(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記拡張可能な管状スリーブの前記第1の部分は、前記拡張可能な管状スリーブの遠位端部部分と近位端部部分とを含み、前記拡張可能な管状スリーブの前記第2の部分は、前記拡張可能な管状スリーブの中央または中間部分を含む、請求項1に記載の医療装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、身体管腔に挿入するための拡張可能な部分を有する医療装置に関する。さらに明確には、本発明は、血管系内の挿入のためのバルーン拡張カテーテルに関する。一実施形態では、このバルーン拡張カテーテルは局限性バルーン拡張カテーテルであり、バルーンの拡張エネルギーが、バルーンの表面に沿った1つまたは複数の予め決められた領域に局限されていることを意味する。
【0016】
本発明の医療装置は、近位端部と遠位端部とを有する細長い管状本体と、この細長い管状本体の遠位端部に位置する少なくとも1つの拡張可能な要素と、この拡張可能な要素の少なくとも一部分を包囲する拡張可能な管状スリーブとを備える。
【0017】
本発明の一実施形態は、(a)近位端部と遠位端部とを有する細長い管状本体と、(b)この細長い管状本体の遠位端部に位置する少なくとも1つの拡張可能な要素と、(c)この拡張可能な要素の少なくとも一部分を包囲する拡張可能な管状スリーブとを備え、上記拡張可能な管状スリーブは、異なる圧縮比を有する少なくとも2つの部分を備える。別の実施形態では、この拡張可能な要素はバルーンである。別の実施形態では、この拡張可能な要素は自己拡張形である。別の実施形態では、この拡張可能な要素は機械的に拡張させられる。別の実施形態では、この拡張可能な要素は均一の厚さを有する。別の実施形態では、拡張可能な管状スリーブは拡張後に均一な壁厚さを有する。別の実施形態では、拡張可能な管状スリーブは拡張前に均一な壁厚さを有する。
【0018】
本発明の医療装置の要素が
図1から
図5に示されている。
【0019】
具体的に述べると、
図1と
図2が、拡張可能な要素104を備える細長い管状本体102を有する概略的なバルーンカテーテル100を示している。
【0020】
この細長い管状本体102は、近位の操作端部106と遠位の機能端部108とを有する。このバルーンカテーテルは、さらに、細長い管状本体102の中を通って延びかつガイドワイヤポート(guide wire port)112において遠位端部を出る近位ガイドワイヤ管腔110を有する。示されているバルーンカテーテルは、当業で公知である「オーバーザワイヤー(Over The Wire)」形の形状構成である。代替策としては、このカテーテルは、中央ガイドワイヤポート(mid guidewire port)を有することが可能であり、および、したがって、当業で公知である「ラピッドエクスチェンジ(Rapid Exchange)」形の形状構成を有することが可能である。バルーンカテーテル100は、さらに、膨張ポート114と拡張可能な要素104との間の流体連通を可能にする近位膨張ポート114を含む。管状本体の長さと内径と外径とが、この医療装置の所望の用途に基づいて選択される。例えば、この医療装置が経皮経管冠動脈形成術で使用される1つの非限定的な実施形態では、この管状本体の長さは、典型的には、約120cmから約140cmの範囲内である。この実施形態では、管状本体の外径は約0.026インチから約0.45インチの範囲内である。本開示内容を理解する時に当業者によって了解されるように、管状本体の長さおよび/または直径は決して限定的なものではなく、および、本発明の医療装置の様々な用途に応じてルーチン的に変更されるだろう。この管状本体は、一般的に、円形の横断面形状を有する。しかし、三角形および楕円形の横断面形状も使用可能である。
【0021】
この管状本体は、この医療装置が挿入時に湾曲または座屈なしに遠位の血管位置に進ませられることを可能にするのに十分な構造的な完全性を持たなければならない。この管状本体を製造するための様々な技術が知られている。一実施形態では、この管状本体は、生体適合性ポリマーの押出成形加工によって製造される。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、カテーテルと、拡張可能な管状スリーブと、介入性装置を拡張させるための拡張可能な部材とを備え、この拡張可能な部材は、上記移植可能な医療装置の拡張をより適切に調整するために、異なる区域において優先的に膨張させられる。上記介入性装置の非限定的な例が、ステント(ステントグラフトを含む)と心臓弁である。
