(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る無線通信装置10の適用例を示す図である。無線通信装置10は、無線通信システム1において利用される。無線通信システム1は、地上基地局BSと、ネットワークNと、プッシュサーバPSと、端末情報データベースDBと、通信衛星CSと、航空機FVと、無線端末装置Tとを含んで構成される。端末情報データベースDBの一例には、HLR(Home Location Register)、HSS(Home Subscriber Server)がある。
【0010】
地上基地局BSは、携帯電話やスマートフォンなどの無線端末装置Tとの間において無線通信を行う。また、地上基地局BSは、ネットワークNを介してプッシュサーバPSに接続されている。
端末情報データベースDBには、プッシュサーバPSが無線端末装置Tに情報をプッシュ送信する場合に参照される情報が記憶されている。
プッシュサーバPSは、端末情報データベースDBに記憶されている情報に基づき、ネットワークNや通信衛星CSを介して無線端末装置Tに情報をプッシュ送信する。この一例では、プッシュサーバPSは、通信衛星CSに対して地上局送信波WT1を送信する。また、プッシュサーバPSは、通信衛星CSから地上局受信波WR3を受信する。
通信衛星CSは、プッシュサーバPSが送信する通信波を転送する。また、通信衛星CSは、受信した通信波をプッシュサーバPSに転送する。この一例では、通信衛星CSは、地上局送信波WT1を受信し、地上局送信波WT2として航空機FVに転送する。また、通信衛星CSは、航空機FVから地上局受信波WR2を受信し、地上局受信波WR3としてプッシュサーバPSに転送する。
航空機FVは、通信衛星CSを介してプッシュサーバPSが送信する通信波を転送する。また、航空機FVは、受信した通信波を通信衛星CSに転送する。航空機FVは、目的地DSTの上空に滞在し、目的地DSTをカバーエリアにして、目的地DST内の無線端末装置Tと通信する。この一例では、航空機FVは、通信衛星CSから地上局送信波WT2を受信し、地上局送信波WT3として無線端末装置Tに転送する。また、航空機FVは、無線端末装置Tから地上局受信波WR1を受信し、地上局受信波WR2として通信衛星CSに転送する。
【0011】
なお、航空機FVと地上基地局BSとの通信が可能である場合には、航空機FVは、通信衛星CSに代えて地上基地局BSと通信してもよい。この場合には、航空機FVは、地上局送信波WT4を受信し、地上局送信波WT3として無線端末装置Tに転送する。また、航空機FVは、無線端末装置Tから地上局受信波WR1を受信し、地上局受信波WR4として地上基地局BSに転送する。
【0012】
目的地DSTの一例には、無線通信サービスが提供されない孤立エリアがある。孤立エリアとは、例えば、災害などにより地上の無線基地局に障害が生じて、無線通信サービスが利用できなくなったエリアである。このようなエリアにおいては、安否確認や所在把握のための通信ができなくなり、無線通信サービスの利用者の利便性が低下する。航空機FVは、このような孤立エリアの上空に滞在して、無線通信サービスを提供する。
【0013】
なお、目的地DSTは、災害によって生じた孤立エリアに限られない。目的地DSTは、例えば、無線通信サービスが提供されない山奥のイベント会場などであってもよい。
【0014】
ところで、目的地DSTに対して派遣可能な航空機FVの台数は限られている場合がある。また、目的地DSTに航空機FVを派遣できたとしても、滞空時間が限られている場合がある。このような場合においては、目的地DSTに対して無線通信サービスを提供し続けることは困難である。例えば、航空機FVの燃料が残り少なくなった場合には、目的地DSTから飛行基地FBに帰投しなければならない。そうすると、目的地DSTにおいては、利用者は無線通信サービスを利用できなくなる。
【0015】
このような場合においては、目的地DST内の利用者は、航空機FVが目的地DSTの上空に滞在している間に通信をしなければならない。この場合、利用者が、航空機FVの滞在時間を知ることができれば、余裕をもって通信することができる。また、利用者が、航空機FVの次回の来訪スケジュールを知ることができれば、不要不急な通信の発生が低減され、通信回線が輻輳することを抑止することができる。
【0016】
