(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<有機モノスルホン酸(a)>
本実施形態に係るアルミニウム系金属用洗浄剤組成物(以下、単に洗浄剤組成物ということがある。)は、有機モノスルホン酸(a)を含有する。
【0010】
有機モノスルホン酸(a)としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、および、ヒドロキシプロパンスルホン酸などの、脂肪族炭素原子上にスルホ基を有する化合物、ならびに、フェノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、および、クメンスルホン酸などの、芳香族炭素原子上にスルホ基を有する化合物などが挙げられる。これらをいずれか1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、アルミニウム系金属への侵食をより抑制できることから、芳香族炭素原子上にスルホ基を有する化合物が好ましい。
【0011】
有機モノスルホン酸(a)の一実施形態として、下記一般式(1)で表される化合物を用いてもよい。
【0012】
R
1−SO
3H …(1)
式(1)中、R
1は、炭素数が1〜9(より好ましくは1〜4)である直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、または、炭素数が6〜18(より好ましくは6〜13、さらに好ましくは6〜10)であるアリール基もしくはヒドロキシアリール基を示す。ここで、ヒドロキシアルキル基とは、置換基として水酸基を有するアルキル基であり、ヒドロキシアリール基とは、置換基として水酸基を有するアリール基である。式(1)で表される化合物は、R
1がアルキル基またはヒドロキシアルキル基の場合、上記脂肪族炭素原子上にスルホ基を有する化合物の例となり、R
1がアリール基またはヒドロキシアリール基の場合、上記芳香族炭素原子上にスルホ基を有する化合物の例となる。
【0013】
<アミノ酸(b)>
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、アミノ酸(b)を含有する。
【0014】
アミノ酸(b)は、分子内にアミノ基およびカルボキシル基を有する化合物である。好ましくはα−アミノ酸であり、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アルギニン、アスパラギン、リシン 、グルタミン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸 、システイン、メチオニン、ヒスチジン、プロリン、フェニルアラニン、およびチロシンなどが挙げられる。これらはいずれか1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
これらのうち、洗浄性がより優れ、アルミニウム系金属表面の侵食がより抑制できることから、アミノ酸(b)としては、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0016】
【化1】
式(2)中、R
2は、水素原子、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のヒドロキシアルキル基を示す。R
2は、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す。
【0017】
式(2)で表される化合物の具体例としては、以下の通り:
・R
2が水素原子であるもの;
グリシン
・R
2が炭素数1〜5のアルキル基であるもの(カッコ内はR
2の炭素数);
アラニン(1)、バリン(3)、ロイシン(4)、イソロイシン(4)
・R
2が炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基であるもの(カッコ内はR
2の炭素数);
セリン(1)、トレオニン(2)
【0018】
本実施形態に係る洗浄剤組成物において、アミノ酸(b)の含有量は、有機モノスルホン酸(a)100質量部に対して、5〜1000質量部であることが好ましい。このような範囲内とすることで、洗浄性がより優れ、アルミニウム系金属表面の侵食がより抑制できる。有機モノスルホン酸(a)100質量部に対するアミノ酸(b)の含有量は、下限が20質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは30質量部以上であり、上限が500質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは300質量部以下であり、200質量部以下でもよい。
【0019】
<オキシアルキレンモノオール(c)>
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、さらに、オキシアルキレンモノオール(c)を含有してもよい。オキシアルキレンモノオール(c)を含有させることで、洗浄性がさらに優れる。
【0020】
オキシアルキレンモノオール(c)は、分子中に少なくとも1つのオキシアルキレン基と、1つの水酸基を有する化合物であり、例えば、モノオールのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
【0021】