【0023】
図1は、拡張させられた形態での拡張可能な要素104を示し、および、
図2は、折り畳まれた形態での拡張可能な要素104を示す。
図3から
図5に示されているように、本発明の医療装置は、拡張可能な要素104の少なくとも一部分を取り囲む拡張可能な管状スリーブ300を備える。この拡張可能な管状スリーブは、多孔性の微細構造を有する1つまたは複数の材料を含む。適している材料の例が、非限定的に、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)と超高分子量ポリエチレン(UHMW PE)とを含む。例えば、一実施形態では、拡張可能な管状スリーブは、多孔性微細構造を有する1つまたは複数の材料を含む。別の実施形態では、この材料はフィブリル化されている。別の実施形態では、この材料はePTFEを含む。別の実施形態では、この材料はUHMW PEである。別の実施形態では、拡張可能な管状スリーブは、拡張可能な要素に固定されている。
【0024】
拡張可能な管状スリーブは、互いに異なる半径方向の強度を有する少なくとも2つの部分を備える。一実施形態では、
図3から
図5に示されているように、拡張可能な管状スリーブ300は、中央部分または中間部分306に比較して増大した半径方向強度を有する遠位端部部分302と近位端部部分304とを備える。この実施形態では、
図4に示されているように、中央部分306は、より低い拡張圧力によって最初に膨張するが、一方、遠位端部部分302と近位端部部分304は、その後に、付加的な膨張圧力を受ける時にだけ拡張する。別の実施形態では、拡張可能な管状スリーブの各部分の互いに異なる半径方向強度が、拡張可能な要素と周囲の管状スリーブとの形状に影響を及ぼす。別の実施形態では、拡張可能な管状スリーブの各部分の互いに異なる半径方向強度は、そのスリーブを拡張するために必要とされる力の量に影響を及ぼす。
【0025】
拡張可能な管状スリーブは単一の連続的な材料を備えることがある。一実施形態では、この単一の連続的な材料の拡張可能なスリーブは、ノードとフィブリル微細構造とを有するポリマーから構成されている。本明細書にその全体が参照として援用されている米国特許第3,962,153号明細書を参照されたい。こうした材料のチューブは、マンドレル上に配置されて、縦方向に圧縮され、圧縮状態を維持するために熱処理される。本明細書にその全体が参照として援用されている米国特許第5,308,664号明細書を参照されたい。縦方向の圧縮の量が、半径方向強度の量を決定する。縦方向の圧縮が大きくなればなるほど、半径方向強度が度合いが大きくなる(すなわち、圧縮率が大きくなる)。したがって、連続的なチューブは、縦方向の圧縮の量(圧縮率)が変化する不連続な区域を有し、半径方向強度が異なる不連続な区域を結果的に有することが可能である。この場合に、異なる半径方向強度が、拡張可能な要素の拡張輪郭(または、シーケンス)を決定するだろう。
【0026】
本発明による不連続な半径方向強度区域を有する連続的なチューブは、変化する壁厚さと横断面輪郭とを実現することが可能である。例えば、連続的なチューブは、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、または、多角形の横断面形状を有することが可能である。このチューブは、さらに、変化する厚さの壁区域を含むことが可能である。様々な横断面輪郭と様々な壁厚さとが単一のチューブに沿って組み合わされることが可能である。
【0027】
本発明による不連続な半径方向強度区域を有する連続的なチューブは、さらに、その装置の機能を向上させる、潤滑性被覆、薬剤溶出被覆、抗菌性被覆、視覚化補助具(visualization aid)、または、他の付加物を組み入れることが可能である。
【0028】
様々な「段階的膨張(staged inflation)」バルーン輪郭が、半径方向強度が異なる不連続な区域を有する拡張可能なスリーブの使用によってもたらされることが可能である。例えば、スリーブが、半径方向強度がより強い他の区域と組み合わされた、バルーンの一方の端部上の弱い(すなわち、拡張しやすい)区域を有するように構成されることがある。こうしたバルーンは、(第1の圧力で)最初にその一方の端部において膨張し、その次に、圧力が高くなるにつれてそのバルーン長さに沿って漸進的に膨張するだろう。バルーンは、半径方向強度が異なる、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10つ、または、これより多くの不連続な区域を有することが可能である。