前記ガス状流体中の同位体分子の濃度が、前記サンプルの滞留時間に基づいて前記同位体分子について規定される閾濃度を超えていることの証拠を求めて、前記励起したサンプルを分析する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項10】
前記同位体分子は、DHO、14CO、14CO及びH36Clのうちの少なくとも1つ以上を含む、請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
検出装置であって:
貯蔵コンテナの内部に対するアクセスを有するコレクタ;及び
前記コレクタに結合され、前記貯蔵コンテナを操るように構成されるフレーム要素に配置されるテスター;
を有し、前記テスターは:
テスト・チェンバーであって、前記コレクタにより前記貯蔵コンテナの内部から取り出されるガス状流体のサンプルは、前記テスト・チェンバーの中に方向付けられる、テスト・チェンバー;
前記テスト・チェンバー内のサンプルを励起させる励起エレメント;及び
前記テスト・チェンバーに結合され、前記ガス状流体中の対象粒子の濃度が閾濃度を超えていることの証拠を求めて、励起したサンプルを分析するスペクトル分析装置;
を有し、前記閾濃度は、前記対象粒子の種類と、前記貯蔵コンテナの内部における前記サンプルの滞留時間とに従って決定される、検出装置。
【請求項12】
前記貯蔵コンテナは、インターモーダル・コンテナを含む、請求項11に記載の検出装置。
【請求項13】
前記コレクタは、通気孔サンプリング、ダイレクト・サンプリング及び拡散サンプリングのうち少なくとも1つ以上により前記内部に対するアクセスを有する、請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
前記フレーム要素はクレーンを有する、請求項11に記載の検出装置。
【請求項15】
前記テスターに動作可能に結合され、前記励起エレメント及び前記スペクトル分析装置を制御し、かつ、疑義のある読み取りの識別のために証拠を分析するように構成されるコントローラを更に有する請求項11に記載の検出装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記ガス状流体中の複数のサンプルを前記テスト・チェンバーの中に方向付けるように送風機を制御し、前記複数のサンプルの各々を励起させるように前記励起エレメントを制御し、及び、励起させられた複数のサンプルの各々を分析するように前記スペクトル分析装置を制御する、請求項15に記載の検出装置。
【請求項17】
疑義のある読み取りの識別に関連するストレージ・コンテナが転送されて来る二次的なスクリーニング・システムを更に有する請求項15に記載の検出装置。
【請求項18】
検出装置の作動方法であって:
貯蔵コンテナの内部から取り出されるガス状流体のサンプルをテスト・チェンバーの中へ方向付けるステップ;
前記テスト・チェンバー中のサンプルのレーシングにより前記サンプルを励起させるステップ;
励起させられたサンプルについて分光を実行するステップ;
前記ガス状流体中の対象粒子の濃度が閾濃度を超える証拠を求めて前記分光の結果を分析するステップ;及び
前記対象粒子の種類と、前記貯蔵コンテナの内部における前記サンプルの滞留時間とに従って、前記閾濃度を決定するステップ;
を有する作動方法。
【請求項19】
前記分析するステップは、前記ガス状流体中の同位体分子の濃度が、前記貯蔵コンテナの内部における前記サンプルの滞留時間に基づいて前記同位体分子について規定される閾濃度を超えていることの証拠を求めて、前記結果を分析することを含む、請求項18に記載の作動方法。
【請求項20】
前記同位体分子は、DHO、14CO、14CO及びH36Clのうちの少なくとも1つ以上を含む、請求項19に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は放射性異常検出器に関連し、特に、不法に活発な核の脅威を識別するために使用する放射性異常検出器に関連する。
【0002】