オキシアルキレンモノオール(c)の具体例としては、洗浄性により優れるという点から、下記一般式(3)で示される化合物が好ましい。
【0022】
R
3−O−(AO)
n−H …(3)
式(3)中、R
3は、炭素数6〜30の炭化水素基を示し、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって1〜100の数である。
【0023】
R
3は、炭素数6〜18の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数が6〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。また、洗浄性がさらに優れ、洗浄後のすすぎ性にも優れることから、R
3の炭素数は、8〜14であることが好ましく、より好ましくは10〜12である。
【0024】
同様の理由より、式(3)中のnは2以上が好ましく、5以上がより好ましい。また、nは30以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
【0025】
式(3)中の(AO)
nは、炭素数の異なるオキシアルキレン基のランダム付加物でもよく、ブロック付加物でもよい。洗浄性がさらに優れ、洗浄後のすすぎ性にも優れることから、(AO)
nはオキシエチレン基を50〜100質量%含むことが好ましく、70〜100質量%含むことがより好ましい。
【0026】
本実施形態に係る洗浄剤組成物において、オキシアルキレンモノオール(c)の含有量は、有機モノスルホン酸(a)100質量部に対して、5〜1000質量部であることが好ましい。このような範囲内とすることで、洗浄性がより優れたものとなる。有機モノスルホン酸(a)100質量部に対するオキシアルキレンモノオール(c)の含有量は、下限が20質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは50質量部以上であり、上限が500質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは300質量部以下である。
【0027】
オキシアルキレンモノオール(c)の含有量は、また、アミノ酸(b)100質量部に対して、5〜1000質量部であることが好ましい。このような範囲内とすることで、洗浄性がより優れたものとなる。アミノ酸(b)100質量部に対するオキシアルキレンモノオール(c)の含有量は、下限が20質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは50質量部以上であり、上限が500質量部以下であることがより好ましい。
【0028】
<有機ホスホン酸(d)>
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、さらに、有機ホスホン酸(d)を含有してもよい。有機ホスホン酸(d)を含有させることで、洗浄性がさらに優れる。有機ホスホン酸(d)とオキシアルキレンモノオール(c)は、いずれか一方を配合してもよく、双方を配合してもよい。
【0029】
有機ホスホン酸(d)としては、例えば、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、3−カルボキシ−3−ホスホノヘキサン二酸(PBTC)、および、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTMP)などが挙げられる。これらはいずれか1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
これらのうち、洗浄性がさらに優れることから、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)および/またはニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)がより好ましい。
【0031】
本実施形態に係る洗浄剤組成物において、有機ホスホン酸(d)の含有量は、有機モノスルホン酸(a)100質量部に対して、5〜1000質量部であることが好ましく、洗浄性がより優れたものとなる。有機モノスルホン酸(a)100質量部に対する有機ホスホン酸(d)の含有量は、下限が20質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは40質量部以上であり、上限が500質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは300質量部以下であり、200質量部以下でもよい。
【0032】
有機ホスホン酸(d)の含有量は、また、アミノ酸(b)100質量部に対して、5〜1000質量部であることが好ましく、洗浄性がより優れたものとなる。アミノ酸(b)100質量部に対する有機ホスホン酸(d)の含有量は、下限が20質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは40質量部以上であり、上限が500質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは300質量部以下である。
【0033】