半径方向強度が異なる様々な不連続の区域が、任意の所望の順序でバルーンに沿って配置されることが可能である。これらの不連続な区域の半径方向強度は、さらに、任意の所望の圧力によって拡張するように個別的に調整されることも可能である。半径方向強度が異なる不連続の区域が、非拡張性の区域、または、半径方向強度が非常に低い区域と組み合わされることが可能である。不連続な半径方向強度区域を有する複数のスリーブが、縦方向または同軸の形状構成の形で組み合わされることが可能である。半径方向強度が異なる不連続な区域を有する拡張可能なスリーブが、拡張可能な要素の外側または内側に配置されることが可能である。
【0029】
一実施形態では、拡張可能な管状スリーブはePTFEを備える。上記ePTFEと共に様々な添加物を組み合わせることによって、本発明のために使用されるePTFEを変性させることが望ましいことがある。Korleskiに対する米国特許第5,879,794号明細書によって教示されている方法のような既知の方法によって、充填材がePTFE中に組み入れられることが可能である。添加物は、さらに、既知の方法によってePTFE中に膨潤させられることも可能である。添加物は、さらに、既知の方法によってePTFE上に塗布されることが可能である。適している添加物は、例えば、微粒子または繊維の形態の材料であり、および、ポリマー、接着剤、エラストマー、セラミック、金属、メタロイド、炭素、および、これらの組み合わせであることが可能である。特に有用な添加物は、例えば、特定の金属(例えば、バリウム合金)および炭素のような放射線不透過性材料を含む。こうした添加物は、ポリマーと共に組み入れられる時に所望の接着剤材料との組み合わせの形で使用されることが可能である。さらに、ePTFEまたは少なくともその一部分を金属化することが望ましいこともある。添加物は、ポリマー自体のマトリックス中に含まれてもよく、または、ポリマー構造によって画定された空隙の中に含まれてもよく、または、この両方であってもよい。望ましい充填材は、さらに、着色剤、薬剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、抗菌薬剤、抗炎症剤、抗増殖剤、抗凝血剤、止血薬、鎮痛剤、エラストマー、および、これらの混合物も含むだろう。ePTFEカバーを潤滑し、したがってこの材料が別の材料の全体にわたって滑らかに滑動することを可能にする化合物が、その管状カバーを被覆し、充填し、または、膨潤させるために使用されることが可能である。固体潤滑剤(すなわち、黒鉛、ワックス、シリコーン)、液体潤滑剤(すなわち、炭化水素油、シリコーンオイル)、ゲル(すなわち、ヒドロゲル)、または、当業で公知である他の任意の生体適合性材料が使用されてもよい。一実施形態では、上記拡張可能なスリーブは、一方の側だけにおいて、被覆されているか、充填されているか、または、膨潤されている。別の実施形態では、上記拡張可能なスリーブは、両方の側において、被覆されているか、充填されているか、または、膨潤されている。別の実施形態では、上記拡張可能なスリーブは、一方の側だけにおいて、被覆されているか、充填されているか、または、膨潤されており、かつ、他方の側において、異なる材料によって被覆されているか、充填されているか、または、膨潤されている。
【0030】
不連続な半径方向強度区域を有する拡張可能なスリーブが、下に位置する(または、上に位置する)拡張可能な要素の拡張輪郭またはシーケンスを決定することが可能である。制御された拡張輪郭またはシーケンスが、様々な医療用途または産業用途を可能にするかまたは改善するために使用されることが可能である。例えば、拡張中に容易に縦方向に圧縮されるステントが、本発明のバルーンおよびカバーによって拡張させられることが可能である。上記ステントは中央から外向きに拡張されることが可能であり、このようにして、そのステントが拡張させられる時にそのステントが縦方向に張力をかけられている状態を維持する。このようなステントの一例が、本明細書にその全ての目的のために参照として援用されている米国特許出願公開第2009/0182413号明細書の中で説明されている。この縦方向の張力は、ステントが縦方向に圧縮されることを防止する。これとは逆の構成では、バルーンおよびカバーは、中央に向かって両端部から内向きに拡張し、これによって上に位置する装置を圧縮することが可能である。心臓弁ステントが、特有の「砂時計」形に拡張させられるステントを必要とし、この場合に、砂時計形の形状が特定のシーケンスで展開する。