特許第6526945号(P6526945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526945
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/30 20140101AFI20190527BHJP
   A63F 13/847 20140101ALI20190527BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20190527BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20190527BHJP
【FI】
   A63F13/30
   A63F13/847
   A63F13/79
   A63F13/35
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-91917(P2014-91917)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-208477(P2015-208477A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年12月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】青山 公士
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−068720(JP,A)
【文献】 特開2011−086293(JP,A)
【文献】 特開2013−223530(JP,A)
【文献】 特開2012−000361(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/053274(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された複数のクライアント機器の各々について同一のゲームに係るゲームプロセスを実行する実行手段であって、前記接続された複数のクライアント機器の数の独立したゲームプロセスを同時に実行する実行手段と、
前記実行手段により実行されるゲームプロセスの各々についてゲームステータスを取得する取得手段と、
ゲームステータスが所定の条件を満たす複数のゲームプロセスを特定する特定手段と、を有し、
前記実行手段は、前記特定手段によりゲームステータスが前記所定の条件を満たす前記複数のゲームプロセスが特定された場合に、該複数のゲームプロセスに対応するクライアント機器について、該複数のゲームプロセスを独立して実行するのではなく、該複数のゲームプロセスのうちの1つのゲームプロセスに統合し、共通して実行する情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、ゲームステータスの少なくとも一部が共通していることである請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、操作キャラクタが共通のステージに到達したことを含む請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、対戦プレイあるいは協力プレイを行うモードが設定されたことを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記複数のクライアント機器の各々においてなされる操作入力に係る情報を受信する受信手段をさらに有し、
前記実行手段は、前記受信手段により受信された前記操作入力に係る情報を、対応するクライアント機器に係るゲームプロセスにおいて処理し、前記特定手段により前記複数のゲームプロセスが特定された場合に、該複数のゲームプロセスに対応するクライアント機器の各々においてなされる操作入力に係る情報を、統合した前記1つのゲームプロセスにおいて処理する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記実行手段は、前記特定手段により特定された前記複数のゲームプロセスのうちの、前記1つのゲームプロセス以外の各ゲームプロセスのゲームステータスを、前記1つのゲームプロセスへの操作入力に係る情報の入力に用いられる、各々異なる操作入力手段に対応するプレイヤのゲームステータスに割り当てる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記実行手段は、前記特定手段により特定された前記複数のゲームプロセスのうちの前記1つのゲームプロセス以外のゲームプロセスを、前記ゲームプロセスの統合後に終了するまたは一時停止する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ゲームプロセスの各々についてゲーム画面を描画する描画手段と、
前記描画手段により描画されたゲーム画面を、該ゲーム画面に係るゲームプロセスに対応するクライアント機器に送信する送信手段をさらに有し、
前記送信手段は、前記複数のゲームプロセスが前記1つのゲームプロセスに統合された場合に、前記1つのゲームプロセスについて前記描画手段により描画された1つのゲーム画面を、前記複数のゲームプロセスに対応するクライアント機器の各々に送信する
