(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配信条件として少なくとも、配信先の属性を示したターゲティング条件が設定されている各コンテンツについて、各コンテンツに設定された配信条件に従って端末装置に配信するコンテンツを選択する配信制御部と、
前記配信制御部によって選択されることで端末装置に配信されるコンテンツについて、配信開始から配信期間の終了に至る前の或る時点までの表示回数の増加勾配値と、配信期間長と目標表示回数に基づいて求められる表示回数の理想勾配値との比較処理を行う増加傾向判定部と、
前記増加傾向判定部の比較結果に応じて当該コンテンツの配信頻度が可変されるように、コンテンツに設定されたターゲティング条件とする配信先の属性の数を増減することで配信条件の緩和又は強化を行う配信条件調整部と、を備えた
情報処理装置。
配信条件として少なくとも、配信先の属性を示したターゲティング条件が設定されている各コンテンツについて、各コンテンツに設定された配信条件に従って端末装置に配信するコンテンツを選択する配信制御機能と、
前記配信制御機能により選択されることで端末装置に配信されるコンテンツについて、配信開始から配信期間の終了に至る前の或る時点までの表示回数の増加勾配値と、配信期間長と目標表示回数に基づいて求められる表示回数の理想勾配値との比較処理を行う増加傾向判定機能と、
前記増加傾向判定機能での比較結果に応じて当該コンテンツの配信頻度が可変されるように、コンテンツに設定されたターゲティング条件とする配信先の属性の数を増減することで配信条件の緩和又は強化を行う配信条件調整機能と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
配信条件として少なくとも、配信先の属性を示したターゲティング条件が設定されている各コンテンツについて、各コンテンツに設定された配信条件に従って端末装置に配信するコンテンツを選択する配信制御機能と、
前記配信制御機能により選択されることで端末装置に配信されるコンテンツについて、配信開始から配信期間の終了に至る前の或る時点までの表示回数の増加勾配値と、配信期間長と目標表示回数に基づいて求められる表示回数の理想勾配値との比較処理を行う増加傾向判定機能と、
前記増加傾向判定機能での比較結果に応じて当該コンテンツの配信頻度が可変されるように、コンテンツに設定されたターゲティング条件とする配信先の属性の数を増減することで配信条件の緩和又は強化を行う配信条件調整機能と、
をコンピュータに実行させるプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.システム構成>
<2.広告サーバの処理機能及び広告データベース>
<3.広告配信の調整処理の概要>
<4.配信広告選択処理例I>
<5.配信広告選択処理例II>
<6.配信広告選択処理例III>
<7.調整処理例I>
<8.調整処理例II>
<9.調整処理例III>
<10.まとめ及び変形例>
<11.プログラム及び記憶媒体>
【0018】
<1.システム構成>
図1に複数の店舗が出店する仮想的な商店街を実現するEC(electronic commerce(電子商取引))システムとして機能するネットワークシステムの構成例を示している。
図1における広告サーバ3が本発明請求項の情報処理装置の実施の形態に相当する。実施の形態の広告サーバ3はユーザに電子商取引サーバ2が配信するウェブサイトにおいて掲載する広告コンテンツを提供する情報処理装置である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係るECシステムは、電子商取引サーバ2(以下「ECサーバ2」という)、広告サーバ3、複数の店舗端末4、複数のユーザ端末5がネットワーク1により相互に通信可能に接続されている。
またECサーバ2は電子商取引データベース6にアクセス可能とされ、広告サーバ3は広告データベース7にアクセス可能とされている。
なお以下、データベースを「DB」と表記し、電子商取引データベース6を「電子商取引DB6」、広告データベース7を「広告DB7」と表記する。
【0020】
ネットワーク1の構成は多様な例が想定される。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、CATV(Community Antenna TeleVision)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が想定される。
またネットワーク1の全部又は一部を構成する伝送媒体についても多様な例が想定される。例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、電話線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)のような赤外線、ブルートゥース(登録商標)、802.11無線、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0021】
ECサーバ2は、例えば仮想商店街のポータルとして機能する仮想商店街サーバである。ECサーバ2は、店舗端末4やユーザ端末5から受信した処理要求に基づく処理を実行する。例えばユーザへの商品やサービスの検索ページの提供、各店舗に対する店舗ページの提供、ユーザの検索に応じた商品やサービスの検索、検索結果一覧表示、広告サーバ3との連携による広告表示、商品購入に関する処理、店舗管理、ユーザ管理などを行う。
【0022】
店舗端末4は、仮想商店街に出店する店舗側で使用される情報処理装置として示している。店舗端末4は仮想商店街で販売する商品の情報等をECサーバ2を介して電子商取引DB6に登録することなどに用いられる。例えば、ECサーバ2から提供される専用画面が店舗端末4の表示部に表示される。店舗の担当者はこの専用画面を介して商品の情報等を電子商取引DB6に登録する。
【0023】
ユーザ端末5は、仮想商店街を利用して商品やサービスの購入を行うユーザによって操作される情報処理装置として示している。このユーザ端末5は、例えば、通信機能を備えたPC(Personal Computer)やフィーチャーフォンやPDA(Personal Digital Assistant)、或いは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスなどが想定される。
【0024】
広告サーバ3はECサーバ2と連携して、仮想商店街を形成する各種ウェブページに広告を表示させるための各種制御を行う。電子商取引システムでは、ユーザ端末5の表示部に表示されるウェブページに1又は複数の広告領域が設けられており、複数の広告コンテンツのうちから選択された広告コンテンツが広告領域に表示される。広告サーバ3はこのような広告表示として各広告が望ましい表示回数となるようにするための処理を行う。
【0025】
本実施の形態の場合、例えば、ECサーバ2ではHTTP(Hypertext Transfer Protocol)デーモンが起動される。また店舗端末4又はユーザ端末5ではブラウザが起動され、店舗端末4又はユーザ端末5からは、ブラウザを介して処理要求(HTTPリクエスト)がECサーバ2に送信される。ECサーバ2からは、上記の処理要求に対応する処理結果(HTTPレスポンス)が店舗端末4又はユーザ端末5に送信される。例えば、ウェブページ記述言語で記述されたページデータが店舗端末4又はユーザ端末5に送信される。そして、このページデータに基づいて、処理結果に基づくウェブページ画面が店舗端末4又はユーザ端末5の表示部に表示される。
ECサーバ2はこのような動作によりユーザ端末5に仮想商店街としてのウェブページを提供し、またユーザ端末5からの要求に応じた商品検索、商品提示、広告提示、決済処理等を行う。またECサーバ2は店舗端末4に対しても同様の動作で、商品登録ページの提供や、店舗端末4からの要求に応じた商品登録などを行う。
【0026】
ECサーバ2がこれらの処理を行うために電子商取引DB6に必要な情報が格納される。図では店舗テーブル6a、商品テーブル6b、ユーザテーブル6c、購入履歴テーブル6dを例示している。
店舗テーブル6aには、仮想商店街に出店している店舗に関するデータが登録される。例えば各店舗について、店舗識別子としての店舗ID(identification)、名称、住所、電話番号、及び店舗に関するウェブページ(店舗ページ)へのリンク情報(URL(Uniform Resource Locator))などが登録される。
商品テーブル6bには、仮想商店街で取り扱っている商品に関するデータが登録される。例えば商品テーブル6bには、各商品について、商品識別子としての商品ID、当該商品を販売する店舗の店舗ID、商品のカテゴリー、名称、価格、在庫、商品に関するウェブページ(商品ページ)へのリンク情報(URL)などが登録される。
ユーザテーブル6cには、仮想商店街を利用するユーザに関するデータが登録される。例えば登録されたユーザ毎に、ユーザID、ログインのパスワード、住所、氏名、性別や年齢等の属性情報、決済情報、電子メールアドレスなどが登録される。
購入履歴テーブル6dには、仮想商店街で行われた取引の履歴に関するデータが登録される。例えばユーザID毎に、購入商品の商品ID及び商品に関する情報、購入店舗、購入日時、購入価格等が登録される。
