特許第6527097号(P6527097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6527097
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】ゴルフ用パター
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20190527BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20190527BHJP
【FI】
   A63B53/04 J
   A63B102:32
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-72284(P2016-72284)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-176703(P2017-176703A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−005660(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0079343(US,A1)
【文献】 実開昭60−076959(JP,U)
【文献】 米国特許第06340336(US,B1)
【文献】 米国特許第05863262(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース面の高さが20〜30mmとなるヘッドを備えたゴルフ用のパターにおいて、
前記フェース面は、ソール側フェース面、及び、トップ側フェース面を備えており、
前記ソール側フェース面のロフト角をα1、トップ側フェース面のロフト角をα2とした場合、α1<α2、かつ、1°≦α1であり、
前記ソール側フェース面の高さは、15mm以上であり、
前記ソール側フェース面の打球位置の近傍にマーキングを付したことを特徴とするゴルフ用のパター。
【請求項2】
前記マーキングは、縦方向線を有することを特徴とする請求項1に記載のゴルフ用パター。
【請求項3】
前記縦方向線は、前記打球位置の両側に対称となるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフ用パター。
【請求項4】
前記マーキングは、横方向線を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフ用パター。
【請求項5】
前記横方向線は、縦方向に一定間隔をおいて複数本設けられていることを特徴とする請求項4に記載のゴルフ用パター。
【請求項6】
前記横方向線は、フェース面に形成される溝であることを特徴とする請求項4又は5に記載のゴルフ用パター。
【請求項7】
前記マーキングは色彩が付されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のゴルフ用パター。
【請求項8】
前記α1は、α1≦5°、α2は、5°≦α2≦10°であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のゴルフ用パター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフをする際、グリーンで使用されるパターに関し、詳細には、打球がなされるフェース面にマーキングを施したゴルフ用パターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフ用パターは、打球する際の指標となるようにマーキングを付すことが知られている。マーキングは、打球後のボールを、プレーヤが捉えたライン(ボールがカップまで転がってカップインするとプレーヤが感覚的に捉えたライン)に載せるのに役立つようにパターのヘッドに設けられるものであり、一般的には、例えば、特許文献1に開示されているように、ヘッドのトップ側(ヘッドの上面)にフェース面と直交したラインを付したものや、このようなラインをバック側等に付したものが知られている。或いは、このようなマーキングが付されていないパターであれば、プレーヤは、フェース部分を規定する上下のエッジ(トウ・ヒール方向に延びるエッジ)やフェース面に設けられた溝を見て方向性を出すことが行われている。すなわち、上記したようなマーキング、或いは上下のエッジや溝については、プレーヤがアドレスして、思い描いたライン上にボールが載るようにパッティングをする上で重要となる。
【0003】