この航空機FVの飛行スケジュールの一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態の航空機FVの飛行スケジュールの一例を示す図である。航空機FVは、飛行基地FBを7:00に出発し、第1目的地DST1に向けて飛行する。航空機FVは、第1目的地DST1に8:00から9:00まで滞在する。航空機FVは、第1目的地DST1を9:00に出発し、第2目的地DST2に向けて飛行する。航空機FVは、第2目的地DST2に10:00から11:00まで滞在する。以下、航空機FVは、第3目的地DST3、通信可能エリアCA、第4目的地DST4に順次滞在し、18:00に飛行基地FBに帰投する。
ここで、通信可能エリアCAとは、航空機FVが地上基地局BSと通信可能なエリアである。この通信可能エリアCAにおいては、航空機FVは、通信衛星CSを介さずに地上基地局BSとの通信ができる。
プッシュサーバPSは、この飛行スケジュールを取得可能である。例えば、端末情報データベースDBには、飛行スケジュールを示す飛行スケジュール情報が記憶されている。プッシュサーバPSは、端末情報データベースDBから飛行スケジュール情報を取得する。
航空機FVは、目的地DSTでの滞在時間や、次回の目的地DSTへの来訪スケジュールを利用者に通知することができる無線通信装置10を備えている。以下、無線通信装置10の機能構成の一例について説明する。
【0017】
[無線通信装置10の機能構成]
図3は、本実施形態の無線通信装置10の機能構成の一例を示す図である。無線通信装置10は、設備通信部110と、端末通信部120と、通信可能時間取得部130と、通信可能時間転送部140と、登録要求取得部150と、登録要求転送部160と、通信内容記憶部170と、計時部180とを備えている。
【0018】
設備通信部110は、無線通信サービスを提供するネットワーク設備との無線通信を行う。この一例では、ネットワーク設備とは、通信衛星CSや地上基地局BSである。設備通信部110がネットワーク設備から受信する情報には、無線端末装置Tとの通信可能時間ACTを示す通信可能時間情報AIが含まれている。
端末通信部120は、無線端末装置Tとの無線通信を行う。端末通信部120が無線端末装置Tから受信する情報には、無線端末装置Tの位置の登録要求RRが含まれている。
通信可能時間取得部130は、無線端末装置Tとの通信可能時間ACTを含む通信可能時間情報AIを、ネットワーク設備から取得する。つまり、通信可能時間取得部130は、設備通信部110がネットワーク設備から受信した情報のなかから、通信可能時間を示す情報を取得する。この通信可能時間情報AIは、無線端末装置Tの位置の登録要求RRに応じて送信される。この通信可能時間には、航空機FVの状態に基づく時間や、無線端末装置Tの状態に基づく時間が含まれる。航空機FVの状態に基づく時間には、航空機FVが搭載する燃料の残量に基づいて算出される時間が含まれる。また、無線端末装置Tの状態に基づく時間には、無線端末装置Tの電池残量に基づいて算出される時間が含まれる。通信可能時間取得部130は、これらの時間を示す通信可能時間情報AIを、航空機FVから取得してもよい。
通信可能時間転送部140は、通信可能時間取得部130が取得する通信可能時間情報AIを、無線端末装置Tに転送する。
登録要求取得部150は、無線端末装置Tの位置の登録要求RRを無線端末装置Tから取得する。
登録要求転送部160は、登録要求取得部150が取得する登録要求RRを、ネットワーク設備に転送する。
通信内容記憶部170は、端末通信部120が行う無線端末装置Tとの無線通信の内容を記憶する。
計時部180は、無線端末装置Tとの通信可能時間を計時する。
【0019】
プッシュサーバPSは、端末情報データベースDBに記憶されている無線端末情報TIに基づいて、無線端末装置Tに情報をプッシュ送信する。この端末情報データベースDBに記憶されている無線端末情報TIの一例について、
図4を参照して説明する。
【0020】
図4は、本実施形態の端末情報データベースDBに記憶されている無線端末情報TIの一例を示す図である。端末情報データベースDBには、端末IDと、端末位置を示す情報とが関連付けて記憶されている。端末IDとは、無線端末装置Tを識別する情報である。端末位置とは、無線端末装置Tの所在位置を示す情報である。端末位置を示す情報は、例えば、無線端末装置Tが接続する基地局の識別IDに基づく、基地局のエリア情報であってもよい。また、この端末情報データベースDBに記憶されている情報には、無線端末装置Tを利用する利用者ID(加入者ID)が関連付けられていてもよい。また、利用者ID(加入者ID)が無線端末装置Tによる通信内容に含まれている場合には、ネットワーク設備が無線端末装置Tによる通信内容から取得した利用者ID(加入者ID)であってもよい。