ECサーバ2はこのような電子商取引DB6にアクセスして各種処理に必要な情報を取得する。
【0027】
また広告サーバ3が広告表示のための制御処理を行うために必要な情報が広告DB7に格納されている。広告DB7には例えば、広告テーブル7a、実績テーブル7bが設けられる。
広告テーブル7aには、店舗によって登録された広告の情報(広告コンテンツ)が登録されている。実績テーブル7bには、各広告についての広告効果を評価するための実績データなどが登録される。各テーブルの具体的なデータ内容については
図4,
図6で後述する。
広告サーバ3はこのような広告DB7にアクセスして広告表示のための処理に必要な情報を取得する。
【0028】
これらの電子商取引DB6や広告DB7は、ECサーバ2や広告サーバ3がアクセス可能とされていればどのような形態で実現されていてもよい。例えば電子商取引DB6は、ECサーバ2とは別のサーバコンピュータ内に構築されていてもよいし、ECサーバ2内に構築されていてもよい。また広告DB7は、広告サーバ3とは別のサーバコンピュータ内に構築されていてもよいし、広告サーバ3内に構築されていてもよい。
また電子商取引DB6や広告DB7の一部又は全部が別体、遠隔地等のコンピュータシステムに設けられていてもよい。もちろん電子商取引DB6や広告DB7内の各テーブルが一つの装置(例えば一つのHDD等)内に形成されている必要はない。また各DBのそれぞれが、それぞれ1つのDBとして構成される必要もない。例えばユーザテーブル6cとして記憶される情報が、複数のテーブル(例えばログイン用のユーザテーブルと取引用のユーザテーブルなど)により記憶管理されてもよい。
例示した各DBやテーブルは、実施の形態の処理に関連する情報の記憶部を例示したものに過ぎない。
【0029】
また広告サーバ3及びECサーバ2は別体のサーバコンピュータによって実現されるようにしてもよいし、一台のサーバコンピュータによって実現されるようにしてもよい。
また広告サーバ3及び広告DB7による広告サービスの提供者(すなわち、広告サーバ3及び広告DB7の管理者)と、仮想商店街の提供者(すなわち、ECサーバ2及び電子商取引DB6の管理者)は同じ業者であってもよいし異なる業者であってもよい。
【0030】
続いて
図1に示したECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、ユーザ端末5を構成する情報処理装置のハードウエア構成を
図2に示す。ECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、ユーザ端末5として示した各装置は、情報処理および情報通信が可能な
図2に示すようなコンピュータ装置として実現できる。
【0031】
図2において、コンピュータ装置のCPU(Central Processing Unit)101は、ROM( Read Only Memory)102に記憶されているプログラム、または記憶部108からRAM( Random Access Memory )103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104には、入出力インタフェース105も接続されている。
入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109が接続されている。
入力部106はキーボード、マウス、タッチパネルなどにより構成される。
出力部107はLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどにより構成される。
記憶部108はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ装置などにより構成される。
通信部109はネットワーク1を介しての通信処理や機器間通信を行う。
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてメディアドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111が適宜装着され、リムーバブルメディア111に対する情報の書込や読出が行われる。
【0032】
このようなコンピュータ装置では、通信部109による通信によりデータやプログラムのアップロード、ダウンロードが行われる。またリムーバブルメディア111を介したデータやプログラムの受け渡しが可能である。
CPU101が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、ECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、或いはユーザ端末5としての必要な情報処理や通信が実行される。
なお、ECサーバ2、広告サーバ3、店舗端末4、ユーザ端末5を構成する情報処理装置は、
図2のようなコンピュータ装置が単一で構成されることに限らず、複数のコンピュータ装置がシステム化されて構成されてもよい。複数のコンピュータ装置は、LAN等によりシステム化されていてもよいし、インターネット等を利用したVPN等により遠隔地に配置されたものでもよい。複数のコンピュータ装置には、クラウドコンピューティングサービスによって利用可能なサーバ群(クラウド)としての情報処理装置が含まれてもよい。
【0033】
<2.広告サーバの処理機能及び広告データベース>
ここでサーチワード広告に関する動作とそのための広告サーバ3の処理機能について説明する。
【0034】
広告を行うことを希望する広告主はECサーバ2や広告サーバ3を運営する事業者或いは代理店とウェブサイト上での広告掲載の契約を結ぶ。
各種広告主の広告コンテンツは広告DB7に登録され、広告サーバ3によって適宜ウェブページ上での表示が行われるように管理される。
通常、広告契約では、広告期間とインプレッション(IMP)数(表示回数)が設定される。例えば或る広告コンテンツの露出が行われる期間(配信期間)は、2016年7月1日から2016年7月31日までの期間とされ、目標のIMP数が500万回などのように設定される。
また、より有効な広告を実現するため、各広告コンテンツにはターゲティング設定が行われる。例えばターゲットとするユーザ属性として、性別、年齢層、住所などがターゲティング条件として設定される。化粧品の広告のターゲティング条件を「20歳から39歳」「女性」とするような例がある。
【0035】
広告サーバ3は、このような広告コンテンツを配信期間に、設定したターゲティング条件に従って、目標のIMP数となる配信を実現するよう処理を行う。
例えば広告サーバ3は、ECサーバ2からの広告要求に応じて適切な広告コンテンツを選択し、ECサーバ2に送信する。この際、ECサーバ2からは、ウェブページ要求を行ったユーザのユーザ属性を広告サーバ3に通知することで、広告サーバ3はターゲティング条件を確認して、適切な広告コンテンツを選択して送信することができる。ECサーバ2は、広告サーバ3が選択した広告コンテンツをウェブサイト上の広告エリアに組み込み、ウェブサイトをリクエストしてきたユーザ端末5に配信する。
或いは広告サーバ3には、ユーザ端末5からの広告リクエストが発生する場合もある。例えばECサーバ2が広告エリアに広告リクエストのプログラム設定がなされたウェブページを送信する。当該ウェブページはユーザ端末5において起動されたブラウザによって表示されるが、ブラウザがリンク設定を解釈し、広告サーバ3に広告要求を行う。この場合も広告サーバ3は適切な広告コンテンツを選択し、送信する。ユーザ属性等はユーザがECサーバ2に対してログインしてれば、ECサーバ2を介して確認することができるため、ターゲティング条件の判断も可能である。
【0036】
本実施の形態の広告サーバ3の機能構成を
図3に示す。
広告サーバ3は、広告サーバ3としてのコンピュータ装置のCPU101(
図2参照)がプログラムに基づいて実行する処理機能として、広告配信制御部30、増加傾向判定部31、配信条件調整部32、DB管理部33を有する。
なお、以下説明するこれらの各機能による処理の全部又は一部をハードウエアにより実現してもよい。
また各機能をソフトウエアで実現する場合に、各機能がそれぞれ独立したプログラムで実現される必要はない。1つのプログラムにより複数の機能の処理が実行されてもよいし、1つの機能が複数のプログラムモジュールの連携で実現されてもよい。
また各機能は複数の情報処理装置に分散されていてもよい。さらに機能の1つが、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0037】
DB管理部33は、広告DB7の各テーブルの更新管理を行う。例えば新たな広告コンテンツについての広告テーブル7aへの登録処理や、配信を終了した広告コンテンツの広告テーブル7aからの削除等を行う。
またDB管理部33は、各広告コンテンツの実績情報を例えばECサーバ2等から受信することに応じて実績テーブル7bの更新管理を行う。
【0038】