他の用途では、この拡張が一方の端部で始まり、拡張可能な要素の反対側の端部に進行し、これによって「押し込み(pushing)」または蠕動的な動きを生じさせることが可能である。一実施形態では、上記ステントは、316Lステンレス鋼、コバルト−クロム−ニッケル−モリブデン−鉄合金(「コバルト−クロム」)、L605のような他のコバルト合金、タンタル、ニチノール、または、他の生体適合性金属を含むことが可能である。別の実施形態では、このステントは、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、または、これらの組み合わせであることが可能である。
【0031】
一実施形態では、スリーブ壁の厚さが、拡張前に均一な壁厚さを有するように選択される。別の実施形態では、スリーブ壁の厚さは、拡張後に均一な壁厚さを有するように選択される。別の実施形態では、スリーブ壁の厚さは、拡張前および拡張後に均一な壁厚さを有するように選択される。
【0032】
拡張可能な管状スリーブは拡張可能な要素に固定されることがあり、または、別個の固定手段なしに拡張可能な要素の周囲に滑動自在に配置されることがある。
【0033】
図1と
図2に示されているように、少なくとも1つの拡張可能な要素104が管状本体の遠位端部に備えられている。本発明で使用可能な拡張可能な要素の一例が、膨張バルーンである。他の形態の拡張可能な要素が、非限定的に、「提灯(chinese lantern)」ような機械的なエキスパンダー、拡張可能なボウアーム(bow arm)、回転式の拡張可能/収縮可能なコイルばね、カム型の滑動機構、拡張可能なリンク機構、拡張可能なコレット、起動させられる時に拡張するポリマーまたは天然材料、および、当業で公知の他の構成を含む。本発明の医療装置で使用される拡張可能な要素は自己拡張型であってもよい(機械的な拡張を除く)。一実施形態では、この拡張可能な要素は、均一な厚さの外壁を有する。この壁厚さは、約0.01mm未満から約5mmの範囲内であることが可能である。典型的な直径3mmの薄壁の非順応性バルーンが、約0.02mmの壁厚さを有することが可能である。
【0034】
本発明によるバルーン部材は、当業者に公知である任意の材料を使用して形成されるだろう。通常使用される材料は、熱可塑性のエラストマーポリマーおよび非エラストマーポリマーと、湿気硬化性ポリマーを含む熱硬化性物質とを含む。
【0035】
適している材料の例が、非限定的に、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテル、シリコーン、ポリカーボネート、スチレン系ポリマー、そのコポリマー、および、これらの混合物を含む。これらの種類の幾つかは、熱硬化性物質および熱可塑性ポリマーの両方として入手可能である。例えば、米国特許第5,500,181号明細書を参照されたい。本明細書で使用される場合に、術語「コポリマー」は、2つ以上のモノマーから形成されているあらゆるポリマー材料を意味するものとして使用されている。
【0036】
本明細書で使用される場合に、術語「コポリマー」は、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、および、さらに多くのような、2つ以上のモノマーから形成されているあらゆるポリマーを意味するものとして使用されている。
【0037】
使用できるポリアミドは、非限定的に、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9、および、ナイロン6/6である。こうした材料の使用が、例えば、米国特許第4,906,244号明細書に説明されている。
【0038】
こうした材料の幾つかのコポリマーの例が、商標名PEBAX
TMとして、Elf Atochem North America(Philadelphia,Pa.)から入手可能である、ポリエーテルブロックアミドを含む。別の適しているコポリマーがポリエーテルエステルアミドである。
【0039】
適しているポリエステルコポリマーが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルエーテル、および、商標名HYTREL
TMとして、DuPont(Wilmington,Del.)から入手可能なポリエステルエラストマーコポリマーのようなポリエステルエラストマーコポリマーを含む。
【0040】
