特許第6527146号(P6527146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6527146
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】保持構造を有するネックレスト
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   A47G9/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-533092(P2016-533092)
(86)(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公表番号】特表2016-538059(P2016-538059A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014074505
(87)【国際公開番号】WO2015074947
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】PA201370710
(32)【優先日】2013年11月20日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】516147372
【氏名又は名称】ラッシュ ホールディング アーペーエス
【氏名又は名称原語表記】LASCH HOLDING APS
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ランゲ、イェスパー ヨル.
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3081211(JP,U)
【文献】 特表2008−532595(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3059355(JP,U)
【文献】 特開平08−242993(JP,A)
【文献】 米国特許第05190347(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第103142086(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0037150(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の首及び頭部をサポートするためのネックレストにおいて、
前記ネックレストは、細長い右側及び左側のサポート部材を備え、
前記ネックレストは、さらに、前記右側及び左側のサポート部材を相互に連結する折り畳み式の中間部を備え、
前記サポート部材の各々は、前記人間の頭蓋から尾側の方向において延びるとともに、後頭部及び首の右側及び左側部分をサポートするように適応され、
前記ネックレストは、使用中に、前記人間の頬または顎接触するネックレストの部分がないように、前記人間の耳の後ろにのみ延びる寸法を有し、
前記サポート部材の各々は、人間の頭の重みでは非圧縮性であり、
前記中間部及び前記サポート部材の各々の間の遷移部において、前記サポート部材の各々は、前記ネックレストが前記人間の頭部及び首からの圧力下にあるとき、前記人間の頭部にサポートを与えるため、前記人間の首、及び前記人間の耳の後ろの乳様突起に係合するための左端及び右端を決定し、
前記サポート部材の各々及び前記中間部は、前記人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能であり、
前記サポート部材の各々の素材特性は、前記サポート部材の各々が、前記ネックレストの使用中に、前記人間の後頭部及び乳様突起に付勢力を与えるものであり、
前記ネックレストは、さらに、前記サポート部材の各々を湾曲位置に維持するための保持構造を備え、
前記保持構造は、前記サポート部材の各々の選択された湾曲が維持されるロック状態、及び前記サポート部材の各々が非湾曲形状に復元することが許容される解放状態となるよう適応されており、
前記保持構造は、前記サポート部材の各々に沿って配置される少なくとも1つのストラップと、各ストラップに取り付けられる少なくとも1つの解放可能なロック部材とを備え、前記ロック部材は、前記ストラップを選択された位置に解放可能に保持するように適応されており、解放可能なロック部材は各々、対応する前記ストラップの一部を押しつぶすように適応され、これによって、前記ロック部材がロック位置にあるとき、前記ロック部材に対する前記ストラップの移動を妨げ、前記ロック部材が解放位置にあるとき、前記ストラップは、前記ロック部材に対して移動することが許容され