港湾都市に対する深刻な危険は、核爆弾や汚染爆弾に見受けられるような化学若しくは生物兵器又は特殊核物質(SNNs)等のような兵器化された物質を含む貯蔵コンテナの輸入である。従って、これらの兵器化された物質を何れの貯蔵コンテナが含んでいるかを識別することは、安全な社会を維持するのに不可欠である。しかしながら、貯蔵コンテナ及び輸出入される物品は、健全な取引に不可欠であるので、入港する及び出港する貯蔵コンテナのそれぞれを全て検査することは現実的ではなく、なぜなら、そのような検査は取引を著しく妨げてしまうからである。
【0003】
現在の検査法は、レーザー誘導破壊分光法(laser induced breakdown spectroscopy:LIBS)、アクティブX線検査法及びパッシブガンマ線検査法を含む。LIBS法は、一般に、表面残留検査にしか適切ではなく、検査される試料の表面を除去(又はアブレーション)することにより為される。従って、LIBSは特定点の検査(a specific point screening)であり、広いエリア又は体積をカバーすることはできない。アクティブX線検査法は、所定の物質を高レベルのX線にさらすことにより、その物質を識別するために使用され、一般に、二次的な検査にしか適切ではない。パッシブガンマ線検査法は、動作中の近辺の他のX線源に極めて敏感であり、微量の放射線遮蔽が加わることで直ちにだめになってしまう。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態によれば、検出装置が提供され、検出装置は、ガス状流体のサンプルに対するアクセスを有するコレクタと、コレクタに結合され且つコレクタから離れて配置されるテスターとを含む。テスターは、その中にサンプルがコレクタから方向付けられるテスト・チェンバーと、テスト・チェンバー内のサンプルを励起させる励起エレメントと、テスト・チェンバーに結合され、ガス状流体中の対象粒子の濃度が閾濃度を超えていることの証拠を求めて、励起したサンプルを分析するスペクトル分析装置とを含む。閾濃度は対象粒子の種類とサンプルの滞留時間とに従って決定される。
【0005】
本発明の他の実施形態によれば、検出装置が提供され、検出装置は、貯蔵コンテナの内部に対するアクセスを有するコレクタと、コレクタに結合され、貯蔵コンテナを操るように構成されるフレーム要素に配置されるテスターとを含む。テスターは、その中に、コレクタにより貯蔵コンテナの内部から取り出されるガス状流体のサンプルが方向付けられるテスト・チェンバーと、テスト・チェンバー内のサンプルを励起させる励起エレメントと、テスト・チェンバーに結合され、ガス状流体中の対象粒子の濃度が閾濃度を超えていることの証拠を求めて、励起したサンプルを分析するスペクトル分析装置とを含む。閾濃度は、対象粒子の種類と、貯蔵コンテナの内部におけるサンプルの滞留時間とに従って決定される。
【0006】
更に別の実施形態によれば、検出装置の作動方法が提供され、作動方法は、貯蔵コンテナの内部から取り出されるガス状流体のサンプルをテスト・チェンバーの中へ方向付けるステップ;テスト・チェンバー中のサンプルのレーシングによりサンプルを励起させるステップ;励起させられたサンプルについて分光を実行するステップ;ガス状流体中の対象粒子の濃度が閾濃度を超える証拠を求めて分光の結果を分析するステップ;及び 、対象粒子の種類と、貯蔵コンテナの内部におけるサンプルの滞留時間とに従って、閾濃度を決定するステップ;を有する。
【0007】
更なる特徴及び利点は本発明の技術により実現される。本発明の他の実施形態及び側面は、本願で詳細に説明され、請求項に係る発明の一部と考えられる。利点及び特徴とともに本発明の適切な理解のために、明細書及び図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明として考えられる対象事項は、明細書の結論における特許請求の範囲で具体的に指摘され且つ個々に請求されている。本発明についての上記及び他の特徴並びに利点は、添付図面に関連して為される以下の詳細な説明から明白である。
【0009】
図1】実施形態による検出装置の斜視図。
【0010】
図2】代替的な実施形態による検出装置の斜視図。
【0011】
図3A】実施形態による図1又は図2の検出装置のコレクタの側面図。
【0012】
図3B】代替的な実施形態による図1又は図2の検出装置のコレクタの側面図。
【0013】
図3C】代替的な実施形態による図1又は図2の検出装置のコレクタの斜視図。
【0014】
図4図1の検出装置のテスターの斜視図。
【0015】
図5図2の検出装置のテスターの斜視図。
