【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0008】
第1の手段は、作業者が操作装置に力を加えてロボットのアームを操作する方法であって、前記操作装置は、前記作業者の手で把持可能な棒状の本体と、前記アームに取り付けられる被取付部と、前記ロボットの制御装置に接続され、動かされていない状態の第1位置、中間位置まで動かされた状態の第2位置、及び前記中間位置を越えて動かされた状態の第3位置に移動可能な可動部材を有し、前記可動部材の位置が前記第1位置及び前記第3位置でオフとなり、前記第2位置でオンとなるイネーブルスイッチと、を備え、前記可動部材は、前記本体の長手方向の一端部に設けられ、前記本体の内部方向へ押し込まれることにより前記第1位置から前記第3位置まで移動するものであり、前記アームに前記被取付部を取り付け、前記イネーブルスイッチを前記制御装置に接続する取付工程と、前記取付工程の後に、前記作業者が前記本体を手の親指以外の4本の指で把持し、前記可動部材を親指で前記第2位置まで押し込んで維持する動作許可工程と、前記動作許可工程の後に、前記作業者が前記本体に力を加えて前記アームを操作する操作工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
取付工程では、ロボットのアームに操作装置の被取付部が取り付けられ、イネーブルスイッチがロボットの制御装置に接続される。イネーブルスイッチは、可動部材の位置が第1位置及び第3位置でオフとなり、第2位置でオンとなる。イネーブルスイッチはロボットの制御装置に接続されているため、ロボットの制御装置はイネーブルスイッチがオン位置である場合にのみ、ロボットのアームの動作を許可することができる。
【0010】
上記取付工程の後、作業者は、本体を手の親指以外の4本の指で把持し、可動部材を親指で第2位置まで押し込んで維持する。これにより、イネーブルスイッチがオン位置となり、ロボットの動作が許可される。ここで、可動部材は、本体の長手方向の一端部に設けられ、本体の内部方向へ押し込まれることにより第1位置から第3位置まで移動させられる。このため、作業者は、操作装置の本体を手の親指以外の4本の指で把持しつつ、可動部材を親指で第2位置まで容易に押し込むことができる。
【0011】
その後、作業者は、操作装置の本体に力を加えてアームを操作する。このとき、主に親指以外の4本の指により本体に力を加えてロボットのアームを操作し、親指により可動部材を第2位置で容易に維持することができる。詳しくは、親指以外の4本の指で本体を把持すれば、アームを操作力するのに十分な把持を行うことができる。このため、親指以外の4本の指により、上下左右の方向にアームを動かす応力を発生させることができ、親指は応力発生に貢献する必要がない。したがって、親指は本体の把持から開放され、イネーブルスイッチの可動部材を押し込むことに注力することができる。すなわち、本体を把持してアームを操作する力と、イネーブルスイッチの可動部材を押し込む力とを分離することができる。したがって、作業者が操作装置によりロボットのアームを操作する際に、イネーブルスイッチが意図せずオフに切り替わることを抑制することができ、アームの操作性が低下することを抑制することができる。
【0012】
第2の手段では、前記本体において長手方向の少なくとも一端部には、前記長手方向に交差するように前記本体から突出する突出部が設けられており、前記操作工程は、前記作業者が手の人差し指側部分及び小指側部分の少なくとも一方を前記突出部に当てる工程を含む。
【0013】
本体において長手方向の少なくとも一端部には、長手方向に交差するように本体から突出する突出部が設けられている。そして、操作工程において、作業者は、本体に力を加えてアームを操作する際に、手の人差し指側部分及び小指側部分の少なくとも一方を突出部に当てる。したがって、操作装置を手の人差し指側又は小指側へ移動させる際に、手の一部を突出部に当てて力を加えることができる。その結果、本体を強く把持する必要がなくなり、作業者の身体的負担を軽減することができるとともに、アームの操作性を向上させることができる。さらに、突出部による支えがあることで本体を把持する指が安定し、親指は本体への応力発生から一層開放され、イネーブルスイッチの可動部材を押し込む力を安定させることができる。
【0014】
第3の手段では、前記被取付部は、前記本体との連結部を中心として、前記本体に対して揺動可能であり、前記本体に対して前記被取付部を揺動させて、前記アームと前記本体との角度を調節する工程を備える。
【0015】
取付部は、本体との連結部を中心として、本体に対して揺動可能となっている。そして、上記工程によれば、本体に対して被取付部を揺動させて、アームと本体との角度が調節される。したがって、アームの操作性を向上させることができる。
【0016】
第4の手段では、前記可動部材は、前記本体の長手方向の一端部において、前記本体の底面に設けられており、前記動作許可工程は、前記作業者が前記本体の長手方向から、前記可動部材を親指で押し込んで維持する工程を含む。
【0017】
可動部材は、本体の長手方向の一端部において、本体の底面に設けられており、作業者は本体の長手方向から、可動部材を親指で押し込んで維持する。このため、親指の自然な動きにより可動部材を押し込むことができ、アームの操作性を向上させることができる。さらに、本体を把持する4本の指から発生する把持力ベクトルの方向と、可動部材を押圧する親指から発生する押圧力ベクトルの方向とが略直交する。このため、本体へ加えられる移動の応力が4本の指による把持力ベクトルに沿って伝わることに鑑みれば、それに略直交する方向である親指による押圧力ベクトルにその影響が及びにくくなる。したがって、本体を把持してアームを操作する力と、イネーブルスイッチの可動部材を押し込む力とを、より明確に分離することができる。
【0018】