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
接続された複数のクライアント機器の各々について同一のゲームに係るゲームプロセスを実行する実行工程であって、前記接続された複数のクライアント機器の数の独立したゲームプロセスを同時に実行する実行工程と、
前記実行工程において実行されるゲームプロセスの各々についてゲームステータスを取得する取得工程と、
ゲームステータスが所定の条件を満たす複数のゲームプロセスを特定する特定工程と、を有し、
前記実行工程において、前記特定工程においてゲームステータスが前記所定の条件を満たす前記複数のゲームプロセスが特定された場合に、該複数のゲームプロセスに対応するクライアント機器について、該複数のゲームプロセスが独立して実行されるのではなく、該複数のゲームプロセスのうちの1つのゲームプロセスに統合され、共通して実行される情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
1以上のコンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、制御方法及びプログラムに関し、特に複数人で体験可能な電子ゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用のゲームコンソール等は、ユーザにより所定のユーザインタフェースになされた操作入力に従って描画内容を変更したゲーム画面を描画し、接続された表示装置に出力して表示させることができる。このような画面描画の仕組みは、ゲームコンソールに限られるものでなく、PC等の通常の情報処理装置においても一般的になされている。
【0003】
一方で、近年の通信技術の進歩により、このような装置が送受信可能なデータの通信レートも向上しており、画面の描画をネットワーク上に設けられたサーバ等の装置が行い、得られた画面を送信する所謂クラウド型の描画システム(クラウドゲーミングシステム)も存在している。特許文献1には、ユーザが使用する情報処理装置においてなされた操作入力をサーバに送信し、サーバがゲーム画面を描画して、ストリーミング形式の動画データとして情報処理装置に送信する技術が開示されている。
【0004】
特に、近年の電子ゲームにおけるグラフィックス描画技術の進歩は目覚ましく、このような技術を用いてゲーム画面が描画される電子ゲームの体験には、ユーザは高性能なPCやゲーム装置を導入する必要があるため、特許文献1のような技術が注目されてきている。換言すれば、特許文献1のようにゲーム画面の描画をサーバが行う場合、ユーザは自身の使用するPC等にゲーム画面の描画を行うために必要な機器を導入する必要がなくなるため、通信機能や動画復号機能のみを有していればサーバによりゲーム画面が描画される電子ゲームを体験することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/138878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなクラウドゲーミングシステムでは、複数のクライアント機器のユーザに同時並行して電子ゲームの体験を可能ならしめるために、クライアント機器ごとにゲーム画面の提供を行うゲームのプロセスを実行することになる。即ち、ゲーム画面の提供を行うサーバにおいて、接続しているクライアント機器の数の独立したゲームプロセスが同時に実行されることになる。
【0007】
ところで、クラウドゲーミングシステムでは、該システムに特化して開発されたゲーム以外も提供することができる。即ち、既に家庭用ゲームコンソール用にリリースされたようなゲームであっても、コンソールにおいてなされる処理をサーバ側で実行すれば、ゲームコンソールがなくともユーザは同様の体験を行うことができる。また、近年では複数の異なるゲームコンソール用に同一のゲームをリリースする、所謂マルチプラットホームに対応しているゲームも増えてきている。従って、今後、家庭用ゲームコンソールとクラウドゲーミングシステムの両方で同一のゲームがリリースされるようなケースも起こりうる。
【0008】
しかしながら、このようにクラウドゲーミングシステムに特化させずに開発されたゲームを該システムにおいて提供可能にするためには、ゲームに係るプログラムの設計変更や改変が必要になることがある。特に、複数のユーザが対戦プレイや協力プレイを行うようなゲームのクラウドゲーミングシステムにおける提供は、ゲームプログラムが外部の機器と通信接続するように実装されていない場合は、プログラムの改変が必要となる。即ち、スタンドアローン形式での対戦プレイや協力プレイが実装されているゲームをクラウドゲーミングシステムにおいて通信対戦プレイや通信協力プレイを実行可能にプログラムを改変する必要がある。
【0009】
通常、クラウドゲーミングシステムでは、各クライアント機器について1つのゲームプロセスが実行されてゲーム画面の提供を行うように構成される。従って、1つのゲームコンソールを使用して複数のユーザが同時に体験可能な機能を有するゲームは、複数のクライアント機器について実行されるゲームプロセス間でデータのやり取りが可能なように改変することが必要となる。例えばカーレースゲーム等では各クライアント機器について並行して実行されるプロセスにおいて対戦モードが設定されたことに応じてマッチングを行い、各プロセスでのレースに係る処理を同期させる機能の実装が必要となる。あるいは、所謂ロビー機能のような、対戦プレイや協力プレイを行うユーザを募る専用のプログラムを実装する必要があった。