有機ホスホン酸(d)の含有量は、また、オキシアルキレンモノオール(c)100質量部に対して、5〜1000質量部であることが好ましく、洗浄性がより優れたものとなる。オキシアルキレンモノオール(c)100質量部に対する有機ホスホン酸(d)の含有量は、下限が10質量部以上であることがより好ましく、更に好ましくは20質量部以上であり、上限が500質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは300質量部以下であり、200質量部以下でもよい。
【0034】
<その他の成分>
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、水溶液であってもよい。すなわち、上述した有機モノスルホン酸(a)とアミノ酸(b)を、好ましくは任意成分としてのオキシアルキレンモノオール(c)および/または有機ホスホン酸(d)とともに、水に溶解してなる水溶液であってもよい。
【0035】
本実施形態に係る洗浄剤組成物には、効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤を使用可能である。公知の添加剤としては、以下のものが挙げられる。
【0036】
・上記(d)以外の金属イオン封止剤(キレート剤):
例えば、L−グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、グルコン酸、グリコール酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミンテトラアミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、クエン酸およびリンゴ酸などが挙げられる。
【0037】
・水溶性高沸点溶剤:
水100質量部に対する25℃における溶解度が100質量部以上であり、かつ1気圧における沸点が100℃以上である溶剤。例えば、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、およびピロリドン系溶剤などが挙げられる。
【0038】
・消泡剤:
例えば、シリコーン系消泡剤、高級アルコール系消泡剤、ポリグリコール系消泡剤、および鉱物油系消泡剤などが挙げられる。
【0039】
その他、防腐剤、防錆剤、酸化防止剤、pH調整剤、上記(c)以外のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などを添加してもよい。
【0040】
なお、本実施形態に係る洗浄剤組成物は、好ましくは酸性洗浄剤組成物であり、ここで酸性とは常温(23℃)でのpHが6以下であり、より好ましくはpH4以下である。
【0041】
<洗浄剤組成物の使用方法>
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、水で希釈して用いてもよい。適宜希釈可能であり、希釈後の濃度は特に限定されないが、洗浄性の観点から、有機モノスルホン酸(a)の濃度が0.1〜10質量%であることが好ましい。なお、アミノ酸(b)、オキシアルキレンモノオール(c)および有機ホスホン酸(d)の各成分の濃度は、上述した有機モノスルホン酸(a)に対する比率に応じて設定することができる。
【0042】
該洗浄剤組成物を含有する水溶液を用いてアルミニウム系金属を洗浄するためには、該水溶液をアルミニウム系金属の表面に接触させればよい。洗浄方法は、特に限定されず、例えば、浸漬洗浄、超音波洗浄、ブラシ洗浄、スクラブ洗浄、噴流洗浄、スプレー洗浄、手拭き洗浄などの公知の方法を使用可能である。洗浄温度は特に限定されず、通常、10〜80℃で適宜設定可能である。洗浄時間は特に限定されず、通常、1分〜24時間で適宜設定可能である。
【0043】
洗浄対象であるアルミニウム系金属としては、アルミニウム金属のほか、アルミニウム合金も含む。アルミニウム合金としては、アルミニウム−銅、アルミニウム−マンガン、アルミニウム−マグネシウム、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素、アルミニウム−亜鉛−マグネシウム、および、アルミニウム−亜鉛−マグネシウム−銅などが挙げられ、公知のものを使用可能である。
【0044】
本実施形態は、潤滑剤を付与して成形したアルミニウム系金属(以下、アルミニウム系金属成形品ということがある。)の洗浄に好ましく利用することができ、すなわち、アルミニウム系金属の成形後に、その表面から潤滑剤およびその変性物等の付着物を除去するための洗浄に好ましく利用される。より詳細には、鍛造成形のような高温高圧下で成形したアルミニウム系金属成形品の洗浄に利用することである。このようにして洗浄されたアルミニウム系金属成形品は、公知の方法に従って、水洗した後、化成処理や塗装処理を施すことができる。
【0045】
なお、潤滑剤の種類は特に限定されない。例えば、黒鉛や二硫化モリブデンを主成分とする黒色系潤滑剤、また、カルボン酸系化合物、リン酸系化合物、合成雲母、窒化硼素を主成分とする白色系潤滑剤など、一般的に使用される各種潤滑剤を付与して成形したアルミニウム系金属の洗浄に利用可能である。
【0046】
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、上記の成形後の洗浄には限られず、アルミニウム系金属からなる各種製品、部品、成形品、および装置などの洗浄に用いることができる。
【実施例】
【0047】
次に、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1〜15、比較例1〜6)