【0021】
[無線通信装置10の動作]
次に、
図5を参照して無線通信装置10の動作の一例について説明する。
図5は、本実施形態の無線通信装置10の動作の一例を示す図である。この一例において、航空機FVは、第1目的地DST1の上空に滞在しており、第1目的地DST1内の無線端末装置Tとの通信を行う。
無線端末装置Tは、航空機FVに登録要求RRを送信する。この登録要求RRには、無線端末装置Tの端末IDが含まれている。また、登録要求RRには、基地局の識別IDやネットワーク設備が登録要求RRを取得した日時を示す情報が含まれていてもよい。具体的には、無線端末装置Tのうち無線端末装置T1の端末IDは、端末ID_T1である。無線端末装置T1が登録要求RRを送信する場合、この登録要求RRには、端末ID_T1が含まれる。この無線端末装置Tのディスプレイに表示される画像の一例について
図6を参照して説明する。
【0022】
図6は、本実施形態の無線端末装置Tに表示される登録要求RRを行う画像の一例を示す図である。無線端末装置Tのディスプレイには、画像PC1、すなわち「移動体通信サービス 登録しますか?」が表示される。また、無線端末装置Tのディスプレイには、利用者の操作用の画像PC2が表示される。この画像PC2には、登録することを示す「YES」の画像PC3と、登録しないことを示す「NO」の画像PC4とがある。
無線端末装置Tの利用者は画像PC1が表示されることに応じて、画像PC3、すなわち「YES」を選択する。この選択操作により、無線端末装置Tは、登録要求RRを送信する。
なお、この登録要求RRは、無線端末装置Tの電源投入時やハンドオーバーが発生した場合などにおいて、利用者の操作によらず自動的に送信されてもよい。
【0023】
図5に戻り、無線通信装置10の登録要求取得部150は、無線端末装置Tから、登録要求RRを受信する(ステップS10)。
登録要求転送部160は、登録要求取得部150が受信した登録要求RRを、通信衛星CSに転送する(ステップS20)。このとき、登録要求転送部160は、自航空機FVが滞在するエリアの位置を示すエリア情報を、登録要求RRに付して、通信衛星CSに送信する。
通信衛星CSは、登録要求RRを無線通信装置10から受信すると、受信した登録要求RRを、プッシュサーバPSに転送する。プッシュサーバPSは、受信した登録要求RRを端末情報データベースDBに、無線端末情報TIとして記憶させる。具体的には、プッシュサーバPSは、無線端末装置Tのうち無線端末装置T1からの登録要求RRを受信した場合、この登録要求RRに含まれる端末IDと、エリア情報とを対応付けて、端末情報データベースDBに無線端末情報TIとして記憶させる。
【0024】
プッシュサーバPSは、端末情報データベースDBから飛行スケジュール情報を取得する。この飛行スケジュール情報には、航空機FVの飛行スケジュールが含まれる。上述の一例では、航空機FVは、第1目的地DST1の上空に8:00から9:00の間、滞在する。プッシュサーバPSは、飛行スケジュール情報を、無線端末情報TIに登録されている無線端末装置Tに向けてプッシュ送信する。より具体的には、プッシュサーバPSは、無線端末情報TIに登録されている無線端末装置Tの端末IDと、飛行スケジュール情報とを対応付けて、通信可能時間情報AIとして、通信衛星CSに送信する。
【0025】
通信衛星CSは、プッシュサーバPSから受信した通信可能時間情報AIを航空機FVに転送する。
無線通信装置10の設備通信部110は、通信衛星CSから通信可能時間情報AIを受信する。通信可能時間取得部130は、設備通信部110が受信した通信可能時間情報AIを取得する(ステップS30)。具体的には、この通信可能時間情報AIには、自航空機FVの飛行スケジュール情報が含まれている。通信可能時間取得部130は、取得した通信可能時間情報AIから、飛行スケジュール情報を抽出したものを通信可能時間として取得する。
【0026】
計時部180は、無線端末装置Tとの通信可能時間を計時する(ステップS40)。具体的には、計時部180は、通信可能時間取得部130が取得した飛行スケジュール情報から通信可能時間ACTを算出する。この通信可能時間ACTとは、ある目的地DSTにおいて端末通信部120と無線端末装置Tとの通信が可能な時間である。例えば、上述の一例において、航空機FVは、第1目的地DST1の上空に8:00から9:00の間、滞在する。この場合、計時部180は、8:00から9:00の間を、第1目的地DST1の通信可能時間ACTとして算出する。