【0016】
図6】実施形態による図1及び図2の検出装置のコントローラの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明されるように、通関手続地にある輸送コンテナの中に隠されている(シールドされている)特殊核物質(special nuclear materials:SNM)/密輸される兵器の異常性を検出する装置及び方法が提供される。装置及び方法は、輸送コンテナが開かれること、或いは、取引の流れが妨げられることを必要としない。装置及び方法の概念は、周辺コンテナ雰囲気の中でSNMsにより生成される所定の同位体が検出可能な濃度レベルまで形成されることを許容する典型的な積み荷輸送時間を活用する。通常の検出技術によるSNMへの直接的な視線(Direct line of sight to the SNM)は必要とされず、シールドされたSNMは、コンテナ雰囲気の中及びその近辺で、異常に上昇した分子同位体種(molecular isotopic species)のこれらの特徴により容易に検出される。この場合、クレーン・システムにより又は地上の通関港においてコンテナが積み込まれる又は持ち出される場合に、運搬車(又は台車)がチェック・ポイントを通過する際に、スキャニング・サンプラはコンテナ通気孔の近辺から逃れ出る放出を非侵襲的に収集する。このサンプルは、リモートの又はローカルのセンサ筐体に転送され、センサ筐体は、励起レーザーとスペクトル分析装置とを含み、スペクトル分析装置は、異常に高い又は上昇した同位体分子種のレベルを識別することに備えて、リアルタイムに、既知の特徴に対してスペクトルを測定及び分析する。測定時間は数秒の時間スケールで為される。
【0018】
上記の装置及び方法は、遮蔽(又はシールド)の影響を受けず、なぜなら、同位体種の上昇した濃度をもたらすSNMsとの大気中の相互作用を想定しているからであり、バックグランドよりかなり高い濃度レベルをもたらす程度に異常な同位体種を形成することを当てにしているからであり、また、リアルタイム・センシング・モダリティによる真に非侵襲的なセンシング技術であるからである。
【0019】
図1及び図2に関し、検出装置10が提供されている。検出装置10は、コレクタ20、テスター40、送風機42(コレクタ20又はテスター40のコンポーネントであっても良い)、及び、ホース60を含む。コレクタ20は、貯蔵コンテナ30の内部300に対するアクセスを有する。テスター40は、コレクタ20に結合され且つフレーム要素50に配置される。フレーム要素50は、貯蔵コンテナ30を操るように配置及び構成される。ホース60は、第1、第2対向端部61、62を有し、第1端部61においてコレクタ20に結合され、第2端部62においてテスター40に結合される。
【0020】
図1に示されるように、貯蔵コンテナ30は、ベース(又は基礎部)310、トップ(又は上面部)311及びサイドウォール(又は側壁部)312を有するアイソ又はインターモーダル・コンテナ(an iso- or intermodal container)として提供され、それらは協働して内部(又はインテリア)300を規定する。何れにせよ、貯蔵コンテナ30は、数時間ないし数週間かけて何処かに至る旅で海外へ荷を輸送するために使用される。フレーム要素50は、一般に、港で提供され及びクレーンのコンポーネントとして提供されても良く、或る場所から他の場所へ(例えば、貨物船の船上から陸上の倉庫へ)、貯蔵コンテナ30を持ち上げて輸送することによって、貯蔵コンテナを操るように配置及び構成される。フレーム要素50による貯蔵コンテナ30の操作は、数秒(又は何秒間)ないし数分間にわたって続くかもしれない。
【0021】
実施形態によれば、フレーム要素50は1つ又は複数のレール51及び/又は1つ又は複数の昇降/移動アセンブリ52を含んでも良い。1つ以上のレール51は、貯蔵コンテナ30に取り付けることが可能であり、少なくとも1つのレール・フェース510を含む。昇降/移動アセンブリ52は、1つ以上のレール51の一部分に結合され、及び、滑車システム520又はその他の何らかの適切な空気式又は油圧式システム(some other suitable pneumatic or hydraulic system)として提供されることが可能である。図2に示されるように、代替的な実施形態によれば、フレーム要素50のうちの少なくとも1つ以上のコンポーネントが、倉庫内又は主要配送センター内に配置されても良い。