スチレン末端ブロックと、ブタジエンとイソプレンとエチレン/ブチレンとエチレン/プロペン等から形成された中間ブロックとを有するコポリマーのようなブロックコポリマーエラストマーが、本発明において使用されるだろう。他のスチレン系ブロックコポリマーが、アクリロニトリル−スチレンおよびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを含む。さらに、ブロックコポリマーがポリエステルまたはポリアミドの硬セグメントとポリエーテルの軟セグメントとで形成されている、特定のブロックコポリマー熱可塑性エラストマーのブロックコポリマー。
【0041】
ポリエステル/ポリエーテルブロックコポリマーの特定の例が、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL
TM EM740のようなポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(テトラメチレンオキシド)ポリマーと、上述したDuPont de Nemours & Co.から入手可能なHYTREL
TMポリマーである。
【0042】
バルーン形成に使用可能である適切な材料は、さらに、例えば、米国特許第6,406,457号明細書、米国特許第6,284,333号明細書、米国特許第6,171,278明細書、米国特許第6,146,356号明細書、米国特許第5,951,941号明細書、米国特許第5,830,182号明細書、米国特許第5,556,383号明細書、米国特許第5,447,497号明細書、米国特許第5,403,340号明細書、米国特許第5,348,538号明細書、米国特許第5,330,428号明細書に説明されている。
【0043】
上記の材料は単なる例示を目的とするものであることが意図されており、本発明の範囲に対する限定は意図されていない。使用のために入手可能な適切なポリマー材料は数多くあり、あまりにも多くて本明細書に列挙できないほどであり、および、当業者に公知である。
【0044】
バルーン形成は、既知の押出成形、射出成形、および、他の成形方法を使用して、従来通りの仕方で行われることが可能である。典型的には、管状プリフォームの押出成形と、バルーンの成形と、バルーンのアニーリングとを含む3つの主要段階が、工程中に含まれている。使用されるバルーン材料に応じて、プリフォームが、吹込成形(blow)される前に軸方向に引き伸ばされるだろう。バルーン形成のための方法が、米国特許第4,490,421号明細書、RE32,983、RE33,561、および、米国特許第5,348,538号明細書に説明されている。
【0045】
拡張可能な要素は、当業者に公知の様々な接着手段によって管状本体に取り付けられるだろう。この例が、非限定的に、溶剤接着、熱接着剤接着、および、熱収縮、または、ヒートシールを含む。接着方法の選択は、拡張可能な要素と管状本体とが調製される材料に依存している。バルーンをカテーテルに接着することに関する一般的な教示に関しては、本明細書にその全体が参照として援用されている、Wangに対する米国特許第7,048,713号明細書を参照されたい。
【0046】
本発明の医療装置は、身体管腔内の部位の治療、または、上述した介入性装置の送達に有用である。一実施形態では、本発明の医療装置は、血管形成術処置において使用される。この方法では、本発明の医療装置は、折り畳まれた形態の拡張可能な要素が血管治療部位に隣接しているように、経皮的に前進させられる。一般的に、この治療部位は、例えばプラークまたは血栓を原因とする狭窄である。その次に、この医療装置の拡張可能な要素が、その拡張可能な要素を膨張させるのに十分な圧力または力で膨張させられる。狭窄が管腔の生得的な直径に圧迫されるかまたはこの生得的な直径を超えて圧迫されると、拡張可能な要素が排出され、および、その医療装置が身体管腔から引き抜かれる。別の実施形態では、本発明の上記医療装置が、治療部位に介入性装置を送達するために有用である。
【0047】
本発明の一実施形態が、身体管腔内の部位を治療する方法を含み、この方法は、折り畳まれた形態である拡張可能な要素が治療部位に隣接しているように本発明の医療装置を身体管腔内に位置決めする段階と、上述したように、拡張可能な要素を膨張させるために、および、その変化する半径方向強度にしたがって、拡張可能な管状スリーブを拡張するために十分な圧力または力で、その拡張可能な要素を膨張させる段階とを含む。一実施形態では、上記拡張可能な要素は介入性装置を拡張する。別の実施形態では、上記介入性装置はステントである。別の実施形態では、上記介入性装置は心臓弁である。別の実施形態では、上記治療部位は冠状動脈である。