なお、マーキングについては、打球点とボールの位置が最も近接するフェース面に設けておくことも考えられるが、一般的にパターのフェース面のロフト角は小さく(10°以下であり、通常は、3〜4°程度)、アドレスしたときに見にくいことから、上記したようにヘッドの上面等に設けることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−326216号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、パターのヘッド部分に設けられるマーキングは、パッティングしたボールをライン上に載せる上での指標とされる。このようなマーキングについては、打球する瞬間に、プレーヤにボールの位置と方向性を意識させることが重要と考えられるため、打球がなされるフェース面に設けておくことが好ましいと考えられるが、上記したように、パターのロフト角は小さいことから、フェース面にマーキングを付してもそれをプレーヤに視認させることは困難である。
【0006】
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、フェース面に付された打球の方向性の指針となるマーキングをプレーヤに見易くしたゴルフ用パターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明に係るゴルフ用パターは、フェース面の高さが20〜30mmとなるヘッドを備えており、前記フェース面は、ソール側フェース面、及び、トップ側フェース面を備えており、前記ソール側フェース面のロフト角をα1、トップ側フェース面のロフト角をα2とした場合、α1<α2、かつ、1°≦α1であり、前記ソール側フェース面の高さは、15mm以上であり、前記ソール側フェース面の打球位置の近傍にマーキングを付したことを特徴とする。
【0008】
上記した構成のゴルフ用パターによれば、フェース面を複数の面で構成し、トップ側フェース面のロフト角α2を、ソール側フェース面のロフト角α1よりも大きく形成したことで、プレーヤがアドレスした際、視認する上でトップ側のフェース面が妨げになることは無く、ソール側フェース面が視認し易くなり、したがって、ソール側フェース面の打球位置近傍に付されたマーキングを視認しながら打球することができる。すなわち、プレーヤに対しては、打球する瞬間にボールの位置と、マーキングによるヘッドの適正な方向性を意識させることができるため、打球したボールの方向性の向上が図れる。
【0009】
なお、上記した構成において、打球位置とは、そのパターにおいて理想となる打球位置(スイートスポット)を意味しており、マーキングは、そのような位置をプレーヤに意識させるように、その近傍(スイートスポット上も含む)に付されるものである。また、上記した構成において、ソール側フェース面、及び、トップ側フェース面は、平坦面に限らず、多少湾曲した面を含んでいても良い。さらに、それぞれのフェース面のロフト角については、アドレス時にソール側フェース面が視認し易いように、1°≦α1≦5°、5°≦α2≦10°であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゴルフ用パターによれば、フェース面に付された打球の方向性の指針となるマーキングがプレーヤに見易くなり、打球の方向性の向上が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るゴルフ用パターの一実施形態を示す正面図。
図2図1に示すゴルフ用パターのヘッド部分の側面図。
図3図1に示すゴルフ用パターのヘッド部分の斜視図。
図4図1に示すゴルフ用パターのヘッド部分の平面図。
図5図3に示すフェースに付されたマーキングを正面から見た拡大図。
図6】(a)は、アドレスした際、ボールを真上から見ている目の位置(正しい位置)と斜めから見ている目の位置(誤った位置)を概略的に示す図、(b)は、正しい目線で見たときのマーキングの見え方を示す図、(c)は、誤った位置から見たときのマーキングの見え方を示す図。
図7】(a)は、フェースに付されるマーキングの別の例を正面から見た拡大図、(b)は、誤った位置から見たときのマーキングの見え方を示す図。
図8】本発明の第2実施例を示す図であり、ヘッド部分の側面図。
図9図8のフェースに付されたマーキングを正面から見た拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図5は、本発明に係るゴルフ用パター(以下、パターと称する)の第1の実施形態を示す図であり、図1は正面図、図2図1に示すゴルフ用パターのヘッド部分の側面図、図3図1に示すゴルフ用パターのヘッド部分の斜視図、図4図1に示すゴルフ用パターのヘッド部分の平面図、そして、図5図3に示すフェースに付されたマーキングを正面から見た拡大図である。
【0013】
パター1は、基端側にグリップ5aが取着されたシャフト5と、シャフト5の先端に取着されたヘッド10とを備えている。前記シャフト5は、金属や繊維強化製樹脂によって構成されており、ヘッド10は、例えば、ステンレス合金、アルミニウム合金、鉄等の金属材料を鍛造や鋳造等によって所定の形状となるように一体形成することで構成されている。この場合、ヘッドは、単一構造であっても良いし、複数の部材を組み合わせた構造であっても良い。