広告配信制御部30は、入力された広告要求に応じて適切な広告コンテンツを選択して送信する処理を行う。即ちECサーバ2を介してユーザ端末5に送信する広告コンテンツ、或いは広告サーバ3が直接ユーザ端末5に送信する広告コンテンツについて、配信条件に従って選択し、リクエスト元に送信する。配信条件とは、例えばターゲティング条件である。即ち広告配信制御部30はユーザ端末5を使用するユーザの属性情報と各コンテンツに設定されたターゲティング条件を照らして、適切な広告コンテンツを選択し、リクエスト元に送信する。
このため広告サーバ3は広告要求とともにユーザ属性を受信する。また本実施の形態では特に、ターゲティング条件として、端末属性を用いる場合もある。端末属性とは、ウェブページを要求しているユーザ端末5の機器情報(例えばPCであるかスマートフォンであるかなど)や、ユーザ端末5で表示されているブラウザのウインドウサイズの情報などである。広告配信制御部30は広告要求の際に端末属性を取得し、端末属性に応じた広告コンテンツの選択も行う。
さらに配信条件として出現率を考慮する場合もある。出現率とは、例えばターゲティング条件の全部又は一部が同じ複数の広告コンテンツについて、それぞれどの程度の割合で配信を行うかを設定した確率である。例えば同じ広告主の2つの広告コンテンツ(広告Aと広告B)をターゲティング条件が共通の1つの広告グループとし、広告Aを70%、広告Bを30%というように出現率を設定する。この場合、当該広告グループがターゲティング条件に合致した場合、広告配信制御部30は70%の確率で広告Aを選択するという抽選処理を行うことになる。
なお、出現率は必ずしもグループ化された複数の広告コンテンツの間の相対的な露出割合として設定されるものに限らず、各広告について選択される確率の設定として設けられてもよい。
【0039】
増加傾向判定部31は、広告配信制御部30によって選択されることでユーザ端末5に配信される広告コンテンツについて、配信開始から配信期間の終了に至る前の或る時点までの表示回数の増加勾配値と、配信期間長と目標表示回数に基づいて求められる表示回数の理想勾配値との比較処理を行う。これは配信条件調整のためである。
そして配信条件調整部32は、増加傾向判定部31の比較結果に応じてコンテンツの配信頻度が可変されるように配信条件を変更する処理を行う。
例えば広告コンテンツを選択して配信する場合に、予定された一定の配信期間において目標のIMP数(表示回数)を達成するように、各広告コンテンツに設定された配信条件を調整する。この場合に、広告コンテンツの表示回数についての増加勾配値と理想勾配値の比較結果に基づく調整を行う。
増加勾配値とは、時間軸と表示回数軸を考えた場合の傾きの値、つまり単位時間長に対するIMP数の増加数の比の値である。
配信する広告は、あくまで配信条件に沿って選択されたものとすることで、有意な広告効果を得る必要がある。例えば50代の男性に、10代女子学生用の商品の広告を提示しても、有意な広告とはならない。
ところが、このように配信条件に沿った広告選択を行うと、アクセスしてくるユーザによって選択される広告がある程度決まるため、必ずしも各広告コンテンツが目標のIMPに届かないということになる。つまり広告サーバ3の管理者が恣意的に各広告のIMP数をコントロールすることはできない。
そこで本実施の形態では、配信条件に沿いつつ、配信期間内に目標IMP数をクリアできるように調整処理を行うようにしている。
さらに広告配信は、単に配信期間内に目標IMP数をクリアするだけでなく、配信期間内にまんべんなく適度なIMP数が実現できていることが重要である。例えば30日で100万インプレッションを目標とした場合に、3日で50万インプレッションが実現され、残りの27日間で残りの50万インプレッションというような配信は好ましくない。設定した配信期間に、継続的に適度な露出がおこなわれなければ広告効果が低減するためである。そこで本実施の形態の調整処理は、配信期間中にIMP数が偏らないような配信の可能性も高めるようにしている。
【0040】
このような機能を有する広告サーバ3がアクセスする広告DB7の各テーブルの内容例を説明する。
【0041】
図4は広告テーブル7aの一例を示している。広告テーブル7aは、広告ID、広告主ID、広告データ、配信期間、目標IMP、配信条件、広告属性、許容ユーザ属性の各フィールドを有する。
広告IDのフィールドには、各広告についてユニークに付与される識別情報として広告ID(A001、A002・・・)が登録される。
広告主IDのフィールドには、広告を行うことを希望している広告主のID(S001、S002・・・)が登録される。
広告データのフィールドには、広告をユーザ端末5の表示部に表示するために必要な広告コンテンツのデータが登録される。例えば、広告画像データ、広告文データ、リンク情報(例えば、店舗ページ又は商品ページへのリンク情報)などが広告データとして登録される。
【0042】
配信期間のフィールドには、その広告について設定された配信開始日時、配信終了日時の情報が登録される。
目標IMPのフィールドには、その広告について設定された目標IMP数が登録される。
【0043】
配信条件のフィールドには、その広告について設定された配信条件が登録される。この例では、配信条件を大別すると、出現率とターゲティング条件としている。
出現率に関しては、出現率としてのパーセンテージと、その出現率が適用される広告グループが登録されている。例えば図の例では、広告IDがA001,A002の2つの広告コンテンツは、同じ広告グループGP1が設定され、それぞれが出現率40%、60%とされている状態を示している。
ターゲティング条件に関しては、ユーザ属性と端末属性が設定可能とされる。上述の通りユーザ属性は提示に適したユーザの属性が指定される。端末属性は提示に適したユーザ端末5の属性が指定される。
配信条件調整部32による調整処理によっては、以上の配信条件の一部又は全部が更新されることになる。
【0044】
広告属性のフィールドには、その広告コンテンツの属性として、画像サイズの情報や、静止画/動画の別などの情報が登録される。
例えば
図5Aには、ウェブページに幅サイズの大きな広告90が表示されている状態、
図5Bには幅サイズが比較的小さい広告91が表示されている状態を示している。例えばこれらのようにサイズの異なる広告コンテンツが存在する。特に大型の広告は、広告効果を高めたい場合に有効である。
【0045】
許容ユーザ属性のフィールドには、配信条件におけるターゲティング条件として設定可能なユーザ属性が登録される。これはターゲティング条件として追加できる条件要素、つまり広告効果を考えた場合に、ターゲットとして許容できるユーザの属性の各種が登録されるものである。例えば広告主が予め広告対象として選択したユーザの属性である。
ターゲティング条件として設定される初期のユーザ属性は、例えば許容ユーザ属性の条件要素が選択されて設定されることが考えられる。
この許容ユーザ属性は、ターゲティング条件が変更される際にも、あくまでも許容される範囲内でターゲティング条件の変更が行われるようにするために登録される。
【0046】
図6は実績テーブル7bの一例を示している。実績テーブル7bは、広告効果を示す各種指標値に関するテーブルである。実績テーブル7bは広告ID、表示回数(インプレッション(IMP)数)、クリック回数、CTR(Click Through Rate)、アクセス数、コンバージョン数、CVR(Conversion Rate)、商品売上値、前回調整時の表示回数(IMPp)の各フィールドを有している。
各行の情報は、広告ID(A001,A002・・・)により、広告テーブル7aに登録された各広告と紐づけられる。
【0047】
表示回数(IMP数)のフィールドには、広告がユーザ端末5の表示部に表示された回数(広告がユーザ端末5に配信された回数)が登録される。
クリック回数のフィールドには広告がクリックされた回数が登録される。
広告がユーザ端末5の表示部に表示される(ユーザ端末5に配信される)ごとに、表示回数フィールドの値がインクリメントされる。また、ユーザ端末5の表示部に表示された広告がクリックされるごとに、その旨が広告サーバ3に通知され、クリック回数フィールドの値がインクリメントされる。
【0048】
CTRのフィールドには、広告効果を示す指標値の一種であるCTRが登録される。CTRはクリック回数を表示回数で除することによって算出される。CTRの値が高いほど、広告効果が高いといえる。
アクセス数のフィールドには、広告領域が設定されたウェブページへのアクセス数(ページビュー)が登録される。
コンバージョン数のフィールドには、広告主が望む最終成果(例えば商品購入又は資料請求等)まで至った件数が登録される。
広告領域が設定されたウェブページへのアクセスが発生するごとに、その旨が広告サーバ3に通知され、アクセス数の値がインクリメントされる。また、広告主が望む最終成果(例えば商品購入又は資料請求等)まで至るごとに、その旨が広告サーバ3に通知され、コンバージョン数の値がインクリメントされる。
【0049】
CVRのフィールドには、広告効果を示す指標値の一種であるCVRが登録される。CVRはコンバージョン数をアクセス数で除することによって算出される。コンバージョン・レートの値が高いほど、広告効果が高いといえる。なお、アクセス数の代わりにユニークユーザ数を用いるようにしてもよい。ユニークユーザ数とは、広告領域が設定されたウェブページへのアクセス者数の重複を除くようにしてカウントしたものである。
【0050】