各ストラップは、第1の位置で前記サポート部材の1つに固定されるとともに、前記サポート部材の1つにおいて第2の位置に配置されたノーズを通り、
ロック位置における対応する前記ロック部材の前記ストラップ上の位置は、前記ストラップに沿って前記第1の位置及び前記第2の位置の間の距離を決定し、
これによって、前記ロック部材は、前記サポート部材の各々に沿う前記第1の位
置及び前記第2の位置の間の距離と、前記ストラップに沿う前記第1の位置及び前記第2の位置の間の距離との差によって決定された湾曲位置に前記サポート部材の各々を維持することを特徴とするネックレスト。
【請求項2】
各ロック部材は、前記ロック部材をロック位置に向かって付勢する付勢構造を備える、請求項1に記載のネックレスト。
【請求項3】
人間の首及び頭部をサポートするためのネックレストにおいて、
前記ネックレストは、細長い右側及び左側のサポート部材を備え、
前記ネックレストは、さらに、前記右側及び左側のサポート部材を相互に連結する折り畳み式の中間部を備え、
前記サポート部材の各々は、前記人間の頭蓋から尾側の方向において延びるとともに、後頭部及び首の右側及び左側部分をサポートするように適応され、
前記ネックレストは、使用中に、前記人間の頬または顎に接触するネックレストの部分がないように、前記人間の耳の後ろにのみ延びる寸法を有し、
前記サポート部材の各々は、人間の頭の重みでは非圧縮性であり、
前記中間部及び前記サポート部材の各々の間の遷移部において、前記サポート部材の各々は、前記ネックレストが前記人間の頭部及び首からの圧力下にあるとき、前記人間の頭部にサポートを与えるため、前記人間の首、及び前記人間の耳の後ろの乳様突起に係合するための左端及び右端を決定し、
前記サポート部材の各々及び前記中間部は、前記人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能であり、
前記サポート部材の各々の素材特性は、前記サポート部材の各々が、前記ネックレストの使用中に、前記人間の後頭部及び乳様突起に付勢力を与えるものであり、
前記ネックレストは、さらに、前記サポート部材の各々を湾曲位置に維持するための保持構造を備え、
前記保持構造は、前記サポート部材の各々の選択された湾曲が維持されるロック状態、及び前記サポート部材の各々が非湾曲形状に復元することが許容される解放状態となるよう適応されており、
前記保持構造は、前記サポート部材の各々に沿って配置される少なくとも1つのストラップと、各ストラップに取り付けられる少なくとも1つの解放可能なロック部材とを備え、前記ロック部材は、前記ストラップを選択された位置に解放可能に保持するように適応されており、解放可能なロック部材は各々、対応する前記ストラップの一部を押しつぶすように適応され、これによって、前記ロック部材がロック位置にあるとき、前記ロック部材に対する前記ストラップの移動を妨げ、前記ロック部材が解放位置にあるとき、前記ストラップは、前記ロック部材に対して移動することが許容され、
各ストラップは、前記サポート部材の1つにおいて第1の位置に配置された第1のノーズを通るとともに、前記サポート部材の1つにおいて第2の位置に配置された第2のノーズを通るループを形成し、
ロック位置における対応する前記ロック部材の前記ストラップ上の位置は、前記ストラップに沿って前記第1の位置及び前記第2の位置の間の距離を決定し、
これによって、前記ロック部材は、前記サポート部材の1つに沿う前記第1の位置及び前記第2の位置の間の距離と、前記ストラップに沿う前記第1の位置及び前記第2の位置の間の距離との差によって決定された湾曲位置に前記サポート部材の1つを維持するネックレスト。
【請求項4】
前記サポート部材の各々は、前記中間部に固定して取り付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載のネックレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイバックの椅子において、ベッドの中で、サンベッドの上で、または固い面上で休息するときに人間の首及び頭部をサポートするためのネックレストに関する。
【背景技術】
【0002】
旅行中に椅子で休息する間、人間の首及び頭部をサポートするという問題に取り組むための様々なクッション及び旅行用枕が先行技術において提案されてきた。