また、計時部180は、通信可能時間ACTと現在時刻とに基づいて、通信可能残時間ACRTを算出する。具体的には、通信可能時間ACTが8:00から9:00の間であり、現在時刻が8:00である場合には、計時部180は、「60分」を通信可能残時間ACRTとして算出する。
【0027】
端末通信部120は、通信可能時間ACT及び通信可能残時間ACRTを、無線端末装置Tに通知して(ステップS50)、一連の処理を終了する。
【0028】
図7は、本実施形態の無線端末装置Tに表示される通信可能残時間ACRTの画像の第1例を示す図である。航空機FVは、第1目的地DST1の上空に、8:00から9:00の間、滞在する。この場合、第1目的地DST1内の無線端末装置Tのディスプレイには、現在時刻を示す時計の画像PC5が表示される。また、無線端末装置Tのディスプレイには、通信可能残時間ACRTを示す画像PC6が表示される。この一例では、現在時刻が8:00であり、通信可能残時間ACRTは60分である。
【0029】
図8は、本実施形態の無線端末装置Tに表示される通信可能残時間ACRTの画像の第2例を示す図である。無線端末装置Tのディスプレイには、現在時刻を示す時計の画像PC8が表示される。また、無線端末装置Tのディスプレイには、通信可能残時間ACRTを示す画像PC9が表示される。この一例では、現在時刻が8:30であり、通信可能残時間ACRTは30分である。
【0030】
なお、飛行スケジュール情報が、次回の到来予定を含む場合がある。この場合には、通信可能時間転送部140は、次回の到来予定の情報を、次回の通信可能時間帯を示す情報として、無線端末装置Tに転送してもよい。この場合、無線端末装置Tのディスプレイには、
図7に示す画像PC7、及び
図8に示す画像PC10、すなわち次回の通信可能時間帯を示す画像が表示される。
【0031】
[変形例1]
なお、これまで、無線通信システム1において、無線通信装置10が航空機FVに備えられる場合について説明したが、これに限られない。
図9は、本実施形態の無線通信システム1の第1の変形例を示す図である。同図に示すように無線通信装置10は、船舶SPに備えられてもよい。例えば、津波災害などにより、沿岸地域の目的地DSTが通信孤立エリアになった場合には、航空機FVの代わりに、又は航空機FVと共に、船舶SPが無線通信サービスを提供してもよい。船舶SPであれば、航空機FVに比べて目的地DST付近への滞在時間を長くすることができる。
【0032】
[変形例2]
なお、これまで、無線通信システム1において、1機の航空機FVによって通信を中継する場合について説明したが、これに限られない。
図10は、本実施形態の無線通信システム1の第2の変形例を示す図である。同図に示すように無線通信システム1は、複数の航空機FVによって通信を順次中継することによって、目的地DSTに対して無線通信サービスを提供してもよい。このように構成された無線通信システム1によれば、通信衛星CSを経由しなくても目的地DSTに対して無線通信サービスを提供することができる。通信衛星CSを経由する通信は、通信容量が少なかったり、通信費用が高額になったりする場合がある。複数の航空機FVを連携させることにより、通信衛星CSを経由する場合に比べ、大容量の通信回線を提供したり、通信費用を低減したりすることができる。
【0033】
[変形例3]
なお、これまで、無線通信システム1において、航空機FVと通信衛星CSとの通信により、無線端末装置TとネットワークNとをリアルタイム回線接続する場合について説明したが、これに限られない。ここで、電子メールなどのテキスト情報は、無線端末装置TとネットワークNとの回線接続を、リアルタイムに行うことは必ずしも求められない場合がある。例えば、電子メールなどのテキスト情報が、無線端末装置Tから送信してから、ネットワークNに送出されるまで、数時間が経過していたとしても、許容される場合がある。このような場合において、無線通信システム1は、次のように構成することができる。
【0034】
すなわち、