【0010】
つまり、ゲームを提供するパブリッシャはクラウドゲーミングシステムにおいてゲームを提供可能にするために、開発費をさらに負担する必要があった。
【0011】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、クラウドゲーミングシステムにおいてゲームを提供するために必要なコストを低減する情報処理装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するために、本発明の少なくとも1つの実施形態に係る情報処理装置は、接続された複数のクライアント機器の各々について同一のゲームに係るゲームプロセスを実行する実行手段と、実行手段により実行されるゲームプロセスの各々についてゲームステータスを取得する取得手段と、ゲームステータスが所定の条件を満たす複数のゲームプロセスを特定する特定手段と、を有し、実行手段は、特定手段により特定された複数のゲームプロセスを、該複数のゲームプロセスのうちの1つのゲームプロセスに統合し、該1つのゲームプロセスを実行する。
【発明の効果】
【0013】
このような構成により本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、クラウドゲーミングシステムにおいてゲームを提供するために必要なコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る提供システムのシステム構成を示した図
図2】本発明の実施形態に係るサーバ100の機能構成を示したブロック図
図3】本発明の実施形態に係るサーバ100において実行される対象決定処理を例示したフローチャート
図4】本発明の実施形態に係るプレイヤリストの1レコードで管理される情報のデータ構成を示した図
図5】本発明の実施形態に係るサーバ100において実行される統合処理を例示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、情報処理装置の一例としての、接続された複数のクライアント機器の各々について同一のゲームに係るゲームプロセスを実行し、ゲーム画面を生成して送信するサーバに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、接続された複数の外部機器の各々について同一のゲームに係るゲームプロセスを実行することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0016】
《提供システムの構成》
図1は、本実施形態に係るネットワーク経由でゲームコンテンツに係るサービス提供を行う提供システムのシステム構成を示した図である。図示されるように、サービス提供を受けるクライアント機器200は、ネットワーク300を介してサービス提供を行うサーバ100に接続されている。本実施形態の提供システムでは、クライアント機器200においてプレイヤによりなされた操作入力に係る情報がサーバ100に送信され、サーバ100において対応するゲームコンテンツに係るゲームプロセスが実行される。ゲームプロセスは、基本的にはユーザごと(サービス提供するクライアント機器200ごと)に実行される。またゲームプロセスの結果、ゲームコンテンツに係るゲーム画面が生成され、対応するクライアント機器200に提供される。
【0017】
〈サーバ100の構成〉
図2は、本発明の実施形態に係るサーバ100の機能構成を示すブロック図である。
【0018】
制御部101は、例えばCPU等のサーバ100が有する各ブロックの動作を制御する制御装置である。制御部101は、記憶媒体102に記憶されている各ブロックの動作プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより各ブロックの動作を制御する。
【0019】
記憶媒体102は、例えばROM等の不揮発性メモリやHDD等の記憶装置である。記憶媒体102は、サーバ100が有する各ブロックの動作プログラムに限らず、各ブロックの動作において必要となるパラメータ等を記憶する。また本実施形態では記憶媒体102は、提供を行うゲームコンテンツに係るゲーム画面の描画に必要となる描画オブジェクトの各種データ(モデルデータ、テクスチャデータ、描画プログラム等)を記憶する。
【0020】
メモリ103は、例えばRAM等の揮発性メモリである。メモリ103は、各ブロックの動作プログラムの展開領域や作業領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された中間データ等を記憶する格納領域としても用いられる。
【0021】
描画部104は、例えばGPU等の描画装置である。描画部104は、提供を行うゲームコンテンツに係るゲームプロセスの実行により決定された各種パラメータを用いて描画処理を行い、クライアント機器200に提供するゲーム画面を生成する。描画部104は、例えば記憶媒体102から読み出されてメモリ103に展開された描画オブジェクトの各種データを各種パラメータに基づいて回転及び配置し、決定された視点に基づいて不図示のビデオメモリにゲーム画面を描画する。