例えば、特許文献1は、右側及び左側の細長いサポート部材と、右側及び左側のサポート部材を相互に連結する折り畳み式の中間部とを備えた、人間の首及び頭部に対するサポートを開示している。サポート部材は、人間の頭蓋から尾側の方向に延び、後頭部及び首の右側部分及び左側部分をサポートするように適応される。各サポート部材及び中間部は、人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能である。しかしながら、人間の首及び頭部がもはやサポート部材に力を加えなくなるとすぐに、サポート部材は、サポート部材の自然な細長い形状を復元し、人間は、頭部及び首のサポートを復元するためにサポート部材を再配置しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7908692号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サポート部材の所望の湾曲といった所望の形状が維持されることが可能なネックレストを提供することが本発明の実施形態の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、右側及び左側の細長いサポート部材を備えた、人間の首及び頭部をサポートするためのネックレストを提供し、
前記ネックレストは、さらに、前記右側及び左側のサポート部材を相互に連結する折り畳み式の中間部を備え、
前記サポート部材は、前記人間の頭蓋から尾側の方向において延びるとともに、前記後頭部及び首の右側及び左側部分をサポートするように適応され、
前記ネックレストは、使用中に、前記人間の頬または顎をサポートするか、または接触するネックレストの部分がないように、前記人間の耳の後ろにのみ延びるような寸法であり、
前記サポート部材は、人間の頭の重みでは非圧縮性であり、
前記中間部及び前記サポート部材の間の遷移部において、前記サポート部材は、前記ネックレストが前記人間の頭部及び首からの圧力下にあるとき、前記人間の頭部にサポートを与えるため、前記人間の首、及び前記人間の耳の後ろの乳様突起に係合するための左端及び右端を構成し、
前記サポート部材の各々及び前記中間部は、前記人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能であり、
前記サポート部材の各々の素材特性は、前記サポート部材が、前記ネックレストの使用中に、前記人間の後頭部及び乳様突起に付勢力を与えるものであり、
前記ネックレストは、さらに、前記サポート部材を湾曲位置に維持するための保持構造を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明のネックレストにおいて、人間の首及び頭部は、人間の筋肉と特に脊椎がリラックスすることを許容する固定された自然な位置で休息するようにサポートされる。さらに、頭部は、同じ位置で長時間保持されるとき、痛みが発生することを避けるため、前向きで真っ直ぐな位置だけでなく、側方を向いた位置及び傾いた位置などの様々な位置で休息する。
【0007】
細長いサポート部材は、後頭部の2方向のサポート、すなわち横方向におけるサポート及び上方向におけるサポートを与える。好ましくは、サポート部材は、人間の首及び頭部の左側及び右側部分の特定の曲線に従って、人間の肩の真上から耳の後ろの後頭部の隆起までの全長において延びる。
【0008】
サポート部材は、人間の頭部の重みでは非圧縮性であるため、サポート部材によって与えられるサポートは、適切なサポート、つまり安定したサポートである。さらに、各サポート部材及び中間部は、人間の首及び頭部の右側部分及び左側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能であり、場合によっては湾曲させやすくもある。これによって、湾曲したサポート部材は、特定の人間の正確な骨格とは関わりなく、ネックレストを使用する人間の頭部及び首に良好なサポートを与える。
【0009】
サポート部材は、例えば、独立気泡発泡体(closed cell foam)などの弾力があるが固い発泡体か、例えば、円柱状をなすように巻きあげられた綿、そのような素材または布で満たされた袋、フェルト製の巻物などの織物のシートからなる。
【0010】
中間部は、好ましくは、人間の頭部及び首が中間部にもたれて休息しているとき、サポート部材を互いに引き寄せるように配置され、サポート部材を人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に適応させる。
【0011】