商品売上値のフィールドには、広告をクリックしたユーザが広告主たる店舗において実際に購入した商品についての売上総額が登録される。従って商品売上値も広告効果を示す指標値の一種であり、商品売上値が高いほど、広告効果が高いといえる。
【0051】
前回調整時の表示回数(IMPp)のフィールドは、本実施の形態における調整処理のために用いるフィールドとされ、逐次、調整処理が行われた時点でのIMP数が、値IMPpとして登録される。詳細は後述する。
【0052】
<3.広告配信の調整処理の概要>
広告サーバ3による広告配信の調整処理の概要を説明する。
調整の目的は、広告コンテンツについて、配信条件をある程度保つことで有効な広告効果を維持しながら、配信期間内に目標IMP数を達成すること、及び期間中にIMP数の偏りがないようにする(期間中にまんべんなく適度なIMP数となるようにする)ことである。
つまり所期の広告目的を、有効な広告効果を発揮した状態で達成することである。
さらに望ましくは、目標IMPに達成することに加え、あまりにIMP数が過剰にならないようにすることもある。
目標IMPを越える配信は、広告主にとっては広告効果が高くなることで好ましいと考えられるが、場合によっては望ましくないこともある。例えばIMP数で広告費用が変動する場合に、広告主の予算の都合に合致しないことも生ずる。また広告業者側にとっては、広告主が求めていないほど過剰にIMP数が超過してしまうことは、他の広告の表示機会を失っていることにもなるためである。そこで、なるべく目標IMP数をクリアしたうえで、過剰なIMP数とならないような調整を行う場合もある。
【0053】
まず調整処理の基本的な考え方を
図7Aで説明する。
図7Aの横軸は時間、縦軸はIMPの達成率である。仮に配信期間を1週間(7日間)とする例を挙げる。目標IMPは、例えば100万インプレッション、500万インプレッションなどとして設定されるが、その目標値を縦軸の100%としている。なお、
図7B、
図7C、
図7D及び後述の
図13Aから
図13D,
図15Aから
図15Dの縦軸、横軸も同様である。
【0054】
広告サーバ3(増加傾向判定部31)は、広告コンテンツについて、配信開始から配信期間の終了に至る前の或る時点までのIMP数の増加勾配値と、配信期間長と目標表示回数に基づいて求められる表示回数の理想勾配値との比較処理を行う。
図7Aでは、当該「或る時点」を配信開始から3日目の時点としている。3日目のIMP数が想定より伸びておらず、増加勾配値はラインJ1の傾きの値であったとする。
理想的には、7日間でIMP数が100%となるため、破線で示すラインL1の傾きの値が理想勾配値となる。
ここでラインL1としての理想勾配値とラインJ1としての現実の増加勾配値を比較すると、(理想勾配値)>(増加勾配値)となる。このままでは目標IMP数を達成できない傾向といえる。そこで調整処理では、当該広告コンテンツがより配信されやすくするように、配信条件を調整する。
例えばターゲティング条件を緩和したり、出現率を上昇させる。
【0055】
もちろんターゲティング条件の緩和は、本来の広告対象を逸脱しない範囲での緩和とする。
例えば最初の配信条件としてのターゲティング条件が、
(20歳から29歳)AND(男性)
であった場合に、30歳から39歳というユーザ属性をオア条件で追加し、
{(20歳から29歳)OR(30歳から39歳)}AND(男性)
のように変更する。
また例えば最初の配信条件としてのターゲティング条件が、地域、年齢層、性別のアンド条件として、
(関東在住)AND(20歳から29歳)AND(男性)
とされていた場合に、ユーザ属性の1つの在住地域を外して
(20歳から29歳)AND(男性)
という年齢層、性別のアンド条件とするなどである。
【0056】
このように配信条件を調整することで、配信頻度が増えることが期待される。例えばラインJ2で示すようにIMP数が増加することで、目的IMPが達成できる可能性が高まる。
【0057】
なお、図示していないが、(理想勾配値)<(増加勾配値)となった場合は、逆にIMP数が想定より伸びすぎていることになるため、配信条件を厳しくする。即ち出現率を低下させたり、ターゲティング条件を厳しくする。
ターゲティング条件を厳しくする場合は、例えば、
(20歳から29歳)AND(男性)
という条件を、商品の販売地域を考慮して、
(関東在住)AND(20歳から29歳)AND(男性)
となどとしてターゲティング条件を厳しくする。
【0058】
なおターゲティング条件の変更のためには、アンド条件或いはオア条件として配信条件から追加又は削除可能な条件要素を、予め設定しておくことが適切である。そのため
図4に示したように、ターゲティング条件として適切な条件要素を許容ユーザ属性として登録しておく。
例えば或る商品Aについて許容ユーザ属性は「20歳から29歳」「30歳から39歳」「15歳から19歳」「男性」「日本在住」「関東在住」「東京在住」などとして登録されている。この場合に、初期のターゲティング条件としてのユーザ属性が、「20歳から29歳」「男性」「日本在住」などと選択されたとする。
ユーザ属性の緩和又は強化は、これらの許容ユーザ属性の範囲内での条件要素の追加や削除が行われるようにする。このようにすることで、初期のターゲットとするユーザの想定範囲を維持したまま、配信数を調整できることになる。
【0059】
但し、もちろん1回の調整で必ずしも適切なIMP数となるとは限らない。例えば配信開始から3日目の時点で調整を行って、配信頻度が多くなったとしても、その伸び率が十分でなく、
図7BのラインJ4のようになって、配信終了時点で目標IMP数に達しないこともある。或いはラインJ3のように、IMP数は過剰になることもある。
【0060】
そこで、配信期間内に調整を複数回行うことも適切である。
例えば
図7Cでは、3日目の調整の後、5日目の時点でも調整を行う例を示している。3日目の調整後にラインJ5で示すように実際のIMP数が推移したとする。そして5日目の時点で再度調整を行う。即ち5日目の時点で、現実の増加勾配値と理想勾配値を比較し、その比較結果に応じて配信条件の調整を行う。これにより、広告配信機会を調整し、例えばラインJ6で示すように、適度のIMP数の伸びが期待できる状態となる。
【0061】
なお、このような2回目以降の調整の際の増加勾配値と理想勾配値については、
図7Cの例と
図7Dの例が考えられる。
図7Cは、理想勾配値はラインL2の傾きの値、増加勾配値はラインJ5の傾きの値とする例である。
ラインL2は、前回の調整時点(3日目の時点)でのIMP数(達成率(%))を原点として、最終時点での100%を目標とするラインである。ラインJ5は、調整された配信条件のもとでのIMP実績に応じた勾配となる。従ってラインJ5を増加勾配値として使用する場合、前回の調整時点でのIMP数を基準にしなければ、適正な比較ができないため、調整された配信条件のもとでの理想勾配(つまりラインL2も勾配)を用いる必要がある。
一方、
図7Dは、理想勾配値は前回と同じくラインL1の傾きの値、増加勾配値は配信開始から5日目の時点でのIMP数(達成率)までのラインL5Rの傾きの値とする例である。
ラインJ5の傾きは、3日目から5日目の傾向を示すものであるため、配信期間全体の傾向ではない。あくまで配信開始から5日目までのIMP数を対象としなければラインL1と比較できないためである。
【0062】
本実施の形態の調整のための比較処理では、
図7C、
図7Dの例のいずれが用いられてもよい。
なお
図6の実績テーブル7bでは前回調整時の表示回数(IMPp)のフィールドを例示したが、これは
図7Cの例が用いられる場合に必要となる。前回調整時(
図3Cでは3日目の時点)のIMP数を記憶していなければ、ラインL2の理想勾配値を算出できないためである。
図7Dの例が採用される場合、実績テーブル7bに前回調整時の表示回数(IMPp)のフィールドを設ける必要は無い。
【0063】
<4.配信広告選択処理例I>
続いて、広告サーバ3が広告配信制御部30の機能により実行する配信広告選択処理例Iを説明する。広告サーバ3が以下説明するような各例の配信広告選択処理を行うことを前提として、後述する各例の調整処理が有用となる。
【0064】
図8は配信広告選択処理例Iのフローチャートである。広告サーバ3は例えばECサーバ2からの広告要求に応じて、配信条件に沿って適切な広告コンテンツを選択し、要求もとに送信する。
ステップS101で広告要求を受信したら、広告サーバ3はステップS102以降の処理に進む。ステップS102で広告サーバ3は、広告要求とともに送信されてくる属性情報を取得する。属性情報はユーザ属性、端末属性などである。これらはユーザ端末5を用いてECサーバ2に対してウェブページ閲覧を要求したユーザのユーザ属性や、使用しているユーザ端末5の端末属性の情報である。
【0065】
ステップS103で広告サーバ3は、取得したユーザ属性に基づいて、広告コンテンツ又は広告グループを抽出する。
これは広告DB7の広告テーブル7aに登録されている広告コンテンツであって、現在が配信期間中であり、かつユーザ属性がターゲティング条件が合致した広告コンテンツを抽出する処理である。つまり抽出した1又は複数の広告或いは広告グループは今回の配信候補となる。