【0014】
前記ヘッド10を構成するヘッド本体10Aは、打球がなされるフェース面(パッテイング面)11を備えており、フェース面は、ヘッド本体とは異なる素材のインサート構造のものであっても良い。それ以外にも、トップ部12、ソール部13、及びバック部14を備えている。本実施形態のヘッド本体10Aは、トップ部12が平面視で長方形状となる平坦面12aに形成され、ソール部13が、それよりもフェース・バック方向の長さが長い平面視で長方形状となる平坦面13aに形成されている。この場合、ソール部13は、トウ側とヒール側が上昇するように、トウ・ヒール方向に沿って湾曲していても良い。また、バック部14は段部を有しており、トップ部12及びソール部13を構成する平坦面と平行となる長方形状の平坦面14aを備えている。
【0015】
上記したようなヘッド本体10Aでは、そのトップ部12のフェース・バック方向の稜線(フェース側稜線12Aとバック側稜線12B)が、スイング時にヘッドの進行方向と直交することから、方向性を出す上での基準とすることが可能となる。また、ソール部13のフェース側稜線13Aについても、後述するロフト角α1,α2の関係で視認し易い状態となっているため、方向性を出す上での基準とすることが可能となる。さらに、バック部14の後端の稜線14Aについても、スイング時にヘッドの進行方向と直交することから、方向性を出す上での基準とすることが可能となる。
【0016】
なお、本発明では、ヘッド本体のフェース面の構成に特徴があり、それ例外の構成については限定されることはない。例えば、ヘッド本体の形状(トップ部、ソール部、バック部の各形状)や、シャフトのヘッド本体に対する装着方法等は限定されることはない。また、本実施形態のヘッド本体10Aは、図3及び図4に示すように、ソール部から垂直方向に延びるトウ部15及びヒール部16を備えているが、これらは他の部位と一体化されて面一状に連続形成されたものであっても良い。勿論、トップ部及びバック部におけるトウ側の稜線12C、及び、ヒール側の稜線12Dについても、ヘッドの進行方向と一致するように構成することで、方向性を出す上での基準とすることが可能となる。
【0017】
前記ヘッド本体は、プレーヤに違和感を生じさせないように、フェース面11の高さHが20〜30mmとなるように形成することが好ましく、フェース面11は、ソール側フェース面11A、及び、トップ側フェース面11Bを備えている。それぞれのフェース面11A,11Bは、ロフト角(図2に示すように、水平面Pに垂線を引いた際の垂線に対するフェース面の角度)が異なるように形成されており、それぞれのロフト角をα1、α2とした場合、α1<α2となるように形成されている。すなわち、フェース面11は、複数の面を備えており、ソール側フェース面11Aとトップ側フェース面11Bとの境界部分には、ロフト角が変化することによる稜線11Cが形成されている。
【0018】
上記した構成において、ヘッド本体10Aは、実際に打球がされる面がソール側フェース面11Aとなるように形成されており、ヘッド本体のスイートスポット(打球する際にヘッド本体がぶれ難い位置であり、ヘッド本体の重心位置からフェース面に垂線を引いた位置;打球位置とも称する)Sは、稜線11Cの下側に存在している。ここで、ソール側フェース面11Aの高さH1は、15mm以上となるように形成されている。この場合、高さH1を20mm以上としたのは、ゴルフボールBの直径は、ルール上、直径が1.68インチ(42.672mm)以上と定められており、ボールのヒッティングポイント(ボールの中心Cから最もフェース面側となる位置)P1の高さは、その半径である21.336mmとなる。実際には、ゴルフボールBは、グリーンの芝により多少沈むこと、及び、プレーヤは、通常、接地面から1〜5mm程度、ヘッド本体を浮かせてスイングする(パッティングする)ことから、ソール側フェース面11Aの高さ(上下方向の長さ)H1を最低でも15mm確保しておけば、打球時に、稜線11Cよりも下側の位置でボールのヒッティングポイントP1を打球させることができる。
【0019】
なお、ソール側フェース面11Aの高さH1を15mm未満に設定すると、プレーヤはヘッド本体をある程度浮かせた状態でスイングしないとソール側フェース面11Aにヒットしないため好ましくはない。また、トップ側フェース面11Bの高さ(上下方向の長さ)をH2とした場合、プレーヤに対して打球面を広く見せるように、H1≧H2となるように形成することが好ましい。
【0020】
そして、前記ソール側フェース面11Aのスイートスポット(打球位置)Sの近傍にはマーキング20が付されている。
