【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、右側及び左側の細長いサポート部材を備えた、人間の首及び頭部をサポートするためのネックレストを提供し、
前記ネックレストは、さらに、前記右側及び左側のサポート部材を相互に連結する折り畳み式の中間部を備え、
前記サポート部材は、前記人間の頭蓋から尾側の方向において延びるとともに、前記後頭部及び首の右側及び左側部分をサポートするように適応され、
前記ネックレストは、使用中に、前記人間の頬または顎をサポートするか、または接触するネックレストの部分がないように、前記人間の耳の後ろにのみ延びるような寸法であり、
前記サポート部材は、人間の頭の重みでは非圧縮性であり、
前記中間部及び前記サポート部材の間の遷移部において、前記サポート部材は、前記ネックレストが前記人間の頭部及び首からの圧力下にあるとき、前記人間の頭部にサポートを与えるため、前記人間の首、及び前記人間の耳の後ろの乳様突起に係合するための左端及び右端を構成し、
前記サポート部材の各々及び前記中間部は、前記人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能であり、
前記サポート部材の各々の素材特性は、前記サポート部材が、前記ネックレストの使用中に、前記人間の後頭部及び乳様突起に付勢力を与えるものであり、
前記ネックレストは、さらに、前記サポート部材を湾曲位置に維持するための保持構造を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明のネックレストにおいて、人間の首及び頭部は、人間の筋肉と特に脊椎がリラックスすることを許容する固定された自然な位置で休息するようにサポートされる。さらに、頭部は、同じ位置で長時間保持されるとき、痛みが発生することを避けるため、前向きで真っ直ぐな位置だけでなく、側方を向いた位置及び傾いた位置などの様々な位置で休息する。
【0007】
細長いサポート部材は、後頭部の2方向のサポート、すなわち横方向におけるサポート及び上方向におけるサポートを与える。好ましくは、サポート部材は、人間の首及び頭部の左側及び右側部分の特定の曲線に従って、人間の肩の真上から耳の後ろの後頭部の隆起までの全長において延びる。
【0008】
サポート部材は、人間の頭部の重みでは非圧縮性であるため、サポート部材によって与えられるサポートは、適切なサポート、つまり安定したサポートである。さらに、各サポート部材及び中間部は、人間の首及び頭部の右側部分及び左側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能であり、場合によっては湾曲させやすくもある。これによって、湾曲したサポート部材は、特定の人間の正確な骨格とは関わりなく、ネックレストを使用する人間の頭部及び首に良好なサポートを与える。
【0009】
サポート部材は、例えば、独立気泡発泡体(closed cell foam)などの弾力があるが固い発泡体か、例えば、円柱状をなすように巻きあげられた綿、そのような素材または布で満たされた袋、フェルト製の巻物などの織物のシートからなる。
【0010】
中間部は、好ましくは、人間の頭部及び首が中間部にもたれて休息しているとき、サポート部材を互いに引き寄せるように配置され、サポート部材を人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に適応させる。
【0011】
ネックレストの物理的特性は、好ましくは、ネックレストが、人間の首及び頭部の自然な曲線に合うように、人間及び湾曲形状で固定されたサポート表面の間に配置されるとき、頭蓋から尾側の方向において、頭部の後頭部及び乳様突起と人間の肩の後側の頂点部とを加圧するものである。そのような圧力は、細長いサポート部材の素材の特性、すなわち細長いサポート部材によって加圧される付勢力またはばね力に由来する。
【0012】
好ましくは、サポート部材及び中間部は、人間の様々な大きさの首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように、全長で1以上の方向において少なくとも90度まで湾曲可能である。