ネックレストの物理的特性は、好ましくは、ネックレストが、人間の首及び頭部の自然な曲線に合うように、人間及び湾曲形状で固定されたサポート表面の間に配置されるとき、頭蓋から尾側の方向において、頭部の後頭部及び乳様突起と人間の肩の後側の頂点部とを加圧するものである。そのような圧力は、細長いサポート部材の素材の特性、すなわち細長いサポート部材によって加圧される付勢力またはばね力に由来する。
【0012】
好ましくは、サポート部材及び中間部は、人間の様々な大きさの首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように、全長で1以上の方向において少なくとも90度まで湾曲可能である。
【0013】
ネックレストは、さらに、サポート部材を湾曲位置に維持するための保持構造を備える。
したがって、サポート部材の湾曲は、保持構造によって、望まれている限り維持されることが可能であり、単に人間の首及び頭部によって加えられる力だけでサポート部材を湾曲位置に保持するのに十分な力を、人間の首及び頭部がサポート部材に対してもはや加えないよう、人間の頭部が動かされる場合、サポート部材を再配置する必要がない。
【0014】
保持構造は、機械的な構造である。例えば、保持構造は、各サポート部材の内部に配置された、湾曲可能な形状維持部材を備える。そのような湾曲可能な形状維持部材は、例えば、所望の湾曲に湾曲されることが可能で、湾曲が手動で変更されるまでこの湾曲を維持する、ワイヤまたは湾曲可能で細長い金属棒の形状であるかもしれない。代替として、保持構造は、特定の形状に縫われている布など、人間の頭部及び首の形状に実際に対応する、サポート部材を囲む布の形状をなしている。この場合、サポート部材は製造中に湾曲され、布の内側に配置される。そして、布の特定の形状は、サポート部材が湾曲位置で維持されることを確実にする。この場合、サポート部材は、サポート部材が特定の人間の首及び頭部の自然な曲線に合うことが許容されるように十分に湾曲させやすい素材から作製されるべきである。保持構造の別の例は、以下に記載される。
【0015】
保持構造は、ロック状態及び解放状態となるよう適応される。ロック状態において、保持構造は、サポート部材の選択された湾曲を維持する。解放状態において、サポート部材は、非湾曲形状を復元することが許容される。このように、保持構造が解放状態にあるとき、サポート部材は、特定の人間の首及び頭部の曲線に一致する所望の湾曲に達するように湾曲され、これによって、その特定の人間の骨格に合い、その人間の首及び頭部に対する良好なサポートを提供可能となる。サポート部材がこの位置まで湾曲されると、保持構造は、ロック状態に移行することが可能となり、これによってサポート部材の選択された湾曲は、保持構造が再度解放位置に移動されるまで維持される。このように、この場合では、所望の湾曲は、ロック状態にある保持構造によって維持される。
【0016】
保持構造は、各サポート部材に沿って配置される少なくとも1つのストラップと、各ストラップに取り付けられた少なくとも1つの解放可能なロック部材とを備え、ロック部材は、選択された位置にてストラップを解放可能に保持するように適応されている。この実施形態によれば、保持構造は、少なくとも1つのロック部材が少なくとも1つのストラップを選択された位置に保持するとき、一般的にロック状態にある。同様に、保持構造は、ロック部材がストラップを選択された位置に保持していないとき、一般的に解放状態にある。好ましくは、選択された位置は、サポート部材の湾曲を決定する。
【0017】
サポート部材は、中間部に固定して取り付けられる。これによって、サポート部材は、ストラップがきつく締め付けられたとき、中間部内に、または中間部に向かって引き寄せられることが妨げられる。その結果、サポート部材の所望の湾曲位置は達成される。
【0018】
ストラップは、サポート部材に対して外側に配置される、すなわちストラップはサポート部材の外面に沿って延ばされる。この場合、ストラップは、サポート部材によって決められた長手方向に沿って延ばされるか、または、ストラップは、中間部を横切って対角線上に延ばされ、これによって2つのサポート部材を連結する。代替として、1本または複数のストラップは、サポート部材の内側に配置される。この場合、サポート部材の所望の湾曲は、サポート部材の内側に配置されるストラップの一部の長さがサポート部材の長さよりも小さくなるように、サポート部材の内側に配置されたストラップを引くことによって得られる。この場合、ロック部材は、ロック部材がロック状態にあるとき、ストラップがサポート部材に再び入ることを効果的に妨げる。
【0019】