ステップS104で広告サーバ3は、抽出したうちから1つの広告或いは広告グループを選択する。抽出したものは全てターゲティング条件に合致したものであるため、選択はランダムでよい。もちろん、単独の広告か広告グループのいずれかを選択することを規定してもよいし、同一のターゲティング条件において選択順序がきめられていてもよい。ステップS104での選択手法は特に規定されない。
【0066】
ステップS105では広告サーバ3は、広告グループが選択されたか否かで処理を分岐する。ステップS104でグループ設定されていない単独の広告コンテンツが選択された場合は、ステップS107に進み、当該広告コンテンツを配信する広告として決定し、要求元に送信して処理を終える。
一方、ステップS104で或る広告グループが選択された場合は、広告サーバ3はステップS105からS106に進み、出現率に応じた抽選処理を行って、グループ内の1つの広告コンテンツを選択する。即ち当選確率を出現率に応じた状態として抽選処理を行う。そしてステップS107に進み、当該選択した広告コンテンツを配信する広告として決定し、要求元に送信して処理を終える。
なお、出現率を考慮した選択は、抽選処理ではなく、出現率に応じた選択回数を設定して順番に選択するような処理例も考えられる。例えば広告A、Bの出現率がそれぞれ25%、75%とされていた場合、広告A→広告B→広告B→広告B→広告A→広告B・・・というような順番で選択を行うなどの例が考えられる。
【0067】
以上の配信広告選択処理例Iにより、配信条件、即ちターゲティング条件や出現率の設定に応じた広告選択が行われる。
【0068】
<5.配信広告選択処理例II>
配信広告選択処理例IIを
図9で説明する。
ステップS101〜S105は
図8と同様であり、説明を省略する。
この例では、ステップS104で或る広告グループが選択された場合において、広告サーバ3はステップS105からS110に進み、端末属性に応じた選択を行うようにしている。
端末属性は、ウェブページを配信するユーザ端末5の端末装置の種別やブラウザの表示サイズの情報である。
またグループ設定された複数の広告コンテンツとして、
図5A、
図5Bの広告90,91のようにサイズの異なる複数の広告を考える。
例えば
図5Aの広告90は、PC等の表示画面が比較的大きい場合に有効な広告となる。一方、この広告90は、スマートフォン等で表示したときに、画面内に表示しきれず、横スクロール等を行わなければ全体を見ることができない場合がある。すると、広告を有効に表示するには、
図5Bの広告91の方が適している。
従って、ユーザ端末5が据置型やノート型のPC等であって表示画面が比較的大型の場合は、広告90が適切で、一方、ユーザ端末5がスマートフォン等の携帯端末で表示画面が比較的小型である場合は、広告91が適切である。
【0069】
同様のことはウインドウの表示サイズにもよる。表示画面が大きいユーザ端末5であっても、ブラウザ表示が小さい場合もある。
図10Aは、表示デバイスの画面95の全面をブラウザのウインドウとしウェブページを表示している状態である。一方、
図10Bは表示デバイスの画面95内で、ブラウザのウインドウサイズが縮小され、ウェブページの一部が表示されている状態を示している。
このように大型の表示画面の機器であったとしてもブラウザのウインドウサイズが縮小されている場合、広告の全体の視認性のよい広告表示を行うには、サイズの小さい広告91の方が適している。
【0070】
そこで広告サーバ3はステップS110で、取得した端末属性から判別される機器種別やブラウザウインドウサイズに応じてグループ内の1つの広告コンテンツを選択する。そしてステップS107に進み、当該選択した広告コンテンツを配信する広告として決定し、要求元に送信して処理を終える。
このような配信広告選択処理例IIにより、ターゲティング条件に応じており、またユーザ端末5の閲覧環境に適した広告選択が行われる。
【0071】
<6.配信広告選択処理例III>
配信広告選択処理例IIIを
図11で説明する。
ステップS101〜S103、及びステップS104〜S107は
図8と同様である。
この例では、ステップS103でユーザ属性に基づいて、ユーザ属性がターゲティング条件に合致した広告又は広告グループを抽出した後、さらにステップS120では、抽出したうちで、端末属性に合致した広告又は広告グループを抽出するようにしている。
例えば広告テーブル7aに登録された各広告の広告属性を参照し、ユーザ端末5の閲覧環境に合致した広告又は広告グループを抽出する。従って、ステップS120で抽出された広告又は広告グループは、端末属性に合致した広告である。
そしてステップS104で広告サーバ3は、抽出したうちから1つの広告或いは広告グループを選択し、ステップS105〜S107の処理を行う。
【0072】
この配信広告選択処理例IIIによっても、ターゲティング条件としてのユーザ属性及び端末属性に合致した広告選択が行われる。特に、この例ではグループ設定にかかわらず、各広告コンテンツについて、閲覧性のよい表示が行われるような選択が実現できる。
なおこの処理を採用する場合、広告グループは、そのグループに含まれる全ての広告コンテンツが、ほぼ同様の画像サイズとされていることが好適である。
但し、広告グループ内の少なくとも1つの広告コンテンツが、サイズ的に端末属性に合致するものも含めてステップS120で抽出対象としてもよい。その場合、ステップS104で広告グループが選択された場合でも、ステップS106の段階で、出現率だけでなく、端末条件も参照して1つの広告コンテンツを選択するようにすればよい。
【0073】
なお、以上の配信広告選択処理例II、IIIでは、端末属性は表示サイズとしての端末の閲覧環境を想定したが、例えば端末種別による処理能力の差を考慮してもよい。
例えば広告コンテンツとして動画/静止画が存在する場合に、より能力の高いことが想定されるPC等では動画を選択し、比較的処理能力が小さい機種の場合は静止画を選択するなどの例が考えられる。
もちろん表示サイズや処理能力をともに考慮して広告を選択する例も考えられる。
【0074】
<7.調整処理例I>
先に説明したように、広告サーバ3が広告配信制御部30の機能により以上のように配信条件に合致した広告選択を行う場合、各広告のIMP数については、広告サーバ3の管理者が恣意的に調整することができない。しかし配信条件を保ち広告効果を維持しながら、配信期間内に目標IMP数を達成すること、及び期間中にIMP数の偏りがないようにすることが求められる。そこで広告サーバ3は、増加傾向判定部31及び配信条件調整部32の機能により以下の調整処理例I、II、IIIのような調整処理を行う。
【0075】
まず
図12、
図13で調整処理例Iを説明する。
図12は調整処理例Iのフローチャートであり、
図13は調整処理例Iによる動作を説明する図である。
この調整処理例Iは、広告コンテンツの配信開始から配信終了までの期間において単位期間経過毎に、現実の増加勾配値と理想勾配値の比較処理を行い、比較処理の結果に応じて、配信条件の固定幅又は固定数の緩和又は強化を行う例である。
配信条件の固定幅の緩和又は強化とは、例えばターゲティング条件における出現率の数値の固定幅の増減をいう。また配信条件の固定数の緩和又は強化とは、条件要素の固定数(例えば1つ)の削除や追加をいう。
【0076】
図13で動作を説明する。例えば配信期間を7日間としたときに、1日の終了時点毎に調整処理を行うことを想定する。
図13Aは、1日目が終了した時点の現実のIMP数に応じたラインJ1と理想勾配値を表すラインL1を示している。これはIMP数が想定より伸びていない状態である。ラインJ1の勾配値、増加勾配値は、理想勾配値より小さい。従って、この時点で配信条件を緩和する。この場合の調整は例えばターゲティング条件であるユーザ属性の固定数(例えば1つ)の削除や追加である。つまり1つのアンド条件要素の削除か、1つのオア条件要素の追加とする。をいう。或いは出現率の固定%(例えば5%)の加算をいう。例えば出現率30%を35%にするなどである。
【0077】
また2日目が終了した時点でも調整を行う。
図13Bは2日目の終了時点での現実のIMP数によるラインJ2(又はラインJ2R)を示している。
ラインJ2は1日目終了時から2日目終了時までの増加勾配値を示すラインである。
ラインJ2Rは配信期間開始時点から2日目終了時までの増加勾配値を示すラインである。
図7C、
図7Dで説明したように、ラインJ2を増加勾配値とする場合、理想勾配値としてはラインL2の勾配値を用いる。またラインJ2Rを増加勾配値とする場合、理想勾配値としてはラインL1の勾配値を用いる。
この2日目の時点でも増加勾配値と理想勾配値の比較結果により配信条件の固定幅の緩和又は強化を行う。
【0078】
さらに
図13Cは3日目の終了時の様子を示している。ここでは
図7Cの方式を採用する場合のラインJ3と理想勾配値のラインL3で表記している。
この3日目の段階でも増加勾配値と理想勾配値の比較結果により配信条件の固定幅の緩和又は強化を行う。
【0079】
例えばこのように1日単位で調整を行っていくことで、IMP数の増加傾向が調整され、配信期間終了時点で目標IMP数に達する可能性を高くしていくことができる。
図13Dは、配信条件が定期的に調整されることでIMP数の増加傾向が調整され、結果的に目標IMP数に達した状態を示している。
【0080】