【0022】
図3A図3B及び図3Cに関し、コレクタ20は、貯蔵コンテナ30のベース310、トップ311又はサイドウォール312のうちの1つ以上に結合され、内部(又は内側)300に対するアクセス(又は近接手段)を有する。そのようなアクセスは、通気孔サンプリング、ダイレクト・サンプリング及び拡散サンプリングのうちの少なくとも1つ以上により可能にされても良い。図3Aに示されるように、コレクタ20は、ボディ21と、貯蔵コンテナ30における通気孔を覆う少なくとも1つのシュラウド(at least one shroud)22と、おそらくは正の圧力支援を提供する第2シュラウドを含む。ボディ21は、吸気口210と、ホース60の第1端部61に結合される排気口211と、吸気口210から排気口211への内部経路とを規定するように形成される。通気孔サンプリング動作において、シュラウド22は、内部300から換気される空気から、サンプルを引き出し、そのサンプルを吸気口210へ方向付け、それによりサンプルは内部経路に沿って排気口211及びホース60の方へ進行する。
【0023】
図3Bに示されるように、コレクタ20はボディ21とフランジ(a flange)24とを含んでも良い。フランジ24は、ボディ21に結合され、ボディ21のための支持部として貯蔵コンテナ30に取り付けることが可能である。最低限の位置決めの技巧(minimal positioning finesse)を必要とするダイレクト・サンプリング動作において、ボディ21は、内部30からホース60へ空気を進める流通経路を得るために、貯蔵コンテナ30のサイドウォール312を穿つよう配置される。ボディ21は、サンプリングの完了の際に、穿孔を自ら塞ぐように構成されて良い。
【0024】
図3Cに示されるように、コレクタ20はダクト25を含み、ダクト(又は導管)25は、ホース60に結合され、内部300の中に又は貯蔵コンテナ30の外部に配置することが可能である。何れにせよ、拡散サンプリング動作において、ダクト25は貯蔵コンテナ30の断面(又はセクション)を横切って掃引する。これにより、ダクト25は、それがセクションを横切る際にサンプルを引き出し、この点については、正又は負の圧力装置により支援されても良い。
【0025】
図4及び図5に関し、テスター40は、テスト・チェンバー(a test chamber)41と、場合によっては上記の送風機42と、励起エレメント(an excitation element)43と、スペクトル分析装置44と、囲い45とを含み、囲い45は、テスト・チェンバー41、送風機42、励起エレメント43及びスペクトル分析装置44のうち少なくとも何れかを収容する。図4に示されるように実施形態によれば、囲い45は、ホース60が貫通する概して固い不透明な壁を有する、テスター内部451を規定する第1の丈夫な四角いボディ450として提供されて良い。図5に示されるように代替的な実施形態によれば、囲い45は、概して固いが隙間のあるトレス・タイプ壁形態(generally solid but open tress-type wall features)を有する第2の丈夫な四角いボディ452として提供されても良い。
【0026】
テスト・チェンバー41は、細長い内部411を規定するように形成される管状ボディ410として提供されても良い。管状ボディ410は、送風機42によりアクセス可能な開口412を有し、少なくとも1つの反射面413及び少なくとも1つの吸収面414を含んでも良い。テスト・チェンバー41は、中央部分415及び開口416を更に含んでも良い。中央部分415は、管状ボディ410の残りの外表面に対して凸状に外方に膨張し(例えば、図5)、開口416は、細長い内部411のうちの中央部分415に対応する部分に対する光学的又はセンサ・アクセスを提供する。テスト・チェンバー41は、テスト・チェンバー41のパフォーマンス能力を向上させるために、中央部分415において、追加的なパラボラ収集/フォーカシング光学要素を更に含んでも良い。
【0027】