解放可能な各ロック部材は、対応するストラップの一部を押しつぶすように適応され、これによって、ロック部材がロック位置にあるとき、ロック部材に対するストラップの移動を妨げ、ロック部材が解放位置にあるとき、ストラップはロック部材に対して移動することが許容される。この実施形態によると、ロック部材が解放位置にあり、これによってストラップがロック部材に対して移動することが許容されるとき、ストラップ及びロック部材の相対的な位置は、サポート部材の所望の湾曲が得られるまで調整される。そして、ロック部材がロック位置に移動されると、これによってロック部材に配置されているストラップの一部を押しつぶし、ストラップ及びロック部材の更なる相対的な移動を妨げる。その結果、ストラップ及びロック部材は、この相対的な位置に維持され、ストラップ及びロック部材は、サポート部材の湾曲の維持において協働する。
【0020】
各ロック部材は、ロック位置に向かってロック部材を付勢する付勢構造を備える。この実施形態によると、例えば、ロック部材を解放位置に移動させるために指を使用してロック部材を押したりつぶしたりすることで、力が付勢構造の付勢力に抗して加えられない限り、ロック部材はロック位置にあり続ける。このように、サポート部材の所望の湾曲を設定することが可能な解放位置にロック部材を移動させるためには、ロック部材は能動的に操作されなければならず、力がロック部材にもはや加えられていないとき、ロック部材はロック位置に自動的に移動され、サポート部材の選択された湾曲は維持される。付勢構造は、例えば、圧縮性のばねを含む。
【0021】
一実施形態によると、各ストラップは、サポート部材の1つにおいて第1の位置で固定され、そのサポート部材において第2の位置に配置されたノーズを通り、ロック位置における対応するロック部材のストラップ上の位置は、ストラップに沿った第1の位置と第2の位置との間の距離を決定し、これによって、ロック部材は、サポート部材に沿った第1の位置及び第2の位置の間の距離と、ストラップに沿った第1の位置及び第2の位置の距離との差によって決定された湾曲位置にサポート部材を維持する。ストラップが第1の位置から離れる方向においてノーズを通って引っ張られるとき、第1の位置とノーズに配置された一部分との間に延びるストラップの一部の長さがサポート部材に沿った第1の位置及び第2の位置の間の距離よりも小さくなるとき、ノーズは、第1の位置に向かって引っ張られる。これは、サポート部材を次第に湾曲させる。ロック部材は、ロック部材がノーズと隣接するように配置され、これによってロック部材がロック位置に移動されるとき、サポート部材の得られた湾曲を維持する。
【0022】
別の実施形態によると、各ストラップは、サポート部材の1つにおいて第1の位置に配置された第1のノーズを通るとともに、そのサポート部材において第2の位置に配置された第2のノーズを通るループを形成する、そして、ロック位置における対応するロック部材のストラップ上の位置は、ストラップに沿った第1の位置と第2の位置との間の距離を決定し、これによって、ロック部材は、サポート部材に沿った第1の位置及び第2の位置の間の距離と、ストラップに沿う第1の位置及び第2の位置の間の距離との差によって決定された湾曲位置にサポート部材を維持する。ロック部材がループを形成したストラップに対して移動されるとき、ストラップによって形成されたループの円周は減少するため、第1及び第2のノーズは互いに向かって引っ張られる。これは、サポート部材を次第に湾曲させる。ロック部材がロック位置に移動されるとき、ロック部材は、ストラップによって形成されたループの得られた円周、及びこれによってサポート部材の得られた湾曲が維持されるようにストラップを押しつぶす。
【0023】
サポート部材は、中間部に固定して取り付けられる。本実施形態によれば、サポート部材及び中間部の間の遷移部は、サポート部材が湾曲されるとき、サポート部材の形状に密接に従う。サポート部材は、中間部によって決定される領域内に湾曲することが妨げられ、これによって、サポート部材が湾曲位置に移動されるとき、ネックレストの所望の曲線が得られる。例えば、ポケットは、中間部の反対側に形成され、サポート部材を形成する素材は、ポケットの内部に直接満たされる。
【0024】
代替として、サポート部材は、中間部に取り外し可能に取り付けられている分離部材である。例えば、サポート部材は、中間部の反対側に形成されたポケットの中に取り付けられる取り除き可能な棒の形状をなしている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
さて、本発明は、添付の図を参照してさらに詳述される。
図1】非湾曲位置における本発明の第1実施形態のネックレストの斜視図である。
図2】湾曲位置における図1のネックレストの斜視図である。