なお、目標IMP数は、実際の目標IMP数より少々高く設定してもよい。例えば目標IMP数=100万の場合に、調整処理では目標IMP数=101万とするなどである。調整は、目標IMP数に向かって収束させるため、実際には最終的に、目標IMP数を少々下回る場合も生じる可能性がある。そこで、最低限、目標IMP数をクリアすることを考えれば、実際よりも若干高めに目標IMP数を設定して調整処理を行うことが望ましい。この点は、後述する調整処理例II、IIIでも同様である。
【0081】
この
図13のような調整処理を実現するための広告サーバ3の処理を
図12で説明する。広告サーバ3は、例えば
図12の処理を常時、或いは定期的に、繰り返し実行する。
ステップS201で広告サーバ3は、広告テーブル7aに登録されている広告コンテンツのうちで、現在が配信期間中である広告コンテンツの全部又は一部を処理対象として抽出する。
なお、一部の広告コンテンツを抽出するというのは、例えば目標IMP数が設定されている広告と、設定されていない広告、或いは配信期間が不定な広告等が存在することを考慮したものである。また、目標IMP数や配信期間が設定されていても、特に調整が不要とされる広告もあり得る。ステップS201では、調整が必要な広告コンテンツを抽出することになる。
【0082】
ステップS202で広告サーバ3は、抽出した調整が必要とされる多数の広告コンテンツのうちの1つを処理対象として選択する。
ステップS203で広告サーバ3は、現在がその広告コンテンツの調整タイミングであるか否かを確認する。例えば24時間毎であれば、その24時間時点のタイミングになっているか否かである。調整タイミングでなければ、ステップS212に進み、抽出した全ての広告コンテンツについて確認が完了していなければ、ステップS202に戻り、1つの広告コンテンツを処理対象として選択する。
【0083】
広告サーバ3は、処理対象としている広告コンテンツが、現在が調整タイミングであると判定した場合は、ステップS203からS204に進め、その広告コンテンツについて理想勾配値及び増加勾配値の算出や、その後の調整処理のために必要な情報を広告DB7から取得する。具体的には、広告テーブル7aから配信期間、目標IMP、配信条件、広告属性、許容ユーザ属性の情報を取得する。また実績テーブル7bから表示回数(IMP)を取得する。処理方式によっては前回調整時の表示回数(IMPp)も取得する。
【0084】
ステップS205で広告サーバ3は、配信期間、目標IMP数の情報を用いて理想勾配値を算出する。前回調整時の表示回数の情報を用いる場合もある。
ステップS206で広告サーバ3は、配信期間、表示回数(IMP)の情報を用いて増加勾配値を算出する。前回調整時の表示回数の情報を用いる場合もある。
ステップS207で広告サーバ3は、増加勾配値と理想勾配値の比較処理を行う。
【0085】
ステップS208で広告サーバ3は、比較結果が増加勾配値=理想勾配値であったか否かを確認する。なお、この場合、増加勾配値と理想勾配値が完全に一致するか否かのみを判断してもよいが、増加勾配値≒理想勾配値の判断としてもよい。即ちある程度の許容範囲内で一致しているか否かを判断してもよい。例えば配信条件を変更するほどの乖離があるか否かとする判断とする。
もし増加勾配値と理想勾配値が一致(或いは一致と見なせる)する場合は、広告サーバ3はその広告コンテンツについて配信条件の調整は不要としてステップS212に進む。
【0086】
増加勾配値と理想勾配値が一致していない(或いは一致と見なせない)場合は、広告サーバ3はステップS209に進み、増加勾配値と理想勾配値の大小に応じて処理を分岐する。
即ち広告サーバ3は、増加勾配値<理想勾配値の場合は、ステップS210に進み、ターゲティング条件としてのユーザ属性の緩和を行う。即ちユーザ属性としての1つのアンド条件要素の削除か、1つのオア条件要素の追加を行う。なお、この場合にユーザ属性の変更に代えて、或いはユーザ属性の変更とともに、出現率の固定幅の増加を行ってもよい。
具体的には広告サーバ3はステップS210で、このように緩和方向に調整した配信条件を設定し、当該広告コンテンツについて広告テーブル7aの配信条件の情報内容を更新する。そしてステップS212に進む。
【0087】
また広告サーバ3は、増加勾配値>理想勾配値の場合は、ステップS211に進み、ターゲティング条件としてのユーザ属性の強化を行う。即ちユーザ属性としての1つのアンド条件要素の追加か、1つのオア条件要素の削除を行う。なお、この場合にユーザ属性の変更に代えて、或いはユーザ属性の変更とともに、出現率の固定幅の減少を行ってもよい。
具体的には広告サーバ3はステップS211で、このように引き締め方向に調整した配信条件を設定し、当該広告コンテンツについて広告テーブル7aの配信条件の情報内容を更新する。そしてステップS212に進む。
【0088】
広告サーバ3は、ステップS201で抽出した全ての広告コンテンツについて以上の処理を行ったら、ステップS212から一連の調整処理を終了する。
【0089】
なお、出現率を変更する場合には、競合する他の広告コンテンツの出現率を変化させてもよい。即ちIMP数を増加させたい広告コンテンツについては、競合する広告コンテンツの出現率を低下させるようにし、IMP数の増加を抑えた広告コンテンツについては、競合する広告コンテンツの出現率を上昇させる。
このようにする場合も、他の広告コンテンツの出現率は、例えば固定幅で増減させればよい。
【0090】
<8.調整処理例II>
図14,
図15で調整処理例IIを説明する。
これは比較処理の結果として得られる増加勾配値と理想勾配値の差分に応じた可変幅又は可変数の配信条件の緩和又は強化を行う例である。
即ち現実の増加勾配値と理想勾配値の乖離の度合いに応じて、配信条件の調整を行う。配信条件の可変幅の緩和又は強化とは、出現率の数値の増減幅を差分に応じて可変することを意味する。また配信条件の可変数の緩和又は強化とは、例えばターゲティング条件の条件要素の削除/追加の数を、差分に応じて可変することを意味する。
【0091】
図15Aは、或る時点(配信開始から4日目)に調整を行う状況を示している。この
図15Aは、ラインL1で示される理想勾配値に対してラインJ1で示される増加勾配値が、比較的大きく乖離している状態である。この場合、配信条件を大きく緩和し、
図15Bのように調整後の増加傾向(ラインJ2の傾き)が急峻になるようにする。
一方
図15Cは、同じく配信開始から4日目に調整を行う状況であるが、ラインL1で示される理想勾配値に対してラインJ1で示される増加勾配値があまり乖離していない状態を示している。この場合、配信条件を若干緩和するのみとし、
図15Dのように調整後の増加傾向(ラインJ2の傾き)が緩やかになるようにする。
【0092】
このための広告サーバ3の処理を
図14で説明する。なお
図12と同一の処理については同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
ステップS201〜S206は
図12と同様である。ステップS207Aの比較処理では、広告サーバ3は増加勾配値と理想勾配値の大小の比較だけでなく、その差分も求めるようにする。
【0093】
或る広告コンテンツについて比較処理を行った結果、増加勾配値と理想勾配値が一致していない(或いは一致と見なせない)場合は、広告サーバ3はステップS208からS209に進み、増加勾配値と理想勾配値の大小に応じて処理を分岐する。
【0094】
広告サーバ3は、増加勾配値<理想勾配値の場合は、ステップS221に進み、差分に応じた調整幅を設定する。例えば増加勾配値と理想勾配値の差分値を複数段階のいずれに相当するか否かを判定する。例えば差分について乖離レベルLV1から乖離レベルLVnのように乖離の度合いのレベルを判定する。
そして広告サーバ3は、ステップS210Aでターゲティング条件としてのユーザ属性の緩和を行う。ここでは乖離レベルに応じて緩和する。
例えば乖離レベルLV1,LV2,LV3と3段階を想定したときに、追加又は削除するユーザ属性の数を、それぞれ異なる値とする。例えば乖離レベルLV1の場合は1個、乖離レベルLV2の場合は2個、乖離レベルLV3の場合は3個などとする。
そして乖離レベルに応じた数のユーザ属性としての1つのアンド条件要素の削除か、1つのオア条件要素の追加を行う。
なお、この場合にユーザ属性の変更に代えて、或いはユーザ属性の変更とともに、出現率の乖離レベルに応じた幅の増加を行ってもよい。例えば乖離レベルLV1の場合は5%加算、乖離レベルLV2の場合は10%加算、乖離レベルLV3の場合は15%加算などとする。加算に代えて乗算でもよい。
広告サーバ3はこのステップS210Aで、このように緩和方向に調整した配信条件を設定し、当該広告コンテンツについて広告テーブル7aの配信条件の情報内容を更新する。そしてステップS212に進む。
【0095】
また広告サーバ3は、増加勾配値>理想勾配値の場合は、ステップS222に進み、差分に応じた調整幅を設定する。そして広告サーバ3は、ステップS211でターゲティング条件としてのユーザ属性の乖離レベルに応じた強化を行う。
例えば乖離レベルに応じた数のユーザ属性としての1つのアンド条件要素の追加か、1つのオア条件要素の削除を行う。
なお、この場合もユーザ属性の変更に代えて、或いはユーザ属性の変更とともに、出現率の乖離レベルに応じた幅の減少を行ってもよい。例えば乖離レベルLV1の場合は5%減算、乖離レベルLV2の場合は10%減算、乖離レベルLV3の場合は15%減算などとする。減算に代えて逆数乗算でもよい。