【0013】
ネックレストは、さらに、サポート部材を湾曲位置に維持するための保持構造を備える。
したがって、サポート部材の湾曲は、保持構造によって、望まれている限り維持されることが可能であり、単に人間の首及び頭部によって加えられる力だけでサポート部材を湾曲位置に保持するのに十分な力を、人間の首及び頭部がサポート部材に対してもはや加えないよう、人間の頭部が動かされる場合、サポート部材を再配置する必要がない。
【0014】
保持構造は、機械的な構造である。例えば、保持構造は、各サポート部材の内部に配置された、湾曲可能な形状維持部材を備える。そのような湾曲可能な形状維持部材は、例えば、所望の湾曲に湾曲されることが可能で、湾曲が手動で変更されるまでこの湾曲を維持する、ワイヤまたは湾曲可能で細長い金属棒の形状であるかもしれない。代替として、保持構造は、特定の形状に縫われている布など、人間の頭部及び首の形状に実際に対応する、サポート部材を囲む布の形状をなしている。この場合、サポート部材は製造中に湾曲され、布の内側に配置される。そして、布の特定の形状は、サポート部材が湾曲位置で維持されることを確実にする。この場合、サポート部材は、サポート部材が特定の人間の首及び頭部の自然な曲線に合うことが許容されるように十分に湾曲させやすい素材から作製されるべきである。保持構造の別の例は、以下に記載される。
【0015】
保持構造は、ロック状態及び解放状態となるよう適応される。ロック状態において、保持構造は、サポート部材の選択された湾曲を維持する。解放状態において、サポート部材は、非湾曲形状を復元することが許容される。このように、保持構造が解放状態にあるとき、サポート部材は、特定の人間の首及び頭部の曲線に一致する所望の湾曲に達するように湾曲され、これによって、その特定の人間の骨格に合い、その人間の首及び頭部に対する良好なサポートを提供可能となる。サポート部材がこの位置まで湾曲されると、保持構造は、ロック状態に移行することが可能となり、これによってサポート部材の選択された湾曲は、保持構造が再度解放位置に移動されるまで維持される。このように、この場合では、所望の湾曲は、ロック状態にある保持構造によって維持される。
【0016】
保持構造は、各サポート部材に沿って配置される少なくとも1つのストラップと、各ストラップに取り付けられた少なくとも1つの解放可能なロック部材とを備え、ロック部材は、選択された位置にてストラップを解放可能に保持するように適応されている。この実施形態によれば、保持構造は、少なくとも1つのロック部材が少なくとも1つのストラップを選択された位置に保持するとき、一般的にロック状態にある。同様に、保持構造は、ロック部材がストラップを選択された位置に保持していないとき、一般的に解放状態にある。好ましくは、選択された位置は、サポート部材の湾曲を決定する。
【0017】
サポート部材は、中間部に固定して取り付けられる。これによって、サポート部材は、ストラップがきつく締め付けられたとき、中間部内に、または中間部に向かって引き寄せられることが妨げられる。その結果、サポート部材の所望の湾曲位置は達成される。
【0018】
ストラップは、サポート部材に対して外側に配置される、すなわちストラップはサポート部材の外面に沿って延ばされる。この場合、ストラップは、サポート部材によって決められた長手方向に沿って延ばされるか、または、ストラップは、中間部を横切って対角線上に延ばされ、これによって2つのサポート部材を連結する。代替として、1本または複数のストラップは、サポート部材の内側に配置される。この場合、サポート部材の所望の湾曲は、サポート部材の内側に配置されるストラップの一部の長さがサポート部材の長さよりも小さくなるように、サポート部材の内側に配置されたストラップを引くことによって得られる。この場合、ロック部材は、ロック部材がロック状態にあるとき、ストラップがサポート部材に再び入ることを効果的に妨げる。
【0019】