【0048】
次の非限定的な実施例が、本発明をさらに説明するために示されている。
【実施例1】
【0049】
折り畳まれたPETバルーンの上に薄膜チューブを配置した。この薄膜チューブは、それぞれに異なる量の半径方向強度を有する不連続な区域を有し、および、変化する縦方向の圧縮が加えられた。この薄膜チューブの中間区域を縦方向に35%圧縮した。この薄膜チューブの端部を縦方向に60%圧縮した。この結果として得たバルーンは、第1の圧力をバルーンに加えた時に、最初に中間区域において膨張した。第2のより高い圧力をそのバルーンに加えた時には、そのバルーンの端部が膨張した。次の例が、特定の「段階的膨張」バルーンを作る方法を詳細に示している。
【0050】
ePTFE薄膜を、約28.5mmの直径と約37cmの長さとを有するマンドレルの周囲に螺旋状に巻き付けた。この薄膜の幅は約2.54cmだった。約78度の薄膜角度で、2.794mmのピッチ(隣接する薄膜端縁から測定した)を使用して、互いに反対の方向に薄膜を2回巻き付けた。巻き付けられた長さは約30cmだった。
【0051】
その次に、薄膜を巻き付けたマンドレルを、約380℃に加熱された空気対流炉の中に約28分間にわたって入れた。この熱露出がePTFEの層を互いに接着させ、薄い薄膜チューブが形成された。
【0052】
ePTFE薄膜を巻き付けたマンドレルを炉から取り出して、温度が冷えるままにし、さらに、薄膜チューブをマンドレルから取り外した。この薄膜チューブは,約28.5mmの直径と約0.0254mmの壁厚さとを有した。
【0053】
その次に、約30cmの長さの薄膜チューブを手で引っ張り、当初の長さの約400%に、すなわち、約120cmに縦方向に引き伸ばした。この引き伸ばしの後に、そのチューブを、約4mmの直径と約130cmの長さとを有するマンドレル上に置いた。この引き伸ばされたチューブを手によってマンドレル上で平滑にし、約4mmの直径を有する小直径の薄膜チューブを形成した。
【0054】
その次に、一時的なePTFE薄膜を、直径約4mmの薄壁チューブ上に螺旋状に巻き付けた。この薄膜の厚さは約0.00508mmであり、その薄膜幅は約1.905cmだった。約78度の薄膜角度を伴って、(隣接する薄膜端縁から測定された)2.6924mmのピッチを使用して、薄膜を1回巻き付けた。
【0055】
その次に、この薄膜チューブと一時的なePTFE薄膜とを縦方向に圧縮した。この薄膜チューブの中間部分は33.75mmの初期長さを有し、および、長さ25mmに圧縮された。この薄膜チューブの第1の端部は44mmの初期長さを有し、および、27.5mmの長さに圧縮された。この薄膜チューブの第2の端部を、この薄膜チューブの第1の端部と同様の仕方で縦方向に圧縮した。この縦方向に圧縮した薄膜チューブの全長が約80cmだった。
【0056】
その次に、この縦方向に圧縮された薄膜チューブとマンドレルとを、約1分間にわたって、約380℃に加熱された空気対流炉内に入れた。
【0057】
その次に、ePTFE薄膜が巻き付けられたマンドレルを炉から取り出して、冷えるままにした。
【0058】
その次に、一時的なePTFE薄膜の巻き付け物(wrap)を薄膜チューブから取り外した。この結果として得られた薄膜チューブは、半径方向強度が異なる不連続な区域を有した。
【0059】
その次に、この薄膜チューブを、カテーテルが装着された圧縮PETバルーン上に取り付けた。このバルーンは
図6に拡張状態で示されている。不連続な半径方向強度区域を有するこの薄膜チューブを、バルーン脚部の約2mmが薄膜チューブから突き出るように、圧縮されたバルーンの上に縦方向に心出しした。薄膜チューブの端部を、4981 Loctite Cyanoacrylate接着剤を使用して、バルーン脚部と、薄膜チューブとバルーン脚部との両方の周りに巻き付けられた幅0.635cmのePTFE薄膜とに固定した。
【0060】
その次に、バルーンを約3atmに加圧し、
図4に示されているようにそのバルーンの中央区域を膨張させた。約12atmにさらに加圧すると、バルーンの近位端部と遠位端部が、
図5に示されているように膨張した。
【0061】