図3】非湾曲位置における本発明の第2実施形態のネックレストの斜視図である。
図4】湾曲位置における図3のネックレストの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態のネックレスト1の斜視図である。ネックレスト1は、右側の細長いサポート部材2、左側の細長いサポート部材3、及び右側のサポート部材2と左側のサポート部材3とを相互に連結し、サポート部材2,3間の最大横断距離を操作するために配置された折り畳み式の中間部4を備える。
【0027】
サポート部材2,3の寸法は、頭部及び首がネックレスト1にもたれて休息するとき、また、サポート部材2,3が、サポート部材2,3の1つまたは両方にもたれて休息する人間の後頭部の左側及び右側部分とともに人間の頭蓋から尾側の方向において延びるとき、人間の頭部及び首は、サポート部材2,3の間で横方向において少なくとも部分的に固定されるようになっている。サポート部材2,3は、好ましくは、サポート部材2,3が人間の首及び頭部の左側及び右側部分の特定の自然な曲線に従って、人間の肩の真上の位置から耳の後ろの少なくとも後頭部の隆起まで延びることを許容するのに十分な長さを有する。したがって、サポート部材2,3の長さは、幼児用で7〜20センチメートルの範囲内、大人用で12〜40センチメートルの範囲内である。サポート部材2,3の直径は、0.5〜5センチメートルの範囲内が好ましく、2〜3センチメートルであるのがより好ましい。ネックレスト1の幅は、例えば大人用で8〜20センチメートル、または幼児用で4〜15センチメートルなど、人間の後頭部の幅よりも広すぎない。
【0028】
好ましくは、ネックレスト1の寸法は、20センチメートル(幅)×40センチメートル(長さ)×5センチメートル(高さ)を上回らない。
中間部4は、中間部4が人間の頭部及び首からの圧力下にあるとき、例えば最大1.5センチメートルなど、最大2センチメートルの厚みを有する。ネックレスト1によって占有されるスペースを減らすために、中間部4は可能な限り薄いことが好ましい。
【0029】
サポート部材2,3は、例えば、独立気泡発泡体(closed−cell foam)などの曲げやすいが固い発泡体からなる。これによって、サポート部材2,3は、人間の頭部及び首に適切なサポートを与え、サポート部材2,3は、人間の首及び頭部の左側及び右側部分の自然な曲線に合うように十分に湾曲可能である。
【0030】
保持構造は、各サポート部材2,3に沿って設けられる。図1では、保持構造の1つのみが見られる。保持構造は、第1の位置6でサポート部材2に固定して取り付けられるストラップ5を備える。ストラップ5は、サポート部材2において第2の位置8に配置されるノーズ7を通る。
【0031】
ストラップ5は、さらに、ストラップ5がサポート部材2に固定される第1の位置6とロック部材9との間にノーズ部材7が配置されるように、ストラップ5上に配置されるロック部材9を通る。ロック部材9は、図1の拡大部分において、詳細に示される。
【0032】
ロック部材9は、ロック部材がロック部材9の内部に配置されるストラップ5の一部を押しつぶすロック位置に向けて付勢される。しかしながら、ノブ10を押すことによって、ロック部材9は、ストラップ5がロック部材9に対して移動することが許容される解放位置に動かされることが可能になる。これによって、第1の位置6とノーズ7または第2の位置8との間に配置されているストラップ5の一部の長さを調整することが可能になる。
【0033】
図1において、ネックレスト1は、非湾曲位置において示される。すなわち、サポート部材2,3は自然な直線形状を有しており、サポート部材2,3には力が加えられていない。ネックレスト1を使用することが望まれるとき、ノブ10は押され、これによってロック部材9を解放位置に移動させる。ストラップ5は、第1の位置6から離れる方向にノーズ7及びロック部材9を通って引っ張られる。これによって、第1の位置6とノーズ7または第2の位置8との間に配置されているストラップ5の一部の長さが減少し、結果として、サポート部材2は湾曲される。サポート部材2の所望の湾曲が得られたとき、ロック部材9は、ノブ10を解放することによってロック位置に動かされる。これによって、ロック部材9は、ストラップ5を押しつぶし、ストラップ5がノーズ7を通って後方に移動しないようにする。その結果、サポート部材2の湾曲は、ストラップ5及びロック部材9によって維持される。上記の過程は、左側のサポート部材3についても同様に行われる。
【0034】