送風機42はファン又はコンプレッサー(又は圧縮器)として提供され、ホース60の第2端部に結合される。従って、送風機42は、ホース60を通る空気流を生成することが可能な換気要素として構成される。そのような空気流は、コレクタ20により貯蔵コンテナ30の内部300からサンプルが引き出されることを促す。送風機42は、内部300から引き出されたサンプル(一般的には、空気のようなガス状流体であって良い)を、開口412を経由してテスト・チェンバー41の細長い内部411の中へ方向付けるように配置及び構成される排気口420を含む。
【0028】
図4及び図5においては、送風機42がテスト・チェンバー40の中に収容されるように示されているが、代替的な実施形態が存在することは理解されるであろう。例えば、送風機42はコレクタ20のコンポーネントとして提供されても良い。そのような場合、図3Cに示されるように、送風機42はダクト25とホース60との間に配置され、それにより、送風機42は、ダクト25内に流体を引き込み、そのような流体をダクト25からホース60へ導くように配置される。
【0029】
励起エレメント43は、レーザー・ビームを生成するデバイス又は類似する特徴部として提供されて良い。従って、励起エレメント43は、レーザー・ビームを、テスト・チェンバー41の細長い内部411の中へ方向付け、それにより、細長い内部411においてサンプルを励起するように配置及び構成される。実施形態によれば、図1及び図4に示されるように、励起エレメント43は、テスター内部451の中でテスト・チェンバー41からずれた場所に搭載されても良い。動作の際、励起エレメント43は、目に安全な集中レーザー・ビーム光(例えば、1550nmの超高速レーザー・
ビーム)を、少なくとも1つの反射面413の方へ放出し、反射面は細長い内部411の中へ及び長軸に沿ってレーザー・ビーム430を方向付け、それにより、レーザー・ビーム430は少なくとも1つの吸収面414に至る。少なくとも1つの反射面413は或る焦準曲率(a focusing curvature)を有し、焦準曲率は、細長い内部411のうち中央部分415に対応する部分の中の所定の地点にレーザー・ビームを集中させる。代替的に、少なくとも1つの反射面413は追加的な光学レンズを介してレーザー・ビーム430を方向付け、追加的な光学レンズは、細長い内部411のうち中央部分415に対応する部分の中の所定の地点にレーザー・ビーム430を集中させる。
【0030】
代替的な実施形態では、図2及び図5に示されるように、励起エレメント43は、テスター40の外部における主要配送センターの剛直な面に搭載されても良い。動作の際に、励起エレメント43は、第2の固い四角いボディ452のトレス・タイプ壁形態を介して少なくとも1つの反射面413の方に、目に安全な集中したレーザー・ビーム光(例えば、1550nmの超高速レーザー・ビーム)を放出する。上述したように、少なくとも1つの反射面413は、以後、レーザー・ビーム430を、細長い内部411の中へその長軸に沿って方向付け、それにより、レーザー・ビーム430は少なくとも1つの吸収面414において終端する。また、少なくとも1つの反射面413は或る焦準曲率を有し、焦準曲率は、細長い内部411のうち中央部分415に対応する部分の中の所定の地点にレーザー・ビーム430を集中させる、あるいは、少なくとも1つの反射面413は追加的な光学レンズを介してレーザー・ビーム430を方向付け、追加的な光学レンズは、細長い内部411のうち中央部分415に対応する部分の中の所定の地点にレーザー・ビーム430を集中させる。
【0031】
細長い内部411のうち中央部分415に対応する部分の中の所定の地点にレーザー・ビーム430を集中させることは、送風機42により細長い内部411の中へ方向付けられるサンプルが、励起されるようにし、励起状態でプラズマ・ボール又はフィラメント(a plasma ball or filaments)を生成することを引き起こす。スペクトル分析装置44は、テスト・チェンバー41に結合され、及び、サンプルのガス状流体における対象粒子の濃度が閾濃度を超えていることの証拠を求めて、励起されたサンプルのプラズマ・ボール/フィラメントを分析するように配置及び構成される。閾濃度は、対象粒子のタイプ、及び、貯蔵コンテナ30の内部におけるサンプルの滞留時間に応じて決定される。
【0032】