広告サーバ3はこのステップS211Aで、このように強化方向に調整した配信条件を設定し、当該広告コンテンツについて広告テーブル7aの配信条件の情報内容を更新する。そしてステップS212に進む。
ステップS212の処理は
図12と同様である。
【0096】
なお、出現率を変更する場合には、競合する他の広告コンテンツの出現率を変化させてもよい。即ちIMP数を増加させたい広告コンテンツについては、競合する広告コンテンツの出現率を低下させるようにし、IMP数の増加を抑えた広告コンテンツについては、競合する広告コンテンツの出現率を上昇させる。
この場合、乖離の度合いに応じて増減幅を異なるようにすればよい。
また、増加勾配値と理想勾配値の乖離の度合いを乖離レベルで段階分けする例ではなく、差分値に係数乗算をおこなって調整幅を設定することも考えられる。
【0097】
<9.調整処理例III>
図16,
図17で調整処理例IIIを説明する。
これは広告コンテンツの表示回数が所定段階に達したことに応じて比較処理を行い、比較処理の結果、調整が必要と判定した場合、配信期間長と経過期間長を用いて求めた係数を用いて、配信条件の緩和又は強化を行う例である。
【0098】
例えば
図17では、IMP数が所定段階に達したときとして、IMP数が目標の25%に達したとき、50%に達したとき、75%に達したときに、増加勾配値と理想勾配値の比較処理を行い、そのときの比較結果で必要と判定されたら、配信期間長とその時点までの経過時間から算出した係数で配信条件の調整を行う例を示している。
【0099】
図17の横軸は配信開始時点Tsから配信終了時点Teまでの配信期間を示している。縦軸はIMP数を達成率(%)で示している。
IMP数が25%になった時点TM1、50%になった時点TM2、75%になった時点TM3でそれぞれ調整が行われ、IMP数の増加傾向が変化し、最終的に目標IMP数に達した状態を示している。
【0100】
ここでは、広告コンテンツの出現率を調整することを想定する。出現率について配信期間長と経過期間長を用いて求めた係数Kを乗算して配信条件の緩和又は強化を行う。
図のように、開始からの経過時間をTPとし、時点TM1,TM2,TM3までの経過時間長をそれぞれTP1,TP2,TP3とする。また全配信期間の期間長をTseとする。
IMP数としての25%、50%、75%をyとする。但しyは達成率の100分率の値とし、25%の場合、y=25とする。
この場合、係数Kは次のように求めることができる。
K=(100−y)/{(Tse/TP)y−y}
例えばIMP数が25%、50%、75%となったそれぞれの場合の係数Kは、
K=(100−25)/{(Tse/TP1)25−25}
K=(100−50)/{(Tse/TP2)50−50}
K=(100−75)/{(Tse/TP3)75−75}
として求められる。
このような係数Kを求めて出現率を調整することで、より有効な調整を行う。
【0101】
このための広告サーバ3の処理を
図16で説明する。なお
図12と同一の処理については同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
ステップS201、S202は
図12と同様である。
ステップS230では、広告サーバ3は、ステップS202で処理対象に選択した広告コンテンツの現在の表示回数(IMP)を実績テーブル7bから取得する。そしてステップS231で広告サーバ3は、現在がその広告コンテンツの調整タイミングであるか否かを確認する。即ち、現在のIMP数が、目標IMP数の25%、50%、75%のいずれかに該当するか否かを判断する。
【0102】
なお、常にIMPは増加しており、また調整処理が常時全ての広告に対して行われるわけではないため、実際に所定の達成率に達した時刻と、当該調整処理の時刻ではタイムラグは生ずる。そこで実際にはステップS231では、最初に25%、50%、75%等の達成率を越えた後の最初の処理機会であるか否かを判定すればよい。もちろんその場合、取得する表示回数は、実際のIMP数(y=処理時点の達成率)を用い、経過時間は、その処理時点での配信開始からの経過時間を用いればよい。例えば処理時点で達成率が25.1%となっていれば、上記の係数Kを求める式のy=25.1とし、経過時間TPは、その処理時点までの経過時間を用いればよい。
【0103】
広告サーバ3は、調整タイミングでなければ、ステップS212に進み、抽出した全ての広告コンテンツについて確認が完了していなければ、ステップS202に戻り、1つの広告コンテンツを処理対象として選択する。
処理対象の広告コンテンツが、調整タイミングであれば、広告サーバ3はステップS204以降に進む。ステップS204〜S208は
図12と同様である。
【0104】
或る広告コンテンツについてステップS207で比較処理を行った結果、増加勾配値と理想勾配値が一致していない(或いは一致と見なせない)場合は、広告サーバ3はステップS208からS232に進み、経過時間の情報を取得する。即ち、配信開始から現時点までの経過時間TPを求める。
ステップS233で広告サーバ3は、調整係数Kを算出する。その時点のIMPの達成率をyとし、また取得した経過時間TP、及び配信期間の期間長Tseを用いて、上記式の演算を行い調整係数Kを求める。
そしてステップS234で、当該広告コンテンツについて設定されている出現率に係数Kを乗算する。そして乗算結果を調整後の新たな出現率として、当該広告コンテンツについて広告テーブル7aの配信条件の情報内容を更新する。そしてステップS212に進む。ステップS212の処理は
図12と同様である。
【0105】
なお、この場合も競合する他の広告コンテンツの出現率を変化させてもよい。処理対象の広告コンテンツの出現率に係数Kを乗算して出現率を増減する場合と同等となるように、競合するコンテンツの出現率を変更する。
また、係数Kの算出式は一例である。例えば時点TM1、TM2等の各時点における残り時間を用いても同等な計算は可能である。
【0106】
<10.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態によれば次のような効果が得られる。
実施の形態の広告サーバ3は、ユーザ端末5に配信する広告コンテンツを、各コンテンツに設定された配信条件に従って選択する広告配信制御部30を有する。また広告サーバ3は、広告配信制御部30によって選択されることでユーザ端末5に配信されるコンテンツについて、配信開始から配信期間の終了に至る前の或る時点までの表示回数の増加勾配値と、配信期間長と目標表示回数に基づいて求められる表示回数の理想勾配値との比較処理を行う増加傾向判定部31を備える。さらに増加傾向判定部31の比較結果に応じて当該コンテンツの配信頻度が可変されるように配信条件を変更する配信条件調整部32を備える。
即ち予定された一定の配信期間において目標の表示回数(IMP数)を達成するように、各広告コンテンツに設定された配信条件を増加勾配値と理想勾配値の比較結果に基づいて調整する。
これにより、広告コンテンツの配信を、配信期間内において、目標IMP数を達成する可能性を高くするように調整できる。広告コンテンツのIMP数としての実際の増加勾配値を理想勾配値と比較することによれば、現状の広告の配信条件が適正か、厳しいか、或いは緩いかを判定できる。つまり実際の増加勾配値を求めてこれを理想勾配値と比較することで、現状の配信条件のままで目標IMP数に達するか、或いは難しそうかが比較的高い精度で予測できる。従ってその予測に応じて配信条件を調整することで、配信期間の終了時点で目標IMP数に達する確率を向上させることができる。
また実施の形態の処理によれば、配信期間中に、時間軸上で表示回数の偏りがなく配信が行われるように広告配信を調整できる。実際の増加勾配値が理想勾配値に近いことは、配信期間内に時期的な偏り無く配信される状態を示すものとなりやすい。従って実際の配信が理想勾配に近づくように配信条件を調整することは、配信期間内になるべくまんべんなく表示が行われているような配信を実現できることになる。
また配信条件変更判定の演算としては、現実の増加勾配値の算出と理想勾配値との比較を行うのみでよく、調整のための演算処理が容易であり、広告サーバ3の処理負担を増大させない点でも有用である。
また、増加勾配値を理想勾配値と比較することによれば、IMP数が目標IMP数を大きく越えてしまうことも調整可能である。IMP数が過大になることが望ましくない場合もあり、そのような場合の調整にも有用である。
また、配信条件をある程度許容範囲内で維持しつつ変更するため、広告ターゲティングに基づく配信は適切に行われる。即ち全くターゲット外の人にむやみに配信して配信数を伸ばすようなものではないため、広告効果の高い広告配信を維持できた上での調整となる。
ユーザサイドから見れば、ユーザ端末における限られた(例えば、モニタなどの)提示領域において、そのユーザに価値があると想定される広告を提示する状態を維持できる。
【0107】
実施の形態の調整処理例Iでは、広告コンテンツの配信開始から配信終了までの期間において単位期間経過毎に比較処理を行うとともに、比較処理の結果に応じて、配信条件の固定幅又は固定数の緩和又は強化を行うようにしている。