サポート部材2,3は、ネックレスト1が人間の頭部及び首の後ろに配置される前に、所望の湾曲を得るために湾曲される。代替として、ネックレスト1は、サポート部材2,3が湾曲位置に固定される前に、人間の頭部及び首の後ろに配置される、これによって、ネックレスト1が人間の頭部及び首に立てかけて配置される間、サポート部材2,3の湾曲は得られている。これによって、サポート部材2,3の適切な湾曲は、容易に提供可能となる。
【0035】
このように、サポート部材2,3の所望の湾曲は、たとえ人間の首及び頭部がもはやサポート部材2,3に力を加えていなくとも、ストラップ5及びロック部材9によって維持される。これによって、もし、人間の首及び頭部がもはやサポート部材2,3に力を加えないことがあっても、サポート部材2,3を再配置したり、サポート部材2,3の所望の湾曲を復元したりする必要がない。
【0036】
図2は、湾曲位置における図1のネックレスト1の斜視図である。ストラップ5及びロック部材9が、サポート部材2の所望の湾曲の維持において、どのように協働するかが示されている。
【0037】
図3は、本発明の第2実施形態のネックレスト1の斜視図である。図3のネックレスト1は、図1のネックレスト1に非常に類似している、このため、図3のネックレスト1についてより詳細には説明しない。
【0038】
図3のネックレスト1にも、各サポート部材2,3に沿って保持構造が備えられている。図3では、保持構造の1つのみが見られる。保持構造は、ループを形成するストラップ5を備える。ストラップ5は、サポート部材2において第1の位置に配置された第1のノーズ11と、サポート部材2において第2の位置8に配置された第2のノーズ7とを通る。
【0039】
ストラップ5は、さらに、ロック部材9及びストラップ5の相対的な位置がストラップ5によって形成されたループの円周を決定するように、ロック部材9を通る。図3の拡大図は、第1のノーズ11及びロック部材9をそれぞれ詳細に示す。
【0040】
ロック部材9は、ロック部材がロック部材9の内部に配置されるストラップ5の一部を押しつぶすロック位置に向けて付勢される。しかしながら、ノブ10を押すことによって、ロック部材9は、ストラップ5がロック部材9に対して移動することが許容される解放位置に動かされることが可能になる。これによって、ストラップ5によって形成されたループの円周を調整することが可能になる。
【0041】
図3において、ネックレスト1は、非湾曲位置において示される。すなわち、サポート部材2,3は自然な直線形状を有しており、サポート部材2,3には力が加えられていない。ネックレスト1を使用することが望まれるとき、ノブ10は押され、これによってロック部材9を解放位置に移動させる。次に、ストラップ5は、サポート部材2から離れる方向にロック部材9を通って引っ張られる。これによって、ストラップ5によって形成されるループの円周は減少し、その結果、ストラップ5がノーズ7,11を通ることに起因して、第1の位置6及び第2の位置8は互いに向かって引っ張られる。結果として、サポート部材2は湾曲される。サポート部材2の所望の湾曲が得られたとき、ロック部材9は、ノブ10を解放することによってロック位置に動かされる。これによって、ロック部材9は、ストラップ5を押しつぶし、ストラップ5がロック部材9を通って後方に移動しないようにする。その結果、ストラップ5によって形成されたループの減少した円周は維持され、これによってサポート部材2の得られた湾曲もストラップ5及びロック部材9によって維持される。上記の過程は、左側のサポート部材3についても同様に行われる。
【0042】
サポート部材2,3は、ネックレスト1が人間の頭部及び首の後ろに配置される前に、所望の湾曲を得るために湾曲される。代替として、ネックレスト1は、サポート部材2,3が湾曲位置に固定される前に人間の頭部及び首の後ろに配置される、これによって、ネックレスト2が人間の頭部及び首に立てかけて配置される間、サポート部材2,3の湾曲は得られている。これによって、サポート部材2,3の適切な湾曲は、容易に提供可能となる。
【0043】
このように、サポート部材2、3の所望の湾曲は、たとえ人間の首及び頭部がもはやサポート部材2,3に力を加えていなくとも、ストラップ5及びロック部材9によって維持される。これによって、もし、人間の首及び頭部がもはやサポート部材2,3に力を加えないことがあっても、サポート部材2,3を再配置したり、サポート部材2、3の所望の湾曲を復元したりする必要はない。
【0044】
図4は、湾曲位置における図3のネックレスト1の斜視図である。ストラップ5及びロック部材9が、サポート部材2の所望の湾曲の維持において、どのように協働するかが示されている。
図1
図2
図3
図4