実施形態によれば、スペクトル分析装置44は、分光装置、分光計又は分光光度計として提供されて良い。後者の場合、スペクトル分析装置44は、信号のスペクトルを分析及び分解し、その蛍光強度、エミッタンス(emittance)及び強度も測定する。何れにせよ、スペクトル分析装置44は、コンピューティング・デバイス440、光ファイバ・センサ441及び光ファイバ・ケーブル442を含み、その光ファイバ・ケーブル442により光ファイバ・センサ441はコンピューティング・デバイス440に結合される。光ファイバ・センサ441は、細長い内部411の中で生成されたプラズマ・ボール/フィラメントを光学的にセンシングするように開口416内に配置可能又は実装可能であり、また、光センシングを反映する光信号を生成するように構成される。この光信号は、光ファイバ・ケーブル442に沿ってコンピューティング・デバイス440に伝達可能であり、コンピューティング・デバイス440は、光信号を受け入れるものであり、サンプルのガス状流体における対象粒子の濃度が閾濃度を超えていることの証拠を求めて分析を実行するように構成される。
【0033】
実施形態によれば、検出装置10は、所与の貯蔵コンテナ30が、兵器化された対象物(例えば、化学又は生物兵器、兵器用核分裂物質又は核兵器を含む積み荷など)を輸送している危険があるか否かを識別するように設計されても良い(簡明化のため、以下の説明は、貯蔵コンテナが核兵器を輸送するために使用されている場合に関連している)。貯蔵コンテナ30が兵器用核分裂物質又は核兵器を含む場合、貯蔵コンテナ30中の積み荷は、内密に輸送されるSNMsを含んでいるかもしれず、SNMsは気密封止によって簡単に封止することができないSNM放射能漏れを生じやすい。そのようなSNM放射能漏れは、漏洩したSNM放射線と貯蔵コンテナ30の内部300の空気との相互作用による同位体分子副産物の発生の増加を招く。同位体分子副産物は、DHO、14CO、14CO2及びH36Clのうちの少なくとも1つ以上を含んでも良いが、これらの例に限定されない。
【0034】
一例として、貯蔵コンテナ30が典型的な低収量のプルトニウム兵器を輸送するために利用される場合、プルトニウムは約4×105n/sの中性子放出率を有する。
14N+n → 14C+p 及び 35Cl(n,γ)36Cl
に従って、中性子運動エネルギは、内部300において周辺・海面大気圧 (an ambient sea fairing atmosphere)で同位体分子種を生成し、ここで、14C及び36Clは約1兆分の1の中性子放出を有し、新たに生成される同位体の化学力学エネルギは優先的な化学結合になることが理解される。即ち、14Cの場合には14COであり、36Clの場合にはH36Clである。大気圧における14COの自然の定常状態バックグランド濃度が、1cm3当たり約6-10分子である場合(H36Cl本来のバックグランド濃度は、分子がより短期間しか生き延びないので、更に低いことが予想される)、輸送コンテナ30におけるそれら各自の濃度は極めて高くなる。即ち、40×8×8立方フィートの体積の場合、数日の間に、14CO濃度は、拡散や対流などに依存して、1cm3当たり約8000分子もの大きさに及ぶほど高くなり得る。
【0035】
動作の際に、スペクトル分析装置44は、サンプルのガス状流体における同位体分子濃度の証拠を求めて、励起されたサンプルを分析する。詳細に言えば、スペクトル分析装置44のコンピューティング・デバイス440が、上記の同位体分子の濃度が閾濃度を超えている証拠を求めて、励起されたサンプルのスペクトルを分析する。この閾濃度は、貯蔵コンテナ30の内部300におけるサンプルの滞留時間に基づいて、探索される特定の同位体分子について規定されても良い。即ち、貯蔵コンテナ30が出航した港からその目的地に至るまでに要する期間に基づいて、14COに対して及びH36Clに対して第1及び第2閾濃度がそれぞれ規定されても良い。従って、それぞれの同位体分子について、第1及び第2閾濃度は(例えば、何週間も又は少なくとも何日にもわたる)より長い旅の場合には増やされても良い。
【0036】