図2に示したように、航空機FVは、その飛行経路によっては、地上基地局BSと通信可能であるエリア(通信可能エリアCA)を通過する場合がある。この場合、航空機FVの無線通信装置10は、無線端末装置Tとの通信内容を通信内容記憶部170に記憶させておく。無線通信装置10は、航空機FVが通信可能エリアCAを通過する際に、通信内容記憶部170に記憶させた情報を、地上基地局BSに転送する。また、無線通信装置10は、通信内容記憶部170に記憶させた情報を、目的地DSTに滞在した場合に、この目的地DST内の無線端末装置Tに送信してもよい。このように構成された無線通信システム1によれば、通信衛星CSを経由しなくても目的地DSTに対して無線通信サービスを提供することができる。
また、無線通信装置10は、通信衛星CSや地上基地局BSとの通信ができない場合には、通信手段の種類に応じて通信可否を制御してもよい。この通信手段の種類には、リアルタイム通信が要求されるもの(例えば、電話)や、リアルタイム通信が要求されないもの(例えば、電子メールなど)が含まれる。具体的には、無線通信装置10は、通信衛星CSや地上基地局BSとの通信ができない場合には、電話の利用を禁止してもよい。また、無線通信装置10は、通信衛星CSや地上基地局BSとの通信ができない場合には、電子メールの利用を許可するとともに、この電子メール情報を通信内容記憶部170に記憶させるように構成してもよい。
また、ここでいう通信手段には、無線端末装置Tにおいて動作する様々なアプリケーションが含まれる。このアプリケーションの種類には、大容量の情報の送受信を行うものや、比較的小容量の情報の送受信を行うものがある。無線通信装置10は、情報量の大小に基づいて、通信可否を制御してもよい。例えば、無線通信装置10は、大容量の情報の送受信を行うアプリケーションの利用を禁止してもよい。この場合には、無線通信装置10は、無線端末装置Tに対して、特定のアプリケーションの利用を制御する情報を送信することにより、アプリケーションの利用可否を制御してもよい。
【0035】
[変形例4]
なお、これまで、無線通信システム1において、無線通信装置10が、目的地DST内の各無線端末装置Tとの通信を行う場合について説明したが、これに限られない。無線通信装置10は、目的地DST内の複数の無線端末装置Tを群(グループ)に分けて通信を行ってもよい。例えば、目的地DSTにおける航空機FVの滞在時間が60分である場合に、無線通信装置10は、無線端末装置Tの自局番号(例えば、電話番号)が奇数の第1グループと、偶数の第2グループとに分けて通信を行ってもよい。この場合、無線通信装置10は、60分のうちの最初の30分を第1グループとの通信に割り当て、残りの30分を第2グループとの通信に割り当ててもよい。このように構成された無線通信システム1によれば、目的地DST内の無線端末装置Tの台数に対して、提供できる回線数が比較的少ない場合でも、回線の輻輳を回避しつつ、無線通信サービスを提供することができる。
【0036】
[変形例5]
例えば、行方不明者の近親者が当該不明者を警察に申告し、警察から通信事業者に照会することで当該不明者の加入者IDを特定する。なお、公開されている行方不明者のDBから取得した加入者情報に基づいて加入者IDを特定してもよい。
また、ネットワークNのサーバ(不図示)は、当該加入者IDに基づいて、データベース(HLR/HSS)から、現在時刻と、加入者IDに紐付く無線機能付き腕時計などのウェアラブル端末が基地局に接続した時間と、当該端末の位置情報と、加入者の生体情報(脈拍、表面皮膚温度など)を取得する。所定の時間が経過しても、位置情報が更新されない場合、前記加入者が基地局に接続できない状態が継続していると判定する。加入者の生体情報は、端末が備えるセンサーによって検出されてもよい。
また、ネットワークNのサーバがカウントする加入者の数が所定の数を超過しており、サーバが取得した、複数の加入者の直近の位置情報が、所定の範囲内にある場合、前記所定の範囲が孤立地域であると判定する。孤立地域が複数ある場合、サーバは、孤立地域に含まれる加入者数、生体情報などに基づき、(救助のための)優先度を付けてもよい。このように構成された無線通信システム1によれば、孤立エリアであっても行方不明者を捜索することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述した実施形態の複数の変形例どうしを適宜組み合わせてもよい。
【0037】
上述した情報処理装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0038】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。