表1に記載に基づいて、各原料を所定の割合(質量比)で混合することにより、洗浄剤組成物を得た。なお、表1中の「イソデシルアルコール7EO付加物」は、イソデシルアルコールにエチレンオキシドを7モル付加させたものである。また、「ラウリルアルコール8EO2PO付加物」は、ラウリルアルコールにエチレンオキシド8モルとプロピレンオキシド2モルをランダム付加させたものである。
【0049】
得られた洗浄剤組成物を用いて、洗浄性および侵食性を下記の方法で評価した。
【0050】
(1)洗浄性(黒色潤滑油)
アルミニウム合金(アルミニウム−マグネシウム−ケイ素、JISアルミ合金番号A6061、サイズ:25mm×70mm×2mm)に、黒色系潤滑剤(商品名:デルタフォージ、ヘンケル社製)を塗布した。これを450℃で10分間加熱することにより、汚れが付着した試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記(I)〜(IV)の条件で洗浄試験を行った。
【0051】
洗浄試験後の試験片の上面および下面に5mm幅の碁盤目が記載された透明シート(25mm×70mm)を載せて汚れが残っていないマス目を数え、その割合(%)を算出した。評価は、上記割合に基づいて以下の基準で行った。
【0052】
◎:100%
○:98%以上100%未満
×:95%以上98%未満
××:95%未満
【0053】
(I)25℃での洗浄
洗浄剤組成物40gと水160gとの混合液を25℃に調整し、上記試験片を6時間浸漬した。続いて、25℃のイオン交換水200gに試験片を3分間浸漬してすすいだあと、試験片を取り出して80℃で20分間乾燥した。
【0054】
(II)50℃での洗浄
上記(I)において、洗浄液の温度を50℃とした以外は同様の操作を行った。
【0055】
(III)40℃での超音波洗浄
洗浄液として、洗浄剤組成物20gと水180gとの混合物を用いた。超音波洗浄機に上記洗浄液を入れて40℃に調整して上記試験片を浸漬し、38kHz、300Wの条件で10分間洗浄した。続いて、40℃のイオン交換水200gを投入した超音波洗浄機に試験片を浸漬して38kHz、300Wの条件で3分間すすぎ、さらに25℃のイオン交換水200gを投入した超音波洗浄機に試験片を浸漬して38kHz、300Wの条件で3分間すすいだあと、試験片を80℃で20分間乾燥した。
【0056】
(IV)60℃での超音波洗浄
上記(III)において、洗浄液の温度を60℃とした以外は同様の操作を行った。
【0057】
(2)洗浄性(白色潤滑油)
アルミニウム合金(アルミニウム−亜鉛−マグネシウム−銅、JISアルミ合金番号A7075、サイズ:25mm×70mm×2mm)に、白色系潤滑剤(商品名:ホットアクアルブAL−85F、大同化学工業社製)を塗布した。これを450℃で10分間加熱することにより、汚れが付着した試験片を得た。得られた試験片を用いて、前記(1)洗浄性(黒色潤滑油)と同様の方法により評価した。
【0058】
(3)侵食性
アルミニウム(JISアルミ合金番号A1050、サイズ:25mm×70mm×2mm)およびアルミニウム合金(アルミニウム−マグネシウム−ケイ素、JISアルミ合金番号A6061、サイズ:25mm×70mm×2mm)をメタノールで脱脂処理することにより試験片を得た。
【0059】
洗浄剤組成物20gと水180gとの混合液に上記試験片を6時間浸漬した。なお、混合液の温度は25℃と60℃の2つの条件で行った。このとき、試験片表面からの気泡の発生有無を確認した。続いて、試験片をイオン交換水(25℃)に3分間浸漬し、さらに別のイオン交換水(25℃)に3分間浸漬したあと、80℃で20分間乾燥した。試験片の表面を目視で観察し、試験前後における変化の有無を確認した。また、試験前後における重量変化率を算出した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
結果は表2に示す通りである。硫酸の単独使用または硫酸とクエン酸を併用した比較例3および4では、アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する浸食が大きく、また洗浄性についても、特に低温での洗浄性に劣っていた。有機モノスルホン酸(a)を用いた比較例1および2では、比較例3および4に対して浸食性は改善されたものの、アミノ酸(b)を併用していないため、その効果は不十分であり、また洗浄性についても不十分なものであった。一方、アルカリ成分を用いた比較例5および6では洗浄性に劣っており、また、アルカリ成分が水酸化ナトリウムである比較例5では、アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する浸食の抑制効果も不十分であった。
【0063】
これに対し、有機モノスルホン酸(a)とアミノ酸(b)を併用した実施例1〜15であると、アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する浸食を抑制しつつ、洗浄性にも優れていた。実施例6と、実施例2および5との対比より、有機モノスルホン酸(a)としては、メタンスルホン酸のような脂肪族スルホン酸よりも、トルエンスルホン酸やフェノールスルホン酸のような芳香族スルホン酸の方が、アルミニウムに対する浸食抑制効果に優れていた。実施例9〜15に示すように、有機モノスルホン酸(a)とアミノ酸(b)に対して、更にオキシアルキレンモノオール(c)および/または有機ホスホン酸(d)を加えることにより、洗浄性の更なる向上効果がみられた。