解放可能な各ロック部材は、対応するストラップの一部を押しつぶすように適応され、これによって、ロック部材がロック位置にあるとき、ロック部材に対するストラップの移動を妨げ、ロック部材が解放位置にあるとき、ストラップはロック部材に対して移動することが許容される。この実施形態によると、ロック部材が解放位置にあり、これによってストラップがロック部材に対して移動することが許容されるとき、ストラップ及びロック部材の相対的な位置は、サポート部材の所望の湾曲が得られるまで調整される。そして、ロック部材がロック位置に移動されると、これによってロック部材に配置されているストラップの一部を押しつぶし、ストラップ及びロック部材の更なる相対的な移動を妨げる。その結果、ストラップ及びロック部材は、この相対的な位置に維持され、ストラップ及びロック部材は、サポート部材の湾曲の維持において協働する。
【0020】
各ロック部材は、ロック位置に向かってロック部材を付勢する付勢構造を備える。この実施形態によると、例えば、ロック部材を解放位置に移動させるために指を使用してロック部材を押したりつぶしたりすることで、力が付勢構造の付勢力に抗して加えられない限り、ロック部材はロック位置にあり続ける。このように、サポート部材の所望の湾曲を設定することが可能な解放位置にロック部材を移動させるためには、ロック部材は能動的に操作されなければならず、力がロック部材にもはや加えられていないとき、ロック部材はロック位置に自動的に移動され、サポート部材の選択された湾曲は維持される。付勢構造は、例えば、圧縮性のばねを含む。
【0021】
一実施形態によると、各ストラップは、サポート部材の1つにおいて第1の位置で固定され、そのサポート部材において第2の位置に配置されたノーズを通り、ロック位置における対応するロック部材のストラップ上の位置は、ストラップに沿った第1の位置と第2の位置との間の距離を決定し、これによって、ロック部材は、サポート部材に沿った第1の位置及び第2の位置の間の距離と、ストラップに沿った第1の位置及び第2の位置の距離との差によって決定された湾曲位置にサポート部材を維持する。ストラップが第1の位置から離れる方向においてノーズを通って引っ張られるとき、第1の位置とノーズに配置された一部分との間に延びるストラップの一部の長さがサポート部材に沿った第1の位置及び第2の位置の間の距離よりも小さくなるとき、ノーズは、第1の位置に向かって引っ張られる。これは、サポート部材を次第に湾曲させる。ロック部材は、ロック部材がノーズと隣接するように配置され、これによってロック部材がロック位置に移動されるとき、サポート部材の得られた湾曲を維持する。
【0022】
別の実施形態によると、各ストラップは、サポート部材の1つにおいて第1の位置に配置された第1のノーズを通るとともに、そのサポート部材において第2の位置に配置された第2のノーズを通るループを形成する、そして、ロック位置における対応するロック部材のストラップ上の位置は、ストラップに沿った第1の位置と第2の位置との間の距離を決定し、これによって、ロック部材は、サポート部材に沿った第1の位置及び第2の位置の間の距離と、ストラップに沿う第1の位置及び第2の位置の間の距離との差によって決定された湾曲位置にサポート部材を維持する。ロック部材がループを形成したストラップに対して移動されるとき、ストラップによって形成されたループの円周は減少するため、第1及び第2のノーズは互いに向かって引っ張られる。これは、サポート部材を次第に湾曲させる。ロック部材がロック位置に移動されるとき、ロック部材は、ストラップによって形成されたループの得られた円周、及びこれによってサポート部材の得られた湾曲が維持されるようにストラップを押しつぶす。
【0023】
サポート部材は、中間部に固定して取り付けられる。本実施形態によれば、サポート部材及び中間部の間の遷移部は、サポート部材が湾曲されるとき、サポート部材の形状に密接に従う。サポート部材は、中間部によって決定される領域内に湾曲することが妨げられ、これによって、サポート部材が湾曲位置に移動されるとき、ネックレストの所望の曲線が得られる。例えば、ポケットは、中間部の反対側に形成され、サポート部材を形成する素材は、ポケットの内部に直接満たされる。
【0024】
代替として、サポート部材は、中間部に取り外し可能に取り付けられている分離部材である。例えば、サポート部材は、中間部の反対側に形成されたポケットの中に取り付けられる取り除き可能な棒の形状をなしている。