第5の手段では、前記可動部材は、前記本体の長手方向の一端部において、前記本体の側面に設けられており、前記動作許可工程は、前記作業者が前記本体の側方から、前記可動部材を親指で押し込んで維持する工程を含む。
【0019】
第6の手段は、アームの操作装置であって、作業者の手で把持可能な棒状の本体と、ロボットのアームに取り付けられる被取付部と、前記ロボットの制御装置に接続され、動かされていない状態の第1位置、中間位置まで動かされた状態の第2位置、及び前記中間位置を越えて動かされた状態の第3位置に移動可能な可動部材を有し、前記可動部材の位置が前記第1位置及び前記第3位置でオフとなり、前記第2位置でオンとなるイネーブルスイッチと、を備え、前記可動部材は、前記本体の長手方向の一端部に設けられ、前記本体の内部方向へ押し込まれることにより前記第1位置から前記第3位置まで移動することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、操作装置の被取付部がロボットのアームに取り付けられ、操作装置の本体が作業者の手で把持される。操作装置は、可動部材の位置が第1位置及び第3位置でオフとなり、第2位置でオンとなるイネーブルスイッチを備えている。イネーブルスイッチはロボットの制御装置に接続されているため、ロボットの制御装置はイネーブルスイッチがオン位置である場合にのみ、ロボットのアームの動作を許可することができる。このため、作業者は、可動部材の位置を第2位置に維持しつつ、把持した本体に力を加えてロボットのアームを操作する。
【0021】
ここで、可動部材は、本体の長手方向の一端部に設けられ、本体の内部方向へ押し込まれることにより第1位置から第3位置まで移動させられる。このため、作業者は、操作装置の本体を手の親指以外の4本の指で把持しつつ、可動部材を親指で第2位置まで容易に押し込むことができる。そして、主に親指以外の4本の指により本体に力を加えてロボットのアームを操作し、親指により可動部材を第2位置で容易に維持することができる。すなわち、本体を把持してアームを操作する力と、イネーブルスイッチの可動部材を押し込む力とを分離することができる。したがって、作業者が操作装置によりロボットのアームを操作する際に、イネーブルスイッチが意図せずオフに切り替わることを抑制することができ、アームの操作性が低下することを抑制することができる。
【0022】
第7の手段では、前記被取付部及び前記可動部材は、前記本体の長手方向において同じ側の端部に設けられている。
【0023】
上記構成によれば、被取付部及び可動部材は、本体の長手方向において同じ側の端部に設けられている。このため、被取付部がロボットのアームに取り付けられた状態で、アーム側に親指を位置させて本体を把持することができる。したがって、アーム側に小指を位置させて本体を把持する場合と比較して、アームの操作性を向上させることができる。
【0024】
第8の手段では、前記本体において長手方向の少なくとも一端部には、前記長手方向に交差するように前記本体から突出する突出部が設けられている。
【0025】
上記構成によれば、本体において長手方向の少なくとも一端部には、長手方向に交差するように本体から突出する突出部が設けられている。このため、作業者が本体を把持した場合に、手の人差し指側部分及び小指側部分の少なくとも一方を突出部に当てることができる。したがって、操作装置を手の人差し指側又は小指側へ移動させる際に、手の一部を突出部に当てて力を加えることができる。その結果、本体を強く把持する必要がなくなり、作業者の身体的負担を軽減することができるとともに、アームの操作性を向上させることができる。
【0026】
第9の手段では、前記本体において長手方向の両端部には、前記長手方向に交差するように前記本体から突出する突出部がそれぞれ設けられており、前記本体において前記突出部同士の間の部分が、作業者により把持される被把持部となっている。
【0027】
上記構成によれば、本体において長手方向の両端部には、長手方向に交差するように本体から突出する突出部がそれぞれ設けられている。そして、本体において突出部同士の間の部分が、作業者により把持される被把持部となっている。このため、作業者が被把持部を把持した場合に、手の人差し指側部分及び小指側部分を突出部にそれぞれ当てることができる。したがって、操作装置を手の人差し指側及び小指側のいずれに移動させる際にも、手の一部を突出部に当てて力を加えることができる。その結果、本体を強く把持する必要がなくなり、作業者の身体的負担を軽減することができるとともに、アームの操作性を向上させることができる。
【0028】
第10の手段では、前記被取付部は、前記本体との連結部を中心として、前記本体に対して揺動可能である。
【0029】
上記構成によれば、取付部は、本体との連結部を中心として、本体に対して揺動可能となっている。このため、ロボットのアームと本体との角度を調節することができ、アームの操作性を向上させることができる。
【0030】
第11の手段では、前記被取付部は、前記イネーブルスイッチに接続されている出力部を有し、前記アームに前記被取付部が取り付けられることにより、前記出力部が前記制御装置に接続される。
【0031】
上記構成によれば、被取付部はイネーブルスイッチに接続されている出力部を有しており、アームに被取付部が取り付けられることにより、出力部が制御装置に接続される。このため、制御装置は、被取付部の出力部を介して、イネーブルスイッチの状態を把握することができる。したがって、操作装置のアームへの取付と、イネーブルスイッチの制御装置への接続とを一度に行うことができ、作業の効率を向上させることができる。
【0032】
第12の手段では、前記可動部材は、前記本体の長手方向の一端部において、前記本体の底面に設けられている。
【0033】
第13の手段では、前記可動部材は、前記本体の長手方向の一端部において、前記本体の側面に設けられている。