【0022】
符号化部105は、描画部104により生成されたゲーム画面を符号化し、該画面をフレームとする符号化動画データを生成する。本実施形態ではゲーム画面は、サーバ100から送出されるデータに係る通信レートを考慮し、符号化動画データとしてクライアント機器200に提供されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。つまり、符号化されないゲーム画面そのものがクライアント機器200に送信される構成であってもよい。
【0023】
通信部106は、サーバ100が有する外部装置との通信インタフェースである。本実施形態では通信部106は、クライアント機器200からの画面送信要求やクライアント機器200においてなされた操作入力に係る情報を受信する。また通信部106は、符号化部105により生成された符号化動画データをストリーミング形式でクライアント機器200に送信する。
【0024】
本実施形態では説明を簡単にするため、サーバ100においてゲーム画面の生成や符号化動画データの生成が行われるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。ゲーム画面の生成や符号化動画データの生成は、サーバ100とは異なる外部装置において実行されてもよく、該装置からネットワーク300を介してクライアント機器200に送信されるものであってもよい。この場合、ゲーム画面や符号化動画データの送信先であるクライアント機器200を特定するための情報が、サーバ100から該データの生成を行う外部装置に送信される。
【0025】
《対象決定処理》
このような構成をもつ本実施形態のサーバ100において実行される、サービス利用中のプレイヤから、ゲームプロセスの統合対象となり得るプレイヤをリスト化する対象決定処理について、図3のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記憶媒体102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。本対象決定処理は、例えばサーバ100がゲームコンテンツに係るサービス提供が可能な状態になされた際に開始され、所定の間隔で繰り返し実行されているものとして説明する。
【0026】
なお、本対象決定処理においてゲームプロセスの統合対象となり得るプレイヤとは、同一のゲームコンテンツを、対戦プレイあるいは協力プレイが可能なモードでサービス利用しているプレイヤを指す。本実施形態では、同一のゲームコンテンツとは、同一の製品に係りクラウドゲーミングとして提供されるゲームコンテンツを指すものとして説明する。しかし、同一のゲームコンテンツの範囲には、例えば複数種類のコンソールについて提供される、同一のゲームタイトルに係る互換性を有する関係にある複数のゲームコンテンツを含んでいてもよい。
【0027】
S301で、制御部101は、現在のサービス利用中のプレイヤの中に、対戦プレイあるいは協力プレイが可能なモード(以下、マルチプレイモード)でサービス利用しているプレイヤが存在するか否かを判断する。現在のサービス利用プレイヤの情報は、例えばメモリ103にプレイヤリストとして管理されていてよい。プレイヤリストで管理される各レコードの情報は、例えば図4(a)に示されるようにプレイヤのサービス利用IDに関連付けて、利用中のゲームコンテンツのコンテンツID、利用中のゲームコンテンツがマルチプレイに対応しているか否かの情報、及びマルチプレイモードで利用中であるか否かの情報を管理する形式であってよい。制御部101は、マルチプレイモードでサービス利用しているプレイヤが存在すると判断した場合は処理をS302に移し、存在しないと判断した場合は本対象決定処理を完了する。
【0028】
S302で、制御部101は、マルチプレイモードでサービス利用しているプレイヤを、利用しているゲームコンテンツごとに分類し、コンテンツごとに対象となるプレイヤのサービス利用IDを管理する対象リストを生成してメモリ103に格納し、本対象決定処理を完了する。
【0029】
なお、本実施形態では、所定の間隔で対象決定処理が実行されて対象リストを生成するものとして説明するが、対象リストへのサービス利用IDの追加はマルチプレイモードが設定された際に対応する対象リストに追加する構成であってもよい。
【0030】
《統合処理》
次に、対象決定処理により生成された対象リストを用いて、対象リストに含まれるプレイヤの各々について実行されているゲームプロセスを統合する統合処理について図5のフローチャートを参照して説明する。本対象決定処理は、例えば1つのゲームコンテンツ(対象コンテンツ)についての対象リストに複数のサービス利用IDが含まれる状態となった場合に開始されるものとして説明する。
【0031】
なお、本実施形態において統合とは、複数のプレイヤについて操作入力を受け付けてゲームに係る処理を並行して実行しているマルチプレイ用のゲームプロセスを、このうちのいずれかのゲームプロセスで複数のプレイヤに係る操作入力を受け付けてゲームに係る処理を実行するようにすることを指す。即ち、本実施形態では該統合処理により、1つのゲームプロセスが複数のプレイヤに係るゲーム内の処理を実行し、該ゲームプロセスにおける処理の結果を含むゲーム画面が、複数のプレイヤの使用するクライアント機器に提供されることになる。