この場合、定期的にIMP数の実績に応じて配信条件を逐次微調整していくことになるため、配信期間に、回数的な偏りが無い状態で配信されながら配信終了時に目標の表示回数(或いは目標の表示回数付近)に達する可能性を向上させることができる。
また固定幅や固定数での配信条件の緩和又は強化を行うことによれば、配信条件の調整のためのアルゴリズムを簡略化でき、サーバの処理負担を少なくできる。
【0108】
実施の形態の調整処理例IIでは、比較処理の結果として得られる増加勾配値と理想勾配値の差分に応じた可変幅又は可変数の配信条件の緩和又は強化を行うようにしている。
このような可変幅の配信条件の変更によれば、現実の表示回数の勾配を早めに理想勾配に近づけることができる。これにより配信期間終了時に目標の表示回数に達する可能性を、より向上させることができる。
【0109】
実施の形態の調整処理例IIIでは、広告コンテンツの表示回数が所定段階に達したことに応じて比較処理を行い、比較処理の結果、調整が必要と判定した場合、配信期間長と経過期間長を用いて求めた係数Kを用いて、配信条件の緩和又は強化を行うようにしている。
これによりIMP数の進捗に応じて調整を行うことができる。また、広告コンテンツの配信の進捗により、各段階に達するまでの時間長は広告コンテンツ毎に異なるが、調整は配信期間長と経過期間長に応じた係数Kを用いることで、配信終了時に目標の表示回数に達するようにするための精度のよい調整ができる。
【0110】
また実施の形態では、各広告コンテンツには、配信条件として少なくとも、配信先の属性を示したターゲティング条件(ユーザ属性や端末属性)が設定されており、広告コンテンツに設定されたターゲティング条件とする配信先の属性(例えばユーザ属性)の数を増減することで配信条件の緩和又は強化を行う例を挙げた。
このような配信先の属性の数の増減により、効果的なIMP増加傾向の調整が可能となる。
またユーザ属性の数を増減することは、広告ターゲティングの考え方を崩すものではなく、ターゲットを絞りながら、その範囲を変更するものとなるため、ターゲティング広告手法としても適している。
なお、ユーザ属性だけでなく端末属性の増減を行うようにしてもよい。
【0111】
実施の形態では、複数の広告コンテンツの間で相対的に配信用に選択される確率を示す出現率が設定されており、広告コンテンツに設定された出現率を変更することで配信条件の緩和又は強化を行う例を挙げた。
例えば、ターゲティング条件の全部又は一部が共通の複数の広告コンテンツ(グループ設定された広告コンテンツ)について、それぞれの出現率を設定することで、配信比率を調整することができる。例えば2つのコンテンツである広告A、広告Bについて出現率がそれぞれ30%と70%であれば、配信制御部は、該当のターゲティング条件が満たされた場合に、30%の確率で広告Aを選択して配信し、70%の確率で広告Bを選択して配信する。
従って、出現率を変更することで、効果的な表示回数の調整が可能となる。特に同じターゲティング条件の複数の広告を配信する場合に、一方が突出するようなことなく、それぞれが目標IMP数に達するように有効な調整ができる。
【0112】
実施の形態の調整処理例I、II、IIIでは、変形例として、比較処理の対象となったコンテンツの配信頻度が可変されるように、競合する他のコンテンツの配信条件が変更されてもよいことを述べた。例えば、ターゲティング条件の全部又は一部が共通の複数のコンテンツ(競合するコンテンツ)を考えると、或るコンテンツの配信頻度を調整したい場合、競合する他のコンテンツの配信頻度を変化させるようにしてもよい。つまり相対的に配信頻度を調整することで、或るコンテンツの表示回数の進行を加減速できる。
特に共通のターゲティング条件の複数のコンテンツについて調整する場合に、1つの好適な手法となる。特に一方に表示回数が偏ってしまったような場合に有用である。
【0113】
実施の形態では、配信広告選択処理例II、IIIとして、配信先のユーザ端末5の端末属性の情報を取得するとともに、そのユーザ端末5に配信するコンテンツを、取得した端末属性の情報を用いて選択する例を述べた。
例えばいわゆる据え置き型、ノート型等のPC(パーソナルコンピュータ)、であるかスマートフォン等の携帯機器であるかなどに応じて配信する広告コンテンツを選択する。例えば広告の画像サイズとして横幅のサイズが長短異なる場合、端末装置がPCであれば長サイズの広告を選択し、端末装置がスマートフォンであれば、短サイズの広告を選択する。
このようにすることで、非常に望ましい広告表示が実現できる。例えばスマートフォン等で画面サイズが小さい場合、横幅が長い広告は、全体を表示できなかったり、過剰に縮小されるなどの状態となり、広告効果が小さくなってしまう。一方でそのような広告はPC等の大きな画面で表示させるとユーザに対する訴求効果は非常に大きい。また横幅サイズが短い広告は、PCではあまり目立たないが、スマートフォン等の表示では、ユーザに大きな訴求力を持つ。
このような状況があるため、ユーザ端末5の種別など、端末属性の情報に応じて広告を選択することで、広告機能を最大限発揮させる配信が実現できる。
その一方で、この場合、ユーザ端末5によってある程度広告の選択が規定されてしまうため、各広告コンテンツについて配信期間内に目標IMP数に届かなくなる可能性や、目標IMP数を大きく越えてしまう可能性も高くなる。
そこで、逐次配信条件を調整する。例えばターゲティング条件を調整する。これにより各広告について、配信期間に目標IMP数に到達するような制御ができ、目標IMP数を設定した広告配信に非常に有効となる。
【0114】
配信広告選択処理例II、IIIでは、配信先のユーザ端末5における表示サイズの情報を取得するとともに、該ユーザ端末5に配信するコンテンツを、取得した表示サイズの情報を用いて選択することにも言及した。
ウェブページは端末装置で起動されるブラウザによって表示されるため、その表示サイズは、ブラウザに割り当てられた表示領域のサイズによるものとなる。また例えばPCユーザの多くは、ブラウザを全画面表示するだけでなく、表示画面の一部に表示させる場合もある。従って、配信時点でのブラウザ表示サイズによってユーザへのコンテンツの露出状態が変化する。そこで、表示サイズに応じて適したコンテンツを選択する。
このようにすることで、非常に望ましい広告表示が実現できる。例えば表示サイズが小さい場合、横幅が長い広告は、全体を表示できなかったり、過剰に縮小されるなどの状態となり、広告効果が小さくなってしまう。一方でそのような広告は表示サイズが大きいとユーザに対する訴求効果は非常に大きい。また横幅サイズが短い広告は、表示サイズが小さくても有効である。
従って表示サイズに応じて広告を選択することで、広告機能を最大限発揮させる配信が実現できる。
その一方で、この場合、ユーザ端末の表示サイズ状態によってある程度広告の選択が規定されてしまうため、各広告コンテンツについて配信期間内に目標IMP数に届かなくなる可能性や、目標IMP数を大きく越えてしまう可能性も高くなる。そこで、逐次配信条件を調整する。例えばターゲティング条件を調整する。これにより各広告について、配信期間に目標IMP数に到達するような制御ができ、目標IMP数を設定した広告配信に非常に有効となる。
【0115】
なお実施の形態では、主に広告コンテンツを想定して説明したが、広告以外のコンテンツの配信、例えばウェブページに表示する各種キャラクタ、ロゴマーク、その他のウェブページに用いる画像の表示、さらにはウェブページの背景画像の選択など、各種のコンテンツの配信管理に本発明は適用できる。
【0116】
また電子商取引用のウェブサイトだけでなく、各種の情報提供用のウェブサイト、ブログやアフィリエイトのウェブサイトなど、各種のウェブサイトでの広告配信のための制御として本発明は好適である。
【0117】
<11.プログラム及び記憶媒体>
以上、本発明の情報処理装置の実施の形態としての広告サーバ3を説明してきたが、実施の形態のプログラムは、広告サーバ3とする情報処理装置に広告配信制御部30、増加傾向判定部31、配信条件調整部32としての機能の処理を実行させるプログラムである。
【0118】
実施の形態のプログラムは、端末装置に配信するコンテンツを、各コンテンツに設定された配信条件に従って選択する広告配信制御機能を情報処理装置に実行させる。即ち配信広告選択処理例I、II、IIIとして例示した処理である。
またプログラムは配信開始から配信期間の終了に至る前の或る時点までの表示回数の増加勾配値と、配信期間長と目標表示回数に基づいて求められる表示回数の理想勾配値との比較処理と、比較結果に応じて当該コンテンツの配信頻度が可変されるように配信条件を変更する処理を情報処理装置に実行させる。即ち調整処理例I、II、IIIとして例示した処理である。
【0119】
このようなプログラムにより、上述した広告サーバ3としての1又は複数の情報処理装置を実現できる。
そしてこのようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記憶媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。あるいはまた、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクなどのリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。