更に、別の実施形態によれば、閾濃度は、誤検出結果(false positive results)の所定の最大数(例えば、10000分の1)を達成するように調整されても良い。そのような場合、誤検出による読み取りは、貯蔵コンテナ30が拡張された期間及びコストにわたって更に検査される結果をもたらすので、閾濃度が増やされ、なぜなら、スペクトル分析装置44は、取引の際に許容できない影響をもたらす過剰な数のフォールス・ポジティブ読み取り値を与えてしまうからである。更に、スペクトル分析装置44の通信デバイス440は、複数の同位体分子を一度に探索するように、及び/又は、放射能兵器、生物兵器及び/又は化学兵器の化学的特徴(chemical signatures)を探すように、プログラミングされ又は調整されることが可能であることが理解されるべきである。
【0037】
核爆発装置の公表されている中性子特徴から、典型的な輸送コンテナの中で数日後に形成される14COの予想される同位体濃度の推定値は、1cm3当たり104分子と同程度に高くなる可能性があり、バックグランドを上回るオーダーの大きさのレベルをもたらす。試料濃度は、例えば、対流、外気との混合、及び僅かな宇宙線中性子相互作用などに依存して希薄化してゆくかもしれないが、検出装置10は1秒より短い測定時間とともに1cm3当たり約100分子と同程度に少ない場合での利用に有効であり得る(それでもバックグランドより10倍多い)。
【0038】
図1図2及び図6に関し、図1又は図2の検出装置10は、コントローラ60及び二次的なスクリーニング・システム70を更に含んでいても良い。コントローラ60は、テスター40に動作可能に結合され、及び、送風機42、励起エレメント43及びスペクトル分析装置44を制御し、かつ、疑義のある読み取りの識別のために証拠を分析するように構成される。特に、コントローラ60は、ガス状流体の複数のサンプルをテスト・チェンバー41の方に方向付けるように送風機42を制御しても良い。コントローラ60は、テスト・チェンバー41内の複数のサンプルの各々を順に励起するように、励起エレメント43を制御し、かつ、複数の励起させられたサンプルの各々を分析するように、スペクトル分析装置44を更に制御しても良い。二次的なスクリーニング・システム70が提供され、それにより、コントローラ60により疑義のある読み取りの識別に関連付けられる貯蔵コンテナは、二次的な又は更に大がかりなスクリーニング処理のために転送可能である。
【0039】
本願で使用される用語は、特定の実施形態を説明するようにしか目的とされておらず、本発明の限定であるようには意図されていない。本願で使用されるように、「ある」及び「その」(“a”, “an” and “the”)という形式の語は、文脈上明らかに別意でない限り、複数の形式を含むように意図されている。「有する(comprises)」及び/又は「有している(comprising)」等の用語は、それが使用される場合には、言及した特徴、数、ステップ、オペレーション、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定しており、1つ以上の他の特徴、数、ステップ、オペレーション、要素、コンポーネント及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除していないことが、更に理解されるであろう。
【0040】
以下の特許請求の範囲における対応する構造、物質、動作及び全ての手段又はステップの均等物並びに機能要素は、他の請求項の要素との組み合わせで機能を実行する任意の構造、物質又は動作を、具体的に請求されているように包含するように意図されている。本発明の説明は、例示及び説明を目的として提供されており、網羅的であるようには意図されておらず、開示された形式に本発明を限定するようにも意図されていない。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者にとって明らかであろう。説明される実施形態は、本発明及び実際の応用例の原理を最良に説明するため、及び、他の当業者が、想定される特定の利用に相応しくなるように、様々な修正とともに様々な実施形態について、他の当業者が本発明を理解できるようにするために選択され記述されている。
【0041】
本発明に対する好ましい実施形態が説明されてきたが、現在及び将来の双方において当業者は以下の特許請求の範囲に属する様々な改善や改良を行って良いことが理解されるであろう。これらの特許請求の範囲は最初に記載される本発明の適切な保護範囲を維持するように解釈されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6