【0032】
S501で、制御部101は、対象コンテンツについての対象リストに含まれるサービス利用IDに係り実行されているゲームプロセスの各々について、現在の進行状況を示す情報を取得する。現在の進行状況を示す情報は、ゲーム内でのステータスを示しており、例えばプレイ中のステージ(またはフィールド)を示す情報やステージの切り替え中の状態であるか否か等の情報が含まれていてよい。
【0033】
S502で、制御部101は、対象リストにゲームプロセスが共通の進行状況にあるサービス利用IDが存在するか否かを判断する。即ち、制御部101は、ゲームプロセスの統合対象となり得るサービス利用IDが存在するか否かを判断する。本実施形態では簡単のため、現在の進行状況が共通のステージであるサービス利用IDがゲームプロセスの統合対象として本ステップにおいて特定されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、上述したようにゲームプロセスがステージの切り替え中の状態にある場合に、切り替え後に共通のゲームプロセスに統合するものと判断するのであれば、現在の進行状況が共通のステージである必要はない。あるいは、そもそも途中で他のプレイヤのゲームへの参加(所謂、格闘ゲームにおける乱入等)が可能なように実装されているゲームコンテンツでは、乱入を認める設定がなされている場合に、ゲームプロセスの統合対象となり得るものとして判断してもよい。制御部101は、共通の進行状況にあるサービス利用IDが存在すると判断した場合、共通の進行状況にあるサービス利用IDを統合対象IDとしてメモリ103に格納して処理をS503に移す。また制御部101は、共通の進行状況にあるサービス利用IDが存在しないと判断した場合、共通の進行状況にあるサービス利用IDが存在する状態となるまで本ステップの処理を繰り返す。
【0034】
S503で、制御部101は、メモリ103に格納された統合対象IDを、対象コンテンツのマルチプレイモードで同時に処理可能なプレイヤ数ごとに異なる組に分類する。該組分類は、例えば統合対象IDが9つあり、対象コンテンツのマルチプレイモードが4人プレイに対応する場合に、1つのゲームプロセスがなるべく多くのプレイヤに係る処理を行うように4−4−1の3組(数字は1つのゲームプロセスに統合するID数)に分類する構成であってもよい。この場合、ID数が1の組に分類された統合対象IDについては後述の処理でゲームプロセスの統合はなされないことになる。あるいは、統合後にゲームプロセス数が変わらないのであれば、組分類は3−3−3の3組に分類してもよい。
【0035】
S504で、制御部101は、分類された組ごとに、組に属する統合対象IDの各々に係るゲームプロセスを、いずれか1つのゲームプロセスに統合する処理を行う。制御部101は、組に属する統合対象IDに係るゲームプロセスの中からいずれか1つのID(メインID)に係るゲームプロセスを統合後に残すゲームプロセスに選択する。そして制御部101は、組に属すメインID以外の統合対象ID(サブID)に係るゲームプロセスの各々から、マルチプレイにおける1プレイヤとして登録するために必要な設定情報を取得する。該設定情報は、例えば図4(b)に示されるように選択されている使用キャラクタの種別を示すキャラクタID、キャラクタに装着したアイテムを示すアイテムID、ゲームプレイにより上昇したパラメータの情報、コントローラ等の操作入力装置を使用してコマンド入力を行う際のボタンアサインの情報等を含む。即ち、設定情報は、マルチプレイモードにおいて各プレイヤについてカスタマイズ可能な設定や、ゲーム内のパラメータの初期値からの変更情報等を含む情報であってよい。制御部101は、メインIDに係るゲームプロセスのマルチプレイにおける各プレイヤ(2P〜4P)に対してサブIDを各々割り当てる(登録する)。そして、各プレイヤについて管理されるパラメータを対応する設定情報で更新する。即ち、これまでサブIDに係るゲームプロセスにおいて用いられていたゲームプロセスを、そのままメインIDに係るゲームプロセスにおいても使用可能にすることができる。
【0036】
このようにすることで、複数人のプレイヤについて各々実行されていたゲームプロセスを、各々のゲーム内でのゲームステータスを用いて1つのゲームプロセスのプレイヤとして登録することで、ゲームステータスを維持したまま各プレイヤはゲームを続行できる。即ち、複数のゲームプロセスのそれぞれで行われていたゲームプレイを1つのゲームプロセスにおいて継続して実現することができるため、複数のゲームプロセスを実質的に1つのゲームプロセスに統合することができる。従って、複数のゲームプロセス夫々が対応する複数のプレイヤ夫々にゲーム体験を提供している状況からより少ない数のゲームプロセスがこれらの複数のプレイヤにゲーム体験を提供する状況に変化せしめることになる。
【0037】
S505で、制御部101は、サブIDに係り実行されていたゲームプロセスを終了し、本統合処理を完了する。
【0038】