本実施形態のマーキング20は、上記したスイートスポットSを横切るように付された1本の横方向線21と、横方向線21の両端で垂直下方に延びる2本の縦方向線23a,23bとを備えており、この範囲内の領域をプレーヤに対して打球の目標となる位置(スイートエリア)として認識させるようにしている。
【0021】
上記した横方向線21は、スイートスポットSを中心として、両側の長さが等しくなるように設けられており、その長さW1は、10〜30mm程度となるように付されている。すなわち、ボールのヒッティングポイントP1が、この範囲内にあれば、打球時にヘッド本体のトウ側及びヒール側がぶれることはなく、正確にボールを打ち出すことが可能となる。この場合、横方向の長さW1は、視認性を良くするために、10mm以上にすることが好ましい。
【0022】
また、上記した2本の縦方向線23a,23bは、スイートスポットSの両側に対称となるように設けられている。すなわち、横方向線21が上記のようにスイートスポットSを中心として、両側の長さが等しくなるように形成されていることから、2本の縦方向線23a,23bをそれぞれ横方向線21に対して直交する方向に垂下させることで、スイートスポットS(この点を通る仮想中心線X)に対して線対称の縦方向のマーキングが付された状態となる。この場合、縦方向線23a,23bは、稜線11Cを跨ぐことなく付すことが好ましく(トップ側フェース面と干渉させない)、その縦方向の長さH3についても、上記したソール側フェース面11Aの高さH1以下にすることが好ましい。
【0023】
上記した構成のパター1によれば、トップ側フェース面11Bのロフト角α2が、ソール側フェース面11Aのロフト角α1よりも大きく形成されているため、プレーヤがアドレスした際、トップ側のフェース面11Bが妨げになることは無く、ソール側フェース面11Aが視認し易くなる。このため、ソール側フェース面11Aに付された上記のマーキング20は、図4で示すように、プレーヤはアドレス時に視認することができ、これにより、ソール側フェース面11Aの打球位置近傍に付されたマーキング20を視認しながら打球することができる。すなわち、プレーヤは、打球する瞬間にボールの位置と、マーキングによるヘッドの適正な方向性(打球に至るまでの適正な方向性)を意識することができるため、打球したボールの方向性の向上が図れる。
【0024】
また、上記したように、縦方向線23a,23bは、スイートスポットSに対して線対称となるように付されているため、プレーヤの視点を常に理想となる位置に位置付けさせることが可能となる。具体的には、図6(a)に示すように、パター1を持ってアドレスした際に、ボールを真上から見る位置(適切な位置)をE1、真上でない位置をE2とすると、適切な位置E1でソール側フェース面11Aに付されたマーキングを視認すると、図6(b)に示すように、縦方向線23a,23bは横方向線21に対して直交する方向に延びるように見えるが、真上でない位置E2で視認すると、図6(c)に示すように、縦方向線23a,23bは横方向線21に対して斜向する方向(縦方向線23a,23bの下端が図の矢印方向に傾いた方向)に延びるように見えることから、アドレス時においてプレーヤに適切なアイポイントを意識させることが可能となる。
【0025】
上記した縦方向線23a,23bについては、横方向線21に対して直交する方向でなくても良い。例えば、図7(a)に示すように、ソール側に移行するに連れて、互いに離反するような対称線(ハの字状対称線)23a´,23b´としても良い。このような対称線によれば、真上でない位置でボールを視認すると、図7(b)に示すように、一方の縦方向線23a´と他方の縦方向線23b´が対称に見えなくなる(いびつな形状に見える)ことから、上記同様、アドレス時においてプレーヤに適切なアイポイントを意識させることが可能となる。なお、対称線23a´,23b´については、逆ハの字状となるように付しても良い。
【0026】
上述したソール側フェース面11Aに付されるマーキング20については、その付し方を種々変更することが可能である。例えば、図3に示す横方向線21のみを付したものであっても良い。このような横方向線21のみでも、トウ・ヒール方向におけるスイートエリアの幅を視認させることができると共に、ヘッド本体の進行方向と直交する方向に延びることから、ヘッドの進行方向を合せることが可能となる。また、フェース面11を規定する上下の稜線(前記フェース側稜線12A,13A)、及び、ソール側フェース面11Aとトップ側フェース面11Bとの境界となる稜線11Cも、図4に示すように、横方向線21と共に平行となって視認できることから、ヘッドの進行方向を合せ易くなる。
【0027】
また、横方向線については、図8及び図9に示すように、縦方向に一定間隔をおいて複数本(21a,21b,21c)設けておくことが好ましい。
このように複数本設けておくことで、ソール側フェース面11Aにロフト角α1が存在することで、上方から視認した際、これらが単一のマーキング(ヘッドの進行方向に多少幅広となったマーキング)となって視認することができ、ヘッドの進行方向をより合せ易くすることができる。