本発明の構造および機能の詳細と共に、好ましい実施形態と代替策の実施形態とを含む上記説明において本発明の様々な特徴と利点とが明らかにされてきた。この開示内容は単に例示的なものであることが意図されており、したがって、網羅的ではないことが意図されている。特に、構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ、および、部品の配置という事柄に関して、本発明の原理の範囲内において、添付されている特許請求項が表現されている術語の広範かつ全般的な意味によって示されている全範囲に、様々な変更が加えられることが可能であるということが当業者には明らかだろう。添付されている特許請求項の着想と範囲とから、これらの種々の変更が逸脱することがない限り、これらの変更がこの着想と範囲の中に包含されることが意図されている。本発明は、上記で説明されておりかつ下記で特許請求されている実施形態に関するということに加えて、さらには、上記で説明されておりかつ下記で特許請求されている特徴の異なる組み合わせを有する実施形態にも関する。したがって、本発明は、下記で特許請求されている従属的な特徴の任意の他の実現可能な組み合わせを有する他の実施形態にも関する。
以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
医療装置であって、
(a)近位端部と遠位端部とを有する細長い管状本体と、
(b)前記細長い管状本体の前記遠位端部に位置する少なくとも1つの拡張可能な要素と、
(c)前記拡張可能な要素の少なくとも一部分を包囲する拡張可能な管状スリーブであって、異なる圧縮率を有する少なくとも2つの部分を備える拡張可能な管状スリーブと、
を備える医療装置。
[2]
前記拡張可能な要素はバルーンである項目1に記載の医療装置。
[3]
前記拡張可能な要素は自己拡張型である項目1に記載の医療装置。
[4]
前記拡張可能な要素は機械的に拡張される項目1に記載の医療装置。
[5]
前記拡張可能な要素は均一な厚さを有する項目1に記載の医療装置。
[6]
前記拡張可能な管状スリーブは拡張後に均一な壁厚さを有する項目1に記載の医療装置。
[7]
前記拡張可能な管状スリーブは拡張前に均一な壁厚さを有する項目1に記載の医療装置。
[8]
前記拡張可能な管状スリーブは前記拡張可能な要素に固定されている項目1に記載の医療装置。
[9]
前記拡張可能な管状スリーブは、多孔性微細構造を有する1つまたは複数の材料を含む項目1に記載の医療装置。
[10]
前記材料は延伸ポリテトラフルオロエチレンである項目9に記載の医療装置。
[11]
前記材料は超高分子量ポリエチレンである項目9に記載の医療装置。
[12]
前記材料はフィブリル化されている項目9に記載の医療装置。
[13]
前記拡張可能な管状スリーブの前記少なくとも2つの部分の異なる圧縮比が、前記拡張可能な要素の拡張率に影響を及ぼす項目1に記載の医療装置。
[14]
前記拡張可能な管状スリーブの前記少なくとも2つの部分の異なる圧縮比が、拡張時における前記拡張可能な要素の形状に影響を及ぼす項目1に記載の医療装置。
[15]
前記拡張可能な管状スリーブの前記少なくとも2つの部分の異なる圧縮比が、前記拡張可能な要素を拡張するのに必要とされる力の量に影響を及ぼす項目1に記載の医療装置。
[16]
前記拡張可能な管状スリーブは単一の連続した材料である項目1に記載の医療装置。
[17]
前記拡張可能な管状スリーブは、遠位端部部分と、近位端部部分と、中央または中間部分とを備える項目1に記載の医療装置。
[18]
前記遠位端部部分と前記近位端部部分は、前記中央または中間部分に比較して、増大した圧縮比を呈する項目17に記載の医療装置。
[19]
身体管腔内の部位を治療する方法であって、
折り畳まれた形態である拡張可能な要素が治療部位に隣接しているように項目1の前記医療装置を身体管腔内に位置決めする段階と、
前記拡張可能な管状スリーブの第1の部分において、前記拡張可能な要素を拡張するために十分な圧力または力で、前記拡張可能な要素を拡張する段階と
を含む方法。
[20]
前記第1の部分よりも高い圧縮比を有する前記拡張可能な管状スリーブの第2の部分において前記拡張可能な要素を拡張するために、増大した率または圧力で前記拡張可能な要素を拡張する段階をさらに含む項目19に記載の方法。
[21]
前記拡張可能な要素は介入性装置を拡張する項目19に記載の方法。
[22]
前記介入性装置はステントである項目21に記載の方法。
[23]
前記介入性装置は心臓弁である項目21に記載の方法。
[24]
前記治療部位は冠状動脈である項目19に記載の方法。
[25]
前記拡張可能な要素はバルーンである項目19に記載の方法。
[26]
前記拡張可能な管状スリーブは少なくとも1つのポリマーを含む項目19に記載の方法。
[27]
前記ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレンである項目26に記載の方法。