このようにすることで、複数のサービス利用IDについてそれぞれ処理されていたゲームプロセスを統合し、同時実行されるプロセス数を減らすことができるため、サーバ100において使用される演算リソースを効率的に低減することができる。また、ゲームプロセスの統合の際に、各サービス利用IDに係るゲーム内パラメータを、他のゲームプロセスにおける1プレイヤのパラメータとして割り当てることができるため、1つのゲームプロセスで一括して複数のサービス利用IDに係るゲームパラメータを管理することができる。即ち、従来の通信を行ってマルチプレイを実現する方式よりもパラメータのやり取りを行う必要がないため、通信遅延により各プレイヤに係る画面で生じるパラメータ不整合等の影響を受けずに、ネットワークを介したマルチプレイのゲームサービスを提供することができる。
【0039】
なお、本実施形態ではサブIDに係り実行されていたゲームプロセスは終了するものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、プレイヤがマルチプレイの終了後に、マルチプレイ前(統合前)に行っていたシングルプレイをやり直したい場合、あるいはマルチプレイへの変更によりトラブルが生じた場合等のために、サブIDに係り実行されていたゲームプロセスは一時停止状態としておいてもよい。
【0040】
また、スタンドアローン形式のマルチプレイ対応ゲームコンテンツをクラウドゲーミングサービスに実装する場合、本実施形態のようにサーバ100がゲーム画面の描画を行うが、マルチプレイに係る1つのゲームプロセスでは1つのゲーム画面を領域分割することで複数のプレイヤに対応する画面が描画される。即ち、ゲームプロセスを統合することにより、ゲーム画面の描画や符号化に係る処理も統合することができる。つまり、1つのゲームプロセスに統合されたサービス利用IDの各々には、同一の符号化動画データを提供すればよいことになるため、描画や符号化の処理に係る演算リソースも効率的に低減することができる。
【0041】
なお、本実施形態ではサーバ100における演算リソースの低減が最大となるように、マルチプレイモードで同時に処理可能なプレイヤ数ごとに統合対象IDを組分類するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、ゲームプロセスの統合を行うのであれば演算リソースの低減は実現できるため、例えば統合対象IDが9つある際に、各組のID数が処理可能なプレイヤ数よりも少ない2−2−2−2−1の5組に分類してもよい。あるいは、ゲーム画面の領域分割数により各プレイヤに対応するゲーム画面の見易さや操作性が変化するため、各プレイヤがマルチプレイを行う際の最大プレイヤ数を予め設定可能なように構成してもよい。
【0042】
また、本実施形態ではゲームステータスが共通のステージであるゲームプロセスを統合対象とするものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものでない。例えばゲームステータスは、ゲーム内での進行状況(ストーリー、階層、敷地等)を示すものに限らず、ゲームプロセスに含まれる複数のパラメータのうち、使用キャラクタのレベルが同一である、既に1度ゲームクリアをした後である等の、ゲームにおける経時やプレイ回数等によって変化するあらゆるパラメータを使用するものであってもよい。そして、統合を行ってもよいとして予め定められたパラメータのうちの、少なくともいずれかのパラメータが共通であった場合に、これらのゲームステータスにあるゲームプロセスを統合対象とする構成としてもよい。
【0043】
また本実施形態では、統合対象である実行中の複数のゲームプロセスを、このうちのいずれか1つのゲームプロセスに統合するものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、統合対象とする条件となった場合に、同一のゲームコンテンツに係るゲームプロセスをマルチプレイ用に新たに実行し、各ゲームプロセスから取得した設定情報を用いてプレイヤとして新たに実行されたゲームプロセスに登録することにより、ゲームプロセスの統合を行ってもよい。この場合も同様に、統合された各ゲームプロセスは終了されてもよいし、一時停止状態とされていてもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置は、クラウドゲーミングシステムにおいてゲームを提供するために必要なコストを低減することができる。本発明の一態様に係る情報処理装置は、接続された複数のクライアント機器の各々について同一のゲームに係り実行するゲームプロセスの各々についてゲームステータスを取得する。そして、ゲームステータスが所定の条件を満たす複数のゲームプロセスを特定し、該特定した複数のゲームプロセスを、該複数のゲームプロセスのうちの1つのゲームプロセスに統合して実行する。
【0045】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。また本発明に係る情報処理装置は、1以上のコンピュータを情報処理装置として機能させるプログラムによっても実現可能である。該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0046】
100:サーバ
101:制御部
102:記憶媒体
103:メモリ
104:描画部
105:符号化部
106:通信部
200:クライアント機器
300:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5