【0028】
また、マーキング20については、縦方向線のみを付したものであっても良く、縦方向線は1本でも良いし複数本であっても良い。この場合、1本のみ設けるのであれば、前記スイートスポットSを通る(仮想中心線と一致する)ように設けることで、具体的な打球位置を認識させることができる。すなわち、上記したトウ・ヒール方向に延出する稜線によって進行方向を合せながら1本の縦方向線を意識して打球位置を認識させることができる。また、縦方向線が2本以上であれば、偶数本の場合、上記したように、仮想中心線に対して対称位置に付与すれば良く、奇数本の場合は、1本を仮想中心線の位置に付与し、他は、その仮想中心線に対して対称となる位置に付与すれば良い。
【0029】
上記のように、ソール側フェース面に設けられるマーキングについては、縦方向線のみでも、打球位置を認識させることができ、また、複数本設けることで、打球の目標位置となるスイートエリアを認識させることが可能となる。
【0030】
前記マーキング20については、アドレスしたプレーヤが視認できるように付与されたものであれば良く、例えば、突状に形成したり凹状(溝)に形成することが可能である。また、印刷や塗装によって色彩を付したり(着色する)、フェース面を仕上げる際、マスキングを施して表面仕上げ(研磨、切削)を行なっても良い。マーキングとして色彩を付す場合は、アドレス時にプレーヤが視認し易いように、明度が高い色(白色系の色)や、赤色系の色など目立ち易い色を付すことが好ましい。また、マーキングとして突部や溝を形成した場合、これらの部分に色彩を付す構成であっても良い。
【0031】
図8及び図9に示したマーキングは、複数の横方向線21a,21b,21cで構成しおり、スイートスポットを通る横方向線21aについては、溝としている。このような溝に対して色彩を付す場合、少なくとも溝を規定する4つの内側壁、及び、底壁の内、少なくとも上方から見た際に、視認されるソール側の内側壁21a1に付しておくことが好ましい。
【0032】
また、マーキングとして溝を形成する場合、その深さが0.2mm以上あれば、色彩を付した際に色落ちがし難くすることができる。また、そのマーキングとなる溝の幅については、加工し易さ等を考慮して、0.3〜2.0mm程度に形成することが好ましい。
【0033】
図8及び図9に示す横方向線では、スイートスポットを通る横方向線21aのみを溝で形成しているが、他の横方向線21b,21cも溝で形成しても良い。このように、マーキングを溝構造として、その内部に色彩を塗布すると、色彩が消えにくくなるため、長期に亘って、マーキングを安定して維持することが可能となる。また、3本の横方向線については、仮想中心線Xに対し線対称となっていれば良く、3本の長さは同一でなくても良い。
【0034】
上記したマーキング20は、ロフト角α1が小さいソール側フェース面11Aに形成されており、そのマーキング20が視認し易いように、フェース面の上方側の面(トップ側フェース面11B)については、ロフト角α2を大きくしている。この場合、一般的なパターとの間で違和感が生じないように、本発明における複合面で構成されるフェース面のロフト角についても10°以下となるように設定しておくことが好ましく、ソール側フェース面のロフトα1については、1°≦α1≦5°、トップ側のロフト角α2については、ソール側フェース面が視認し易いように、5°≦α2≦10°の範囲で設定しておくことが好ましい。或いは、ロフト角α1については、5°以上8°以下に設定しても良く、このようにロフト角α1を大きくした場合、ロフト角α2については、ロフト角α1よりも大きく、10°以下に設定しておけば良い。
【0035】
また、上記した構成において、ソール側フェース面、及び、トップ側フェース面は、平坦面に限らず、多少湾曲した面を含んでいても良いし、さらに、別のロフト角となる平坦面を含んでいても良い。さらに、マーキングについては、ソール側フェース面に形成されたものであれば良く、一部がトップ側フェース面に設けられていても良い。例えば、トップ側フェース面11Bの下端(稜線11Cを跨いでいても良い)に設けても良い。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、パターのヘッド本体のフェース面の構造に特徴があり、それ以外の構成については、様々な態様で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 パター
5 シャフト
10 ヘッド
10A ヘッド本体
11 フェース面
11A ソール側フェース面
11B トップ側フェース面
20 マーキング
21,21a,21b,21c 横方向線
23a,23b 縦方向線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9